Home/ 財政・税制 財政・税制 国家戦略特区、日本経済浮上の鍵になり得るか!? 2014.04.13 文/幸福実現党神奈川県本部副代表 HS政経塾4期生 壹岐愛子 ◆国家戦略特区の選定区域が設定、本格的にスタート 政府は3月28日、地域に限定して規制緩和を進める国家戦略特区を正式に決定しました。 具体的な地域としては、 1.国際ビジネス、イノベーションの拠点として東京都・神奈川県・千葉県成田市を区域とする東京圏 2.医療イノベーション拠点、チャレンジ人材支援として大阪府・京都府・兵庫県を区域とする関西圏 3.農業改革拠点として新潟県新潟市 4.中山間地農業改革拠点として兵庫県養父市 5.ベンチャー企業雇用改革拠点として福岡県福岡市 6.国際観光拠点として沖縄県の合計6か所を選定しました。 安倍首相は、国家戦略特区を「成長戦略」の目玉戦略と掲げています。 今年の1月、世界経済フォーラム(ダボス会議)での演説において「いかなる既得権益といえども、私のドリルから無傷ではいられない」と述べており、規制改革に取り組む決意を表明しています。 ◆神奈川県の取組み「ヘルスケア・ニューフロンティア」 特区の一つである神奈川県では、「ヘルスケア・ニューフロンティア」を掲げ、「最先端医療・最新技術の追求」と「病気の手前の状態である『未病』を治す」という2つのコンセプトのもと産業を創出しイノベーションをはかっていくことで日本経済の再生を計っていきます。 日本の高い技術力と、未病という高齢化社会に向けての具体策に世界も注目しており、県知事主導のもとシンガポールとは政府機関及び大学と覚書を締結しており、アジア市場での創薬や医療機器開発などに関する協力を進めていく合意に至っております。 この事業はアメリカやヨーロッパでも注目されており、特区を最大限活かした国際戦略が進められております。 ◆国民の期待が高まっていない成長戦略 このような特区での取り組みは殆ど報道されておりません。 毎日新聞は4月6日の社説では「看板倒れの懸念拭えぬ」と題し、「経済再生に向けての期待感はしぼみつつある」と消極的に捉えています。 確かに過去にも似たような趣旨の地域再生計画は行われており、政府としてはもっと積極的に日本経済への効果と実績をしっかりと国民に提示していき、ビジョンを発進していかなければならないでしょう。 規制緩和を活かした改革を進めなければ経済活性化には繋がりません。今後も経済特区にあわせた規制緩和として更なる改革を推し進め、国際競争力を高める一層の努力が必要です。 ◆次の世代へと夢を繋げる未来産業こそ成長戦略の鍵 また、今回の国家戦略特区では、雇用や医療、農業といった従来の産業である岩盤規制を中心とした改革です。政府はこのような従来の産業の規制緩和を推し進めていくと同時に、国民が次の世代に託したいと思えるような未来産業への投資を率先していくべきでしょう。 国民がこの国に対して明るい未来を描ける成長戦略こそ真なる日本経済の再生をもたらす鍵であり、景気回復への突破口としていかねばなりません。 幸福実現党は、200兆円かけて宇宙産業や新エネルギー開発など未来に夢が拡がる新しい産業を創出していくことを掲げております。 宇宙産業に関わる部品など日本でしか作れないものが数多くあり、日本のものづくりを再生する起爆剤こそが未来産業にあり、そこにアベノミクスの経済成長戦略のカギがあるのです。 脱原発でエネルギー危機、太陽光・風力は代替エネルギーになりうるか 2014.04.12 文/幸福実現党 宮崎県本部副代表 河野一郎 ◆急な「脱原発」でエネルギー危機の日本 エネルギー自給率4%の日本、「オイルショック」を経験して原子力発電に切り替え、電力総量の30%近くを原発でまかなっていましたが、平成23年の福島原発事故で、一気に脱原発に入り、エネルギー危機の日本となりました。 真夏などの電力ピーク時はギリギリの電力総量で綱渡りのエネルギー事情の日本です。しかもオイルショック以前に逆戻りして火力発電で補っています。そのため旧型の火力発電所もフル活動になっています。 ◆急に脚光を浴びた再生エネルギー 代替エネルギーとして再生エネルギーが脚光を浴びています。様々な再生エネルギーの中で、大規模な電力が可能とされているのが太陽光発電と風力発電です。 再生エネルギーが一気に広がった背景には、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど)によって発電された電気が買い取り対象となった「固定価格買い取り制度」です。電力会社への高めの買い取りを政府が義務付けたことと申請を受けたときの買い取り価格を20年間保証することです。 「固定価格買い取り制度」は電力会社が再生エネルギーを買い取りますが、最終的には賦課金(広く国民が負担すること)として電気料金アップの形で私たち国民が払うことになります。 ◆太陽光発電の長所と短所 太陽光発電は固定価格買い取り制度により、運営が始まった平成24年7月以降、25年末時点で700万キロワット以上になり、原発7基分に相当しています。2011年末では491万キロワットです。 太陽光発電の長所としては、可動部分がなく機械的故障が少ないこと、規模を問わず発電量が一定のため小規模、分散運用に向くこと、発電時に廃棄物や排水・排気・騒音・振動が発生しないこと、出力ピークが昼間電力需要ピークと重なることがあります。 また、需要地に近接でき、送電コストが節約できること、蓄電池利用ができるため非常用電源ともなること、小型製品もあり運搬・異動が楽、設置制限が少なく、屋根や壁面に設置できることなどがあります。 短所としては、発電電力量当たりのコストが他の発電方法より割高であること、夜間発電ができないこと、昼でも太陽が陰ると発電力が大きく変動すること、規模を拡大してもその発電量はそのパネル面積に対して一定(コストメリットは発生します)のためスケールメリットがありません。(風力発電なら規模が拡大すると発電量も増加できます)。