Home/ その他の時事問題 その他の時事問題 家族福祉としての消費減税――少子化対策 2015.05.06 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆我が国の子供の数 総務省が5日の「こどもの日」にあわせて発表した「我が国のこどもの数」によると、15歳未満の子供の今年4月1日現在の人口は、昨年より16万人少ない1.617万人で、34年連続の減少で、過去最少を更新しました。 また、子供の人口の割合は12.7%であるのに対し、65歳以上人口の割合は26.4%であり、高齢者人口に比べ、子供の人口の割合が半分以下であり、少子高齢化がより進行していることがわります。 ◆「子育て支援」から「結婚支援」へ ではどうしたら、この人口減少に歯止めをかけることができるのでしょうか。今までの政府の少子化対策の中心は「子育て支援」であり、「結婚支援」ではありませんでした。 このことについて、「婚活」(就職活動ならぬ結婚活動の略称)という言葉の生みの親、家族社会学者の山田昌弘氏は、著書『婚活時代』のあとがきのなかで、以下のように述べています。 「少子化の直接の要因が「未婚化」、つまり、結婚する人の減少にあるのにもかかわらず、少子化対策として打ち出されるものは、子育て支援(保育所整備や育児休業導入や児童手当)なのです。」 政府の少子化対策の力点は、結婚支援策という本丸ではなく、「仕事と子育ての両立支援」という側面支援に置かれてきたことは否めません。 ただようやく、政府も近年、少子化対策交付金を確保し、各自治体における結婚支援を後押しするようになってきました。 例えば、広島県では職場に狙いを定めて企業内婚活サポーター制度を始めています。 これは、企業の推薦者に結婚支援とセクハラ・パワハラのボーダーラインについて注意を促す内容の研修を施し、社内婚活のサポートを行うというものです。 そのほか、大分県のある自治体では婚活サポーター制度を導入し、サポーターが成婚まで導くと一組あたり10万円の成功報酬を支給し、さらに市外居住者を結婚させ、市内に移住させたら一人につき5万円を加算するなど、各自治体もあの手この手で結婚支援に乗り出し始めています。 ◆少子化問題の本質 しかし、少子化問題の本質は、未婚・晩婚化であり、その背景には不安定雇用という経済的理由が存在します。 内閣府「少子化社会対策白書」(2014年版)によると、理想の子供数を持たない理由として、「子育てにお金がかかりすぎるから」が多くなっています。 自らの選択で結婚しないという人が増えているというわけではなく、実際は低収入や雇用が不安定なために結婚できない人が増加しているというのが現実です。 総務省の就業構造基本調査(2012年)によると、非正規労働者は5年前に比べて153万増の2043万人となり、雇用者全体に占める割合では38.2%にも上っています。 また、先の「少子化社会対策白書」によると、2013年の30〜34歳の正規労働者の57.1%は結婚できていても、非正規になるとその半分も結婚できていないという実態も明らかとなりました。 ◆若者に雇用を その意味では、経済政策としてだけではなく、若者の結婚支援策としても、雇用の安定化が極めて重要な課題といえます。 本丸は、非正規雇用の増大に歯止めをかけ、正社員化の流れをつくることですが、しかし、だからといって、政府が企業の労使問題に口をはさみ、賃上げ要求などすべきではありません。 なぜなら、政府の要請に従って賃上げするには、企業は正規雇用の数を減らして、非正規を増やして対応するしかなくなります。 つまり、デフレ脱却を焦って企業に賃上げ要求をすると、かえって非正規雇用が増えて、また不安定な若者が増大し、結婚できない人がさらに増えるという、負のスパイラルに陥ることになるからです。 ◆ボトルネックは何か 結婚支援、子育て支援の拡充策もさることながら、まず政府がやるべきは、企業が正規雇用を増やすことができない「ボトルネック」をこそ解消することです。 そのボトルネックとは何でしょうか。 それは、2017年にやってくる2度目の消費増税です。3月31日、15年度税制改正関連法が参院本会議で可決、成立しましたが、15年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを1年半先送りし、17年4月とすることが確定してしまいました。 しかも、今回は、「景気条項」は削除されました。つまり、17年4月の段階で景気が悪化していても容赦なく、問答無用で増税されるのです。 今から約2年後に待ち受ける増税という確定事項に、企業は「備え」ざるを得ません。 増税によってさらにお客さんが減る、売上が減ることが予測されるわけですから、設備投資や求人を易々と増やすことなどできません。その結果、このままいけば、未婚化はさらに進むでしょう。 逆に、消費減税の効果は、実質可処分所得の増加、消費の拡大、企業の売上増加、給与アップというサイクルを生み出し、好景気に向かっていきます。 そして、非正規社員が正規社員へと移行する道も開け、結果として結婚に踏み出せる若者も増えるはずです。 ◆家族福祉としての減税政策 幸福実現党は、その対策の一つとして、デフレ加速策にして、少子化進行政策である、まさしく「百害あって一利なし」の消費増税法の廃止と、まずは5%への減税を強く訴えていきます。 今後とも「家族福祉」という側面から、減税政策の必要性を広く啓蒙してまいります。 (詳しくは『減税』大川裕太著をご参照ください。) ※『幸福実現党テーマ別政策集 2 「減税」』/大川裕太(著) 幸福実現党 http://www.irhpress.co.jp/irhpress/news/21448/ 地方創生ビジョン 2015.04.17 文/幸福実現党・埼玉県本部副代表 佐々木 まさこ ◆地方選真っ只中 只今統一地方選真っ只中です。4月12日には10都道府県知事選、41道府県議選、17政令市議選を皮切りに前半戦の投開票がありました. 