Home/ 経済 経済 日本も「消費税増税」という「財政の崖」を全力で回避せよ! 2013.01.04 世界が安堵した「財政の崖」回避 米上院と下院は1月1日、緊縮財政によって米景気が悪化する「財政の崖」の回避策を盛り込んだ法案をそれぞれ賛成多数で可決しました。 中間層の減税維持と引き換えに富裕層への増税に踏み切り、国防費など歳出の強制削減の開始は2カ月延期されることになりました。 これにより米国のほぼ全世帯は年末でいったん失効状態となった減税措置の多くを回復。急激な財政緊縮で経済に深刻な打撃が及ぶ事態は回避されました。 「財政の壁」が回避されなければ、大増税と大幅な財政緊縮の両方が同時にアメリカ経済に襲いかかるところでした。 その規模は2013年単年度でも約6000億ドル(約53兆円)と巨額で、両方とも景気を冷やす効果を持っているため、株価の3割が吹き飛び、アメリカのGDPが3~4%下がるとの予測もなされていました。 米国経済が「財政の崖」に落ち込めば、世界経済が受ける影響は深刻で、「円安株高」が進む「アベノミクス」も一気に吹き飛ぶところでした。 「財政の崖」が回避されたことによって、NY株が急騰。ヨーロッパや日本市場でも「財政の崖」が避けられたことに対する前向きな受け止めが広がっており、株高をもたらしています。 2013年最初の取引となった1月4日の東京株式市場では、取引開始から大幅に値を上げ、一時、大納会より300円以上値上がりした1万0,700円台を記録。終値でも、初めて東日本大震災前の水準を回復しました。 これは、およそ2年5カ月ぶりの円安になったことに加え、アメリカの「財政の崖」問題がひとまず回避されたことが、その要因として挙げられています。(1/4 FNN「大発会 平均株価、東日本大震災前の水準に回復」) 野村証券のエコノミストは「最悪の事態が回避され、マーケットでは取りあえず安心感が先行している」「年始の日本株はロケットスタートになる」と予測しています。(1/4 ブルームバーグ「日本株は連騰へ、2年5カ月ぶり円安好感-『財政の崖』回避」) 「合意」の本質は増税 しかし、これで米経済が好転していくかどうか楽観視はできません。米株価の上昇はオバマ大統領が再選されてから株価が急落し、NYダウは1万2500ドルあたりの水準まで下がっていたことへの反動に過ぎません。 「財政の崖」回避に向けた民主党・共和党合意の結果、減税打ち切りの対象は大統領が提案していた年収25万ドル(約2180万円)以上から、野党共和党の反発で45万ドル(約3900万円)以上に狭められたものの、富裕層への課税強化で所得税は20年ぶりに実質増税になります。 ブッシュ前大統領が大型減税による景気対策を行ったのに対して、「富裕層は応分の負担をすべきだ」と主張するオバマ大統領による富裕層増税が押し通された形です。 また、富裕層へのキャピタルゲイン(有価証券売却益)や配当への税率引き上げ(15%⇒20%)や遺産税の引上げ(35%⇒40%)なども決定されました。 また、富裕層と関係なく、社会保障給与税は、これまでの2%カットが廃止されます。社会保障税が2%増税したに等しく、米国民の幅広い層に増税が及びます。 日本でも、昨年4月に年少扶養控除を廃止された結果、勤労者世帯の消費が落ち込みましたが、米国でも今後、増税による消費の落ち込みが景気悪化を招くことが懸念されます。 米軍事費の大幅削減で、日本は自主防衛を迫られる また、財政支出の大幅削減については2ヶ月間凍結という「結論先送り」の形になりました。今回の回避が無ければ、巨額な軍事費と社会保障費の「強制的(自動的)な歳出削減」がなされるところでした。 今後、来月末に向けて、社会保障費は据え置き、軍事費削減を優先する民主党と、軍事費は据え置き、社会保障費削減を目指す共和党との激しい対立が続くことが予測されます。 この成り行きによっては、日本は経済のみならず、安全保障面においても多大な影響を受けることになります。 軍事費の大幅な削減がなされれば、「世界の警察」としてのアメリカのプレゼンスは後退し、日米同盟の抑止力が低下する他、長期的には「軍事力の米中逆転」に陥る危険性も強まります。 両党間で妥協がなされるにしても、相当規模の米軍事費削減は不可避と言われており、日本は核武装も含め、「自分の国は自分で守る」自主防衛体制を進めていくことが急務です。 「消費税増税」という「財政の崖」を回避せよ! 日本では、既に「増税ラッシュ」が始まっています。 昨年10月から「地球温暖化対策のための税(環境税)」がスタートし、今年1月から「復興増税」という名の増税(所得税額の2.1%上乗せ(25年間)、住民税増税等)が始まりました。 そして、消費税は来年2014年4月1日に8%、15年10月1日に10%へと連続アップする予定です。消費が低迷する中での消費税増税は「日本経済の自殺」に等しい行為です。 昨年2012年の日本のGDPも、復興需要が伸びず、下方修正の見込みですが、こうしたデフレ不況が続く中で消費税増税を強行すれば、まさしく日本経済は崖から転落します。 自民党は消費税増税法に賛成した立場上、消費税廃止はしづらい立場にありましょうが、安倍首相は勇気を持って消費税増税法を廃止し、日本の「財政の崖」を全力で回避すべきです。(文責・黒川白雲) 日本経済再建に向けて 2013.01.02 新年の祝賀ムードを吹き飛ばす復興増税 2013年元旦から始まった東日本大震災の復興に向けた所得税増税。所得税増税は2.1%上乗せされ、1月1日から25年間も継続されます。更に住民税は2014年6月から10年間、年間千円の上積みとなります。 既に、2012年4月からは法人税増税が始まっており、3年間の税額が10%高くなっていますし、2012年8月10日には消費税増税法案が可決していますので、このまま景気弾力条項が適用されなければ、2014年4月から消費税は8%へ、2015年10月には10%へと引き上げられます。 