Home/ 経済 経済 見えぬ国家ビジョン。結局バラマキ? 2014.12.25 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ 第三次安倍内閣が発足し、憲法改正に向けても意欲を持つ発言があり、改憲に向けた動きの本格化も期待されます。 憲法改正には、「どのような日本になっていくべきか」という国民的議論が必要です。 しかし、残念ながら、これから予定されている政策の多くは、新しい日本のビジョンを示すどころか、基本的には既存のバラマキ路線の踏襲ではないでしょうか。 ◆「政府がしてあげる」ばかりの景気対策 例えば、景気の底上げに全力を尽くすために、3.5兆円規模の経済対策をおこなう方針とあります。「個人消費のテコ入れや円安対策を柱とする」そうです(12/25読売朝刊)。 景気対策は、政府が国民に「してあげる」だけなのでしょうか?そうではなくて、「国民それぞれが好きに使えるお金を増やしましょうよ」ということが、減税による景気対策の発想です。 また、福祉においても、政府が「お金を使う」ことに焦点が集中しがちです。しかし、減税することで、国民の負担を減らすことも福祉になります。なぜなら、自分で好きに使えるお金が増えるからです。 「政府はしてくれて当たり前だ」となっていくと、お金がどんどん必要な大きな政府となっていくわけです。今、マスコミ各紙においても、増税バラマキ路線に、無前提に賛同する論調が多くあります。 減税によって、自分たちの自由になる裁量を増やすことで、国を豊かにしようという発想もありえるわけですから、少なくとも両方の可能性を、国民が検討できる環境をマスコミとして提供することが、公器としての使命ではないでしょうか。 ◆「泣き面に蜂」の法人税政策 2015年度に法人税の引き下げを検討していることはいいのですが、その財源確保のために、企業の事業規模に応じて課す「外形標準課税」を拡大することを検討しています。つまり、赤字であっても、税金を取れる裁量を増やすわけです。 しかし、2期連続で日本のGDPはマイナス成長をしていることからも、景気が悪いということは、企業業績も芳しくない企業が多いということです。多くの企業が「儲ける力」が回復していない中で、外形標準課税を拡大したらどうなるかというと、企業全体の負担としては重くなるわけです。 多くの企業の「儲ける力」が回復しきっていないなかで、さらに負担を重くして、本当に景気を回復する気があるのか疑われます。それであれば、先ほどあげた3.5兆円の景気対策の中身を変えて、外形標準課税を拡大しないで済む措置をとることを検討するべきではないでしょうか。 ◆単なる移転で付加価値は生まれるのか? また、地方創生を旗印として、都市部への人口流入を減らすという目標も掲げられています。その一環として、地方に本社や研究施設を移転することで、法人税額を減額するいわゆる「移転減税」を検討しているようです。 しかし、場所を移転するだけで、本当にいいのでしょうか?研究所同士が集積することによる相乗効果も当然ありえるわけで、それを地方に移転することで、そうした強みが失われる可能性もあります。単純に移動して、その地方で雇用ができたとしても、研究そのものの競争力が高まるわけではありません。 そうであるなら、日本全体の行き来をもっと活発にするために、リニアの早期開通、新幹線開通の早期化のための予算を組むことを検討するべきです。 単純に場所を移動させるだけで、インセンティブを与えるというのは、日本を本当に豊かにすることにはならないのではないでしょうか。 ◆やはり新たな国家ビジョンが必要 政府が今、取り組もうとしている政策メニューを見ていくと、国民の活力を引き出すよりは、「国がしてあげる」政治に向かっているようです。 「国がしてあげる」ことが当たり前になると、結局、「誰も何もしない」国になります。 国民一人ひとりが生きがいを持って行動して、幸福を掴み取るためには、その前提に「自由」があるはずです。 憲法改正に向けて、日本が向かうべき国家ビジョンについて、様々な角度からの国民的議論が大切ですが、昨今の報道や政策を見る限り、「自由の価値」については、引き続き、幸福実現党が先頭に立って訴えていくことが必要なようです。 持続的発展が可能なエネルギー政策を!―「固定価格買い取り制度」の欠陥 2014.12.22 文/HS政経塾4期生・鹿児島県本部 副代表 松澤 力 ◆見直しを迫られる「固定価格買い取り制度」 太陽光など再生可能エネルギーで発電した電気を、大手電力会社が政府の決めた値段で買い取る「固定価格買い取り制度」に対して見直し策が検討されています。 「再生可能エネルギー普及の起爆剤」として民主党政権時に導入された制度でしたが、方向転換をせざるを得ない状況です。 制度導入時を振り返りますと、2011年3月の東京電力・福島第一原子力発電所事故によって根本的に見直されることになった日本のエネルギー政策において、再生可能エネルギーを重視すべきという声が高まりました。 その状況の中で、太陽光発電や風力発電の普及の切り札になることを期待され、2011年8月に成立したのが再生可能エネルギー特別措置法でした。 この法律によって、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT=Feed-in Tariff)が導入されました。 固定価格買い取り制度では、太陽光などの再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、20年間等の長期に「固定した価格」で電力会社が「全量」買い取ることを義務付けています。 電力会社が買い取りに要した費用は、使用電力に比例した賦課金(サーチャージ)という形で回収されますが、賦課金は電気料金に含まれるため、結局、企業や家庭などの電力利用者が負担することになる制度になっています。