Home/ 経済 経済 日銀総裁の公約「物価上昇率2%」未達成の責任を問う 2015.05.10 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆安倍政権の高支持率のカギは日銀の金融緩和 第2次安倍政権が誕生してから、2年半になろうとしています。1年間という短命で終わった第1次政権とは異なり、すでに長期政権に向けて期待の声が出始めています。 確かに安全保障の分野では、日本の国難に対して日米同盟を中心とする外交や、遅々とした歩みながらも、防衛力の増強などを進めておりますが、長期政権が期待される最大の理由は、日銀による金融緩和とそれに伴う株高であります。 日銀は黒田総裁が就任して、すでに2年以上が経過しており、一方では金融緩和→株高→支持率上昇という構図が変わりつつあるという意見はあるものの、少なくとも、日経平均株価も4月の下旬に、2万円を超えており、日銀の影響力まだまだ大きなものがあります。 安倍総理もこのことは強く認識しており、昨年末の消費増税の判断の際、GDP2014年7月~9月の速報値について、多くの専門家の予想を裏切る年率換算マイナス1.6%という厳しい結果になった事を受けて衆院を解散し、「消費増税延期の是非」を問う選挙を行いました。 その解散に合わせ、日銀は金融緩和の発表を行い、それに伴って株価も上昇トレンドを刻むこととなりました。このことが、結果として安倍政権勝利の一因になった事は間違いありません。 ◆日銀の黒田総裁が目標としたものは さて、黒田総裁は、就任後の2013年4月4日の会見で、以下のように目標を述べています。 『日本銀行は本日、消費者物価の前年比上昇率 2%の「物価安定の目標」を、2 年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するため、「量的・質的金融緩和」を導入することを決定しました。』 上記の発言に出てくる「消費者物価」とは、専門用語では「コアCPI」という言い、天候などによる変動幅が大きい生鮮食品を除いた総合的な物価を表す数値で、毎月総務省の統計局より発表されており、広く国民にも確認できます。 黒田総裁が言う「物価上昇率2%」とは、どのレベルかというと、かつて、この数値を記録したのが、1980年代後半以降では、1997年から98年にかけて一度、2008年のリーマンショック前の一度の計二度のみという状況で、いずれもこの20年以上の中で、少ない好況を実感しつつある時期でした。 したがって、黒田総裁は、就任時の目標として国民に好況を公約したと言ってよいのです。 ◆自らの発言が、自らの公約を潰した 確かに黒田総裁就任後、消費者物価は緩やかに上昇を始め、2013年は一年を通じ、総じて1%台を記録しました。国民も多くは好景気の予感を持ち、明るさが見えてきた一年でもありました。そのままいけば2014年度中の目標達成が見えていたのです。 ところが、2013年の参院選後、安倍総理が消費増税の判断を行うという時期に、黒田総裁から「消費増税推進」という話が公になりました。以下は、2013年7月に都内で行われた講演での黒田総裁の発言です。 『政府が予定通り2014年4月に3%、15年10月に2%の計5%の消費増税を行っても「日本経済の潜在成長率を上回る成長を遂げる見通しだ」「成長が大きく損なわれることはない」』 この発言が、日本の政財官界に大きな影響を与え、国民にも「消費増税やむなし」「増税しても影響は少ない」との認識を植え付ける事になりました。 何といっても当時は、アベノミクス成功の立役者の一人と見られていましたから、国民の信用は大きなものがありました。 ところが、2014年4月に消費増税が施行されると途端に国民の消費が止まり、景気に大きな影響を与える事になりました。 そして、その後の日本経済の失速は皆さまもご存じのとおりです。 そして、この景気の悪化が、GDPを押し下げ、消費者物価を押し下げる要因となりました。公式に発表された統計でも、物価の上昇率は、消費増税分を差し引いた数値は、ゼロ%台に逆戻りして、公約としていた2%の達成はできませんでした。 ◆日銀総裁が取るべき公約未達成の責任とは 現在のようなデフレ社会で消費者物価を押し上げるには、景気を良くする必要があります。