Home/ その他の時事問題 その他の時事問題 雇用・労働分野に蔓延る岩盤を切り崩せ――努力する個人と企業に資する労働市場を 2014.01.25 文/HS政経塾第1期生 城取良太 ◆法人税削減に動き出した自民党政権 安倍首相が世界経済フォーラム(ダボス会議)の基調講演において、法人税改革に着手することを表明し、本格的に法人税減税へと舵を切り始めました。 現在、日本の法人税実効税率は35.64%(2013年)と国際社会(特に法人減税の流れが強いヨーロッパ、アジア諸国)と比較するとひときわ高い状況にあり、政府は国際水準といわれる中国、韓国並みの25%程度への引き下げを視野に入れております。 こうした法人税の減税に対して、財政規律志向の財務省は「税収減を招き、代替財源の確保が必要」「国内企業の7割が法人税を払っていない現状での税率引き下げは効果が大きくない」と主張しております。 正しくは「今までの法人税が高すぎたために、7割の企業は法人税を支払うことができなかった(あえて支払えなくした)」ことが事実であります。 海外からの直接投資や日系企業のマネー還流を促し、経済の要である「企業」を元気にするためにも、法人税減税は絶対に必要であります。 安倍政権は是非とも財務省と党内の抵抗に負けず、法人税減税を断固推進して頂きたいと思います。 ◆「岩盤中の岩盤」といえる雇用・労働分野の法規制 法人税減税と同時に、20日に行われた産業競争力会議において、成長の期待される医療、農業分野の規制緩和などを今後3年間で成長戦略を具体化する実行計画も決定し、特区制度を糸口としながら、関連法案を国会に提出するという道筋が見えてきました。 反面で、雇用・労働分野の規制緩和に関しては女性や外国人の就業環境整備などに焦点を当てるに留まり、踏み込みが弱い感は否めません。 確かに、働く女性を増やし、外国人の受け入れをすすめることは、潜在的な労働力人口の増加に繋がるため、少子高齢化が進むこれからの日本にとって必要不可欠なのは言うまでもありません。 しかし、企業に厳しすぎる解雇規定を若干緩和させる形としての「解雇の金銭解決(裁判で解雇の無効を勝ち取った労働者が、職場に戻る代わりに金銭を受け取る)」や、一部の専門職・管理職に関して、労働基準法で定められた労働時間規制を外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」といった「雇用と労働」の根幹に当たる法規制の緩和については、まだまだ反発が根強く、安倍政権も二の足を踏んでいる状況です。 実際に、雇用規制の緩和が議論に上ってきた昨年、厚生労働省は憲法が定める基本的人権を侵害する可能性があるとして断固抵抗した経緯もあり、雇用・労働分野こそ、文字通りの「岩盤中の岩盤」と言っても過言ではありません。 ◆日本の労働市場の現場から垣間見た2つの現実 私は20代の7年間、人材派遣・紹介事業といった人材・労働市場に身を置き、労働者保護の強すぎる日本の労働法や、社会保障制度が「企業にとって正規雇用を進める上で、いかに障壁となるか」を2つの点から垣間見て参りました。 第一に、企業にとって「厳しすぎる解雇基準」が企業の正社員雇用を潜在的に減らしているという現実です。 労働契約法第16条で定められている日本の解雇ルールのポイントは、「客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当でない場合には、権利濫用として無効となる」という点です。 例えば、能力が不足しているために解雇を行おうとすると、一般の正社員ではまず認められず、能力不足の原因は企業側の育成責任となり、その解雇は無効となってしまいます。 その結果、企業は正社員の採用には慎重になり、求人数は減少します。その代わりに、契約単位で弾力的に人員調整を行いやすい非正規雇用(アルバイト、派遣社員など)の需要が高くなるのです。 第二に、「高すぎる社会保障負担」が企業の正社員雇用を潜在的に減らしているという現実です。 企業は正社員を採用すると、基本的には社会保険への加入が義務付けられており、給与の約14%超を事業者の負担分として国に納めなくてはなりません。 2008年の統計では、経団連に参加する38の企業グループの従業員105万人、給与総額8兆1000億円に対し、社会保険の事業者負担額は実に1兆600億円にのぼります。 そうした高すぎる社会保険負担を嫌い、加入義務を負わないパートや派遣社員(派遣元で加入)などに周辺業務を委託し、正社員採用を最小限に控えるといった企業が数多くあったのが実務を通じての実感です。 ◆左翼陣営の大いなる矛盾を打破し、労働分野の岩盤を打ち崩せ こうした背景があって、派遣といった雇用形態へのニーズが双方から高まり、非正規雇用の比率が高まってきた歴史があるにもかかわらず、共産党や社民党を中心とした左翼勢力は「労働法制の死守」と共に、「非正規社員の正社員化」「派遣労働の拡大防止」などを並び立てています。 しかしながら、「企業軽視の現行労働法」と「正規雇用の増大」は絶対に両立しないというのが真実です。 左翼陣営は大いなる矛盾の上に美辞麗句を並び立てる前に、派遣やパートなどといった形態を通じて、自身のキャリアアップや生活の充実など、幸福を享受している人々が実際には少なからずいるという事実に目を向け、派遣を中心とした「非正規雇用=悪」という安易な枠組みから脱却すべきです。 その上で「正規雇用の拡大」を本気で進めたいならば、死守しようとしている現行の労働法体系を、労働契約法16条の解雇規定や労働基準法で定められた労働時間規制などを中心に、企業が正規雇用を進めやすい方向に規制緩和する必要があると認めるべきです。 是非とも、安倍政権におかれましては、現在議論が出ている雇用規制の緩和からしっかり前に進め、岩盤のような労働法体系を打ち崩して頂きたいと願います。 