Home/ 記事配信 記事配信 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【後編】 2019.03.07 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【後編】 幸福実現党 HS政経塾1期卒塾生 湊侑子 ◆追い込まれる台湾と日本の過ち 前編では、香港に対する中国の政治的圧力を述べて参りました。 同じような未来が、台湾にもおとずれてしまうのでしょうか。 実際に、台湾の現状は厳しくなっています。 蔡英文政権になった2016年5月以降、台湾とエルサルバドルやドミニカ共和国など5か国が断交しました。これらは、台湾断交と同時に中国との国交を持ちました。 台湾が国交を持つのは現在17か国のみであり、国際社会において影響力が小さな国ばかりです。 かつては国連において常任理事国であったその地位を中華人民共和国に奪われて以来、台湾は中国にどんどんと国際社会の隅に追いやられています。 中国の狙いは、台湾という国がこの地上に存在しなかったことにすることでしょう。日本はかつてその狙いに手を貸してしまい、台湾を裏切りました。 1972年、日中国交正常化の際に出された日中共同声明発表後の記者会見の場で、日中国交正常化の結果、 日華平和条約は存続の意義を失い終了した(台湾との断交)との説明を行ったのです。 台湾は日本の方針に強く反発はしましたが、覆すことはできず、日華平和条約に基づいて過去20年間外交関係を維持してきた台湾との国交が断絶しました。 日本は日中共同声明の中で、「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であること」を認め、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること」を「日本国政府は、十分理解し、尊重」する、と明記したのです。 しかし本当は、そこまで急いで中国の主張を全面的に受け入れ、日中国交正常化をする必要はなかったのです。一方的に台湾との断交を宣言した結果、台湾は現在の立ち位置まで後退しました。 同じ日本人であったことがある台湾の人々を裏切ったことは、私たちの恥の歴史です。そしてその結果、台湾はこの地上から消えるかもしれない危機を迎えているのです。 日本は一度犯した過ちを、もう二度と繰り返してはならないと思います。 ◆自由と民主主義、繁栄、信仰を守る使命が日本にはある 台湾防衛は、運命共同体である日本人の義務であり、台湾の方々へ誠意を示す最後のチャンスであります。 今後ますますかじ取りが難しくなるであろうアジアの安全保障において、絶対に不可欠な要素が民進党の蔡氏の再選です。 来年1月の総統選への再選出馬を表明した蔡氏は、2月19日のTwitteで、「私の2300万人の仲間の市民のために、明るい未来を築きながら台湾の自由と民主主義を守ることは、戦うに値する目標だ」と綴っています。 私たち幸福実現党も全く同じ思いです。 台湾が数十年かけて手に入れた自由と民主主義、また香港の持つ経済発展のための智慧や繁栄、そして共産党が何よりも恐れる神仏への信仰を中国本土に入れることこそが、台湾2300万人のみならず、中国国民14億人を全体主義の圧政から救い出す道であり、アジアの防衛と幸福の基になるのです。 現在、香港においては中国本土に歯向かう動きをした政党は活動禁止になります。 中国本土では共産党の指導を受け入れ、追認する合法政党があるのみで、実質一党独裁が行われています。 非合法政党が設立宣言を行うと党首・党員が逮捕されるため、中国国外で設立を宣言するしかありません。 しかし中国本土において、自由と民主主義、資本主義による繁栄、そして信仰を掲げる政党の出現こそが、私たちの願いです。 台湾をはじめ、香港や中国本土の幸福の実現のために、私たちは使命を果たすつもりです。 (参考文献) 蔡英文 Twitter https://twitter.com/iingwen?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor Newsweek日本版 香港民主化を率いる若きリーダーの終わりなき闘い 2018年3月10日(土) https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9704.php THE SANKEI NET 香港の若者の半数が移民希望 政治対立に嫌気 https://www.sankei.com/world/news/190107/wor1901070006-n1.html AFPBB News 香港政府、独立派政党に活動禁止命令 返還後初 2018年9月24日 14:08 発信地:香港/中国 [ 中国 中国・台湾 ] https://www.afpbb.com/articles/-/3190680 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【前編】 2019.03.06 迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【前編】 幸福実現党 HS政経塾1期卒塾生 湊侑子 ◆中国による台湾進攻は、現実的な問題 本年1月2日、習近平国家主席は北京の人民大会堂において、台湾の私有財産や信教の自由などは十分に保証されるとし、台湾同胞の利益と感情に十分に配慮する前提で、一つの国に異なる制度を認める「一国二制度」の具体化に向けた政治対話を台湾側に迫りました。 同日、この提案に対して、蔡英文氏は台湾の絶対多数の民意として、受け入れを拒絶すると会見で発表しました。 蔡英文は2月28日産経新聞の単独インタビューを受け、日本に安保対話を要請する趣旨の発言を行いました。 そしてその内容を、自身の公式ツイッターで日本語で発信しました。 蔡氏の発信を要約すれば、 (1) 他国(アメリカや日本)と協力して、台湾を中国からの攻撃(世論操作、偽情報、武力)から守りたい。 (2) 中国が言う『一国二制度』は断固拒否する。 (3) 国際社会にもっと台湾の存在を重視してもらいたい。 (4) 経済的に中国以外の国との繋がりを強くしたい(TPPに参加したい)。 (5) そのために、日本と話し合いがしたい。 という内容です。 普段、英語での発信を行う蔡氏にとって、日本語での発信は初めてではないですが、珍しいことです。 また基本的に一日に一投稿なのですが、これに関しては、日本語で四回・英語で五回、計九回連続で投稿を行っています。 中国による台湾進攻が現実性を持って迫っているのだと感じさせる内容です。 ◆幸福実現党は台湾を見捨てない 蔡氏の要請に対して、幸福実現党はすべて答えを用意しています。 (1) 日台関係に関する基本法を制定し、台湾との関係を強化します。台湾への武器供与を行うなど、安全保障面での関係も強化します。 (2) 台湾を独立国家として承認・国交回復を目指します。 (3) 台湾の国連加盟を後押しします。 (4) 日台FTAを締結して経済関係を強化します。 これが、2019年の現時点で幸福実現党が掲げるマニフェストの台湾に関する部分です。 中国共産党設立100周年の2021年、中国は台湾への武力侵攻を本気で考えています。 幸福実現党は台湾防衛に向けて、アメリカと共同作戦が出来るよう、国際標準的な集団的自衛権の全面的な行使を想定しており、憲法9条の改正とともに法整備を考えていることも、明記しています。 一方、自民党HPに掲載されている公約(最新版 自民党政権公約2017)には、「台湾」という言葉や台湾防衛に関することは明記されていません。 中国に配慮してのことでしょうが、経済力においても国際信用力においてもアジアの雄である日本の政権与党の公約としては残念です。 ◆台湾の未来、香港の今 台湾の未来は、香港の今を見れば想像できることです。 1997年にイギリスが中国に香港を返還した際、中国は本土と異なる政治・経済制度を今後50年間維持し、高度な自治を認めると約束しました。 しかし返還から20年も経たない2014年、普通選挙を求める香港市民による雨傘革命が香港・中国政府によって鎮静化させられ、その後は民主派市民の立候補妨害、当選後の議員資格はく奪・民主派政党の活動禁止と圧力が強まっています。 「1国2制度というより、1国1.5制度だ」 「その0.5もどんどん縮小し、完全に中国の支配下に置かれようとしている」 と雨傘革命リーダーの一人、黄之鋒は語っています。 香港中文大の香港アジア太平洋研究所は2019年1月7日、香港18~30歳の若者のうち51%が海外移住を考えているとの世論調査の結果を発表しました。 2017年の前回調査から5.5ポイント増加しています。 理由では「政治的な論争が多すぎ、社会の分裂が深刻」が25.7%で最多を占めています。これらの割合は今後ますます増えていくと予想されます。 次回、後編では、こうした香港の教訓を踏まえ、さらに台湾の現状と日本の役割について明らかにして参ります。 (つづく) トランプ氏が米大統領であることの価値を改めて考える 2019.03.02 トランプ氏が米大統領であることの価値を改めて考える 幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太 先月末から今後の極東情勢を占う3つの象徴的な課題が立ち並びました。 ◆その1 米朝首脳会談 まず、2月27~28日ベトナムで行われた「米朝首脳会談」です。 初日、トランプ大統領は金正恩委員長と共に和やかなムードを演出していましたが、翌日は一変、昼食会と署名式は急遽キャンセル、事実上の物別れとなりました。 その理由は、米国側が求める「非核化」と、北朝鮮側が求める「経済制裁の解除」の中身に埋まらない隔たりがあったことです。 具体的には「完全なる非核化」へのロードマップ提示に応じて、人道支援等の見返りを準備していた米国側に対し、北朝鮮は約150か所の核施設のうち、寧辺(ヨンビョン)のみの廃棄と引き換えに、「経済制裁の全面解除」を強引に求めた点にあります。 会談結果に関し、北朝鮮に安易な妥協をしなかった点を評価する一方、「トランプ政権の準備不足だ」という論調もあります。 しかし、イランの核合意破棄で象徴されるように、国際世論を敵に回してでも実効性の低い協定には断固「NO」を突き付けるトランプ大統領と、交渉する準備が欠如していたのは、逆に金正恩委員長側だったのではないでしょうか。 有事間際だった1年前から見れば、考えられない進展であるのは確かですが、今回の決裂によって、「完全な非核化」に向けた米国側のプランの中に再び「軍事的オプション」が加わるといっても過言ではありません。 ◆その2 韓国の3.1独立運動 2つ目が、韓国で行われた「3.1独立運動」です。 今年は日本からの独立運動100周年を迎える記念日となり、反日一色となる事が懸念されていましたが、文大統領は例年以上に直接的な批判を控え、意外にも「(未来志向の)日本との協力強化」をも訴える内容でした。 レーダー照射問題を皮切りに、徴用工裁判、慰安婦問題を巡る天皇謝罪発言など、韓国の一方的なスタンスで冷え切っている日韓関係ですが、10月に行われる海上自衛隊の観艦式に、米国やインド、中国を招待する中、「謝罪しない限り(韓国の)招待はありえない」とし、日本も筋を通す姿勢を求めています。 また、ボルトン米大統領補佐官が訪韓を急遽中止した直後、中国軍機が防空識別圏に進入するなど、韓国メディアも「日米韓の安保体制が確固なら、こうした事態は起こらない」と深まる韓国の孤立を懸念する声を上げています。 更に、トランプ大統領の一貫した姿勢による米朝首脳会談の決裂が、文政権には大きな衝撃を与えました。 なぜなら、文大統領が目指す開城や金剛山等での南北協力事業は、事実上見通しが立たず、南北融和という看板も、有名無実化してしまうからです。 こうした背景から、一時的に反日の冷却化を意図とする演説内容だったかもしれませんが、文大統領が日韓合意どころか、日韓基本条約以前に戻ろうとする「過去志向」を持つ限り、基本的な国家間の関係自体、成り立たないはずです。 ◆その3 米中貿易戦争 そして最後に、昨年から激化する「米中貿易戦争」です。 