安倍政権の誕生によって保守回帰へ向けた一歩を踏み出し、デフレ脱却に向けて日銀法改正まで実行しようとされていることは大いに結構なことです。しかしながら、前政権時代の遺産としての復興増税は始まっています。 今も住居がなく不自由な生活を余儀なくされている被災地の方のために増税をされたわけですが、被災地以外への流用問題も出ており、国民の政府に対する信頼は依然として低いと見るのが筋でしょう。 □11万の国民の声を無視した事実 幸福実現党は2011年の11月、復興増税に反対するために「増税が国を滅ぼす!国民集会」(実行委員長:内山優日本税制改革協議会会長)に協賛団体として参加し、時の政府に対して批判を行いまいた。 また、昨年は3月に消費税増税に反対するべく、同じ趣旨で国民集会を行いました。この時、同時に進めていた消費税増税反対の請願用紙が全国から集められ、総数111,234に達しました。⇒http://bit.ly/Vor3Rj 筆者も『日本経済再建宣言』『増税亡国論』(二冊とも共著で幸福実現党出版より刊行)を記し、増税よりも経済成長を優先する論陣を張りました。当ニュースファイルでも、様々な切り口から増税反対の意見を述べてきています。 例えば、他党にはない論点として、国民が承諾しない増税は「合法的略奪」であるということです。⇒参照:国民の信なく増税するのは合法的略奪。今こそ減税路線への転換を これは「代表なければ課税なし」という原理原則に則ったものです。その意味では、11万を超える国民の声を無視し、野田政権が消費税増税法案可決に向けて爆進したことは非難に値します。 また、自民党と公明党も消費税増税法案可決に加担していることをゆめゆめ忘れてはなりません。自公政権への回帰といっても、国民は増税政党を圧倒的に支持したことによって、増税を合法的に承諾してしまったのです。 日経平均株価2万円の回復を目指そう! 幸福実現党は、次の戦いに向けて新体制でスタートを切りましたが、復興増税と消費税増税の凍結・廃止を引き続き主張します。 安倍首相のデフレ脱却に向けた金融緩和、日銀法改正に向けた動きは評価できるのですが、それだけでは日本経済は再建したとは言えません。 景気弾力条項には、名目成長率3%、実質2%が明記されています。この数値を下回った場合は消費税増税を見送るということになります。 たとえ一時的に成長率が3%を達成したとしても、増税は敢行されてしまいます。消費税増税によって消費が停滞すれば、企業の収益が圧迫されて設備投資が落ち込みます。 消費税の税収は増えるかもしれませんが、個人が支払う所得税や企業が支払う法人税が落ち込む可能性が高いのです。 特に、法人税の場合は景気に左右されますので、欠損法人(赤字で法人税を納税しない企業のこと)が一層増える可能性があります。つまり、一般会計の税収は全体的に落ち込むわけです(拙著『日本経済再建宣言』197p~204pを参照のこと)。 せっかく成長率が高まっても、再び増税によって経済成長と税収を減らすならば意味はありません。例えるならば、アクセル(経済成長)とブレーキ(増税)を同時に進めたら車がおかしくなるのと一緒です。 従って、復興増税と消費税増税の廃止は、ブレーキペダルを離すことに相当します。 今は東日本大震災の復興のためにもアクセルを全開(=適切なマクロ経済政策を行うこと)にし、日本全体を元気にすることが先決です。 最終的には、幸福実現党が2009年の衆院選の時に提言した日経平均株価2万円台への回復を目指すべきでしょう。 2万円は今の水準の2倍です。株価が2倍になれば、銀行や企業の資産価値も相当高まりますので、銀行による貸出や企業の設備投資がしやすい環境が作られます。増税を廃止することで、消費者も安心して消費をすることができるでしょう。 国民の安心を考慮するならば、増税ではなく減税や経済成長です。そこに株価の上昇が伴えば、必然的に消費も高まります(専門的には資産効果と呼ぶ)。 要するに、幸福実現党は、日本経済は政策次第によってまだまだ成長ができると考えているのです。 私たちは、決して成長を諦めてはいません。むしろ、本年を日本経済再建元年とするべく努力精進していく所存です。 本年も引き続き、我が党の経済政策にもご指導・ご鞭撻を頂ければ幸いです。(文責・中野雄太) 日銀法改正の意義 2012.12.26 日銀法とは何か 安倍首相が金融緩和だけではなく、日銀法改正も口に出し始めました。そこで、今回は日銀法改正の意義を検討していきます。 内閣官房参与の経済担当として入閣が予想されているイェール大学の浜田宏一名誉教授が参画する意義は、前回の「デフレ脱却を本気で考えるならば幸福実現党からも民間登用を」で述べました。 浜田教授の最新刊『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社)を紐解くと、やはり日銀法の改正にも言及されていますので、後ほど紹介します。 まず、問題となる日銀法のどこが問題なのでしょうか。 現在の日銀法は、正確には「新日本銀行法」と呼ばれています。97年に成立し、98年から施行されています。その中で、第三条の一には次のように明記されています。 「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない。」 文章だけを見れば別におかしなことは何もありません。ただ、背景事情を知ることで違う世界が見えてきます。というのは、日銀は旧大蔵省の影響下で金融政策は制限されていたため、独立性の確保は日銀の念願だったからです。 現在、大蔵省は財務省に名前を変えて金融政策にはほとんど関与しなくなりました。いわゆる「財金分離」と呼ばれ、増税や財政出動は財務省が、金融政策は日銀、金融監督は金融庁が担当することになりました。 98年当時では、独立性の高い中央銀行を持っていれば、マクロ経済の安定に寄与するという研究が主流でした。 実際、筆者が大学院生時代には、若田部昌澄教授(当時は助手)が主催した勉強会で、カルフォルニア大学バークレー校のD・ローマー教授が執筆したAdvanced Macro Economics(翻訳は『上級マクロ経済学』日本評論社。