全国的に自民党が圧勝しているという報道がありましたが、投票率は低く、地方政治に対しても、民意として期待感は薄いという感じがありました。 無投票の選挙区が多いのも今回の特徴です。私の住む埼玉県さいたま市北区も県議選、市議選共に無投票で、せっかくの選挙権を使わずに終りました。 全体の印象としては現職優位。新規参入は政治の世界こそ困難を極めています。 ◆地方創生について さて、今回の地方選を機に、地方創生について考えてみました。 去年7月内閣官房に地方創生本部として「まち・ひと・しごと創生本部」準備室が発足しました。地方の人口減少問題解決や地域活性化のビジョンを策定するためです。 政府は「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」という目標をかかげ、5年間の具体的施策をイメージし、地方は都道府県中心にそれぞれのビジョンをまとめます。 また、地方創生本部の基本方針として、 (1) 若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現。 (2) 「東京一極集中」の歯止め。 (3) 地域の特性に即した地域課題の解決。 などを盛り込んでいます。 ユートピア建設も家庭の幸福が基礎であるように、基本となる地方の安定した発展があってこその国家運営です。 ◆地方の過疎化と活力低迷の解決策 地方の過疎化と活力低迷の解決策として、次の3つの施策を提言します。 (1)『交通革命』と『新産業革命』を合体 経済効果の鍵は、速度をはやめること。物流の回転を速くすることです。 リニア新幹線や高速道路の整備で、人や物流がスピーディに往来できるよになることがまず必要です。しかしその先に町おこし的産業計画がないと人は定着しません。 地方に産業を興し、人を集める計画と、リニア新幹線を通すなどの交通革命を合体させて初めて相乗効果が増します。地方に優良企業があれば、優秀な若者、人材が戻ってきます。 企業や工場、学校の誘致を積極的に進めるべきです。この時に、町役場や市役所が推進するのではなく、心ある企業家が地方創生の聖なるミッションを持ち企業できれば、その地域特有の創造的産業が生まれます。 さらに大胆な企業誘致の推進するために、一定期間の法人税の優遇なども必要かもしれません。地方独自でベンチャー企業を育てることも可能です。北陸新幹線や北海道新幹線は、地域経済の弾みとなるでしょう。 (2)地域振興と「教育」の結びつきを強化 地域人材の確保として、若者に魅力的な町づくりが必要です。その地域特有の産業の振興に必要な教育機関の創設などは、更に効果的な町おこしとなります。 普通教育、総合教育というより、その産業や仕事に奉仕できるタイプの学校、専門学校や単科大学などは、地域に即した教育システムとして、ベンチャー企業とタイアップできます。 その地域でベンチャー企業群を育てる教育機関として相乗効果のある地方活性システムができるでしょう。 就職率100パーセントを誇る秋田県の国際教養大学は、英語ができるグローバル人材養成で有名となりましたが、地域創生にも一役買っていると思われます。 今年4月千葉県長生村に開校したハッピイ・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)は、将来国際的に多方面で活躍する人材を輩出する大学として大いに期待され、長生村からも地域創生の要として歓迎されています。 (3)資本主義の精神の見直し すべての基は心の在り方です。日本の資本主義の原点ともいえる二宮尊徳は、藩の赤字を次々と黒字化させ、多くの雇用も創りだしました。資本主義は、勤勉さと創意工夫が原点です。 アベノミクスは、増税路線でバラマキ傾向にありますが、大きな政府を頼っての税金頼りは、地域振興に最も必要な意欲、工夫、解決力、判断力といったものを失ってしまします。あくまでも自助努力の精神で、創造する力が大切です。 また道州制など、地方分権の落とし穴を見抜かなければいけません。 大阪都構想など道州制に意欲的な背景には、消費税の地方税化を期待する傾向がありますが、道州制は、結局行政の組織・人員の肥大化を招き、コストの増大をもたらす危険があります。 あくまで政府機関は、必要以上に大きくすべきではなく、小さな政府と企業家精神こそが民間の活性化につながります。 また今の様に防衛・外交に懸念ある時代には、道州制によって防衛の手足を縛られる危険があります。現沖縄県の様に、一県が国の防衛を左右するケースがさらに起きてくるかもしれません。その点注意が必要です。 以上、地方創生について簡単に述べましたが、来る4月26日は統一地方選の後半選挙が行われます。われら幸福実現党からも、40人以上の公認候補者、推薦候補者が出馬する予定です。 この方々が必ず、地方創生の立役者として大いにご活躍するものと信じています。必ず大勝利致しますように祈ってやみません。 【参考】 『富国創造論――公開霊言 二宮尊徳・渋沢栄一・上杉鷹山』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=86 『政治の理想について』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=112 『「地方創生」の背景と論点』 毎日新聞論説委員 人羅格論考 まだ見ぬ若者の力を政治に反映し、発展する日本をつくろう! 2015.04.06 文/HS政経塾 第5期生 表 奈就子(おもて なつこ) ◆高校生も政治参加できる! 選挙の投票権を持つ年齢を、現在の20歳以上から18歳以上へ引き下げる公職選挙法改正案が、今国会で成立する見込みです。 早ければ来年2016年夏に予定されている参院選から、良識の府の一員にふさわしいのは誰か、18歳なら高校生でも一票を投じることになります。 これによって、日本の若者が政治に参加する間口が広がると考えられます。世界的には、18歳から選挙権を与えられる国は実に9割の国や地域におよびます。 ◆18歳選挙権で危惧される問題点と期待 しかし、日本の若者の政治参加の現状はとても厳しいものです。