これからの日本の新しい経済的・社会的な発展には、自助努力する個人が報われて企業の成長に資するような、公平で柔軟性・多様性に富んだ労働市場の創設こそが、必要不可欠だと考えるからです。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第4回】 2014.01.24 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 ◆中国の海洋戦略の骨格 前回は、中国の建国以来の海洋戦略の流れの中で、2010年10月、尖閣諸島沖での「漁船衝突事件」が起きたというところまで述べました。この事件は、これから始まる侵略行動の「前哨戦」に過ぎないのです。 ここで、中国の海洋戦略の概略、骨格を見ておきます。2013年4月に海洋政策研究財団の川中敬一氏が発表した 『中国の海洋進出』(海洋政策研究財団)――「海洋をめぐる中国の戦略的構造」によれば、中国の海洋進出の戦略的な方向性と目標が見えてきます。 2013年段階で中国海軍は、「戦略目標」において、「第1列島線内制海権掌握」の時期であり、すでにDDG、AWACS、DD、FFなど、欧米に比肩する近代的な戦艦群が登場しているものの、それもまだ「開発段階」に過ぎません。 (注) DD――駆逐艦 DDG――艦対空ミサイルを搭載した駆逐艦 FF――対空・対潜・対水上などの兵装を備えたフリゲート(護衛艦) AWACS――空中目標をレーダーにより探知・分析して航空管制や指揮を執る早期警戒管制機 SSBN――潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した原子力潜水艦 SLBM――潜水艦発射弾道ミサイル この計画では中国海軍は、2030年から大型空母戦闘群を開発し、2040年代の「完成」を目指すとしていますが、それらの計画は、かなり前倒しされている可能性があります。 空母建造に関しては、ウクライナから購入した未完成の空母「ワリヤーグ」を改装して、2012年9月に「遼寧」として就航させています。 現在、国産空母を建造中とされ、2016年には2隻体制、2020年には、4隻の国産空母機動部隊を建造予定とも言われています。 ◆「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」 その過程で現在中国軍が実行している軍事戦略が、「接近阻止・領域拒否戦略(A2/AD Anti-Access/Area Denial)と呼ばれているものです。 その目的は、台湾や南シナ海、東シナ海で軍事行動を起こす際に、第1列島線は当然のこと、米軍を第2列島線内から排除し、その行動と関与を封じることです。 その主たる作戦目標は米空母で、具体的には、第1、第2列島線内への、大陸から発射される弾道ミサイルや航空機からの巡航ミサイル、原子力潜水艦、軍艦などによる攻撃が準備されています。 さらに、日米の主要作戦基地や作戦支援設備への直接攻撃も含まれていると見られています。 ◆日本の主要都市に照準が定められている「東風21」 A2/AD戦略の切り札として、中国軍が開発を進めているのが、中距離弾道ミサイル「東風21」(DF-21)を対艦誘導ミサイルに改良した、DF-21Dです。 「東風21」はすでに、核を搭載した多弾頭中距離弾道核ミサイルとして実戦配備されており、日本のほぼ全ての主要都市に照準が定められているとされています。 改良型のDF-21Dの射程は約1500~2000キロメートルで、第2列島線内(西太平洋)をその射程内に収めています。 中距離弾道ミサイルを移動する空母に命中させる技術は、欧米では未だ開発されていません。中国がもし開発に成功したならば、米国の空母機動部隊にとって、極めて大きな脅威となることは必須です。 このように、中国軍の日本に対する核心的な戦力は、戦闘機などの通常の戦力だけはなく、その背後に存在する、人民解放軍第二砲兵部隊と海軍、空軍の中距離(核)弾道ミサイル、そして長距離巡航ミサイルであることを、私たち日本人は知らなければなりません。 つまり、もし中国が日本と本格的な軍事衝突に突入する意思を固めた場合、中国は戦闘機や潜水艦、軍艦などの従来の兵器を使った戦闘よりも「(核兵器を含む)長距離射程ミサイルによる攻撃」によって日本を恫喝、または実際に攻撃する可能性が極めて高いのです。 しかも、中国はすでに数百~数千発もの核弾頭を有する「核大国」であり、すでに日本の全ての主要都市に対して、「東風21」を中心とした核弾頭を搭載した中距離弾道ミサイルの照準を定めているとされています。 中国の、こうした核弾道ミサイルを含めた長射程ミサイル群(中距離弾道ミサイルと長距離巡航ミサイル)こそ、北朝鮮の核ミサイルとは比較にならない、我が国が直面する最大の脅威であるのです。 そのことを日本人は自覚し、早急にそれらに対する防衛体制を構築し、有効な抑止力を持たなければなりません。 次回は、「日本の安全保障の要となるシーレーン防衛」についてお送りします。 (つづく) 日本の繁栄へ向け、それでも「ストップ!消費増税」を訴える! 2014.01.22 ◆「2014年の年末までに消費増税10%を決めたい」 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 昨年の日本経済は、日銀による大胆な金融緩和の影響で株価も年初の1万円から16,000円にまで上昇し、さらに2020年の東京五輪開催も決定したことで、好況への期待が高まりました。 このような状況で2014年を迎えることになりましたが、麻生財務大臣が1月8日の閣議後の記者会見において「消費増税を年末までに10%にすることを決めたい」という主旨を述べました。法律で定められているわけではありませんが、2015年の予算編成をおこなうために必要であるというわけです。 さらに、1月19日にNHKで放送された番組で、安倍総理も「消費増税の判断は、今年中に決断したい」との発言がありました。