Home/ 記事配信 記事配信 日本林業の再出発に向けて 2016.10.08 幸福実現党 兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆外資買収による水源地問題から考える日本林業 外国人や外国人資本による水源地買収が問題になって久しくなります。 首相が衆議院予算委員会において「政府としても大変重要な問題であると考える」と発言し、対応を検討しているといいます。 この問題はすでに多くの指摘がなされてきたが、対応が後手後手になっており、具体的な対策がない点、省庁間の連携の問題などが挙げられています。 北海道では、中国資本や中国資本の影がある日本企業が広大な土地や森林を買収しています。中には水源地を抱える270haに及ぶ森林地帯もあるそうです。 しかし、なぜ日本人が土地や森林を手放すのでしょうか。先祖代々の土地を手放したがる日本人は少ないはずです。 この問題の根本には、日本林業が抱える問題があるのかもしれません。 ◆日本林業の現状 日本の国土面積のうち、森林は67%を占める。森林といえば水源地のような場所を想像するが、実際はそうではありません。 日本の森林のうちの40%にあたる約1000万haはスギやヒノキ、カラマツが植林された地です。 戦後、日本人は森林を大規模に伐採し、そして植林でした。 1955年の時点では、スギ1㎥で雇用できる作業員数は11.8人でした。そのため、1日に概ね12人を雇うことができ、林業は成り立ったのです。 しかしこの後、人件費が上がり、国産材は急速に輸入材にとって代わりました。 新築住宅の減少に加えて、大手住宅メーカーの台頭により木材住宅が激減した結果、私たちが木を使う機会もぐっと減ったのです。 その結果、50年後の2004年の時点では0.3人しか雇えなくなった。山の資産価値は50年前に比べて、40分の1になってしまいました。 そうなると、山に手入れに入る人は激減、木は切り出されなくなります。 人の手が入らない場所は、密植された針葉樹の「死の森」となってしまいます。 光が林床に当たらず、真っ暗なのはもちろん、草も生えていない。すると餌を求める虫も、それらを狙う動物もいない。そのような中で木々は、何とか子孫を残そうと必死に花粉を飛ばしています。 ◆解決への道のりを探して 大企業や大規模林業家の所有する森林では、世界の林業国から学び、生産性を高め、付加価値を高めた木を市場に供給しようと努力しています。この知恵に学び、山の価値を高めるためにはどうすればよいのでしょうか。 一つには、森林管理のための徹底的なコストダウンと共に効率化を進めることです。 政府の補助金制度も存在しますが、従来は働いた人数分に対して補助金がでていたため、人手をかけないようにするための合理化を行えば、補助金が少なくなるという矛盾がありました。 現在では合理化や木材生産のための努力を行えばメリットがでる形となりましたが、林業においては他の業界で当たり前に行われていたことが行われていなかったのです。 日本では経営が重要視されていませんが、ヨーロッパに存在する森林専門大学では林業経済学、森林政策をはじめさまざまな学問を3年間学び、専門性と学術性をもつ森林官が数多く存在しています。 これからは、日本でも経営の視点を持ち、広大な森林を管理する林業家が求められます。 もう一つは、実際に木が適正価格で売れるようにすることです。 現在、ある程度の規模を擁する林業家でも、その平均収入はわずか26万円です。そのためほとんどの人が兼業を行っています。ビジネスとして成り立たなければ、林業家の成り手は出てきません。 国産材の使用が推進されていますが、市場に木が溢れればいいというものではありません。 需要以上に供給がすすめば、木の値段が暴落し、林業家にダメージを与えます。新たな需要を作り出していくことが求められているのです。 例えば木の割り箸は環境に優しくないということで、プラスチックのマイ箸に変えた人もいるかもしれません。しかし真相はその逆で、割り箸ほど林業家を助けた商品はありません。 割り箸のために木を切っているのではなく、他の木を大きくするために切らないといけない間伐材を用いて作られるのが割り箸です。 林業にとってはコストパフォーマンスに優れた商品で、その需要がなくなれば間伐材も行き場がなくなり、山に放置されかねません。このように間違ったエコ思想には、注意が必要です。 「日本書紀」では、スサノオノミコトの毛を抜き、地面に挿したところ木が生えてきたとされています。日本中にある山や木、森林は神様からの贈り物です。 これらをどう活用し、さらに100年後に残していくか。日本の林業はこれからが勝負です。 いじめは絶対に許さない! 2016.10.06 幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆「もう生きていけそうにない」 8月19日、青森県で中1の男子生徒が自殺。自宅で見つかった書き置きには「いじめがなければもっと生きていた」という言葉が記されています(8.26 産経)。 男子生徒の母親は「授業中に椅子を蹴られるなどの嫌がらせを受けている」と担任に相談していました。 担任は相手の同級生らから事情を聴いたにもかかわらず事実確認はできなかったとして、2人の席を離した上で「何かあったら相談するように」と助言。学校はこの件を「解決済み」として町教委に報告していました。(8/26朝日) また8月25日には、同じ青森県でネットいじめを受けていた中2の女子生徒が「もう生きていけそうにない」という悲痛な言葉を残して、列車に飛び込み自殺しています。 女子生徒の父親は「(LINE)ラインで『死ね』と言われたり、ありもしないうわさを流されるなど、いじめを受けていた」と話していました。(8/30毎日) ◆「いじめ情報共有」だけでいじめは防げるのか? 9月29日の朝日新聞一面には、「いじめ前兆、進まぬ情報共有」という記事が掲載されています。 