今でも必読テキストの一つ)を使っていました。 このテキストでも、独立性の高い中央銀行とマクロ経済の安定は正の相関関係にある実証研究が紹介されていました。 日銀の最大の目的は物価の安定 日銀の金融政策の最大の目的は「物価の安定」です(本年他界された三重野康元日銀総裁の霊言『平成の鬼平へのファイナル・ジャッジメント』でも同じことを述べていた)。 日銀法第二条には、「日本銀行は通貨及び金融の調節を行うにあたっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全なる発展に資することをもって、その理念とする」と書かれています。 この条文も、それ自体は正しいのです。しかしながら、日銀マンは物価の安定こそが大事であって、経済成長や雇用に関する優先順位は低いと言わざるを得ません。 すると、何が起きるか、簡単な思考実験をしてみましょう。 アベノミクスが効果を発揮して消費者物価指数が1%を超えたとします。日経平均株価も1万を超えて1万5千を超す状態が起きました。 典型的な日銀総裁ならば、「インフレ懸念」があると称して引き締めに入ろうとします。その結果、景気が悪くなっても、物価の安定が達成されれば問題がないと考えるのが日銀なのです(実際、2006年の金融引き締めが不況をもたらしたことは、高橋洋一教授らが指摘している)。 しかしながら、世界のほとんどの中央銀行には、経済成長と完全雇用の維持が明記されています。その代わり、目標達成の手段は自由です。中央銀行の独立性とは、目標達成の手段に関することなのです。 一方、日銀の目的は物価の安定のみです。だからこそ、20年間の平均経済成長率がゼロでも、日銀は動こうとしなかったわけです。 最近に来てようやく重い腰を上げ始めましたが、不十分です。これでは、世界の趨勢からは逸脱していると言わざるを得ません。 日銀法改正の論点 日銀にはマクロ経済指数(インフレ率や失業率、経済成長率等)に対して結果責任がないので、日銀特有の内部論理がまかり通るのです。現在の新日銀法は、日銀の内部論理を法律によって保証してしまったようなものです。 だからこそ、安倍総裁や浜田氏らの経済学者から日銀法改正が提案されているわけです。 他には、学習院大学の岩田規久男教授や嘉悦大学の高橋洋一教授、早稲田大学の若田部昌澄教授が日銀法改正の理論的発信をしています。 また、自民党の山本幸三議員らの国会議員有志でも日銀法改正に向けて動ける議員が一定数います。彼らの主張は、以下の3つに集約されます(浜田氏同書p.177参照)。 1.雇用の維持を政策目標にする 2.金融政策への結果責任を明記する 3.インフレ目標を義務付ける 幸福実現党も日銀法の改正は衆院選で明記し、日銀総裁その他役員の罷免権を主張しました。 当然の如く、日銀の白川総裁を始め、強烈な抵抗をするのは目に見えています。同時に、日銀寄りのマスコミや御用学者からの批判も多く出ることは必至ですが、日銀法改正の最大のチャンスがやってきたのは間違いありません。 安倍首相の断固とした取り組みを期待するとともに、日銀側も本来の独立性とは何かを再考して頂きたいと祈念します。(文責・中野雄太) 日本は第二の高度経済成長を目指せ!――産業革命で経済復活を 2012.12.24 先の総選挙で自民党が大勝し、次期首相である安倍総裁による積極的な金融緩和を中心とした経済政策「アベノミクス」への期待が市場でも高まってきており、株価や為替レートにも如実に反映されて来ています。 日経平均株価は一時、八か月半ぶりに一万円台を回復し、計10兆円の為替介入でもほとんど動かなかった為替レートも大幅に円安に振れており、景気回復の兆しが見えつつあると言えます。 自民・安倍総裁は日銀との政策アコードを結んでの物価目標2%のインフレ・ターゲットの導入を本格化させており、日銀も今までのインフレファイター路線を再考し始めているようです。 しかし、政府・日銀は物価目標に対して明確なコミットメントすることで市場の信用を得て、インフレ期待を起こすまで一歩も妥協してはなりません。 日本の「失われた20年」の元凶である90年代から続く長引くデフレに、今こそ速やかに終止符を打ち、日本の経済を復活させなければなりません。 しかし、景気回復を実現し経済が成長路線に乗ったとしても、今のままでは増税が待ち構えています。 景気弾力条項では、名目3%、実質2%成長が増税の前提条件となっております。 安部総裁は来年4~6月期の経済成長率によっては消費増税の見送りをすることを示唆したとされていますが、増税は「見送り」ではなく「撤廃」まで追い込まなければいけません。 実際、96年、日本経済は実質成長2.7%とバブル崩壊後では最高の成長率を実現していましたが、その翌年97年の増税によって一気に本格的なデフレ不況に陥ってしまいました。 結果、日本有数の金融機関が次々に倒産し、自殺者も3万人の大台に乗ってしまいました。「経済成長したから増税してもいい」という安易な考えは危険極まりないと言わざるをえません。 他の先進諸国はどこも年平均4%も経済成長しているにもかかわらず、それにも満たない成長率で増税をかけるというのは愚策以外の何ものでもありません。 やるべきことは、経済成長に冷や水をかけるような増税ではなく、さらなる高度成長を目指すための策を打つことではないでしょうか。 そもそも現在日本にとって重大な懸案事項となっている中国は、日本を追い抜いて世界第二位のGDPを誇るようになってから、居丈高になって日本を脅してくるようになりました。 経済力の低下は他国から「なめられる」原因となってしまいます。経済力は国防上の抑止力にもなるのです。 であるならば、日本はもう一度世界第二位のGDPを奪還するための国家戦略、高度成長戦略を打ち出さなければなりません。 日本の潜在的な経済力をもってすれば、他の先進諸国並みの年4%成長はおろか、年7~8%成長もまだまだ実現可能でしょう。 