Home/ 記事配信 記事配信 日本はどうする?アメリカでささやかれる米中戦争の可能性 2017.07.13 日本はどうする?アメリカでささやかれる米中戦争の可能性 HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆北朝鮮問題の陰で浮上している米中戦争の可能性 北朝鮮によるミサイル問題の陰で「中国との戦争」という重いシナリオが議論されています。 米中戦争の可能性を指摘しているのは、米ハーバード大学のグラハム・アリソン教授で、昨年から米誌「ナショナル・インタレスト」や著書などで発表し、論議を巻き起こしています。 アリソン教授は過去500年間の欧州とアジアの覇権争いを研究し、「台頭する国家」が「支配する国家」との戦争によって取って代わる可能性があると述べ、米中は、互いに望まなくても数年後に、(1)南シナ海で米中軍艦の衝突、(2)台湾問題の緊張、(3)尖閣諸島をめぐる日中の争奪戦などが引き金となり、激突し、戦争を引き起こすという予測が立てられています。(7月12日付産経新聞14版) アメリカに代わって「世界の覇権を握る」という中国の国家戦略のもと、これらのシナリオが日々、現実味を帯びると共に、北朝鮮問題をめぐって米中の対立が激しくなっているのが事実です。 しかし、米中戦争の危機は今に始まったわけではなく、かつての朝鮮戦争、ベトナム戦争も、本当は米中戦争であり、中国は、「自分が戦ってるとは見せないで、支援している国に武器等の補給をして、パイロットなどを送り込んで戦う」ということをするのが得意だということを忘れてはなりません。 ◆中国が北朝鮮を止められない理由 中国は、北朝鮮の核兵器開発に反対し、米国との協力姿勢も示してきましたが、ここにきて、米国が北朝鮮に対する圧力強化を求めていることについて、「解決の鍵は中国政府の手にはない」とし、北朝鮮問題を巡る「中国責任論をやめ、各国がそれぞれ働きかけるべきだ」と異例の反論を米国に対して行っています。(7月11日ロイター) このような矛盾する中国の態度の背景にある本音とはどのようなものなのでしょうか?中国が北朝鮮を止めることができない理由は大きく3つあります。 一つ目は、北朝鮮が暴発することです。経済状態が悪化することで、資金や燃料不足から追い詰められた北朝鮮が、自暴自棄になって軍事的に暴発することを恐れていること。 二つ目は、北朝鮮が中国のコントロール下から外れてしまうことです。これまでも、中国が強い経済制裁をかけると、北朝鮮はロシアにすり寄ってきました。 中国とロシアはお互いに、自国の安全保障のために重要だと考えているエリアで、相手の影響力が高まることを警戒しているため、安全保障上、重要な位置に存在する北朝鮮を失いたくないのです。 三つ目は、中国の国内事情です。遼寧省などの地域は長期の経済停滞に苦しんでおり、北朝鮮との貿易で占める経済利益の割合が大きく、経済制裁を行うことで、国内にマイナスの影響を与えてしまうためです。 また、大量の難民があふれ出すことも予測されます。中国にとって、北朝鮮が米国との間の緩衝地帯であることの重要性は変わらず、自国の安全保障や経済上のリスクを冒して、中国が米国のために本気で協力するとは考えにくいのです。(参照:『中国が北朝鮮を止められない3つの理由』小原凡司) ◆戦わずして勝つ「トランプ戦略」 かつての朝鮮戦争やベトナム戦争が本当は米中戦争であったように、軍事的覇権をもって世界の大国になろうとし、米国に覇権戦争を挑んできている中国の本音や本質をトランプ大統領は見抜いた上で揺さぶりをかけていると考えます。 表舞台では、中国が北朝鮮に圧力をかけるべきだと要求し、首脳会談などでは、融和的な態度で協力を引き出していく一方で、「北朝鮮に強い制裁を行わない中国」という悪いイメージを作り上げて、批判し、一段と強硬姿勢を転じています。 具体的には、南シナ海の人工島近くで「航行の自由」作戦を再開し、台湾に大型武器を売却、北朝鮮と取引のある中国企業や個人に制裁を発動しました。 これに対して、中国は米韓の合同軍事演習が緊張を悪化していると非難し、韓国に新型迎撃ミサイルTHAAD(サード)を配備したことに神経をとがらせ反発、北朝鮮と取引がある中国企業や個人に制裁を課したことにも抗議しています。 米国も米韓演習は対北朝鮮の防衛力を維持するために必要だと反論し、中国が北朝鮮に更なる圧力をかけないのであれば、鉄鋼やアルミニウムなどの物資の米国への輸入を制限する制裁措置を取ることまでちらつかせています。 北朝鮮に対しては、軍事力行使も辞さないという毅然とした態度を示すと同時に、中国が嫌がることを全て行動で示し、中国の覇権を止めるという「トランプ革命」を一貫して実践しているのです。 G20でのロシアとの2時間以上に及ぶ首脳会談や中国との貿易構造まで変え、中国の利益体質を減らして兵糧攻めまで行おうとしているところは、中国の野望を打ち砕き、米国と戦うことをあきらめさせる、まさに、「戦わずして勝つ」戦略です。 国内外で色々と批判されるトランプ政権ですが、この見事な外交手腕には脱帽です。 大統領就任演説で「生命をかけてあなた方のために戦う」と宣言したトランプ大統領の信念と平和を築きあげるための大戦略がここに垣間見えます。 トランプ政権は、北朝鮮が米国本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)を保有することを「レッドライン」として警戒してきましたが、7月4日、米国の独立記念日に、アラスカやハワイを攻撃できるICBMの実験を成功させました。 