Home/ 経済 経済 ギリシャ債務の経済的帰結――EU問題からアジアの未来を考える 2015.03.10 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 はじめに――東日本大震災から4年を迎えて 3月11日――未曽有の被害をもたらした東日本大震災から4年を迎えました。 あらためて震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。 また被災された方々が一日も早く以前のような平穏な日々を取り戻すことができますよう、わが政党としても努力して参りますことをお誓い申し上げます。 ■ギリシャの債務問題 1月25日、ギリシャで反緊縮派の新政権が誕生し、一時、ギリシャのユーロ離脱やデフォルトの危機が高まりました。 先月20日のユーロ圏財務相会議では、国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)からの金融支援が条件付で4ヵ月延長されることが決定されたものの、ギリシャ債務問題をきっかけにした経済危機の可能性は拭えていない状況です。 さて、20世紀における2度の世界大戦の中心となった欧州で、欧州統合の理念が掲げられ、それを経済統合という形でいっそう推し進めるために導入されたのが共通通貨ユーロです。 今、欧州で起こっているのは、「ドイツもギリシャも一つの欧州だ」という政治的理想に、「ドイツとギリシャは違う」という経済的現実が突きつけられ、この矛盾をいかに乗り越えていくかという問題です。 これは私たち日本人にとって、遠い欧州で起こる無関係な問題ではありません。 なぜならば、かつて私たち日本の先人たちも大東亜の理想を掲げたように、国家民族の違いを超え、一つのアジア、一つの地球に住むもの同士、共通の価値観を持って交流交易を活発にし、平和と繁栄の文明を築いていきたいと願うのは同じだからです。 ただ、どんな高邁な政治的理想が掲げられても、経済の論理を無視しては達成できません。 そこで、ここではEU問題をきっかけとし、日本やアジアの未来を構想する材料を提供できたらと考えます。 ■解決策はユーロ離脱か さて、ギリシャのように巨額の対外債務を負った国がその返済を進めるには、一般に増税や政府支出の削減等、緊縮策を進めることが必要だとされますが、各国で反緊縮派の政党が台頭しているように、単純な緊縮路線に行き詰まりが生じています。 これまでの緊縮派の政権が試みてきたように、国内での雇用、特にギリシャのように若年層の失業率が50%を超える状況を見過ごして、対外債務返済のために緊縮財政が断行されるのは、政治的な困難さだけでなく、経済的合理性の観点からも見直しが迫られるべきです。 本来、対外債務返済のためには財政収支だけでなく、国際収支、特に経常収支改善の方法が議論されてしかるべきです。ところが、ギリシャの場合、自国通貨を持たないため、そうした議論が見られません。 通常、自国通貨を持つ国であれば、対外債務返済の困難が予想された場合、自国通貨の為替が切り下がることで、極端な緊縮策をとることなく、経常収支が改善に向かいます。 英国病で苦しんだイギリスでも、労働組合の弱体化や規制緩和による競争促進といったサッチャー改革の実効的な効果が現れるのには、1992年のポンド危機を経る必要がありました。 当時、イギリスは欧州通貨制度(EMS)の一員として、マルクに自国通貨ポンドの価値を連動させておりましたが、ジョージ・ソロスらヘッジファンドによるポンド売り攻勢を受け、結局、ポンドは暴落し、イギリスはEMSからの離脱を余儀なくされました。 ところがイギリスはEMSから離脱し、自律的な金融政策の手段を得ることで、90年代、00年代と平均5%程度の成長率を保持することができたのです。 同じことをタイやインドネシア、韓国等、97年のアジア通貨危機を経た東アジア諸国も経験しております。 経済合理性からすれば、一時的な混乱覚悟で、ギリシャは自国通貨ドラクマを復活させるべきです。 ■ギリシャのEU直轄領化 しかしギリシャのユーロ離脱は現在のところ、議論されることはあっても、実際、互いに望んでいない印象があります。 ヨーロッパの語源はギリシャ神話に登場する女神「エウローパ」とも言われますが、欧州発祥の地がユーロから離脱するのは、いろいろな意味で困難があるのでしょう。 では単純な緊縮策でもなければ、ユーロ離脱でもなく、現状の延長で事態が展開するならば、どんな状況が現れるのでしょうか。 現在、ギリシャは金融支援の見返りにEUやIMFで協議された経済改革案を実行しなければならない立場にあり、その延長線上で考えるならば、EUの認可なしで何一つ予算が決められない未来がいずれギリシャに訪れることが予想できます。 つまりギリシャにユーロ離脱以外の選択肢があるとすれば、主権や領土を担保に資金援助を受け続ける状態、すなわちEU直轄領となることです。 EUとしてはギリシャの主権を所有し、例えばギリシャをタックスヘイブンの「自由の大国」として、非ユーロ諸国に対抗するという手もあるでしょう。 ドイツは自国通貨マルクを捨てましたが、代わりにユーロを創設することで、欧州における影響力を保持、拡大させました。 私たち日本人も自国の財政収支だけに着目するのではなく、地球的視野を持った対外経済政策を構想していくべきです。 相続税改正から考える私有財産の重要性 2015.03.02 文/HS政経塾4期生 幸福実現党・大阪本部副代表 数森圭吾 ◆2015年 相続税の増税 2015年1月1日、改正相続税がスタートしました。今回の改正における大きな変更点は基礎控除額(非課税枠)の縮小です。 従来の相続税は基礎控除額が大きかったために、「一部の資産家のみに課されるもので、一般庶民には無縁の話」と思われている方も多いのではないでしょうか。 従来の基礎控除額の算出は「5000万円+(1000万円×法定相続人数)」。たとえば、夫婦と子供2人の世帯で世帯主が亡くなって相続が発生すると、法定相続人は、世帯主の配偶者と2人の子供の3人で、基礎控除額は8000万円となり、家・建物、現金、預金、株など遺産の合計が8000万円以下なら相続税はゼロとなります。 しかし、今回の改正において基礎控除額が「3000万円+(600万円×法定相続人)」に引き下げられました。 