日本はこの20年間一貫して世界最大の債権国であり、個人金融資産は1500兆円も眠っています。 このような日本に眠れる莫大な富の力を生かし動かしていくためには、「新たな産業革命を日本で起こす」という国家としての強い意志と戦略、グランドデザインが必要です。 新たな産業プロジェクトを政治家が明確に示し、予算を大胆につけることで、民間の資金需要も創造され、投資も活発化していきます。 航空宇宙産業、防衛産業、海洋開発、交通革命、新エネルギー、新素材、医療など日本の産業フロンティア、「金のなる木」はまだまだ存在します。 かつて19世紀初頭のイギリスが、ジェームズ・ワットの蒸気機関の発明を契機として、物流革命・産業革命を起こし、「世界の工場」と言われる繁栄の大国に成長したように、今こそ日本も新・産業革命、交通革命を日本初で起こすことで、高度成長を実現し、世界の牽引車、リーダー国家となる決意を固めなければなりません。 今、ヨーロッパもアメリカも経済的に衰退し、中国もバブル崩壊に直面している中で、世界経済を支える力を持つのは日本だけです。 日本を守るためにも、世界を繁栄させるためにも、政治家はしみったれた消費増税法案を撤廃し、新たな産業革命による高度成長の実現を断行すべきです。(文責・HS政経塾2期生・鈴木純一郎) デフレ脱却を本気で考えるならば幸福実現党からも民間登用を 2012.12.19 先日の『「アベノミクス」は幸福実現党の政策そのもの』について追加論点を述べます。 安倍総裁は、日銀の白川総裁に建設国債の日銀直接引受を提言しています。そして、注目するべきは、デフレ脱却に向けて日銀と民主党政権が作成した共同文書の修正にも踏み切ろうとしていることです。具体的には、日銀に物価上昇率1%ではなく2%を目指すことを明記したことが特筆に値します。 ただし、日銀は手ごわい相手であるのは変わりありません。 白川総裁は、安倍総裁の提案に対して「非現実的だ」と猛抗議。これは、極度にインフレを嫌う日銀特有の批判の仕方です。また、政府による金融政策のコミットメントに対して「日銀の独立性」の問題を持ち出して批判を展開しています。言い換えれば、日銀は「政府や政治からの独立性」を理由として金融政策の目標や責任から逃げ、日銀独自の世界観の中で金融政策を行っているわけです。 通常、金融政策の目標は政府が設定し(例:消費者物価指数の上昇率等)、目標達成の手段に関しては中央銀行が自由に行うことができます。しかしながら、日銀の場合は「物価の安定」と「日銀の独立性」を盾にして、政府や政治家からの介入や提言を極度に嫌います。これが日銀の伝統的な遺伝子であり、白川総裁は典型的な日銀マンを地でいっているわけです。 それでも、日銀は2012年2月14日に事実上のインフレ目標として1%を「目途」とする旨を発表し、少しずつ状況は変わってきつつあります(最終的には、日銀法の改正をしなければ日銀改革はできない。当問題に関しては別途詳細を扱う予定)。 金融政策は高度な専門的技術を要するため、安倍総裁がどこまで対応できるかがカギですが、専門技術に加えて日銀の官僚答弁は難解極まるものが散見されます。 これに対して、安倍総裁は、内閣官房参与に経済担当として浜田宏一エール大学名誉教授を招集する予定です。浜田教授はアメリカでも有名な経済学であり、日本の経済学者にも多大な影響を与えています。例えば、経済論壇でも有名な早稲田大学の若田部昌澄教授や学習院大学の岩田規久男教授などは、浜田教授の政策に近い学者であり、今後政権への関与が予想されます。その意味で、日銀に対応するには相応の理論武装をするべきであり、浜田氏の採用は妥当だとみるべきです。 消費税増税を正当化するためのデフレ脱却か ところで、安倍総裁は、なぜ今さら金融緩和を持ち出してきたのでしょうか。素朴な疑問として、自民党は復興増税や消費税増税法案前になぜ金融緩和の議論ができなかったのでしょうか。 自民党の中では「デフレ脱却後に消費税増税」を見据えているのは間違ありません。自民・民主・公明の三党合意から衆参両院で過半数以上が消費税増税法案に賛成していることを考慮すれば、増税路線は全く消えていないばかりか、自民党の圧勝によってかえって強化されたと見るべきです。 消費税増税法案附則18条には、景気弾力条項が明記されています。つまり、政府は増税をするには経済の好転を条件にしています。具体的には名目3%、物価上昇率1%(=実質2%成長)を達成していたら、増税に踏み切る。そうでなければ、増税を見送るという内容です。 確かに、増税をするのなら成長率が高い時にやるのは常識です。しかしながら、せっかく経済成長を実現しても、増税によって再度景気が悪化することまでは読めていません。 また、増税によって景気が良くなるという意見もありますが、過去20年間の経済実績を見れば説得力に欠けます。その意味で、安倍総裁の金融政策には一定の評価はできるものの、増税を見据えた上での金融政策であれば意味はありません。 本気ならば幸福実現党からも民間登用を ここで今一度、自民党と公明党、そして民主党がやったことを再認識しましょう。 今回の衆院選における自公の圧勝は、増税政党の圧勝であること。国民は消費税増税を承認してしまったということです。法案を通したのは野田総理ですが、実際は自民党と公明党も絡んでいることを決して忘れてはなりません。 幸福実現党は、今回の衆院選では消費税の中止を提言しました。同時に、名目7%の経済成長率を達成するための金融緩和と財政政策のポリシーミックスも主張しています。複雑な税制の見直しと役所の無駄の削減も同時に進め、再度GDP第二の地位復帰。その先にはGDP世界一のプランも持っています(ついき党首、黒川政調会長との共著『日本経済再建宣言』参照)。 従って、安倍総裁がデフレ脱却と経済成長を本気で考えるならば、上述の民間の学者に加えて幸福実現党から民間登用するかブレインに含めることも検討するべきでしょう。