いよいよ北朝鮮に対して、軍事力行使の可能性が高まり、米中戦争の可能性まで含めたこの現実を、「アメリカ頼み」の日本はどう受けとめ、今後、どのように対応していくのかが問われています。 政局争いを繰り返すことばかりが政治ではありません。当たり前のことを、当たり前のこととして真剣に議論し、この国を守り抜く決断をする政治を実現していきたいと思います。 バウチャー制度の導入で、「質」のいい保育所がつくれる 2017.07.11 バウチャー制度の導入で、「質」のいい保育所がつくれる HS政経塾第6期生 山本慈(やまもと・めぐみ) ◆待機児童はますます増加している 最近では、保護者層を中心に「保活(子どもを保育所に入れるために保護者が行う活動)」という言葉が定着しつつあり、都市部での待機児童問題が大きくとりあげられています。 厚生労働省は平成27年4月時点で、待機児童数が全国で45,315人に達し、平成28年には東京だけで8,466人に上ると発表しています。また入園申請をしていない等の「隠れ待機児童」も存在し、実際の待機児童数は45,315人以上いるとされています。 ◆保育所に預けられるかは、家庭の死活問題 出産後、生活費のために社会復帰する女性が多い中、保育所に子どもを預けられず、再就職できない人もいます。 なかには、保育所に子どもを預けるため、引っ越しを繰り返したり、(戸籍上)離婚したりする家庭もあります。 それほどまでに、子どもを保育所へ預けなければ家庭をやりくりできないという事情が明らかとなっています。 ◆保育所の増設だけではダメ こうした現状に対し、与野党は保育所を増やす政策を打ち出しています。 厚生労働省は平成28年3月28日に認可保育園の定員数を増やす規制緩和を盛り込みました。 しかし、定員数増と同時に保育士の待遇改善に触れなかったことで、保育士の労働環境は更に厳しいものになりました。 保育所を増設したり、児童受入れの定員を増やしたりするだけでは、保育所の「質」の低下と、多額の税金が費やされるだけで、待機児童問題の根本的な解決にはなりません。 ◆サービス向上に力が入らない理由 保育所のサービス向上を妨げているものは、補助金の手続きやおかしな規制です。 保育園経営者のなかには、補助金の仕組みが複雑なため、書類づくりに手がいっぱいになり、サービス向上や事業拡大に専念できないという意見もあります。 また保育所が認可されるには、さまざまな条件が壁となり、新規参入が難しいともいわれています。 ◆バウチャー制度の導入 保育所の「質」を維持・向上させつつ、待機児童問題を解消していくには、バウチャー制度を導入すべきでしょう。 バウチャー制度は「国や自治体などが目的を限定して個人を対象に補助金を支給する制度(※)」で、バウチャー(引換券)を渡すことで、公共サービスを受けられるというものです。 つまり、今よりも保護者が預けたい保育所を自由に選べるようになります。 子どもを預けたい保育所にバウチャーを渡せば、その保育所に補助金がおりる仕組みとなっているので、経営者は補助金の手続きに苦心する必要が無くなります。 (※)コトバンクより引用 ◆よりよい保育がのぞめる バウチャー制度導入により、バウチャーが保育所に渡される分だけ、補助金が入るようになります。 これにより、一定の補助金の限度が撤廃されたことで、限界なく保育士を雇えるようになります。十分な保育士を雇えることで、保育の「質」を維持・向上することがでるでしょう。 (参考) ●2016年4月29日付 Part 1 「保育園落ちた」をなくす方法 – 愛してるから、黙ってられない。 女性が損をしないための3つの政策 http://the-liberty.com/article.php?item_id=11236 ●2016年4月11日付 政府は本気で待機児童問題に取り組む気があるのか~保育中の事故で子供を亡くした母親が訴え「保育士を大切にしないと子どもの命は守れない」~私たち声をあげます!大作戦 http://iwj.co.jp/wj/open/archives/296124 オバマケアと医療保険 2017.07.08 オバマケアと医療保険 幸福実現党・岡山県本部代表 たなべ雄治 ◆オバマケアの廃止は決まらず アメリカでは、医療保険制度改革法(オバマケア)廃止に向けての共和党の代替法案が話題となっています。 オバマケアの廃止は、トランプ大統領の公約の目玉の一つでした。 5月に、オバマケアの代替法案は僅差で米下院を通過しました。 ところが先月末、上院での過半数獲得が見込めず採決が延期となりました。 今、アメリカの医療サービスに何が起きているのでしょうか。 ◆アメリカの医療制度 アメリカでは、医療保険制度の大部分を民間に任せています。先進国では例外的です。 公的医療保険制度もあります。高齢者・障害者向けの「メディケア」と、低所得者向けの「メディケイド」で、人口の3分の1の方がこの制度に加入しています。 上記以外は民間保険であり、多くの米国民は雇用先を通じて民間医療保険に加入しています。 ところがアメリカの医療費が非常に高いこともあって、民間医療保険の保険料も高額になっています。 保険料が払えない中低所得者などを中心に無保険者は10%を超えており、医療費の支払いに起因する破産などの問題がおきていました。 