Home/ 教育 教育 「正義の国・日本!」―満州事変から大東亜戦争まで【1】(全3回) 2015.10.16 文/幸福実現党・茨城県副代表 中村幸樹 ◆満州事変と満州国建国の経緯 コミンテルン(共産主義インターナショナル)にそそのかされた反日侮日運動が過激化し、張学良軍、馬賊、匪賊による、誘拐、略奪、恐喝が横行する満州で、1931年9月18日、一万数千人の関東軍は、30万とも45万ともいわれた張学良軍を追放しました。(満州事変) 政府や陸軍中央も知らないところで起きたのは問題であり、政治的リーダーシップの欠如(幣原外交)や明治憲法の欠陥(統帥権干犯問題)等、改善すべき点はあったにせよ、日本人居留民に危害が及ぶ危機的状況を、自衛のためにも解決せざるを得なかったというのが、満州事変の真相でした。 翌1932年3月、関東軍の主導で、清朝最後の皇帝溥儀(フギ)をトップに迎えて、満州国を建国しました。大臣たちは全員、満州人か清朝の忠臣としました。 1911年の辛亥革命で、満州族王朝清から、漢民族(シナ人)が独立し、日本公使館に逃げ込んだ溥儀の、切なる希望が満州国でした。満州国は、民族自決という観点からも理にかなっていたのです。 漢民族と満州民族は別の民族であり、万里の長城以北は、シナ固有の領土とは言えません。 シナを支配したことがある民族の故郷はシナの領土だと言うなら、インドを支配したことがあるイギリスは、インドの領土だという論理になるからです。 満州国は、「五属共和」(満州民族、漢民族、蒙古民族、朝鮮民族、日本民族の共存共栄)を建国の精神として、安定した治安、安心できる生産活動、商業活動を提供し、奇跡と言えるほど発展しました。 塗炭の苦しみに喘いでいた不法の土地、満州は、自動車や飛行機まで作ることができる一大近代国家、桃源郷へと変貌を遂げたのです。 ◆満州事変と満州国建国は、日本の侵略ではない もし、満州事変が侵略なら、例えば、チベットやウイグルをアメリカ軍が独立に導き、トップも大臣もすべてチベット人やウイグル人にし、実務は手伝って近代化を促し、人々があこがれる、安全で繁栄した理想的な国家ができたとしても、アメリカはチベットやウイグルに侵略したことになります。 この場合、アメリカ軍は、チベット人やウイグル人の夢である独立を支援し、繁栄と幸福をもたらしたと言うべきであって、侵略と呼ぶべきではありません。 満州事変と満州国建国は、人々に幸福をもたらした正当な行為であり、日本の侵略ではないのです。 ◆日中戦争(支那事変)の経緯(1)――[盧溝橋事件] 1937年7月7日、「盧溝橋事件」は、蒋介石の国民政府軍に潜り込んだ中国共産党軍のスパイが、日本軍と国民政府軍の衝突を作り出し、「漁夫の利」を得るために発砲したことから始まりました。 それでも日本軍は攻撃せず、7月11日に事態収拾のための現地協定を成立させましたが、共産党スパイが繰り返す発砲に勘違いした国民政府軍が攻撃してきて、日本軍は「巻き込まれた」というのが真相です。 ◆日中戦争の経緯(2)――[通州事件] 日本の不拡大方針が堅持される中、国民政府が一転して対日交戦を決定、7月29日には「通州事件」が起き、200人以上の日本人が、人間とは思えない方法で惨殺されました。 この報は日本にも伝わり、日本国民の怒りは頂点に達しました。 ◆日中戦争の経緯(3)――[第二次上海事変] 盧溝橋で始まった事変は、北支事変として収束に向かいましたが、本格的な「支那事変」は1937年8月13日、上海地区における中国側の攻撃に始まりました。 日本の海軍陸戦隊約4千人が、軽武装で日本人居留民を守っているところに、コミンテルンの手先、張治中(チョウジチュウ)将軍が、約5万の大軍で攻撃してきました。 翌8月14日、蒋介石軍は、アメリカから提供された戦闘機で、シナ人を中心とする民間人がいるホテルや避難所を攻撃して、3600名余りを死傷させ、「キリスト教の中国が、異教の日本に蹂躙されている」イメージの情報戦を展開しました。 日本は通州事件のような惨劇を繰り返さないために、陸軍を派遣しましたが、蒋介石が招いたドイツのゼークト大将(防御陣地造りの権威)による作戦で、日本軍は約4万もの大損害が出ました。 その後、南京攻略への上陸作戦で、上海の背後を衝く形をとったことで、中国軍は総くずれになりました。 (つづく) 教育の根幹――「道徳教育」を立て直せ! 2015.10.15 文/幸福実現党兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆「特別の教科 道徳」の教科書検定基準が公表 9月30日、文部科学省は2018年度以降に「特別の教科」となる道徳の教科書検定の基準を公表しました。 近年文部科学省は、いじめ問題など学校教育上の諸問題に対処するために、道徳教育の充実に力を注いでいます。 そして昨年、文科省は中央教育審議会の道徳教育専門部会を開き、10回にわたる審議を受けて、「道徳」を「特別の教科」へと格上げされました。 「教科」となった道徳には「教科書」と「評価」が必要となり、教科書の検定基準が審議され、公表となりました。 ◆道徳の教科書の検定基準 公表された教科書検定基準では、道徳科の教科書について留意すべき点について、(1)準拠性、(2)公正性、(3)正確性の3つがあげられています。 「準拠性」とは、学習指導要領の内容等に照らして適切か、「公正性」は、取り上げる題材の選択・扱い等が公正か、「正確性」は、客観的な学問的成果や適切な資料等に照らして事実関係の記述が正確かというものです。 