Home/ 経済 経済 世界経済の新潮流――日本は減税で世界を照らせ! 2014.11.11 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆FRBの量的緩和終了 米連邦準備理事会(FRB)は10月30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年の金融危機直後から続けて来た量的緩和政策を終了しました。 量的緩和の終了は国際経済の潮目が大きく変化したことを意味します。 第1に米国の量的緩和の終了は「百年に一度の大津波」と言われた金融危機に資本主義経済が打ち克ったことを象徴します。一時10%を上回った米国の失業率も今や5.8%まで改善し、米経済はゆるやかな景気拡大、正常化に向かっております。 第2に「強いドル」の復活です。米国は「強いドル」によって世界の余剰資金を集め、金融立国を強固にし、軍事技術はもちろん、ITやロボティクス、医療機器等、次世代の産業技術の創造を加速させるでしょう。 「強いドル」の復活は日本にとっても悪いことではありません。米国の量的緩和終了が伝わると、10月第3週には1ドル=105円台まで下がっていたドル円レートは109円台まで反発。その結果、日経平均株価も3週間ぶりの高値を付けました。 しかし第3に、量的緩和の終了は、目下、新興国にとっては冬の時代到来を意味します。それまで新興国に向かっていた巨大な緩和マネーは再び米国に反転し、資本流出や通貨安によるインフレと新興国は格闘しなければなりません。 げんに米国の量的緩和終了に伴いブラジルやロシアは急激な利上げに踏み切りました。金利を高く設定し、国内にマネーを引き留めようとするためです。しかし高い金利は企業家の投資需要を減退させ、国内経済を傷めつけます。 偶然にも31日、こうした変化に日銀は追加緩和で応じることとなり、結果的に新興国の外貨不足懸念を緩和したことは、対外的な観点からも評価されるべきです。 その他、日本としてはTPPやEPA等の自由貿易・経済連帯協定を積極的に締結し、市場を開放していくこと、外貨不足による新興国の債務不履行を防ぐべく通貨スワップ協定の枠組みを拡大していく等、新興国発の危機を未然に防ぐ努力を行っていくべきです。 ◆原油価格の下落と中東情勢 また現在、注目すべき世界経済のトピックとしては原油価格の大幅下落があげられます。今年7月に1バレル=115ドルだった北海ブレンド原油は今月4日には82ドルにまで下落しました。 要因は需要面からは欧州や新興国経済の不振による世界経済の減速懸念、そして供給面からは米国のシェール開発で原油輸出の市場競争が激化したことです。 実際、米国はシェール開発により日量100万バレルだったナイジェリアからの原油輸入を3年間で1/10に減らし、今年8月にはゼロにしています。 こうした米国の動きをけん制し、自国産原油の市場シェアを守るべく、サウジアラビアを始め中東諸国は、こぞって油価を下落させたのです。1バレル80円台では米国シェールは採算割れで開発できないからです。 さて、こうした「円安」かつ「原油安」また「米経済の回復」は、日本にとってはプラス要因であり、日本経済の対外環境は現在、稀な幸運に恵まれていると言えるでしょう。 しかし、極端な原油価格の下落やその持続は、別の問題を発生させます。 ロシアやイラン、イラク、オマーン等、1バレル=80円台ではとても財政均衡を持続できない産油国が多数存在し、そうした産油国の経済悪化は容易に政情不安に転化し、「アジア回帰」を掲げる米国の外交戦略にも影響を与えかねません。 日本は東アジア諸国とだけでなく、ロシアや中東諸国にも目を向けて、通貨スワップ協定や貿易・投資面での経済連帯協力等の締結により、幸運による日本経済の回復を中東諸国に波及させるべきです。 ◆日本は減税で世界を照らせ! さて31日に発表された日銀の追加緩和は国内においてだけでなく、海外市場からも好感を持って受け入れられました。日本の政策決定は世界経済に多大な影響を与えるのです。 追加緩和に関しては株高バブルを誘発させる等、一部副作用を指摘する声もありますが、元より幸福実現党は2009年の立党以来、「3%」のインフレ目標を政策に掲げ、2013年に日銀が異次元緩和を開始してからも、さらなる「緩和拡大」を求めてきました。 しかし消費増税の悪影響を打ち消すための最大の景気対策は、税率をもとの5%に引き下げることです。これで消費は回復し、日本の株価は暴騰するに違いありません。 再度、安倍政権はデフレ脱却の意志を鮮明にし、「アベノミクス第2フェーズ」を始めるべきです。 追加緩和が第1の矢であったならば、消費増税の撤回を第2の矢、そして法人税の大幅減税を第3の矢として、世界経済の需要を日本が牽引していく意志を表明すべきです。 幸福実現党は地球視野での経済繁栄に取り組み、世界をあまねく照らす新しい日本の国づくりに全力で尽くします。 日本では報道されないドイツの脱原発事情(2) 2014.11.10 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆FIT制度がドイツ国民に及ぼす深刻な影響 さらに、ドイツの国民にとって、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)が深刻な影響を与えています。 FIT制度は、原発停止に伴い不足するエネルギーを、再生可能エネルギーに求めるためのものです。電力会社は、国家の決定した価格での再生可能エネルギーの購入を義務付けると共に、それによる値上がり分については、ユーザーである国民が負担する制度です。 当然、この固定価格は、市場価格より高いもので、その結果ドイツ国民の負担は大きくなっており、FIT制度のために電力料金は、年間一人あたり4万円の負担増となっています。 