Home/ 経済 経済 大胆な金融緩和による円安が「通貨安競争」だという批判は妥当か? 2013.05.08 日経平均株価が1万4000円台まだ回復しました。為替レートは100円近くまで下落しており、日銀の「異次元緩和」の影響は出ています(2013年5月8日現在)。 金融緩和と為替介入は異なる さて、ここに来て日銀の金融緩和に対して中国や韓国、中南米をはじめとした海外の要人やメディアから「通貨安戦争」という言葉が飛び交っています。 為替の切り下げる(円安のこと)ことで輸出を促進していく為替政策を指すのが一般的ですが、大きく分けて二つの方法があります。一つは現在のように金融緩和を通じて通貨量が増える。つまり通貨の価値を下げる円安路線がこれにあたります。 もう一つは為替介入です。 いわゆる通貨当局が「円売りドル買い」をすれば同じ効果が得られます。さらに、為替介入には日本独自で行う単独介入と各国との協調介入の二つに分けられます。もし、日本がG8などの先進国との協議を経ないで外債購入や円売りドル買いを行うとすれば、これは単独介入となります。 そして、もう一つが協調介入ですが、有名なのは、1985年のプラザ合意によるドル高是正です。 当時のアメリカは「強いドル」を標榜するレーガン政権でした。そのため、アメリカの長期金利は高めの水準にありました。その結果、アメリカの経常収支赤字が増大したため、ドル高是正という国際的な議論が出ていたのがプラザ合意の主要課題でした。 それでは、単独介入と協調介入は何が違うのでしょうか。 行動原理は、意図的に通貨価値を操作するので同じです。 ただし、国際金融筋では協調介入が原則であって単独介入はしばし批判にさらされます(為替介入をどうみるかを参照)。 シティーグループ証券株式会社の藤田勉取締副会長によれば、為替介入は外交問題であると説明しています(藤田 勉 『金融緩和はなぜ過大評価されるのか』参照)。 この説明は実に正確です。つまり、自国の通貨を動かすということは、当然相手国通貨を動かすことになります。従って、自国の経済状況だけで単独介入をすることは、相手国の理解なしに行うものであり、外交問題になるか相手国から批判されて当然なのです。 為替介入の効果は短期で限定的 協調介入が理解を得やすいのは、突発的なショックによって為替が大幅に変動したときです。 例えば、2011年3月11日の東日本大震災によって円相場が急騰した際にも先進国間で協調介入が行われました。また、先ほどの例では、「強いドル」政策によってアメリカの経常収支が悪化したことで、ドル高是正が国際世論となりました。こうした国際間での政治的合意があれば協調介入が行われることはあります。 ただし、単独介入にせよ協調介入にせよ、為替市場に与える効果は短期的であり効果は限定的だというのが現実です。根本的には、為替は勝手に動かせるものではなく、時々刻々と変動する為替市場で決まります。よって、国際金融の専門家の間では為替介入は評価されていないのです。 通貨政策に関する「国際学派」の新しい見解 上記の議論から分かる通り、今回の大胆な金融緩和は通貨戦争とは別物です。 安倍政権は意図的な単独介入をせずに日銀による金融緩和を通じて通貨供給量を拡大したにしか過ぎません。よって、海外の要人やメディアが日本の通貨当局が「通貨戦争を煽っている」という主張は間違っているのです。 確かに、かつては通貨の切り下げは「近隣窮乏化政策」と呼ばれ、一方的な切り下げは海外の需要を奪う悪政だと批判されていました。国際経済学の教科書を開けば、1930年代の大恐慌の一員として通貨切り下げによる通貨安競争がブロック経済化と貿易縮小の原因だとする記述はいまだに見られます。 しかしながら、カリフォルニア大学バークレー校のB・アイケングリーン教授の最新の研究によれば、金融緩和による為替変動と為替介入は区別するべきだと論じています。 前者は、今の日本の政策そのものです。日本や米国、欧米諸国が一斉に金融緩和をすれば、為替レートは相対的に変化せず、金融緩和による株式市場や資産市場の活性化が行き渡るので「近隣富裕化政策」だとしています。後者は、古典的な「近隣窮乏化政策」であるのは言うまでもありません(*2013年2月16日の日経新聞に掲載されたアイケングリーン教授のインタビュー記事も参照のこと)。 同教授の見解は、日本では早稲田大学の若田部昌澄教授が紹介して有名になりましたが、まだまだ人口に膾炙しているとは言えません。それでも、通貨安競争=悪と一概に退ける固定観念を打破し、新しい学問的成果が出ていることには注目するべきでしょう。 以上、マスコミ報道で誤解しやすい為替切り下げ政策に関する新しい研究成果とアベノミクスの円下落は通貨戦争ではないことを論じました。政策担当者は、こうした一般受けしやすい言葉に流されることなく学術的にもきちんと反論をしていくべきです。 (文責:静岡県参議院選挙区代表 中野雄太) 英国の増税失敗に学べ!――消費増税はアベノミクス失敗を招く 2013.05.05 6割の企業が消費増税を懸念 毎日新聞が4月中旬に行った主要企業アンケートによれば、約9割の企業が景気の現状を「回復」「緩やかに回復」と回答し、「景況感の改善が鮮明になった」と評価しています。(5/4 毎日) しかし、来年4月に現行の5%から8%に引き上げられる予定の消費増税については、「懸念はある」と答えた企業が58.7%で、「懸念はない」の16.5%を大きく上回っています。(同上) 日本の主要企業は、アベノミクスに一定の評価をしつつも、消費増税について懸念していることが分かります。 円安株高が調整局面入 安倍首相は3月の参議院財政金融委員会で、消費税率の引き上げについて「来年4月から8%にするかどうかは今年(2013年)の4月から6月までの四半期のGDPなど経済指標を見て、10月ごろに判断する」と述べています。