この制度は2012年7月から実施されました。 ◆太陽光発電の“急増”で中断された電力買取 制度がスタートすると、太陽光発電は設備の設置が比較的容易で、買い取り価格が優遇されていたため、参入する事業者が急増しました。 その後2014年9月24日、九州電力が再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」(FIT)を通じた買い取り申請への回答を、翌日から数カ月間「保留する」と発表。“契約中断”は、北海道、東北、四国、沖縄電力にも連鎖し、再生可能エネルギーの買い取りが中断されていきました。 九州電力の説明では、2014年3月だけで、FITの買い取り単価引き下げ直前の駆け込みもあり、従来の1年分に匹敵する、約7万件の太陽光の接続契約申し込みが殺到したのです。 詳細を確認した結果、2014年7月末までの申し込みの全量が接続された場合、総量は九州電力管内の春・秋の昼間の電力需要約800万キロワットを上回ることが分かりました。 さらに、契約申し込み前の設備認定分も合わせると、夏のピーク需要約1600万キロワットをも超える可能性があることも明らかになったのです。 電力を安定供給するには需要と供給を常時一致させる必要があります。仮に、太陽光を含む発電の供給が需要を大きく上回れば、周波数が上昇し、場合によっては自動的に発電機が停止して大規模停電が発生する恐れがあります。 今後、経済産業省は、太陽光と風力発電のうち、電力会社が出力を制御できる対象の範囲を現行の「500kW以上」の設備から、「500kW未満」に拡大することや、補償なしで出力を抑制できる日数を、これまでの「30日」から「時間単位」で管理できるようにするなど、この他の見直し案も取りまとめ、2015年1月中旬に新たな制度を施行する予定です。(12/18 fnn-news.com) ◆ドイツでも「固定価格買い取り制度」に苦心 固定価格買い取り制度の先駆者であるドイツでも、国民負担が想定以上に膨らみ、その運用に苦心しています。 その要因は、太陽光発電の導入実績が目標を大幅に超過するバブルともいうべき導入ラッシュが発生し続けたためです。 導入ラッシュにドイツが投じた固定価格買い取り制度の負担額は、2011年だけで総額136億ユーロ(当時で約1兆3600億円)、1世帯あたりの月額負担額は10.3ユーロ(当時で約1000円)と推計され、これは月額電気料金の2割近い金額です。 この負担額の半分以上が太陽光発電に費やされてきましたが、その発電量は総発電量比3%に過ぎません。独シュピーゲル誌も「太陽光発電は、ドイツ環境政策の歴史で最も高価な誤りになりうる」と批判しています。(WEDGE Infinity) ◆持続的発展が可能なエネルギー政策を! 「固定価格買い取り制度」(FIT)は、震災後のムードの中、“脱原発”のためには再生可能エネルギー拡大に伴う多少の国民負担はやむを得ないという雰囲気の中で、民主党・菅政権下で導入されていきました。 電気料金に含まれる賦課金により、累積的に積み上がる国民負担の構造や、太陽光優遇に偏重した買い取り価格の付け方に対しては、国民に十分理解されていない中で進められていった結果、今回のように関連する事業者・国民を巻き込んだ混乱に拡大してしまいました。 FITは、再生可能エネルギー事業へのリスクのない投資を推進し、普及拡大につながる効果がある一方、事業者が努力してコスト削減を行うモチベーションを持ちにくい側面があります。 やはり、事業の持続的発展を促進するには、市場原理の導入により企業努力を喚起し、消費者に付加価値を提供する企業が発展していく制度づくりが必要です。 そのために、再生可能エネルギーの買い取り枠を固定し、競争入札など、効率的に安いコストで売電できる企業を伸ばしていく制度が求められます。 最後に、改めて太陽光などの再生可能エネルギーによる発電のリスクも、再認識することが重要だと考えます。今年の天候のように、大雨や大雪などの日が多い場合、太陽光発電による発電量は大きく減少します。 再生可能エネルギーによる発電の普及は大切ですが、偏重すれば、電力の安定供給の面で大きなリスクを抱えることも忘れてはならないことです。 資源の少ない日本におきましては、原子力発電も含め、様々な発電技術を活用したエネルギー政策により、国民の生活と産業を支えていくことが強く求められます。 官僚主導の国家統制型政治を打破し「自由の大国」を目指せ! 2014.12.20 文/幸福実現党・栃木県本部副代表 みつはし明美 12月14日投開票で第47回衆議院選挙が終わりました。 結果300議席には及ばずとも、当初の予想通り自民圧勝291議席を獲得、公明35議席 引き続き自公連立政権が確定しました。 この瞬間から「国家統制型政治」が、今以上に確立されてしまうのではないかという懸念が押し寄せてまいります。 その最たるものが、マイナンバー法と公明党提唱する軽減税率です。 ◆マイナンバー法の懸念 マイナンバー法とは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」で、2013年5月24日に成立しました。 マイナンバー法は、自治体を中心に、2015年10月の国民への個人番号の通知、2016年1月の個人番号の利用が開始されます。 目的は、効率的情報管理と手続きの簡素化による国民負担の軽減となっていますが、要は個人、法人を番号化して、個人の所得、給付を国が一元管理するものです。 1億3千万人 総背番号制で無機質な一元管理下に置かれ、ロボット化した国民からガッポリ集められてばら撒かれる税金と、ボロボロのポンコツロポットの姿が頭に浮かんでしまうのは私だけでしょうか。 