影、汚れ、火山灰、降雪等で太陽光が遮断されると出力が落ちます。 原発1基分を太陽光で補うには、東京の山手線の内側と同じ面積をすべて太陽パネルに変えなければなりません。メガソーラーは広い土地が必要ですが、日本は国土も狭く、平野も少ないため、限られた場所でしかできません。 現在では農地の耕作放棄地に太陽光パネルを設置したり、観光地などにメガソーラーを作る流れもできています。ただ、農地を減らしていいのかという問題、また観光地の景観が変わるため地元の反対なども出ています。 ◆風力発電の長所と短所 再生エネルギーの固定価格買い取り制度では、風力発電の買い取り値段がアップして、風力発電が増えるのでないかといわれていました。平成15年度の風力発電は741基で総電力68万キロワットでしたが、平成25年度には1922基で、266万キロワットで原発約3基分弱の発電をしています。 五島列島では、世界初の洋上浮体式風力発電事業が開始されています。巨大な「浮き」でどんな嵐が来ても「起き上がり子法師」と同じ原理で倒れることがないとのことです。海中では下部から3本の鎖が海底に保留されています。発電量は2000キロワットで、地元住民1800世帯分の電気を発電する計画です。 風力発電の長所としては、発電してもごみや二酸化酸素が出ないこと、比較的発電コストが低く、事業化が容易であること、小規模分散型であるため、離島、山奥などで独立電源として活用できること、事故も分散型になるため、被害影響を最小限に止めることができるなどがあります。 短所としては、設置場所の風況により発電の採算性に大きく影響すること、台風、サイクロンなどの強風には弱いこと、騒音被害があること、現時点ではコスト面で法的助成措置が必要、落雷などで故障、メンテナンスにコストがかかることなどがあります。陸上の風力発電より洋上風力発電はコストが1.5~2.6倍、維持・管理費は3.5~3.8倍かかります。 通産省の平成25年度調査では、約300箇所ある風力発電所のうち、6割近くの175風力発電所で事故や落雷などで何らかのトラブルが生じたと報告がありました。 また、風力発電は、洋上が土地取得や騒音問題がない反面、日本の太平洋側は海が深いため設備投資が掛かることや予想される南海トラフ大地震において耐え切れるかどうかの問題もあります。地元の漁場・漁業権とのかかわりも発生し、簡単にはいかないようです。 風力発電で初期投資を回収するためには、設備利用率20%以上必要とされていますが、経産省資源エネルギー庁の調査では、平均施設利用率20.7%です。半分近くは採算ベースギリギリか採算ベース割れになっているということです。自治体のほとんどが初期投資を回収できずにいます。 ◆現段階では原発の代替エネルギーと成りえない再生エネルギー 現在水力発電を除く再生エネルギーは総電力量の2%弱です。 2020年までの脱原発を掲げて取り組んでいるドイツは、再生エネルギーが国内総エネルギーの2割に達しています。しかし、電気料金は原発を止める前の2倍に跳ね上がっています。国民も不満が高まっています。 政府は法改正をして、固定価格買取制度を修正し、太陽光発電が6200万キロワットに達した時点で買い取り対象から外すそうです。 4月1日から消費税が5%から8%に上がりました。原発を止めたため、その消費税アップ分の1.5%に当たる、3.8兆円が燃料費として海外に消えています。化石燃料を購入するために消費税アップの半分が毎年なくなっていくのです。原発を止めなければ発生しなかった燃料費です。 太陽光発電も風力発電も、自然環境に左右される面とコストが高いため安定的電力になれません。現段階では原発の代替エネルギーには程遠く、電力会社の化石燃料購入費増加と再生エネルギーを広げるほど固定価格買い取り制度により賦課金が増え、更なる電気料金のアップは避けられません。 再生エネルギーでは安定的な電力供給ができないため、もし化石燃料が日本に入らなくなった時は、電力不足により日本経済に大打撃を与える可能性があります。 結論は、ただ一つです。一刻も早く原発再開をすることです。現段階においては再生エネルギーでは原発の替わりになることは不可能です。 真なる財政再建への道 ~財政規律至上主義の愚~ 2014.04.01 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆麻生財務大臣の本音 4月1日よりいよいよ消費税が8%に増税されました。 麻生財務大臣は、消費税の8%への引き上げについて1日の閣議後会見で、駆け込み需要の反動減など、景気の動向に関しては「この数カ月間が正念場」とした上で、「(消費税率が)10%になれるような経済情勢・景気というものを今年度4月~6月期以降に作り上げておく必要がある」と消費税率10%に向けた環境整備の必要性を訴えました。(ANNニュース4/1) 麻生財務大臣は図らずも本音を吐露しました。それは、来年10月から予定されている消費税10%への増税が出来るための条件整備として、景気対策を打つというのです。 今回の消費増税の決断の根拠となった昨年4~6月期の実質成長率の数値も、財務官僚が公共投資の集中的な発注で人為的に作ったものと言われています。(ザ・リバティー5月号 田村秀男氏インタビュー「消費増税は愚策 アベノミクスは日本再生ビジョンを示せ」) このように政府の「増税ありき」のむき出しの情念は、どこから生まれているのでしょうか。 ◆財政規律至上主義の愚 その一つとして、財政規律至上主義とでもいうべき「国の財政が一番大事。国の財政さえ健全なら日本は大丈夫」という考え方があるのではないでしょうか。 国家財政が破綻したら元も子もない、国民生活も破綻するということです。 土居丈朗慶大経済学部教授等を起草者として、財政制度等審議会より昨年11月末、麻生財務大臣に対し「平成26年度予算の編成等に関する建議」が提出されました。 この建議書が、現在の財政運営を規定しています。この建議では、財政健全化を着実に進めるに当たっては、いたずらに自然増収に期待するべきではない。 