昨年12月に行われた衆院選における20代の投票率は、年代別でもっとも低い32.58%でした。 この現状を改善しなければ、選挙権を18歳に引き下げても投票率は低いまま、ということになりかねません。 少子高齢化や年金制度の問題、個人消費の伸び悩みなど、乗り越えるべき課題は山積みですが、若者の感覚を取り入れること、実際に若者が求めることは何かを知ることによって、今までとは違う視点の解決法も出てくるのではないでしょうか。 だからこそ、若者の政治参加を歓迎するべきだと考えます。 ◆なぜ若者は政治参加しないのか? 政治活動をしているとき、ある若者から「未成年のときには『未成年を政治にかかわらせてはいけない』と締め出されるのに、20歳になったら手のひらを反して『若者が政治に関心を示さない』と言われるのは心外だ」という声を聞きました。 このような、若者の政治参加への動機付けがうまくなされていない理由として、1969年に文部省から出された「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という、高校生の政治活動が望ましくないという内容の通達が影響しているという指摘があります。 しかしこの通達が出された背景には、当時、沖縄返還や安保闘争など過激で暴力的な政治活動が頻発していたという背景があったことを押さえておくことが必要です。 現在ではむしろ、学生の政治的関心を醸成する教育や取り組みが必要でしょう。 そのために投票所を大学内に設ける、疑似投票を設けて選挙の雰囲気を知ってもらうなどの取り組みも、すでに始まっています(2015年4月2日朝日新聞「若き一票 キャンパスで」)。 また、実際に議員が小学校や中学校に出向き政治や自身の役割を語るなど、政治家とのふれあいの機会を持つことによって、早いうちから政治に対する具体的イメージを持ってもらうことも必要ではないでしょうか。 またその際は選挙の公平性を保つための取り決めも必要でしょう。 ◆政治参加は個性ある自分たちの可能性を表現すること 選挙年齢を18歳に引き上げると新たに約240万人が選挙権を得ることになります。ここで私たちが認識しておくべきことは、「政治参加の意義」だと思います。 政治学者のハンナ・アーレントは、政治の最高の理想を「自由の創設」だとし、政治の場である「公的領域は、人々が、他人と取り換えることのできない真実の自分を示しうる唯一の場所」であると言っています。(『人間の条件』p.65) 政治に参加することによって、社会に関わる唯一の自分という存在に誇りを持ち、自分たちの暮らす場所をもっと愛し、もっと良くしていこうという公共心が養われていくことでしょう。 政治に参加する若者が増えるこの機会に、「より良い国をつくる自分たちの可能性を信じよう!」ということを訴えたいと思います。 多くの国民の皆様が自分らしく元気に働いて国が繁栄するという、希望の持てる魅力的な日本のビジョンを示すべく、努力してまいります! 新党の離合集散に政党政治の行く末を考える 2015.04.05 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆無投票当選の比率が過去最高 4月3日、統一地方選の41道府県議選が告示されました。 今回の選挙は、無投票当選の比率が過去最高となり、「無投票当選5人に1人」と各紙の見出しを飾りました。 3日に告示された41道府県議選は、総定数に占める無投票当選の比率が過去最高の21・9%に上り、香川では全41議席の約3分の2(65・9%)に当たる27議席が決定しました。地方政治の「なり手不足」は深刻な状況を迎えています。(産経ニュース4/3) 41道府県の無投票当選者の501人のうち、自民党が7割の348人を占め、前回より83人多く、告示日の段階で民主党の全候補者を上回る当選が確定しました。 愛知県では、無投票が前回の7選挙区から3倍近い20選挙区に増え、全55選挙区の3分の1以上で有権者が投票できない事態となっています。 前回乱立した減税日本と日本一愛知の会の候補者が激減したほか、民主が1人区の多くで勝負を避け、候補者を絞り込んだことが背景にあると報道されました。(中日4/4) 地方政治のなり手不足とともに、高齢化する地方議員の世代交代を進める意味でも若い人の立候補が望まれるところですが、落選後の補償もなく「若い世代に仕事を辞めてまで立候補してくれとは、言いにくい」と地方の政党幹部の声も聞かれます。 また最近の各種選挙の投票率の低さも際立っており、政治への無関心が、さらに地方政治のなり手不足に拍車をかける悪循環に陥りつつあります。 政治家養成の母体となるべき政党のここ数年の離合集散劇を見るにつけ、政治活動の継続の困難さが理解されます。 ◆新党の離合集散劇 幸福実現党は、2009年5月に立党し、本年立党6周年を迎えますが、この6年を振り返っても、政党の離合集散により立党時に存在していた政党の多くは、現在存在していません。 2009年8月に結成された「みんなの党」は、2014年11月に解党されました。 民主党政権時、与党であった「国民新党」も、今は存在しません。 2010年4月に結党された「立ち上がれ日本」は、2012年11月13日に「太陽の党」に党名を変更、同月17日に日本維新の会に合流し解党しました。(太陽の党は昨年、西村眞悟衆院議員らにより復活) 2012年7月小沢一郎氏は「国民の生活が第一」を結党しましたが、同年11月、同党を解党し、「日本未来の党」に合流、同年12月には、日本未来の党は、「生活の党」と改称されました。 その後、2014年12月に施行された総選挙の結果、生活の党は政党要件を失いましたが、12月26日に無所属の参議院議員山本太郎氏が入党し、政党要件を回復させ、党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」に改め世間を驚かせました。 このように、ここ数年の政党の離合集散を見る時、新党に政治家養成の母体となるべき余裕は全くないことがわかります。 