当初、米国は3月2日から年間約22兆円の中国製品への関税率を10%から25%に引き上げる予定でしたが、協議の進展に伴い、交渉期限を延期、3月中に習近平国家主席との首脳会談を開き、最終決着を目指す意向を表明しています。 焦点は国有企業への補助金、外国企業への技術移転の強要など、6分野における構造改革を要求する米国に対し、中国がどこまで飲めるかという点ですが、共産党独裁政の中国が本格的な経済的開国に舵を切れるのか、甚だ疑問は残ります。 一方、長引く貿易摩擦によって、中国経済の失速は著しく、輸出入共に前年を下回り、1年で最も需要が高まる春節においても、内需は振るわず、一刻も早くトランプ関税から逃れたいのが本音でしょう。 難しい選択を迫られる中国は、ギリギリを狙って交渉するはずですが、「時には、交渉の場から立ち去ることが必要」「急ぐよりも、正しくやりたい」と米朝首脳会談後に述べたトランプ大統領の言葉は、これから交渉を控える中国・習近平主席に向けられた明確な警告とも取れます。 ◆トランプが大統領の今は日本にとっての「黄金期」 「トランプ大統領は、中国の共産主義を真正面から敵と捉え、壊滅させようとしている初めての米大統領」と米国研究の大家、日高義樹氏は述べています。 極東情勢が目まぐるしく変化する中、トランプ大統領の在任期間というのは、日本とアジアの平和を脅かす中国の野望を封じ込めながら、極東情勢を好転させる「黄金期間」であることを改めて再認識させられます。 まただからこそ、国内で足を引っ張られながら、世界規模で立ち回るトランプ大統領を補完する真の同盟国としての役割を果たす義務が日本にはあります。 例えば、「拉致被害者問題の解決」といったお願いを繰り返すだけでなく、その分、沖縄基地問題の早期解決等でしっかりと成果を上げ、対中貿易で米国と100%歩調を合わせつつ、国際世論に呼びかける役割も担うべきです。 そして、何よりも中国が虎視眈々と狙う台湾併合の危機です。 トランプ大統領在任期間に日米と台湾が緊密に連携し、極東地域に「自由・民主・信仰」の価値観を広げ、台湾を危機から救っていく使命が、かつての同胞・日本にはあるはずです。 中国に垂れ流される私たちの血税――遺棄化学兵器廃棄事業 2019.02.27 中国に垂れ流される私たちの血税――遺棄化学兵器廃棄事業 HS政経塾 第7期卒塾生 高橋 侑希(たかはし ゆき) ◆「遺棄化学兵器廃棄事業」とは 遺棄化学兵器廃棄事業をご存じでしょうか。 この事業は、今のままいくと、日本の税金を無限に中国に垂れ流すルートになってしまうのです。 廃棄事業は新聞やTVニュースで取り上げられず、国民の認知度は低いです。国民の知らないところで、毎年右肩上がりで予算をつけられ、数兆円にも及ぶといわれています。 この「遺棄化学兵器廃棄事業」の問題点について指摘します。 ◆日本が払わなくてもいいものまで払っている これまでに廃棄したものを含め約5万発を廃棄済ですが、実はこの中には日本が廃棄する義務のない通常兵器が数多く含まれています。 2014年度の回収砲弾数では、なんと、3万1743発中3万発が通常兵器でした。 通常兵器だとしても発掘する際は費用がかかります。通常兵器発掘分の費用が後から日本に返ることはありません。 ◆中国の明確な対日戦略 この事業の開始まで、中国は日本から金を引き出そうと着々と実行に移してきました。 1992年、スイスのジュネーヴで開かれた軍縮会議の席で、中国の代表が次のような演説をはじめました。 「ある外国が中国に遺した化学兵器200万発以上が中国にある」中国が指す、「ある外国」が日本であることは明らかでした。 化学禁止条約の成立に向けて、中国はこのころから国際世論形成に乗り出していきます。中国が条項に盛り込むよう強く主張したのが「廃棄の義務」でした。 これは、他の国に同意なく化学兵器を遺棄した場合、遺棄した国が化学兵器を廃棄するというものです。 ◆当時、ソ連軍、中国国民党軍も化学兵器を使っていた 当時(昭和20年)の化学兵器に関する国際条約をみると、ハーグ宣言条文「使用ヲ各自に禁止ス」と陸戦法規条文「毒又は毒を施したる兵器を使用すること」とあります。 これらの国際条約は「使用」を禁じたのであり、各国軍隊の「保有」を認めていました。 化学兵器は「開発、製造、保有」が認められ、化学兵器による先制攻撃に対して、化学兵器での報復攻撃が認められていた状態で日本軍だけが隠す必要などなかったのです。 外務省もそのように認識しています。 「ソ連軍・中国軍においても化学兵器が配備されていた。日本軍が中国軍から化学兵器を使用した攻撃を受けたとする軍関係資料が存在している。(小原雅博 外務省大臣官房参事官)平成19年12月7日 外務委員会会議録より」 双方突き合わせて持っていた状況をみると、日本軍だけが化学兵器を隠す必要があったと考えるのは不自然です。 ◆永遠に中国に税金が流れ続けるルート この事業に関する昨年の有識者会議の議事録を見ていると次のような発言がありました。 「ハルバ嶺に化学兵器が30~40万発あるが、それらは日本軍がそこに集めて捨てたわけではない。置いていかれた化学兵器を中国側がハルバに集めて捨てた」という主旨です。 この発言をしたのは日本の担当室長です。 置いて行かれた化学兵器というのは、武装解除で所有権が日本から中国に移ったものです。これらの化学兵器の持ち主は中国です。 中国のものを、なぜ日本がお金を出して処理をし続けなければいけないのでしょうか。「ここにある」「あそこに捨てた」と中国側がいつまでも言い続ける可能性があり、半永久的に事業が継続する可能性があります。 ◆日本の『誇り』を取り戻せ この事業の問題は、私たち日本人の大事な税金が、払う義務のない事業に使われているということだけではありません。根源的な問題がこの事業にはあるのです。 それは、2017年8月、中国外交部の定例記者会見で中国外交部の華春瑩(ホア・チュンイン)報道官の発言からうかがえます。 「日本が軍国主義の侵略の歴史を深く反省し、中国に遺棄された化学兵器を1日も早く廃棄し、清潔な土地を中国人に返還するように促す」と世界に向けて発信したのです。 