記事によると、第三者機関の報告として、過去のいじめ自殺を調査の上、いじめ自殺が防げなかったのは、「一部の教員でいじめの情報を抱え込んだり、学校の対策組織が動いていなかったりして、校内でいじめの情報共有ができていなかった」ことが原因であるとしています。 しかし、前述の2つのケースを見ても「いじめの情報共有」だけで本当にいじめが解決できるのか疑問が残ります。 ◆いじめを解決できない教師の心理 私は何度かいじめの相談を受けたことがありますが、その時の教師や学校の様子は以下のようなものです。 (1)教師は新卒でも、すぐにプロの教師として尊重され、企業のような人材教育がなく「いじめ解決」の方法など教わる場がない。 (2)クラス担任は、自分の評価や評判が気になり、いじめの問題を外に知られたくないという心理が働く。自分だけで問題を抱え込み、それがいじめの発見や対応を遅らせる。 (3)担任は、問題が外に発覚すること恐れ、本来は「いじめている生徒」を指導しなければならないところを、「いじめられている生徒」にも原因があると責め、外に話さないよう口封じをする場合もある。 (4)いよいよ保護者からいじめの相談があると、教師は両者を仲直りさせようとするが、先生に告げ口したと、さらにいじめが悪化するケースを招く。保護者も知らない場合、いじめられている生徒は一人で悩みを抱え込む。 (5)学校でいじめの状況が「共有」されても、学校側も評価を恐れていじめを隠ぺいしようとする心理が働く。またいじめを解決する適切な対応がされない。 ◆いじめを解決するために処方箋 いじめ相談の経験上、言えることは朝日新聞の報道にあるような「いじめの情報共有」がされても、学校にいじめを解決する「覚悟」と「行動」がなければ解決はできません。 2013年に施行された「いじめ防止対策推進法」は3年が経ち見直しのタイミングに入っていますが、経験も踏まえて、以下いじめ解決の提案を致します。 (1)「いじめ防止対策推進法」を見直し、いじめを放置・隠ぺいした教員や学校への罰則の規定を盛り込むことで、教師と学校にいじめ解決の意識を促す。 (2)教師はクラスにいじめがないことで評価されるのではなく、いじめの予兆を発見し解決したことで評価される評価システムを導入する。 (3)学校教育に宗教的なバックボーンを入れ、生徒に善悪の価値観、愛や寛容の心を教える。 (4)クラス担任、学年主任、校長が「いじめを絶対にゆるさない覚悟」を率先して示し、そうした空気を学校につくり上げる。それがいじめの抑止力になる。 (5)教師にいじめ解決のノウハウ研修を実施し、いじめが起こった場合は、担任だけに任すのではなく、学校が一致協力し解決する。時間が経過すればするほど、いじめの解決は難しくなる。 以上、教師を責めるつもりはありません。いじめ解決のノウハウがあり、いざとなれば学校が一致協力して解決にあたる体制があれば、教師にとってこんなに心強いことはないのです。 ◆大切な「いじめ解決のノウハウ」 実は私自身が20代に中学校の常勤講師をしていた時に、いじめを訴える生徒の相談を受け、思うように解決できなかった苦い経験があります。 その後、いじめの相談を受けるようになりましたが、あるお母さんからいじめの相談を受け、2か月かかりましたが解決したこともあります。 その時にアドバイスをいただいたのが「いじめから子供を守ろうネットワーク」です。 いじめを解決するにあたっては、「いじめを受けている生徒の心を理解する」「いじめを絶対解決するという覚悟」「いじめを解決するノウハウ」の大切さ痛感しました。 いじめを解決した経験は、機会があれば、またあらためて紹介致します。 【参考】いじめ解決率9割!「いじめから子供を守ろうネットワーク」とは!? http://thefact.jp/2016/1427/ 国家管理型の農政から脱却し、攻めの農業で市場開拓を! 2016.10.04 幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) ◆農家の「収入保険制度」に向けた議論を開始 政府・与党は、環太平洋連携協定(TPP)対策の一環として、農家向けの「収入保険制度」に関する議論を開始しました。TPPが発効すれば、安い輸入農産物に押されて農産品の値下がりが懸念されます。 価格下落に伴う農家の収入減少を保険で補う仕組みの検討を進め、2017年の通常国会に関連法案を提出します。 農林水産省が示した収入保険制度は、年収が過去5年間の平均より1割以上、下回った場合、下回った分の9割を保険金などで補償するものです。 現在、自然災害による収穫量の減少に伴う農家の補償制度は存在しますが、今回の特徴として自然災害に加えて市況の変動による値下がりで収入が減った場合も対象としています。 ◆国家管理型の農政が農業衰退の原因 このような農家を保護する政策は、日本の農業を弱らせ、政府が掲げる「攻めの農業」に逆行する選択です。これまでの国家管理型の農業政策が日本農業の衰退を招いてきました。 国家主導の保護政策として輸入調整措置が行われています。TPPでも農林水産物の多くの関税が撤廃に向け合意されましたが、国内への影響が大きい5項目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料)では594品目のうち71%に当たる424品目が関税撤廃の対象外として守られました。 例えば、日本の農業を代表するコメについては、キログラムあたりの関税は341円で、国産米価の200円をはるかに上回っています。関税を通して、安いコメの流入を阻止し、農家を守っています。 また、減反政策を通して、日本のコメの生産量は国家に管理されています。 国がコメの供給量を決めて、都道府県へ生産数量を配分し、各農家に作付面積を割り当てます。この制度に従うと農家は様々なメリットが得られ、補助金も支給されます。自由競争を避けて、生産調整を通じてコメの価格をコントロールしており、市場原理が働いていません。 