ドイツでは1世帯平均2人というデータがありますので、単純に計算すると、1世帯で年間8万円の負担増になっている事になり、国民に深刻な影響を与えています。 これに関して、2013年9月19日付け「ヘラルド・トリビューン」紙(現在「インターナショナル・ニューヨークタイムス」に名称変更)には、ショッキングなレポートが掲載されています。 それによると、 ○「電気を節約するため、夜はキッチンの5ワット電球だけを頼りにする」ドイツ国民の姿 ○ベルリン市内には、電気料金支払いが困難な市民を救済する機関がある。 ○2011年、公式データによると、電力料金を支払えない31万2千世帯の電力を止めた。 ○政府の補助があるにもかかわらず、アメリカの3倍の料金に値上がりしており、国外からの投資意欲が大きく損なわれている。 この制度は、日本でもすでに施行されており、その影響については、すでに当ニュースファイルでも論じております。 日本経済を奈落の底に沈める「原発ゼロ」と電力の「固定価格買い取り制度」 http://hrp-newsfile.jp/2012/554/ 「市場原理に立脚しない再生エネルギー固定価格買取制度(FIT)のほころび」 http://hrp-newsfile.jp/2014/1747/ ◆東ドイツ出身のメルケル首相に繁栄のビジョンは見えるか ドイルのメルケル首相は、国民の人気も高く、優秀な政治家でありますが、社会主義の東ドイツ出身で、しかもキリスト教民主同盟のコール政権下では、4年にわたり「環境・自然保護・原子力安全担当大臣」をつとめており、一貫して規制を進める立場を取っています。 このような経歴を見ると、メルケル首相には、元々、脱原発に向けての強い考えを持つ一方、経済繁栄に対しての考えが不足しているのかもしれません。 当初、好意的な見方もされてきたドイツの「エネルギー革命」は、国民の負担が莫大なものなると共に、風力発電の最大手である「プロコン」社が今年1月に倒産し、供給側に課題があることも現実となりました。本当にこの政策が正しいものであるのか、ドイツ内外で大きな疑問が投げかけられています。 ◆日独両国の発展が世界大繁栄のカギ 現在のEUは、ギリシャ危機のあと、スペイン、ポルトガル、イタリアなどカトリック諸国で経済問題が続いています。その中で、ドイツは、さらなる繁栄のビジョンを掲げ、ドイツが圧倒的な経済力をもって、今後もEU立て直しの主役となって強い存在感を示していくことが求められます。 このように、本来、欧州のリーダーとなるべき役割があるにも関わらず、「ヒットラー」や「ナチズム」の反省による自虐史観と、エネルギー政策の失敗によって、ドイツ経済の発展は、足踏みを強いられています。 アメリカが世界の警察官を放棄しつつあり、世界は混とんとしていく中、欧州においては、ドイツが、日本と同様に「ドイツの誇りを取り戻し」、さらなる繁栄を目指す時が来ています。 そして、我が日本においても、今回お伝えしたように、ドイツでの教訓を生かし、当面は原子力発電を基礎にしたエネルギー政策を進め、安定的なエネルギー供給を確保することが大切です。 このように、日独両国が、自虐史観を払しょくし、世界的な役割を強く認識し、力強い発展繁栄を目指していくことが必要です。 幸福実現党も、日本において自虐史観を払しょくし、世界のリーダーをめざし、さらなる繁栄を目指して参ります。ご理解をいただきますよう、よろしくお願いいたします。 日本では報道されないドイツの脱原発事情(1) 2014.11.09 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆「原発推進派」に対するマスコミの風当たりは強い 安倍改造内閣の目玉の一人であった小渕経産大臣が政治団体の不透明な収支を巡る問題で、辞任しました。内容を聞く限り、大臣失格は当然であります。 しかし、その一方、小渕前大臣は、「原発推進」を明言し、九州の川内原発などの再稼働を念頭に置いていたと言われています。 報道によると、さる11/8(土)、鹿児島県の伊藤知事は、震災以降初めて、原発の立地県として川内原発の再稼働に同意しました。 さて、2012年10月に行われた衆院鹿児島3区補選では、幸福実現党公認の松澤力候補だけが、川内原発再稼働を訴えました。当時は自民党候補ですら再稼働の主張ができなかった事を考えると、この先見性には大きな評価を受けるべきではないでしょうか。 マスコミでは、まだ原発推進派と目される政治勢力に対する風当たりは強いものの、現実は政府も再稼働への方向をはっきりと示しています。 そうした意味では、日本のさらなる繁栄の為に、今回の小渕前経産大臣のスキャンダルで、原発推進の動きが止まってしまうことを懸念するものです。 ◆日本で誤解されているドイツの「エネルギー革命」 よく、「脱原発派」が引き合いに出すのが、ドイツの原発政策です。元々ドイツでは、チェルノブイリの原発事故以来、放射線に対する恐怖が強く、自然エネルギーの研究も進んでいた地域ではありました。 2000年代のシュレーダー政権の時から、脱原発の方向は示されていましたが、2011年の福島原発事故をきっかけとして、メルケル首相が「エネルギー革命」と称する脱原発政策を打ち出すことになりました。概要は以下の通りです。 1、独国内17基の原発のうち、老朽化した8基を停止すると共に、残りの9基についても順次停止していき、2022年までに全廃を目指す。 2、その代替エネルギーとして、太陽光・風力など再生可能エネルギーを推進し、2050年には完全移行を目指す。 3、電力会社に対して、再生可能エネルギーを一定の固定価格で買い取ることを義務付けるFIT制度を導入する。 