国民一人一人が心を持ち、名前を持ち、使命を持って生きているということをなおざりにしてコンピューターによってデーター管理していくのでしょう。 同法の目的とされる国民負担の軽減がはたして本当に為されていくのでしょうか? マイナンバーのシステムを運用するには、市区町村、都道府県、省庁、独立行政法人だけでなく、民間企業との情報連携を構築し番号制度対応に向けた準備が必要になります。 初期化のイニシャルコストと継続的ランニングコスト、さらに導入時のみならず、情報リークを防護するための維持管理を鑑みれば、さほどの簡素化や手間と負担の軽減にはなりにくいのではないかと大いに疑念が沸きます。 ◆軽減税率の懸念 軽減税率とは、消費税率10%に引き上げに伴い低所得者対策として食品など生活必需品の税率を低くすることです。 軽減税率の問題点は、軽減税率適用商品とそうでないものの区分け線引きが非常に難しく、区分けに権益や利権が交錯する可能性が大いに懸念される点です。 軽減税率品目を定義しなければならず、軽減税率品目に入る業界とそうでない業界に分けると経済活動に不利益を生じる可能性があります。 例えば商店、スーパーマーケットは軽減税率適用し、外食産業は適用外となれば外食を控える人が増えて飲食店の売上が減少します。 今度は外食産業が軽減税率適用を求めて管轄官庁に陳情することになるでしょう。消費増税は財務省が主導していますが、軽減税率を通じて各業界に天下りポストを要求する構図が生じかねません。 この構図を 数字で見るならば、外食産業年間売上10兆円とし消費税10%になれば上昇2%分2千億円の売り上げが落ち込むことは消費者の収入は増えないので明白で、価格据え置きでも同額の利益減となります。 軽減税率適用にしてもらうための天下りポストを用意して天下り官僚一人の年間給料を仮に1億円としても数十人受け入れても数十億円で済むことになります。 かくして官僚とあらゆる業界の天下り受け入れや癒着が温床化するのです。 ◆「自由の大国」を築くために 国家統制政治はすでに始まっています。「賃金上げ」や「女性管理職を増やすべし」ということは本来、国が介入したり指導したりすべきものではありません。 しかしながら選挙後の安倍首相の声明にも「賃金を上げることの急務」が出ており、注力課題としているようです。 重税とマイナンバー法による一元管理により国民が奴隷化し、政治屋と官僚は利権ちらつかせてのさばる、そんな国家体質になってしまってはいけないと強く思います。 それ故の、この度の選挙戦であったのではないでしょうか。厳しい選挙結果を受け止めても、決して大敗に屈してなどいられません。 「自由の大国」を築くため次なる戦いに向け、幸福実現革命の志士として、これからも行軍し続けてまいります。 自民圧勝!――いや、国民は既にアベノミクスを信じていない 2014.12.19 文/幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆まずは、消費増税8%の結果検証を 衆院選の結果、自民党の大勝、圧勝、アベノミクスは承認されましたと言われていますが、本当にそうなのでしょうか? このことを検討するために、選挙前に十分に検証されないままだった、今年4月の「消費増税8%」の結果を振り返ります。 消費増税8%後、景気は急激に悪化し、昨年のアベノミクス開始以来増え続けきた実質GDPは7〜9月期で前年より5.7兆円も減りました。8%への増税がなければ16兆円以上増えていたはずです。 参考「財務省御用学者に安倍首相が激怒 増税延期と総選挙決断の舞台裏」 http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20141128/ecn1411280830002-n2.htm 要は、昨年アベノミクスはGDPを大きく伸ばし、今年は消費増税8%がGDPを大幅に減らしたということです。 問題は、政府の事前の説明では、増税してもGDPは既に回復すると言っていたことです。マスコミも経済専門家の多くも同じことを言っていて、誰も予想しなかった結果だと言われました。 では、誰もこの結果を予言できなかったのでしょうか? ◆筑波大学・宍戸駿太郎名誉教授はGDPマイナス6%を予測していた 昨年9月、安倍総理が消費増税8%を決断される前、ネット報道番組「ザ・ファクト」が消費増税の特集番組で衝撃的な内容を伝えていました。 番組では、宍戸駿太郎筑波大学名誉教授が、「消費増税で名目GDPがマイナス6%になり、大不況が再び到来する」と予測していたのです。宍戸教授は、アベノミクス支持者であり、当時、政府の集中点検会合で増税賛成派が多数を占める中、数少ない反対派の一人でした。 増税反対の根拠は、消費税を上げると名目GDPは2020年にはマイナス56兆円、マイナス6%になるという予測です。これはリーマンショックの時のマイナス41兆円をはるかに上回ります。 宍戸教授はもともとアベノミクス賛成派の方ですが、教授の表現では、「第一楽章は素晴らしかったが、第二楽章で”葬送行進曲”に、第三楽章は”収拾不能”になり、世界の笑いものになる」と述べています。 ※消費増税直前!増税後、日本経済はどうなる?その衝撃の予想結果とは? 【ザ・ファクト#002】https://www.youtube.com/watch?v=fW5LpSpDUo8&list=PLF01AwsVyw33_rfZJT62cIcLlsMTlH1r2&index=2 ◆幸福実現党・大川隆法総裁によるアベノミクス失速後の「生き残り戦略」 もう一人、もともとアベノミクス成功を支援していた幸福実現党・大川隆法総裁も、消費増税8%が決まった時点で、アベノミクス失速に備えて企業の「生き残り戦略」を示していました。 実は、大川隆法総裁が懸念していたのは、消費増税だけではなく、安倍総理自らが企業に賃上げを要求していたことでした。