同時に、政党助成金を受け取るためのなりふり構わぬ野合に、政治の場が政治の場でなく、生活の場に成り下がっている感が否めません。 こうした事態に、政治信条、政策を共有する者が集まっている政党という概念も揺らいでいます。むしろ選挙の都度、変形していく選挙協力互助団体という色彩が強くなっています。 ◆立脚点としての人生観 政党による政策の差が、曖昧となれば、政治家の政策論議も、意味を持ちません。退屈で凡庸なものとなります。 政治家が、政党助成金の獲得のために何らかの政党に所属し、差異も曖昧であるところの政策論議をする事に、有権者は何の意味も魅力も見いだせなくなるでしょう。 むしろ政治家に要請されていることは、己の人生観の開示です。 いかなる人生観、歴史観でもって政治の場に立とうとしているのか。彼の人生観、歴史観こそが、彼の政策を規定するのです。そして彼の所属する政党もその人生観、歴史観を共有します。 その方向に見えるものは、哲人政治家の到来です。徳高き政治家の出現です。 少なくとも、哲人政治家、徳高き政治家を目指している人間、政党の出現が、政治不信をなくす道であり、投票率の回復、活発な政治参加も促す道であると考えます。 幸福実現党は、宗教政党として、霊的人生観を立脚点とし徳高き政治家、哲人政治家を理想とし精進してまいりますと共に、失墜した政治に対する信頼を取り戻してまいります。 日本が果たすべき「ワールド・ジャスティス」への使命―「イスラム圏」編(2) 2015.03.28 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹(なかむら・こうき) 世界の紛争は宗教的対立を含んでおり、世界的正義がどこのあるかを判断するということは大変難しいことです。これを解決するためには、各宗教を束ねる全地球レベルの価値観を示すことができなければなりません。 社長が、経営者として会社の全責任を持っているように、「地球」の経営に対して全責任をもっている「至高の神」「地球神」の考えがあるとすれば、誰でもが聞きたい話です。この考えに基づけば、地球の紛争も解決できるからです。 今回は、その世界の紛争を解決するために必要な地球レベルの「ワールド・ジャスティス(世界的正義)」について述べて参ります。 ◆「寛容」と「許し」の論拠 世界の紛争を根本解決には、お互いの理解を妨げる壁を取り除き、「寛容」と「許し」の論拠となる、決定的叡智が必要です。 それは、「地球神の存在」「霊界構造と教えの多様性」「人間神の子の思想」であると考えます。 ◆「地球神の存在」 イスラム教、キリスト教、ユダヤ教を指導した、同一の神が現実に存在します。 『旧約聖書』で「エロヒム」と呼ばれ、現在は「エル・カンターレ」と呼ばれる、創造主、根本神(根本仏)、至高神にして、地球神が、マホメットもイエスもモーセも地上に遣わし、最高責任者として彼らを指導してきました。 「アラー(イスラム教)」「天なる父(キリスト教)」「在りて在るもの(ユダヤ教)」が同一の神であり、信仰の対象が同じであると明確に認識すれば、互いに「悪魔の宗教」とレッテルを張って攻撃するような考え方を改めることができます。 地球神は実在し、諸宗教を統合できる地球的仏法真理は存在します。 この事実が、「寛容」と「許し」への第一の論拠となります。 ◆「霊界構造と教えの多様性」 霊界は、悟り(心の境涯、愛の発展段階)に応じた、さまざまな階層(次元)に分けられ、地域性や心の傾向性によっても、空間的に分けられています。 地球神(至高神)ではない神々、天使、聖霊は、必ずしも全知全能ではなく、認識力や考え方に違いがあると知ることは、寛容さの基礎になります。 例えば、ヤハウェの考えはエロヒムの教えと違い、絶対の真理ではないと理解すれば、裁き心の緩和につながります。 救世主や預言者が地上に降りても、至高神の法の全てをストレートに受けられるわけではなく、自らの悟り、地域性、時代性、教えを説く対象、通信役の天使の個性等の影響を受けつつ教えを説くため、人類普遍の法と、人・時・所で解釈や内容に融通を利かせるべき教えとが混在します。 こうしたメカニズムを知れば、教えの普遍的な共通部分は祝福しつつ、教えの違いや多様性は、寛容に理解し合い、学び合い、必要に応じて教えをイノベーションすることができます。 仏神と霊界の実在、永遠の生命と転生輪廻、波長同通の法則、原因結果の法則、愛と慈悲の心、反省の心、魂修行とユートピア建設等。 以上の変えられない本質的で普遍的な法の根幹と、変えても良い部分を判別することで、他宗教との矛盾点、生活様式や慣習、経済・科学・学門等の新しい課題に対しても、教えに必要な修正をかけて、「寛容」と「許し」につなげることができます。 ◆人間神の子の思想 人間が神の子であり、すべての人間の魂に神の性質が宿っているなら、すべての人間の尊厳は護られるべきとの考えに到ります。 「憎しみを捨て、愛をとる」考えが正当となり、報復や、テロ、虐殺への防波堤となります。 唯物論、人間罪の子、性悪説など、神性を否定する思想は、人間不信、犯罪、殺戮につながる、間違った思想です。 すべての人間には、根本神(根本仏)から分かれてきた尊い神性(仏性)が宿っています。 「ワールド・ジャスティス」の根底には、地球神の慈悲の心があり、人間の魂も神の子としての慈悲の心を宿している尊い存在だという真実が、前提としてあるのです。 幸福実現党は、地球神、ワールド・ティーチャーの智慧と慈悲を基盤とした宗教政党であるからこそ、宗教が根底にある全世界の課題に対して、「ワールド・ジャスティス」(世界的正義)を明らかにし、根本的な解決を図ることができます。 幸福実現党は、全世界の平和と繁栄へ、「ニュー・ワールド・オーダー」をつくり出して参ります。 日本が果たすべき「ワールド・ジャスティス」への使命―「イスラム圏」編(1) 2015.03.27 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹(なかむら・こうき) ◆世界的正義 日本が使命として担うべき「ワールド・ジャスティス(世界的正義)」として、以下の3点があります。 (1)白人優位主義による帝国主義的植民地支配に対する歴史の修正。 (2)共産主義運動という名の唯物論思想による「神仏の封じ込め作戦」への戦い。 (3)イスラム圏の改革。 (1)~(3)は連動しています。 白人の植民地支配への反省を促し、大東亜戦争の日本の正義を国際常識とすれば、巨大共産主義先軍国家である中国の野望を阻止する力(三戦「世論戦、心理戦、法律戦」への対処力)となり、イスラム圏と対するユダヤ・キリスト教圏への説得力、調停力につながるからです。 今回は、最近注目度の高い「イスラム圏」に焦点を当てて、論じたいと思います。テロ行為や卑劣な殺人は、許しがたい暴挙であり、再発防止の措置は大切です。 しかし、日本と世界の政治家やマスコミ、知識人の大半は、イスラム圏の問題に対し、「ワールド・ジャスティス」を冷静に分析、判断できない状態にあります。 歴史的、民族・人種的、宗教的視野からの智慧が不足しているからです。 根本的な解決には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教間の確執を超克しなければならず、「寛容」と「許し」を伴う3つの精神的叡智を、政治的叡智として取り入れる必要があると考えます。 ◆武士道精神、騎士道精神 日本の武士道精神は、大義の下、己を律し、敵に対しても慈悲の心、礼の心を貫くため、日露戦争の名将、東郷平八郎や乃木希典などが諸外国で絶賛されました。 大東亜戦争においても、迫害されたユダヤ人を真っ先に保護したり、本気でアジアの同胞を解放する等、世界一人道的で規律正しくあったというのが事実です。 西洋でも騎士道精神が生まれました。 しかし、カトリック・プロテスタント間の宗教対立でその伝統が見失われ、1618年からドイツを中心に繰り広げられた30年戦争では、お互いに相手を悪魔と捉えて徹底的に戦い、甚大な被害と荒廃をもたらしました。 その反省から、1648年に締結された「ウエストファリア条約」では、かつて封建時代の中で発達していた騎士道精神が見直され、相手を辱めるようなことはせず、お互いの宗教を認め、相手の国の宗教には口を挟まないという国際的な取り決めがなされました。 武士道精神も騎士道精神も、関係国が全てその認識を持っていれば有効ですが、ヒトラーのような独裁者が出現した場合や、騎士道の文化を継承しなかった国(米ソ中等)には効果がない、という教訓もあります。 しかし、日本軍が武士道精神で、民間人へのテロや虐殺を決してしなかった事実や、イスラムの英雄サラディンが騎士道精神を貫き、キリスト教圏からも評価された等の教訓は、テロ撲滅や相互の融和に、プラスに作用するはずです。 ◆日本の「和」の精神 聖徳太子「十七条憲法」の第一条には、「和を以って貴(とうと)しと為し、忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。」とあります。 大きく和する、大調和の精神は、仏教伝来の折にも発揮され、仏教の優れた教えは採り入れつつ、古来からの神道も引き継ぐという、共存共栄や融合の伝統を生み出しました。 そして、儒教やキリスト教、その他の思想や文化に対しても、寛容に取り込んでいく歴史を培ってきました。 「和」の精神は、異なる宗教や文化を調和させ、争いを緩和し、抑止する力がありますので、世界の紛争解決にも効果を期待できます。 以上、日本の「和」の精神について述べましたが、次回、もっと踏み込んで、世界の紛争を解決するために必要な「ワールド・ジャスティス」について述べて参ります。 「仕事は幸福」という価値観に立脚した労働法制を! 2015.03.24 文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太 ◆日本にはびこる岩盤規制の一角・労働法制 安倍政権は今通常国会において、労働時間規制の緩和を中心に、労働基準法の改正法案を提出する予定となっており、岩盤規制の中核、労働法制にメスを入れつつあります。 改正内容を二つに大別すると、まずディーリングやコンサルタントなど、年収1075万円以上の高度専門職を対象に、時間外労働などへの支払い義務を免除し、成果で給与を決める「高度プロフェッショナル制度」の導入と、仕事の時間配分や残業の必要性を労働者本人が判断する「裁量労働制の拡大」が挙げられます。 終戦から半世紀以上を経過し、日本人の働き方が大きく変化している反面、三六協定(労働基準法36条)など未だ当時の工場労働者を念頭に作られた労働時間規制が存在し、今まで時代錯誤の感がぬぐえなかった点は否めませんでした。 第1次安倍政権時にも、同様の改正案が議論されましたが、労組や野党、マスコミから「残業代ゼロ法案」と厳しく批判され、法案成立を断念した経緯から、とりわけ安倍首相にとっても今回の改正案に対する思い入れは強いはずです。 大いに賛同できる改正案ですが、昨年は議論のテーブルにのっていた「解雇規制」の緩和見直しは労組の猛反発から見送られたことを考えれば、労働法制の改革は道半ばであると言わざるをえません。 ◆解雇規制は本当に労働者のためになるのか? 今後、労働者・企業双方に魅力的な労働環境を創設するために考えるべきポイントを2つ挙げていきたいと思います。 第一には、前述した「解雇規制」についてです。 もちろん、差別的な解雇や解雇権の乱用から労働者を守るために最低限必要な制度であり、法制度だけを比較すればヨーロッパ諸国とさほど変わらず、解雇が自由なアメリカを除けば、国際的な水準と見られる風潮もあります。 しかし、経営上の判断で「整理解雇」を行うに当たって、ヨーロッパでは要件が緩和されるのに比べ、日本では司法が「整理解雇」は労働者に責任がないと考えるため、人員削減の必要性や解雇回避の努力など、「整理解雇の4要件」を満たした場合のみ、正当な解雇と認めるという厳しい限定がなされています。 このように実質厳しい解雇規制があることで、まず企業側は正社員を採用する際に、慎重な判断が求められ、潜在的な正社員としての就職機会を奪うことにつながると言えます。 