これらの政策は、当初、環境保全推進の立場から、好意的な反応があり、「日本もドイツに学べ」という論調が強まりました。 しかし、日本で誤解されている事は、ドイツでの原子力発電は暫時減らしていくという事で、現在も稼働しているという事です。 また、エネルギー政策の柱として掲げた、再生可能エネルギーは安定的な供給ができず、ドイツ政府は、石炭を中心とする火力発電を中心に行うことになり、現在はドイツの数か所で新規に「火力発電所」の建設が急ピッチで進んでいるのです。 以上の結果、2013年のドイツにおけるエネルギー割合の暫定値は、以下のようになっています。 原子力 15% 石炭 20% 褐炭 25% 再生可能エネ 24% 天然ガス 10% その他 6% 少なくとも、ドイツは、まだ原発稼働中で、日本の即時停止とした対応が、いかに極端なものであるかが分かります。 次回、ドイツの電力事情にもう少しメスを入れ、日本が学ぶべき教訓を明らかにします。(次回は、明日配信) 食料増産に向け、本物の農政革命を! 2014.11.05 文/幸福実現党千葉県本部副代表 古川裕三 ◆コメの価格下落 「今年はブランド米の新米が安く買えていい!」 最近のコメの価格下落を受けて、ちょっとうれしいという方も多いのではないでしょうか。確かに、価格下落は消費者にとってはありがたい話ですが、生産者にとっては死活問題です。 今年は特に、例年からの米離れによる需要の減少に加え、順調な収穫量が見込めたことや民間の在庫量が多めに推移していたことなどから、農協が農家に前払いする仮渡し金を昨年よりも大幅に引き下げる例が相次ぎ、実際のコメの価格下落が鮮明となり、農家の収入減が顕著となりました。 ◆減反政策の今 そもそも1970年から始まった減反とは、コメの作付面積をカットして生産量を減少させることで政府の買い入れ量を減らすことを目的として、それに伴う農家の所得減を補うために補助金を出してきたわけですが、これがコメ農家の競争力を奪ってきました。 我が党もかねてより減反廃止を訴えていましたが、昨年12月、安倍総理は減反廃止を宣言し、戸別所得補償制度の補助金を今年から半分に減らして18年までに廃止すると打ち出しました。しかし、実際の中身といえば減反強化政策にほかなりません。なぜなら、転作補助金は維持・増額されているからです。 例えば、製パンに使用される米粉用米など、非主食米に転作した場合の補助金は増額されるので、転作農家が増えれば確実に主食米の生産量は減ります。 ただでさえ日本は食料自給率が低く、食料安全保障の観点からも脆弱な体質なわけですから、「食料増産も国富増大であり、防衛にも通ず」と認識する必要があります。 食料自給率100%を超えている米国をはじめ、欧州諸国も高い水準にある一方で日本は依然として4割を切っていますが、まず最低でも5割は超えないといけないでしょう。 ◆減反政策を廃止するためには 事実上、延々と減反政策が続いてきた理由は、農協、農水省、族議員の既得権益です。今となっては金融収益がメインの農協としては、小規模兼業農家は大切な預金者です。 そして、農協組合員の多さがその安定収益の基盤を支え、さらに族議員は彼らの既得権を守ることで票を得ています。農水省は族議員の議席数の多さが予算獲得における力となります。この既得権益における三位一体が農政改革を阻む最大の要因なのです。 ですから本丸はこの既得権の構造を解体し、本当に強い農業に変えていかなければなりません。減反および転作補助金を廃止し、コメの生産を完全に自由化できれば増産による価格低下と大規模農家への生産集中によるコスト低下が起きます。 もちろん、短期的には価格低下による所得減を補償する直接支払制度を設ける必要などはありますが、いずれにしても場当たり的ではない、本当の農政革命を断行すべきです。 ◆ある企業家の熱意 先般、ある経済番組に秋田県のあきたこまちを直販する会社の社長が特集されていました。減反政策が始まったころから行政と戦い、米を作り続け、ネットがない時代から消費者に直販して確実に販路を拡大し、今では個人直販5万人、7千社が取引先だといいます。 味と安全性で客から信頼を得ているので相場の2倍で売れています。さらには、本来はコメの競争相手であるパン屋さんにも「コメ」を卸しています。小麦に混ぜることで保湿性を高め、もちもちのパンが焼けるという新しいコメの加工品を開発し、小麦だけのパンよりもおいしくなるとのことで現在さらに販路を拡大しているそうです。 パンの消費が伸びるほど、コメの消費も伸びるという画期的なアイデアで、これが5年前にあれば今の米粉農政も変わっていたはずだと社長は述べていました。社長には稼げる農業を実現させて子供たちに夢と希望を与えたいという情熱が出発点にあり、生産・加工・販売を一貫してできるようになればそれは可能であるという信念がありました。 政府は、今こそ、現代の英雄であるこうした企業家の取り組みを積極的に受け止め、政策に反映させるべきです。 いずれにせよ、主食米の生産量を上げつつ、コメの消費も同時に増やし、また海外への輸出品目としても成長させることで「稼げる農家」を常識とし、後継者問題の解消、食糧自給率の回復に向け一石を投じるべきです。 日本発・新しい経済モデルを世界は待っている――「消費増税」に蝕まれたアベノミクス 2014.11.04 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆日銀のサプライズ緩和に沸き立つ国内外の金融市場 10月31日に日銀が打ち出した10~20兆円規模の追加緩和が国内で好意的に受け取られ、4日の東京株式市場では日経平均株価が約7年ぶりに1万7000円台にまで上昇しております 4日、安倍首相は参院予算委員会の中で、「手段は黒田総裁にお任せしているが、今回の決断もおおむね好感をもって迎えられているのではないか」と述べ、株価上昇についても「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)など年金の運用もプラスになる。