安倍総理は、実質賃金が上がれば消費に回り、デフレ脱却できると見ていました。 今年年初、大川総裁は、一般非公開の講話『忍耐の時代の経営戦略』の中で、「通貨供給量を増やして株価を上げたのはよかったが、景気回復の実体が伴っていない」ことを問題視していました。 企業業績という実体を伴わない株価上昇はバブルに過ぎません。バブルの中で企業が安倍政権の圧力に従って給料を上げたとしても、人件費が増えた分、企業は設備投資を減らしたりするだけです。 国民も、仮に給料が増えたとしても、その分は貯金して、消費には回らない、ということが、大川総裁の見方でした。 実際に8%増税後に起きたことは、個人消費が予想以上に落ち込んだだけでなく、同時に民間企業の設備投資がストップ、GDPマイナス成長の主原因になりました。 政府の「増税しても景気回復はできる」という楽観的な見通しでしたが、国民も企業もアベノミクスの成功を確信していないどころか、円安で輸入物価が上がり、電気料金が上がり、一時的な減税があっても、消費増税で先行きが悪くなると不安視していました。これが政府と民間の景気感覚の違いです。 ◆アベノミクスはどうなるのか? 確かに、「アベノミクス解散」の結果、自民党は圧勝しました。「景気回復、この道しかない」という総理の言葉が支持された形になりました。しかし、現実は、国民も企業も「アベノミクスの次」に備え始めているのではないでしょうか。 選挙直後に、大川隆法総裁は、「最新の予言」をしています。 「日本はここ数年の間に厳しい危機を迎えることになる。『この道しかない』と言っている方がその言葉を撤回しなければならない状況がくる」(大川隆法総裁最新法話「神は沈黙していない」より) もしこのよう事態になるのならば、実体のない株価上昇のようなバブル型の発想を改める必要があります。大事なことは、アベノミクスの恩恵が回ってくるのを待つのではなく、小さくてもコツコツと付加価値を創造し続けることであります。 参考『忍耐の時代の経営戦略―企業の命運を握る3つの成長戦略』大川隆法著 幸福の科学出版 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1142 日本人の国民性と相性の悪い消費税 2014.12.14 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆アベノミクスのブレーキとなった消費増税 この度の総選挙は、大方の予想通り、自民党の圧勝に終わりました。 10%への消費増税を2017年4まで延期する事に異論はなく、今回の総選挙は事実上、安倍政権信任投票の色彩が濃く、国民の関心は薄く、投票率は戦後最低となりました。 安倍首相は、今回の総選挙をアベノミクス解散と銘打って臨み、この結果を経て、引き続きアベノミクスを推進していくと考えられます。 今回、消費増税を18ヶ月延期した事は、消費増税がアベノミクスのブレーキとなった事を自ら認めた事になります。 ◆正しかった「増税反対」を訴えた少数派有識者 昨年8月、5%から8%への消費増税の是非について有識者の意見を聴く政府主催の「集中点検会合」があり、招聘された60人のうち、約7割の44人が、本年4月に予定通り3%引き上げるべきと主張しました。 ほとんどの有識者が財務省の意向通り増税すべきとした中で、筑波大学宍戸駿太郎名誉教授、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏等、一部の少数派が明確に増税に反対しました。 宍戸駿太郎名誉教授は、点検会合参加直後に出演したインターネット情報番組『ザ・ファクト』「消費増税で大不況到来!GDPがマイナス6%に!」(http://youtu.be/fW5LpSpDUo8)において、「アベノミクスの第一楽章は素晴らしかったが、第二楽章で葬送行進曲のようになり、第3楽章は収拾不能 となる」と消費増税がアベノミクスを台無しにすることを明確に警告しておられました。 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの片岡剛士氏も、昨年夏の「集中点検会合」の席上、景気の現状は「本格回復」ではなく、消費増税すれば、2014年度の 実質GDP成長率はゼロ%台と試算、対外経済が悪化した場合、「容易にマイナス成長となる」と危機感を示していました。 しかし、少数意見は掻き消され、財務省の筋書き通り、本年4月、消費税は8%に増税されました。 ◆増税ありきの財務官僚 先月も、来年10月から消費税を8%から10%に増税することの是非を問う政府主催の点検会合が5度にわたって開催されました。 当初、財務官僚主導で選定された会合メンバーの原案からは、昨年夏の点検会合で「増税反対」を明確に唱えた学者・エコノミストは全員が外されていました。つまり正しい見通しを述べた有識者が外されたということです。 メンバーの構成の不公正ぶりに安倍首相は激怒し、「賛成・反対を50対50にしろ」と見直しを急遽スタッフに命じましたが、時すでに遅く、増税反対派の若田部昌澄早大教授、若手エコノミスト片岡剛士氏、そして宍戸駿太郎筑波大学名誉教授を追加するのが関の山だったと伝えられています。 会合では財務官僚の筋書き通り、地方自治体、労働界、財界、中小企業団体、消費者団体の各代表の圧倒的多数が増税やむなしという意見でした。(首相もあきれた御用学者・エコノミストのウソ論法:田村秀男) このような経緯から、今回の勝利は、安倍首相にとっては、あくまで増税を画策する財務省に対し、増税延期を認めさせる最大の説得材料となりました。 ◆倹約・節約を美徳とする日本人と消費税 しかしながら、2017.4には、景気判断条項は付さず、確実に10%に増税するという「増税宣言」は、今後の日本経済に重い足かせとなります。この安倍首相の折衷主義、不徹底が、真なるデフレ脱却を困難とするでしょう。 