我が国の財政の現状では、歳出削減と増税による歳入改革の両方を実行しなければならず、経済成長のみで財政健全化を実現させることは不可能と認識しなければならないと結論付けています。 幸福実現党が訴えている「経済成長による税収増」で財政健全化を図るという考えを「不可能」と否定しています。 この考えの違いは、究極的には、国の財政を第一とみるか、民間企業の経営を第一とみるかの違いといえます。これはすなわち大きな政府をとるか、小さな政府をとるかの違いでもあります。 国を優先した場合、増税で民間が苦しんでも財政規律を守らなければならないという考えになります。民間を優先した場合、減税で民間を富ませ、民間の富の創造・蓄積により国の財政も豊かになるという考えになります。 ◆全企業黒字化による財政再建 幸福実現党は、国家の繁栄のためにこそ、民間の富の創造、蓄積が大切と考えます。それが小さな政府を目指すということの意味でもあります。 幸福実現党大川隆法総裁は、幸福の科学グループ創始者兼総裁でもありますが、来年開学を予定している幸福の科学大学に経営成功学部を創設する予定です。 現在の経営学の成果は、7割以上の赤字企業の存在です。これが意味するところは、現在の経営学は「節税学」あるいは「脱税学」である可能性が極めて高いということであります。 よって幸福の科学大学経営成功学部では、10割の企業が黒字体質になる方法を学問化することを目的とします。 これは、わが国の法人税収の飛躍的増大への道でもあります。増税ではなく、企業の黒字化、発展による税収増への道です。 今、必要なのは、明るい未来展望であります。未来展望があれば、人々の投資意欲は高まります。それがデフレ脱却への真の道筋です。 財政規律至上主義者は、わかり易くいえば「経理屋さん」の目線であり、未来志向の企画提案を予算がないとして潰す役回りであります。 幸福実現党は、新しい学問成果を果敢に政策に取り入れ、未来を切り開いていく所存であります。国家の発展は、民間の発展なくしてあり得ないのであります。 デフレから未だ完全に脱却していない現在、消費増税を始めとする社会保険料アップ、光熱費アップ、等々国民負担が急速に増大しています。これは民間の発展を阻害するマイナス要因でしかありません。 民間の収支の改善をこそ政府は優先すべきです。さすれば、国の財政も必ず再建されるのです。 ※参考文献 「経営成功学とは何か」 大川隆法著 「日本を救うもう一つの中国包囲網」~アメリカと中国の新しい関係に備えて~ 2014.03.29 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆アメリカと中国における「通貨同盟」 アメリカ・ワシントン情勢に詳しい日高義樹氏の新著『アメリカの大変化を知らない日本人(PHP研究所)』第1章において「アメリカと中国の間に通貨同盟が成立した」と日本人にとって驚くべき事実が明らかになっております。 要するに、人民元が安いレートでドルとペッグされ、人民元がドルによって国際通貨としての価値を保証されたことで、天然資源等を海外から大量に輸入している中国にとって望ましい状況が到来したと言えます。 この背景には、巨額の財政赤字に苦しむアメリカの姿があり、ドルを基軸通貨として維持するために中国に対してとったぎりぎりの妥協策であったようです。 一方、ドルも人民元の持つ将来性によって保障されたことや、新しい予算削減法などによって急速に財政赤字が減ったことで、ドルは完全に復権し、景気の回復や株価及び債権の値上がりを呼び込み、アメリカにおいて新しい経済環境が出来つつあると日高氏は見ております。 ◆アメリカの極東外交における「複眼思考」 実質的な米中の通貨同盟の成立によって、「日米安保体制」VS「中国の覇権主義」という一面的な見方は出来なくなり、日本にとって大きな変化を迎えつつあることが予想されます。 また、こうした通貨同盟を背景に、中国は人民元安という状況を維持し、安い製品をアメリカや日本、東南アジアへと売り込める体制を手にしたことで、本来は「経済的中国包囲網」であったはずのTPP(環太平洋パートナーシップ)が有名無実化する恐れも出てきたともいえます。 もちろん、軍事的にはアメリカと中国は対峙関係にあり、現時点で日米安保体制を破棄するなどということは今までの日米関係から考え難いことではあります。 しかし、アメリカはこの極東情勢において「日本との軍事同盟」、そして「中国との通貨同盟」という複眼思考で臨みつつあることは確かです。 そして、現在のアメリカの経済状況からすれば、通貨同盟に力を入れざるを得ず、これからの情勢次第では日本の安全保障体制の舵取りは極めて難しくなってくると考えられます。 ◆中国の海洋進出によって脅かされる日本のエネルギー安全保障 現に、2015年から本格的に動き出す沖縄海兵隊のグアム移転、また在韓米軍も2015年12月には削減される見込みで、「アジア重視」を堅持する国防戦略を採りながらも、アメリカは極東から軍事力を引き始めることになります。 その際、安全保障上日本にとって最も大きな懸念としてまず生じるのは、中国海軍によるシーレーン封鎖によるエネルギー確保の問題であります。 日本は長年、原油の大半をシーレーンリスクを負う中東に依存してきた経緯があり、最近では輸入先の多様化により比率は下がっているものの、原発稼働ゼロの影響で中東への絶対的な依存度は高まっているといえます。 戦前の歴史を振り返っても、日本が石油の重要性を見抜けなかった一方、アメリカによる石油の対日禁輸、そして第2次大戦が始まってからは「タンカーを沈めることを潜水艦の最優先目標とせよ」という命令があったくらい、アメリカによって徹底的に石油の輸入を封じられ、エネルギー資源の軽視によって敗北したといっても過言ではありません。 今こそエネルギーの自活は国家存続の肝であるという前提に立ち、日本にとって唯一の自活できるエネルギー資源と言ってもよい原子力発電の再稼働を急ぎ、海外へのエネルギー依存度を減らすことです。 