そして、「特に」と付け加えて、選択・扱い及び構成・排列について「政治・宗教の扱いに関しては、検定基準2-(4)及び(8)」と記載されています。その基準とは、次のような内容です。 「政治や宗教の扱いは、教育基本法第14条(政治教育)及び第15条(宗教教育)の規定に照らして適切かつ公正であり、特定の政党や宗派又はその主義や信条に偏っていたり、それらを非難していたりするところはないこと。」 「図書の内容に、特定の個人、団体などについて、その活動に対する政治的又は宗教的な援助や助長となるおそれのあるところはなく、また、その権利や利益を侵害するおそれのあるところはないこと。」 このような検定基準を読むと、「日本国憲法」、「教育基本法」の下で戦後教育を受けている多くの日本人は、「道徳教育においても宗教教育には触れない方がいい」と理解してしまうのではないでしょうか。 公教育において「宗教=タブー」とする考え方を持っているからです。この勘違いが最大の「曲者」であり、道徳の改革を骨抜きにしてしまうものであると考えます。 また、検定基準にある「公正性」とは、「取り上げる題材の選択・扱い等が公正か」というものですが、「宗教」的思想に触れないことが公正な態度なのかも私には疑問です。これこそ「偏向」なのではないかと思うのです。 ◆道徳教育には宗教が必要 2005年に行われた「義務教育に関する意識調査」において、六年生では道徳の時間は「最も好きになれない学習」となりました。 大切なはずの「道徳」の授業を、骨抜きにしてしまっている根本原因をしっかりと見つめなければ、道徳の授業改革も、その先の教育再生もないはずです。 骨抜きにされてしまっている「道徳」の授業を立て直すために必要なものの1つが「宗教教育」です。これは決して一個人の意見ではありません。 道徳教育の専門家である貝塚茂樹教授は「もともと道徳とは宗教的な権威に裏付けられて成立していた」と指摘されています。(貝塚茂樹著『道徳教育の教科書』) また、前述の道徳教育専門部会の主査を務めた押谷由夫教授は、道徳の再検討を研究していく中で「宗教の道徳教育が果たす役割について考えざるを得なく」なったと述べておられます。(押谷由夫他「学校における『宗教にかかわる教育』の研究1」2012) その一方、部会において、「宗教教育」は道徳教育の中の重要な課題であると認識され、委員からも何度か「宗教について」意見が出されていたにも関わらず、結局10回の審議で最後まで踏み込んで話し合われることはありませんでした。 日本国憲法や教育基本法の下でも宗教教育(正確には宗教的情操教育)は可能です。(http://hrp-newsfile.jp/2015/2022/) まずは私たち国民が抱いている「宗教=タブー」という偏見をなくし、「子供たちの教育にとって大切なものは何なのか」という視点で議論を進める必要があります。 ◆宗教を抜きに「道徳教育」が可能か 結局、子供たちが「特別の教科 道徳」において「宗教」に触れることはほとんどないでしょう。学習指導要領にその文字が盛り込まれなかったからです。 しかし、実際に現場で学習指導要領にキーワードとしてあがっている学習内容(キーワード)を教えるときに、「宗教」というものに触れないで教えることが可能なのでしょうか。 例えば、「畏敬の念」や「生命の尊さ」というキーワードを学ぶときに「宗教」的思想に一切触れずに、深い理解が可能なのでしょうか。 また、文科省が力を入れている「国際理解」というキーワードについても、世界のさまざまな宗教思想を学ばずに、真の意味で国際理解が深まるのでしょうか。 ◆教育再生には宗教教育の復活を 「教育」にとって道徳教育による「人格の完成」がいかに重要かは、文科省をはじめ、多くの人が認めるものです。 約70年前に田中耕太郎文部大臣は国会で「宗教こそは、道徳に生命を」与えるものだと語りました。残念ながら今の道徳には「生命」が宿っていないということになります。 道徳に生命を取り戻すためには、いつの間にか「宗教教育」を教育界のタブーとし、議論がいつも骨抜きになり、何の根本解決もできない文科省、日本の教育行政をなんとかしなければなりません。 今回の道徳改革が成功し、教育改革への希望とすることができるかどうかは、70年前に失われてしまった、道徳教育の根幹にあるべき「宗教教育」を日本の教育に取り戻すことができるか。それによって教育に善悪の価値観を取り戻すことができるかどうかにかかっています。(和田みな著『公立学校に宗教教育を!』) 文部科学省/「特別の教科道徳」の教科書検定について http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/seido/__icsFiles/afieldfile/2015/09/30/1362359_1.pdf ノーベル賞受賞者・大村氏にみる理想の「科学者像」 2015.10.10 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本から二人のノーベル賞 今年のノーベル生理学・医学賞には北里大学・特別栄誉教授の大村智氏が、ノーベル物理学賞には東京大学の梶田隆章氏が受賞しました。 この受賞は日本全体を明るくし、安倍首相も「日本人として誇りに思う」と讃えています。 ◆「人のためになることをしろ」 テレビで大村智氏が色紙に書かれた「敬神崇祖」と言う色紙が紹介されていました。大村氏が「信仰心」を大切にされていたことが伺われます。 またインタビューを受けて、祖母の「人のためになることをしろ」という教えを強調されていたことがとても印象的でした。