この事業を半永久的に継続させることで、「日本は侵略者」といういわれなき自虐史観を押し付けられ続けることを意味します。 幸福実現党は「日本の『誇り』を取り戻す」ことを目標に活動しています。この事業の中止は、そのための一歩です。 (参考資料) 内閣府「遺棄化学兵器処理担当室」 http://wwwa.cao.go.jp/acw/index.html 平成29年7月6日(木)第17回遺棄化学兵器処理事業に関する有識者会議「2017(平成29年)年度遺棄化学兵器廃棄処理事業に係る予算について」内閣府「遺棄化学兵器処理事業に関する有識者会議」第14回有識者会議 平成27年3月4日 議事録 http://wwwa.cao.go.jp/acw/pdf/kaigi_14gaiyo.pdf 「正論」平成18年6月号、平成18年8月号、平成18年9月号、平成18年10月号 渡部昇一(2006)「歴史の真実 日本の教訓」 アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(後編) 2019.02.20 アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(後編) 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆エネルギー資源調達の多様化――日ロ協調の道 日本は国内で消費する石油の約7割をサウジアラビアとUAEから輸入していますが、こうしたアラブ諸国内での対立の激化は、日本のエネルギー安全保障においても対岸の火事ではありません。 中東からの石油の供給がストップすれば日本でオイルショックが起こる恐れもあるからです。 また、中東からの石油が通る海上交通路(シーレーン)の確保も重要です。 日本の全貿易船の5割、原油の9割が南シナ海を含むシーレーンを通過していますが、中国の軍事行動によってシーレーンが封鎖されてしまえば、日本に石油が入らなくなります。 エネルギー資源調達の多様化に向けて選択肢の一つとして考えられるのがロシアです。 ロシアの産油量は米国とサウジアラビアに次ぐ世界3位で中東産原油の代替として大きな潜在能力を有しています。 エネルギー資源外交を積極的に展開し、全体の3割程度までの原油・天然ガス・石炭をロシアから輸入したいところです。 また、ロシアとの協商関係の構築を図ることによって、ロシア極東地域を中心としたエネルギー・農業・交通インフラなどへの投資を活発化させて、北海道へのシベリア鉄道延伸を推進し、日露経済交流を促進させたいところです。 その意味で、今進んでいる日本とロシアとの平和条約締結は一日も早く締結するべきです。 ◆くすぶる火種――日本は国際的正義と秩序を示し調停役を 2月14日、米国のペンス副大統領はポーランドで開催された国際会合に出席し中東政策について演説しました。 その中で、イランを名指しして弾道ミサイル開発や周辺国の武装勢力支援を停止するよう要求、ヨーロッパ諸国に対しても経済制裁の強化に向けた共闘を呼びかけました。 会議に出席した欧州の外交官らはペンス氏の演説に反発しており、「われわれはイランを良い結果に導きたいのであって、イランを核コミットメントの外側に押し出したいとは思っていない」と語っています。 同日には、ロシアのプーチン大統領、トルコのエルドアン大統領、イランのロウハーニー大統領が、ロシア南部ソチで会談をしています。 3か国の対米姿勢は温度差があるものの、シリア過激派掃討で連携したい思惑があるのでしょう。 イラン国内においては、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」の重要な位置を占めるとして対中接近の強化を主張する意見もあります。 米中新冷戦も始まる中、台湾併合や南シナ海への覇権を強める中国としては、米国の戦力・兵力の分散をさせる必要があるため、イランと米国もしくはイスラエルとの紛争・戦争が起こる状況をつくり出すことを考えているかもしれません。 また、イランそして米国を後ろ盾とするサウジアラビアとの間にくすぶる火種に引火すれば、次なる戦争の引き金ともなりかねません。 昨年に行われた米朝首脳会談によって朝鮮半島の非核化も動き始めていますが、トランプ大統領から北朝鮮に投げられた石は、同時にイランに対するメッセージでもあるでしょう。 世界的宗教を幾つも生み出した歴史ある国であるイランは親日国でもあります。 寛容で多様な文化や宗教観が息づく日本としても、関与出来る余地があるはずです。 幸福実現党では、イスラム教圏そしてキリスト教圏との橋渡しを外交的に進めながら、宗教対立の融和を目指しています。 世界平和と真の国際的正義の実現に向けて引き続き働きかけて参ります。 (参考) ローマ法王、UAEで異例のミサ イスラム指導者面会も(朝日新聞) https://www.asahi.com/articles/ASM260SH2M25UHBI02X.html ローマ法王がUAE訪問(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40847860U9A200C1EAF000/ ◆オマーンを異例の訪問 イスラエル首相(産経新聞) https://www.sankei.com/world/news/181027/wor1810270002-n1.html ◆サウジとイラン 対立の構図 スンニ派とシーア派の盟主(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXZZO95859040X00C16A1000000/ ◆米副大統領「イスラム国」壊滅まで協力 同盟国に訴え 対イラン共闘も呼びかけ(日経新聞) https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41266050U9A210C1FF2000/ ◆米ペンス副大統領 欧州諸国にイラン核合意の離脱迫る(NHK NEWS) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190215/k10011815611000.html ◆米副大統領が欧州主要国を非難、中東会議でイラン制裁巡り https://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-summit-idJPL3N20A260 ◆石油統計速報(経済産業省) http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/sekiyuso/result.html ◆イラン識者「対中接近強化を」 政府腐敗が経済低迷の原因(産経新聞) https://www.sankei.com/world/news/190213/wor1902130021-n1.html ◆日本とロシア、天然ガス・パイプライン構想…日本に多大な恩恵、史上最悪の石油危機を克服(Business Journal) https://biz-journal.jp/2019/02/post_26556.html ◆イラン制裁発動でも弱気相場入りした原油市場 価格下落を防ぐ手だてはあるのか?(独立行政法人経済産業研究所)… アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(前編) 2019.02.19 アラブ諸国で進む対立構造の変化――世界平和と真の国際的正義の実現を(前編) 幸福実現党 広報本部チーフ 西野 晃 ◆ローマ法王フランシスコのUAE訪問 2月5日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王はUAE(アラブ首長国連邦)の首都・アブダビを訪問しました。 カトリックの最高位にあるローマ法王がイスラム教発祥の地であるアラビア半島を訪れるのは史上初めてです。 屋外競技場で開催されたミサには、数千人のイスラム教徒を含む約18万人が動員され、3日間の訪問中にはイスラム教の指導者らとも面会しています。 宗教間会合で行った演説では「どんな形であれ暴力は非難される。我々は宗教が暴力やテロリズムを許すことがないよう注視する必要がある」「特にイエメン・シリア・イラク・リビアに思いを馳せている」と、紛争が続く国などでの一刻も早い戦闘終結を訴えました。 地元メディアも「歴史的な訪問」と歓迎、UAEのムハンマド首長はツイッターで「訪問によって寛容の価値と、宗教間の理解を深めることができる」と指摘しました。 昨年にはイスラエルのネタニヤフ首相がオマーンを公式訪問しています。 UAEやサウジアラビアと良好な関係を持つオマーンは、これらの国々同様イスラエルを敵視してきただけに、この訪問は宗教上の対立構造が変化しつつあることを匂わせます。 ◆アラブ諸国内での対立軸の変化――スンニ派とシーア派との抗争 どうやらイスラム教とユダヤ教(そしてキリスト教世界)との宗教対立というものが比較的弱まりつつある一方で、アラブ諸国内での対立抗争の重要度が増しつつあるようです。 中東は現在も様々な対立軸が複雑に絡み合い混迷の最中にあります。 その一つが、イスラム教スンニ派が多数派を占めるサウジアラビアを中心とした勢力と、イスラム教シーア派が多数派を占めるイランを中心とした勢力との対立です。 両者はイスラム教の二大宗派で、世界のイスラム教徒人口のうちスンニ派が約8割、シーア派が1割強を占めています。 「世界最悪の人道危機」と呼ばれるイエメン内戦が両者の代理戦争となっていることは周知の事実です。 少なくともスンニ派陣営にとっては、今回の法王訪問を地域的な影響力拡大のためのツールとして利用しつつ、他宗教の勢力をも味方につけながら、自分たちの正当性を国際社会に向けてアピールしようという思いが透けて見えます。 こうした動きは今後ますます熾烈になっていくでしょう。 サウジアラビアでは、次期国王と目されるムハンマド皇太子が「ビジョン2030」を掲げており、建国以来の大改革に取り組んでいました。 しかし目玉である国有石油会社サウジアラムコの株式上場が中止に追い込まれ、脱石油依存の経済構築という目標は頓挫してしまった感が強くなっています。 皇太子が開始したイエメンへの軍事介入で軍事費は膨らむ一方で、2017年のサウジアラビアの軍事費は694億ドルと世界第3位となっています。 また、強権的手法を多用したことで国内からの資金流出が拡大、王族内で大きな亀裂が生じてしまったとの懸念も指摘されており、ムハンマド皇太子としては何とかしたいところでしょう。 中東・北アフリカ地域では昨年後半から経済状態の悪化に対する抗議運動が広まっています。 中東メディアは2011年に発生した「アラブの春」が再来する可能性を報じており、史上最悪の「石油危機」が起こる可能性も有り得えます。 その状況下で、日本はどのような外交戦略をとるべきか次回述べて参ります。 (つづく) 学校運営に自由の風を 2019.01.10 学校運営に自由の風を HS政経塾8期生 柄澤 悠(からさわ ゆう) ◆学校を「未来の希望」に 現代日本が抱える大きな問題の一つには、「少子化」があります。 1月初旬の産経新聞(2面)には、「人口減少」の問題が取り上げられ、解決のために「何よりも重要なのは、未来への希望だ」と書かれていました。 人口減少の流れを急に食い止めることは出来ませんが、子どもが減る中であっても、より優秀な人材を育成できる社会づくりは教育が持つ使命でしょう。 また、「こんなに素晴らしい学校があるなら子どもを持ちたい」と考える国民を増やすことは、「未来への希望」で国家を包むことに他なりません。 教育改革は、人口増政策とも言えるのではないでしょうか。 ◆「学校選択制」がぶつかる壁 では、「未来の希望」となる学校を創るにはどうしたら良いのでしょうか。 幸福実現党は、競争を促すことで教育の質を高めるため、行きたい学校を自由に選べる「学校選択制(教育バウチャー)」を勧めています。 実際、現在は日本各地で「教育特区」として試験的に導入されていますが、その代表的なものとして注目されるのが、2000年より同制度がスタートした「品川区」です。 