また、整理解雇を行う前に希望退職の募集を行う必要が出てくることで、本当は残って欲しい優秀な人材から流出してしまうというジレンマに陥ることも多々あります。 結果的に、この解雇ルールによって守られているのが、正社員という立場をフル活用しようとする「ぶら下がり社員」たちであり、企業・労働者双方から見ても、公平さが欠如した形になっているのです。 ◆派遣は本当に悪なのか? 第二としては、「派遣労働」についてです。 今回、安倍政権は労働者派遣法の改正案も閣議決定し、更なる規制緩和を目指していますが、野党側から「派遣の固定化につながる」と強く批判されています。 また、産業界においても「派遣はダメな働き方である」や「(派遣を含めた)非正規社員は全て正社員にすべし」といった極端な論調も根強く、派遣という雇用形態がマイナスであるかのように喧伝されています。 しかしながら、派遣会社の営業管理職として、過去にのべ1000人単位の派遣社員と接してきた経験上、上記のような議論は現場感覚を失した空理空論であると言わざるをえません。 派遣社員は正社員になれないから派遣という道を選ぶ訳ではなく、専門性追求やキャリアアップ、資格取得の時間確保など、積極的な動機から選ぶ派遣社員が大半であったといえます。 また、派遣から正社員へのステップとして「紹介予定派遣」という制度も既に10年以上前から施行され、派遣期間を通じて実務を行うことで、労働者のみならず、企業側からのミスマッチを解消しようという取り組みも行われております。 更に言えば、「必要な時に、必要な部署へ、必要な労働力を」が可能となる派遣という弾力的な仕組みが、ある意味で厳しすぎる解雇規制の補完的な役割を担い、企業側のニーズを満たしてきたと言えるのではないでしょうか。 ◆「自由・多様性・公平性」を保障する労働市場の創設を! かのP.F.ドラッカーは「ネクスト・ソサエティ」の中で、近未来には、雇用の半数はフルタイム社員ではなくなり、派遣を始めとするアウトソーシング業がより栄えていくなど、今後、企業と雇用の形がより柔軟に変容していくことを予見していました。 しかしながら、日本の現行労働法制は「労働は賦役である」という左翼的な価値観に彩られており、時代遅れだと言えます。 今の労働時間規制に関する議論にしても、本人がその仕事に生きがいを感じることが出来るならば、残業時間がいかに長かろうが、喜びと共に、大きな成果と貢献を果たすことにつながるはずです。 今こそ、「仕事は幸福」であり、「人間を成長させるもの」であるという価値観を土台に持った労働法制が必要なのではないでしょうか。 自由で、多様性を認め、公平性を保った労働市場を創設することこそ、日本で働く全ての人の自助努力の発揮につながり、結果的に日本経済の大繁栄に結びついていくはずです。 サクラ、サクラ、咲く――ぺリリュー島 2015.03.23 文/HS政経塾3期卒塾生 幸福実現党・新潟県本部副代表 横井もとゆき ◆沈没船に結びつけられた中国国旗 21日にショッキングなニュースが配信されました。 天皇、皇后両陛下が来月、慰霊のため訪れるパラオで、海中に沈む旧日本海軍の給油艦「石廊」の船尾付近に中国国旗が結び付けられているのを、21日に取材で潜った共同通信記者が見つけたというものです。(2015/03/21 共同通信) パラオには戦跡を保存する法律があり、その場から戦跡を持ち去ったり、手を加えたりすることは禁止されているはずです。 中国国旗は幅約1メートル。船尾の砲座を囲む柵の支柱だったとみられる場所に、針金と白い結束バンドで取り付けられていたことから、計画的かつ悪質な行為とみて取れます。 ◆旧日本軍艦から海中の中国国旗消える パラオ政府の対応は迅速なものでした。23日の共同通信社の報道によれば、現場から旗がなくなっているのを共同通信記者が確認したとのことでした。 パラオ政府によると、報道に接したレメンゲサウ大統領は「非常に失望していた」といい、法相を兼務するベルズ副大統領が23日午前、司法省に撤去を命じたとのことです。 パラオ当局が撤去したのか、それ以前に旗がなくなっていたのかは不明。誰が旗を結び付けたのかも分かっていないとのことですが、ひとまず胸をなでおろすことができました。 来月の天皇、皇后両陛下が慰霊に訪れらえる際には、パラオが大切にしてきた歴史の、ありのままの姿を慰めていただけるよう、再発防止に尽くしていただきたいと思います。 ◆現地人と協和しつくりあげた大東亜共栄圏 パラオの植民地の歴史は、1885年にスペイン、続いて1899年にはドイツの植民地となり、第一次世界大戦で1914年日本軍がドイツ軍を降伏させ、1920年戦後処理をするパリ講和会議で国際連盟から日本の委任統治が認められました。 ペリリュー島は、日本にとって、フィリピン防衛の要のとされ、東洋最大といわれる飛行場を建設しているところでもありました。 日本軍は統治した国の人々を決して奴隷のように扱ったりはしませんでした。学校、病院の建設や、インフラ整備、マグロ缶詰工場や農場をつくり、現地の人に技術を教え、雇用を創出しました。 同時に日本語による教育も開始されましたが、現地の児童や教師の負担を考え、実習科目を減らす配慮もするほど、現地の人々を家族のように大切にしました。 ◆誤解され伝わる「八紘一宇」の思想 当時の日本は、天皇陛下という徳ある為政者の下に、さらに天照大御神の下に、四海同胞は平和でなければならないという、平和繁栄思想に基づいて東アジアの周辺国を統治してゆく環太平洋思想がありました。 その思想の中には、当時の植民地支配を是としていた欧米的な略奪や、相当な負担を現地に負わせることを永遠に肯定するような思想は入っていませんでした。 島民は白人の統治と日本時代を身をもって経験しているので、大人も子供も、日本軍と一緒に戦う決意を持っていました。 しかし日本軍としては、住民を巻き込んではならないという配慮から、船舶の乏しい中、空襲を避けつつ夜間に、住民全員をパラオ本島に避難させました。 本島までは約50km。日本軍人らは「貴様らとは一緒には戦えない」と言い捨てて島民を送り出してはいますが、相当の神経を使い住民を安全に本島まで運んだことがうかがえます。