中途半端な「アベノミクス」として幸福実現党の政策を取り入れるよりもはるかに効率的です。加えて、我が党が入り込むことによって、政府が進める増税法案の廃止に向けて強力なけん制ができます。そうすることで、日本経済の沈没を阻止し、防波堤を築くことができます。 安倍総裁、一考されてはいかがでしょうか。(文責:中野雄太) 「アベノミクス」は、幸福実現党の政策そのもの 2012.12.18 自民党・安倍総裁の大胆な金融緩和政策、国土強靭化計画による公共投資拡大などの財政政策による「アベノミクス」が話題となり、円安株高効果をもたらしていると言われています。 自民党の安倍総裁は17日、今月下旬に召集する特別国会で首相に指名された場合、エール大学の浜田宏一名誉教授を経済担当の内閣官房参与に起用する方針を固めました。 浜田氏は、かねてより日本銀行の金融政策を批判し、「リフレ派(主に金融緩和、インフレ政策で景気回復を図る)」の一人とされます。 また安倍総裁は鳩山内閣から開催されなくなった内閣府に設置されている「経済財政諮問会議」を復活させ、マクロ経済の司令塔にすると明言。安倍政権誕生後の経済政策は、浜田教授の経済理論が反映されると考えられます。 自民党総裁就任後、安倍総裁はデフレ脱却のため日本銀行と政策協定を結び、インフレ目標を定めたうえでの大胆な金融緩和を進める方針を打ち出しました。 それに対し、日銀の白川総裁や野田首相が反発、是非をめぐって論争になった際、浜田氏は「日銀の対応は結局うまくいかなかった。安倍発言は全面的に正しい」との激励のファクスを安倍総裁に送った経緯も報じられています。 浜田氏は日銀総裁白川氏の東大での恩師でもあり、2010年に発刊された著書の中で教え子たる白川総裁に対する公開書簡を認め、各界で話題になりました。 「いまの日銀は、金融システム安定化や信用秩序だけを心配して、本来のマクロ金融政策という『歌』を忘れたカナリヤだ」と批判する内容だったからです。 「経済学者としての責務」から、やむにやまれず筆を執った浜田教授の真摯な気持ちに対し、日銀側の取った態度は大変大人げないものでした。 公開書簡入りの著書を献本された白川総裁は、「自分で買う」との私信をつけて送り返し、日銀は米国在住の浜田教授に日本での経済学会議への招待を打診しましたが、なんと「日本への旅費は自腹」という、学問の世界の常識からはほど遠い失礼なものでした。(週刊現代「日銀白川総裁の器量に?」) ここに日本の大半の経済学者が、日銀の政策を支持する御用学者になってしまう理由が浮かび上がっているのではないかと思います。このような大人げない日銀の「意趣返し」を恐れて、自分の保身のために、日銀の軍門に下っているのです。 この点、毀誉褒貶の世界から超越した浜田氏の経済担当の内閣官房参与への起用は画期的といえるでしょう。浜田氏自身も「自分達がこのように出てこられる環境になった事が嬉しい」とTVインタビューで語っていました。 インフレ・ファイターたる日銀から、距離を置かれてきた浜田氏のようなリフレ派が政権の中枢に登用されるという環境は、いかにして形成されてきたのでしょうか。 これは、2009年立党時より一貫してインフレ目標の設定、日銀国債引受けによる大胆な金融緩和を訴え続けてきた幸福実現党の存在を無視することは出来ないと自負しています。 とりわけ、『日銀総裁とのスピリチュアル対話~通貨の番人の正体~』『平成の鬼平へのファイナル・ジャッジメント~日銀・三重野元総裁のその後を追う~』等(いずれも大川隆法著、幸福実現党発刊)による日銀の問題点の開示は、政治家、官僚、マスコミ等に大きな影響を与え、世論形成に多大な役目を果たしました。 また、10年間で総額200兆円をインフラ整備などに集中投資する自民党の「国土強靭化計画」の原型は、幸福実現党が2010年の参院選で公約(マニフェスト)掲げた「200兆円未来投資プラン」にあります。(参考:5/27 Liberty Web「幸福実現党に続き自民も200兆円大型投資構想」) 幸福実現党が環境づくりをした上に、今、安倍総裁は金融緩和政策と財政政策で景気回復を実現しようとしているのです。 幸福実現党のモノマネをお得意とする安倍総裁ですが、批判を浴びるとすぐに後退してしまう気の弱さが気掛かりです。 実際、安倍総裁は当初、インフレ目標3%を表明していましたが、批判を浴びると公約では2%に引き下げ、国債の日銀引き受けについても、「日銀が直接買うとは言っていない。市場から買うということだ」と述べています。(11/21 共同「建設国債の日銀引き受け修正 安倍氏、インフレ目標もダウン」) また、幸福実現党のついき秀学党首はGDPの名目成長率7%(インフレ率3%、実質成長率4%)を目標とすべきと述べていますが、安倍総裁が公約に掲げた「名目3%以上の経済成長」(インフレ率2%、実質成長率1%)は余りにも目標設定が低過ぎ、景気の浮揚感は現れて来ません。金融政策のみで経済成長政策が欠けているのです。 安倍総裁におかれましては、幸福実現党の経済政策を更によく学習された上で、強い信念で大胆な金融緩和を断行し、デフレ退治を貫徹して頂きたいと願います。(文責・加納有輝彦) TPP交渉参加を決断せよ―「TPP」VS「RCEP」で深まる米中対立 2012.11.29 「TPP」に対抗する「RCEP」 衆議院が解散されて間もない11月20日、東アジアサミットが行われ、ASEAN諸国によって「地域包括経済連携(RCEP)」の交渉開始が宣言されました。 RCEPとは、現在米国主導で進められるTPPに対抗する意図から作られた経済連携構想です。 これが発効すればASEAN10か国に加えて日本、インド、豪州・ニュージーランド、韓国、中国の16か国・34億人が加わる巨大経済圏ができます。 RCEPの世界GDP におけるシェアは28.4%となり、実現すれば世界GDPシェア38.2%を占めると言われる「環太平洋連携協定(TPP)」に匹敵する規模となります。