オバマケアとは、上述の問題を解決すべく、国民皆保険を目指して2014年から導入された医療保険制度です。 国民には医療保険への加入を義務付けて、民間保険会社には国民の保険加入を断れないなどの規制を設け、財政支援も加えました。併せて、メディケイドの条件を広げ、加入しやすくしました。 こうすれば、確かに無保険者は減っていくはずです。 ◆オバマケアの評価 では、オバマケアは成功したのでしょうか。 確かに、医療保険の加入率は上がりました。 一方で、保険料が平均25%も値上がりし、オバマケアを提供する保険会社が相次いで撤退するなど、見通しの明るいものではありません。 その原因は、公営の社会保険ではなく、民間保険だからです。 民間保険の場合、リスクの高い人には高い保険料を求めますし、場合によっては加入を断ることもできます。 ところがオバマケアの規制により、リスクの高い国民の加入も断れなくなったため、保険給付が増え、その分を保険料の引き上げで補う必要が出てきたわけです。 さらに、収益を見込めない保険会社が撤退し始めました。 2018年には全米の約半数の州で、オバマケアの保険商品を提供する保険会社が1社以下になるという予想も出ています。 1社だと競争原理が働かず、保険料のさらなる値上がりも懸念されます。 オバマケアは成功とは言えません。 ◆オバマケアの代替法案 対して、共和党によるオバマケア代替法案とは、以下のようなものです。 ・国民への加入の義務付けを外す。 ・保険会社は、リスクの高い人の加入を断ることができる。保険内容に関する規制も緩和する。 ・拡大したメディケイドは、段階的に元に戻していく。 完全にオバマケア以前に戻すわけではありませんが、かなりの部分で規制が緩和されることになりそうです。 しかしこの代替法案が可決されると、再び無保険者が増加していくという分析があります。 上院では共和党の中にも代替法案に反対する議員が現れ、冒頭で述べた採決延期につながりました。 ◆医療保険のあり方 多くの先進諸国で、医療を含む社会保障が財政を圧迫しています。 医療のように、自由化して市場原理に任せればよいと単純には言えない分野が存在します。 まだどの国も、医療保険のあるべき姿を見つけ切れていないのではないでしょうか。 これからも様々な社会実験をしていくことになるでしょうが、方向性を示すことは可能だと思います。 それは、「公共の資源を食いつぶさない」という「インセンティブ(動機)」を与えることです。 日本では安くて高品質な医療サービスがいつでも受けられます。 しかし、私たちが窓口で支払う診察料の2倍以上の額が、国民の税金から支払われていることを忘れてはなりません。(自己負担3割) 「保険診療を無駄遣いしない」という「インセンティブ」が望まれます。 その一例として、岡山県総社市の「総社市国民健康保険 健康推進奨励金制度(総社市国保「健康で 1万円キャッシュバック」)」を挙げます。 一年間保険診療を使わず、かつ健康診断を受けている世帯に対して、1万円を還付するという制度です。 また、夕張市のような事例もあります。 http://hrp-newsfile.jp/2017/3209/ あるいは、保険診療の利用額が少ない人に、年金給付を増額して還付する方法も考えられます。これらは、生活習慣改善へのインセンティブにもなることでしょう。 正しいインセンティブを与えつつ、効率化は市場原理にゆだねる。これが医療保険のあるべき姿だと考えます。 都市開発の新しいフロンティア「空中権」【その1】 2017.07.06 都市開発の新しいフロンティア「空中権」【その1】 幸福実現党政務調査会 都市計画・インフラ部会長 曽我周作 ◆「容積移転」「空中権」とは アメリカでは「空中権」という制度があり、「土地の上部空間を水平的に区画して建築的に利用する権利」とされ、土地の所有権の構成要素の一つとされています。 都心においては、土地の高度利用の観点からできるだけ収益性をたかめる商業施設や事務所ビルを建設しようという力が働きます。 しかし、容積率の制限が存在し、もっと容積率の高い建物を建てたいという需要があります。 一方、ある土地に対して容積率を制限限度まで利用して建築物を建てている場所ばかりではありません。 また、将来にわたっても容積率を余らせることが予見される場所があります。例えば歴史的建造物や寺院、また公園などもそうです。 開発競争の中で神社仏閣や歴史的建造物、オープンスペースを確保する公園、また美術館など文化施設が失われるのは町にとっても損失ですし、守り、残さなければならないものがあります。 未利用の容積率を開発権とみなして移転できるようにするということが発生するのは、「おなじ都心地域のなかにあっても未利用の容積率を残したまま新たな建築更新の必要のない地権者がいる一方で新たに建替えの希望のある地権者が基準容積以上の容積を得たいと考える場合」があるということ、「民間事業の側からは都心の土地利用の有効・高度利用の需要があり、行政からは都心の町の魅力を高める必要性」があるからであるといわれます。(『建築空間の容積移転とその活用』p9より) 容積率を譲り渡したい側と、容積率を譲り受けたい側が、それを取引できるようにするということが行われるのが容積移転であり、「空中権」の取引などと表現されます。 ◆日本とアメリカの容積移転制度 ・アメリカのTDR制度 アメリカのTDR(Transferable Development Rights)制度は1961年にG.