平成29年度の保護者アンケート調査によれば、区民の約30%が学校選択に参加しているとの結果が出ています。 しかし、この制度も、まだまだ多くの課題を抱えています。 同調査によると、その学校選択の基準は、「地元で通学上便利だから」54.2%、「兄弟関係・友人関係」19.5%となっており、本来基準にしたい「教育活動の内容」や「進学実績」等は全て10%未満となっているのです。 また、人気の学校は増える児童生徒の数に対応できず、逆に教育の質が低下してしまうという事態も発生しています。 このように、教育の質を高めるはずの学校選択制が、本来の力を発揮できていないというのが現状なのです。 ◆今必要なのは、公立学校の「自主運営化」 では、学校選択制を本当の意味で生かすにはどうすれば良いのでしょうか。 その答えの一つは、公立学校の「自主運営化」にあります。 自主運営化。簡単に言うとそれは、現在教育委員会が持っている権限の一部を、学校現場へと移していくことです。 例えば教員の採用権や、給料の決定権、教育内容・カリキュラムの編制権、予算用途の決定権などがそれに当たります。 学校選択制の導入によって、いくら教育界に競争の原理が入ったとしても、それぞれの学校に「選ばれる学校」になるだけの創意工夫の余地がなくては、意味がありません。 今必要なのは、現場の権限の幅を広げることで、特色ある学校、ニーズに対応できる学校を創っていくことです。 例えば、昨年、入国管理法が可決されましたが、これから需要が増えてくる外国人労働者向けの教育においても、日本語教育と専門技能教育の両立や、少子化によって増えた廃校舎の再利用、及び定年を迎えた教員の活用など、よりフレキシブルに対応できる体制が必要なのです。 ◆学校現場の権限拡大によるリスク ただ、自主運営化によるリスクも存在します。 最も大きなリスクは、「自主運営に学校側の能力が追い付かない」という点です。 自主運営化するとなれば、教員にこれまで以上の負担がかかることになるでしょう。 イギリスで2010年5月に誕生したキャメロン政権は、「全ての学校をアカデミー(国費で運営される独立学校)にする」と政策に掲げましたが、余裕がない学校を効果的に独立させることができず、結局大きな成果にはつながりませんでした。 全ての学校を一気に自主運営するのではなく、許可の基準を設けることで、徐々に変革していく必要があるのです。 ◆真に活躍できる人材づくりを このように、「学校現場の工夫の余地」と「学校選択制(教育バウチャー)による競争の原理」が両立する状態をつくることで、より質の高い学校が生まれ、保護者の学校選びの関心も高まり、「学校版ぐるなび」のようなサイトも創られるようになるでしょう。 良き学校が評価され、他の学校も見習うことで発展していく世の中がくるのです。 教育に自由と競争の風を吹かせ、真に活躍できる人材を創造する学校を増やしていく。 それこそが、今の日本を復活させるための「鍵」になるのではないでしょうか。 <参照> ・『学校の先生が国を滅ぼす』(一止羊大著、産経新聞出版) ・『偏差値は子どもを救う』(森口朗著、草思社) ・『英国の教育』(日英教育学会編、東信堂) ・1/4(金)産経新聞 ・品川区 平成29年度保護者アンケート集計結果 http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/contentshozon/29hogosya.pdf 不登校児童――心に寄り添う解決を 2018.12.21 不登校児童――心に寄り添う解決を HS政経塾 8期生 矢内美花 ◆不登校の闇 皆様はご存知でしょうか。2018年の小中学生の不登校児童は約13万3683人存在し、ここ約4年間増加し続けていることを。 現在、フリースクールに通学している生徒は約4000人程度。残りの不登校児童は、家に引きこもっている状態であり、深刻な状況です。 不登校の原因は様々で、文科省によりますと、「不安の傾向がある」、「人間関係の不調和」「家庭の問題」「いじめ」などの回答が大きく割合を占めています。 学校の担任も多忙で、不登校児童の対応にまで手が回っていないのが現状です。政府も学校もお手上げ状態といえるでしょう。 ◆学校、政府がすべきことは ここで問題なのが、義務教育期間の子供たちが、まともな教育を受けられずに放置されているという現状です。 義務教育を受ける期間に学校に行けなければ、学習が疎かになってしまいます。これは、生徒を預かっている学校が、責任を持って対処すべき喫緊の課題です。 政府は、不登校児童に対する救済法として『教育機会確保法』という法律を2017年に施行しました。しかし、事実上、中身は詰まっておらず、機能もままなりません。 当初法案には、「不登校の子どもたちの居場所となるフリースクールや自宅での学習などの、学校以外の学習も義務教育として認める」などといった内容が盛り込まれていましたが、最終的には、審議の中で削られました。 今でも「学校に通うことが正しい」といった風潮が国会の中でも根強く残っているのです。もちろん、学校に復帰できるようになれば、それに越したことはありません。 しかし、問題なのは、法律ができても、不登校児童が事実上、放置されたままであることには変わりがないことです。 ◆アメリカの多様な教育 一方、アメリカでは、在宅学習や、インターネットラーニングなどといった多様な学習が、全州で認められています。 さらに、アメリカの学校では、教師が保護者や生徒から仕事ぶりを評価されるパフォーマンスレビューというものが存在します。 不登校児童への対応を疎かにするような教師には、給料やボーナスが減給されるなど罰則規定が適応されます。 教師・保護者間で、不登校を解決できない場合は、行政、学校が動き、保護者と不登校児童本人と不登校解決に向けた会議が行なわれ、それに準じた生徒のケアがなされます。 生徒の適性を鑑みて、一番いいスタイルの学習環境が与えられるのです。 アメリカと比べると、あまりにも日本は不登校児童への取り組みが希薄であるといえるでしょう。 ◆日本も柔軟な教育を アメリカで多様な教育が認められているように、日本も、学校以外の多様な教育を認め、子どもたちの学習の機会を保障していくことが大切です。 