(3/27 NHK) 日本経済は昨年末から回復基調に入っていますが、このまま景気回復が順調に進むのかについては、慎重な意見も増えています。 昨年末から順調に上昇して来た株価も、4月以降、調整局面に入っています。 これまでの株価上昇は、マネタリーベース増加の効果というよりも、「円安」により、輸出企業が株高を牽引して来たと言えます。 しかし、円/ドルレートは、1ドル=99円53銭(4/11)、99円50銭(4/21日)、99円00銭(5月5日)と、日銀がいくら金融緩和しても「1ドル=100円の壁」を突破することができない状況です。 その背景には、米財務省が日銀の金融緩和策が円安・ドル高につながったことについて、「競争的な通貨切り下げを慎むよう引き続き迫っていく」と発表し、日銀の円安誘導に警戒を強めていることが挙げられます。(4/13 日経「米財務省『緩和後の日本注視』円安誘導をけん制」) 消費増税が景気の腰折れを招く アベノミクスが調整局面に入る中、その効果が実体経済にまで反映し、地方経済や中小企業まで含めた業績が改善し、給料がアップするまでには、数年単位の時間を要すると見られています。 その間に消費増税を行えば、景気回復に冷や水を浴びせることになり、消費が落ち込むことは不可避です。 これは車のアクセルを吹かしながら、ブレーキを同時に踏み込むようなもので、経済は前に進まなくなります。 付加価値税(日本の消費税に相当)増税で失敗したイギリス アクセルを吹かしながらブレーキを同時に踏み込こんだ例として、イギリスの例が挙げられます。 イギリスは2008年9月のリーマン・ショック後、中央銀行であるイングランド銀行が米国を上回る速度でお札を大量に刷り続け、量的緩和政策によって、ポンド安に成功。2010年秋までに景気が回復基調にありました。 ところが、個人の消費意欲を示す「消費者信頼度指数」は、2010年後半から急速に悪化し、皮肉にも五輪聖火リレーが始まるころから再び下落します。 ロンドン五輪の経済効果が出なかった理由は、キャメロン政権が「緊縮財政路線」を決め、「付加価値税率」を17.5%から20%へ引き上げたからです。(【参考】2012/7/29 産経「景気無視の増税は必ず大失敗する 五輪効果不発の英国の教訓」田村秀男) 英国は量的緩和政策で景気が回復基調に入ったにもかかわらず、「付加価値税」の引き上げで消費が落ち込み、再び景気を停滞させました。 その後、リーマン・ショック時の3.7倍の量的緩和を行っても、英国経済が浮上しなかった教訓を日本も学ぶべきです。 今こそ、消費税増税をストップせよ! 幸福実現党の大川隆法総裁は「アベノミクスは、私が三年半前からずっと言っていることを、そのままやっているだけです。私が言っていないのは、この後の消費増税だけです。『これは駄目だ』と言っています。 2%の経済成長をつくっても、増税をかけたら、経済成長はストーンと急にゼロになります。景気の腰を折ったら税収は減ります。マイナス成長に変わると思います」と述べています。(3/17 山口支部法話「時代を変える信念の力」) 消費増税は、日本の経済を再び、「失われた20年」へと引き戻します。 新聞各紙の世論調査でも5~6割が「近い将来の消費増税」に反対していますが、私たち国民は参院選を通じて、政府に対して明確に消費増税反対の意志を示す必要があります。 幸福実現党は来る7月の参院選においても一貫して「消費増税中止」を訴え、「減税&規制緩和」路線で企業の活力を高め、日本経済を元気にして参ります。皆さまのご指導ご支援を心よりお願い申し上げます。(文責・政務調査会・佐々木勝浩) TPPに向け、日本農業の大胆な構造改革を! 2013.04.30 「聖域」議論に終始するTPP議論 政府は「『聖域なき関税撤廃』という環太平洋連携協定(TPP)の理念が、交渉次第では『聖域ありき(例外ありき)』である」ということをTPP交渉参加の大義名分としています。 昨年末の総選挙で当選した295人の自民党議員の内、約70%の205人が選挙公約で「TPP参加反対」を表明していた以上、「聖域を守ること」は彼らの政治生命を確保するためにも至上命題であるのでしょう。 実際、政府のTPP参加表明後、日本のマスコミの関心の的はもっぱら、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料作物5項目の聖域を守れるかどうかの一点に絞られています。 しかし、これら5項目だけで500品目を超えており、TPPが従来の貿易協定を超えた高度な自由化を目指している以上、5項目全ての聖域化が困難であることは言わずもがなです。 米通商代表部高官は26日、共同通信のインタビューに応じ、TPP交渉合流をめぐり「日本には高水準の貿易自由化を耐え抜く決意があると確信している」と述べ、コメなど農産物の重要5品目を関税撤廃の例外とする「聖域化」を貫こうとする日本側をけん制しています。 日本は7月下旬に開催する方向の交渉会合から合流する構えですが、高官の一連の発言で、日本が重要農産品を関税撤廃の例外とする主張を通すのは容易でないことが浮き彫りとなっています。(4/27 河北新報社) 林芳正農水大臣は「聖域が認められないなら交渉から離脱覚悟だ」と発言するなど、交渉国向け、国内向けに二枚舌よろしく閣内バラバラな発言を行っていますが、今後の交渉は、まさしく綱渡りだと言えましょう。 