安倍首相が増税延期を決断した根拠ともなった、本年7-9月期のマイナス1.6%成長は、民間エコノミストの誰もが予想しなかった悪い数値とマスコミ報道されましたが、増税反対を訴えていた有識者の存在を無視した一方的な報道です。 幸福実現党大川隆法総裁も、当初より消費増税により、マイナス成長になると断言しておられました。 また、先月23日に開催された法話「幸福を実現させる成長戦略」においては、「消費税は日本人の国民性になじまない」と説かれました。 増税する度に、不景気となる消費税は、そもそも日本人の国民性と相性が悪いという見解です。 増税されると、財布の紐を締める、倹約、節約に走るという国民性は、一人一人の経済行為としては合理的であり、美徳なのですが、これが日本人というマスの行為となると、消費不況を引き起こすことになります。 政府は、税収を増やす方法は、増税か、歳出削減が、二つしかないといいます。幸福実現党は、経済成長による税収増を選択すべきと考えます。 2017年4の10%への増税宣言が、経済成長のブレーキとなります。引き続き、減税による経済成長政策を発信し、国政に影響を与えてまいりたいと思います。 この度、幸福実現党に尊い一票を託して頂いた有権者の皆様に厚く御礼申し上げると共に、ご期待に応えるべく研鑽を重ねてまいります。引き続きのご支援を何卒よろしくお願い申し上げます。 給付金よりも減税を。再生可能エネルギーよりも原発を 2014.12.13 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆12月10日自公政権、地方への2000億円の臨時交付金 自公政権は、急速な円安に伴う燃料高対策や家計負担の軽減のため、12月10日に、地方への2000億円の臨時交付金を配ることを決めました。そして、景気対策の補正予算の総額は3兆円となると見られています。(産経12/11) これは選挙対策の一つですが、増税で景気を悪化させた後に景気対策の予算を組み、低所得者対策を打ち出すのは、自作自演のマッチポンプの一種です。 ◆自公両党が、中小企業や地方経済にもたらした3重の打撃 振り返れば、東日本大震災の後、自民党は公明党や民主党と一緒に原子力規制委員会をつくり、原発再稼働を難しくしました。さらに三党合意のもとに消費税の増税を決めました。 そして、自公政権の発足後は金融緩和で円安路線が進みましたが、円安で輸入原材料価格が上がる中で消費税が8%に上げられました。この時、原発停止に伴う電気料金の上昇が続いていたことも無視できません。 結局、自公両党の政策は、「原発停止に伴う電気料金上昇」+「円安によるコストアップ」+「消費税の増税」という3重の打撃を家計と中小企業、地方経済にもたらしたのです。 大手の輸出企業などを中心に円安の大きな恩恵もありましたが、上記の弊害は無視できないため、自公政権は、マッチポンプ的に、「エネルギー価格の高騰や物価上昇の打撃を受ける低所得者や中小事業者、子育て世代」(産経12/11)などの支援を始めています。 ◆必要なのは「金融緩和」と「減税」 この「金融緩和」と「消費税8%への増税」の組み合わせは、円安の恩恵が届かない企業や家計にとっては負担増の連続でしかないので、本当は、「金融緩和」と「消費税5%への減税」が必要だったのです。 円安路線で中小企業と家計の負担が増えるのならば、その痛みを軽減するために消費税は5%へと減税されなければなりません。この「金融緩和」と「減税」を組み合わせた幸福実現党の政策は、「金融緩和」と「増税」がセットの自民党政策とは全くの別物なのです。 もともと、消費税を増税しなければ景気対策の公共事業も要らず、交付金も要らなかったはずですが、そうした事実は「財政再建」の美名の下に隠され、消費税5%への減税という正論を無視し、自公政権は「増税延期」という詭弁を訴えています。 そして、自民党を批判する民主党、共産党、社民党は、給付金の交付や年金の拡充、奨学金の充実(「奨学金の無利子化」「返済不要の奨学金」)などを打ち出していますが、こうしたお金は、結局、富裕層や大企業への増税から生まれるので、この三党の行き着く先は、結局、個人の私有財産と企業の内部留保の没収なのです。 与党と野党のどちらを見ても、お金で票を買う「取引型民主主義」になっています。 しかし、補助金や給付金を一部の人に配れば政治の「公平性」が失われ、全員に配ればお金持ちにもお金が届くため、「合理性」が失われてしまいます。 やはり、あるべき低所得者対策は、お金を配ることではなく、みなの負担を公平に減らす減税政策です。減税は補助金のように政府予算の拡大を招かず、予算の無駄を切り下げる圧力が働くからです。そのため、幸福実現党は消費税5%への減税を訴えています。 ◆原発稼働で電気料金を引き下げ、家計と企業の負担を軽減 そして、原発の再稼働を進め、電気料金上昇の負担を減らすべきです。一日百億円もの燃料費の流出をこれ以上、続けるのではなく、すでにある資産として原発を活用すれば、年3兆円以上もお金を使わずに済むからです。 今、幸福実現党と自民党、次世代の党以外はみな脱原発政党であり、再生可能エネルギーの推進を訴えていますが、この路線は危険です。 また、自民党の政治家は、電力自由化で料金が下がると誤解していますが、原発が止まって電気の総量が減る中で自由化しても、電気料金が上がるだけで終わります。 ドイツは1998年に電力自由化を決め、2000年に「再生可能エネルギー買取制度」をつくりましたが、その結果、14年間で電気料金が2倍になりました。脱原発後はその負担が深刻化し、今ではこの制度を見直すための議論が進んでいるのです。 維新の党は脱原発の代案として電力自由化と再生可能エネルギーの推進を打ち出していますが、この路線の先には過去のドイツの失敗の再現が待っています。 