祖母の教えは、大村氏の人生に一貫して流れています。 今回ノーベル賞受賞のきっかけになったゴルフ場の土の中の微生物からつくられた薬は、アフリカや中南米の人々を失明から救っています。その数は年間3億人、それが無償でなされているのです。 また若いころ高校の定時制で教師をしていた時には、「油のついた手」で学ぶ生徒の姿に胸を打たれ、奮起して定時制の教師と両立しながら大学で化学を学び直し刻苦勉励しています。 祖母の教えや教え子の学問へ取り組む姿が、大村氏を次のステージへと導いていきました。後には北里研究所で微生物を分析する手法が買われ米大学に留学するチャンスもつかみました。 誰の人生にも「チャンスは平等」に用意されているものです。そのチャンスが、人生のなかで至る所にちりばめられているものです。今回の大村氏のノーベル賞受賞はそれを教えてくれています。 ◆「企業家的才能」を備えた科学者 大村氏のすごいところは、定時制の教師と大学での研究の両立、刻苦勉励だけではありません。 つまり「社会に有用なアイディア」を実用化し、企業から研究資金を募れるほどのネゴシエーション力を持ち、かつ、それを実現していく力を持った科学者であるところです。 それは「日本の細菌学の父」と呼ばれた北里柴三郎を尊敬する大村氏に、『実学の精神』が流れているからでしょう。 科学者としては優れていても、その研究資金がネックとなって思うような研究ができないこともあります。それを克服する方法が「研究を経営する」ことです。 大村氏自身も、36歳で米国に留学した際に、「戻ってきても研究費はない」と言われ、米国の製薬会社を回り、帰国前に年間8万ドルの研究費の提供を3年間受ける契約を結びました。これは、「産学連携」のさきがけでもあります。 「大村方式」は、研究室で有用な科学物質を探し、医薬品開発と販売は米国の製薬会社が独占的に担い、特許を共有し、その特許料で研究室の人件費や設備投資に回す仕組みです。 「企業の下請けとならず、研究室の根幹は自分たちで決める」ことを重視しています(毎日10/6)。その特許料は驚くことに200億円以上にもなりました。 特許収益で建設された北里研究所メディカルセンター(埼玉県北本市)は、病院でありながら絵画数百点を展示しエントランスではコンサートもできます。 ◆限られている私大の研究費補助金 ちなみに大村氏のノーベル受賞は、私立大の研究成果で受賞するのは初めてで、赤崎勇氏ら私立大の受賞者もいますが、受賞対象はかつて所属した国立大などでの実績でした。(毎日10/6) 文科省によると、15年度に新規採択された科研費の主要種目636億円のうち、私立大は113億円(17.8パーセント)にとどまります。 大村氏の抗生物質研究には約10億円かかっており、国からの補助は約4億円、残りを企業と組んで工面しています。 ◆「他がやらない分野」と「逆転の発想」 また大村氏の成功の要因は「他がやらない分野」に活路を見出したことにあります。 当時、人間の薬を動物へ転用が多かったのですが、動物薬(寄生虫駆除の薬)を人間に転用した「逆転の発想」からアフリカや中南米の人々の失明を救う薬は生まれたのです。 こうした「逆転の発想」は研究方式にも表れています。当時の抗生物質の研究は、天然の化合物から役に立つ性質を見つけ、その後に構造を決定する流れでした。 しかし大村氏の研究はその定石を無視して逆に、化合物を見つけて構造を決定し、その後に性質を解明するというものでした。(産経10/6) ◆研究グループのチーム力 大村氏は、研究所で「他人の成果の上に立って何かをやるのではなく、自分で新しい物質を見つける研究をしよう」と誓い合いっていました。 土の中から薬として役立つ微生物を見つけ出す研究チームは、年間に6000種の物質を分析するといいます。いわば砂山から「砂金」を見つけるような苦労が伴います。 大村氏は、こうした研究チームへの感謝を忘れていません。「いつも数十人で心を一つに歩んできたことは、非常に幸せ」と感謝しています。このチームへの大村の感謝の心こそがノーベル賞に導いたのではないでしょうか。 今回のノーベル賞受賞は、若い科学者に希望を与えたのではないでしょうか。未来の日本にも大村氏のような科学者が出てくることを期待します。 大村氏の特徴は、一言でいえば、『実学の精神』ですが、もう一人の受賞者梶田氏は、『宇宙の解明』です。これについては、また回をあらためて論じることとします。 参考 『未来にどんな発明があるとよいか』大川隆法著 『「未来産業学」とは何か』大川隆法著 日本の魂の象徴――廃館の危機にある「新渡戸記念館」を守れ! 2015.09.16 文/幸福実現党・青森県本部副代表 三國佑貴 ◆日本の誇りのために闘い抜いた国際連盟の良心「新渡戸稲造」 1899年(明治32年)新渡戸稲造は、『Bushido ― The Soul of Japan 』(『武士道』) を著し、日本人の精神的な高みを世界に知らしめました。 そして、日本の文化水準を低く見ている西洋諸国に対して日本の誇りを示し、世界中で反日の嵐が吹き荒れる中、国際連盟の良心として、命が尽きるまで闘いを続け、太平洋の架け橋となり続けたのです。 新渡戸稲造、その父 新渡戸十次郎、祖父 新渡戸伝(つとう)の御魂が、青森県十和田市の太素塚(たいそづか ※新渡戸家三代のお墓)に祀られています。 不毛の荒野であった十和田市・三本木原を開拓した父と祖父、そして、国連事務局次長として世界正義の実現に尽くした新渡戸稲造の業績を顕彰する目的で、新渡戸記念館は、お墓に並立する形で建設されました。 