ロイドによって提唱されたといわれ、その理念は以下のように指摘されています。 「彼は、都市の開発においては開発密度の調整が必要であり、一定以上のオープンスペースを確保しながら開発は進められるべきであるとし、オープンスペースの土地所有者は、高密度開発が認められている地区の土地所有者に開発権を譲渡し、高密度開発地区の土地所有者はこの開発権を購入しなければならないと提案した。この考え方の中には、都市開発を推進していくうえで、オープンスペースの確保が必要であり、このオープンスペースを強制的に確保させるためには、財産権の補償としての開発権の移転を土地所有者に与えようとする姿勢が見られる。」 つまり、この制度の性質として、開発が規制された土地の所有者に対しての財産保障と、それによってオープンスペースを確保しようという狙いが、まず一つあきらかです。 現在、このTDRは2008年時点で186の自治体で採用されており、オープンスペースの確保の他に、歴史的建築物の保全、農地保護、森林保護、環境保護、低所得者用住宅確保などの目的も果たしています。 また、場所によってはCO2削減などの目標も含まれているように、公益性の目的のために用いられている面があります。 この制度においては、空中権の出し側と、受け側の需要が同時にあることが必要であったため、TDR bankというものが設けられるようになりました。 例えばニューヨークのサウスストリート・シーポート特別地区は歴史的建築物の保全と再開発の推進を目的として地区として位置づけられ、ここでは歴史的建築物の所有者が未利用容積を開発権として、受け地に直接売却するか、仲介者を介することもできます。 この仲介者にあたるのがTDRbankであり、ニューヨーク商業銀行の連合体で組成されました。 また、アメリカでは空中権が土地所有権の構成要素とみなされています。条例で容積率移転の事実を公示することが義務付けられています。(『都市再生を目指して』p17より) 一方、日本では先ほど指摘したように、未利用分の容積が所有権の対象となっていません。 そのため、空中権の取引を制度的に確立するにあたっては第一に権利関係の法的確立が課題になります。 (「法的性格としては、直接土地に及ばない不安定な権利であること、当事者間でのみ有効な債権的権利であること、物権としての公示方法がない」『都市再生を目指して』p17より) (つづく) 「坂の上の雲」を超えた国家ビジョンを目指せ 2017.07.04 「坂の上の雲」を超えた国家ビジョンを目指せ HS政経塾第6期生 坂本麻貴 ◆国の税収が減収 日本経済がリーマンショックの影響を受けた2009年から、今年で8年がたちますが、国の2016年の税収が前年度を下回り、55兆5千億円程度となりました。 これは7年ぶりの前年割れで、所得税、消費税、法人税といった税収全体の8割を占める「基幹3税」がそろって減収となっています。 さらに消費税収は2015年度の1兆4千億円を数千億円下回り、これは2014年4月の消費税率引き上げが絡んでおり、経済成長頼みの財政運営は転機をむかえているといいます。(6月30日付日本経済新聞) ◆社会保障の充実を名目に引き上げられた消費税 2014年に消費税率は8%へ引き上げられました。その少し前の民主党政権かで、社会保障の財源のために消費税率をあげるという法案を通し、それをベースに引き上げられ、また2019年からは10%まで引き上げられます。 しかし、高齢化が進む日本において、消費税の税収を社会保障にあてても、今以上に充実していくことは極めて難しいと言わざるを得ません。 そもそも、消費税制を始めて日本に導入した際、当時の竹下登首相は、「景気が回復し、国の借金を返すまでの間導入する」と私たちに約束しています。その年の税収は60兆円ほどでした。 しかし、その後景気はいっこうに回復せず、27年間、一度もこの60兆円の税収を超えたことがないのです。 1997年には5%へ引き上げ、これによってさらに景気は悪化。その後8%に上げたことの影響が、今になって現れてきたといえます。 消費税の増税では、景気は回復しないということがいよいよ明確になってきました。 ◆鍵を握る企業の国内回帰 今回の減収の要因の一つとして、企業のグローバル化についても指摘されています。 日本企業が海外に進出し現地で雇用したりすることで、日本に法人税や所得税が入らず減収したということです。 ここから、海外に進出している企業が、再び日本国内に立地していく必要があり、そのためには大幅な法人税の減税が必要です。 また、企業が魅力に思う人材を教育によってつくっていくことも重要です。 ◆坂の上の雲を超えた国家ビジョン 戦後日本は坂の上の雲を目指して経済成長してきました。それがここ30年は坂を登りきり、下り始めたかのようになってきています。 日本では、経産省を筆頭に日本の技術力に注目し、「モノづくり」を推進してきました。 戦略を階層で考えるというものがありますが、技術力というのは最下層にあたります。 「技術」→「作戦」→「戦略」→「大戦略」→「政策」→「理念・世界観」(奥山真司氏講義より所収)と進むにつれ上の階層になっていきますが、下の階層でどんなに素晴らしくても、より上の階層が強い方が勝ってしまいます。 今、日本には、世界の中でどのような存在なのかという理念や、世界の中でどういうビジョンを持ち、どの方向へ舵を切るのかという世界観が必要です。 