もちろん学校にいけるようになることが一番良いことだと思いますが、「いじめられている」、「何らかの事情があって、どうしても学校に行けない子供たち」には、無理に学校に行かせる必要はありません。 ただ、学校に行かなくなった子供たちの、義務教育は非常に重要です。その上で、国としても「多様な教育」を斡旋していくことが大切なのです。 特に、不登校児童にとって高校受験は大きな壁となっています。長期欠席によって内申点は悪くなり、内申点を重視する公立への進学は厳しいものとなります。 経済的に困窮している家庭では私立に通学させることも困難です。 そこで、いじめなどが原因で不登校になってしまった生徒には、内申点をカバーするために全国的な学力テストを設け、その結果で、公立高校への進学を優遇する措置も必要です。 長期不登校であっても、公立高校進学のチャンスを与え、新しい進路が開けるよう手助けするのです。 ◆不登校児童に向き合う 13万人以上の不登校児童の存在は、「教育の転換期」を暗に意味しています。私たち大人が、声なき声を聴き、不登校児童に向き合うことが大切です。 幸福実現党としても、ICT学習、家庭学習などの多様な教育を認め、義務教育段階における不登校児童の「教育を受ける権利」を保障してゆきます。 さらに、不登校解決の実績を持つ民間の専門家と、学校、家庭を連携させ、不登校解決のための仕組み作りをしてまいります。 今こそ、不登校児童の心に寄り添った、“真なる教育改革”が必要なのです。 米中新冷戦の鍵となる「個人情報」――プライバシーとイノベーションの両立を目指せ! 2018.11.18 米中新冷戦の鍵となる「個人情報」――プライバシーとイノベーションの両立を目指せ! HS政経塾8期生 藤森智博 ◆「データを制する者は世界を制する」 この言葉は、中国の巨大IT企業アリババの創業者・馬雲(ジャック・マー)氏が語ったものです。 これを体現するかの如く、アリババは「データ」によって急成長し、現段階では5億人以上の個人情報を手がけています。2018年8月末時点で世界7位の時価総額を誇ります。 アリババのビジネスは、ネットとリアルを橋かけするものです。 「アリペイ」という新しい支払いシステムによって中国で爆発的にキャッシュレス経済を普及させました。現在は街全体をネットでつなぎ、人工知能(AI)で効率的な管理を実現する「スマートシティ」を手がけています。 中国ではこのようなIT技術の飛躍的な進化とともに国家の監視が強まっています。 矢野経済研究所によると、監視カメラの世界市場のうち、半分以上が中国を占め、2018年の1年間で3500万台近くの監視カメラが中国で売買されています。 この監視カメラと「顔認証」の技術を組み合わせて、国民一人ひとりの人間関係まで調べ上げることができるのです。 ◆アメリカに迫る最先端の技術 また、中国は自動運転などの技術でアメリカに迫っています。世界に先駆けて、運転席のない自動運転バス「アポロン」の公道投入に成功しました。 もちろん、まだ「アメリカ超え」には至っていません。公道試験の累計走行距離はアポロンの1万キロメートルを超える程度で、最大手のGoogle系ウェイモの1600万キロメートルには及びません。 しかし、本格的に市場投入が始まれば、逆転の可能性もあります。個人情報を国家で自由に扱える中国のほうが、走行記録の収集はたやすいでしょう。 走行記録からは、私生活が分かるため、重要な個人情報ですが、そのような情報を元手にして、AIのさらなるイノベーションも可能です。 ◆中国に対抗するため欧米諸国に必要なこと このような中国に日本や欧米諸国が対抗していくためには、個人が情報を預けられる「信頼」の構築と「イノベーション」を両立できる環境の両立が不可避です。 欧米諸国では、プライバシー意識の高まりから、個人情報を大量に扱う巨大IT企業に厳しい視線が向けられています。日本でも今年10月、8700万人の個人情報が流出したFacebookに対して行政指導が行われました。 ◆EUで施行された強力な個人情報保護法 EUでは個人情報を保護するための「一般データ保護規則(GDPR)」が今年5月25日に施行されました。GDPRは、プライバシーを守るための強力な権利を個人に保障しているという点で優れています。 一方で、細かすぎるルールや、中小企業も対象とした一律的な厳しい規制、2000万ユーロ(日本円で約26億円)か、世界売上高4%のいずれか高い方という高額な制裁金などが自由を抑制し、イノベーションを後退させてしまう懸念もあります。 トランプ政権のロス商務長官も、5月末にフィナンシャル・タイムズにてGDPRを「不要な貿易障壁」と評しました。 ◆「プライバシー」と「イノベーション」の両立を目指すアメリカ GDPRなどの動きを受け、アメリカでは、連邦全体のプライバシールールを作ろうという動きが強まっています。 9月下旬には、商務省管轄の国家電気通信管理局(NTIA)が、高度なプライバシー保護に向けた新しいアプローチを発表。11月9日まで広く意見を募集しました。 新しいアプローチは、「リスクベースマネジメント」を核とすることで、イノベーションができる柔軟性と個人のプライバシー保護の両立を目指しています。 扱う個人情報の「重要性」や「量」に応じた責任を追求する一方で、その責任の果たし方については一律的な規制は設けず、自由を重んじています。 これに対し、世界中から寄せられたコメントは200以上に及び、GDPRに携わる欧州委員会をはじめ、肯定的な意見が目立ちました。 従って、アメリカでは、この新しいアプローチを基にした統一的なルールが作られていくと言えるしょう。 ◆日本も「リスクベース」のアプローチを 日本では、現在、総務省を中心として「情報銀行」など個人が自分の情報をコントロールできる取り組みが進んでいます。 しかし、中身を紐解いてみると、「市場を育てる」のではなく、「国家主導で市場を作っていく」という社会主義的姿勢が目立ちます。 一方、個人情報保護法などの基礎となるルールも不十分です。 現行法の水準では、GDPRと違い、個人は企業から自分が預けたデータを取り戻せません。