記念館には、新渡戸稲造の遺品や蔵書、愛蔵品など、約8000点の文化遺産が展示されています。 ◆新渡戸記念館廃館に揺れる十和田市 現在、その新渡戸記念館が、廃館の危機に直面しています。 ※記念館廃館決定、法廷闘争へ 十和田市と新渡戸家、深まる対立(産経7/18) http://www.sankei.com/region/news/150718/rgn1507180044-n1.html 十和田市が記念館の耐震診断を行ったところ、コンクリートの強度不足により危険と判定され、6月末までに廃館、建物を取り壊し、今年度中に撤去するよう新渡戸家に求めているからです。 再調査を市に求めるも、小山田久市長は6月26日、廃館の決議を下しました。 一方的に廃館を決められた新渡戸家は、弁護団を結成。行政訴訟に踏み切り、青森地裁に提訴、法廷闘争へと発展しています。現在、新渡戸家は、十和田市に対して全面対決の姿勢を示しています。 代理人の松澤弁護士は、「急いで取り壊しが必要なほど本当に危険な建物なのか」と耐震性に疑義を示し、記念館の調査では強度的に問題はなく、現地を視察した建築家の話として補強は可能だとしています。 先日、新渡戸家8代目当主、新渡戸常憲館長をご訪問した際に、館長は「稲造と同じように、私も不正に対して、一歩も引くつもりはない」と熱く語っておられました。 また、「廃館の通知は2枚の文書のみ。何の対話もないまま、HPが削除され、電気、ガス、水道等も止めると言ってきた。あまりにも理不尽な対応。地域の文化や歴史を後世に遺していくということに関して、何の配慮も感じられない。」と怒りを露わにされました。 いま、新渡戸家の方々の訴えは、全国の有志の方々へと広がっています。 新渡戸記念館 HP 「新渡戸記念館休館の経緯と現状ならびに諸問題について」 http://www.nitobe.jp/ ※十和田市長宛ての抗議署名活動を展開中。 十和田市と「武士道の源流」となった新渡戸家の争いは、市政を超えた、国家の未来に関わる重大問題です。 ◆武士道精神を未来に 太素塚を守る新渡戸家の皆様には、決して信念を曲げない稲造先生の遺志と共に、勝訴を勝ち取って頂きたいと強く祈念します。 そして、市政が、命を懸けて日本を守ってきてくださった先人の方々の歴史を葬り去り、国家の誇りに傷をつけるような悪を犯させないよう、武士道精神を後世に伝えていって欲しいと思います。 どうか、日本の未来を憂うる有志の皆様の応援をお願いします。 【参考】 ・新渡戸稲造著「武士道」 ・産経ニュース2015.7.18 ・河北新報 2015.5.29 / 6.03 子供の未来のために、今すぐできること――読書の習慣 2015.09.05 文/幸福実現党・熊本県本部 木下順子 ◆子供の頃の読書効果 国立青少年教育振興機構は2013年2月23日、「子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究」を発表しています。 子どもの読書活動の実態とその影響・効果に関する調査研究 http://www.niye.go.jp/kenkyu_houkoku/contents/detail/i/72/ 独立行政法人 国立青少年教育振興機構 http://www.niye.go.jp/ その結果は、就学前から中学時代までに読書活動が多い中学生・高校生ほど、「未来志向」「社会性」「自己肯定」「意欲・関心」「文化的作法・教養」「市民性」「論理的思考」のすべてにおいて、現在の意識・能力が高いというものでした。 特に、就学前から小学校低学年までの「家族から昔話を聞いた」「本や絵本の読み聞かせをしてもらった」「絵本を読んだ」といった読書活動は、現在の「社会性」や「文化的作法・教養」との関係が強いという結果が出ています。 また就学前から中学時代に読書活動が多い中高生は、体験活動も多く、ボランティア活動に参加したことがある人の割合が多い傾向にあり、この時期の読書活動と体験活動の両方が多い中高生は、ほかに比べて現在の意欲や能力が高いという結果も出ています。 この中では、中学生・高校生21,168人を対象とした青少年調査と、他にも20代~60代までの5,258人を対象とした成人の調査も行われています。子供の頃の読書活動が成長してからの意識・能力に及ぼす影響や効果などについて調査が行われたのは初めてでした。 青少年調査でも成人調査でも、子供の頃の読書活動が多いほど、「できれば、社会や人のためになる仕事をしたいと思う」といった「未来志向」や「電車やバスに乗ったとき、お年寄りや身体の不自由な人に席をゆずろうと思う」といった「社会性」などについて現在の意識や能力が高い傾向が見られました。 ◆「読書の習慣」 読書の習慣は、社会人になってからの仕事能力や精神力にも大きく影響するのでとても大切です。 溢れる情報社会の中、それぞれの傾向性を読み解き、比較し考え抜き、本当に大事なものは何なのか、本当に正しいものは何なのかを判断する力、メディアリテラシーを身につけて行かないと、知らない内に偏った思想に洗脳されかねません。 現代では、さらにインターネットやスマホなどのデジタル機器が、考える力やコミュニケーション能力の成長を著しく阻害しています。 マイクロソフトをつくった、ビル・ゲイツの両親は書物を身近に置き、息子が本好きになるように導き、しかも読書に集中させるため、平日はテレビ鑑賞を禁止していたと言われています。 ビル・ゲイツ自身も自分の子供には、デジタル機器を与えず、繰り返し本を読むことを教え、スティーブ・ジョブズも、自分の子供にデジタル機器は与えなかったそうです。 ◆子供の頃から「読書の習慣」を 最近、「1歳の孫もスマホを使えるよ、おとなしくなるしね」という友人の話を聞き、これから未来を担う子供達の豊かな人生観、人と人との繋がり、愛を与えること、相手の幸福を願うこと、正しい価値観を育んでいくために、私たち大人の責任が、大きいと切に感じました。 子供たちの未来のために、大人が今すぐできることは「読書の習慣」を身につけさせることです。 ※HRPニュースファイル編集部より 「子供」と「子ども」の表現について 「子供」は、「お供え物」を想像させ差別的な表現だとして「子ども」という表現をすべきだとの意見もありましたが、2013年9月に文科省から「子供」は「差別表現でない」として公文書での使用は「子供」で統一するという方針が出ています。 今回取り上げられている「国立青少年教育振興機構」の調査は、文科省の方針がでる前の2013年2月であるため調査の名称自体は「子ども」という表現にしていますが、それ以外の部分では「子供」を使いましたのでご了承ください。 長崎市平和公園から真の世界平和を考える 2015.08.21 文/幸福実現党・長崎県本部副代表 山田 聖人(やまだ・きよと) ◆戦後70年目の原爆の日を迎えて 今から70年前の昭和20年8月9日11時2分、原子爆弾が長崎市上空にて炸裂し、7万人ともいわれる人たちがその犠牲となりました。 そして日本はポツダム宣言を受諾して、8月15日に戦争が終結しました。 多くの国民が天皇陛下の玉音放送に涙し、長く苦しい戦いは終わったのです。その戦争の犠牲になった数多くの方に追悼の意を表します。 それから70年。日本は戦後、目覚ましい高度経済成長を遂げ、被爆地長崎も、当時ささやかれていた、「今後は二度と草木も生えないのではないか」という予想を覆し、当時の人たちからは信じられないような復興と繁栄を実現しました。 そして70年後の今年8月9日(日)、70回目の原爆の日を迎えた長崎市平和祈念公園において、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が執り行われました。 安倍晋三首相も犠牲になった方々に追悼の意を表し、さらに非核三原則を堅持し「核兵器のない世界」を訴えるスピーチを行いました。 また田上富久市長も「悲惨な戦争の記憶を語り継いでいくことが必要だ。」と世界に呼び掛けましたが、同時に安全保障関連法案についても語り、政府と国会に対し、慎重な審議を求めました。 戦後70年間、長崎は、最後の被爆地として世界平和のメッセージを世界に発信する貴重な役割を果たしてきたと言えるでしょう。 ◆間違った歴史観の横行 しかし近年では、世界平和の名のもとに、左翼的な思想が蔓延し、真の世界平和とは何かをもう一度、考え直さざるを得ない状況にあると言えます。 中国からは南京大虐殺が取り上げられ、韓国からは従軍慰安婦問題が追及されました。世界中に従軍慰安婦像の建立がすすめられ、あたかも日本悪玉論が正義のごとくマスコミでも論じられてきたのです。 ◆歴史の捏造への反対運動が巻き起こる ところが最近になって朝日新聞が従軍慰安婦の証言を撤回したように、様々な調査によって、これらが捏造であった事実も判明しています。 そうした最中に昨年、長崎市平和祈念公園に韓国人原爆慰霊碑の建立計画が持ち上がりました。 この慰霊碑の碑文には、「強制連行」や「虐待」など、日本政府の公式見解と違った内容の文章が盛り込まれ、修学旅行の学生たちが数多く立ち寄る、平和公園の正面の入り口に建立される予定でした。 これに対して幸福実現党は南京大虐殺や従軍慰安婦問題と同じように、捏造された歴史をあたかも真実の様に伝える碑文は、教育上ふさわしくないと問題視し、幸福実現党長崎県本部が中心となり韓国人原爆慰霊碑反対陳情書を市長と市議会に提出しました。 また有志一同が立ち上がり、長崎市内で毎週の如く反対陳情の署名活動を展開したのです。 従軍慰安婦像と同質のものが長崎市にも建設されようとしている事実に、市民も驚きながら多くの方が反対署名に協力して下さったのです。 そして昨年の夏、幸福実現党の釈党首を代表に、田上市長あてに約7000筆の署名が提出されたのです。 このような反対運動が展開された結果、予定では昨年の8月9日に除幕されるはずの慰霊碑は、現在もまだ建設されていません。 時を同じくして全世界に広がりつつあった従軍慰安婦像も物議を醸しだし、反対運動が起きてきました。最近ではオーストラリアの最大都市シドニー近郊にあるストラスフィールド市にも従軍慰安婦像の建設が持ち上がりました。 しかし8月11日に、旧日本軍の従軍慰安婦問題を象徴する少女像は、不適切として設置を認めないという決議が下されました。 その背景には、やはり正義を貫き、捏造された歴史を認めたくない「勇気ある人々」が存在したのです。 ◆新しい未来へ 8月14日に安倍首相は、いわゆる安倍談話を発表しました。冗長なその内容は、かつて日本を護るために戦った英霊たちを冒涜するような残念な内容でした。 幸福実現党は、安倍談話の撤回を要求する声明文を発表しましたが、大東亜戦争は欧米列強の植民地支配に苦しんでいたアジアの同胞たちを解放するために日本人が立ち上がった聖戦であったという真実は、まだまだ浸透していないのです。 しかしながら、歴史の捏造や英霊たちの冒涜を許せない「勇気ある人々」の出現により、真実の未来は必ず切り開かれてゆくはずです。 どうなる安倍談話!?どうなる日本!? 2015.08.13 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆戦後70年談話は、8月14日発表か 報道によると、安倍首相は8月14日 、戦後70年の談話を閣議決定し、発表する方針とのことです。