株価が上がることで大きな資産効果を呼び、消費に結びつき、経済成長にプラスになっていく」と自信をのぞかせています。 この日銀の追加緩和の影響は世界中に飛び火しており、31日のニューヨーク証券取引所では、ダウ工業株30種平均が史上最高値を更新し、アメリカをはじめとした世界の金融市場を熱狂させています。 その理由は、米連邦準備制度理事会(FRB)が29日に量的緩和政策の終了を決めたことで、新興国からの資金流出によって、世界経済を下押しする恐れが出ていたことが要因と言えるでしょう。 このタイミングでの日銀の追加緩和は、FRBに代わって資金を供給するものと受け取られ、世界規模での不安要因を払拭する救世主的な動きに見えたのかもしれません。 ◆進歩が止まった欧米型経済は世界の範とはならない 奇しくも日銀が追加緩和に踏み切った31日、アメリカのノーベル賞経済学者であるポール・クルーグマン教授はニューヨーク・タイムズ紙に「日本への謝罪」と題するコラムを寄稿しています。 その内容は、バブル崩壊後の90年代後半から、経済回復を実現できない日本政府と日銀を批判した一方、欧米諸国は財政政策、金融政策両面において日本の教訓を活かせずに、日本以上に厳しい不景気に陥ってしまったことに対して、謝罪を述べた形となっています。 特に、クルーグマン教授が指摘した中で興味深いのは、「不況に効果的に対応するためには、従来的な体裁を放棄すること」が大事であり、「財政の均衡を志向し、インフレに対して毅然たる態度を取るような慎重(prudent)かつ高潔な(virtuous)な政策は、より深い(経済的)スランプのレシピとなる」と述べ、その罠にことごとく嵌ってしまった欧米のエコノミストや政策決定者を皮肉っている点です。 もともとクルーグマン教授は、著書「そして日本経済が世界の希望になる」の中で、安倍政権が行ってきた異次元の金融緩和政策や大規模な財政出動に対して支持を表明し、かつてはアベノミクスの行く末に熱い期待を寄せておりました。 ◆消費税増税によって既に蝕まれたアベノミクス しかしながら、一方でクルーグマン教授は消費税の10%への増税を控えた安倍政権に対し、こうも言っております。 「金融と財政の両面から経済を刺激するというアベノミクスの戦略は、これまでどこの先進国も実行したことがない『経済実験』でしたが…すでに消費増税という『自己破壊的な政策』を実行に移したことで、日本経済は勢いを失い始めています。このままいけば、最悪の場合、日本がデフレ時代に逆戻りするかもしれない。そんな悪夢のシナリオが現実となる可能性が出てきました。」(週刊現代2014.9.13) 同じく、安倍晋三首相の経済政策ブレーンで内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授も3日、「思った以上に打撃が大きく、日本経済はふらついている」と指摘し、「(海外では)増税したらアベノミクスが全部崩れてしまうという意見も多い。(消費税率を)上げたらアベノミクスが全部見放される可能性もある」(日経11/4)とし、消費増税への自重論を展開しています。 それに対して、財務省は、「日本の消費税率は、主要先進国の中で最低の水準にあり、それらの国々では消費税は主要な位置を占めており、EUでは標準税率15%以上が義務付けられている」という論理で国民に増税を迫っております。 (財務省HP http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei/04.htm) 経済学の世界で既に不動の地位を築き、世界から尊敬を集める日米の碩学の意見が正しいのか、経済成長よりも省益を増やすために消費税増税をしたくてたまらない財務省が正しいのか、一目瞭然だと言えます。 ◆日本には世界に範たる経済モデルを示す使命がある 今、日本の経済を考える上で最も重要なことは、市中に大量に流入する資金の使い道を作ってあげること、すなわち実体経済をいかに活性化させるかだと考えます。 まさに、実体経済の活性化と消費税増税は水と油の関係であり、景気を冷え込ませ、人や企業といった「国富」を流出させてしまうはずです。 経済の基礎知識として「日本の国民総資産は1700兆円に近付きつつあり、ヨーロッパの小国のような財政赤字による国家倒産はありえず、消費税増税は全く不要」という厳然たる事実を国民一人一人がしっかりと納得するべきなのです。 また、安倍政権の経済政策の中には、企業への賃上げに干渉するような「国家社会主義」的な面が見え隠れしていることを見逃してはなりません。 もはや、アベノミクスも沈みつつある船であります。一方で欧米の先進国諸国の中に、日本経済の範たるモデルを見出すことはもはや出来ません。 日本には、世界のトップランナーに相応しい日本独自の経済モデルを確立し、新興国に新しい繁栄のかたちを示すことが出来る担い手が今こそ求められているのです。 失業対策から雇用創出へ――シュレーダー改革から学ぶ 2014.10.30 文/HS政経塾1期卒塾生 伊藤のぞみ ◆ドイツ経済、マイナス0.2%成長の衝撃 ヨーロッパ経済を牽引していたドイツ経済の経済成長率(GDP成長率)が-0.2%であったということは、前回も触れました。 ドイツはロシアから天然ガスの37%を輸入しており、貿易の取引額は全体の12.5%を占めています。ドイツ景気停滞の第一の原因はロシアへの経済制裁です。 ただ、ドイツ国内では、もう一つ原因があるのではないかといわれています。それが、メルケル首相の経済政策です。 