相続人が配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は4800万円。これは土地や家を所有し、退職金を得た一般的な多くの人が課税対象となる額ではないでしょうか。 ◆課税対象者の倍増 財務省の発表によると、今回の改正によって相続税の対象者は1.5倍に拡大すると言われていますが、特に東京や神奈川など地価の高い地域においては深刻な問題となりそうです。 2014年の1年間では、都内で亡くなった方のうち、約9,400人(9%)が相続税の課税対象となっていましたが、改正後は約19,700人(19%)と倍増する見込みです。 ◆相続税の課税根拠 憲法第29条第1項は「財産権はこれを侵してはならない」と規定して、財産権を保障しています。つまり相続税を肯定するには、国家が財産権をどこまで制限することが可能かということが問題となります。 過去の政府税制調査会(内閣総理大臣の諮問に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議する審議会)が示す相続税の課税根拠を要約すると、大きく以下のようなポイントがあげられます。 (1)富の集中排除(富の再分配) (2)資産引継ぎの社会化 (3)所得税補完・故人生前所得の清算課税 (1)は豊かな人の財産を貧しい人に分け与えることで格差を是正するのが目的です。 (2)は近年は核家族化が進み、社会保障に頼る人が増えているため、資産を社会に戻すべきだという考えが前提となっています。 (3)は故人が生きているときに取れなかった税金を相続のときに取ろうという考えが前提となっています。 (1)、(2)は平等の精神が基盤となっており、(3)は財源確保の狙いが根底にあると考えられます。 しかし、この相続資産は「私有財産」です。 今回の改正によって相続税の最高税率も50%から55%に引き上げられましたが、これは個人が働きながら所得税などの税金を真面目に納め、その結果残った私有財産の半分以上を、さらに税金として納めなければならないケースが出てくるということです。 これは「二重課税」という意味で問題であると同時に、重い相続税を課すこと自体が、私有財産を否定する考え方であると言えます。 ◆私有財産の重要性 20世紀を代表する自由主義の思想家であり、自由主義経済学の大家であるフリードリヒ・ハイエクは以下のように述べています。 「私有財産制は、財産を所有する者だけでなく、それを所有しない者にとってもそれに劣らず、最も重要な自由の保障である」 「私有財産を持っている人が自由なおかげで、私有財産を持っていない人まで自由でいられる」 歴史的に、社会主義国などでは私有財産は認められず、国家が強大な権力を持ち、個人の自由や経済活動が制限されていました。 このような恐ろしい権力を国家や官僚に持たせないために、私有財産が必要であるとハイエクは述べています。個人が自由な経済活動、自由な生活を得るためには私有財産の肯定が不可欠なのです。 ◆重税路線からの脱却を 日本の相続税は結果の平等に重きを置き、格差是正のためという建前で、二重課税の問題にふれることなく国民から税金を巻き上げているというのが実態と言えます。 これは日本が実質的に、私有財産を認めない社会主義的な構造に陥っていると言えるのではないでしょうか。近年「格差」の問題が多く取り上げられています。確かに戦後日本は経済成長のなかで格差が広がったのも事実ですが、国民全体の生活水準は明らかに数十年前と比較して向上しています。 日本政府は安易な平等に陥ることなく、重税路線から脱却し、真剣に経済成長を目指すべきだと考えます。「豊かな者はより豊かに、貧しき者も豊かに」というように、国民の財産を増やすことこそが日本再生への道ではないでしょうか。 日本は「元」襲来に備えた戦略と「円」国際化構想を持て 2015.02.17 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆人民元が狙う国際通貨の地位 今から約1年半前、中国はアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立構想を発表しました。本部は北京、総裁は中国人、最大の出資国は中国政府となり、2015年中の運営開始が予定されております。 2020年までに8兆ドルとも言われるアジアのインフラ需要に応えるべく、GDP世界第2位の中国が主導で、世界銀行やアジア開発銀行を補完する長期の信用供与機関が設立されます。 その他にもBRICsの5か国の共同出資による新開発銀行や上海協力機構開発銀行、また「中国版マーシャルプラン」とも言われる400億ドルの「シルクロード基金」の設立など、中国は対外的な経済政策に躍起になっております。 こうした対外経済政策を進める中国の狙いは経済援助を通じて、親中派の国を増やしていくことばかりではありません。 2008年のリーマン・ショック以降、中国はアジアやラテンアメリカ諸国と、そして2011年にはイギリスと人民元建ての通貨スワップ協定を結びました。 中国の狙いはGDP第2位の経済力を使って、人民元の国際化を推し進めることなのです。 世界で人民元建ての資産を持つ企業や金融機関が増えれば、元建てを隠れ蓑にした米国発の金融制裁回避ルートができ、また「元建て資産の凍結」という強力なカードを中国は手にすることになるため、人民元の国際化は中国の覇権戦略の重要な一角であると考えられます。 むろん現在、人民元の為替レートは政府・中銀に管理され、資本取引は厳しく規制されているため、人民元が即座に国際通貨となることは考えられません。 しかし、元建ての貿易決済額は、円のそれを2013年に抜き、2014年にはその差が倍に開いています。さらに2013年に0.63%だった国際銀行間の決済通貨としての人民元のシェアは2014年10月時点で1.69%となり、すでに国際通貨である円の2.91%に迫る勢いをみせております(ドルは43.5%)。 ◆日本は円の国際化戦略を復活させよ 現在、各国の外貨準備やIMFを構成する資産として使われている国際通貨はドル、ユーロ、ポンド、円の4種ですが、円の各種国際シェアはドルやユーロと比べると、低い地位に甘んじております。 