その内容には、「侵略」や「おわび」という文言が盛り込まれる見通しです。 幸福実現党は、「『河野・村山談話』の無効を宣言し、自虐史観を一掃する『戦後70年談話』を求める署名」として皆様から頂きました約33万筆を、先月末に内閣府に提出致しました。これが安倍首相の心に届いていることを祈ります。 まずもって、中韓に対するおわびは不要です。これまでも、おわびが受け止められる素振りは皆無であり、二言目には賠償金の請求です。 そもそも戦後賠償は、法的には完全に決着している問題です。中韓の「法の支配」の未成熟さに、いつまでも付き合う必要はありません。 ◆日本軍進駐の実情 根本的に、大東亜戦争において日本は侵略をしたのでしょうか。 日本が進出していった当時の東南アジアでは、欧米の植民地支配による搾取が横行していました。アジアで植民地でなかったのは、日本とタイだけだったのです。 ところが、日本軍が欧米を蹴散らした後は搾取がなくなり、日本によるインフラや教育への投資で、多くの国が束の間の発展を享受しました。これを日本の侵略と呼べるのでしょうか。それ以前にアジアを侵略していたのは、他ならぬ欧米です。 ◆マッカーサー元帥も認めた日本の自衛戦争 少し話は変わりますが、戦争にもルールがあります。1899年のハーグ陸戦条約と呼ばれるものです。戦闘員同士が殺し合う行為は犯罪ではないが、民間人や戦う意思を失った捕虜を殺害したら戦争犯罪になる、というような約束事でした。 戦後、アメリカは日本を裁くべく、日本軍の戦争犯罪を探しました。ところが、これが見つからないのです。日本軍が組織的に民間人を殺害しようとしたケースは、ゼロ件だったのです。 逆に、アメリカ軍による東京大空襲や広島・長崎の原爆投下は、明らかに民間人を狙ったものですので戦争犯罪です。 これに困ったアメリカがでっち上げたのが、南京事件でした。日本軍南京入城の1937年以降、当時まったく相手にもされなかったデマを復活させて、国際法を無視して開廷された東京裁判において罪状として利用したのでした。 (ちなみに、南京市の統計で20万人だった人口が、日本軍の南京入城後、一ヶ月で25万人に増えているわけですから、大虐殺などあろうはずがないのです。) さらに、日本人に罪悪感を植え付けるために、徹底した検閲と教育がなされました。ここで植え付けられた「日本=悪い国」の歴史観は、東京裁判史観と言われています。 ところが1951年には、東京裁判を主導したマッカーサー元帥本人が米上院において、大東亜戦争は日本の侵略ではなく自衛の行為であった旨の証言をしています。 ◆基本的人権を保障する国防と、それを支える愛国心 欧米の植民地支配にとっては、確かに日本軍の侵略に見えたことでしょう。しかし、アジアの人々にとっての日本軍進駐は、基本的人権の回復だったのです。 他国に侵略されると、基本的人権は守れません。基本的人権が奪われる苦しみは、かつてアジア諸国の人々が、欧米によって味わわされました。そして今、チベットやウイグルの人々が、中国によって味わわされています。 基本的人権を守るためには、国防が不可欠です。そして、国を守るという意識を育てるのが、国を愛する思い、すなわち愛国心です。 日本という国家は、私たち国民の総体として出来上がっているものです。私たちの父母、祖父祖母、ご先祖様が営々と築き上げてきた国家なのです。 私たちのルーツであり私たち自身でもある祖国、これを愛する心が愛国心です。愛国心を取り戻し、より素晴らしい国家を築いて、子供や孫たちに引き継いでゆきたいものです。 しかし今、祖国日本に危機が迫っています。 中国は毎年日本の5倍から10倍の軍事費をかけて軍拡を続け、尖閣諸島を狙っています。そして、南シナ海のサンゴ礁の島を埋め立てて、大型爆撃機が離着陸できる3000メートル級の滑走路を建設しています。 不必要な謝罪は、祖国への誇りを損ない、国防の意思を弱めます。日本の国防が弱まって喜ぶのは、中国です。日本を貶めて中国を喜ばせるような政治家は、必要ありません。 ◆教育は国家百年の計 正しい歴史に基づいた愛国心教育、政治の在り方を教える主権者教育が必要です。閣議決定された談話は、これら教育にも影響を与えるものになるでしょう。 現在のマスコミの報道は、非常に偏っています。国防を阻害し、外国への謝罪を要求するその報道姿勢は、常軌を逸していると言えるでしょう。 安倍首相には、マスコミ報道に媚びず、日本の名誉を回復させる力強い談話を希望するものです。 次世代の子どもたちに希望を与えるために 2015.08.05 文/幸福実現党・兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆どうして若者が左翼勢力に取り込まれるのか 安全保障関連法案成立に反対するマスコミが、自分たちの意見の反映として大々的に取り上げているのが若者の活動です。 代表的な大学生団体の「SEALs(シールズ)」は、毎週金曜日に首相官邸前に集結。学者の会や高校生団体とコラボレーションしながら、安全保障関連法案の成立反対運動を行っています。 この流れに乗って、今までは政治運動に関心がなかった人たちも、活動に参画しはじめています。 「安保関連法案に反対するママの会」企画の母親たちのデモが7月にありました。 今回の「誰のこどもも ころさせない」というメッセージ性とマスコミの煽る不安感により、はじめてのママが多数参加。渋谷の街を1500人ほどがベビーカーなどを押しながらのデモだったようです。 