幸福実現党のもつ、「より多くの人を幸福にする」という理念や「世界をリードする日本」といったビジョンが必要なのではないでしょうか。 教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない 2017.07.01 教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな ◆今年の夏は憲法改正議論が熱い 2020年の憲法改正にむけて、永田町の動きがあわただしくなってきました。 安倍首相は自民党改正案の年内国会提出を目指す意向を示しており、自民党憲法改正推進本部は9月にそのたたき台をまとめたい考えです。 ◆教育の無償化は憲法改正の主要4項目 自民党憲法改正推進本部は、これから、主要4項目を中心に議論を進める方針ですが、その中で、最も各党の合意が取りやすい項目は「教育の無償化」です。 先月、政府がまとめた「骨太の方針」にも「幼児教育・保育の早期無償化」や「高等教育の改革」が盛り込まれる形となりました。 民主党政権時に高校の授業料無償化に反対した自民党としては大きな方向転換ですが、改憲勢力として重要なポジションにある日本維新の会を取り込みたい安倍首相にとって、維新が強く主張する「教育の無償化」が重要な論点となっていることがわかります。 現在、日本国憲法第26条において、義務教育は無償と定められています。また、2010年度からは、高校の授業料についても全額または一部が無償となりました(「高校無償化法」)。 「教育の無償化」議論は、就学前教育や高等教育までこの範囲を拡大しようとするものですが、憲法に明記し、一律に無償化する必要があるのか甚だ疑問です。 ◆高等教育の無償化も問題点 「高等教育の無償化」にはどのような問題点があるのでしょうか。 日本の大学の教育支出に占める私費負担の割合は65%と非常に高く、学生と家族に重い経済的負担が問題であると言われています。 このような現状に対して、日本維新の会などは「無償化は教育の機会均等、少子化対策にも資する」「教育投資は成長戦略である」と主張しています。 一方で、定員割れの私立大学は全体の4割強に達しており、授業料を無料にすれば、無料であることのみを理由に進学する人が増えることが予想できます。 また、学割や様々な学生サービスを利用したいがために、学ぶ意思のない人が進学するケースも懸念されます。 このような学生の増加は、定員割れに苦しむ大学にとっては、非常にありがたい施策であるかもしれませんが税金を支払っている国民にとっては、許せることではありません。 やる気のない学生の授業料を税金で賄うことが、投資として本当に有効であるとは思えません。 本来、大学も他の企業同様、市場原理の下で、学生に必要な教育の質を確保し、競争力を維持できるよう、努力するべきです。そのために、国は授業内容や授業料などを自由に設定できるようにすべきです。 逆に、無償化によって経営状態のよくない大学を国が支援する形になれば、「定員割れ」の大学は努力する必要がなくなり、結果として、大学教育の質の低下を招きます。これでは、意欲のある学生が大学に進学するメリットも薄れてしまうということになりかねません。 ◆就学前教育の無償化 様々に問題がある高等教育の無償化に対して、就学前教育の無償化については、肯定的な意見が多くみられます。 経済学的な観点からは、「年齢が低いほど人的資本投資の社会的収益率が高い」とする、米ノーベル経済学者のJ.ヘックマンの研究を引用し、幼児教育や保育への投資が正当化されてきました。 さらに、社会保障的な視点からは、自民党の小泉進次郎氏などが主張するように、今の時代は「子どもは社会全体で育てるもの」であり、高齢者向けの社会保障費の増加に比べて、子ども向けの施策の少ないアンバランスな構造を是正するために、就学前の子育て支援の必要性が述べられてきました。 しかし、日本の場合、4歳で幼児教育施設に通っている比率は95%であり、すでにほとんどの子供が幼児教育を等しく受けている現状があります。さらに、保育対象の子供たちの内、全国で2万3000人が待機児童となっており、受け入れる器がない状態です。 待機児童問題が解決されない中、就学前教育が無償化されれば、今預ける必要のない子供たちまで、保育園への入園を希望するようになることは明らかです。 そうなれば、更なる保育園不足が問題となる可能性が高く、これによって保育の質の低下も懸念されます。 ◆憲法に教育無償化を盛り込むことは単なるバラマキ どのような家庭環境にある子供にも、教育を受ける機会を保障することは大切ですが、「教育の機会均等」のためというのであれば、教育内容にも議論が及ぶべきではないでしょうか。無償化によって質の低下を招いては意味がありません。 憲法改正には賛成ですが、教育の無償化を書き込むことには反対です。「教育の無償化」を憲法に明記するとなれば、義務教育と同じように、親の収入や子供の数に関係なく、一律に無償化されることになるでしょう。 これは単なるバラマキであり、ポピュリズム政治です。 教育は一律に無償化するのではなく、経済的に苦しい家庭に対しての、保育料や授業料の減免や教育バウチャー制度の導入、奨学金の拡充などで対応すべきです。 給付型奨学金制度に今よりも多くの予算を割き、能力ややる気のある学生を支援することも、無償化より有効な教育投資になると考えます。 「幼児教育無償化」は選挙対策か? 