ドイツの失敗に学ぶならば、脱原発ではなく、使われていない資産である原発を再稼働すべきです。原発が回れば電気料金が下がり、その分のお金が企業の余力となり、賃上げを促進していきます。 円安対策の給付金よりも、消費税5%への減税が必要です。そして、使われていない原発を回すことで、電気料金を引き下げ、家計と企業の負担を軽減すべきなのです。 岩盤規制の打破に挑戦する幸福実現党 2014.12.12 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆自公政権に規制緩和は出来るのか? 自公政権は「成長戦略」を掲げていますが、本当に規制緩和ができるのでしょうか。 本年4月に公務員制度改革法が改正されましたが、内閣人事局が縦割り行政を排して、国全体に奉仕する人事を目指すという趣旨は失われ、新設された内閣人事局と従来の人事院が並立し、人事が二つの組織で行なわれることになりました。 元官僚の高橋洋一氏らは、内閣人事局は人事院の意図を無視できず、主導権を握れないので、これは人事に携わる部局が増えただけの焼け太りの“改革”だと批判しています。(これは単なる組織いじり) 07年に公務員制度改革に踏み込み、官僚の抵抗で退陣させられた安倍首相は、前回の轍を踏むことを恐れてか、「大臣が幹部公務員を解雇できない」という、外国から見たら信じがたい、日本行政の欠陥を改革できませんでした。 規制改革の先には許認可権を握る官僚との対決が待っています。前回、官僚に敗れた安倍政権が岩盤規制を緩和し、成長戦略を実現するのは、極めて難しいことなのです。 ◆学力テストの結果を公表し、教育に競争原理を しかし、幸福実現党は立党以来、党綱領で、「行政に経営の思想を入れ」、小さな政府を実現し、「企業家精神を鼓舞」することを訴えてきました。成長戦略を本当に実現するには、本気の改革を目指す政党が国会で議席を持つ必要があるからです。 今、規制だらけの分野としては教育が典型的です。 例えば、11月30日の朝日新聞では、文科省が大都市圏の私大の定員超過に対して助成金を減額し、志願者がたくさん集まる大学は定員を増やすべからずという方針を出したことが報道されています。 これは計画経済の発想です。各大学の努力相応に志願者が集まり、生徒が増えるのが当然なのに、国がお金にものを言わせて大学の入学者数を統制しているからです。 そして、公立中学と高校を見ても、川勝平太・静岡県知事と下村博文・文科省との間で、全国学力テストの結果公表について論争が起きています。 二人は11月6日に会談したのですが、下村文科相は「知事に結果公表の権限はない」と主張し、川勝知事が「県教育委員会の委員長から(権限を)一任されている」と反論する物別れに終わりました。(11/7産経電子版) 学力テストの学校別成績の公表率は6パーセントであり、下村文科相自身も「6パーセントという結果は十分とは言えない」と述べているので(12/9日経電子版)、川勝知事の行動が安倍政権の方針に反しているとは考えにくいのですが、なぜか文科大臣が文句をつけています。 下村文科相のポスターには「使命感が原動力」と書かれていますが、今の教育行政を見ると、安倍首相の規制改革路線に反しているように見えてしかたがありません。 しかし、幸福実現党は、公務員の仕事の情報公開として、学力テストの結果を公表し、教育に競争原理を働かせることを訴えています。教育に自由主義を持ち込み、日本の学力を建て直さなければならないからです。 ◆岩盤規制の打破を 教育以外にも、日本には信じがたい規制がたくさんあります。 例えば、建物の中で野菜をつくる「植物工場」も広がってきていますが、いまだに植物工場を農地に立てることはできません。野菜を栽培するためでも立てられないのですから、岩盤規制、恐るべしです。(6/23フジサンケイビジネスアイ電子版) また、自民党は「移民政策ではないことを前提に」して、「外国人材が日本で活躍しやすい環境を整備」することと、「クールジャパンの推進」を公約しましたが、今のままでは、日本料理の修行をしに来た外国人は規制の壁にぶつかります。 省令が外国料理のプロ以外の入国を認めておらず、14年に農林水産省のプログラムで例外規定が認められても、「習得機関2年以内」「1事業所2人以内」の範囲でしか外国人は日本料理の修行ができないからです。(原英史著『日本を縛りつける役人の掟』) 安倍政権は規制緩和を訴えていますが、長さの足りないロープのように、成長の可能性を引っ張れないのが現状なので、このロープを伸ばす政党が国会に必要なのです。 これらの政策は、幸福実現党は立党以来、実現を目指してきたものです。植物工場の推進、意欲ある外国人労働者の導入、日本の魅力のPRを提言してきたのです。 成長戦略を本物にするには「自由の大国」を目指す幸福実現党が必要です。幸福実現党は、国会に「岩盤規制の打破」を求める国民の声を届けてまいります。 バラマキ野党VS減税政党・幸福実現党 2014.12.09 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 国民の多くは民主党政権の悪夢を未だに忘れておらず、11月29日の読売朝刊では12年に落選した民主党・樽床伸二元総務相が逆風の中、大阪12区で自分の名前だけが印刷され、『民主党』も『元総務相』の文字もない名刺を配っていることが報道されています。 ◆やはり、民主党、共産党、社民党はバラマキ路線 しかし、民主党の公約には与党時代の反省がなく、アベノミクスによる格差拡大を批判し、「新児童手当等により子育てを直接支援」「所得制限のない高校無償化」「戸別所得補償制度の法制度化」などの「ばらまき政策」を並べています。 ばらまき政治という点では、元民主党の小沢一郎氏が代表を務める「生活の党」も同じで、相変わらず「子育て応援券」と称した子ども手当を配ろうとしています。 