また、クリミア併合によってアメリカやEUから経済制裁を受けているロシアに対しても、欧米諸国との歩調を合わせつつも、近年関係を深めてきたロシアと資源分野での連携を更に強め、シーレーンリスクを負わないエネルギー確保を目指すべきです。 ◆日本が考えるべき「第二の中国包囲網」 またロシア同様、日本が更なる関係の深化を図るべき国の一つとしてインドが挙げられます。 昨年、日本の天皇皇后両陛下が53年ぶりとなるインドへの歴史的訪問を果たしたことは記憶に新しいですが、この10年のシン政権において、インドと日本は緊密な戦略的連携を築いてきました。 この背景にはアジアにおける両国の最大のライバルである中国が、経済的にも軍事的にも力を増してきた事実があり、特に海洋安全保障における協力体制の更なる深化が検討されています。 冒頭で紹介した「米中通貨同盟」の成立など、これからの国際社会はより複雑化する様相を呈しております。 日本外交も「複眼思考」を持ち、TPPによるアメリカ主導の「中国包囲網」とは一線を画した、日印露による「第2の中国包囲網」を機能させ、日本のエネルギー安保、海洋安保をより強化するべきです。 日本のマスコミを揺るがす消費増税について 2014.03.28 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆4月1日の消費増税が近づき、日本のマスコミでも特集開始 あと3日で消費増税が始まります。日本のマスコミもここに来て突如、特集を組んで増税後の具体的な値上がりについて報道するようになりました。 本来であれば、昨年の9月から10月にかけて、安倍総理が決断する時期に報道しなければならないはずです。しかし当時は、アベノミクスの影響として好況であり、増税やむなし、という論調でありました。 一方、海外のメディアでは昨年からすでに核心をついた報道が行われています。2013年9月13日のイギリスの経済紙「Financial Times」では、次の見出しで報道されました。 「安倍首相の戦略は1997年の消費増税の悪い記憶を思い出させる」 「消費増税により消費が減退し、最近の景気回復は止まってしまうのか」 (いずれも原文は英語) さらに2013年9月16日「International Herald Tribune」では、 「経済の専門家、増税計画が日本の経済成長を止めるのではと懸念」 「消費増税が個人消費の盛り上がりを潰してしまうのではないかと彼ら(専門家)は述べている」(いずれも原文は英語) との見出しで「安倍総理の増税の決断が最悪のタイミングであり、日本の景気回復の根幹を崩しかねない」と報じています。 海外では当たり前のように行われてきたこのような議論が、日本国内ではほとんどなされなかった事が残念です。 ◆家計支出の削減はどこから? 昨年10月、安倍総理が「消費増税」の決断をしてからもマスコミは相変わらず「アベノミクス」による経済成長に焦点を当ててきました。 残念ながら、景気は今年に入ってから、その勢いに陰りが出ており、日経平均株価も年初から比較すると下落の傾向性が止まらない状況です。 来週からは増税が始まるのですが、すでに消費景気の冷え込みが見え始めています。外食、自動販売機、切手等々、日常のあらゆる暮らしの中に増税が影響してきます。 今回の増税には「軽減項目」はないので、当然その中に「新聞紙」も入ります。 確認したところでは、大手新聞も、消費増税をきっかけとして値上げに踏み切ります。朝日新聞は、宅配の新聞に限り3,925円から4,037円へと110円の値上げとなるほか、中日新聞は、駅売りの販売価格を110円から130円へと20年ぶりの値上げとなります。 危機感を持っている消費者はすでに家計の防衛に入り、可能な支出の削減に入っているようですが、4月以降さらなる削減として、上記に掲げた新聞購読料も入る可能性があり、新聞社にとって経営危機が訪れようとしています。 新聞社自身が分かっているとおり、長期デフレ下の中での値上げということは販売上、極めて厳しいのです。 マスコミは本来、安倍総理が決断する前までに、経済に及ぼす影響をしっかりと伝えなければならなかったのです。それがこの時期、自らの身に及ぶことになりました。 ◆もう一つの動き「マイナンバー法」に要注意 また、消費増税に関連して、「マイナンバー法」の動向についても注目しなければなりません。 去る3月18日の日経新聞1面によると、政府は預金口座にマイナンバーの登録を義務付ける方向で銀行界との調整に入っています。 「脱税、マネーロンダリングを防止する」という大義名分はもっともに聞こえますが、財務省はこの他に、「国家が個人財産を管理する」ことも一つの目的として意図しているとも言え、注意が必要です。 これは、消費増税の隠された目的でもある「国家社会主義」への道にも大きく関係しています。このような動きが着々と進められていることについて、広範囲に報道されていませんが、注意深くしなければなりません。 ◆社会保障に使われる保障はない また、政府・自民党や民主党等は「増える社会保障費のために増税しなければならない」と主張していますが、現在の議論を見る限り、本当に消費増税分が社会保障費に充てられるかははっきりと決まっていません。 そうであれば、「福祉目的税」となるべきなのですが、増税分の支出について、はっきりと社会保障費として規定されているわけではないこともお伝えいたします。 ◆日銀は「2%成長」を忘れたのか 昨年は、日銀の「異次元緩和」なる金融緩和の結果、株価の上昇と消費景気の拡大、さらには2020年東京オリンピックの開催決定などの要素が重なり好況を感じさせる一年でありました。 その立役者であった黒田日銀総裁は、就任直後の意気込みは大変強く、実質GDP「2%成長」を掲げ、日本経済も活気を持つようになりました。 しかし昨年9月、消費増税の議論に関して、財務省寄りの発言を行ってからはやや存在感が薄くなり、そして、本当に2%成長を目指そうとしているのか、疑問に感じられるようになりました。 