二人の発言を聞く限り、昨年同様、今年も10月から11月にかけてさらなる消費増税の可否について判断がなされるようです。 また、報道では安倍総理は、19日に開催された自民党大会で「企業の賃金上昇も主導する」と、かねてからの主張を改めて訴えています。 確かに一人一人の賃金が上昇することは望ましいのですが、幸福実現党としては本来、経済成長によって企業業績が良くなることで、賃金の上昇が行なわれることが望ましいと考えております。 そうした意味では皮肉なことに、民主党を破った自民党政権の下で社会主義化が進められているかのように見えます。 例えば、昨年、国民一人一人に番号を割り振って所得や納税実績、社会保障に関する個人情報を1つの番号で管理することを定めた法律「マイナンバー法」が成立しました。 一見、事務手続きが簡素化されるための法律に見えますが、やはりこれも国家が一人一人の資産を管理するための一つの道筋でもあるのです。 ◆なぜ増税にこだわるのか 財務省は、消費増税の理由として「持続的な社会保障制度の確立」を挙げています。 確かに統計を見る限りでは、消費税は「安定的、持続的」な税収で、税率3%の時には、約5兆円、5%になると約10兆円のレベルを維持しています。 一方、所得税や法人税は景気の影響を受けることが多く、1990年代以降、10兆円から20兆円の間を上下しています。景気がよいときはよいが、悪くなると見込みがなくなる、官僚はここに不安があるという事のようです。 しかし逆に「失われた20年」の間にも、それだけの税収があったと見ることは出来るはずで、なぜ、経済成長による税収増を考えないのでしょうか。アメリカは、この20年間で、GDPがおよそ倍増に近いレベルに達しています。 一方日本は、20年間ほぼゼロ成長。本来の日本経済の力を考えると、そろそろ「通常のレベル」に戻るべきで、政府が掲げている2%程度の目標は最低レベルと考えるべきです。 そうした意味で、昨年の好景気による税収増が、7兆円という事は注目すべきです。一方、2014年の消費増税による税収増は、5.1兆円といわれています。 この数字自体、1997年の消費増税の時のように、一気に消費が冷え込むことで不景気となり、達成できるかどうか、大きな疑問があります。 ◆誤ったデータによる消費税導入決定 特に、昨年の消費増税導入の際、決定的な指標と言われたGDP速報値「1.9%」について、昨年12月9日の報道によると、この数字が最終的に「1.1%」へ修正されたことが分かりました。 政府は「約2%」という数字を見て、消費増税を決めたはずなのですが、実際はおよそ半分の数字であったということで、あえて言うと「誤ったデータ」によって増税が決まっているのです。安倍総理は、今から消費増税撤回を主張しても遅くないのです。 日本の株式市場の動向は、昨年末に16,000円超えを果たしたものの、今年に入ってからは下落の傾向が続いています。 本来は、2020年の東京五輪が決まり、株価は上昇すべきところなのですが、やや反対の状況になっており、4月に消費増税が決まっていることの影響と見ることができます。 消費増税の影響がでると思われるのは、まずは中小企業です。中小企業は、激烈な競争の中で製品の価格を上げることができません。 また小売業においても、値段を据え置くか値上げになるか、いずれにしても今後、利益の減少を免れることはできず、大きな不安を抱えることになりました。 ◆日本の大繁栄に向けてGDP倍増を目指そう! 日本経済の潜在力を現実のものとするためには、「減税」や、「規制緩和」で企業の自由な経済活動を促す必要があります。 そして世界のリーダー国家になるために、2020年東京五輪のこの大成功を目指し、経済的な繁栄を実現するための政策を実行に移していくべきです。 年率2%以下の成長率でも7兆円の増収が見込める以上、それ以上の成長ができれば間違いなく消費増税以上の税収が見込めます。 今年は消費税の8%への増税が4月に施行され、10%への更なる税率アップへの判断がなされますが、文字通り日本の大繁栄への大きな試金石となる一年になります。幸福実現党は「ストップ!消費増税」に向けて、更なる活動を展開して参ります。 統治能力を問われている安倍首相 2014.01.21 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆有史以来の振興費を投入しても敗北した名護市長選 安倍首相は今後7年間、毎年、沖縄振興費3000億円以上の支給を約束し、仲井真知事をして「有史以来の予算」と言わしめ、名護市長選挙終盤戦においては石破幹事長により名護市基金として500億円の支給も公表しました。 こうした「有史以来」の大盤振る舞いにも関わらず、名護市長選は辺野古移設反対派が勝利しました。これにより、国の工事が本格化すれば、市長権限が関わるものもあり、移設作業が滞る恐れがでてまいりました。 実際、仲井真知事は、選挙後のインタビューで、「埋め立て申請はもう承認したので、私が今からどうこうはできない。移設に反対している稲嶺氏だと、おのずと、それなりに影響を受けると思う」と述べています。 ◆反対派の妨害を受けることのないL字案 仮に政府が実力行使に出た場合を想定しますと、 本土の応援部隊も参入して 成田闘争並みの広がりを見せる可能性があるとの指摘もあります。 このような観点から2005年当時、政府は反対派の妨害を受けることのないキャンプ・シュワブ(辺野古沿岸)の滑走路の設計案を検討していました。 それは、L字案と呼ばれ、反対派の妨害を受けることのないキャンプ・シュワブ基地内(立ち入り禁止)に建設する案でした。 当時の小泉首相も防衛庁もL字案しかないとして、2005年10月アメリカが、防衛庁のL字案を受け入れ「普天間移設、防衛庁案で決着」と報道されました。 しかし、当時の稲嶺知事と岸本名護市長が、日米合意L字案を拒否すると表明し、暗礁に乗り上げたのです。 ◆なぜか反対派の妨害を受けやすい浅瀬案を提案する沖縄政財界 日米決着のついたL字案に対し、沖縄の政財界のメンバーは、浅瀬案(ライト案)なら沖縄は呑むと説明に動きました。しかし浅瀬案は、反対派の妨害を避けることができない案でした。 そして2006 年4月。当時の島袋名護新市長は、前市長の意向を受け、政府案に反対を表明しました。 結局、その後の折衝で国と名護市で、V字案で最終基本合意がなされ、2006年5月、国と稲嶺県知事とV字案で確認書が取り交わされました。5月末、政府は確認に従い閣議決定したのです。 2006年11月、沖縄県知事選に仲井真氏が当選。仲井真知事は基地の沖縄県内移設を容認しましたが、政府V字案の修正を要求しました。 2007年、仲井真知事と末松名護市助役が合意V字案に関し、滑走路を沖合へ500M移動を希望しましたが、安倍総理は、知事に合意案を尊重してほしいと要望しました。 そして2009年民主党政権になると。鳩山由紀夫氏が、「県外移設」を訴え、全てが水泡に帰したのです。 ◆劣悪なリーダーシップ、ビジョンの欠如 これらの経緯を見る限り、沖縄の政財界は、日米合意を尊重する姿勢は残念ながらなかったと言わざるを得ません。 さらに一連の動きが、振興策のお金をもらい続け、軍用地主の利権も守るという巧妙な罠、ずるい戦術であったとことを知らなければならないと守屋元防衛事務次官は自著「『普天間』交渉秘録」で書いています。 沖合へ500m移動させるというような事は、いじわるであり、狡猾な罠であったと言っているのです。 守屋氏は、稲嶺知事に「あなたは7年間、何もしなかったじゃないか」と詰問すると「守屋さん、沖縄では大きな仕事は20年かかるんですよ。石垣空港もそうだったでしょう。あの時だってそれだけ年月がかかっても誰も困らなかった。今回はまだ7年です。たいしたことないじゃないですか」と答えたそうです (p.83) 関係者の狡猾なトラップ(わな)に政府が右往左往 し、翻弄され、結局、18年もの間、日米合意が何も進まなかったのです。 日本政府から「旭日重光章」を叙勲されているシンガポール政府高官が、日本を「図体のでかいデブの負け犬」と批評したといいます。日本の「愚かさ、劣悪なリーダーシップ、ビジョンの欠如」がASEANでの地位後退を招いたと指摘しています。 安倍首相の祖父である岸信介元首相は、先を見据え日本の国防を強化するため、左派の反対の中で「日米安保」を英断されました。 安倍首相におかれましても、日本の国防のため日米合意たる普天間基地・辺野古移設を一日でも早く実現すべく、御祖父より受け継がれた「統治能力」を発揮されますことを祈念いたします。 今年は名護市長選挙に続き、沖縄県知事選挙もあります。弊党におきましても立党当初より主張してきた「日米同盟堅持、米軍県内移設」は国防のカナメであるということを、今後も一貫して沖縄県民の皆様に、そして日本国民に訴えてまいります! 東京都知事選挙――オリンピックをきっかけに未来都市建設を目指せ! 2014.01.20 文/HS政経塾第2期生 曽我周作 ◆都知事選は「脱原発」を争点にして良いのか 1月19日に沖縄県名護市で名護市長選挙が行われ現職の稲嶺進氏が再選されました。この結果が普天間基地の辺野古への移設問題にどのような影響を及ぼすのか、または及ぼさないか非常に気になることです。 一方、1月23日から東京都知事選が始まります。今一部マスコミが「脱原発」を単独争点化しようとしています。 しかし明らかに国家としての根幹の問題である「安全保障」が名護市長選で、国家の経済を支える「エネルギー政策」が東京都知事選の地方選挙の結果に左右されかねない事自体がおかしいと思います。 小泉元首相とタッグを組み「脱原発」を掲げて都知事選出馬を表明した細川元首相は、「22日夕に記者会見を開き、具体的な政策を公表することになりました。 「脱原発については、『原発の再稼働を認めない』とする方針を固めた」 (1/18朝日http://www.asahi.com/articles/ASG1L4FDCG1LUTIL00S.html) と報道されていますが、細川氏は14日に都知事選への出馬を表明した際「原発の問題は国の存亡にかかわる」と発言し、小泉氏も「原発の問題で共感できる点がたくさんあった」として細川氏を支援する意向を表明しています。 ◆弊党が考える「国家の存亡にかかわる問題」の真の意味 確かに「原発の問題は国の存亡にかかわる」というのはその通りでしょう。我が党は大震災以降「原発は日本において必要である」との立場をとり続けたのも「今すぐに原発を全てやめて脱原発路線をとることは、我が国の存亡にかかわる」と判断したからです。 しかし、細川氏も「国の存亡にかかわる」問題に取り組むというのなら、都知事選ではなく国政選挙に出馬すべきです。 地方自治法の第1条の2に「国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動…その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として…」とあります。 つまり地方自治法では細川氏らの言う「国家の存亡にかかわる」問題は国が取り組むということが明記されており、細川氏、および支援する小泉氏は、「国家の存亡にかかわる問題」に取り組みたいのなら、ともに国政を目指すべきであることはあきらかです。 いくら「原発の再稼働を認めない」と言っても、そもそも原発立地場所ですらない東京都の知事にそのような権限は無いはずです。 ◆オリンピックをきっかけに未来都市建設を目指せ」 今のところ「脱原発」しか公約がはっきりしない細川氏においては、今「東京オリンピック」についても「安倍晋三首相が『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価が格段に違ったものになっていた」と発言したことが問題視されています。 