そして、格差是正を目指す共産党、社民党などは大企業と富裕層への課税強化、「富裕税の創設」を訴え、そのお金を低所得者層にばらまこうとしています。 これらの野党は成功した企業や個人に重税をかけ、「結果の平等」を実現しようとしているのです。 今回、民主党は公約に増税の項目を入れていませんが、消費税5パーセントの追加増税が必要になる「最低保障年金の創設」など、さらに予算が必要になる政策が多いので、結局、彼らの行き着く先は、前回と同じく「増税」です。(民主党政権時代に所得税と相続税の最高税率5パーセントの引き上げが決まった) ◆幸福実現党の消費税5パーセントへの減税は共産党や社民党の増税反対と別物 これに対して、幸福実現党は「小さな政府」と「安い税金」を掲げ、消費税5パーセントへの減税を訴えています。 法人税を20パーセント台に下げ、所得税の累進課税を廃止して10パーセント程度の一律税制にし、「努力する者が報われる社会」の建設を目指しています。 「5パーセントへの消費税減税を主張する幸福実現党は、消費税増税に反対する共産党、消費税5パーセントを訴える社民党と何が違うのか」と思う方もいるかもしれませんが、この二党と幸福実現党の目指す世界は全く違います。 共産党や社民党は、成功する個人や企業を「悪」と見て、そこからお金を奪い取ろうとしています。 これは、民主主義の名を借りて、バケツから出ようとするカニを皆で引きずり下ろす社会を目指しているのです。こうした富の再配分に基づいた社会では、「貧しさから抜け出そうとすると、引きずり降ろされる」という意味での「平等」が実現します。 民主党について述べれば、前回と同じく、増税をせざるをえなくなるバラマキ政策ばかりなので、結局、目指す方向は共産党や社民党と同じです。 しかし、金持ちを潰すことによって貧しい人を助けることはできません。給料を払う者を潰すことによって給料をもらう者を助けることはできません。 格差是正の名のもとに、富の再分配を目指す政党もありますが、稼ぐよりも使う方を多くすることによって窮地を脱することはできないのです。 ◆パイの取り合いを目指す政党とは違い、幸福実現党は富の創造を目指す 幸福実現党が消費税5パーセントへの減税、小さな政府と安い税金(所得税のフラットタックス化、20パーセント台の法人税減税、相続税・贈与税の廃止など)を訴えるのは、努力する者が報われる社会をつくり、民間の活力で繁栄する国をつくるためです。 消費税導入と日本が「失われた20年」に突入したのは同じ時代です。そして、名目GDPの総額は消費税が増税された97年から500兆円前後で一進一退を繰り返しています。 消費税増税と金融緩和による円安路線が同時に進み、原発が動かない自公政権では、中低所得者の負担や中小企業、地方の負担が重くなります。 しかし「消費税5パーセントへの減税」と金融緩和を並行させ、原発の早期再稼働を目指す幸福実現党であれば、円安路線の負担を軽減しながら経済全体を成長させることができます。 一つのパイをどのように配分するかを考えているのが、民主党や共産党、社民党、共産党ですが、幸福実現党は、パイを大きくすることと、新たなパイを焼くことを考えています。 公平で「安い税金」に変えることで努力する者が報われる社会をつくり、富の創造を実現しようとしているのです。 今の日本に必要なのは、富の再配分を訴える政党ではありません。減税によって富を創造する個人と企業を生み出し、日本人全体を豊かにする幸福実現党なのです。 増税が失政だと認めない自公政権、消費税5パーセントで景気回復の幸福実現党 2014.12.08 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆増税に反対した幸福実現党 2014年7-9月期の景気の悪化の規模は、11月に公表された速報値よりもさらに深刻だったことが12月8日、内閣によって発表されました。 11月の速報では7-9月期のGDPの減少値は年率換算でマイナス1.6パーセントと言われていたのですが、実際はマイナス1.9パーセントだったことが明らかになったのです。 増税後の景気悪化の規模を調べ直したら、被害はもっと深刻だったことが今回の発表(改定値)で分かり、「調査によってGDPのマイナス幅がもっと小さいことが分かるはずだ」と考えたエコノミストや政治家などの期待が裏切られたのです。 昨年の秋に多くの“有識者”が8パーセントの増税を行なうべきだと主張する中で、幸福実現党はこの増税に反対しました。 それは、「日本経済がデフレから脱却し始めたばかりで、大部分の庶民の給料が上がってもいないのに増税などできるわけがない」という当たり前の常識があったからです。 ◆デフレ下で消費増税の弊害が分からない政治家 しかし、自民党の甘利明大臣は11月17日のGDP速報値発表後の記者会見で、「デフレ下で消費増税を行うことの影響について学べた」と反省の弁を述べる有様です。 どうして増税を行なう前に気が付かなかったのでしょうか。まるで、普天間基地の県外移設を訴え、日米同盟を危うくした後に「抑止力について学ばせていただいた」と言った鳩山首相の迷走とそっくりです。 昨年の8パーセント増税、今年の10パーセント増税に反対した三菱UFJの片岡剛士氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)は、今年の11月に今回の増税によるGDP減少の規模は97年の消費税増税の時よりも大きく、東日本大震災の時のGDP減少に匹敵することを示していますが、この被害を直視しなければいけません。 (※「97年4‐6月期:前期比年率3.5パーセント減」/「11年1‐3月期:前期比年率6.9パーセント減」) 今年の4月に消費税を増税した後の3か月(4-6月期)のGDP減少を年率で計算し直した数字は約-7%と言われています。