これは、黒田総裁が2013年に体験したとおりです。 このことは、私たち幸福実現党も2009年の立党直後から訴えてきた事であり、2013年の増税への判断がなされる時にも、党として中止の判断を求める国民運動を展開しました。 黒田総裁は、私たちが訴えてきた事が全く理解できなかったようです。 黒田氏が財務省出身であり、省としての悲願であった消費増税の導入を強く希望したと思われますが、ここまで現実が厳しいとは想像していなかったのでしょう。 もちろん、黒田総裁は「異次元緩和」によって、現在の株高をもたらした功労者であるので、一概に批判をするべきではないものの、消費増税を推進し、そして、その結果、自らが掲げた消費者物価の目標を達成できなかった事に対して責任を問うべきではないでしょうか。 その責任とは、公約が達成できなかった理由を国民の前に明らかにする事です。 自らが推進し、日本経済を失速させた「消費増税」が誤りであった事、そして、安倍内閣は、10%へのさらなる増税を中止することはもちろん、元の5%に戻す事を訴えるべきではないでしょうか。 現在の厳しい状況と、今後のさらなる不透明感を見る限り、黒田総裁は、国民に対して、日本経済を悪化させた責任を負うべきです。 マスコミによる消費増税推進論や株高で、消費増税の厳しい現実がなかなか国民に届かない印象はありますが、統計上の数値を確認する限り、消費増税は明らかな失敗です。 黒田総裁に、日本経済に対する責任の一端があるのであれば、経済を回復させるための政策を推し進めていただきたいと強く望むものです。 参考文献 ※『幸福実現党テーマ別政策集 2 「減税」』/大川裕太(著) 幸福実現党 http://www.irhpress.co.jp/irhpress/news/21448/ 家族福祉としての消費減税――少子化対策 2015.05.06 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆我が国の子供の数 総務省が5日の「こどもの日」にあわせて発表した「我が国のこどもの数」によると、15歳未満の子供の今年4月1日現在の人口は、昨年より16万人少ない1.617万人で、34年連続の減少で、過去最少を更新しました。 また、子供の人口の割合は12.7%であるのに対し、65歳以上人口の割合は26.4%であり、高齢者人口に比べ、子供の人口の割合が半分以下であり、少子高齢化がより進行していることがわります。 ◆「子育て支援」から「結婚支援」へ ではどうしたら、この人口減少に歯止めをかけることができるのでしょうか。今までの政府の少子化対策の中心は「子育て支援」であり、「結婚支援」ではありませんでした。 このことについて、「婚活」(就職活動ならぬ結婚活動の略称)という言葉の生みの親、家族社会学者の山田昌弘氏は、著書『婚活時代』のあとがきのなかで、以下のように述べています。 「少子化の直接の要因が「未婚化」、つまり、結婚する人の減少にあるのにもかかわらず、少子化対策として打ち出されるものは、子育て支援(保育所整備や育児休業導入や児童手当)なのです。」 政府の少子化対策の力点は、結婚支援策という本丸ではなく、「仕事と子育ての両立支援」という側面支援に置かれてきたことは否めません。 ただようやく、政府も近年、少子化対策交付金を確保し、各自治体における結婚支援を後押しするようになってきました。 例えば、広島県では職場に狙いを定めて企業内婚活サポーター制度を始めています。 これは、企業の推薦者に結婚支援とセクハラ・パワハラのボーダーラインについて注意を促す内容の研修を施し、社内婚活のサポートを行うというものです。 そのほか、大分県のある自治体では婚活サポーター制度を導入し、サポーターが成婚まで導くと一組あたり10万円の成功報酬を支給し、さらに市外居住者を結婚させ、市内に移住させたら一人につき5万円を加算するなど、各自治体もあの手この手で結婚支援に乗り出し始めています。 ◆少子化問題の本質 しかし、少子化問題の本質は、未婚・晩婚化であり、その背景には不安定雇用という経済的理由が存在します。 内閣府「少子化社会対策白書」(2014年版)によると、理想の子供数を持たない理由として、「子育てにお金がかかりすぎるから」が多くなっています。 