もしそんなことを言えば、福島の風評被害を全世界に対して日本国政府がばら撒くことになり、とんでもないことです。 さらに「東京佐川急便からの1億円借り入れ問題の説明の仕方に苦慮しているとみられる」と言われています。 「佐川急便からの借入金問題について『昔の話であり、みそぎは済んだ』」 (1/16産経http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140116/stt14011621050004-n1.htm) この問題で首相を退き、いまだ説明が不十分であると言われているにも関わらず、徳洲会から5000万円を受け取った問題で辞職した猪瀬前知事の後任に立候補するということ自体に、違和感を感じます。 いずれにせよ、多くの日本国民が歓喜した2020年東京オリンピック開催に向けて東京都政を推し進め、オリンピックを大成功させようという情熱と、実務能力を伴った候補者が東京都知事に選ばれることを期待したいと思います。 私もHS政経塾での研究で「いかに東京都の都市開発を進めるか」を研究しているものとして、有意義な提言をし、輝く未来都市建設を目指し精進して参ります。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第3回】 2014.01.19 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 前回は、日本海に眠る海洋資源を紹介しました。今回の3回目は、その日本の資源を狙う中国について言及致します。 《中国の海軍戦略と海洋進出》 前回で触れた「宝の海」とも言える、我が国の海洋領域を強奪し、奪取しようとする国家が台頭しています。それが「海洋強国」を国家戦略として掲げ、海洋進出を始めた隣国、中国です。 ◆中国の帝国主義と海洋戦略 中国は、1978年の鄧小平による改革開放路線によって、それまでの社会主義経済を捨て、市場経済体制に移行しました。 その経済成長は目覚ましく、この20年にGDPの成長率は10%前後で伸び続け、GDPはすでに日本を抜いて世界第2位の経済大国になったことはすでに報道されているとおりです。 中国はその経済力をバックに、驚異的なスピードで軍事力を強大化させ続け、アジア最大の軍事大国へと変貌しました。その目的は、「大中華帝国の再興」であり、日本併呑まで視野に入れた、覇権国家の実現です。 2012年の共産党大会で、党総書記、中央軍事委員会主席に就任した習近平は、国家としての大方針として、「中華民族の偉大な復興」を打ち出しました。 「中華民族の偉大な復興」とは、「漢民族中心の国家建設」と「富強(富民強国)大国の建設」であり、中国共産党創設100周年に当たる2021年を中間目標とし、最終目標は中華人民共和国創建100周年に当たる2049年としています。 そうした「中華民族の偉大な復興」という“中国の夢”を実現するための国家戦略が「海洋強国」です。 同大会では、それを「海洋資源開発能力を向上させ、海洋経済を発展させ、海洋生態環境を保護し、国家海洋権益を断固として守り、海洋強国を建設する」と提起しています。 地政学的には「大陸国家」に分類され、1949年の建国以来、その拡大(侵略)の矛先を陸続きの隣国に向けてきた中国が、「海洋強国」として海に向け始めたのです。 その直接的な国家権益の拡大として目をつけているのが、中国の眼前に広がり、資源とエネルギー、そして食料の宝庫としての南シナ海、東シナ海、西太平洋なのです。 ◆中国の海洋戦略の沿革 中国の建国以来の海洋戦略の沿革を、財団法人・日本国際問題研究所の金田秀昭客員研究員は、三段階に分けています。 〔第1段階〕1949年の建国~60年代 1960年代の中ソ対立によって、対外貿易活動をソ連との陸運から西側諸国との海運に切り替える必要性が生じ、海運重視の道を選択。64年には国務院直属機関としての国家海洋局を創設し、海洋調査活動を活発化。 〔第2段階〕 1970年代~80年代 1974年、鄧小平が国連特別総会での演説で、中国を発展途上国と第3世界の盟主として位置付け、国連海洋法会議を意識した資源ナショナリズムを主張。 80年代には、人民解放軍の海軍司令員・劉華清が、台湾の武力統一と自国防衛、天然資源確保のための「第1列島防衛線」を設定し、日本列島と南西諸島、台湾、フィリピン、ボルネオを結ぶを絶対海上防衛線とする「近海防御」戦略を策定。 さらに鄧小平の改革・開放路線によって経済成長が現実化すると、成長維持のために、エネルギーと天然資源の確保の必要が生じ、外洋行動力を持った強大な海軍力の必要性を認識。 〔第3段階〕1991年の冷戦終結~現在 冷戦が終結し、旧ソ連との国境線沿いの膨大な軍事力が不要となったことで、国家資源を海軍力の増強に振り向けることが可能となりました。 国防費が連続して2桁(2010年のみ9.8%)の伸びを示す中で、その軍事力の力点を海軍に置き、近代的な原潜や通常潜水艦、駆逐艦、さらに米空母を主目標とする対艦弾道ミサイル、航空母艦の建造を推進。2007年には、胡錦濤主席が「遠海防衛」を提起。 そうした流れの中で、2010年10月、尖閣諸島沖での「漁船衝突事件」が起きました。しかし、この事件は、これから始まる侵略行動の「前哨戦」に過ぎません。 次回は、その中国の戦略について詳しく分析いたします。 (つづく) 沖縄名護市長選・東京都知事選――地方選挙で日本の未来は決められない! 2014.01.18 文/HS政経塾1期生 湊 侑子 ◆辺野古移設を行うことはできるのか 本日は、沖縄名護市の市長選投開票日です。 現職で共産、生活、社民、沖縄社大が推薦する稲嶺氏が先行、無所属で自民推薦の末松氏が追いかける形になっています。(1/17 産経新聞「稲嶺氏先行 末松氏が猛追」) 一般的にメディアにおいて「先行」という言葉が使われる場合、支持率が10%以上離れていることを指すようですので、辺野古基地への移設賛成派は、苦しい立場に立たされていることが分かります。 