それに関連して、先日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で「現在の失業率3.7%は完全雇用に極めて近い」と発言し、日本経済が安定しているとの認識を示しました。しかし、特に地方においては、雇用は地域の最重要課題の一つとして取り上げられています。 数字以上の厳しい実態がある中で、日銀の考えが本当に実態に即しているものなのか、大きな疑問が残ります。 かつて民主党政権時代、まじめに「増税によって景気がよくなる」と言った首相がいました。 現在の日銀総裁について、まさか「増税によってGDP2%が達成できる」と考えてはいないとは思いますが、いずれにしても今後の日本経済について危機感が薄いことは事実です。 ◆鹿児島補選でも消費増税の是非が争点に この消費増税の是非については、来る4月15日告示の衆院鹿児島2区補選でも大きな争点となることは間違いありません。 消費増税施行後の初の国政選挙として、国民がどのような判断をするのか、この結果が注目されるところです。 幸福実現党は、今後も一貫して消費増税反対を掲げて、がんばってまいります! 着陸料などの公租公課の引き下げで、航空利用促進へ 2014.03.24 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆着陸料の引き下げへ 国土交通省は、2014年度から国内線において航空会社が支払う着陸料の算出において、新たな制度を導入します。これまでの着陸料は、着陸する航空機のトン数、騒音値と着陸回数を基本に計算され、その金額を航空会社に請求する仕組みでした。 例えば現行の基準の場合、ジャンボ機と呼ばれるB747-400(569人乗りの場合)では、約270t、騒音値96で着陸料は444,700円となります。(国土交通省『空港・航空管制の運営について』) こうした現行の着陸料では、旅客の少ないシーズンにおいて航空会社に対する負担が大きくなってしまうため、航空機の重量に応じて計算するこれまでの方式に加え、旅客数が減るほど着陸料が下がるような仕組みを取り入れることになったわけです。 シーズン要因に加え、景気悪化などによって旅客が減少した場合でも、それに応じて着陸料を減らすことができ、航空会社の負担を抑えられるようになります。 さらに本年1月には、国が管理する28の空港のうち、航空会社が支払う羽田空港を除いた地方都市に存在する各地方空港の着陸料を、新規就航や増便に限って3年間30~80%割り引く方針も決まりました。 航空会社の負担を軽減し地方路線の拡大につなげる狙いがあり、今秋のダイヤ改正に合わせて実施されることとなっています。 ただし、これは地元自治体と航空会社が効果的な集客策を提示することが条件となっているため、全ての空港が引き下げを認められるわけではありません。 とはいえ、従来の着陸料を考えれば大きな決定であり、路線増につながるものであると言えるのではないでしょうか。 ◆日本の着陸料 日本の空港における着陸料は、世界と比べても高水準にあると言われています。空港使用料の中に含まれる着陸料は、国際水準の2~3倍であるとされているためです。 もちろん、空港に着陸しその空港を使用する場合、着陸料だけではなく様々な費用がかかります。ボーディングブリッジ(飛行機と空港をつなぐ橋)の使用料など空港設備の利用料も含めたトータルの料金で比較した場合、日本よりも割高になる国が存在することも事実です。 しかし、高い着陸料は航空会社にとっての負担になるだけではなく、利用者の支払う金額にも関わることであり、競争力の面で見てもマイナス面が多く存在します。 そもそも着陸料や航空機燃料税なども含めた公租公課と呼ばれる租税は、利用者負担の原則によって行われています。この原則は、航空機の利用がまだ一部の富裕層に限られていた時代の名残といわれ、航空利用者のための設備費用は、利用者自身が拠出すべきであるとする考えに基づいているのです。 また空港は着陸料とテナント料を主な財源としており、特に滑走路などの国が管理している部分の維持には着陸料が使用されているため、引き下げが難しい面があるとも言われてきました。 ◆減税で日本の活性化へ 航空業界は、ハイシーズンとローシーズンの差が大きく、世界の様々な事件にも影響を受けるため、機体重量を基にした一律の税金というものは負担が大きいと言えます。 さらにはまもなく4月から消費税の増税が行われることもあり、さらに影響を受けることも考えられます。それを考えると今回の着陸料引き下げは当然行うべき措置であるとも言えるのです。 今後日本が航空利用者を増やし、また各国の航空会社の誘致を考えるにあたり、航空に関わる公租公課の引き下げを行っていく必要があると言えます。消費税率についても、利用者が減ってしまえば税収も下がることから、空港運営に影響が出かねません。 今後世界的にも需要増が見込まれる航空分野において、日本が国際競争力を失わず、さらに活性化していくためにも、公租公課及び消費税、法人税等の各種税金の引き下げを行っていくべきであると言えます。 東日本大地震から3年――被災地の復興事業と課題 連載第2回 2014.03.23 文/幸福実現党 総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《ゴーストタウンのまま放置されている福島の被災地》 先週に引き続き、東日本大震災から3年目の被災地の現状をご報告いたします。今回は、津波の被害に加えて、福島第一原発の事故が発生した福島県です。 津波で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島の三県の中で、福島県の復興の現状は、他の2県とはかなり違っています。 岩手、宮城県が文字通りの「震災(地震、津波)からの復興」であるのに対して、福島県はそうした震災に加えて、「原発事故からの復興」が大きな課題としてのしかかっているからです。 