さらに、構造政策として農地法により、農業への新規参入を阻み、農家を守ってきました。 農地はその耕作者自らが所有することが最適であるという自作農主義の理念に立脚し、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的として、農地の所有や利用関係の仕組みを定めました。 これが農地の流動性を著しく妨げ、農業の世襲制度を固定化させました。1952年に制定され、その後、規制緩和の流れを受け、2000年に改正農地法が成立。一定の条件で株式会社の農業参加の道は開いたが、多くの規制がいまだに残っています。 国家管理の農政は、非効率な農業を招き、農業を衰退させました。 農業経営体の耕地面積でみると1ヘクタール未満の農業経営体は93万体で全体の56%です。 さらに、規模も小さいために年間の販売金額が100万円にも満たない経営体が全体の59%にも及んでいます(農林水産省/2010年農林業センサスより)。農業従事者の減少と高齢化も深刻な問題です。 ◆守りの農業で日本は低輸出国に 国家主導の日本農業は、世界の潮流とは違う選択をして、「攻め」と「守り」の判断を誤り、国益を損ねてきました。 1970年前後、先進国は農産物過剰の問題に直面していました。 肥料の投入や農業機械の導入によって生産技術が向上し、日本国内ではコメの生産性が飛躍的に伸びるとともに、食事の欧風化によってコメ離れが進んでいきました。 本格的にコメの生産調整(減反)を始めたのも、この頃です。世界はそれらの問題に対し、開発途上国への援助や輸出を進め、市場開拓という判断をしました。 日本は「余ったら生産調整」、先進国は「余ったら市場開拓」。この結果は農産物輸出量としてはっきり表れており、現在、先進国の多くは輸出大国となり、日本は世界57位の低輸出国です。 ◆国家管理型の農政からの転換を 日本の農業は時代の変化の中で大きな岐路にあります。 衰退の一途をたどる一方で、農業をビジネスとして捉えて「攻めの農業」を牽引している農業経営者は増加しています。 彼らは国の保護に頼らずに、農業を流通やサービス業にまでビジネスの幅を広げて、未来の農業モデルを示しています。 国家は、これまでの管理型の農政ではなく、農業経営者とともに新しい農業政策のあり方を提示するべきです。そのために農業の自由性を阻む要因を取り除いていくことです。 減反の廃止や農業への参入障壁の撤廃、農業振興を目指す農協改革を通して、魅力あふれる日本の農業を構築していくことが求められています。 フィリピン・ドゥテルテ大統領の登場と南シナ海の危機 2016.10.02 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆6月の大統領選挙で圧倒的な勝利 今年、フィリピンでは6年に一度の大統領選挙が行われました。 これまでは、前大統領ベニグノ・アキノ3世の元で、フィリピンは順調な経済成長を遂げたものの、国防では南シナ海で中国との領土紛争が問題となっており、危機を迎えていました。 そこでアキノ前大統領は、日本や米国等の自由主義国家との軍事関係を強化しつつ、「南シナ海の領有権」について国際司法裁判所に提訴を行い勝訴するなど、この危機を何とか食い止める動きを進めていました。 こうした国防上の課題を残したアキノ政権の後継者として、ドゥテルテ新大統領が国民の圧倒的な支持の下で誕生しました。 この大統領選挙の議論を見る限り、フィリピンの国民はドゥテルテ大統領が地方都市の市長として治安維持の実績を上げた部分や、「犯罪者は射殺する」「就任したら腐敗した官僚や警察は皆殺しにする」などと、米国大統領候補のトランプ氏以上の過激な発言にも魅力を感じたのかもしれません。 ◆米国オバマ大統領への批判 ドゥテルテ大統領は、元々検事出身で1980年代からはダバオ市長として治安の改善に取り組み、東南アジアで最も平和な都市を標榜し、その結果、ダバオはフィリピンでも有数の治安のよい都市となったのです。 実際に私的な自警団を組織し、超法規的な私刑を許していたともいわれ、一部には危険視する向きもありました。 そして大統領に就任すると公約どおり、まず国内の治安維持、特に「麻薬撲滅」を推進しました。 しかし、ダバオ市長時代と同様、超法規的措置による私刑を許し、麻薬犯罪に関わる容疑者を裁判にかける事なく逮捕の現場で射殺する事件がわずか1ヵ月で1800件発生し、人権に強い関心を持っている米国等からドゥテルテ大統領へ批判が寄せられました。 ところが、彼はこうした批判に強く反発するだけでなく、一時は国際連合からの脱退をほのめかし、また米国オバマ大統領に対しても侮辱の言葉を繰り返しました。 その結果、9月5日にラオスで開催されたASEAN首脳会議に合わせて予定されていた米比首脳会談が中止になる等、米国との関係が一気に冷え込む事態になりました。 元々フィリピンは米国の植民地であり、一部には嫌米感情があるのかもしれませんが、毅然とした指導者を求めていたフィリピン国民もドゥテルテ大統領がここまで国際関係を緊張させる事になるとは予想しなかったでしょう。 ◆南シナ海が危ない! ドゥテルテ大統領は、国内の治安維持だけでなく、フィリピンの元首として、南シナ海での中国の領土拡張を食い止めるという大きな国家的な課題を持っています。 そうした国益上の立場から、中国への抑止力として米国との軍事同盟強化は最重要であるはずなのですが、ドゥテルテ大統領は、米国に自らの尊厳を傷付けられたことが許せなかったのかもしれません。 さらに、重要な事は現在のフィリピンにおける米軍の駐留について「出て行かなくてはならない」とも発言しています。 現在、米国次期大統領選挙を戦っているトランプ、クリントン両候補とも、米軍の海外駐留について、「他国のために米国の軍事費をこれ以上使い、米国の青年の血を流すような事はしない。自分の国は自分の責任で守るべき」と基本的には否定的な考えを持っています。 