現職市長は、辺野古基地移設反対をアピール。陣営には、沖縄だけでなく県外から共産党関係者や基地移設反対の活動家が集まっています。 ◆左翼活動家の実体 彼らは、平日の朝6時から8時、普天間基地の前では通勤する海兵隊に向って、「MARINES OUT(海兵隊はでていけ!)」と罵声を浴びせています。 朝6時からメガホンや拡声器を使ったヘイトスピーチに住民も大変迷惑しており、「オスプレイよりも活動家の方がうるさい」いう苦情が出るのも当然です。 また、辺野古埋立予定地には基地移設に反対して不法に建てられたテントがあります。区民は全員の総意で撤去を願っており、テント撤去に関して署名活動も行いましたが叶わず、困っている状態です。 参考:TheFACT【沖縄・名護市長選】直撃取材!「民意」を名乗る反基地運動にダマされるな! http://www.youtube.com/watch?v=0e1fpmKbuV4 ◆沖縄は活動家の最後の聖地になっている 事実を報道せず、名護市民が全員辺野古移設に反対するかのような報道を行う既存のマスコミに名護市民も大変迷惑しています。 民主党政権時代、私も実際に現地に行き、テントにいる人に話を聞いたことがあります。 その頃、彼らは辺野古に“じゅごん”がいるという理由で移設反対を唱えていましたが、話を進めていくなかで、「結局じゅごんがいてもいなくてもいいんだよ、移設さえ阻止できればそれでいい」という回答を得ました。 沖縄の人が望んでいる平和や安全を願う純粋な気持ちを利用して、本土では実現できなかった反政府・反日運動を展開する左翼活動家に強い怒りを覚えざるを得ません。 ◆沖縄県名護市長選で、市民の民意は明らかになるのか 地元住民は、合併前の久志村の頃から、基地誘致運動を行っていました。基地移設を前提として、交付金も支給されていました。少なくとも辺野古周辺の住民の民意は明らかに無視しているといえます。 そもそも、普天間基地の辺野古移転については、1996年の日米首脳会議の折に合意がなされています。昨年末には沖縄県知事も、埋め立てを許可しています。県や国だけでなく、国家間で既に合意がなされているのです。 稲嶺市長は「駄目なものは駄目と日米両政府に見せつけよう」と基地移設を拒んでいます。 市長権限で辺野古移設を阻止する考えでありましょうが、これは自身の特定の意志に基づいた主観的な判断であり、職権乱用につながると判断されます。 民主党政権に取って代わられてから迷走を続けた普天間移設問題に終止符を打つために、自民党の安倍首相以下の政府高官は、名護市長選の結果に関わらず、政治生命をかけて移設を進める策を推し進めるべきであります。 ◆細川氏は東京都知事選にふさわしくない 現在76歳の細川護熙元首相は都知事選に立候補を表明しておりますが、公約発表を2度も延期したり、2020年の東京オリンピック辞退論を披露したりと、あまりの無責任ぶりに、立候補取りやめを示唆する声も出始めております。 自身がたった9か月で首相辞任をする原因となった1億円献金問題も、様々な矛盾が未だに解決しておらず、日本の首都を任せるに値する人物であるとは到底考えられません。 東京都民1300万人を超えて、日本国民の生命と未来を左右するエネルギー問題に関して、代替案を示すことなく「脱原発」の一点張りを主張することも理解に苦しみます。 晩節を汚すことなく、陶芸家として残りの人生を穏やかに過ごされることを望みます。 参考:The Fact 「殿、ご乱心!細川元首相が立候補すべきでなかった2つの理由」 ◆日本の未来は、地方選挙で決められない 稲嶺名護市長が反対する辺野古移設は、住民投票で決められるものではありません。沖縄の米軍基地は日本だけでなく、東アジアの防衛基地であり、中国・北朝鮮に対する安全保障の要です。 同様に、エネルギー政策も地方自治が扱うべきものではありません。日本の方向性を決めるのは、国会議員であり、最後は首相です。 各地域の住民の皆さまが正しい判断を下されることを祈りつつも、首相は強い決意のもと、国益を増進させる方向に日本を導いていかねばなりません。 私たち幸福実現党も、精進を積み重ねてゆきたいと思います。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第2回】 2014.01.17 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《日本海域に眠る莫大な海洋資源》 前回、総論として、日本は「国連海洋法条約」の成立によって、広大な海域を持つ「海洋大国」としての権益を手にしたことを明らかにしました。今回の2回目は、日本海などに眠る海洋資源を詳しく紹介します。 ◆尖閣諸島周辺の海底油田 この日本の領海及び排他的経済水域内には、海底油田などの膨大な天然資源が存在しています。よく知られているのが、尖閣諸島周辺の海底油田の存在の可能性です。 1969年に国連アジア極東経済委員会は、沖縄県の尖閣諸島近海の海底に、膨大な石油が埋蔵されている可能性を報告しました。その推定埋蔵量はイラクやクエートの石油埋蔵量に匹敵する約1000億バレルを超えると試算されています。 現在の原油価格の1バレルで100ドル前後で計算すれば、埋蔵量は10兆ドル分、現在の1ドル100円換算では1000兆円となります。 また、東シナ海の中国や韓国の延長線上の大陸棚にも、サウジアラビアの10倍近い天然ガスと石油が埋蔵されているという報告もあります。 ◆海底に眠る「第四のエネルギー」と「鉱物資源」 近年は、「人類の第四のエネルギー」といわれるメタンハイドレート、レアメタルやレアアースなどの希少資源の宝庫である「海底熱水鉱床」や「コバルト・リッチ・クラスト」、「レアアース資源泥」の発見が相次ぎ、脚光を浴びています。 メタンハイドレートとは、主成分が天然ガスと同じメタンであり、海底の圧力と冷温によって氷状になったものです。