2017.06.29 「幼児教育無償化」は選挙対策か? HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆政府が掲げる「幼児教育、保育の早期無償化」について 政府が先月発表した、骨太の方針の素案では「幼児教育、保育の早期無償化」が謳われています。 しかし、無償化に必要な年間7000億円にも上る巨額な財源についての具体案は示されていません。 一応は、財源について、年内に結論を出す方針とのことで、(1)財政の効率化、(2)税、(3)新たな社会保険の3つの案が示されています。 (1)財政の効率化は、日本の経済成長と密接にかかわる分野であり、すぐに効率化できて財源をねん出できるわけではありません。 (2)の税と、(3)新たな社会保険(「こども保険」)というのも、要するに消費税の増税か、社会保険料の値上げ、ということになりますので、結局、国民の負担を強いるということになります。 ◆無償化の是非 無償化について、教育経済学的な立場では、「人への投資は収益率が高い」という点をあげて賛成する人が多くいます。 特に最近は、ノーベル経済学賞受賞者のヘックマン氏の著書『幼児教育の経済学(原題『GIVING KIDS A FAIR CHANCE』)が引き合いに出され、賛成側の論拠のひとつともなっています。 本書の英語の原題である、「恵まれない子供たちへ公平な機会を与えること」という趣旨には賛成ですが、一律にすべての子供を対象に無償化させることには反対です。 政府は、幼児教育無償化について、「すべての子どもに質の高い幼児教育を保障すること」を目指す、としています。 すでに現在もひとり親家庭や多子家庭に対する無償化への取り組みは始まっていますが、セーフティネットとしての機能は必要ですが、無償化対象を「すべての子供」にまで拡大させる必要はありません。 ◆日米の違い 6月28日付日経新聞のオピニオン欄に掲載された慶応大学教授の赤林英夫氏の寄稿(「幼児教育『無償化』意味がない」によると、ヘックマン氏の主張では、主に50年前のアメリカを事例として、教育機会に恵まれない就学前の子供に質の高い教育を施したときの効果がデータとして示されますが、アメリカは先進国のなかで就学前教育(4歳まで)の普及が最も遅れている国であると指摘しています。 さらに、OECD統計では、4歳で幼児教育施設に通っている比率は68%でも、日本は95%にも達しており、日本国内においては4歳から5歳の子供の就園率を上昇させる余地はほとんどないことを指摘したうえで、無償化させることは、いままでは親が自ら進んで出していた教育費を税金で肩代わりすることにすぎないと論破しています。 つまり、政府は、消費税や社会保険料を上げて国民を苦しめつつも、「無償化」を謳うことによって人気をとり、税金の「バラマキ」対象を増やして票を買いたいという「選挙対策」がその本質です。 お上中心主義というか、全体主義的というか、どうしても現政権は「上からの革命」を企図しているようにみえます。 ◆「しらかし貴子」氏、保育の規制緩和を訴える 幼児教育の無償化は必要がない、ということについて論じてきましたが、今、喫緊の課題は、やはり東京都を中心に、大都市部が抱える「待機児童」の解決ではないでしょうか。今も全国で2万3000人もの待機児童がいるというのは異常事態です。 現在、小規模認可保育園の園長を務める「しらかし貴子」氏は、保育業界の規制緩和を訴えています。 参考:リバティWEB http://the-liberty.com/article.php?item_id=13143 現場に身を置き、多くのママたちの悩みに接し、改革の必要性を心底感じている「当事者」にこそ、行政を変える真のパワーがあるのではないでしょうか。 広島県三次市における避難訓練等の口頭陳述 2017.06.27 広島県三次市における避難訓練等の口頭陳述 幸福実現党 広島第3選挙区支部長 野村まさてる ◆広島での初の口頭陳述 先日、広島県内の各自治体に提出した「北朝鮮ミサイルに備えた避難訓練等の実施を求める陳情」ですが、三次市議会から、「総務常任委員会で審査が行われる事になったが、書面にない追加の趣旨説明と質疑応答を行う事ができるがどうするか」という連絡がありました。 広島県で初めて公の場で市議会議員に直接避難訓練の必要性を訴えるまたとない機会であるため、出席する旨を申請しました。 今回提出した陳情書は、当該議会の議員の署名などがない要望書であったため、審査を行うかどうかは任意だったようです。 また、特定政党からの要望である事や、提出者(筆者)が当該地域に住所がないなどの理由から、委員会では審査に否定的な意見もあったと聞きました。 そのような中で審査が行われたという事は、避難訓練の必要性を多くの市民が認識しているという事でもあります。 ◆委員会での陳述内容について 追加の趣旨説明として、 「21日に北朝鮮がICBMのエンジンの燃焼実験と思われる実験を行っていること」 「憲法前文にある『平和を愛する諸国』とは言えない国家が近隣に存在すること」 「東日本大震災時に避難訓練を行なっていた児童が助かったこと」 「想定外を無くし、万が一に備える事は行政の務めであること」 を伝えました。 質疑応答では、予想していた「不安を煽る事になる」などの意見は出ず、 「避難訓練以前にできる事もあるのではないか」 「他の自治体では避難訓練を実施しているか」 「県内の他の自治体にも陳情書を提出しているのか」 「政府には働きかけているのか。