構造改革で農業を強化したニュージーランド 世界最大の乳製品輸出国であるニュージーランドは、そもそも、いかにして今日の地位を築いたのでしょうか? ニュージーランドの酪農・乳業の今日の発展は、1980年代初めの「経済、農業の自由化」と、2001年の大規模酪農・乳業組合「フォンテラ」誕生の「二つの構造改革」によってもたらされたと言われています。 1940年以降、政府は酪農を中心とした農業部門に手厚い補助金をつけ、その額は農産物販売額の30%に及びました。 しかし、72年の英国のEC加盟を機にニュージーランドは農産物輸出の中心市場を失い、その後のオイルショックによる国内のインフレ、財政赤字の拡大等、経済状況の悪化に悩むこととなりました。 1984年に政権についた労働党は「ロジャーノミクス」と呼ばれる自由主義と財政緊縮による大胆な改革を実施しました。 これにより、農業部門は補助金が全廃されるなど、これまでの様々な政府支援が無くなりました。 その後、農家の中には補助金に頼らず、コストの削減や、市場に対応した製品づくり、環境を重視した農業への取組みが生まれ、その取組みは徐々に拡大し、酪農を含め、農業のあらゆる分野に広がっていきました。 こうした取組みは「農家の意識変化と経営努力を促がし、競争力が強化され、農家はさらに強くなっていった」と言われています。(2010/3 「農中総研調査と情報」第17号) 日本農業の大胆な構造改革を断行せよ! 日本とニュージーランドでは酪農を取り巻く環境、諸条件の違いがありますが、補助金を全廃し、自由競争を促すことで、農家が自立し、国際競争力が高まったという事実に学ぶべきところが多いのではないでしょうか。 そもそも、TPPにおいては「関税の撤廃・削減」は一過程に過ぎず、TPPの目指すところは、世界共通のルールを作り、グローバルな国際市場において自由競争を活性化していくことにあり、政府は農業の国際競争力向上にこそ注力すべきです。 今年1月、農林水産省が「攻めの農林水産業推進本部」を設置。「担い手への農地集積や耕作放棄地の解消を加速化し、法人経営、大規模家族経営、集落営農、企業等の多様な担い手による農地のフル活用を目指す」など、大胆な農業改革が掲げられました。(4/23 農林水産省 第7回産業競争力会議) 今こそ、政府は「聖域化」の議論に終始することなく、農業に関わる国内の規制を撤廃すると共に、大胆に保護農政を見直し、農業の自由化・大規模化を促し、農業の真なる自立、競争力強化を目指した構造改革を断行すべきです。(文責・岐阜県参議院選挙区代表加納有輝彦) 日本経済復活に必要な成長政策 2013.04.24 筆者は、「成長戦略はどうあるべきか。」でアベノミクスの成長戦略に関して論じました。この小論でも述べた通り、経済学者からは、「成長戦略は政府主導の色彩が強い」という意見を紹介しました。 よって、民間経済を活性化することを目的とするならば、「成長戦略」ではなく「成長政策」と呼ぶべきです。 前者は政府主導で社会主義的、後者は市場の効率性や競争力を高める自由主義的な発想に基づいています(*この議論は片岡剛士著『アベノミクスのゆくえ』が有益な参考文献)。 代表的な成長政策には、公企業の民営化があります。 旧国鉄がJRになり、日本電信電話がNTTとなったことは有名ですし、近年では小泉政権時代に実施した郵政民営化が記憶に新しいところです。 ただし、サービス向上と財政赤字削減に不可欠な政策ですが、いわゆる「抵抗勢力」からの反抗が激しいのも事実です。イギリスのサッチャー元首相が「英国病」克服のためにとった民営化もストやデモなどといった反発に会いました。民営化問題は政治問題に発展しやすい難題です。それでも、JRやNTT、JTなどが民営化によるサービス向上は事実ですので、大いに評価できると言えるでしょう。 次に規制緩和を挙げることができます。 伝統的な規制緩和による競争促進政策は、主に独占や寡占企業がある産業において行われます。ミクロ経済学の一分野として確立されている競争政策ですが、これまで数多くの研究が蓄積されています(参考文献:『規制と競争の経済学』清野一治著)。 食品の安全や環境問題に関する必要な規制は別として、競争を阻害している法律や法令を廃止していくことが典型的な規制緩和です。 例えば、幸福実現党は主に大都市を中心として建築基準法の容積率緩和を通じて子育てやリタイア後のお年寄りにも優しい住環境作りを主張しています(もちろん、日照権や耐震性等の問題、京都などのように歴史建造物が多い場所などでは配慮が必要なのは言うまでもない)。空中権を明確に認めて超高層ビルを駅前か駅ビルに作り、子育てから社会福祉までカバーできる多目的ビルの建築が可能となるという提案です。 こうした規制緩和の経済効果は計測が難しいですが、安価で良質なサービスが実現しているならば政策効果があると考えるべきです。加えて、低所得者層にも恩恵が及ぶことを考慮すれば、規制緩和は決して弱者切り捨て政策ではありません。 そして何よりも今話題となっている成長政策に必要な柱は、TPP参加と原子力発電所の再稼働です。 TPP(環太平洋経済連携協定)への参加は、貿易と投資の自由化を通じた成長が狙いです。関税や輸入割り当てなどの保護主義政策撤廃は、日本国内の効率性を高め、消費者に安価な製品を提供することができます。農業や社会保障関連からは根強い反対が出ているとは言え、消費者を犠牲にした保護政策をいつまでも正当化できません。もし保護したい分野があれば、参加国全員の承認や10年近い交渉時間が与えられるために、有利な条件を引き出すことは十分可能です。 一方、日本は既に世界各国と18の投資協定と10の二国間経済連携協定を結んでいます。また、世界最大の債権国であるので、投資受入国がルールを守ることを義務付けることで日本企業の財産を守ることができます。 