日本近海には世界有数のメタンハイドレートが埋蔵され、四国、九州、西日本地方の南側の南海トラフ、北海道周辺と新潟県沖、南西諸島沖などに存在しています。 通商産業省の試算によると、メタンハイドレートは日本の排他的経済水域や大陸棚の海底には約7兆3500億立方メートル、日本の天然ガス使用量の約100年分のメタンハイドレートが存在するといいます。 メタンハイドレートは、燃焼によって生じる二酸化炭素が、石炭や石油、天然ガスと比較して少なく、環境に負担が少ない第四のエネルギーとして注目を集めています。 現在、日本においては2001年に設立された官民学共同の「メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム」(通称:MH21) が中心となって、メタンハイドレートの調査、発掘技術の開発が進められています。 ◆漁業資源の宝庫 さらに日本の周辺水域が含まれる太平洋北西部の海域は、「世界三大漁場」の一つであり、世界の漁業生産量の2割を占める約2000万トンが漁獲されている極めて豊かな海です。 水産庁によると、特に日本の排他的経済水域内の海域は、世界の海の中でも生物の多様性が極めて高い漁業資源の宝庫です。 現在、日本の漁業は、漁獲量の減少、漁業従事者の高齢化と後継者不足、消費者の魚離れ等で“衰退”が指摘されて久しくなります。 しかし、ノルウェーやニュージーランド、アイスランドなどでは、徹底した資源管理が行われており、その結果、漁獲高が増え、持続可能で生産性の高い漁業が実現しています。 三重大学生物資源学部の勝川俊雄准教授は、「魚や貝などの生物資源は、子を産んで再生産するので、十分な親魚を残しておけば、半永久的に利用できる」「(日本がノルウェーなどのように)国がやるべき漁獲規制をすれば、日本の漁業は必ず復活する。」と断言しています。 ※『惨憺たる日本の漁業 実は先進国では成長産業』 勝川俊雄 三重大学生物資源学部准教授 WEDGEInfinity(2013年8月19日) 今後世界は人口100億人時代に向けて、いよいよ食料問題が本格化していくでしょう。しかし世界有数の豊かな漁業資源を誇る海を日本は持っています。戦略的に活用し、育むことで、国内の食料を賄うだけでなく、海外に輸出する新産業へと発展させることも、十分可能であると言えます。 次回3回目は、その日本の資源を狙う中国について言及します。 デフレ脱却のために、金融庁改革を! 2014.01.16 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆IMFのラガルド専務理事がデフレに警鐘 国際通貨基金のラガルド専務理事が、15日、ワシントン市内で開かれた講演で、「各国でデフレの恐れが強まっている」、先進国でデフレが現実となれば、「景気回復は破滅的な打撃を受ける」として各国に警鐘を鳴らしました。 各国のインフレ率を見ると、アメリカが1.2%、日本1.2%、イギリス1.7%、ドイツ0.4%(各国とも対前年比消費者物価指数)と、2%を切っています。 デフレが実現することを警戒したラガルド専務理事は、各国の中央銀行に金融緩和を求めました。日本に対しても、「消費税増税のマイナス効果を相殺するため、一時的に財政政策が有効である」と指摘しています。 ◆「ブタ積み」が続けば、デフレからは脱却できない 日本においては、昨年3月20日に日銀総裁に就任した黒田東彦総裁が2%のインフレ率を達成するため強力な金融緩和が進められてきました。 その結果、日銀当座預金残高は2013年4月の54兆円から急激に増え、9月には100兆円を突破しています。 日銀当座預金とは、民間の金融機関が日本銀行に開設している当座預金のことです。 民間の金融機関と日銀はこの口座を使って金融取引を行っています。日銀当座預金が増加しているということは、日本銀行から民間の金融機関に流れるお金が増えているということになります。 通常は、銀行に多くの資金が流れれば、銀行から企業への融資が増え、企業が新しい機械を発注したり、新規にお店を開いたり、企業の投資が増えることによって、需要が増え、インフレが起きます。 しかし、実際に日本で何が起こっているかというと、銀行から民間企業への融資は逆に0.35%減少しています。 つまり、日銀から銀行まではお金が流れているのに、そのお金が銀行から民間企業、さらに働いている人のもとへ回ってくることなく、銀行にたまっているのです。 このように、銀行に日銀からのお金がたまっていく状態を業界用語で「ブタ積み」と呼びます。「ブタ積み」が起きているということは、金融緩和の効果が金融機関の間だけにとどまり、家計や企業といった末端にまで、波及していないことを意味します。 つまり、銀行から企業にお金が流れなければ、需要が増えることはなく、デフレからの脱却は実現できません。 ◆企業への融資を制限している金融庁 それでは何故、銀行は企業に対する融資を増やさないのでしょうか。 銀行の貸し渋りにあった企業が、経営努力によって資金をためて、銀行からお金を借りないようにしている、ということも一部あるかもしれませんが、企業家の方々から話を聞くと、原因は別にありそうです。 それは、銀行を監督する金融庁からの指令です。金融庁は、金融取引の安定化、預金者や個人投資家の財産の保護といったことを目的としていますが、不良債権を生んではいけないという危機感から、資金力のない企業に対する融資を締め付けているという指摘があります。 そのため、資金力のある企業には断っても融資が持ちかけられ、資金力はなくとも将来性のある企業に対しては融資が行われないという状況を生んでいると言われています。 ◆デフレ脱却には、金融庁の改革が必要 フランク・ナイトは、「利益が発生する事業には、多くの企業が参入してくる。そのため、利益を出すには、不確実な事業に挑戦していく以外、方法はない」ということを明らかにしました。 