このデモにも参加した一団体、ママデモのHP(http://happymamademo.jimdo.com/)には、「反原発、脱被爆、反TPP、秘密保護法反対、集団的自衛権・基地いらない、NO WAR…」「参議院議員 山本太郎さんを応援しています」とあります。 ここだけであれば偏った感じを受けますが、テーマカラーのピンク色とやわらかい文字書体、マイクを持って涙ながらに訴える一般ママたちの姿により、中和されました。 このメッセージに共感して集まってきたママや若者たちが仲間になっていくのです。 ◆他人を認める寛容さこそが日本の美点 タレントのつるの剛司さんがツイッターで「『賛成』の意見も聞きたいなぁ。」「賛成派も反対派も平和への想い、戦争反対への想いは同じ。」とつぶやけば、「ばかじゃないのか」「戦争賛成か」とのコメントが続き、炎上しました。 自民党の武藤議員が、「法案が成立しても戦争に行くことはなく、扇動とか間違った情報に基づいて若い人が誤解し、だまされている」と語ったことには、マスコミが大きく反発しました。 安保法制に対して賛成もしくは中立公平な意見を述べると、こぞって攻撃する姿は異様です。自分にとって“正しい事実”であることが、他人にとっても“事実”であり“真実”であるとは限りません。 自民党政治を独裁と批判し、民主主義を求めるマスコミや左翼陣営ですが、自分と違う意見を持つ人に対して感情的に執拗に攻撃をする姿こそ、自由や民主主義から最も遠い姿のように思います。 ◆若者の目を、世界に!次世代に! 安保法制反対運動は、おしゃれでかっこいいものを身につけながら、スマートな活動の中で意見を発信している、という若者の心を満たしています。 ただ、一歩外に出て、海外事情を見るとどうでしょうか。安全保障法制が閣議決定後、東アジア各国は日本に大きな称賛をしました。 フィリピンのアキノ大統領は日本の衆参両院合同会議の中において、「本国会で行われている審議に最大限の関心と強い尊敬の念をもって注目しています」と述べております。 ベトナムのズン首相は、日本の地域及び国際社会における平和と安定のための貢献を高く評価しました。 フィリピンのデルロサリオ外相は、アメリカが関係各国に提案中の南シナ海での埋め立てや建設行為の禁止について「全面的に支持する」との独自の声明を発表しています。 しかし、多くの若者はこの事実を知りません。 国会の審議の中でさえも、中国の南シナ海と東シナ海における脅威、周辺諸国の現状と日本に対する期待をきちんと国民に説明をしてこなかったことこそ、日本政府の失態であります。 わが子のことを心配するお母さんたちが望んでいる平和の実現は、東アジアの安定なくしては成り立ちません。 東アジアの安定がいかほど重要かは、先の大戦で亡くなっていかれた先輩たちが、一番良く分かっておられたのではないでしょうか。 今の日本があるのは、間違いなく先人の方々のおかげです。私たちも後世の人々のために働きたいと思います。 安全保障関連法案の早期成立、そして正しい歴史と世界の期待に基づいた安倍談話発表、を訴えてまいります。 インテリジェンス機能強化へ――真のリーダー国家としての条件 2015.08.04 文/HS政経塾5期生 水野善丈 ◆米国、日本を盗聴 内部告発サイト「ウィキリークス」は31日、米国家安全保障局(NSA)が2006年から日本政府や企業35か所を対象に盗聴を行っていたことを明らかにしました。 これに対して一部の政府高官は「情報の世界では、首相や閣僚は盗聴されていることが当然だと思って対応するのが普通だ」(産経)と述べていますが、今後、防止策はしっかりと考えなければならないでしょう。 日本では、2014年に「秘密保護法」、今月には産業スパイの防止のため「改正不正競争防止法」が可決され、国内からの情報流出を避ける改革を進めている矢先に発覚しました。 ◆世界の情報機関 2013年にも米政府が独メルケル首相を盗聴していたことで話題となりましたが、国際社会においては外交の前段階として、諜報活動や情報収集は国家をあげて取り組まれています。 またその取り組みは、単に情報を集めるだけでなく、情報機関によって分析や評価の加えられた生きた情報、つまり、「インテリジェンス」を吸い上げ国家戦略に生かされています。 こうした「インテリジェンス」を担った情報機関は世界各国に存在しています。 アメリカでは、国家情報局(CIA)、連邦捜査局(FBI)などの15機関があり、イギリスでは、保安局(MI5)、秘密情報部(SIS)などが存在し、フランス、ドイツ、ロシア、イスラエルなど各国もこうした情報機関を持っています。 ◆日本における情報機関の現状 日本には、内閣情報調査室を中心に、警察庁、外務省、防衛省、公安調査庁、海上保安庁など様々情報機関は存在し、内閣情報会議や合同情報会議など取りまとめる委員会もあります。 しかし、そうした情報機関や委員会があるにも関わらず機能しきれていないのが現状です。 例えば、各情報組織において所掌や予算、定員や影響力などをめぐって競合しており、相互の積極的な情報共有はなく、情報を集約し官邸に伝達する体制が非常に弱くなっています。 また、各組織も人的情報(ヒューミント)手段がほとんど無く、対外情報収集に弱いという弱点もあり、情報機関の力が発揮できていません。 ◆情報力の無さが露呈した事件 この日本政府の情報収集力、分析能力に致命的欠陥があることが露呈したのが、2013年発生したアルジェリア人質事件でした。 