経済産業省によるTPPの経済効果は、10年で3兆円程度と極めて小さいものですが、TPPは製造業の空洞化を防ぎ、地元の雇用を守ることができること。日本人の金融資産や知的財産権が保護されるわけです(参考文献『TPPでさらに強くなる日本』原田泰+東京財団著)。 一方、農業分野の損失は1兆円程度としても、補償措置を施すことによって相殺することも可能です。むしろ、国内の非効率性を改革する競争促進政策にもなるので、「強い農業」を作るチャンスにもなります。従って、安倍首相がTPP参加を表明したことは評価できます。今後の課題は別の機会に譲りたいと思います。 最後に、原子力発電の問題です。 幸福実現党は、ニュースファイルで何度も触れたように、早急な脱原発ではなく安全性の確保された原子力発電の再稼働を主張します。今後は、日本版スマートグリットや発送電分離の議論も行われますが、当面は再稼働による電力の安定供給が優先されなければなりません。また、再生可能エネルギーの技術革新による費用低下=電気料金低下の効果も十分あり得ます。現時点では、原発の再稼働との同時進行で安定した電力を供給することが国民の生活と産業を守ることになるのです。 以上、幸福実現党が考える成長政策について概略を述べました。 基本路線は政府の介入を最小限に抑え、民間主導の成長路線をつくることです。加えて、減税路線を加えることで幸福実現党が掲げる「自由からの繁栄モデル」となり、アベノミクスと差別化できます。部分的に重なる点があっても、根本の経済哲学が違うのだとご理解頂ければ幸いです。(文責:静岡県参議院選挙区代表:中野雄太) 「中小企業大倒産時代」――消費税増税ストップで中小企業を救え! 2013.04.23 「大倒産時代」到来の危機 金融庁試算によると、5~6万社の中小企業が倒産のリスクに晒されていることが明らかになりました。(3/29 産経「中小企業円滑化法、3月末で終了 5万社が倒産リスク 銀行の貸し渋りが障害」) 健全な経営をなっている企業にとっても、取引先の倒産による巻き添えによる連鎖倒産のリスクが増大しています。 本年3月をもって、金融機関に融資の返済猶予に応じるよう促す「中小企業金融円滑化法」が終了したことが最たるリスク要因です。 「中小企業金融円滑化法」とは、中小企業が金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際、できる限り、貸付条件の変更等を行うよう努めること等を定めた法律のことで、民主党政権時代の2009年12月、亀井金融担当相(当時)が主導して制定されました。 同法は、2008年秋のリーマン・ショック後の倒産抑制に一定の歯止めを掛けたと評価されている一方、抜本的な経営再建を先送りさせたとの批判があります。 円滑化法は「一時的な延命措置」との指摘も強く、一時的に先延ばしにされた倒産案件が、同法終了後、一気に表面化する危険が高まっています。 倒産防止策が急務! 金融庁は円滑化法の終了が倒産増加につながらないようにするとしていますが、中小企業からは先行きに対して「主力行に今後も親身になって相談に応じてもらえるだろうか」との懸念の声が広がっています。 金融庁は4月以降も引き続き、返済猶予について柔軟に応じるよう求め、再建計画策定などの条件を満たせば不良債権として扱わなくてもよいとし、「融資姿勢を変えさせない」と強調しています。 しかし、過去に円滑化法を活用した企業の倒産は既に増えており、帝国データバンク大阪支社によると、関西では昨年5月以降、10カ月連続で倒産件数が前年同月を上回っています。同支社は「秋以降にはさらに増える恐れもある」とみています。(3/31 毎日) 金融機関でも「半年ほどすれば、返済猶予を続けられないケースが増えてくる」との見方があり、倒産増のリスクに備えて引当金などを増やしています。 金融庁では、同法を利用した30万~40万社のうち2割弱に当たる5万~6万社で倒産のリスクがあると試算、「延命」に軸足が置かれた円滑化法終了後の倒産防止策が急務であることは間違いありません。 消費税増税ストップで中小企業を救え! アベノミクスで株価が上昇したと言っても、中小・零細企業にアベノミクスの恩恵が行き渡るのは、まだまだ先です。 むしろ、現在は円安によって輸入資材調達やエネルギーの価格が上昇し、企業活動に悪影響を及ぼし始めています。既に、ガス・電気料金や食料品などの値上げが相次いでいます。 更に、原子力規制委員会による「新規制基準」によって、原発再稼働のハードルはますます高くなり、更なる電気料金の高騰も懸念されています。(遠のく原発再稼働――日本の原発技術の流出を防止せよ!) また、アベノミクス政策によって、毎年2%の物価上昇や賃金上昇がなされれば、元々物価や人件費が高い日本の製造業にとっては、国際競争力低下は必至で、早急な構造改革やイノベーションが必要です。 このように中小企業に景気回復が及ばない中、倒産リスク要因が続出する時期に、来年4月から消費税増税を決行しようとしている政府の判断は、正気の沙汰とは思えません。 中小企業金融円滑化法終了後の最大の倒産防止の方法は、消費税増税の中止以外にありません。 今回の参議院山口選挙区補欠選挙、そして7月の参院本選は「消費増税の是非」を問う選挙です。 国民の声を幸福実現党に結集し、消費増税をストップし、中小企業の危機を救って参りましょう!(文責・岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦) 金融緩和と経済成長戦略でフロンティアの開拓を! 2013.04.04 市場の予想を上回る黒田新総裁の金融緩和 黒田総裁が就任されてから初の日銀政策決定会合が開かれました。 