実は、メルケル首相の前にドイツ首相をしていた社会民主党(SPD)のゲアハルト・シュレーダーはSPDの党首でありながら失業手当の削減、労働規制の緩和、社会保障改革、法人税減税を行ない、東西ドイツ統一以降「欧州の病人」といわれたドイツ経済を復活に導きました。 しかし、失業手当の削減と社会保障の縮小を断行したため、従来のSPD支持者を失い、05年の連邦議会選挙でメルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)に僅差で破れ、政権を去りました。 ◆左派色の強い大連立政権 現在、問題とされていのは昨年12月に発足した大連立政権が立案した経済政策です。 メルケル首相が率いるCDUは三ヶ月の交渉を経てキリスト教社会同盟とSPDの三党で大連立政権を成立しました。 連立政権参加したSPDは8.5ユーロ(約1200円)の法廷最低賃金の導入や、条件を満たした高齢者に対し、年金の支給開始を二年間前倒しすることを認め、シュレーダー改革とは全く別の方向に舵を切りました。 その影響が出てドイツ経済が停滞しているのではないか、という見方が広がっているため、メルケル首相もシュレーダー改革の方向に針路を戻そうとしているとも伝えられています。 ◆シュレーダー改革-アジェンダ2010-の概要 それでは、再評価されつつあるシュレーダー改革「アジェンダ2010」について概要を見ていきます。 この改革の成果が現れるのが2010年頃になるという予測のもとつけられました。この「アジェンダ2010」はフォルクスワーゲンで労務担当役員をしていたペーター・ハルツを委員長とした委員会の報告をもとにつくられ、2003年から実施されました。 「アジェンダ2010」は改革の成果が出るのが2010年頃になる、ということでつけられたものです。シュレーダー元首相が最も重視したことは、「失業者の削減」です。 ▼2003年に施行された政策 ・失業者を派遣労働者として登録し、仕事を紹介する人材サービス機関を設置する ・起業を通じた自立プログラム ・所得税、社会保険料が部分的に免除される低賃金制度の導入 ▼2004年に施行された政策 ・ハローワーク機能の強化 ・失業手当の受給期間を短縮 ▼2005年に施行された政策 ・半永久的に給付していた失業扶助と社会扶助を統合し、新しい失業給付に統合 最後にあげた失業扶助の廃止によって、ドイツの失業率が2.8%低下したと、ドイツ連邦銀行のミヒャエル・クラウゼと米シカゴ大学のハラルド・ウーリッヒ教授は論文で述べています。 さらに、面白い政策が「労働時間貯蓄制度」の導入です。これは時間外労働に関して割増賃金を払うのではなく、貯蓄のようにためておいて、仕事が暇になったときに消化する制度です。 これによって景気の動向に雇用が左右されることなく、繁忙期には労働時間を貯めておき、閑散期には貯めた労働時間を使うので、仕事がなくなったからといって解雇される心配はありません。 ※会社は解雇する場合、貯蓄した労働時間に見合った割増賃金を払う必要がある。 参考『独の労働市場改革に学べ』鶴 光太郎 http://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/tsuru/21.html ◆左翼思想は国を衰退させる 幸福の科学グループの大川隆法総裁の近著『国際政治を見る眼』には、「『左翼思想が流行ってくると、国が凋落する』ということを、もっと徹底的に知ったほうがよいでしょう。」(p.129)とあります。 『国際政治を見る眼――世界秩序[ワールド・オーダー]の新基準とは何か』大川隆法著 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1307 一つの国という大きなくくりから見ると、失業者が多いということは養わなければならない人が多い、ということです。家族であっても、扶養者が2人、3人、4人であれば養うことができても、10人、20人、30人であれば苦しくなってくるでしょう。 ですから、政府としては働く意欲のある人に仕事を紹介する、新しい仕事を創ることで働いてもらい、養わなくてはいけない人を必要最低限にすることが最優先課題です。 幸いなことに、日本には勤勉の美徳が文化として根付いています。この美徳の上に空前の繁栄を実現し、世界に拡げてゆきたいと思います。 EUでの財政バトルから日本が考えるべきお金の使い方 2014.10.23 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ 日本のメディアではあまり紹介されていませんが、今、EUにおいて「財政ルールを遵守するべきか否か」が大きなトピックになっています。対立構図の中心は、「ドイツvsフランス・イタリア」です。 ◆ドイツの主張:財政ルールは守るべき ドイツのメルケル首相は、財政ルールをしっかりと守ることが、ユーロ圏の信用を保つために非常に重要であるとしています。ドイツ国内でも景気を回復させるために、構造改革をはじめ支出カットをおこない、財政赤字を減らすことを明言しています。 ◆フランス・イタリアの主張:景気回復のために今は政府支出が必要 フランスは、欧州委員会から財政改善のための緊縮の要請を拒否して、2015年予算を計上しています。この予算を組むためには、GDP比4.3%分の財政赤字が発生し、EUの財政ルールである3%を大きく超えています。 また、イタリアのレンツィ首相は、2015年予算では大幅減税と投資促進に向けた景気刺激策を提案しており、EU財政ルールぎりぎりのGDP比2.9%の財政赤字を見込んでいます(当初はGDP比2.2%の財政赤字を見込んでいたが、さらに増えている)。 