(参照:富士通総研:金堅敏「オピニオンRCEP VS TPP」) RCEPとTPPの違い ここでRCEPとTPPの違いについてみてみたいと思います。 第一点は、ASEANの加盟国です。RCEPではASEAN全加盟国が参加するのに対し、TPPでASEANは推進派と反対派に分裂しています。 シンガポール、ブルネイ、マレーシアなど初期からTPPに加盟する国がある一方、インドネシア・ラオス・ミャンマーのようにTPPと距離を置く国もあります。 TPPを推進すれば、分裂状態となったASEANはアジアでの経済統合における主導権を失ってしまう懸念があります。こうした懸念からASEAN主導のRCEPの交渉が開始されました。 違いの第二点は、主導国と排除される国です。米国の主導するTPPは中国をその内に含みませんが、RCEPは逆に中国が主導し、米国を除外しています。これは第三点とも関係があります。 第三点は、原則とする市場ルールです。TPP・RCEP共に、まず経済小国がグループを結成し、後に米中の大国が利用価値を見出したものですが、TPPが関税等の「例外なき自由化」を目指しているのに対して、RCEPは、関税等の例外を「参加国の特殊かつ多様な事情を考慮しながら」推進する方針です。 TPPの「例外なき自由化」によって不利益を被る農協などは、RCEPを望むと考えられます。 カギを握るのは日本-「TPP重視」を打ち出せ TPPは「多国間交渉」で「複数のイシュー」を扱うことから、合意を見るのはそう簡単ではありません。 しかし目先の利益につられてTPPを投げ出すようなことがあってはなりません。 TPPにせよ、RCEPにせよ、米中がアジア経済圏の主導権を奪い合う構図になっている事は間違いありません。そんな中、重要な役割を担うのが日本です。 TPP・RCEPにおける日本のGDPシェアを見てみると、RCEPでは参加国のGDPシェア29%を日本が占め、中国に次いで2位です。日中を足せば66%となります。 一方、TPPでの日本のGDPシェアは24%と言われ、米国と合わせれば9割を超えます。 米中共に日本の協力なくしてアジアの経済圏を抑える事などできないのは明らかです。これは裏を返せば、日本は行動次第で大きなアドバンテージを得ることができることを意味しています。 その際、肝心なのが「国益」という観点から見た「優先順位の決定」であり、「価値判断」です。 野田首相はTPPを日中韓FTAなどと同時並行的に進める方針を明らかにしましたが、日米関係を軸として、「TPP重視」を明確に打ち出すべきです。何もないまま日中韓FTAやRCEPに臨んでも足元を見られるだけです。 「中国経済圏入り」のリスクを直視し、日本企業の知財を守れ それだけではありません。日本経済が、中国の主導する経済圏に組み込まれるリスクも考えなければなりません。 中国大陸に進出した日本企業は、反日デモによる破壊行為は言うに及ばず、新幹線やブランドなど技術や商標登録など知的財産を巡るトラブルは後を絶ちません。このような知的財産の侵害に関わる被害額は、年間10兆円とも言われます。 TPPはこのような知的財産を巡るトラブル対策としての側面があります。 日本企業の競争力を維持するほか、先端技術の盗用・軍事転用を防ぐうえでも、知財保護を盛り込んだTPPを成功させる意義は大きい。 目先の利益につられるのではなく、日本が先頭に立って、高度なビジネスを行う環境を国際社会に創造していくことが重要です。(文責・HS政経塾一期生 彦川だいし) デフレ・超円高の是正に向けた金融緩和を断行せよ 2012.11.26 現在、次の衆院選に向けて、「金融政策」が争点の一つにされようとしています。 野田首相が衆議院を解散したとたんに、株価が上昇し、円安に振れました。 これは投資家が「民主党政権が終わり、次は安倍自民を中心とした政権ができる」と考え、まるで幸福実現党の政策のコピーかのように、安倍氏が提唱している金融緩和政策が行われることを期待したからでしょう。 金融緩和が行われ、通貨供給量が増すと考えられ、円安に振れました。そして、デフレが克服されることを期待して、消費や投資意欲が増すだろうと考えられ、株価が上昇した、というわけです。 私たち幸福実現党は3年前の衆院選の時より、「大胆な金融緩和」を主張し、適度なインフレ成長の実現を目指しています。 よくキャスターや評論家などが、「ハイパーインフレになる!」などと言ったりしていますが、そもそも「インフレターゲットとは何ぞや?」を理解していないといえるでしょう。 幸福実現党が主張するような、3%のインフレターゲットを設定するという政策は、政府が「インフレターゲット」を設定し、中央銀行である日銀が、その達成に対して責任を持つというものです。 方法は日銀が判断して行えばよいですが、目標の達成は責任を持たせられます。そのインフレ目標値を逸脱するようなインフレを招いてもダメですし、当然デフレのままでもダメだ、ということです。 したがって、インフレターゲットを設定し、その目標の達成まで金融緩和を続けるというのは、ハイパーインフレを招くものでは全くありません。 インフレターゲットを設定することで、世間が「日本はデフレを脱却する」と思うことがまず重要になります。 今のように、日銀が実質1%の「インフレ目標もどき」設定していても、1%では、そもそも不十分であり、目標達成できなくても責任を問われません。 そして日銀の姿勢も、極めて消極的です。日銀は「すでに十分に金融緩和を行っている」というようなことを言っていますが、効果がなければ何の意味もありません。 日銀は、円高、デフレがよほどに好きなのでしょうか。産経新聞の田村氏も日銀の金融政策こそが、超円高とデフレの原因になっていると指摘しています。→http://sankei.jp.msn.com/economy/news/121021/fnc12102114310001-n1.htm 日銀のこうした姿勢に対して、世間は「日銀は本気ではない」ことを見抜きます。