ドゥテルテ大統領の数々の嫌米感情をむき出しにした発言は、米国次期大統領の米軍撤退の考えを具体化させるきっかけになりかねません。 ドゥテルテ大統領自身は、明確に中国との友好関係を望んでいるわけではなさそうですが、中国は、こうした米比関係の冷え込みで、南シナ海での影響力を拡大することにつながるため、一連の騒動を内心ほくそ笑んでいるはずです。 そして、日本のシーレーン(海上輸送路)にあたるこの海域において中国の影響力が強まることは、当然、我が国とっての死活問題になります。 幸福実現党は、シーレーンの安全を守ることが国益上最も重要であることを訴えてきましたが、その一角である南シナ海に中国の領土拡張の野望が実現しかねない事態となりました。 ◆世界平和に向けての日本の役割 安倍総理は、噂されている来年1月の解散・総選挙に向け「北方領土の返還」という大きな成果を求めて、現在は日露関係の強化に大きな関心を持っているかのように見えます。 この事自体は、国益に適うので否定いたしませんが、少なくとも現時点の南シナ海の危機を考えると、まずは米国とフィリピンの関係改善に努めるべきではないでしょうか。 幸い、9月のASEAN首脳会議でも安倍総理とドゥテルテ大統領は首脳会談を行い、フィリピンの海上警備能力を向上させる方向に向かっています。 海洋進出を進める中国を牽制するために、フィリピンに対し海上自衛隊の練習機を最大5機ほど有償貸与すること、大型巡視船2隻を円借款で供与することで合意するなど、友好的な関係が維持されています。 安倍総理は、両国の関係改善を促進することが可能です。 南シナ海だけでなく、日本は中東でも欧米諸国ほど敵対視されておらず、逆に友好国とも見られているため、イスラム諸国との橋渡しが可能な立場にいます。 このように我が国は、今後、世界の経済成長のけん引役を果たすとともに、世界各地の紛争を仲介し、世界平和へ大きな貢献をすることも可能であり、進めて行くべきではないか、と感じる次第です。 我が党は、そのために今後も政策を訴えつづけ、戦い続けます。皆さまのご支援、心よりお願いいたします。 天皇陛下のお気持ちメッセージから考える日本の精神 2016.10.01 兵庫県たつの市地区代表 和田みな ◆天皇陛下のお気持ちメッセージをうけて 2016年8月8日15時、今上天皇陛下は、自らのお気持ちをビデオメッセージという形で国民に示されました。 そのお気持ちの内容が、明治天皇以降、積極的に排除されてきた「生前退位」の御意向を強くにじませるものであったため、各種メディアにおいても大きく取り上げられ、国民の関心を集めています。 これを受けて、政府は今上天皇一代に限り「生前退位」を認める特措法を軸に法整備を急いでおり、今月から有識者会議が開かれる予定です。 しかし、この天皇陛下の「退位」(以降は「譲位」とする)をどう受け止め、どのようにすれば良いのか、保守系の政治家、専門家の間でも意見が割れており、安倍首相は難しい判断を迫られることになりそうです。 ◆天皇陛下と祈り では、陛下の「お気持ちの真意」はどこにあるのでしょうか。 今回のお言葉の中で、私の心を最も深く打ったのは「祈り」という言葉です。 「私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ました(中略)天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。」 天皇陛下が最も大切にされてきたお仕事「国民の幸福のために神に祈る」という宗教的な聖務こそが、歴代天皇の祭祀王としての共通したお立場であり、日本の祭政一致の国柄を象徴するものです。 歴代の天皇陛下が最も大切にされていたことは、この「敬神」です。 『禁秘抄』(順徳天直筆)においても、「およそ禁中の作法は、神事を先にし、他事を後にす。」とあるように、世の中が乱れ、皇統が危険にさらされるたびに、「敬神」の原点に戻ってこられたのが歴代天皇のご姿勢でした。 天皇陛下は毎日国民のために祈っておられます。その祈りの繰り返しによって天皇には「ご聖徳」が生まれると考えられており、それなしには国は治まらず、国民の幸福はないとされてきました。 国民を治めるべき天皇が、人間心で国民の生命や財産を左右する大事なことを判断することは傲慢だとのお姿が、歴代天皇には一貫して流れています。 今上陛下が国事行為でもない、公務でもない「その他の行為」に位置づけられる宮中祭祀に熱心なのは、戦後、皇統や日本の国の危機的状況の中、宗教的行為を大切にされ、判断を間違わないようにしようとするご歴代天皇の遺訓に従われたからであると感じます。 ◆神仏を敬わない政治 しかし、この日本人が最も大切にしてきた宗教的伝統を次の世代に伝えていくことの難しさに直面しているのが現在の御皇室を取り巻く状況となっています。 平成21年に宮内省は、天皇陛下のご公務、宮中祭祀の「ご負担軽減策」を発表しました。 天皇陛下の体力の衰えを感じられての措置でしたが、ここで対象となったのが、今上陛下が大切にされてきた新嘗祭や旬祭など、宮中祭祀の「簡略化」だったのです。 宗教ジャーナリストの斎藤吉久氏は著書の中で「陛下がご高齢になられたことに便乗して、宮中祭祀を改変したり、簡略化したり、そして、それ以降、それを固定化しようとする「怪しい勢力」が、昭和天皇のころからいたようです。」と指摘しています。(『天皇の祈りはなぜ簡略化されたのか』) 「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなる」と、目に見えないものを信じない政治家や官僚などによって宮中祭祀の「簡略化」が進もうとしています。 それを知っておられる今上陛下が、日本から宗教心がこれ以上失われることに危機感を持たれ、それを阻止しようと必死に抵抗されているお気持ちが「譲位」というメッセージとなったとも考えられます。 ◆宗教性を失ったら天皇制は存続できない 戦後、日本は大きく変わりました。