市場関係者の予想を上回る「量的・質的金融緩和」が発表され、日経平均は前日より272円34銭高の1万2634円54銭、長期金利の指標となっている10年物国債の金利は0.425%となり過去最低を更新しました。(4/4 ロイター「市場も驚いた異次元緩和、黒田日銀の『バズーカ砲』炸裂」) 今回決定した金融政策は主に5つです。 1.日銀が保有する長期国債の残高を銀行券の発行残高までとする「銀行券ルール」の適用を一時停止。 2.金融市場調節の方針を「金利」(無担保コール翌日物金利)から「資金供給量」(マネタリーベース)に変更。 3.マネタリーベースを2012年末の138兆円から、2013年末に200兆円、14年末に270兆円にまで増やす。 4.長期国債、株価指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など資産の買い入れ額を増やす。(長期国債は2年間で89兆円から190兆円、ETFは年1兆円、REITは年300億円) 5.購入する長期国債の対象を拡大。(40年物国債を含む全ゾーンを対象、残存期間を3年弱から7年程度に延長) 白川前総裁が導入した「資産買い入れ基金」は廃止され、通常の国債購入枠と一本化されました。 白川総裁時代には、「資産買い入れ基金」の資金を増やすことで、実際にはそれほど資産が増えていない、ということが多くありました。 それに対して、黒田新総裁は「どんな資産を」「いつまでに」「どれだけ」購入するかを明確にしており、金融緩和に対する真剣味が全く違います。 問題は企業や家計が借入を増やし、お金が流れ始めるか その中で興味深いのは、金融市場調節の方針を「金利」から「資金供給量」(マネタリーベース)に変えた点です。 「金利」はお金を借り入れる負担なので、金利を低くすることは、お金を借りる負担を減らすことですが、既に金利レベルは限界まで下がっています。 それに対して、「資金供給を増やす」ということは、借りられるお金の量を増やすことになります。 民間の金融機関が保有している法定準備金(日銀当座預金)を増やすことで、民間の金融機関が企業や家計にお金を貸し出せるようになります。 企業が新しく工場を建てるためにお金を借りたり、個人が住宅を購入するためにローンを組むと、工場を建てる企業にお金が入り、住宅を販売する企業にお金が入り、お金がどんどん流れるようになり、景気が回復します。 問題は、投資をしたり資産を購入する企業や家計がどれだけ増えるかです。 特に、「投資が投資を呼ぶ」というような好循環をつくっていくためには、企業が投資に乗り出したくなるような経済環境の改善が必要です。 規制緩和、海洋・宇宙開発によってフロンティアの開拓を! すなわち、景気を回復させるには「借金環境」の改善のみならず、企業が積極的に投資に踏み切る意欲を高めていく「規制環境」の積極的改善が必要です。 幸福実現党は大胆な規制緩和・撤廃や特区制度の拡大、海洋・宇宙開発によって新しい市場を開拓し、企業が投資できるようなビジネスチャンスを増やして参ります。 また、都市部でさらに高いビルが建設できるように建築・土地関係規制の緩和を行ったり、メタンハイドレードやレアアースなど日本近海に眠る資源を開発し、宇宙開発を進めることにより、情報産業、航空産業、素材産業等における新技術の開発に梃子入れを行って参ります。 企業が積極的に投資に踏み切れる環境を創ってこそ、果敢な金融緩和が実を結ぶのです。 幸福実現党の金融緩和政策と経済成長戦略の融合政策こそが、日本、そして世界のフロンティアを開拓していくのです。(幸福実現党 東京都第1区支部長 伊藤のぞみ) 円安による「悪いインフレ」に陥らないためには消費増税を中止せよ! 2013.04.02 円安で「値上げの春」到来 円安による原材料の輸入価格上昇などを受け、4月1日から電気料金、食用油など生活に密着したものの値上げが相次いでいます。 平均的な世帯のモデルでは、月あたりで東京電力が131円アップ。東京ガスが102円の値上がりとなります。 サラダ油、キャノーラ油などの食用油は、家庭用で1キログラムあたり30円以上の値上がりに。ツナ缶、小麦の値上がりも、円安による原材料費高騰が要因です。 トイレットペーパーやティッシュは、大手製紙会社の出荷価格が約15%上昇。自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料も2890円アップします。(3/30 夕刊フジ「『値上げの春』到来 円安で電気、ガス、食用油が値上げ」) クリーニングには欠かせない溶剤などの石油製品が値上がりしたため、全国でクリーニング代の値上げも相次いでいます。 ガソリン価格は、現在は横ばいが続いていますが12週間連続で上がりました。このように製造業は円安によるコスト上昇に直面しています。 コスト上昇による値上げは「コストプッシュ型インフレ」と呼ばれ好ましくない「悪いインフレ」として分類されます。 特に日本は、原油、天然ガス、鉄鉱石、銅、小麦などの必需品の大半を輸入に頼っており、円安になると「コストプッシュ型インフレ」に直結しやすい環境にあります。 円安は景気回復をもたらすか? 日本のマスコミの多くは「円安になれば日本経済は復活する」と評しています。 確かに、円安効果で日本の輸出企業に急速に注文が増えており、輸出企業が活力を取り戻しつつあります。 実際、輸出企業の時価総額はトヨタ自動車が16兆9296億円と昨年11月14日(野田前首相による衆院解散表明時点)に比べて6兆円以上も増加。 東京証券取引所の第1部に上場し、時価総額が1兆円を突破している企業の数が、昨年11月14日から4カ月で約1.5倍に急増しています。(3/26 産経「時価総額1兆円突破企業が4カ月で1.5倍に アベノミクス効果」) しかし、円安による景気回復効果は業種によって大きな差が見られます。 