そして、「デフレが続くだろう」と判断し、「デフレ脱却の期待」は生まれませんし、実際にデフレを脱却できていません。 私たち幸福実現党は、デフレ脱却のため、大胆な金融緩和を進めて参ります。そしてインフレ目標値に達するまでは、金融緩和をやめません。 日銀にはデフレ脱却に対する責任を持たせます。デフレ脱却ができない、または、やろうとしない日銀総裁は罷免できるようにするべきです。 それにしても、金融政策だけが問われるとすれば、それはおかしいことです。 民間企業の活力を取り戻すため、「法人税減税」をしたり、未来産業に積極的に投資を行うなどのミックス政策がもっと議論されるべきです。 経済を成長させるには、新しい産業の創出が必要であり、デフレだけ脱却できれば、経済が伸びていくというわけではありません。 新しい産業を産み出すには、政府による積極的な財政投資や、民間の積極的投資をうながさなければなりません。民間企業が成長していかなければならないのです。 金融政策と財政政策を「適切に」行うことが必要であり、どちらかだけではダメなのです。 幸福実現党が掲げる金融政策と財政政策のミックス政策こそが危機に立つ日本経済を救うための処方箋であり、日本経済を強くするたのめのプログラムなのです。(文責:HS政経塾第2期生、幸福実現党東京第5区支部長 曽我周作) 「商人国家・ニッポン」に必要な国防マインド――日本の自由を守る政党はどこか? 2012.11.22 尖閣諸島を巡る日中関係の悪化により、中国への直接投資が激減しています。 中国商務省が20日に発表した10月の中国への直接投資額(金融業を除く)によると、日本から中国への直接投資が前年同月より32%減り、4億6千万ドル(約373億円)となっており、政府関係者は「今後の状況しだいで影響はもっと先に出てくるかもしれない」と推測しています。(11/20 朝日) これに対して、日本の経済界の反応は一様に中国との摩擦を恐れ、尖閣諸島の国有化について批判的な声を上げています。 具体的な声としては以下のようなものがあります。 経団連会長の米倉氏「日中関係は急速に緊張が高まっており、経済や企業活動に大きな影響を与えている。」 ローソン社長の新波氏「やる必要のないけんかをしているのではないか。経済界としてはたいへん迷惑だ。(中略)中国指導部が代わるタイミングというのも悪いし、メンツを傷つけた。」 また、上海市の郊外店舗で、「尖閣諸島は中国の固有領土であることを支持する」と中国語で書かれた紙がショーウインドーに貼りだしたユニクロの代表柳井氏は、「中国市場を捨てることは、グローバル企業として死を選ぶことと同じ」と断言しています。(11/23 週刊『朝日』) 経済界からしたら「もっともらしい意見」に聞こえますが、ここにカラクリがあることに私たちは気付かねばなりません。 中国に進出している日本企業は実質的に中国の「人質」にとられており、それらの日本企業に「悲鳴」を上げさせることで、日本政府を及び腰にさせ、中国の領土問題、覇権戦略を優位に進めさせようという中国政府の明確な意図があります。 日本と同様、中国と南シナ海において領土問題を抱えるフィリピンも同じ局面に陥っています。 今年の春の時点では艦艇がにらみ合う対立に発展し、自分たちの領土を守るために強硬姿勢を崩さなかったフィリピン政府ですが、中国からの旅行ツアーの中止やバナナの輸入制限などの経済制裁によって、4月からの半年間で損害額は約7200万ドル(約57億6000万円)に上り、華僑が牛耳る経済界からの圧力もあって、フィリピン政府も対応を軟化させざるを得ない状況となっています。 しかしながら、歴史的に考えると、ローマ帝国に滅ぼされたカルタゴの事例に代表されるように、国民全体の中で「国防意識」の薄い商人国家は軍事大国に滅ぼされ、結局富の全てを収奪されてきたケースは枚挙にいとまがありません。 だからこそ、日本の経済界としても次の衆議院選挙においては、中国における短期的損失よりも、将来の経済的繁栄を守るためにも、他国の軍事的脅威に対しても腰の入った外交を行い、独自の防衛体制を構築できる政党を選択するべきなのです。 その点、この3年間の政権運営を見る限り、民主党は論外であり、国防に対して党内の意見の振れ幅の大きすぎる日本維新の会では、有事に当たって迅速な対応を行うことは難しいと言えます。 自民党は憲法9条改正を訴えており、安倍総裁のもと国防に対する意識は高まってはおりますが、中国が尖閣諸島の領有を主張し始めた1970年代から毅然とした対応を取らずにここまで来た責任は甚大なものがあります。 その点、私たち幸福実現党は立党した3年前から一貫して中国の軍事的脅威、そして「自分の国は自分で守る」体制を一刻も早く構築するべきだと訴えて参りました。 これこそが日本の自由と富を守ることになるからであります。 また、ここ20年間、このように外需依存型に転換せざるを負えない国内における景気低迷が続いているのは日本の政治の責任であったということこそ、日本の経済界はしっかりと見つめていくべきではないでしょうか。 日本の企業の体力を徹底的に奪っていく消費税増税問題と原発稼働ゼロ問題に対して、どの政党も財務省の既得権益とメディアの大衆扇動に迎合せざるを得ず、正しい結論を導き出せているとは思えません。 現時点における支持率トップの自民党においても、自民・民主・公明の3党合意によって消費税増税法案を可決させておりますし、原発再稼働についても3年かけて再稼働させるという悠長な公約を述べております。 そして、ほとんどの既存政党に共通しているのは「何故その政策を実行しなければならないのか」という情熱や理念が根底において残念ながら欠如しているということです。 一方、幸福実現党の主張に首尾一貫性があるのは、日本に「自由の大国」を創るというビジョンが明確だからです。 そして企業こそが繁栄を生み出す「国の宝」であると幸福実現党は考えています。 だからこそ、我々は企業活動を妨げる原発稼働ゼロに反対し、消費税をはじめとした多くの税制、規制を見直し、徹底的な「減税・規制緩和路線」を図ろうとしているのです。 