特に宗教に対する価値観の変容は想像を絶するものでした。 政治家も官僚も国民も目に見えることしか信じず、目に見えないものへの価値を認めないどころか、科学的ではないことを忌み嫌うようになりました。 祭政一致の国柄も崩れ、天皇の最も重要な祈りという聖務を誰も理解できず、「祈る」ことによって国民の総意を得ることは難しくなったと感じられた今上陛下は、新しい戦後象徴天皇としての在り方を模索し、常に民主主義の「国民の総意」を恐れなくてはならないようになったのではないでしょうか。 国民が宗教心を失い、宗教性を否定すれば、天皇、皇室の基盤は脆弱なものになります。 終戦当時GHQは、天皇を残しましたが、日本国民から宗教心をなくす政策を推し進めました。それによって、戦後民主主義の中で本来の皇室の制度は骨抜きになりかかっています。 ◆宗教立国にむけた議論を 大切なのは制度ではなくて、精神です。幸福実現党が守りたいものは、制度としての皇室だけではなく、天皇の宗教的、精神的な部分も含めた国柄です。 それは、今の政治にはない「神秘的なもの」「聖なるもの」を大切にしてきた祭政一致の精神であり、天照大神から繫がる日本国民の「神人合一」の精神の象徴としての天皇陛下のお姿です。 国民は今でも、天皇陛下のお姿の中にしっかりと「目に見えない神秘的なもの」を感じています。 どんな政治家が来ても怒りや不安に震えていた被災地の方々が、天皇陛下のお姿を見ただけで、涙を流し復興へ情熱を取り戻す姿を何度も目にしました。 これこそが、天皇陛下のご聖徳であり、日々の祈りのパワー、宗教的なパワーだと思います。 今回の天皇陛下のお気持ちメッセージをうけて、国民が真の「宗教心」を取り戻すきっかけとなるようにしなければなりません。 日本の国柄である「祭政一致」を見直すきっかけとなるよう本質的な議論をすすめ、日本の政治に精神的主柱を立てるべく、憲法改正にむけた宗教政党の責任を果たしてまいります。 日銀のマイナス金利政策を改めて考える 2016.09.29 HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真 ◆日銀の「総括的な検証」 日銀は今月21日、金融政策決定会合でこれまでの金融緩和策について「総括的な検証」を行い、その上で「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を行うと発表しました。 これを受け、幸福実現党は声明を発表しています。 幸福実現党 党声明「日銀の『総括的な検証』を受けて」 (https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3703/) ◆資本主義精神を失わせる「マイナス金利政策」 今回、日銀の発表した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」とは、概して言えば、「マイナス金利の維持を含めた金融緩和策の拡大」を実施することを意味します。 具体的には、「長短操作」とは、日銀が10年物の長期国債の買入れを行うことによって、長期金利をゼロ%程度に推移するようにする一方、市中銀行が日本銀行に預ける当座預金の一部を「マイナス金利」とすること等を通じて、短期金利を低水準にコントロールしようとするものです。 また、日銀の政策が意味する「量的・質的緩和」とは、大まかに言えば、 (長期を含めた)国債や上場投資信託等の金融資産を大量に買い付けることで、市場へ潤沢な資金を供給しようというものです。 大胆な金融緩和政策を行うこと自体は、日本の景気回復実現にとって重要であるのは事実ですが、「禁じ手」としての「マイナス金利政策」には、長期的に資本主義精神を損なわせるなど、様々な負の側面があることを否定できません。 ◆3メガバンクの利益が減少 そして、見逃すことができないものとして、マイナス金利政策が民間金融機関の利益に負の影響を与えているという点を挙げることができます。 8月1日付毎日新聞は、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3メガバンクの16年4-6月期の最終利益が、前年同期比で28%減少し、マイナス金利政策が銀行収益に悪影響を及ぼしたと指摘しています。 日銀のマイナス金利政策というのは、市中銀行が日銀に預けるお金の一部に対してマイナス金利が適用されることにより、市中銀行が日銀に預けているお金を積極的に貸出に回そうと動機づけるものです。 市中銀行が企業や個人にお金を貸し出す際の貸出金利が、日銀によるマイナス金利に呼応して下がる一方で、銀行の預金金利は既にほとんどゼロパーセントの水準にあることから、これ以上銀行は資金の調達費用を下げることができません。 したがって、市中銀行は貸出金利から預金金利を差し引いた「預貸金利ざや」が低下してしまうことになります。しかも、今の日本経済は「利ざやの低下を貸出の増加でカバーできる」ような状況にはないのが事実です。 こうしたことから、日銀のマイナス金利政策に端を発して、メガバンクの収益が悪化することになったわけです。 ◆地方中小金融機関へのダメージ 地方銀行への影響も深刻なものとなります。 全国地方銀行協会の中西勝則会長は6月、マイナス金利について「国内を中心にやっている地銀全体にとっては収益に深刻な影響を与えている」とし、「今年は大変厳しい経営を強いられると思っている」と述べています。 中小金融機関のうち有望な貸出先がない金融機関は、預金を国債で運用するところもありますが、日銀の金融政策により長期金利が低下したために大きな損失を被っていることも、マイナス金利政策により地銀がダメージを受けていることの背景の一つとして挙げることができるでしょう。 ◆政府は「日本の繁栄は絶対に揺るがない」未来志向型政策を! 基本的に、日銀によって行なわれている「特例的」な金融緩和策を実際に機能させるためには、いかに「資金需要を増大させるか」という視点が欠かせません。 