情報銀行より前に、環境整備が急務と言えましょう。 個人の権利と企業のイノベーションの両立には、法の明快さと柔軟性が不可欠です。 幸福実現党は「リスクベース」のアプローチから個人情報保護法を改正することで、「データ保護体制」で日米と連携し、中国の「デジタル共産主義」に対抗していきます。 参照 ・『チャイナ・イノベーション』(李智慧著、日経BP刊) ・『EU一般データ保護規則』(宮下紘著、勁草書房刊) ・矢野研究所HP https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/1868 ・日本経済新聞社 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181116&ng=DGKKZO37736220U8A111C1EA1000 https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20181117&ng=DGKKZO37736270U8A111C1EA1000 ・フィナンシャル・タイムズ https://www.ft.com/content/9d261f44-6255-11e8-bdd1-cc0534df682c ・NTIA https://www.ntia.doc.gov/files/ntia/publications/fr-rfc-consumer-privacy-09262018.pdf https://www.ntia.doc.gov/press-release/2018/ntia-releases-comments-proposed-approach-protecting-consumer-privacy ・総務省 http://www.soumu.go.jp/main_content/000559366.pdf 自治体行政の将来の在り方について――自治体戦略2040構想 2018.11.16 自治体行政の将来の在り方について――自治体戦略2040構想 幸福実現党公認 薩摩川内市議会議員 松澤 力 ◆今後の人口構造の変化と自治体行政 総務省の資料では日本の人口は2008年の約1億2800万人をピークに、大都市や地方で高齢化が急激に進行し、2040年頃には日本の総人口が毎年100万人近く減少していくと予測されています。 この人口減少は自治体の税収や行政需要に非常に大きな影響を与えると懸念されています。 国立社会保障・人口問題研究所のデータから作成された人口変動の資料によると、私が住んでいる薩摩川内市も、2015年の人口約10万人から2040年には人口が約30%減少すると予測されています。 医療、福祉、インフラ、空間管理など、住民サービスの多くは地方自治体が支えています。 その地方自治体が持続可能な形で住民サービスを提供し続けられるようにすることは、「住民の暮らし」や「地域経済」を守るために非常に大切です。 ◆自治体戦略2040構想 現在、検討が進められている自治体戦略2040構想では、高齢者人口がピークを迎える2040年頃にかけて迫り来る日本の内政上の危機を明らかにして、共通認識にした上で、その危機を乗り越えるために必要な新たな施策の開発と、その施策の機能を最大限発揮できるようにするための自治体行政の書き換えを構想するものです。 課題や施策のとりまとめが行われている自治体戦略2040構想研究会は、座長・座長代理・委員等の10名のメンバーによって構成され、既に第1回~第16回まで会議が開催され、第一次報告・第二次報告が総務大臣に提出されています。 ◆2040年頃の内政上の危機と対応案 2040年頃にかけての危機の一例として、自治体戦略2040構想研究会の報告の中では、急激な高齢化によって東京圏では入院・介護ニーズの増加率が高くなり、医療介護人材が地方から東京圏へ流出すると懸念されています。 検討されている対応案としては、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者の支え手にまわる仕組みづくり、圏域内の自治体が連携した医療・介護サービス供給体制の確立、AIによる診断など技術革新の成果を積極的に導入して支え手不足の緩和する、などが出されています。 また、中山間地域等では、集落機能の維持や耕地・山林の管理がより困難になることが懸念されています。 この課題に対して、中山間地域等においては集落移転を含め、地域に必要な生活サービス機能を維持する選択肢の提示と将来像の合意形成などの検討案が出されています。大変難しい課題のため、今後更に検討が必要となります。 ◆人口縮減時代の自治体行政への転換の必要性 2040年頃は、高齢者人口がピークを迎えて、特に若年労働者を中心に労働力の絶対量が不足するが想定されています。その時に備え、自治体行政も人口縮減時代に対応する体制に転換していかなければなりません。 自治体行政の将来の在り方として、まず、スマート自治体への転換があります。 先ほど、自治体戦略2040構想研究会の中でも医療・介護サービスへのAIの活用案がありましたが、自治体行政においても今後の人材不足・税収減等の経営資源が大きく制約されることを前提に、従来の半分の職員でも自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みが必要となります。 AI・ロボティックスが処理できる事務作業は全てAI・ロボティックスによって自動処理するスマート自治体への転換が急がれます。 次に、市町村の行政フルセット主義から脱却し、地方圏の圏域単位での行政を検討する必要があります。 従来の都道府県・市町村の二層制を柔軟化し、それぞれの地域に応じて都道府県と市町村の機能を結集した行政の共通基盤の構築の検討を進めなければならないと考えます。 地方自治体が持続可能な形で住民サービスを提供していくため、新しい時代に対応した自治体行政の構築のため、今後も精進して参ります。 すべてを表示する « Previous 1 … 57 58 59 60 61 … 252 Next »