リスクをおかさなければ、利益を上げることはできません。銀行の仕事は、不確実な事業であっても、その中から利益を生む事業を見つけ出し、投資することです。 預金者の保護は重要ですが、借り手の資金力を見て融資をするのではなく、事業計画と経営実績を見て、銀行が融資を行えるように、金融庁の指導を変更する必要があります。 デフレ脱却を実現するために、日本から新しいビジネスを創造していくためにも、利益を生む事業を見つけ出し、勇気をもって投資することが必要です。そのためには、ボトルネックになっている金融庁のマインド改革が必要であるのです。 細川元総理に「“脱原発”で五輪が成功するのか」を問う 2014.01.15 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆なぜ「脱原発」が争点になるのか 猪瀬知事の辞任に伴い、1月23日に東京都知事選挙が告示されます。告示日が近づいている中、細川護煕元首相が立候補を表明しました。安倍氏のように、元総理として再び政治の世界に向けての意欲が高まったのでしょうか。 元々、首相及び熊本県知事を勤めていた細川氏が急に出馬表明した、ということで、「なぜ、この時期に東京都知事に出馬?」と疑問に思う方もいることでしょう。 このこと自体は、「生涯現役社会」を目指している幸福実現党として否定するわけではありませんが、今回特に訴えたいことは、細川氏が「脱原発」を知事選挙の公約の柱としていることです。 確かに、実際に原子力発電所が立地している県の知事選挙で「脱原発」が争点になってきましたがそれは、原子力災害対策特別措置法などにより、知事の判断で原発再稼動の是非が判断されることがあるからです。 東京都は世界最大級の電力消費地でありますが、火力発電所などは所在するものの、知事の判断によって全国各地の原発が再稼動することも、停止することもありません。 選挙の争点とすること自体は否定いたしませんが、都知事としてならば、他に議論すべきことがたくさんあるはずです。 まず第一に、2020年の東京五輪についての見解を明確にするべきでありましょう。その他、世界的な大都市として東京のグランドデザインについて、どのようにお考えなのか、ぜひ聞かせていただきたいものです。 ◆不可解な小泉氏の細川支持 また、細川支援を表明した小泉元総理についても、都知事選の争点として「原発推進VS脱原発」という分かりやすい構図にしようとしており、かつての郵政選挙を彷彿させるような動きをしています。 言うまでもなく小泉氏は、自民党出身の元総理であり、本来は自民党支援の候補者を応援すべきなのですが、なぜ細川氏支援なのでしょうか。 細川、小泉両氏には「脱原発」を標榜するなら、原発所在地の知事になるか、再度の国政選挙への出馬をお勧めするものです。 ◆日本の原子力発電は世界最高水準 幸福実現党は、2011年の原発事故以来、原発再稼動を訴えております。東日本大震災での原発事故をきっかけにして、放射線の健康被害など、不安をあおる報道がつづいておりますが、先週のニュースファイルでもお伝えしましたとおり福島での放射線の状況は安全です。 原発そのものは停止装置が起動し、無事に停止しています。事故は非常用の電源が水没したことで原子炉の冷却装置が動かなくなったために発生したものです。 国連や、世界各国では今回の事故を詳細に調査しその結果、国内での報道とは逆に日本の原発は世界最高水準であると理解されています。その証拠にトルコやベトナムは日本の原発購入を進めています。 また、一つの論点として小泉純一郎氏は、日本には「放射性廃棄物の再処理施設」がない、と言及していますが、福井県で進められている「もんじゅ」という高速増殖炉がまさにそれにあたるものと考えられます。 この施設は、核燃料のリサイクルを実現するもので小泉氏は、本来「もんじゅ」試験運転の再開を主張すべきなのです。残念なことに事故が重なり「もんじゅ」は現在、試験運転の停止状態が続いていますが、実際に世界には施設の実用化を強く願っている国も数多くあります。 ◆消費増税開始により日本経済にも「忍耐の時期」か 日本経済は、アベノミクスの影響で株高が続いていましたが、2014年に入り、雲行きが怪しく、大発会で400円近く値下がりして以来、ズルズルと下落の傾向が出ています。 これも4月に消費増税が施行され、日本の景気が「忍耐の時期」に入ることを暗示しているかのようです。 幸福実現党は、この消費増税については反対の立場を明らかにしていますが、「脱原発」という主張が、国政に影響を与えるようになれば、これは日本経済の衰退につながる可能性もあり、決して認めてはいけないのです。 これまでも訴えてまいりましたが、安定した供給量、安いコストからも原子力発電は、経済発展に欠かせないものです。現在は、化石燃料を中心とした発電に頼っていますが、今後の更なる繁栄を考えると、原発再稼動は必要です。 そして2020年の東京五輪を大成功させるために、インフラ整備などに必要な電力需要を考えると、原発がなければどのようなエネルギー計画をお考えなのか、ぜひ細川元総理に伺いたいと思います。 ◆東京五輪は日本の大繁栄への一里塚 幸福実現党は、長期的な国家目標として、世界のリーダーになることを標榜しています。そして、経済成長も同様に世界第1位を目指しています。 そうした中で、2020年の東京五輪を大成功させるためには、大規模な電力需要が発生します。この需要をまかなうためには、現在、ギリギリでとどまっている電力供給量では、対応が不可能です。 以上の通り、元総理というキャリアを持ちながら都知事選挙で「脱原発」を訴える細川氏、小泉氏は都民だけでなく国民全体に対して、無責任であるといえます。 やはり東京都知事には「五輪大成功」に向けての意気込みを主に公約として表明している方がふさわしいと提案します。 すべてを表示する « Previous 1 … 41 42 43 44 45 … 64 Next »