メガバンクの首脳からは「企業は先行きに不安を抱えており、金融緩和をしても成長投資に資金を振り向けていない」との声も上がっています(日本経済新聞(電子版)7月22日付)。 やはり、日本の新・高度経済成長の実現のためには、「日本の繁栄は絶対に揺るがない」という先行きへの確信が持てる成長戦略を採用していく必要があります。 この戦略を推進させることによって、民間銀行が企業や個人に対する貸出を活発化させるでしょうし、これを通じてこそ、健全な経済成長の姿が見えてくるのではないでしょうか。 参考資料 2016年8月1日付 毎日新聞(電子版)「3メガ銀 利益28%減 マイナス金利が影響」 2016年7月22日付 日本経済新聞(電子版)「企業、国債敬遠し預金へ マイナス金利影響 銀行収益圧迫」 宇宙に向かって一歩前進?――「超小型衛星」専用ロケット 2016.09.27 HS政経塾6期生 須藤有紀 ◆専用機登場?「超小型衛星」 9月23日の日経新聞朝刊を開くと、「『超小型衛星』利用にはずみ」と題した記事が目に飛び込んで来ました。 打ち上げられる予定の衛星は、東京大学チームが開発した縦横約10センチ、奥行き約30センチと「超小型」。「新たな通信技術を実証するための衛星」ですが、これに「専用ロケット」を使うと言うのです。「超小型衛星」とは、重さが100㎏以下の衛星のことを指します(9月23日日経新聞による)。 大型衛星の開発費用と比べて格段に安く、開発期間も1~2年と短い超小型衛星は、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。 ◆「超小型衛星」で広がるチャンス まず、短期間での打ち上げによって宇宙での実験や、民間企業が編み出した宇宙技術のテストなどの技術開発も進めることができます。 大学等での研究もしやすくなり、技術者育成も進みます。 また、安価に大量の衛星を打ち上げることが可能になれば、僻地の通信環境整備や、農作物の育成状況把握、大型店舗の車両数や道路・交通状況など人の動きを把握することによる企業の経営計画・出店計画への活用、投資判断材料など、さまざまな活用が可能になります。 さらに、国際的に問題視されているデブリ(宇宙ゴミ、破壊された衛星の破片など)の回収も可能になります。 地球観測による安全保障上の役割や、防災面での役割も大きく期待できます。 今までの宇宙開発のネックは、主に膨大な経費がかかることと打ち上げ時期が安定しないことでしたが、超小型衛星と専用ロケットはその弱点を補うことが期待されます。 超小型衛星の開発費は従来の衛星の100分の1以下、専用ロケットも日本の主力ロケットの10分の1以下の開発費で賄えるそうです。 専用ロケットによって、安価で安定した打ち上げが可能になれば、宇宙分野の遅れが指摘されていた日本も競争力を持てるかもしれません。 ◆ロケットって何だ? そもそもロケットとは、基本的には人工衛星を宇宙に運ぶための使い捨ての道具です。 再利用可能なものとして開発されたスペースシャトルは、使い捨てロケットの4倍近い維持管理費がかかり、実用的ではありませんでした。実用的な再利用可能ロケットは現在、鋭意開発中です。 日本で代表的な「H-llA」ロケットは、下から順にブースター付きの第一弾ロケット、第二弾ロケット、衛星フェアリング(人工衛星を守るためのカバーのようなもの)を組み合わせて構成されています。 積み込んだ液体酸素と液体水素を、燃焼室で燃やすことによってガスを噴射し、噴射するときの推進エネルギーを使って宇宙に出るのです(液体燃料の場合)。 奇跡の帰還を果たして感動を呼んだ「はやぶさ」も、このH-llAロケットによって打ち上げられました。 今まで超小型衛星を打ち上げるためには、(1)大型衛星と一緒に打ち上げてもらう、(2)小型ロケットを利用する、(3)国際宇宙ステーション(ISS)からの放出、という3つの手段しかありませんでした。 大型衛星は開発費用が数百億円に及び、頻繁に打ち上げることが難しいうえに開発も遅れることが多いという問題点があります。 ISSからの放出は、衛星の周回軌道がISSの周回軌道に限られるため、すべての衛星に対応できないという難点があります。 小型ロケットも、イプシロンは打ち上げ費用に50億円程度かかるなど、安価で打ち上げやすいとは言えません。 しかし、超小型衛星専用のミニロケットができれば、こうした問題を解消できる可能性が出てきます。 ◆広がる夢、今後の課題 幸福実現党は、経済政策の中に、未来産業振興として10年以内に100兆円の投資や、産学連携の促進等を盛り込んでいます。 宇宙開発を始めとした新しい産業は、事業効果が大きく、技術革新の可能性があるため、もっと大胆に投資することが重要であると考えているのです。 超小型衛星専用ロケットを機に、日本は「国として産業を育てる」という気概を持ち、明確な方向性を示しつつ官民一体となった宇宙開発に力を注ぐべきではないでしょうか。 宇宙は未知の領域であると同時に、無限の可能性と富を秘めたフロンティアです。日本の未来を拓く上ためにも宇宙関連事業に対する、より積極的な投資をすべきであると思います。 【参考】 三菱重工HP http://www.mhi.co.jp/discover/kids/techno_world/rocket/index.html JAXA はやぶさHP http://spaceinfo.jaxa.jp/hayabusa/index.html 『NASAより宇宙に近い町工場 ―僕らのロケットが飛んだ―』 著:植松努 発行日:2015年12月20日 第1刷 出版:ディスカヴァー携書 日銀の「総括的な検証」を受けて(党声明) 2016.09.25 ■日銀の「総括的な検証」を受けて(党声明) https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3703/ このたび、日銀が金融政策決定会合で「総括的な検証」をまとめ、マイナス金利の維持を含めた金融緩和策の拡大を決定しました。 