きつい言葉での別れの真意は、島民にしっかり伝わっていました。 「八紘一宇」は侵略の大義名分として伝えられていますが、この言葉の下に当時の日本人が外国で何を行ったのかを知り、現代に生きる日本人として、この言葉の真意をもう一度考え直す必要があります。 ◆愛するがゆえ戦い、散る ニミッツ提督は、ぺリリューの複雑極まる防備に打ち克つには、米国の歴史における他のどんな上陸作戦にも見られなかった最高の戦闘損害比率(約40パーセント)を甘受しなければならなかった。(「ニミッツの太平洋海戦史」チェスター・W・ニミッツ著)と伝えています。 当時の日本軍人の勇気の源は、「南方を攻め取られたら、日本は空襲に遭い、家族たちは火の海の中で焼かれ、死んでいく。何とかして、われわれが食い止めねばならん」という決死の覚悟と家族への愛でした。 日本軍は米軍の前に玉砕しましたが、帰島した島民は、日本人の遺体を見て泣き、遺体を葬り、墓を維持しました。 1982年には、地元の協力を得て、ペリリュー神社が建立されています。そこにある石碑にはニミッツ提督の詩が刻まれています。 「諸国から訪ねる旅人たちよ、この島を守るために日本人がいかに勇敢な愛国心をもって戦い、そして玉砕したかを伝えられよ」 そして1981年パラオ共和国が誕生したとき、日本軍人ペリリュー島守備隊を讃える歌が島民によってつくられました。8番まであるこの歌の6番と8番をお伝えします。 六 平和と自由の尊さを 身を鴻(こな)にしてこの島に 教えて散りし桜花 今では平和が甦る 八 戦友遺族の皆さまに 永遠(いついつ)までもかわりなく 必ず我等は待ち望む 桜とともに皆様を 【参考】 パラオ諸島ペリリュー島 守備隊長 中川州男大佐の霊言―― 隠された“日米最強決戦”の真実 大川隆法 著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1435 「パラオ共和国に今でも残る『大和魂』2014.10.12」 http://hrp-newsfile.jp/2014/1761/ 日本の常任理事国入りを実現するために 2015.03.19 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆安倍首相の演説 16日、安倍首相は国連の70周年記念行事で演説し、「日本はひとつひとつ、実績を積み上げてきた静かな誇り胸に、常任理事国の役割を引き受ける用意があります」と常任理事国入りに改めて意欲を示すとともに、国連改革の必要性について訴えました。 また、演説では、国連分担金、PKO分担金の累計は200億ドル、開発援助の実績は3249億ドルにも上る点も強調し、日本の貢献をアピールしています。 ◆敵国条項をまず削除せよ 国連改革でまず必要なのは、国連憲章における敵国条項の削除です。 国際連合とは、あくまで日本語訳であり、英訳では「連合国」です。つまり、第二次世界大戦の戦勝国による連合であり、未だに国連憲章の53条および107条にある敵国条項は存在しています。 つまり敗戦国である日本もドイツも、この敵国条項がある限りは常任理事国に入ることができません。 1994年11月の国連総会第6委員会では、旧敵国条項削除を憲章改正特別委員会に求める決議が採択され、95年12月の国連総会において「53条と107条の国連憲章からの削除を求める決議」が採択されたものの正式な手続きまでには及んでいません。 53条1項後段では、「連合国の敵国」だった国が侵略を再現する行動などを起こした場合、安保理の許可なしに軍事制裁を課すことが容認されています。 また、107条では、旧敵国の行動に対して責任を負う政府が戦争後の過渡的期間の間に行った休戦・降伏・占領などの戦後措置などは憲章によって無効化されないと規定されています。 この条項の問題点は、敵国がいつ、どのような状態になれば敵国ではなくなるのかが明記されていない点であり、かつまた、旧敵国との紛争については平和的に解決する義務すらない、という点にあります。 ◆敵国条項を利用する中国 一方で常任理事国である中国は、この敵国条項を上手に利用し、自らの「侵略行為」を正当化させています。 例えば、民主党政権下、沖縄県・尖閣諸島を国有化した際、中国は「日本は中国への侵略をおこなっている」だとか、「日本の行動は、戦後の国際秩序と原則への重大な挑戦だ」などと主張しました。 ただし、78年に締結された日中平和友好条約第1条第2項には「日中双方は、国連憲章の原則に基づいて、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力または武力による威嚇に訴えないことを確認する」と規定されています。 つまり、日中関係において、中国は日本を敵国条項の適用除外をしているはずなのです。 そうであるにもかかわらず、中国は軍事拡張路線の一途をたどり、日本への武力による威嚇行為を続けています。いつ友好条約のこの条文は反故にされたのでしょうか。 ◆日本はもっと交渉力を上げよ この中国の「中華思想」という名の「自己中心主義」に対して、ある明治維新の立役者は歯に衣を着せずに正論を述べています。 『「君らは汚ねえぞ。拒否権を発動する以上、それだけのペナルティをちゃんと払わんかい!金を払わんなら常任理事国を降りい!」っちゅうて、やっぱり、そのくらい怒鳴りこまんといかんな。それで言うことをきかんのなら、「うちの(国連分担金の)シェアを落とさせてもらいます」言うて、国連を、ちょっと揺さぶってもええんと違うか。』 (『坂本龍馬 天下を斬る!~日本を救う維新の気概』 大川隆法著) http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=815 さすがは、人並み外れた発想力と構想力で日本犬猿の仲だった薩摩藩と長州藩を結び付けた「交渉力」をお持ちの龍馬先生の発言は違います。 今回の安倍首相の演説は、確かに歴代の総理に比べれば「踏み込んだ内容」なのかもしれませんが、一方で「先の大戦への反省の弁」も述べていますので、やはりどこか「弱い」のです。 