みずほ総合研究所の試算によると、2012年平均の円ドルレート79.8円が10%円安になった場合、「輸送機械」「電気機械」「一般機会」の三業種は大幅に利益が上昇するものの、輸入コスト増によって「石油製品」「飲食料品」「建設」等は利益が減少します。(4/6 週刊ダイヤモンド) 円安が「良いインフレ」をもたらすためには? 円安が日本経済全体の景気回復をもたらすためには、輸出企業の利益が設備投資や賃金上昇・消費拡大を通じて波及することが不可欠です。 同研究所のシニアエコノミストの前川亜由美氏は円安が景気回復に繋がるかは「(円安のメリットが)雇用の6~7割を占めている非製造業の中小企業に波及するかどうか」が鍵だと述べています。(同上) 第一生命経済研究所副主任エコノミストの鈴木将之氏は「まずは外需が引っ張る形で、それが内需に波及し、消費で後押しするという回転が起きるか否か」だと語っています。(同上) すなわち、円安→輸出企業の利益増大→賃金上昇→投資・消費拡大→景気回復という「良いインフレ」の好循環に入るか、円安→輸入コストの増大→消費者・非製造業・中小企業の負担増、賃金は上がらず、という「悪いインフレ」に陥るかの分岐点にあるのです。 「悪いインフレ」を避けるためには、消費増税を中止せよ! 1997年の消費増税が「消費不況」をもたらしたように、来年2014年4月と2015年10月に予定されている消費税増税は、消費拡大・投資拡大の循環を断ち切る最大の障害となります。 実際、大和総研の試算によれば、消費税増税がなされれば、毎年3%ずつ賃金が上がっていかなければ、実質可処分所得が目減りします。(2/25 日経ビジネス) 同研究所の試算によれば、年収500万円の世帯の場合、2012年の実質可処分所得は423万円だったのが、消費税増税等により、2016年の実質可処分所得は391万円と32万円も減少し、3%以上の賃金上昇が無ければ、実質所得が減少する計算になります。(同上) このまま消費税増税がなされれば、実質賃金上昇→消費拡大という好循環、「良いインフレ」が実現することは極めて困難になります。 幸福実現党の大川隆法総裁は3月17日、山口支部での法話『時代を変える信念の力』において、「2%程度の物価上昇で、消費税を上げたら、景気はすぐ落ちてしまいます。日本経済はマイナス成長に変わります。」と述べています。 「悪いインフレ」の増長を阻止し、「良いインフレ」を実現するべく、幸福実現党は参議院選において、「消費税増税の中止」を訴え、戦って参ります。(文責・加納有輝彦) 今こそ政府・日銀はメガバンク通貨の発行を検討せよ! 2013.04.01 「『メガバンクも30兆円ぐらいまでなら1万円札を出してもよい』ということにすれば、一年で景気は回復します」―――。(大川隆法著『日本の繁栄は絶対に揺るがない』幸福の科学出版) 幸福実現党・大川隆法総裁はリーマンショック直後から、不況撃退策として大胆な金融緩和、さらにメガバンクによる通貨発行を提言しています。 現在、日本の金融政策が世界的な注目を集めていますが、メガバンク通貨の発行を唱えているのは幸福実現党のみです。そこで、「なぜメガバンク通貨なのか」を考えたいと思います。 「緩和に次ぐ、緩和」が世界の潮流 昨年末の衆院解散から日経平均株価は43%上昇し(参照3/30日経朝刊)、株式市場から景気回復の兆しを見ることができます。 一方、工業生産や失業率、インフレ率など実体経済の動向を表す指標の改善は遠く(参照3/30産経)、一般国民の懐具合が実感を持って良くなる段階はまだ先です。 アメリカでは早くからの「大胆な金融緩和」が功を奏し、NYダウ平均株価は最高値を更新し続けていますが、やはり実体経済を表す指標の改善は遅れています。 バーナンキ連邦制度準備理事会(FRB)議長は「失業率が6.5%に低下するまで資産を無制限に購入する」と表明しておりますが、これは「たとえインフレ率が目標とする2%を超えたとしても、失業率の改善が思わしくなければ、さらに緩和を続ける」というメッセージです。 現カナダ中央銀行総裁であり、次期イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏は、インフレ目標に代わって、名目GDP目標政策を提言し、議論の的になっております。 名目GDP成長率=インフレ率+実質GDP成長率なので、「中央銀行はインフレ率だけでなく、実質GDP、すなわち企業や国民の実際の経済状況にまで責任の範囲を広げるべきだ」という主張が背景にあります。 緩和に次ぐ、緩和――これが世界の潮流であり、中央銀行の責任と権限は拡大に向かっています。 金融緩和の仕組みと限界 ところで、金融緩和はどのような仕組みで行われるのでしょうか。 企業が銀行に預金口座を持つように、民間の金融機関は中央銀行に口座(日銀当座預金)を持っております。 通常の金融緩和では、中央銀行が新しく発行したお金で民間の金融機関から短期国債を購入し、金融機関の預金口座にお金が振り込まれます。 日銀は金融機関の日銀当座預金を潤沢にし、金融機関の資金繰りを助けることで「銀行システム」を安定化させます。 ところが、実際に雇用を増やしたり、従業員に賃金を支払ったりするのは、「銀行システム」の先にある企業です。 中央銀行は「銀行システム」を安定化させることはできても、企業の資金繰りを直接、助けることはできません。 現在、日本やアメリカなどが直面している問題は、最大の資金供給源である中央銀行と一般経済との間に直接的な資金供給ルートがないということに起因しています。