しかしながら、わが党が指摘するように、マイナス金利は資本主義の精神を傷つけるものにほかなりません。 マイナス金利を導入したところで資金需要は喚起されておらず、金融政策に手詰まり感が出ていることは明らかです。 また、今回の日銀のマイナス金利維持の決定は、民間金融機関による貸出金利の低下、それに伴う収益悪化を招くおそれなしとは言えません。 金融機関の信用が揺らげば、日本経済全体の萎縮につながりかねないことを危惧するものです。 そもそも安倍政権は、金融政策や財政政策、成長戦略の政策パッケージによるデフレ脱却を目指していました。 この考え方自体は、2009年の立党以来、わが党が主張してきた経済政策と方向性を同じくします。 しかしながら、これを破綻させたのが、5%から8%への消費増税です。消費税率の引き上げは、国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費の低迷を招き、以来、実体経済には浮上の兆しが見えないのが実情です。 円安・株高を演出したものの、実体経済の改善に有効な手を打てていないのが、安倍政権の経済財政運営であると断ぜざるを得ません。 日本経済の本格回復に必要なのは、「日本の繁栄は絶対に揺るがない」という先行きへの確信が持てる成長戦略であり、実効性ある政策遂行にほかなりません。 金融緩和自体は継続しつつも、消費税の5%への引き下げをはじめ、大胆な減税や規制緩和を通じて民間の自由を拡大し、経済活動の活性化を促すとともに、航空・宇宙産業やロボット産業、防衛産業など、新たな基幹産業となり得る分野の育成・強化を進めるべきです。 また、わが党がかねて訴える「交通革命」を進めることで、経済成長を促すことも可能だと考えます。 国民の負担を軽減し、自由の領域を拡大することを通じて、経済成長の実現を目指すのが幸福実現党の基本方針です。 安倍政権が国家社会主義的な傾向を強めるばかりか、マイナス金利に端を発して、国債に対する投資敬遠による「政府の倒産」も招きかねないなか、わが党は「自由からの繁栄」を掲げ、あるべき経済政策遂行の必要性を訴えてまいります。 平成28年9月22日 幸福実現党 未来の見える農業政策とは 2016.09.24 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆今の農業政策に未来はあるのか 農業に関して取り沙汰されて久しいものに、後継者問題があります。なぜ後継者がいないのでしょうか。答えは簡単で、儲からないからです。もし農業が儲かる職業ならば、人手不足にはならないはずです。 今、日本の農業は、補助金と関税により厳重に保護されています。米であれば、価格維持のためにも予算が使われてきた経緯があります。GDP比で1%に満たない農業に、国家予算の7%を超える額が充てられてきました。 また、消費者の立場で言うと、市場原理から外れた高い米を買わされて、さらに農家のために税金が取られているのです。踏んだり蹴ったりです。 しかし、日本の農業は、そこまで保護しなければならないほど弱いのでしょうか。そして、このように保護されなければ成り立たない職業に、若者が魅力を感じるでしょうか。 ◆農業政策の問題点は政治のご都合・・・ 農家の7割が米農家ですが、生産額では農業生産高全体の2割に過ぎません。酪農と比較してみると、生産額で酪農は米の約半分ですが、戸数で比べると酪農家は米農家の100分の1しかいません。 儲かりにくい業種に、多数の労働力が集まっているわけです。なぜこんなことが起こるのでしょうか。 これこそ、政治の都合です。農業人口を維持してきたのは、選挙の得票のためです。補助金で手厚く保護して、政策を利用した買収行為により、自分たちの票を集めてきたのです。農業政策よりも、農家戸数の維持を優先するという、自民党政治の典型です。この他にも様々な業界に対して同じようなことをやって、その結果が1,000兆円を超える政府の借金です。これは責任問題です。 本当に国民のための政治をするならば、求められるのは農業従事者人口ではなくて、市場原理に基づいた安くて美味しく安全な農作物の供給であるはずです。 ◆農業を保護したい従来型政治の主張 農業を保護するべきだという論拠としてしばしば用いられるのが、農業規模の問題です。 農家一戸当たりの農地面積は、日本を1とすると、EUが6、アメリカが75、オーストラリアで1,309となります。だから勝てないという主張なのですが、しかしよくよく見てみると、オーストラリア1,309に対してアメリカの75が勝っているのです。 なぜこんなことが起きるのかというと、土地の肥沃度などでできる作物は変わりますし、単位面積当たりの収量も大きく変わるからです。 広いからそれだけで有利かと言えば、オーストラリアでは痩せた土地が多く、水などの環境の制約もあり、効率的な農業は実現できていないのです。 農業の現場を見て、もっと地に足を付けた議論をしなければなりません。 ◆日本の農業の強み 日本の農業の最大の強みは、水利でしょう。非常に恵まれています。 水田の多さにその特徴が表れています。水で洗い流すので塩害を防ぐことができており、水で覆うために土壌浸食を防いでいます。また水田が保水をしながら、土砂流出の抑制もしており、土地の保全に重要な役割を果たしているのです。 また、作付面積からすると一見不利に見える棚田ですが、かけ流し灌漑といって、水を上手に利用しています。水利で見た時に、日本の米作の優位は抜きん出ています。海外の米作が、実はそれほど日本の脅威にはならない大きな理由の一つです。 日本の米作の成功事例を挙げると、中山間部の高低差を利用した、田植えや稲刈りの時期をズラす農業があります。実例では、夫婦二人で30ヘクタールの耕作を実現できています。