戦後70年にわたる戦後体制の「殻」をぶち破るには、はっきり言うべきことを言うことです。戦勝国側にとって都合のよい体制維持は、必ずしも国際正義にかなったものではないということを、日本は堂々と発言すべきです。 私たち宗教政党には「恐れるもの」がありませんので、アメリカや、中国相手に堂々と交渉することができます。 幸福実現党は、戦後失われた日本の尊厳を取り戻し、日本の常任理事国入りを実現させ、自由と宗教的寛容の精神を武器として、世界の恒久平和と繁栄に貢献してまいります。 「自由の法哲学」を欠いた憲法改正議論には要注意! 2015.03.13 文/HS政経塾3期生 和田みな ◆憲法改正の重要3項目 自民党は11日までに、衆議院の憲法審査会の再開を与野党によびかけ、来週中に幹事懇親会を開き、今国会でどのように憲法改正を進めるかなどを話し合うことを提案しました。(3/12付「日経新聞」4面) 審議会が再開すれば、憲法改正のための議論が本格化していくことになります。 審議会では、自民党がすでに発表していた党の憲法改正案の重要25項目の内、これまで他の多くの党が必要性を認めている「財政規律」、「新しい人権」、「緊急事態条項」の3項目での議論を深め、他党との接点を探り、改憲への道筋としたいと考えています。 憲法改正の発議の高いハードルをクリアするため、安倍政権は他党とも協力することが不可欠な状況で、上記の3項目は公明党の主張とも合致し、維新の党も積極的な姿勢を見せています。 この3つの項目はそれぞれどのような意味を持つのでしょうか。 ◆財政規律 財政規律とは、財政赤字の拡大を防ぐために歳入と歳出のバランスが保たれている状態のことで、政府の支出を抑え、国債の発行額などに一定の制限を設けるものです。 しかし、機械的な財政規律条項を導入すれば、行政の柔軟性や自由な活動を阻害する要因となります。 例えば、歳出の強制削減が法律に明記されていることで「財政の崖」を招いた米国よりも厳しい状況が、日本に生じるかもしれないのです。 また、憲法に財政規律条項を入れるということは、そのための規範や数値目標を憲法に明記するということですが、このようなものは法律として整備するかどうかの類のもので、憲法に明記するレベルのものではありません。 この点について、経済学者の高橋洋一氏は次のように述べています。 「政府のムダ撲滅は当然として、経済苦境時の緊縮財政は経済を傷めて元も子もないので、そこまで規定したらまずい。こうした議論は、憲法改正後に制定される実定法での話であるので、憲法改正とは切り離して議論すべきである。」(2/28『「日本」の解き方』より) このレベルの内容を憲法に明記することは、今後、状況や目標が変わるたびに憲法の改正が必要になるということを意味しています。 それによって憲法の価値を落とし、憲法を一般の法律のレベルへと引き下げてしまうことにもなりかねません。 ◆新しい人権 環境権などを憲法に明記することは、これまではっきりとは認められてこなかった「新しい人権」を認めるということです。 このような人権は「幸福追求権」(憲法13条)から導き出されるもので、プライバシーの権利、環境権、日照権、平和的生存権など、多くの権利が主張されてきましたが、これまで最高裁判所が認めたものはプライバシーの権利としての肖像権のみでした。 なぜなら、このような新しい権利の多くは、それを認めることで他人の基本権を害することにもつながるため、個人の人格的生存に不可欠であるのかを、様々な要素を比較考慮して、慎重に決定しなければならないと考えられてきたためです。 したがって、このような新しい権利は、「権利」ではなく、あくまでも「利益」であって、個人の自律的決定に任せるべきレベルのものであると判断されてきました。 これが、一転して憲法に明記されるようになれば、憲法上認められた明確な国民の権利に格上げされることになります。 しかし、最高裁判所が認めていない「利益」を「権利」に格上げする根拠はどこにあるのか、また、これによって何の自由が守られることになるのかが極めて不明瞭で、逆に多くの自由の侵害を招く恐れがあります。 ◆緊急事態 緊急事態に即応するための条項を憲法に明記することは必要です。一方で、この緊急事態法制も個人の自由を制限するものであるという点を忘れてはいけないでしょう。 もちろん、有事の際には、「最大多数の最大幸福」のために、自由に一定の制限をかけることも必要です。しかし、法律レベルの利益や目標を憲法に明記しようとする現在の改憲議論者が、真の意味で自由の価値を理解しているとは到底思えません。 この程度の法理念の下で、緊急事態法制を行って国民の自由は本当に守られるのか不安が残ります ◆幸福実現党は憲法の真の価値を守る 自民党が悲願である憲法改正をなす為に、耳障りのよい項目で他党と協調したい気持ちはよく理解できます。しかし、それによって改正内容を間違えれば、逆に国民の自由が奪われてしまう危険性があります。 これでは憲法の持つ「国民の自由を守る」という真なる価値からくるところの崇高さを取り戻すことはできないでしょう。 その意味において、現在の憲法改正議論は、憲法の崇高さを失っていると言わざるを得ません。法律レベルのものか、憲法に明記すべき権利かは、それがいかに「国民の自由」を守るものかのレベルの差です。国民の生命、安全、財産を守り、日本を自由の大国とするための「自由の法哲学」をこそ、政治家は学ぶべきです。 幸福実現党は憲法改正を積極的に押し進めます。それによって国民の自由を守り、憲法の崇高な価値を守るためです。 幸福実現党が正面から訴えている憲法9条の改正は、このような「自由の哲学」を基礎に持ち、さらに、国家の自然権としてどの国にも認められている自衛権をしっかり持とうと主張しているものであり、法哲学的にも、歴史的にみても正当な理由があるものなのです。 幸福実現党は憲法の真の価値を守るという意味における「真の護憲政党」とも言える存在です。 すべてを表示する « Previous 1 … 22 23 24 25 26 … 64 Next »