返答はあったのか」 「難民の受け入れは自治体ではなく政府の仕事ではないか」 といった質問がありました。 ◆口頭陳述を終えて 委員会での陳述の様子を記録に残そうと写真撮影を申し出ましたが、委員会の決議により却下されました。 委員会での陳述後に行われる審査は非公開との事で、委員会での採択はブラックボックスになっているようです。こうした対応は自治体によって違うようです。 やはり、自治体では具体的な対策はまだまだ進んでいませんが、陳情活動を展開することにより、地方議会へ働きかける力となります。 特に、広島では、陳情書の提出の際に「その思想は他国を刺激する」「不安を煽る事になる」などの言葉を複数の担当者から聞きましたが、陳情をタイムリーに提出する事が保守派の議員の方にその事案について認識してもらう事につながりました。 引き続き、万が一に備えて国民の安全を守る準備の必要性を訴えてまいります。 神戸市議会、都市防災委員会での口頭陳述を終えて 2017.06.22 神戸市議会、都市防災委員会での口頭陳述を終えて 幸福実現党・兵庫県本部 代表代行 湊 侑子 先日、神戸市会(神戸市議会)の議長宛に陳情をした際、関係委員会において口頭陳述をいたしました。 その経緯と内容を共有させていただきます。 ◆陳情から口頭陳述へ 5月初頭「北朝鮮のミサイルに備え避難訓練等の実施を求める陳情」提出のため議会事務局を訪れた際、希望すれば陳情に関係する委員会において、口頭陳述が可能であることを知りました。 迷わず、次回の委員会開催時に行いたい旨を伝え、必要書類を記入し申請。 陳情内容が危機管理案件だったため、都市防災員会管轄となり、5月29日に委員会に参加いたしました。 ◆都市防災委員会での口頭陳述内容 口頭陳述の持ち時間は一人5分間。陳情の内容をそのまま読み上げるのではなく、補足・説明などを行うように言われました。 陳情には、避難訓練の実施から武装難民への適切な対策を講じることまで、かなり幅広く盛り込まれていましたが、当日は避難訓練の実施に焦点を絞り、避難訓練方法の提案とともに、三点の周知徹底を要望しました。 【訓練方法】 現在、神戸市で行っている南海トラフ地震に伴う津波からの避難訓練において、一部地域を限定し、北朝鮮ミサイル落下を想定した避難訓練を行う。 【周知徹底の要望】 (1) Jアラート (2) 弾道ミサイル落下時の行動について・行動に関するQ&A (3) 国民保護特殊標章 (1)に関して 以前よりも有名にはなりましたが、未だそのサイレン音を聞いたことがない人も多い。 また、サイレンは防災無線から流れるが、防災無線が聞こえない地域に住んでいる人はJアラートも聞こえない。 そのような場所が神戸市内にないか、確認をしてほしい。 (2)に関して この2種類のチラシを、町内会の回覧板で回す、市の広報誌に載せる、地域の掲示板に貼るなどして、周知徹底をしてほしい。 大分県日田市では、回覧板で回っている。広島県広島市では、児童館の掲示板にすでに掲載されている。神戸市も倣ってほしい。 (3)に関して 「いざ」という時の避難誘導は市職員の仕事。有事の避難責任は、自治体にあり市長の責任。自衛隊ではない。 その際に着用するのが、「国民保護特殊標章※」と呼ばれるマークの腕章で、この腕章を付けた人の誘導に従わなければならないが、まだ全く知られていないのが現状。これでは誘導はできない。 神戸市会 都市防災委員会 録画映像が配信されています(3:00‐7:37に発言しています) http://gikai.congress-streamsp.jp/KobeCity/embedPlayer100.asp?Id=20170529135632&LPP=%93s%8Es%96h%8D%D0%88%CF%88%F5%89%EF&wanen=H29 ◆神戸市における危機管理の実態 以上、5分間の口頭陳述の後、委員(議員)が陳情・口頭陳述に関する内容や現状がどうなっているのか神戸市危機管理室に質問、危機管理室がそれに応える、という受け答えが行われました。 陳述内容によっては質疑がない場合があり、3分で終わることもあると聞いておりましたが、当日の朝にまたミサイルが撃たれたこともあり、委員と危機管理室とのやり取りが思った以上に行われました。 「国民保護協議会が1年半も行われていないが、どういうことか」 「北朝鮮から神戸市に向けてミサイルが撃たれたら、いったい何分で着弾するのか」 「核シェルター用の予算はとってあるのか」 「ミサイルが撃たれたら、地下鉄に逃げ込むというが、混乱はしないのか。シュミレーションしているか」など。 これらのやり取りの中で分かったことは、神戸市としては特筆すべき対策を取っていないということでした。これに対しては何人かの委員から非難の声が上がり、早急な対応が危機管理室に求められました。 私としては、行政を動かすことができる一つの形を知ることができましたので、今後の神戸市の対応に注目していきたいと思います。 ◆全国で陳情・口頭陳述活動を行おう! 今回の経験を通し、自治体ができることは限られており、不幸にして起こってしまった事態に対し、被害を最小限に食い止めることまでしかできない、ということも良く分かりました。やはり、国政に関与する議員を輩出しなければなりません。 ただ、小さな一鍬であったとしても、それらが集まれば大きな力になることも事実です。 