米作農家の平均が0.7ヘクタールですから、中山間部にして十分な大規模農業が実現されています。 別の工夫もあります。穀物と畜産の組み合わせた複合経営です。穀物は価格変動が大きいのですが、価格が上昇したときには穀物として売り、下落したときには飼料用作物として牛肉を売る、こういう事例もあります。 新しいチャレンジに挑む農家が、日本の農業に希望を見せてくれています。 ◆国際競争力を高めて、世界で勝負しよう! 保護政策のせいで、農作物が市場原理よりも高くなっていたら、海外で売れるわけがありません。 お米であれば、安くて美味しくて安全であるからこそ、海外で勝負ができるのです。そのために、まだまだやるべき事ができていないのではないでしょうか。 できることは残っています。それをやらずに現状維持を続けるのか。それとも市場原理を取り入れて、勝てる農業・儲かる農業を目指して一歩踏み出すのか。TPPを目前に控えて、日本の農業の分岐点は、今まさにそこまで迫ってきています。 自殺を減らし、なくしていこう 2016.09.22 幸福実現党 千葉県本部副代表 古川裕三 ◆9月は自殺予防月間 今年4月施行の改正自殺対策基本法で、すべての都道府県と市町村に自殺対策計画の策定が義務付けられ、先週、9月10日から16日までが自殺予防週間ということで、全国の各自治体が自殺防止に向けた取り組みを活発化させました。 自殺対策基本法は2006年6月に成立し、2007年6月に閣議決定された「自殺総合対策大綱」では、「9月10日の世界自殺予防デーに因んで、毎年、9月10日からの一週間を自殺予防週間として設定し、国、地方公共団体が連携して、幅広い国民の参加による啓発活動を強力に推進」すると謳われています。 基本法が成立して10年が経過しましたが、日本の自殺は減っているのでしょうか。 ◆若年層の死因の1位が自殺 ここ最近では、4年前に3万人を下回って以来、連続して自殺者数は減少傾向にあります。 特に中高年、高齢者の自殺者は減少に転じており、様々な取り組みの成果が出ているということができるのですが、大きな問題の一つは、10~30代の若年層における自殺者数は増加傾向、高止まりをみせているという点です。 『平成28年版 自殺対策白書』においても、年代別の死因順位は15~39歳の各年代の死因トップが自殺であることが指摘されています。 ちなみに、日本以外のG7諸国の同年代の死因のトップは「事故」ですが、日本の若者の自殺は事故死の3倍にも上ります。 なお、同白書によりますと、思春期・若年成人層の自殺率を押し上げる要因として、「職場の人間関係」「職業環境の変化」「勤務問題」「学校問題」などを取り上げています。 さらに特筆すべきは、学生に関し、9月1日は、1年の中でも18歳以下の自殺者数が突出して多くなり、その割合は、他の日の2.6倍とあります。 夏休み明けのこの時期は「生活環境が大きく変わり、プレッシャーや精神的動揺が生じやすい」と分析していますが、要するに、いじめが深刻であるということです。 深刻化するいじめ問題を根本的に解決させるために、わが党では、現行の「いじめ防止対策推進法」を改正し、いじめを放置・隠ぺいするなどした教員や学校への罰則を設けることの必要性を主張してきました。 加害者ではなく、被害者をしっかりと守る仕組みに変え、未来ある若者の命を守らなければなりません。 ◆消費税と自殺の関係 一方、壮年期はどうでしょうか。一番の働き盛りである40~59歳における自殺の原因のトップは「経済問題」です。 97年に2万4391人だった自殺者数が、98年には3万2863人にまで急増し、それ以降14年間連続で3万人超となりました。 97年に行われたのが緊縮財政で、消費税率が3%から5%に上がり、公共投資が削減され、新規国債の発行も停止されました。 これらの結果として、失業、倒産、多重債務など、経済苦で自殺する人が激増したのです。 消費増税を断行した当時の橋本龍太郎氏は、のちに国民に対して謝罪しています。 「私は97年から98年にかけて、緊縮財政をやり、国民に迷惑をかけた。私の友人も自殺した。本当に国民に申し訳なかった。これを深くお詫びしたい。」(2001年4月自民党総裁選での発言) 同じ轍を踏むまいと、14年に8%へ増税した安倍総理も、その前年に当たる13年には、超党派の『自殺対策を推進する議員の会』の尾辻会長らと会談し、首相は「自殺は残された家族にとって悲劇だ。自殺者が一人でも減っていくように力を尽くしたい」とのコメントを残しています(2013/11/28朝日新聞デジタル)。 つまり、総理も消費増税したら自殺が増えることを織り込み済みであった、ということです。 ◆「減税」が経営者の命を守る 本当に自殺を減らすことに尽力するというのであれば、それこそ、「増税しないこと」が一番なわけです。 消費税は「安心の社会保障」という大義のために増税されましたが、実際のところは、日本の経済を支え、雇用を守り、国富を生み出している主役であるところの中小企業の経営者の生命および家族、雇用者の暮らしを脅かしてきました。 97年の消費増税のあと、ある大工さんは、消費税の滞納で税務署に土地を差し押さえられ、仕事がなくなり、長年の付き合いだった金融機関からも見放され、自ら命を絶たれました。 経済苦で自殺する人を減らすには、失業、倒産を減らすことです。 どうしたら企業が元気になるか、消費者がどうしたらもっと買い物するか、答えはシンプルで、「消費減税」をすることです。 日本に残された唯一の減税政党、幸福実現党。景気を良くし、経済を成長させ、国民の所得を増やし、「自殺から経営者、国民を守る」のは、わが党だけです。 引き続きのご支援、よろしくお願いいたします。 ※参考:『ちゃんとわかる消費税』斉藤貴男著、『自殺総合対策大綱』、「自殺が日本の若年層で高止まり、死因1位の深刻実態」ダイヤモンドオンライン 特別レポート すべてを表示する « Previous 1 … 84 85 86 87 88 … 253 Next »