90年代、かつて日本にも円の国際化が活発に議論されていた時期もありましたが、バブル崩壊後の不良債権処理に予想以上に長く悩まされ、またBIS規制等、米英発のグローバル・スタンダードに必要以上に屈したため、いまやほとんど円国際化の議論が聞かれることはありません。 しかし、2008年のリーマン・ショック以降、米国市場、米ドル一極支配の国際金融秩序は各国からの疑念に晒され、その間隙を突いて中国が新たな金融秩序を形成しようとしているのです。 日本は国益追求の観点からだけでなく、アジアや世界の安定の観点から、改めて円国際化の構想を復活させるべきです。 ◆日本がやるべきこと ではそのために日本として政策的に何を推し進めれば良いのでしょうか。 ここでは一点に絞り、政策投資銀行や国際協力銀行といった政府系金融機関の資本を強化し、長期の信用供与を担う金融機関として、円国際化のためにフル活用していくことを提言いたします。 各種民営化政策が推進された小泉政権下では、2012年~14年を目途に政策投資銀行も完全民営化することが決まりましたが、現在、諸般の事情があって、その時期は5~7年程、延期されました。 しかし、これは時代の逆行ではなく、むしろ民営化は見送りとし、民間では出来ない長期の信用供与、国家プロジェクト的な案件を担っていくことを政府系金融機関のミッションとして改めて定め、資本増強を図っていくべきだと筆者は考えます。 実際、政投銀はメタンハイドレードの探査のために三井海洋開発(株)に1兆円の融資枠を設けるなど、民間の金融機関では負えないリスクを引受けております。 同じく円の国際化推進や「元」襲来を防ぐために、政府系金融機関が果たすべき公的な役割は大きいと考えます。 例えば円国際化のためには、東京市場でアジア通貨建ての債券や証券、金融商品が活発に取引されている状況をつくっていく必要がありますが、政府系金融機関を先導役とすることで、そうした金融市場の整備を需要面から支えていくことができます。 また「中国バブル崩壊対策」を打ち出して、中国から日本国内や東南アジアへ工場や営業所の撤退を考えている日本企業を資金面から支援していくこともできるでしょう。 日本にはアジアや世界の金融秩序を安定化させる使命があります。こうした政策を打ち出すことで、日本は「元」襲来、そして円国際化の進展を推し進めていくべきです。 TPPと畜産業の発展について――牛肉編 2015.02.16 文/HS政経塾4期生・鹿児島県本部 副代表 松澤 力 ◆TPP交渉 最終局面へ 2月12日、甘利経済再生担当相は衆参両院本会議の経済演説で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に関して「交渉の終局が明確になりつつある」とし、TPP交渉が最終局面に入ったとの認識を示しました。 日本の畜産品関税を巡るTPP交渉は、牛肉の関税を10年以上かけて現在の38.5%から9%程度に下げる方向になりつつあります。 また豚肉は、最も安い価格帯にかける1キロ当たり482円の関税を50円程度にする調整が続いています。いずれも、輸入が急増した際には、一定水準まで関税を戻す「緊急輸入制限(セーフガード)」を導入する方針です。(2/4 毎日新聞) 政府は、輸入制限を発動する基準となる輸入量について、米国などの国別ではなく、参加国全体で定める案を検討しています。 牛肉は近年、年間50万トン程度を輸入しており、そのうちオーストラリアからは約30万トン、米国からは約10万トンなど、ほとんどの牛肉の輸入をTPP交渉参加国が占めています。 輸入制限の基準輸入量は、近年の輸入実績を一定程度上回る、全体で50万トン程度が目安となる見込みです。 TPPについて、日本政府は様々な交渉を進めてきました。また今年1月15日には、日本とオーストラリアでEPA(経済連携協定)が発効され、オーストラリア産牛肉を輸入するときの関税が下がるなど、牛肉の貿易自由化の流れが前進している状況です。 ◆冷静に考えるべき、国産牛肉へのTPP影響 農林水産省の試算では、関税撤廃により輸入牛肉と国産牛肉の価格競争で、国産牛肉の生産減少額は、肉質3等級以下が約3,700億円、品質の高い肉質4等・5等級が約800億円で、国産牛肉減少額を合計約4,500億円と試算しています。 国産牛肉生産額の約4,600億円のほとんどが、非常に大きな影響を受ける試算です。 ただ、キャノングローバル戦略研究所の山下研究主幹は、異なる試算をしています。 注目しているのは、1991年に輸入牛肉関税を70%から、ほぼ半分の38.5%に削減したときのデータです。実は、輸入牛肉の関税削減後も、和牛生産量は拡大しています。(2003年度 137千トン⇒ 2012年度 171千トン)牛肉を自由化して以降も、日本の牛肉業界の方々は肉質を良くする努力・工夫を続けてこられました。 そのため、品質の高い和牛や交雑種は、輸入牛肉とは競合しないとみられています。品質の低い国産牛肉の一部は影響があるとみられていますが、TPP影響は限定的に考えられています。 山下研究主幹は、TPPによる国産牛肉の減少額を約500億円と試算しています。また、混合飼料関連の関税撤廃が実現すれば、国産牛肉の飼料コストが10%ほど削減される見込みです。 TPPの影響については非常に感情的な議論となるケースもありますが、やはり冷静に考え、過去のデータやTPPのメリットについても、しっかりと目を向ける必要があると考えます。 ◆極上和牛の大量生産に成功「農業生産法人のざき」 国産牛肉へのTPP影響額の試算に大小はありますが、牛肉の貿易自由化の流れの中で、やはり畜産業へ高い国際競争力が求められていく方向は避けられない状況です。 そのような状況の中で、極上和牛の大量生産に成功している企業があります。その企業とは、先日のカンブリア宮殿(テレビ東京)でも紹介された「農業生産法人のざき」という会社です。私の地元、鹿児島県薩摩川内市にある企業です。 この企業では、日本で初めて「のざき牛」という個人の名前をブランド名にした牛肉を売り出し、東京・恵比寿の外資系高級ホテル・ウェスティンの最上階にある鉄板焼店で絶大な人気を得るなど、国内外の小売店や飲食店で幅広い支持を得ています。 東京食肉市場 牛肉コンテストでも、最高賞を史上初の3回受賞しています。それだけ品質の高い牛肉を、「のざき」では、わずか15人で一般的な肥育会社の100倍近い4,800頭もの和牛を生産しています。 