(※11月発表では「1.9%減:前期比年率7.3%減」/12月8日の発表では1.7%減(同6.7%減)」 ◆消費税増税で引き起した景気悪化は「人災」 今回の消費税増税は「東日本大震災」並みにGDPを減らした「人災」なのです。これは自公民の三党合意と安倍政権からもたられた未曾有の失政です。 また、消費税増税に警鐘を鳴らす早稲田大学の若田部昌澄教授は、本年11月の官邸での点検会合で、景気の悪化を深刻に捉え、「アベノミクスは振出しに戻ったのだから、税率を出発点と同じにし、金融・財政政策を再稼働させよ」と言っていました。 若田部教授は消費税を5パーセントに戻すのがいちばんよいと提言しています。これは、要するに「頭を冷やして出直せ」と言っているのと同じです。 日本は消費税を5パーセントに戻すべきだというのは、ノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授(米・プリンストン大)も言っていることです。 しかし、自公政権はこうした警告を十分に受け止めず、増税延期と言いながら、同時に17年4月に必ず増税することを明言しています。もう一度、日本経済破壊の実験を繰り返そうとしているのです。 そんなことが許されてよいはずがありません。幸福実現党は、日本経済を発展し、パイを増やすことで、国民を豊かにするために、消費税5パーセントへの減税を訴えます。 世界の「減税で景気回復」に学べ 2014.12.07 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本には消費税率を引き上げる選択しかないのか 本年に消費税が8%に上がり、サブプライムショック時のレベルまでGDPが減ってしまいました。 今回の安倍首相は消費税10パーセント見送りましたが、結局2017年に消費増税を上げるのであれば、日本の経済はまた失速してしまいます。 自民党をはじめとして既存政党は、ほとんどが消費税率を10パーセントに引き上げることしか考えていません。はたして、日本が取るべき選択として消費税を引き上げること以外に道はないのでしょうか? ここで他国の例を見てみましょう。 ◆外国の減税策 (1)インドの間接税減税 サブプライムショック後の2008年12月にインド政府は財政出動と減税を柱とする経済対策を発表し、間接税率(日本の消費税に相当)を14%から10%に下げました。(08/12/08 日経) 結果、インドの経済はどうなったかというと、2007年9.2%から2008年に6.7%と推移していた実質GDP成長率は、減税後2009年に7.4%へと増え景気が回復したのです。 また今年2014年、インドでは投資と輸出が減り、その対策として2月にインド政府は減税を決断、6月以降も減税を継続しました。 具体的には、製造業者向けの間接税の税率を12%から10%に引き下げ、小型車、商用車、二輪車も物品税を12%から8%に引き下げました。 (「2/17ロイター通信」「6/25ウォールストリートジャーナル日本語ネット版」) これによって2014年のインドの実質GDP成長率は、前年比で4.6%増(1-3月期)から5.7%増(4-6月期)、5.3%増(7-9月期)と、減税以降、回復の兆しを見せています。(9/4三菱総合研究所・11/29読売ネット版) (2)イギリスの付加価値税減税 イギリスにおいてもサブプライムショック後、2008年12月から13ヶ月間、付加価値税(日本の消費税に相当)の標準税率を17.5%から15%に下げました。 結果、実質GDP成長率は、2008年度の-0.1%から2009年に-4.9%、2010年には、1.3%へと推移(JETROデータ)しています。減税が景気悪化を止める役割をしたのです。 当時、国際通貨基金(IMF)の高官は付加価値税減税の効果はないと主張していますが、英国の有力シンクタンク・財政研究所は、「減税をしなければさらに景気が悪化していただろう」と指摘しています。 ちなみに、その後イギリスは、2010年1月に17.5%に税率を戻し2011年1月に20%へ引き上げました。結局イギリスは2012年にロンドンオリンピックがあったにも関わらず景気は回復しませんでした。 日本も2020年東京オリンピックを迎える前の2017年に消費税率を上げれば、イギリスと同じ道を歩むことは必至です。 (3)カナダの商品サービス税減税 カナダも1991年に日本の消費税にあたる「商品サービス税」を導入して以降、2度引き下げを行っています。2007年にも減税が行われ7%から5%へ引き下げられました。 カナダは、「商品サービス税」に加えて州の「小売売上税」も徴収されており、国民からの強い反発があったのです。(4/2 NEWSポストセブン) (4)ロシアの消費税導入撤回 ロシアも今年9月、来年予定していた消費税3パーセント導入計画を撤回しました。 ウクライナ問題や国内経済にすでに強い逆風が吹いていることが理由です。(9 / 20 時事ドットコム「ロシア、来年の消費税導入を撤回=首相」) ◆景気が悪い時には減税を このように外国では不況対策としての減税が普通に行われているのです。しかし、現在の日本の政治家は、わき目も振らず増税への道を一直線です。 消費増税という自公民の三党合意の弊害が明らかになったにもかかわらず反省もしていません。消費税を2017年に増税延期するという選択は何の解決にならないのです。 「2017年には必ず増税」というアナウンス効果で、国民はさらに財布のひもを締め、増税前後で引き起こる消費の上振れと下振れによる悪影響が日本経済に打撃を与えるでしょう。 日本の経済を浮上させる喫緊の経済政策は、消費税を5%へ減税することです。 すべてを表示する « Previous 1 … 46 47 48 49 50 … 78 Next »