しかも、「目に見えない放射線への恐怖」と「政府や東京電力への不信」、そして「マスコミによる風評被害」など、原発事故による後遺症が深く、重く、県民と国民に浸透し、復興の流れを押し止めています。 3月10日、私たちは内陸部の福島市から伊達市、そして沿岸部の相馬市、そして放射線の被害が高かったとされる南相馬市、浪江町を車で視察しました。 ◆現在の避難指示区域 それぞれの地域の復興状況は、政府が定めた「避難指示区域」の線引きによって、全く違います。避難指示区域は、放射線レベルが高い地域から、三つに分けられています。 避難指示区域(平成26年4月1日時点) http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji (1)「帰還困難区域」:5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれのある、年間積算線量が50ミリシーベルトを超えている地域。 (2)「居住制限区域」:年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難の継続を求める地域。 (3』「避難指示解除準備区域」:年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実であることが確認された区域。 これらの地域の住人は全員、事故当時の民主党政権によって強制避難させられました。 現在も実に13万5000人もの人たちが、自宅には戻れず、仮設住宅などの避難生活を強いられています(その内4万8000人は県外に避難しています)。 そうした人たちは、自宅への宿泊は禁じられており、家の掃除や修理のために戻れる時間等も、それぞれ厳重に規制されています。 現地を車で走ると、その指定地域によって、風景や復興現状は一変します。 ◆相馬市と南相馬市 福島市、伊達市は避難指示区域外であり、内陸部のため津波の影響もなく、震災の傷跡はほとんどなく、いわゆる「風評被害」を除けば、市民生活は通常に戻っています。(これは今回紹介する「避難指示区域」以外は、福島県の全ての市町村に当てはまります。) 相馬市は、「避難指示区域」外であり、放射線ではなく、津波の被害が甚大だった地域です。津波で家を流された住民以外の市民は自宅で生活しているため、沿岸部の瓦礫撤去や町の整備もかなり進み、相馬港の食堂も営業を再開するなど、ようやく復興に向けた動きが見えてきています。 相馬市 http://www.mapion.co.jp/m/37.802546504690504_140.9193213223777_5/ ただ、原発の汚染水問題によって漁業の操業が禁じられており、たとえ再開しても「風評」によって販売の可能性が閉ざされていることなど、今も続く原発事故と放射線の影響が、地元の人たちの暮らしと仕事、産業の再生を阻んでいます。(この問題については、後日ご報告いたします) そして南相馬市は、南側の三分の一が、放射線の影響による「避難指示解除準備区」に指定されており、海岸沿いの津波の被害が大きかった地域です。 南相馬市 http://www.mapion.co.jp/m/37.6391277_140.9606861_5/ その一帯に入ると、町には住民の姿は全くなく、大部分の家は被災した当時のまま放置され、まさに「ゴーストタウン状態」です。田んぼや畑の瓦礫の処理は始まっていますが、津波に流された車が逆さまになったまま放置されている所も残っています。 要するに、住民の帰宅と居住が許されていない「避難指示区域」に指定されているため、最低限の瓦礫処理がなされただけで、全く復興は始まっていないのです。. http://yanai-hissho.hr-party.jp/files/2014/03/DSC_0141.jpg それは、浪江町や飯館村など、「避難指示区域」に指定された周辺の全ての市町村も同じです。 ◆居住困難地区 さらに南下して、福島第一原発のある双葉町まで近づくと、そこは「居住困難地区」に指定されているため、道路には車の通行を止めるゲート(検問所)が設置され、原発関係者や行政関係者以外、許可がなければ住人であっても、一般人は一切侵入できません。 つまり、政府の指定した三つの種類の広大な「避難指示区域」の中は、復興どころか、「人っ子ひとりいない、ゴーストタウン」のまま、三年間放置されてきたというのが、福島の被災地の現状なのです。 避難指示区域 http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/kinkyu.html#shiji 人がいなければ、復興が進むはずはありません。 それを妨げているのが、福島原発事故で発生した、「多くの人が被ばくし、現在も一帯を汚染し続けている」とされる“放射線汚染”の問題です。次回は、福島県の復興を止めている、放射線問題の現状と実態について、報告します。 <映像レポート> 3.11 復興のつち音~福島~ http://www.youtube.com/watch?v=iYJoQm2OuHo 消費不況の足音が聞こえる 2014.03.18 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆実質GDPの下方修正 3月10日、内閣府はGDP(国内総生産)の下方修正を発表しました。 2013年10~12月期の実質GDPの成長率に関し、2月に公表した速報値「前期比0.3%増、年率換算で1.0%増」を「前期比0.2%増、年率換算で0.7%増」に下方修正しました。 日本経済新聞「実質GDP下方修正」(3/10)は、「個人消費と設備投資が速報時の推計よりも少なかった。輸出の伸び悩みが目立ち、景気回復の持続には海外需要の持ち直しが焦点となる」としています。 2013年10~12月期の3ヶ月間を振り返りますと、この間円安が進み、日経平均株価は上がっています。(為替97.88円→105.36円、7.6%円安。