自らの選択で結婚しないという人が増えているというわけではなく、実際は低収入や雇用が不安定なために結婚できない人が増加しているというのが現実です。 総務省の就業構造基本調査(2012年)によると、非正規労働者は5年前に比べて153万増の2043万人となり、雇用者全体に占める割合では38.2%にも上っています。 また、先の「少子化社会対策白書」によると、2013年の30〜34歳の正規労働者の57.1%は結婚できていても、非正規になるとその半分も結婚できていないという実態も明らかとなりました。 ◆若者に雇用を その意味では、経済政策としてだけではなく、若者の結婚支援策としても、雇用の安定化が極めて重要な課題といえます。 本丸は、非正規雇用の増大に歯止めをかけ、正社員化の流れをつくることですが、しかし、だからといって、政府が企業の労使問題に口をはさみ、賃上げ要求などすべきではありません。 なぜなら、政府の要請に従って賃上げするには、企業は正規雇用の数を減らして、非正規を増やして対応するしかなくなります。 つまり、デフレ脱却を焦って企業に賃上げ要求をすると、かえって非正規雇用が増えて、また不安定な若者が増大し、結婚できない人がさらに増えるという、負のスパイラルに陥ることになるからです。 ◆ボトルネックは何か 結婚支援、子育て支援の拡充策もさることながら、まず政府がやるべきは、企業が正規雇用を増やすことができない「ボトルネック」をこそ解消することです。 そのボトルネックとは何でしょうか。 それは、2017年にやってくる2度目の消費増税です。3月31日、15年度税制改正関連法が参院本会議で可決、成立しましたが、15年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを1年半先送りし、17年4月とすることが確定してしまいました。 しかも、今回は、「景気条項」は削除されました。つまり、17年4月の段階で景気が悪化していても容赦なく、問答無用で増税されるのです。 今から約2年後に待ち受ける増税という確定事項に、企業は「備え」ざるを得ません。 増税によってさらにお客さんが減る、売上が減ることが予測されるわけですから、設備投資や求人を易々と増やすことなどできません。その結果、このままいけば、未婚化はさらに進むでしょう。 逆に、消費減税の効果は、実質可処分所得の増加、消費の拡大、企業の売上増加、給与アップというサイクルを生み出し、好景気に向かっていきます。 そして、非正規社員が正規社員へと移行する道も開け、結果として結婚に踏み出せる若者も増えるはずです。 ◆家族福祉としての減税政策 幸福実現党は、その対策の一つとして、デフレ加速策にして、少子化進行政策である、まさしく「百害あって一利なし」の消費増税法の廃止と、まずは5%への減税を強く訴えていきます。 今後とも「家族福祉」という側面から、減税政策の必要性を広く啓蒙してまいります。 (詳しくは『減税』大川裕太著をご参照ください。) ※『幸福実現党テーマ別政策集 2 「減税」』/大川裕太(著) 幸福実現党 http://www.irhpress.co.jp/irhpress/news/21448/ 畜産業の輸出産業化に向けて――和牛を世界へ 2015.05.04 文/HS政経塾4期生 幸福実現党・鹿児島県本部 副代表 松澤 力(まつざわ・いさお) ◆増加する農産物の輸出額 農林水産省は、2014年の日本の農林水産物・食品の輸出額が6,117億円となり、1955年に統計を取り始めて以来初めて6,000億円を突破したと発表しました。 前年比11%の増加で、2年連続で過去最高を記録しました。これは、世界的な和食ブームが続いていることや、海外政府に農産物などの輸出規制の緩和を働きかけていることが背景となっています。 農産物の輸出額は前年比13%増の3,570億円となり、牛肉も41%増の82億円となりました。 農水省は「国産牛の輸入を止めていたメキシコやインドネシア、ベトナムなどと検疫協議がまとまり、輸出の伸びに弾みがついている」と説明しています。 政府は、2020年に農林水産物・食品の輸出額1兆円を突破させる目標を立てており、このうち牛肉の輸出額は、250億円(4,000トン)に増やす方針となっています。 