日本全国、特に日本海側に位置する自治体、大都市、在日米軍・自衛隊基地がある自治体では、積極的に口頭陳述を行い、行政に関わっていくべきだとも思いました。 現在、避難訓練に関する口頭陳述や趣旨説明は、他にも北海道、千葉県、石川県、富山県、広島県、島根県、広島県、大分県、熊本県等の十数の市町村で行い、今後も各地で取り組んで参ります。 ※【参考】「国民保護標章」を説明した動画(10分59秒から「国民保護」の説明があります) https://www.youtube.com/watch?v=H-F7gdvKiqk&feature=youtu.be 夕張市の奇跡――自助の精神が日本を変える 2017.06.20 夕張市の奇跡――自助の精神が日本を変える 幸福実現党・広島第二選挙区支部長 水野善丈 ◆『2025年問題』 皆さんは『2025年問題』をご存知でしょうか。 2025年に日本は、団塊の世代が75歳を超えて後期高齢者となり、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という「超・超高齢社会」を迎えます。 これが『2025年問題』と言われるものです。 この「超・高齢化社会に伴い増大しつづけるのが社会保障費であります。 現在、日本政府の歳出の多くを占め、約1000兆円ある政府の借金を増やす要因となっているのもこの社会保障費です。 今後、日本で高齢化社会が進む中で、この問題をどう乗り越えていくのかを世界各国は注目しています。 そして、この問題を解決するヒントを北海道の夕張市からご紹介させて頂きたいと思います。 ◆高齢化率が高い夕張市 夕張市は、札幌から60km近く離れた北海道の中心部に近い市で、人口が8593人(5月末時点)である小さな市です。夕張メロンでも有名ですが、2007年に財政破綻し、財政再建団体となった唯一の市でも知られています。 かつて日本有数の産炭地として栄えた市でしたが、炭鉱の閉山や観光開発の失敗も重なり、人口はピーク時(1960年代)の約12万人から激減し、現在では、1万人をきっています。 しかも、夕張市は全国の市で高齢化率が最も高い市でもあり、8593人のうち65歳以上が4301人で人口の48.86%が高齢者となっています。 こうした中で、夕張市では、財政破綻とともに医療崩壊もおきました。 公営の総合病院は財政破綻の同年2007年に公設民営化され、診療所は171床から19床に縮小、市内の病院にはCTやMRIなどの機器はなくなり、救急病院も無くなったため、病院到着まで倍近くかかるようにもなってしまったのです。 これが、2050年の日本の未来を先取りしているともいわれていました。 ◆医療崩壊からの復活 さて、夕張市に残された高齢者は、医療崩壊のせいで、病気に苦しみ、悲惨な目にあっていたのでしょうか。 実は、全くの逆の現象がおきました。お年寄りは元気になり、寿命も延びてしまったのが実際の状況でした。 例えば、日本人の死因上位三疾患(心疾患、肺炎、ガン)の死亡率が、全国で増えている中で、夕張市は下がっています。 実際に、三疾患の標準化死亡比(SMR)は、胃がんであれば、2006年134.2だったのが、医療崩壊後2010年には91.0まで下がり、肺炎については、125.0(2006年)から96.4(2010年)までに低下しています。(週刊日本医事新報「夕張希望の社の奇跡」参照) また、全国的に一人あたりの医療費は増加しておりますが、夕張市の一人あたりの医療費は、2005年に83.9万円から2010年には73.9万円へと減少しています。 このようなことができたことの要因に、夕張市立診療所の前所長で医師の森田洋之氏は、病院があるから安心ではなく、病院に頼ることなく、予防の意識を市民の皆さん一人ひとりが持ち、地域で支え合う温かい風土ができたことを挙げられています。 参考:「医療崩壊のすすめ」(動画) https://www.youtube.com/watch?v=lL8aJE9Xp3Y ◆夕張市の事例から学べること 今回の夕張市の事例は、財政破綻・医療崩壊もした危機の中で、人間が持っている底力の部分や自立した精神こそ社会や自らを良き方向に導くことを教えてくれたものであると思います。 現在の政治は、社会保障を手厚くする代わりに国民から税金を多く徴収するというスタンスで運営を行っています。 一見、国民にとって楽であるから良いように見えますが、「地獄への道は善意で舗装されている」という言葉があるように、実際は、財政赤字は膨れ上がる一方で、増税により使えるお金が少なくなり、個人の選択の自由も無くなっていく地獄の道へと繋がっています。 もちろん、社会保障がいらないわけではなく、自助の精神に立脚したうえで、どうしても逃れられない困難に出くわすことも人生にはあるので、その時に社会保障などのセーフティネットを使えることは大切であります。 しかし、過度な社会保障は、国家財政を崩壊へと導くだけでなく、自由や人間の本来持っている力を喪失させ、堕落させる方向へと導いていくので問題であると考えます。 やはり、超・高齢化社会に向けては、「生涯現役」という理念を掲げ、高齢者も生きがいを持って働いていける社会の環境整備を優先すべきであると考えます。 そこには、個人として、人生を選択できる自由があります。 今回の夕張市の事例は、「超・高齢社会」に突入していくこれからの日本の大きな教訓を与えてくれたものであると思います。 すべてを表示する « Previous 1 … 69 70 71 72 73 … 252 Next »