株価14,455円→16,294円、12.7%株高) 「円安・株高」を原動力にして来たアベノミクスが、「円安・株高」が進む中で失速したという事を、果たして安倍総理はどう受け止めておられるのでしょうか。 安倍総理のブレーンである浜田宏一・米エール大名誉教授も10~12月の実質GDP成長率の2次速報値が前期比年率0.7%にとどまったことについて「アベノミクスが本当にはうまくいっていない、十分力強くないことの印だと言えるかもしれない」と述べました。(ブルームバーグ3/14) これらの動向は、本年1月24日に閣議決定された「平成26年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」(http://www5.cao.go.jp/keizai1/mitoshi/2014/0124mitoshi.pdf)のアベノミクス「三本の矢」による一体的な取組の政策効果から家計や企業のマインドが改善し、消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がっているという楽観的な見通しと齟齬をきたしているのではないでしょうか。 ◆野田前政権時代の水準をも下回った消費者心理 さらに日本経済新聞「2月の消費者態度指数2年5か月ぶり低水準」(3/12)によりますと消費マインドの落ち込みが予想以上であると次のように報道しています。 「内閣府が3/12日発表した2月の消費動向調査によると、消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比2.2ポイント低下の38.3と3カ月連続で悪化した。2011年9月(38.2)以来2年5カ月ぶりの低水準。(中略)4月の消費増税後に耐久消費財を買い控えようとする心理が働いたことなどが影響した可能性がある。」 2011年9月は、菅元総理が退陣し、第一次野田内閣が誕生した時期で、消費者態度指数が2011年9月以来の水準まで低下したということは、消費者心理が野田前政権時代の水準をも下回って来たということです。 「消費者心理」という点においては、「アベノミクス効果」は完全に剥げ落ちたということになります。(参考Japan was back. ~ 野田政権時代以下まで冷え込んだ消費者心理~ 近藤駿介氏) ◆アベノミクスの正念場 昨年10月に安倍晋三首相が消費税引き上げを決定した際に、日本経済は4%台のGDP成長率を記録していました。しかし、「景気が順調に回復している」という増税の前提は、今や見る影もありません。 このまま増税に突き進めば、新たな不況を招くと同時に、安倍政権が進めるアベノミクスも空中分解する恐れもでてまいりました。(「減速する日本経済 消費増税の根拠はすでに崩れている」The Liberty Web 3/15) 昨年夏、消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された70人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。 筑波大学名誉教授の宍戸駿太郎氏(計量経済学の専門家として日本最大のマクロ計量モデル「DEMIOS」の開発に携わった)は、数少ない反対者として昨年8月27日第2回集中点検会合に参加されました。 宍戸氏は、「消費増税は計量モデルの分析によればデフレを加速させますよ、日本経済がようやく回復し始めたのがまた元に戻りますよ」と増税反対を主張。 「アベノミクスは、第一楽章は素晴らしかったけれども、第二楽章で葬送行進曲のようなことになってしまって、第三楽章はもう収拾不能、世界の笑い者になるだろう」と昨年9月の段階で警鐘を鳴らされました。 (THE FACT http://www.youtube.com/watch?v=aby8vaXWAZY) あれからわずか半年足らずでその兆候が上述の如く表れてまいりました。 ◆消費税率は8%で凍結すべし! 幸福実現党は、2009年立党以来、選挙戦、あるいは政治活動を通して繰り返し消費増税は消費不況を起こすと訴え続けてまいりました。 8%への増税はもはや覆すことは不可能でありますが、なんとしても10%への増税は止めなければならないと考えております。今後とも、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。 人口増加に向けて世帯課税方式の導入を 2014.03.17 文責:HS政経塾二期生・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆世帯課税方式とは 今月6日付の日経新聞に「所得税 抜本改革を議論」と題し、世帯課税所得の導入議論に関する記事が掲載されました。 これは、子供の数が多い程、所得税が減税される税方式で、現在フランスが採用しており、少子化対策の一環としてすでに効果を発揮しています。(N分N乗税制) 具体的には、大人を1、第2子までは0.5、第3子以降は1として世帯の人数を算出し、その数で所得総額を割って課税所得を計算し、そこに所得税率をかけて所得税を決めるというものです。 例えば、年収が700万円の夫婦2人世帯と、子供2人の4人世帯の所得税を比べた場合、この方式を採用するとします。(計算簡略化のため各控除を考えないものとする) 夫婦2人世帯の場合は課税所得が350万円で20%の所得税率が適用され、所得税は70万円であるのに対し、4人家族の場合は課税所得が233万円で10%の所得税率が適用され、23万円弱となります。 さらに子供が3人いる5人世帯の場合だと、所得税は8万円台まで下がります。つまり「高収入・大家族ほど減税幅が大きくなる」のです。 ◆世帯構成の変化 一方、現在の日本の所得税の課税単位は「個人」ですが、家族への配慮として、配偶者控除や各扶養控除などの人的諸控除があります。(※民主党政権下の「控除から手当へ」という方針は現政権でも継続されており、15歳以下の扶養控除は廃止されています。) 