(参照:竹森俊平著「アベノミクスの本質を読み解く」,『Voice』3月号) 政府・日銀はメガバンク通貨を検討せよ そこでバーナンキFRB議長がやってきたことは、短期国債の購入を通じた資金供給を超え、住宅抵当証券(MBS)など値下がりが予想されるリスク資産を直接購入するということです。 中央銀行による民間リスク資産の購入は、リスク資産の価格を維持させつつ、一般企業への直接的な資金供給ルートを開きます。 日本でも日銀新体制の下、企業の社債や手形、株、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)などの民間のリスク資産を買い増していく方向で調整が進んでおります。(3/30読売朝刊) ところが日本はアメリカと異なり、「証券市場の未発達」という問題を抱えております。 2%のインフレ目標達成のためには、100兆円以上の資金投入が必要だとの分析がありますが、それに対して、例えば日本のREITの市場規模は7兆円程度、東証一部の時価総額でさえ300兆円程度です。 日銀がデフレ脱却のために、100兆円を超えるリスク資産を購入し続けた場合、日銀が日本の主要企業の筆頭株主になるという事態も生じかねません。 ありとあらゆる手段を用いた金融緩和は景気回復のために不可欠ですが、それは日本企業の国有化政策、特定資産の価格支持政策、社会主義政策としての側面を持っていることも否めません。(参照:大川隆法著『政治の理想について』第4章,幸福の科学出版) だからこそ、政府・日銀は幸福実現党が提唱しているメガバンク通貨の発行を検討すべきです。 メガバンクに一定の通貨発行枠が与えられれば、自由市場の機能を損なうことなく、「銀行システム」の先にある企業への資金供給を活発化させることができます。 メガバンクによる通貨発行は決して奇異なことではありません。私たちは銀行に預金しますが、その預金は全て金庫にしまわれるのではなく、投融資に使われます。 すでに預金・貸出業務を通じて民間銀行は新しくお金を創りだす機能を持っており、メガバンク通貨の発行は、銀行の投融資能力を格段に高める効果を持ちます。 世界に拠点を持つ三大メガバンクの投融資能力の向上は世界経済を牽引し、日本をリーダー国家へと導いていく力になります。(HS政経塾2期生川辺賢一) もう「引き締め」はこりごり。ユーロは「成長路線」に転換を!――キプロス金融危機から学ぶべき「緊縮路線」の限界 2013.03.28 キプロスから再燃するユーロ金融危機 キプロスでは、ユーロ圏諸国から金融支援を受けるために、キプロス国内の2大銀行(キプロス銀行とライキ銀行)を再編することになりました。 10万ユーロ以下の預金は保護されますが、両行の大口預金者が負担強制することを条件に、EUから100億ユーロ(約1兆2300億円)の金融支援を受け、当面は、財政破綻を回避できる見通しです。(3/25 朝日「キプロス、支援合意主要2行を再編へ」) 今回のキプロスのケースは、今までのヨーロッパ内の支援策とは大きく異なる点があります。 それは、「銀行の大口預金者」と「債券保有者」が損失を被ることです。 今まで財政危機が起きたギリシャやアイルランド、ポルトガル、スペインに対しては、債券保有者や預金者に負担を強いることは、ユーロ圏の銀行からの資金逃避(キャピタルフライト)を招く懸念があり、実施されませんでした。 「資金逃避」とは、国内から海外へ資本が一斉に流出することです。 これにより、国債の買い手が急激につかなくなることによる政府の資金繰りの悪化、銀行預金の大幅な減少に伴う融資の引き締めなどを通じて、経済活動の縮小を引き起こします。 今回のキプロス支援をめぐる一連の動きにより、「銀行の資金調達コストの上昇や、預金移転の活発化、増配の後ずれにつながる可能性がある」という指摘もあり、安全な銀行を求めて、預金がキプロス国外へ流動化する可能性があります。(3/27 ロイター「キプロス支援策で欧州銀に激変も、資金逃避の懸念」) なぜなら、株主・債券保有者・預金保険対象外の預金者が損失を負うリスクへの不安が、財政懸念のあるスペインやイタリアにも不安が広がることが予想されるからです。 キプロスでは銀行の取り付け騒ぎを回避するために、3月16日から銀行が一時的に休業となっていましたが、3月28日正午(日本時間午後7時)から営業が再開されました。 ユーロの金融危機の岐路ともなりえるため、今後のキプロスの銀行預金の動きには目が離せません。 「引き締め一辺倒」の変わらないユーロ圏の救済策 これまでも資金繰りが悪化しているユーロ圏の国々は、政府歳出の削減と増税による「緊縮財政」を条件に融資を受けていました。 今回のキプロス支援で、銀行預金者や投資家にも損失が広がったことで、「緊縮度合い」が強まったという見方ができると思います。 ユーロ圏諸国でくすぶる金融不安を見ると、そもそも現行の「緊縮政策」はユーロの金融危機は乗り越えるための正しい政策なのでしょうか? 意外と知られていないことですが、ギリシャでは、2009年10月から財政危機が起こる前の2006年から増税して財政を回復しようと試みたにも関わらず、結局、財政再建はできませんでした。 こうした事実を見ても、「引き締め一辺倒」の政策を考え直す必要がありそうです。 ユーロ圏の財政危機・救済プログラムの何が問題かというと、結局「経済のパイを増やす」ことを考えていないことです。 また、ユーロは共通通貨を導入しているため、各国の情勢に合わせた金融政策ができないことも問題を複雑にしています。 国家にとって大切な金融政策 金融政策がどれほど重要か、過去に財政破綻した独自通貨を持つ国の事例から考えてみます。 2001年末に、アルゼンチンは、対外債務返済の不履行を宣言し、財政破綻しました。