要するに、フランスとイタリアは、景気の見通しが暗い状況で緊縮政策をすると、さらに景気が悪くなるので、「政府歳出の削減を今はやらない」と主張しているわけです。 ◆EU参加国に義務付けられる財政ルール ちなみに、EU参加国に対しては、以下の財政ルールが適用されています。 ・年間の一般政府財政赤字をGDP比3%以内 ・一般政府債務残高(政府の累計債務)をGDP比60%以内 このルールは、1993年に発効したマーストリヒト条約の中で、EU参加の条件として定めらましたが、2008年9月のリーマンショック以来、EU参加国のほとんどの国において、このルールを遵守できていません。 ◆日本は財政規律に固執して増税していいのか? 残念ながら、こうしたEU圏内の財政ルールを取り巻く議論については、あまり日本のメディアでは紹介されていません。しかし「ドイツvsフランス・イタリア」で繰り広げられる財政ルールについての議論は、日本としても重要な教訓があるといえます。 ドイツがこのまま財政均衡への政策スタンスを取り続ける限り、EU圏内の景気回復は難しいと考えられます。欧州委員会としても財政ルールに固執するのではなく、どうすれば景気を回復して、経済成長するのかを考えていくべきでしょう。 日本も同様です。消費税を8%から10%へと引き上げる判断を、首相が12月に行うとされていますが、景気が悪化しつつある中、増税した結果、税収が増えることもなく長期不況を招いた1997年の消費増税と同じ過ちを繰り返すことになりかねません。 ◆借り入れコストが安いからできることをやろう! ドイツが財政ルールを重視する姿勢を批判しているフィナンシャルタイムズの論説では、以下のポイントが主張されています。 ・利率に注目せずに、財政赤字と債務残高だけを考えるのは意味がない。 ・借り入れコストが安い今、財政赤字のコストに関する考え方を変えなければならない。 ・低利率の今だからこそ、追加の公共投資をするためにお金を借りるべきだ。 ・マーケットは叫んでいる。「借りろと」。 (Financial Times 2014/10/22 Page.9 “Reform Alone is no Solution for the eurozone”) 同じことを日本に置き換えるとどうでしょうか。日本の10年国債の利率は世界一低い0.49%です(10/22時点)。つまり、借り入れるコストが極めて安いのです。だとすれば、今にしかできないお金の使い方を考えるべき時なのではないでしょうか。 例えば、リニア・モーターカーの建設が開始しましたが、東京-名古屋-大阪の同時開通を支援するために、日本政府が超低金利で融資することも検討できるはずです。 ◆マスコミが果たすべき国民への責任 国家財政は税金と密接に関係があり、国民の財産に関わる重要なことです。朝日新聞の従軍慰安婦報道の訂正や吉田調書での誤報をきっかけに、マスコミの役割が見直されています。国民が税について幅広く考えるためにも、EUでの財政ルールについての議論も積極的に報道していただきたいと思います。これもマスコミが果たすべき国民への大切な責任だと思います。 ◆試される日本の構想力 日本は、EUで起きている財政ルールをめぐる攻防を教訓とし、現状の財政再建目標(2020年までのプライマリーバランス黒字化)を見直し、消費増税は見送る。 そして、経済成長への「投資としての減税」という発想で、過度な代替財源探しは控えて、法人税の減税を断行することも一案ではないでしょうか。 お金が行き場を探している「今」にしかできないことを構想し、実行するべきです。 どうなる日本経済!?アベノミクスの行方を問う 2014.10.21 文/HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一 ◆揺れる世界経済――円安ドル高・株高トレンドは終わったか 10月初頭に1ドル=110円台を付けたドル円相場でしたが、第3週には一時105円台前半まで急落。また先月には1万6千円台を超えた日経平均株価も1万4千円台の前半まで続落しました。 その要因としては、世界経済の減速懸念や9月末に発表された米国の景気指標(米国の消費者信頼感指数等)が悪化し、米国の利上げ観測時期が遠のいたこと、世界的なリスク回避の動きから安全資産として円が買われたことが挙げられます。 しかし一方、足元の米経済指標が底堅い回復を示していることも無視できません。 今月16日に発表された米国の失業保険申請件数は大幅に減少、鉱工業生産指数は予想を上回る上昇、米住宅着工件数や大手金融機関の決算も大幅に改善しており、不安定な金融市場とは裏腹に米経済の回復基調には底堅いものがあります。 一部マスコミは世界同時株安を囃し立て、人々の不安を掻き立てますが、あまり踊らされるべきではありません。 米国の利上げ観測時期が遠のいたとはいえ、遅かれ早かれ利上げ局面に入ることに変りはなく、一方の日本では日銀による追加緩和が期待されています。 世界に放出されたドルが回収されるなか、円の放出はしばらく続く以上、中長期トレンドとしての円安ドル高、そして株高に変化はないと言えるでしょう。 ◆インフレの主犯は円安や金融緩和ではない さて日銀の「異次元緩和」が始まって日本のデフレ脱却が見えて参りましたが、一方で緩和政策による円安が原材料費等の輸入物価を押し上げ、国民の生活を苦しめているとし、金融緩和の副作用を批判する声もあります。 通貨安によるエネルギー価格の上昇や賃金の上昇によるインフレを、コスト・プッシュインフレといい、悪いインフレとされますが、果たして日本は日銀の緩和政策の結果、悪いインフレに向かっているのでしょうか。 現在のインフレ率(生鮮食料品除くコアCPI)は前年比3.1%(8月)で、このうちエネルギーの貢献は0.8%にすぎず、需要増加分はたったの0.2%であり、誤差の範囲です。 