財政再建よりもまず経済成長=企業の成長を訴え、様々な個性を持った企業が最大限の成果を挙げられるような自由なフィールドを創って参ります。 世界に目を向けてみれば、日本企業が持つ技術力、人材力、教育力には常に熱い目線を注がれており、中国などよりも親日的で、若年層の増加が著しい潜在力の高い市場はアジア各国、中東、アフリカ、東ヨーロッパなどを中心に数多く広がっています。 世界は日本企業の更なる活躍を心待ちにしているのです。 幸福実現党はそうした世界の期待に応え、国際的に活躍していく未来のトヨタやソニーを数多く輩出するためにも、今回の衆院選においては「国防強化」「原発推進」「消費増税反対」を訴え、国内の変革を促し、経済界の「自由」を断固守って参ります。(HS政経塾 第1期生 城取良太) 東京都知事は、常に世界一の都市を目指す使命がある 2012.11.14 経済規模は世界一の都市・東京 東京都のGDP(都内総生産)は85兆2016億円で、世界一の規模です。これは世界のGDPでみても15位以内に入り、メキシコと同じ経済規模を誇ります。東京は日本の首都だけではなく、世界のTOKYOだという認識が必要になるのは言うまでもありません。 東京が直面する課題 東京都には「アジアヘッドクォーター特区域内ビジョン」という報告書が存在します。 同報告書は、現在は都市間競争の時代だという認識のもと、首都東京の道筋を示しているだけに、重要な内容です。発展の勢いがあるアジア経済の本部機能を見据えた壮大なプランですが、問題は実現可能性です。 東京の場合は、既に財政も黒字化しており、日本や世界からヒト・モノ・カネ・情報が集まる都市です。単に東京だけの運営をしているだけでは不十分であり、国への影響力を持ちますし、国際的な視点も要求されます。その意味では、どこよりも経営感覚が求められると言えるでしょう。 ただし、現実は貴重な経営資源を上手に活かしきれていません。 上記の同報告書には、世界中の都市総合ランキングがニューヨーク、ロンドン、パリに次いで4位の位置にあることが述べられていますが、近年は香港やソウル、シンガポールに追い上げられていることが紹介されています(原典:財団法人森記念財団『世界都市総合力ランキング2011年版』)。 また、経営者による評価では、8位に位置しています。ちなみに、1位はロンドン、2位はシンガポール、3位は香港、4位ニューヨーク、5位は北京となっており、アジア勢が上位を占めています。 また、東京証券取引所における2011年の上場外国企業は11社にとどまっています。ピーク時の127社が20年前の91年ですので、「失われた20年」の影響は、証券業界にも暗い影を落としているのです。 一方、アジアの国際金融都市から世界の金融都市へ進もうとしている香港では、2011年に101社の上場、調達額は5兆円に達していたのに対し、東京証券取引所は10社、360億円にとどまっています。つまり、かつては優位を誇っていた国際金融都市としての機能をアジア諸国に奪われつつあるのです。 「東京の国際金融都市化」としての研究は多数存在しますが、今回は2008年に実施された三菱総研の研究が参考になります。 国内外の経営者にアンケートを実施しており、東京が目指す都市としてのモデルや税制や規制面の結果が一覧できます。 特に、個人投資家は、「税制面での手続きの簡素化」「株式にかかる税率(譲渡益・配当課税)の引き下げ」「法人税の引き下げ」といった要望が多いようです。 実際、証券税制の軽減税率廃止は2年間延長されましたが、このままでは、平成26年1月からは10%から20%へと税率が倍増します!欧米諸国と比較すれば、日本の証券税制は低い方ですが、香港やシンガポールでは非課税であることを考慮すれば、日本から金融資本が逃げる可能性は極めて高くなります。 一方、規制面では「商品取引・不動産取引など金融庁以外が所管する取引について、監督体制を整理・集約するべき」「規制内容を透明化するべき」との意見が多くありました。 例えば、商品取引は経済産業省と農林水産省が所管し、不動産取引は国土交通省が管轄しているように、規制の効率は悪いと言わざるを得ません。よって、同報告書が述べているように、相談窓口を一本化するなどの詳細な議論を進めていくべきでしょう。 最後に、海外の調査結果もみておきましょう。 ブルームバーグよる2009年10月の調査でも、世界最高の金融センターとして、ニューヨークは29%の支持を受け、2位がシンガポール(17%)となり、ロンドン(16%)を抜きました。肝心の日本は、たった1%の支持しか得られなかったと報告されています。 もし、政府や東京都が努力を怠るならば、東京の国際金融都市は夢のまた夢であり、アジアヘッドクォーターも実現不可能になります。 国際金融市場は、個人投資や生保などの機関投資家も含めて、市場に参加するプレイヤーが多数います。いくら都市の総合機能としての評価は高くとも、国内外のビジネスパーソンや投資家が逃げていけば、いずれ東京は衰退します。 東京から実現したい「自由からの繁栄」モデル 従って、新しい東京都知事が国際金融都市化を望むならば、証券税制の減税と規制の透明化ならびに緩和は避けられません。 幸福実現党が常々掲げている「自由からの繁栄」モデルは、東京から起こすべきです。 その意味で、幸福実現党から立候補予定のトクマ氏が、TPPの推進や固定資産税の減免、特区を活用した法人税の軽減を主張していることは正しいと言えます。もちろん、彼は国際金融都市化も視野に入れています。 「自由への戦い」は困難がつきものですが、持ち前のロック魂で乗り切ってくれることを期待してます。 そして、東京都知事には、常に世界一の都市を追求する使命があるということを忘れないで欲しいと思います。(文責:中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 … 69 70 71 72 73 … 78 Next »