その後、為替変動制に移行し、アルゼンチン・ペソ安が背景となり、輸出が景気を牽引し、アルゼンチン経済は回復軌道に乗ることができました。 しかし、残念ながらユーロ加盟国は、通貨安による景気の牽引は期待できません。 そのため、成長路線に乗せるためには、「引き締め、引き締め」で国を縛るのではなく、ユーロでも、政府による景気刺激策を容認することが必要ですが、緊縮主義からの政策転換はすぐには期待できそうにありません。そこで、期待されるのが日本です。 日本から停滞するユーロに積極的な提言を! ユーロ圏では、金融安全網として、欧州安定機構(ESM)から債券を今年1月から発行されています。 日本は2月末まで、発行総額の10.3%に相当する8億ユーロ(約984億円)を購入し、欧州経済の安定化に向け資金面で協力しています。(3/25 時事「ESM債の購入継続へ=政府」) それだけではありません。日本は、これまでも欧州安定機構(ESM)の前身である、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)が2011年1月から発行開始した債券を継続的に購入してきました。 日本は、EU支援の実績を重ねてきています。だからこそ、日本は、もう一歩踏み込み、ユーロ圏を金融危機から回復するための意見提言をするべきではないでしょうか。 今、ユーロ圏に必要なことは、「経済成長」への政策転換です。2009年以来、幸福実現党がブレずに訴え続け、安倍政権で効果を発揮し始めている「財政出動・金融緩和・成長戦略」の成長パッケージを、ユーロ圏にも強力に提案するべきではないでしょうか。 日本の繁栄から、世界の繁栄へ。日本は世界を牽引していくリーダーたるべきです!(HS政経塾1期生・幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 減税こそ「第4の矢」―景気回復に向け、減税で眠れる個人金融資産1500兆円を動かせ! 2013.03.23 眠れる個人金融資産1500兆円を動かせ! 日本銀行統計局が発表した「資金循環統計」で、個人金融資産が1,510兆円となりました。(野村資本市場クォータリー「個人金融資産動向:2012年第3四半期」) 眠れる個人金融資産を10%程度でも活用することが出来れば150兆円、20%で300兆円規模の経済活動を誘引することができ、日本経済の再起動が大きく加速されます。 「金融緩和」「財政施策」「成長戦略」に加えて、「眠れる個人金融資産1500兆円」の民間資金を動かすことが、景気回復のための「第4の矢」であります。 相続税・贈与税を「原則廃止」にし、若者世代の消費につなげよ! 個人金融資産1500兆円の内訳を見ると、6割が60歳以上の高齢者となっており、平成25年度税制改正大綱においても、高齢者の保有する資産を現役世代に早期に移転させ、その有効活用を通じて「成長と富の創出の好循環」につなげることを重視しています。 相続時精算課税制度では、贈与者の年齢要件を65歳以上から60歳以上に引き下げ、受贈者に「孫」を拡充しています。 特別控除枠2,500万円までは無税で、贈与財産の種類・金額・利用回数に制限は無く、一生涯にわたり何度でも利用可能とし、それを超えると税率は一律20%としています。 個人金融資産1500兆円と言われながら、正味金融資産は466兆円※(一世帯当たりの純預貯金は500万円程)との試算もあります。(※船井財産コンサルタンツ「財産白書」) これら控除施策の一つ一つを見ていけば、理論的には、一般家庭レベルでは充分な減税と見えるかもしれませんが、余りに専門的で、提出書類など手続きが煩雑で、高齢者が対象者であることを前提とすれば、結局は充分な活用につながらないと言えます。 高齢者の立場で、もっと大胆に、全国民が思い切った自由な経済活動が出来るように、幸福実現党は立党以来、相続税・贈与税の廃止を訴えております。 住宅取得・教育費などを中心とした消費世代である20代~40代への資産移行をスムーズに実現することにより、GDPの60%を占める個人消費が拡大し、景気回復が着実に加速し、結果として税収増にも繋がります。 また、年金の破綻が目に見えている状況を踏まえれば、自助による個人年金や家族の絆を助長するなど、将来への資産形成を支援する意味でも重要です。 「証券税制の全廃」により、投資立国を押し進めよ! また、「投資立国」への手枷足枷になるのが「証券税制」です。 株式などの配当所得・譲渡所得にかかる税率は、2013年12月末で軽減税率10%が終了、2014年1月から20%に戻る予定です。 そのために「少額投資非課税制度」(日本版ISA)が導入されることが決定していますが、毎年新規投資額100万円、5年間限定、投資総額最大500万円と限定的で、書類申請など煩雑です。 「投資立国」としてのステージに立つためには、もっと大規模な規制緩和が必要と考えます。 また、高齢化社会における投資のリスクマネジメントとして、「分かりやすい商品説明」や「老後の生活を守る元本保証」、「取引犯罪への罰則規定強化」などの検討も必要でしょう。 幸福実現党は立党以来、「証券税制の全廃」「株の配当課税・譲渡益課税の廃止」を訴え続けています。 幸福実現党は「小さな政府」「安い税金」を国家ビジョンの中心軸に置いている日本で唯一の「減税政党」です。 アベノミクスを総動員しても、消費税を増税すれば「総崩れ」になり、日本経済沈没は避けられません! 幸福実現党は各種減税・規制緩和を推し進め、眠れる民間資金を動かし、景気回復を実現して参ります!(文責・幸福実現党 三重県参議院選挙区代表 小川俊介) すべてを表示する « Previous 1 … 66 67 68 69 70 … 78 Next »