ではインフレ率3.1%のうちの残りの2.1%は何によるものなのでしょうか。 それが消費税の増税です。現在、徐々に始まり、国民生活を苦しめるとされているインフレは円安によるものでもなければ、エネルギー価格の上昇によるものもなく、金融緩和の副作用でさえありません。消費増税の効果です。 さらに消費増税は日銀がインフレ目標政策でターゲットにしているインフレ率、すなわち需要増に伴うインフレ率の上昇を抑えてしまうので、悪いことしかないのです。 ◆円安は是正すべきなのか また中小企業を中心に円安への懸念が表明されておりますが、円安は是正されるべきなのでしょうか。 まず、ほとんどの場合、デフレ脱却の過程で通貨安そのものは避けられません。ゆえに日本経済がデフレ脱却に向かっていくことを良しとするならば、円安を受け入れる方向で対策を考えていくべきです。 では円安は中小企業や海外から原材料を輸入する企業にとっては悪いことばかりなのでしょうか。 私自身、現在、ある中小ベンチャー企業のなかで、海外から部品を輸入して加工した最終製品を、主に国内向けに販売しておりますが、円安による原材料費上昇のマイナスよりも、円安に伴う大企業の株高や開発費増加によるプラス効果の方を強く感じます。 また円安になると、競合する海外メーカーの製品価格が上昇するため、国内で製品を販売する製造業であっても恩恵は受けるのです。国内市場においても海外製品と競合しているからです。 さらに言えば、中小企業であってもドル資産を持てば円安のリスクをヘッジできます。仮にドルが下落して、保有するドル資産の価値が目減りしても、ドル安によって原材料費が下がれば、その分の損失は相殺されます。 いずれにせよ、日本は自由な変動相場制を採用しているのですから、基本は自由な市場に任せるべきです。金融緩和によって起こる通貨安に備え、対策を打つことはできても、「是正する」ことはできませんし、すべきでもありません。 ◆世界を明るくできるのは日本だ! 現在、エボラ出血熱やイスラム国の台頭等、雲行きの怪しい世界情勢が人々の心理を不安にし、世界経済の回復を遅らせております。またそれが日本の回復を遅らせる要因にもなっております。 しかし現在、デフレ脱却過程にある大国・日本の経済の力をもってすれば、世界経済の見通しを明るく変えてゆくことができます。 まず日銀が市場の期待に応えて追加緩和を打ち出すべきです。続いて政府が消費増税を撤回し、韓国やシンガポール並みの大幅な法人税減税に向けた工程表を示すべきです。 日本が世界の需要を牽引する意志を示すことで、世界経済の見通しを明るくし、それをもって日本経済回復の起爆剤としてまいります。 高付加価値戦略で、持続的な成長へ 2014.10.20 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆増税の影響 本年4月に消費税が8%に増税されてから、増税後の消費動向について、セブン&アイ・ホールディングスの村田社長は駆け込み需要の反動減が前回(1997年)とあまり変わらないとした一方で、前回に比べ6月からの戻りが悪いと指摘しています。(10/2 日経新聞) 消費においては消費は心理とも言われるように、心理的な影響が大きいとされています。3%という数字は小さく見えて、消費者心理的には少なからず影響が出ていると言えるのです。 セールなどで「3%引き」などと銘打たれているだけでも、お得な感じがするものですが、行動経済学では、人間は得よりも損の方を大きく見てしまう傾向があるとされています。 つまり、増税が消費に与える影響は決して少なくないと言えるでしょう。 ◆迫られる戦略の転換 そのため、2015年に行われる可能性のある消費税の再増税はさらなる消費の冷え込みにつながり、景気回復どころか大きなブレーキになってしまいかねません。 それ故に再増税は避けなければならないと言えますが、現状8%となり、すでに消費が冷え込んでしまっている以上、各企業にとっては価格戦略で勝負をしていく場合には、増税分を負担しなければならないため、消耗戦となってしまうと言えます。 こうした状況下で持続的な成長をしていくための戦略の一つとして、高付加価値戦略を挙げることができます。 そもそも、日本企業は諸外国に比べても、商品やサービスの品質に定評があり、「Made in Japan」であるということ自体がブランドになっているという面もあります。 こうした付加価値の高さ、品質の高さといった部分がこうした厳しい消費の時代を切り抜けていき、成長していくための一つの戦略であると言えるのではないでしょうか。 ◆高品質米の例 今、日本の米の品質の良さが海外でも評判を得ています。 もともと品質の良い米であるだけでなく、現地に精米所を構え精米することで、日本で精米するのに比べて船便などの輸送時間を短縮でき、鮮度の高い米を提供することができるため、シンガポールに店を構える懐石料理店の料理長は、顧客から米を分けてくれないかと要望されるなどしているとのことです。(10/19 日経新聞) こうした設備投資などは費用もかかるだけでなくリスクも伴うため、難しい判断ではありますが、結果的に成功している事例であると言えます。 また、中国の百貨店では店頭に「純日本品質 越光」というジャポニカ米が、産地は中国であるにも関わらず、2kg1500円と一般的な中国産米の2倍の価格の商品が並んでいることからも、日本のブランドの強さが伺い知れます。 これは輸出の例ではありますが、日本のブランド力の高さや高付加価値のものの需要があることを表していると言えるのではないでしょうか。 ◆高価格家電の例 また、もちろん輸出だけではなく、日本国内においても高価格商品の需要を見出すことができます。