畜産物に関してのTPP交渉は、日本が牛肉や豚肉にかける関税の引き下げを巡り、輸入量が急増した場合に関税を一時的に引き上げる「セーフガード」の発動要件については一定の歩み寄りが実現したとみられており、事務レベル協議でさらに詰める方向で進行しています。TPP交渉参加12カ国は、5月中にも閣僚会議を開き、大筋合意を目指しています。(4/22 毎日新聞) ◆畜産物輸出促進協議会の発足 和牛輸出についてのこれまでの課題として、産地や事業所がばらばらに輸出に取り組み、連携して日本ブランドを発信することが難しい状況でした。 そこで2014年12月、牛肉などの畜産物の販売促進や海外での市場調査などを連携して取り組む「畜産物輸出促進協議会」が発足しました。 この協議会は、中央畜産会が事務局を務め、北海道などの都道府県、伊藤ハムなどの企業を含め、40を超える畜産関係の団体や企業、都道府県が参加することとなりました。今後、都道府県のさらなる参加も見込まれています。 牛肉輸出は、意欲のある産地や事業者が個別に取り組んでいるため、産地名が前面に出て、日本の牛肉だと認識されにくいことが海外で頻繁に起きていました。 協議会では、和牛で統一のロゴマークを作るなど日本ブランドを発信すると共に、今後、輸出先でのアンケート調査結果を会員に共有するなどの情報収集も行う予定です。 ◆和牛の輸出推進へ 3つの提言 ここまで、和牛輸出に関しての現状や取り組みを御紹介させていただきました。しかし、今後の和牛輸出をさらに拡大し輸出産業へと進化させていくためには、まだまだ取り組みが必要となります。 今回は、現在優先すべき3点につきまして提言させていただきます。 1点目は、和牛の輸出可能国の拡大です。現在、和牛が輸出可能になっているのは14の国・地域のみになっています。 輸出拡大に向け台湾・マレーシア・中国など、今後の和牛需要が期待される国々を中心に、輸出解禁に向けた積極的な交渉が必要です。 またイスラム圏の国々では、イスラム教で定められた「ハラール」という作法に対応した食肉でなければ食してはならない決まりもあるため、日本も柔軟に対応できる輸出体制づくりが必要です。 2点目は、輸出業務(検疫・検査)などの簡素化・効率化交渉です。輸出相手国によっては、検疫手続きや検査制度が十分整っていない国もあります。 カナダの例では、輸出に使用する港によって検査基準が曖昧で基準が異なる場合があることや、商品の表示ラベルの事前登録手続きが煩雑、といった課題もあります。 輸出国が増えたとしても、事業者がスムーズに輸出できる環境を整えていく取り組みも必要となります。 3点目は、「多様な部位」と「和牛調理法」をセットで輸出していくことです。 現在、欧米向けなどには、和牛のサーロインやヒレなどは、ステーキ用として非常に人気があります。ブランド力の高い神戸牛は、イギリスで1kgあたり約7万円という非常に高値で取引されるケースもあります。 ただ、和牛の特定部位だけが売れているばかりでは、輸出規模は限定されてしまいます。日本の和牛調理法には、しゃぶしゃぶ・すき焼き・焼肉など、様々な和牛の部位を非常に美味しく食べられるものが数多くあります。 現在の世界的な和食ブームを追い風に、世界各国の食品展示会などで和牛調理法もさらに積極的にPRし、多様な部位を世界に輸出していくきっかけをつくっていくことが求められます。 以上、3点の提言をさせていただきました。今回は、優先すべき3点の提言のみとなりましたが、畜産業を輸出産業へと進化させるための道のりは、まだまだ長いものがあります。 畜産業や農業に、多くの若い方が魅力を感じていただくようにするため、さらに産業進化に努力を重ねて参ります。 「国民が喜んで税金を納めたくなる国」をめざして 2015.04.22 文/幸福実現党・富山県本部副代表 吉田かをる ◆国民の思っていること どんな国だったら住みやすいですか?と質問すると、年代によってさまざまな答えが返ってきますが、現在の不満と未来への不安を多く聞きます。 高齢者の方は「安心して暮らせる老後、特に福祉と年金の充実」。 働き盛りの中年層の方は「子供の教育費もかかるし、老後のために貯蓄もしたいし、とにかくお給料が増えるといい。