当時は現地から政府へ情報は全く入らず、イギリスやアルジェリア政府や海外メディアが流す情報でしか判断することができず、外務省をはじめ各省庁には一次情報を収集する手段すらありませんでした。 また、2014年に起きたISISによる日本人拘束事件も同様な状況で、政府は全力で救出のために努力しましたが、独自で現地の情報を得られず現地に繋がりを持たない日本は外務副大臣を急遽送り対応するしかできない状況でした。 こうした中で、安全保障関連法案が可決の見込みが出て、邦人救出への自衛隊の法整備は改善されつつありますが、まだ諸外国における情報収取力、分析能力に欠けた状況では安全保障上も万全とは言えません。 ◆インテリジェンスに強い国家こそ真のリーダー国家となれる 以上のように、めまぐるしく変化する国際情勢の中で、主権国家としてインテリジェンス機能を保持することは必須です。 そして、在外邦人救出を念頭においても情報収集の機能強化を考えなければいけませんし、今後、日本がリーダー国家として主体性を持ち国家戦略を立てていく上でもインテリジェンスを強化する体制は検討されなければなりません。 また、現実に検討される際には、政府の情報機関を国会や世論がいかに監視しコントロールするかということも極めて大切なキーワードとなっていると思われます。 なぜなら、世界の情報機関では、政府とは別の知らないところで活動し諸外国と軋轢を生じさせ、国家戦略に反する事例もあるためです。 民主主義の政治体制をアイデンティティとする日本は、世界のインテリジェンスを見ながらも日本独自のインテリジェンスを構築してこそ、世界を正しい方向へ導いていける真のリーダー国家へとなれるのだと思います。 教養主義の伝統の再評価を望む 2015.08.01 文/幸福実現党・岐阜県本部副代表 加納有輝彦 ◆国立大から文系学部が消える? 文部科学省が本年6月、全国の国立大学に対して人文社会系の学部と大学院(文学部や社会学部など)について廃止や社会的要請の高い分野への転換など大規模な組織改編を行うよう求めていることが波紋を広げています。 グローバルな競争が激しくなる中、文系学部は理系学部のように「技術革新」に直結せず、将来に向けた目に見える成果がすぐには期待しにくい、さらに、国の財政難から国立大に投入される税金を、ニーズがある分野に集中させ効率的に使いたいという政府側の狙いがあるとみられています。 人文社会系の卒業生の多くがサラリーマンになるという現実を踏まえ、大学は地元で必要とされている職種を把握し、即戦力となる人材を育てる学部に転換するべきといった考えが根底にあります。 政府の試算では、平成3年に207万人だった18歳人口が今から15年後の平成42年には101万人まで半減するとしています。少子化に伴い大学の定員縮小、再編は必然の流れではあります。 現在、大学進学率は50%を超えており大学の大衆化が進んでいますが、私立大学の半分以上は定員割れの状態で、大学の経営は厳しい競争に晒されています。国立大学も例外でなく成果が求められています。 従来、教員養成系の学部を含め、人文社会系学部には左翼思想の影響が色濃くあり、実践的な知識を身に付けた人材が必要とされる経済界の要請に必ずしも答えていないという批判が根強く存在していたことは事実です。 文科省の通達に関しては、当然反発の声が上がっています。京都大の山極寿一総長は、「幅広い教養と専門知識を備えた人材を育てるためには人文社会系を失ってはならない。」(6月16日の会見)と批判しています。 ◆教養主義の伝統 日本には、「教養主義」という伝統があります。教養主義とは、哲学、歴史、文学などの読書を中心にした人格形成を目指す態度をいいます。 特に、教養主義の舞台は、旧制高校であったといわれています。 明治、大正、そして戦後昭和25年まで存続した高等学校で、例えば、現在の東大の教養学部の前身となった旧制一高は、広く知れわたった寮歌「嗚呼玉杯に花受けて」と共に有名です。 旧制高校の学生たちにとって、阿部次郎の「三太郎日記」、西田幾多郎の「善の研究」、倉田百三の「愛と認識の旅立ち」は『三種の神器』と言われました。 22歳まで日本人として育った台湾の李登輝前総統は、旧制高校で教育を受けたお一人ですが、当時、鈴木大拙、夏目漱石、和辻哲郎をはじめとする〝人間の内面を深く省察する〟書物を読んだといいます。 「青春時代の魂の遍歴に、最も大きな影響を与えた本を三冊あげるとすれば、ゲーテの『ファウスト』、倉田百三の『出家とその弟子』、カーライルの『衣装哲学』」と語る李前総統の、泉のように溢れ出す人間的な魅力に接するとき、私は、教養を深め人格を磨くことを基本にした旧制中学、旧制高校の教育のすばらしさを、他の誰からよりもリアルに実感する。」と櫻井よしこ氏もコラムに書いています。(「李登輝氏に見る古き佳き日本」2007/6) ◆教養主義の再評価を さらに時代を遡れば、日露戦争時、二百三高地で従軍記者として取材していたスタンレー・ウォシュバンというアメリカ人新聞記者は、乃木希典将軍の人格に魅了され、乃木将軍をFather Nogiと呼び、「乃木大将と日本人」という著作も残しています。 乃木将軍が受けた教育は、今で言えば、国文学科の国文学・漢文学コースで学ぶような教養が全てだったと言われています。 やや古い事例を挙げましたが、国立大学の人文社会系の学部の再編成にあたっては、日本の教養主義の伝統が、国際的に活躍し、尊敬を集めた人材を多数輩出したことを振り返り、むしろ人文社会系学部の意義を積極的に再評価し、未来の日本に資する教育改革の断行を望むところであります。 すべてを表示する « Previous 1 … 5 6 7 8 9 … 18 Next »