この企業の非常に優れた取り組みは、大きく3点あります。 1点目は、徹底的に効率化された肥育法です。牛の飼料作りや糞の清掃など、日々の負担の重い作業には、専門業者を積極的に導入して従業員の負担を軽減しています。また、牛舎を工夫し、飼料を牛舎内で運ぶ必要の無いつくりにしています。 2点目は、牛にストレスを与えない肥育法です。従業員は、飼料や清掃などの作業が軽減した分、担当の牛の変化を見逃さない仕事に力を入れています。 体調の悪い牛を早期発見したり、他の牛に攻撃されて餌を十分に食べれていない牛を発見して牛舎を入れ替えるなど、できる限り牛のストレスを軽減して品質の高い牛を育てています。 3点目は人材育成です。社員の平均年齢が25歳と、大変若い社員が多い会社です。それにも関わらず「のざき」では、社員一人当たりに牛400頭(3億円相当)の肥育を任せています。 任せられた社員は、担当の牛を立派に育て上げるため、互いに日々切磋琢磨して育て方の工夫を続けています。その日々の仕事の中で人材育成が着実に進み、品質の高い牛肉生産の体制が維持されています。 このような取り組みにより「のざき」では、高品質の牛肉を安く生産し、海外への輸出も加速させています。香港への輸出量は年間約100トンに上り、和牛の販売量は「のざき牛」が1位となっています。 今後は、輸出のさらなる拡大に向けた世界戦略を検討しています。 ◆日本の畜産業 さらなる発展へ 日本の牛肉生産は、後継者不足とも言われていますが、まだまだ可能性は眠っていると思います。御紹介した「農業生産法人のざき」のように、企業・組織の創意工夫で大きな発展が可能な産業です。 これからの日本の畜産業が、国際競争を勝ち抜いていくには、やはり企業参入や経営規模の拡大推進は避けて通れない部分であると考えます。 畜産業に携わっていらっしゃる方の収入の不足分を、補助金で補填する発想だけではなく、政治と民間の方々との知恵を結集し、強い輸出産業として、畜産業に従事される方々の収入を上げていく方向で政策を進化させていくことが強く求められます。 これ以上の増税を許していいのか――2015年税制改正の注目点 2015.02.15 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆増税は国民の自由を奪う 私たち幸福実現党は立党以来、一貫して「自由」の大切さを訴えてきました。日本は、聖徳太子が「十七条憲法」において「和を以って尊しとなす」等と記しているように、古代から民主主義、自由の価値観を持ってきました。 こうした現状が当たり前なので、多くの日本人にとって、中国など社会主義国家の国民たちが自由が奪われ、苦しんでいる現状について、ほとんど理解がされていないようです。しかし同様に、我が国にも、残念ながら国民の自由が徐々に失われ始めているのです。 その象徴的な政策が「増税」です。「日本は財政危機で、今後の高齢化社会に対応する社会保障費の財源が必要」だとの大義名分のもとに、政府は消費増税を中心とした「税制改革」を進めています。多くの国民は「増税やむなし」との考えで、総意として明確な反対にまで至っていないのが現状です。 しかしながら、昨年4月に施行された消費増税の影響は、当初予想された以上の大きな反動で、「景気後退」といわれてもおかしくない状態に陥り、目的である財源確保とはほど遠い結果となってしまいました。 ウォールストリート・ジャーナル紙、ワシントン・ポスト紙などの海外メディアは、国内以上にはっきり「アベノミクス失敗」と報道しています。この状況を受けて昨年11月、安倍総理は更なる増税の期日を1年半先送りする事を決断しました。 ◆相続税増税のポイント 消費税については、先延ばしという結論になったものの、2015年からは、相続税の「改正」が実施されました。そのポイントは、以下のとおり相続税基礎控除の減額によって、課税対象者が大幅に増えるという事です。 改正前は、5000万円+1000万円×法定相続人の数 ↓ 改正後は、3000万円+600万円×法定相続人の数 となります。 この結果、相続税の課税対象者が、国民の4%程度から、一気に10%程度まで拡大される可能性が出てきたのです。 専門家の試算では、特に東京・大阪など大都市圏の土地の相続を受ける方が課税対象者になる可能性が高く、東京23区では25%程度が対象者になるとの試算もあるそうです。 今後は、こうした相続税増税の対策として、子・孫に対して非課税の範囲で贈与するという事や、また「どうせ税金で取られるならば、自分の意志でお金を使った方がマシ」という事で各種慈善団体などに寄付したり、あるいは消費行動につながる可能性も考えられます。 このような判断が結果として、日本全体の景気刺激策になるという捕らえ方も出来るかも知れませんが、政府の増税路線が着々と進められている事に間違いありません。 ◆マイナンバー法施行の衝撃 また、10月からすべての国民・中長期在留者・特別永住者に対して「マイナンバー」の通知が行われる事も注目されます。 政府(内閣官房)のウェブサイトでは「マイナンバー」について以下のように説明しています。http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/gaiyou.html 『マイナンバーは、住民票を有する全ての方に1人1つの番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるものです。』 この制度が実際に施行されるのは、2016年1月1日です。表むきには、行政の事務手続きを簡素化するための制度と謳っています。 しかしさらに重要な事として、2018年からは、任意であるものの、金融機関にもマイナンバー適用が始まるのです。 この理由として、政府は、「脱税や生活保護の不正受給などの防止に役立てる」と説明していますが、個人のお金の流れが政府によって合法的に把握されることは、個人の財産権の侵害につながり、さらには国民の自由を脅かす大きな問題でもあると考えられます。 少なくとも、自由主義国・日本における政治の目的の一つとして「国民の生命と財産を守る」事がある中、こうした国家社会主義への道を開く政策が進められている事に対し、私は、強く異議を唱えるものです。 ◆国家の繁栄を築く幸福実現党の政策 先ほど述べた通り「税収を増やす」という大義名分のもとに行われた増税の結果、税収は大きく減る事となりました。 本来は、この結果に対して政府の担当者は国民に対して反省・謝罪し、消費増税を中止する事が必要だったにも関わらず、なんらの総括も行いませんでした。 また、消費増税を推進した多くの知識人、大手新聞紙も現在の厳しい状況に対して、何らの弁解も行う事なく知らんぷりを決め込んでいます。そして、次々と財産権を侵害する政策が現実化していく事になります。 もうそろそろ、国民は、自らの危機を自らの手で改めなければいけない時期に入ってきたのではないでしょうか。政府の増税路線には、はっきりとNOを突き付け、まずはGDP成長のための政策を真剣に討議する必要があります。 そうした意味では、私たち幸福実現党が立党以来訴え続けてきた政策が、必要となる時代がやってきたとも言えます。 まずは、消費税・相続税に対する減税路線の推進、マイナンバー法の廃止など、個人の自由を奪う方針の転換であります。そして、その他にも「成長戦略」として、様々な未来産業を構築する政策を訴えてきました。 私たち幸福実現党は、政府が進める国民の自由の制限から脱し、逆にさらなる自由を拡大する事で、GDP成長率及び税収増加を推し進め、その結果として国家の繁栄につながるものと確信しています。 どうか、一人でも多くの国民の皆さまのご理解をお願いする次第です。 60年ぶり農協改革の行方 2015.02.08 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆大詰めに入った農協改革 昨年6月、政府の規制改革会議の決定に端を発した農協改革が、大詰めに入りました。 規制改革会議は、農協組織の頂点に立つJA全中が経営指導で地域ごとの農協を縛る権限をなくし、個々の農協、農家の創意工夫を伸ばす環境に変えることは必須条件だとし、安倍首相は「地域の農協が主役となり、農業の成長産業化に全力投球できるように抜本的に見直す」と明言しました。(日経Web 14/6/16) そして昨日、8日夜、全国約700の農協改革を巡り、政府・自民党と全国農業協同組合中央会(JA全中)の折衝が、大筋決着したと報道されました。(日経Web 2/9) その内容は、規制改革会議の提言通り地域農協を束ねる JA全中の監査・指導権をなくし、2019年3月末までに一般社団法人に転換するということです。(現在、全中は特別民間法人)1954年に始まった中央会制度をほぼ60年ぶりに見直す改革となります。 これらの改革は、今国会に農協法改正案等に盛り込まれ提出される予定です。(農協法、農業委員会法、農地法ほか) ◆農協組織の現状 さて、農協の組合員は969万人(正組合員472、准組合員497、2010現在)。基本的に市町村レベルの地域農協の数は、90年頃には概ね一市町村一農協でしたが、その後合併が進み、現在約700となり、市町村数1719の半分以下となっています。 地域農協は、農業、生活物資の供給、信用(銀行)、共済(保険)などJAグループが行うすべての種類の事業を行っています。 さらに都道府県以上の組織として連合会があり、農業、信用、共済などの機能ごとに組織されています。それぞれの機能の頂点に、全国レベルの全中、全農、農林中金、全厚連、全共連があります。 ◆JA全中の監査権の廃止 政府・自民党の農協改革議論の中で、今回中心の論点は、JAグループの指導機関とされているJA全中の地域農協に対する監査・指導権の廃止についてでした。 廃止の理由は、「全中の監査・指導が地域農協の自由な経営を阻んでおり、組合長の経営者としての自覚も阻害し、中央集権の弊害が見られる」というもので、地域農協の自由な創意工夫による成長を促すというものです。 現在、農協法37条の2は、貯金200億円以上のJAなどに全中による監査を受けなければならないと全中の監査権を定めています。また、全中は、地域農協から賦課金を徴収する強い権限も与えられています。 全中の監査部門「JA全国監査機構」の人員は、560人で、うち農協監査士が340人、公認会計士は30人。この態勢で約640の地域農協の監査を行ってきました。 改革案は、この監査部門を、社団法人化に併せて分離し、新監査法人を設立します。独自の「農協監査士」が担ってきた監査を民間の公認会計士が行うようにし、依頼する監査法人も各地域農協が選択できるようになります。 ◆農協改革に強烈に反対してきたJAグループ 今回、合意に至りましたが、JAグループは一貫して、改革に反対を表明してきました。 特に、全中の監査・指導が地域農協の自由度を縛っていると政府から度々指摘された事に関し、「根拠のない絵空事」と猛反駁し、日本農業新聞は、全JA組合長に緊急アンケートを施し、1/29日付紙面で以下の通り大見出しを打ちました。 『組合長95%が否定』~本紙全JAアンケート政府認識と正反対~「全中の指導が、JAの自由な経営を阻んでいる」との政府の理由に対し、全国のJA組合長の95%が「そうは思わない」と、全く逆の回答を突きつけた。 これほどの猛反対にも関わらず、全中が合意したのは、政府もそれなりの譲歩をしたと考えられます。 その一つとして、産経は、全中の万歳会長は、農家以外の准組合員の利用制限導入を避けることと引き換えに骨格の受け入れを決めたとみられると報じています。 政府の譲歩が、農協改革を骨抜きにするものでない事を、注視していく必要があります。 ◆農協改革は農政改革 幸福実現党は、現在の農政の最大の課題の一つに、多額の国民負担により、国内米価を高水準に維持し、結果、小規模の兼業農家を滞留させ、意欲ある専門農家の大規模化を阻害していることがあると考えます。 その結果、コストダウンが図れず、国際競争力が持てない、結果、米は特別に関税を必要とするという悪循環から抜け出すことができません。 今回の農協改革が、地域農協の自由性、独自性を開花させ、農業の生産性の向上、食料安全保障の強化、国際競争力の向上に繋がっていくよう、注視していくと同時に、政策研究・提言も行ってまいりたいと考えます。 「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【後編】 2015.02.05 ※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガから、前回に引き続き後編をお送り致します。 