特に配偶者控除は、専業主婦の「内助の功」に対する配慮であると言われてきましたが、現実には、専業主婦がパートで働くに際して、夫の扶養から外れないように年収を103万円以内に抑えるという、いわゆる「103万円の壁」があり、女性の働き方は制限されてきました。 2013年版男女共同参画白書によると、共働き世帯が1054万世帯に上るのに対して専業主婦世帯は787万世帯であり、97年に共働き世帯が逆転して以降、その差は開き続けています。 すでに共働き世帯の方がメジャーであるという現実を鑑みても、課税単位を家族に変えるべき時期にきているのではないでしょうか。 ◆世帯課税方式のメリット 本課税方式のメリットは、今までパートで働いていた専業主婦層が、年収の上限を気にすることなく稼げるようになり、世帯年収アップが見込めることです。 また、世帯年収が増えることで子供を増やそうという動機づけにもなるばかりか、世帯人数は多ければ多いほど減税されるので、親の面倒をみようという三世代同居への誘因にもなります。 さらに、生涯現役社会の構築により、シニアでも働いて稼げるようになれば、おじいさんの所得でトリプルインカムも実現できます。 そして、日中は、おばあさんが孫の面倒をみれば、現在、都市部で深刻な待機児童問題の解決にも資するかもしれません。 ◆本課税方式の導入が進まなかった理由 実は、本方式の導入については06年の少子化対策においても議論されていました。 しかしこのときは、課税単位を「個人」から「家族」へ変更するというドラスティックな改革について慎重な意見が多く、また、当時行った本税制の導入効果の試算では、1000万円以下の世帯ではほとんど変化がないか若干増税される場合もあるとのことで、本方式よりも扶養控除の金額を引き上げるほうが現実的ではないかという結論に落ち着きました。 しかし、現在では多くの世帯で適用税率が下がり、減税になる可能性が高いと指摘されています。 ◆国はもっとポジティブな発信を! いずれにせよ、安倍政権が本気で「女性の活躍」を応援しようとするのであれば、本税制の採用は重要度の高い政策項目だといえます。 その際には、政府は国民に対し、「結婚し、家族を増やし、収入を増やすことはいいことだ!」というポジティブなメッセージを発信し、今こそ、「少子化対策」という後ろ向きな姿勢から、「人口増加策」という積極的な政策手段へと舵を切るべきです。 参考文献:『これでいいのか少子化対策』岡田雅暢著 政府「移民で日本の人口1億人維持可能」本格議論への提言 2014.03.14 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本の人口「移民で1億人維持可能」 内閣府は、15年以降に移民を毎年20万人受け入れ、出生率も回復すれば100年後も人口は1億人超を保つことができるとの試算を示しました。 試算によれば何もしなければ、2110年には4286万人に人口は減少するため、移民が、働き手の減少や社会保障の負担増に直面する日本を救えるのか、政府は議論を本格化させるとのことです。 (2/25朝日「日本の人口『移民で1億人維持可能』 政府、本格議論へ」 ◆移民政策への提言 理想的には将来の社会保障の負担を解決できる人口増があればよいのです。しかし人口増が難しいとすれば、それに代わる政策が必要となります。その解決策として移民政策を考えようとしているわけです。 日本は、古来より、単一民族として営んできた国なので、移民の受け入れは、抵抗感があります。ですから単に、移民を受け入れればいいというものではありません。 (1)外国人に参政権を与えてはならない たとえば、外国人地方参政権の問題です。移民に安易に参政権を与えてしまった場合、特に中国人や韓国人を大量に移民として受け入れた場合には日本の政治が左右される事態になりかねません。 また移民を受け入れる国家、民族が偏らないようにバランスを考える必要があります。反日国家、犯罪の多い国より、親日国からの受け入れを増やすべきです。 (2)日本への忠誠と日本人としての教育 日本に住んでいても「日本国籍」を取っていない外国人もかなりいるので、永住権から日本の国籍を与える場合は、日本政府がしっかりと日本人としての自覚を持つ教育をする必要があるでしょう。 日本に忠誠を誓う仕組みが必要と考えます。日本の国益に害を及ぶすスパイ行為や犯罪者に対しては「国籍はく奪」「国外追放」の厳しい処置も必要です。 (3) 高度な技術を持った知識層を受け入れ また人手が不足している介護などの労働力としての移民受け入れだけではなく、高度な技術を持った技術者や知識者層の受け入れを考える必要もあります。これが出来れば日本の経済発展にもプラスになります。 (4) 世界の富裕層の日本移住 さらに税金を安くし世界から富裕層を受け入れることができれば税収も増えます。また世界の富裕層の日本移住は、国防面からも日本のプラスになります。 ◆人口は国力でもある 国家の強さは人口が大きなカギを握っています。たとえば国民一人ひとりの生産量が少なくても、人口が多ければ、国家としての総生産量は多くなります。それで経済力も増し、国防費などに使えるお金も増えます。それが現在の中国です。 米国の世界の警察の役割が低下、中国の世界覇権の野望が現実化している中で、世界の平和を維持するためには、道徳心、正義心の高い国家が世界のリーダーとなるべきです。 共産国家で人権弾圧にも罪を感じない中国に世界の覇権を渡すわけにはいきません。ですから米国と協力は必要ですが日本こそが世界のリーダーとなるべきです。そうした国家ビジョンを日本は持つべきです。 理想的には日本人の出世率があがり人口を増やすことができれば言うことはありません。しかし日本が移民を受け入れざるを得ないとすれば、できるだけマイナスを減らして、プラスを生み出していけるような舵取りが不可欠です。 すべてを表示する « Previous 1 … 15 16 17 18 19 … 33 Next »