ビックカメラでは、消費増税後の4月は単体ベースの売上高が約1割落ち込んだものの、6~8月では前年同期比でプラスとなっています。 天候不順などでエアコンは伸び悩んだものの高機能の冷蔵庫や洗濯機がけん引したということです。 さらには、CDよりも音の良い高品質オーディオ「ハイレゾ」の関連製品や理美容家電、タブレット、そして高画質の4Kテレビも堅調で、8月にはテレビの売上高の25%程度を占めるまでになり、特に50代以上の男性中心に売れているとのことです。(10/6 日経新聞) こうした国内消費の状況を見ても、高付加価値のものは消費が冷え込んでも需要があることを読み取ることができます。 ◆高付加価値と日本経済の成長 モノが溢れ、消費が飽和してきていると言われる昨今、必要のないものや価値が感じられないものに対する消費は落ち込み、対して必要なものや価値が感じられるものに対しては、消費意欲がまだまだ存在するとも言えるのではないでしょうか。 これ以上の消費意欲の低下を招くであろう消費税10%への増税は避ける必要があることはもちろんのこと、各企業の強みを生かした高付加価値戦略が、今後景気回復と更なる経済成長につながっていく道の一つなのではないかと思います。 家計を直撃した消費税増税 2014.10.19 文/岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆消費税増税の目的――社会保障の安定財源確保? 最新のNHK世論調査によると予定通り来秋消費税を10%にあげるべきが23%、時期を遅らせるが35%、取りやめるが38%となっています。73%が来年の10月の増税は見送るべきと、消費者の厳しい家計を反映した意見となっています。 これら家計の窮状に対し、政府は経済状況を注意深く見ていくとしながら、消費税増税は、社会保障の安定財源確保のために必要不可欠であり、国民に還元されるものであると認識を変えることはありません。 ◆青天井の社会保障給付費 今や社会保障給付費(年金、医療、介護福祉等)は年間100兆円を突破しており、本年は予算ベースで115.2兆円となっています。現在、社会保障給付費の財源は、おおまかにいって3分の2が保険料、3分の1が税負担となっています。 国税負担分31.1兆円は、本年の一般歳出のなんと54%を占め、平成2年の29.4%と比べると、いかに社会保障費が増大してきたかが分かります。 そして団塊の世代が全て75歳以上となる2025年は、75歳以上が全人口の18%となり、必要な社会保障給付費は、148.9兆円に跳ね上がると厚労省は試算しています。 ◆10%では終わらない消費税増税 社会保障の安定財源が消費税とすると、一体、どこまで消費税は上がるのでしょうか。 政府は、引き上げることが決まっている5%分の消費税のうち4%分を社会保障の安定化(毎年の財政赤字で賄っていた部分を埋めること)に充て、社会保障の充実へは1%分を充てると説明しています つまり10%に引き上げたとしても、底が抜けて水漏れしている分に4%分が使われるわけです。10%でも実は全然足らないのです。 大和総研のシュミレーションによれば、高齢者1人当たり給付(年金・医療・介護の合計)を現在より15%大胆に抑制し、消費税率を25%にしたとしても、政府の基礎的財政収支は黒字化しない(2030年代半ば)と日本がこれから経験しようとしている高齢化がいかに厳しいかを示しています。 社会保障のすべてを政府が担うという発想から脱却しなければならない時期が来ています。 ◆80%以上の高齢者は自立している 「孤独死」「無縁死」「老老介護」「老人漂流社会」「大介護時代」等々高齢者に対するイメージは非常に重たいものがあります。もちろん、こうした事実から目を背けてはならないと思います。 ただ、一方で、日本の高齢者は非常に若返っており元気であることも事実です。世界保健機関が提言する健康の定義「高齢者の疾病の有無ではなく、生活機能の自立度で判定する」基準をモデルにすると、日本の高齢者は80%以上が自立しているというデータがあります。 ◆後期高齢者は「好機」高齢者 有名な徳島県上勝町の葉っぱビジネスでは、いわゆる後期高齢者が、パソコンを駆使し受注業務をこなし、年収1000万円を稼ぐ方もおられます。町の老人ホームは廃止され、一人あたりの老人医療費は徳島県内24市町村で最も少ない額といわれています。 適切な仕事さえあれば高齢者の健康は増進され、所得を産み、税金を納める側になります。 葉っぱビジネスを立ち上げた横石社長は、「後期高齢者制度には腹が立ちます」と言っています。「後期」は、実は「好機」チャンスであるんだと、まだまだ発展のチャンスはあるという明るい高齢者のイメージを持っておられます。 ◆人間観の革命で「大増税社会」を阻止しよう また新しい老化モデルでは、人間は、死の直前まで健康を維持することができるとされています。長生きが長患いで寝たきりという負のイメージもありますが、実は、長生きは、長く健康生活を楽しめるという意味となります。 日本の高齢者は若返っており、80%以上は自立をしており、適切な仕事があれば長寿を健康で全うでき、国や地域社会に貢献し続けることができるということが真実です。 支援を必要とする高齢者に対しても、元気な高齢者が支援する側に立つことができます。老老介護という負のイメージではなく、死ぬまで社会貢献、社会奉仕ができるという明るいイメージが大切と思います。 高齢者に対する暗いイメージを、明るいものにする「考え方」の変革をもって、元気な高齢者自身が、社会保障給付費の削減の起爆剤となり、増税ではなく、人間観の革命で社会保障のすべてを政府が担うという発想から脱却する端緒とできると確信します。 すべてを表示する « Previous 1 … 48 49 50 51 52 … 78 Next »