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ◆投資にリスクが伴うのは当然 資本は新しい事業に投資されていきますが、すべてが成功するわけではありません。 ピケティ理論では、「持てる者(資本家)はさらに与えられる」としていますが、投資にはリスクが伴います。 国民の給料の伸びよりも、資本家の投資の方が、儲けの伸び率が高いのでケシカランということですが、リスクに見合う高い収益がないと、だれも投資をしようとしません。 投資しなければ、新たな会社もできず、雇用もなく、失業者が増えてしまいます。お給料そのものがなくなってしまうのです。 これからは、宇宙とか、医療とか、海洋とか、ロボットとか、いろいろな未来産業の可能性がありますが、膨大な投資資金が必要となってきます。 その投資に成功すれば、多くの人が潤います。しかし失敗すれば、すべてが無くなってしまいます。 いろいろな企業家が出てきて、資金を使ってチャレンジしていく中に、未来が切り開かれていきます。その中で、労働者の給料も確保でき、また給料もアップしていくのです。 ちまちまと「格差格差」と怨嗟の声を助長するのではなくて、企業を、国を、世界をダイナミックに発展させていく発想の方が、国民や人類を幸福にしていきます。 ◆財産権の侵害、自由の危機 ピケティは、相続税の強化や、資産、資本に課税を提唱していますが、根本的に財産権の侵害であり、憲法違反です。 人間にとって普遍的な価値である「自由」を確保するためにも、私有財産は最後の砦となります。 政府が国民の財産を収奪、没収した場合、国民は生きるために「国家」の言いなりにならざるを得ません(私有財産がなくなると、政府に見捨てられたら生きていけないので)。 ピケティの発想自体が、社会主義的なので確信犯としか言いようがありませんが、社会主義的発想は、独裁国家へとつながっていくので要注意です。 ◆富の拡大が必要(グリーンスパン元FRB議長) グリーンスパン元FRB議長も、ピケティ理論に対して「それは資本主義のやり方ではない。何かほかの手法だ」 「システムが非常に複雑化しているとはいえ、生活レベルを向上させるのは経済に占める資産や富のシェアが拡大したときだ」と述べています。 やはり、パイの奪い合いではなく、新たにパイを焼くことで、生活レベルが向上すると言っているのです。 ◆成功者を肯定せよ(コーエン教授) また、ジョージメイソン大学のタイラー・コーエン教授も「最も成功している市民への法的、政治的、制度的な敬意と支援がなければ、社会がうまく機能するはずがない」「富裕層の富の拡大は戦略的なリスクテイクが必要で、想像以上に難しく、淘汰も多い」と述べています。 成功した人を、悪人のように見なして、課税を強化することは、社会の発展の要因を阻害します。 ◆国家の役割 国家の役割は、「機会平等」の環境を整えることであり、「努力した者が報われる社会」を創ることです。所得の再分配という「結果平等」は、国民のやる気を失わせ、国家を衰退させます。 幸福実現党は「小さな政府」を目指し、国民がイキイキと充実した人生を送る幸福を味わっていただくことを目的としていますので、単なる所得の再分配には反対します。 相続税の強化も反対です。なぜ、財産を持っているだけで、国家に収奪されなければいけないのでしょうか。 ◆唯物論的!? 「ピケティは不平等の統一場理論を発見した」と称賛されています。 しかし、過去200年以上の欧米諸国のデータを分析して、このままでは格差拡大が必然であるとして、税金を使って悪平等の世界をつくろうとしています。 とてもフランスの左派にありがちな唯物的な傾向が感じられ、人間を本当の意味で幸福にするとは思えません。 ◆企業家精神と騎士道精神、そして宗教心 やはり、富を創りだす企業家精神を持った人々を称讃し、努力する者が報われるようなチャンスの平等が約束された社会こそ、健全に国が発展してきます。 世界はまだまだ発展してきます(ピケティは発展は止まったと感じているようです)。大きなビックプロジェクトに取組み、未来産業を打ち立てねばなりません。 資本の収益率が大きいことは良いことです。そのことによって国民の所得も向上していきます。 かつてのアメリカン・ドリーム、そしてジャパニーズ・ドリームを目指して、成功者を多く出すことが国民全体を豊かにしていきます。 成功者に罰則(課税強化)を与えるような、社会システムにしてはいけません。さらに、成功者は倫理的・宗教的な騎士道精神をもって、社会に富を還元するように努力する使命があります。 成功者であるからこそ、お金を有効に使うことができるのです。そこに成功者(大富豪)の修行の道があるのです。 ピケティは「貧しい人にも教育を受ける権利を平等に」と訴えていますが、それに対して異存はありません。だからと言って、短絡的に課税強化をすべきではありません。 貧しい人に対する教育については、成功者が奨学金などを充実させるなど、慈善事業の奨励をすべきでしょう。 もし、成功者が我利我利亡者のようになったら、いずれその成功は終わるでしょう。 やはり、国民に倫理・宗教心をしっかりと根付かせ、その上で「小さな政府」「機会の平等」「安い税金」を目指せば、国民を幸福にすることができると確信します。 ◇江夏正敏の闘魂メルマガ登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu 「要注意“ピケティ”ブームに備えよ!」【前編】 2015.02.04 ※今注目されている経済学博士ピケティの「格差と貧困の新理論」について、全2回で、幸福実現党・政務調査会長の江夏正敏メルマガからお送り致します。 文/幸福実現党・政務調査会長 江夏正敏 ◆“ピケティ”ブーム ピケティの『21世紀の資本』という本が売れています。そして、書店ではピケティコーナーが拡充され、マスコミでも、特に朝日系やNHKで持ち上げられています。 ピケティは何を主張し、世界にどのような影響を与えようとしているのでしょうか。私は経済学者ではないので、精緻な議論をするつもりはありません。 しかし、政治に携わる者として、国民・世界人類を幸福にするかどうかは大問題となります。 ◆ピケティの主張 では、ピケティは何を訴えているのでしょうか。 簡単に言うと「資本主義には根本的に矛盾があり、貧富の差が拡大してしまう」、つまり「このままでは格差が広がる」と訴えています。 それで、格差を無くすためには、(1)累進課税の強化、(2)資産や相続税への課税強化、(3)世界各国の協力による「資本税」の創設を提唱しています。所得の再分配です。 そのためには「世界各国の政府が協調して、個人の“金融情報を共有”しなければならない」とも言っています。 ◆マルクスと同じ!? 「ピケティは、マルクスには影響されていない」とか、「21世紀の資本主義を守るため」と言われていますが、単純に見れば、マルクスと同じ結論です。 もっと俗っぽく言えば「相続税をもっと取れ」「資本家からもっと収奪せよ」「金持ちが悪いんだ」となります。 ◆ピケティ理論を実践すると ということは、ピケティ理論を実践した国は貧乏になります。国は発展・繁栄しません。いかにマルクスとの関係性を否定しても、結論が同じなのですから。 マルクスの理論を実践したソ連、東欧などの東側は、すべて没落したので、歴史的に実証済みです。 さらに個人情報を全部把握し、資産を管理するために、巨大な徴税権を持つ官僚独裁国家への道に入ってしまう危険性があります。 ◆ピケティの位置づけ ということで、朝日系やNHKが持ち上げている段階で、ピケティの素性がわかってしまうのですが、フランス社会党の経済顧問をつとめているので、一般的には中道左派とされています。 つまりピケティ理論は、大きな政府を目指すので左翼が喜びます。さらに、増税理論なので財務省が喜びます。 ピケティ理論は、国を貧しくする危ない経済理論ということなのです。 ◆ピケティ理論の問題点 ピケティ理論は、今まで学者が手を付けていなかった「各地方に残る古文書」を発掘し、20カ国以上の200年間のデータを駆使しているので、反対派も決定打が出せず、各方面で賛否両論が巻き起こっています。 少し雑にはなるかもしれませんが、ピケティ理論、もしくはピケティ理論から導き出される今後の政治的動きを予想して、問題点を指摘していきたいと思います。 ◆資本主義で豊かになった 資本主義では格差が広がると言っているのですが、もっと大きな時間で見ると、昔の単純な農耕社会では、一部の王侯貴族を除いて、多くの人は貧しかったはずです。 当時は、格差はあまりなかったでしょう。産業革命が起き、富を集中して工場などを造り、大規模・効率的に事業が回り始めて、膨大な富が創造されていくと、国全体が豊かになって行きました。 発展段階においては、劣悪な労働環境の問題などもあったかもしれませんが、資本主義のおかけで、国民が豊かになったのは事実です。 ◆「大きな政府」は社会主義への道 資本主義は便利で効率的なシステムであって、善悪の問題ではありません。それは、資本(お金など)を集中して、大規模な事業を興し、多くの富を生み出すことができるのです。 その際、その便利で効率的なシステムを、正しく使うための倫理が必ず必要となります。 今の資本主義には倫理が必要なのであって、税金で吸い上げて再分配する「大きな政府」は、社会主義そのものとなり、人間を幸福にしません。 ◆相続税、資産・資本課税、累進課税の強化は、大企業が弱まり雇用不安を生む また、資本の集中によって、大きな事業が可能となり、多くの雇用を生むことができます。 社会保障の究極は、国民に職があるということです。大きな会社は、それだけ多くの人を雇うことができます。ありがたいことです。 しかし、ピケティ理論の結論からは、累進課税、相続税、資本課税を強化していくことですから、大きな事業を継続しにくくなり、小さなお店ばかりが生き残るようになってしまいます。 これでは、国の発展・繁栄は難しく、国民を養うことができなくなります。 (つづく) ◇江夏正敏の闘魂メルマガ登録(購読無料)はこちらから https://m.blayn.jp/bm/p/f/tf.php?id=enatsu 富裕層を脅かす累進課税、努力した者が報われる国家へ! 2015.02.02 文/幸福実現党・神奈川県本部副代表 HS政経塾第4期生 壹岐愛子 ◆現代のマルクスが日本で累進課税推進を提言 『21世紀の資本』で、全世界で注目を集めているフランスの経済学者トマ・ピケティが初来日し、各所で「格差のない社会のための累進課税の強化」を提言しております。 彼の主張に対して日本でも賛否が分かれておりますが、今後、税金を国民から吸い上げたい財務省はじめとする役人官僚が、ピケティ論を錦の御旗にし、日本の富裕層に対しての累進課税をさらに加速していく危険性があります。 しかし、ピケティの御膝元であるフランスでは、2013年に最高税率75%を課税し、その後850社の企業が海外に本社移転し、ベルギーに216人が移籍しました。 結局、成長率0%台、失業率が10%を超える状況は変わらず、逆に、大量の国富が流出され、2015年年初から政策を転換せざるおえなくなっております。 ◆高所得者と政府の愚かな争い 日本はどうでしょうか。 2015年1月より、所得税の累進課税は6段階から7段階制度に変更になり、新たに4000万円超える所得に対して最高税率45%、住民税とあわせると55%の税金を払う制度になりました。 最高税率55%は先進国でもトップクラスです。 日本は今、江戸時代にあった収穫の半分を年貢として納め、残りの半分を農民のものとする「五公五民」を超える重税に耐えなければならず、富裕層の財産を脅かす国家になっています。 この結果、日本の大手企業の経営陣も国外に移住する傾向にあり、シンガポール、香港、スイスをはじめとするタックスヘブンと呼ばれる租税回避地への移住が進んでおります。 富裕層は、税負担の軽い国に移住して保有する株式等を売り、売却益への課税を逃れていました。 こうした富裕層の海外移住を受けて、政府は今年の7月から富裕層の税逃れ対策として、移住する時点で「含み益」に課税する方針です。 まさに政府と富裕層との壮絶な節税バトルが行われており、優秀な人達が節税対策という国を富ませる方向ではないことに労力を使っています。 今回の制度変更は、低所得者の負担増が強い消費税を増税していくのに対して、高額所得者の税負担を強化するのが狙いですが、日本の発展にとってこの路線は正しいのでしょうか。 ◆累進課税制度の問題点 ここで累進課税制度の問題点について確認します。 まず1つ目に憲法29条にある「財産権をおかしてはならない」の私有財産の自由を脅かす制度です。 近代にとって財産権とは身分的平等の保障を守る生命線です。個人の経済的自由である、私有財産を守ることが、民主主義国家の前提なのです。 2つ目に差別的税制である点です。 人によって税率が異なることは、努力する者が報われる制度とは言えません。 結果平等、格差是正のために、稼いでいる人からはお金をとってもよいという理論は、稼ぎの多い人を差別的に扱っています。「貧しい人々に分配する」「所得再分配」をお題目とする政策は社会主義的な政策に他なりません。 3つ目に民主主義の多数決の原理を悪用しております。 富裕層も低所得層も一人一票を与えられており、多数者の原理の中で、富裕層は必ず負けてしまいます。 政治家は自分達の票取りのために所得層の大半である低中所得層が喜ぶような政策を掲げ、非課税の最低レベルの幅を上げてきました。 日本では低所得者の課税率は先進国で特に低く、所得350万以下の層は殆ど所得税を払っておりません。(但し日本は所得税以外にも60種類以上の税金があり、低所得者の税負担が少ないとは一概に言えません。) 累進課税制度は多数者の専制をもたらし、結果として国家を衰退させているのです。 ◆税制のフラット化を目指し、日本の国富流出を防ごう! 高度な累進課税の根底にある心理は「富裕層への嫉妬心」です。 長年、税金の「一律一割」を推奨している渡部昇一氏は、累進課税に対して「ふつうの人間関係では恥ずべき劣情を、社会正義という名で堂々と公表」していると述べております。 一律平等な課税制度は、国民の勤労意欲をかきたてるだけでなく、海外から富裕層を引き寄せることにも繋がります。 当たり前のように努力した人が報われる社会を築いていかなければ、日本の国富流出による衰退は免れないでしょう。 幸福実現党は立党以来、税制のフラット化を推進しております。 フラット化を導入し、私有財産を守り、税逃れではなく、税金を払うことを「国民としての義務」と思って誇りをもって努力する人を増やしていくことが必要なのです。 参考書籍:『税高くして国亡ぶ』渡部昇一著/出版社: ワック 2015年は日本発・新国際金融秩序を構想せよ 2015.01.27 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆昨年公表された新しい金融規制案 昨年11月、世界の金融当局で構成される金融安定理事会(FSB)は、国際業務を展開する30の巨大銀行を対象にした新しい自己資本比率規制案を発表しました。 その内容は2019年1月以降を導入時期として、銀行が保有するリスク資産に対して、最低16~20%の自己資本を積まなければならないとするもので、対象となる銀行には日本の3つのメガバンクも含まれます。 世界の巨大銀行に対する自己資本率規制の強化は一見、銀行システムを安定化させるようでいて、経済成長にマイナスの影響を与えます。 銀行は自己資本比率を引き上げるために、融資を削減して資産規模そのものを縮小させる可能性があるからです。 ◆日本経済低迷の一因となった自己資本比率規制 実際、1988年に公表され90年代初頭、各国銀行に適用された世界初の自己資本比率(バーゼルⅠ、BIS規制)は、幸福実現党・大川総裁が『自由を守る国へ』で述べているように、90年代以降の日本経済を低迷させた一因となりました。 一般にBIS規制は80年代初めの中南米危機で巨大な不良債権を米銀が抱えたことをきっかけに発案されたとされます。 しかし、元米外交評議会研究主任のエブサ・カブスタインはBIS規制の作成過程を分析して、80年代半ば以降、海外融資残高を一気に伸長させた邦銀を抑えようとする意図で規制案が作られたことを明らかにしております。 もともとBIS規制は社債市場が整備されていた米英に有利で、日本を含む間接金融が発達した国に不利な規制です。 実際、邦銀は国際シンジケート・ローンの組成額を88年に1260億ドル、89年に1210億ドル、90年には1080億ドルと、バブル崩壊の前から漸減させています。 複数の銀行でリスク分散が図られるものの、巨大プロジェクトへの融資を多くの場合、無担保で提供するシンジケート・ローンにおいては、BIS規制のインパクトがじかに現れたと理解することができます。 その後、90年代にBIS規制が実際に適用される頃にはバブル崩壊による不良債権問題と相まって、日本の銀行システム、そして日本経済は多大なダメージを受けました。 ◆日本は新しい国際金融秩序を提唱し、間違ったグローバル・スタンダードを打ち砕け さてリーマン・ショック以降、再び自己資本比率規制が強化される流れにありますが、そもそも自己資本比率規制は世界が抱える金融リスクの量を低減させ、世界経済を安定化させることに成功したのでしょうか。 確かに自己資本利率規制によって、銀行がローンを資産として抱えるリスクは減ったかもしれません。 しかし、実際には、例えば住宅ローンが住宅抵当証券になったように、世界が抱える金融リスクの量は減ったわけではなく、形を変えて一定に存在し続けているのです。 さらに新しい自己資本比率目標達成の過程で、銀行が融資を引き揚げていけば、それ自体が世界経済を低迷させる要因になります。 そもそも、中南米危機にせよ、リーマン・ショックにせよ、米国で起こった金融危機への対処策になぜ全世界が巻き込まれなければならないのか、いまだ合理的な説明が聞かれたことはありません。 アジアやオセアニア、ヨーロッパでも間接金融優位で発達してきた国は多数存在し、グローバル・スタンダードとして全ての国に自己資本比率規制が適しているわけではありません。 そうした国々の利益を代表して、BIS規制によって最も被害を受けた日本にこそ、新しい金融秩序を提唱する使命があります。 まずはアジア・オセアニア地域の中央銀行で新しいアジア決済銀行を創設し、この地域で起きた危機に対処するアジア・マネタリー・ファンドを創設するなど、新しい国際金融秩序創造に向けた議論を始めるべきです。 幸福実現党は日本と地球、全ての平和と発展・繁栄を目指し、全力で尽くします。 すべてを表示する « Previous 1 … 44 45 46 47 48 … 78 Next »