親の面倒を見るにはどうするか・・・」。 20代30代の青年層は「この仕事でほんとに自分はやっていけるのか。結婚したいけど資金がない。結婚してきちんと暮らしていけるか不安。将来の人生設計が立てにくい」。 子育て真っ最中のお母さんたちは「子育てしたいし、自分の小遣いも欲しい。子育てした後、また働きに出ることができるか不安。子供の学校ではいじめや不登校のことをよく耳にする。自分の子供がいじめられないかとても不安」。 これらの不安・不満を全部解決し、「この国に生まれ、この時代に生まれてよかったと、人々が心の底から喜べるような」国にするためにはどうしたらよいのでしょうか。 ◆幸福実現党の目指す「小さな政府」と「安い税金」 国家の運営は「税金」でなされています。 現在、約70種以上の国税と地方税を納税者は負担し、すでに十分な税金を払っています。税金を「取られている」感が強いのですが、国民の不安と不満は解消することなく、企業は「節税」対策に勤(いそ)しんでいます。 そして、「取られた」税金が有効に無駄なく正しく使われているのかは、複雑で分かりにくい仕組みになっています。 しかしながら、実感として未来がとても不安に思えるのですから、「取られた税金」は国民の幸福感増進になっているとは言いがたいでしょう。 そもそも、国の役割は「国民の安全と生命、財産を守る」ことです。 それに合わせて「小さな政府」にして、行政機関については抜本的に見直しスリム化を図り、国家の機能を安全保障や国防、外交、治安維持機能などの最小限にします。 国民には「チャンスの平等」と「個人の自由」を保証することにより、経済活動が活性化すれば、税収も結果的に上がるので、「安い税金」で政府は国としての仕事をやることができます。 ◆「予算の単年度制度」をやめましょう 日本国憲法第86条には「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と書かれています。これは、「税 金が入ったら入っただけ、その年に使いましょう」という意味です。国家に「貯蓄をする」「万一の時に備えてとっておく」という発想がないのです。 普通の家庭や企業でも、不意の支出に備えて蓄えをし、内部留保をつくるのは当たり前でしょう。国家もこのような当たり前の考え方を取りいれると、財政赤字は将来に解消されます。 ◆税金は「消費税」「所得税」「法人税」の3種類にしましょう 消費税は、8%から5%にして将来はゼロにしましょう。そして、段階的に「所得税」「法人税」はフラット10%にします。 消費税を下げることにより日本のGDPの6割を占める「消費」が、増えます。 ものが売れると企業が売り上げを伸ばし、給料も上がりまた買い物をするというように先行きの展望が開け「景気回復の善の循環」がはじまります。 景気が良くなると、現在7割の会社が赤字と言われていますが、これらが黒字に転じ、所得税法人税の税収が増えます。また、雇用を生み、失業対策になり、日本企業の国際競争力を強くします。 また、消費税は所得の低い層にも均一にかかるので、これを安くしゼロにすると、自由に使えるお金が増えるのですから「最大の福祉政策」といえます。 相続税贈与税を廃止しますので、世界から大富豪が日本に集まります。 ◆許認可行政を廃止しましょう 特に国家百年の計の教育を自由化し、未来をクリエイトする人材を育てます。 新規事業の立ち上げのスピードが早くなり、柔軟な対応ができるので、企業の国際競争力を高めます。 ◆「人生の設計図」の引き方をきちんと教えましょう 正社員の生涯賃金は2億8千万、フリーターのそれは6千万と言われています。自分の人生を「自助努力の精神」を下地に、きちんと設計できるように教育します。 平均ぐらいの人を平均以上の仕事ができるようにし、平均以下の人を、平均ぐらいの仕事ができるところまで持ち上げると、全体のレベルが上がります。 これが「自助努力の精神」で、国民の富の総量を上げる大切な考えかたです。 ◆主権国家として、きちんとした国防計画を立案実施します 好景気になっても、国そのものが滅ぶことがあってはどうしようもありません。日本に対して邪悪なことを企てている国は見過ごすことはできません。 ◆幸せな人が増える 以上のような政策を実行すると、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。 自由に選べる選択肢が増え、また、自由な発想によって創造される選択肢もどんどん増えます。個人の所得が増え自由の裁量も増えるので、経済的にも老後までの人生設計を引くことができます。 自立した快適な老後のための4原則「お金」「健康」「生きがい」「近隣との友好な関係」を満たし、行政がセーフティネットを確実に用意すれば、年金のみに頼らない老後となるでしょう。 若い子育て家庭でも、お手伝いさんを雇う経済力ができますので、どのような生活をするかの選択肢が増えます。 教育が自由化され、子供一人一人に適した教育環境が選べますので、個人の持っている能力を最大限に引き出す教育を受けることができます。 ◆将来、目指すは無税国家! 小さな政府と安い税金で国を経営していくと、無税国家も夢ではありません。 その時の国の経営資金は、豊かで幸せに生活できることを感謝する国民の、崇高な「ノーブレスオブリージ」による「寄附」で賄われることになります。 これが「国民が喜んで税金を納めたくなる国」のあるべき国家の姿と言えます。 どうなる中国経済!?――日本は中国危機に備えた対策を 2015.04.21 文/HS政経塾2期卒塾生 川辺賢一 ◆世界経済のリスク、中国 中国は15日、今年1-3月期の成長率が7.0%であることを明らかにし、2009年1-3月期以来の低い伸び率であったことがわかりました。 中国の成長鈍化はいまや欧州での経済危機と並び、世界の経済成長を阻害する最大のリスク要因となりつつあります。 果たして、一部のエコノミストや評論家たちによって久しく喧伝されてきた「中国バブル崩壊」論は現実になるのでしょうか。本稿では中国経済の動きを分析し、日本に求められる対策について論じます。 ◆外貨資産を売却し始めた中国 さて15日は中国経済に関してもう一つ注目すべきニュースがありました。 昨今、中国が米国債保有額を大きく減少させたことにより、米国債保有額で日本が中国を抜いて、約6年半ぶりに首位に立ったのです。 これまで中国は輸出拡大を図って為替相場を元安に誘導するため、外為市場で「元売り・ドル買い」介入を続けて来ました。また、そこで得たドル資産を米国債で運用していました。 そのため、中国のドル準備や米国債の保有額は急激に膨張し、2008年8月以来、中国は世界最大の米国債保有国となっていたのです。 ところが昨今の景気後退と米国の利上げ観測により、海外から中国に流入していたマネーが反転し、低リスクかつ高利回りが期待される米国に、流出し始めたのです。 その結果、今年3月、中国は元相場の急落を防ぐため、米国債で運用していたドル準備の一部を売却し、外為市場で元を買い支える「元買い介入」を実施したのです。 つまり、中国は輸出拡大を目的とした「元売り・ドル買い」介入から、元急落を防ぐための「元買い・ドル売り」介入へと為替政策を切り替えたのです。 実際、李首相は15日、「一段の元安望まず」と発言しているように、元安による中国の成長モデルは今、限界に直面しているのかもしれません。 ◆矛盾に直面する中国の経済政策運営 15日の発表が明らかにしたように、不動産市況の不振や相次ぐシャドウバンキングの倒産により、企業の生産や投資が伸び悩み、中国は内需も外需もいまいちです。 そのため、中国担当のエコノミストやアナリストには、中国人民銀行に「さらなる利下げ」を求める声もあり、実際、人民銀の周小川総裁も先月、デフレリスクに警戒する必要があるとし、「一段の緩和余地」があることを示唆しています。(人民銀は19日、預金準備率引下げを決断) しかし、片方で元相場の急落を防ぐべく元買い介入を行いながら、もう片方で内需刺激のために利下げを行うのは、政策運営として混乱していると言えるでしょう。 なぜなら、人民銀による利下げは、国際金融の観点からは、元安要因となるからです。中国の利下げと米国の利上げによって、中国からのマネー流出はさらに加速するでしょう。 さて、これまで「中国バブル崩壊論」は一部のエコノミストや評論家によって喧伝されて来ましたが、共産主義国家ということもあって、実際の中国経済の実情を知るのは困難でした。 ところが、このように矛盾に直面する中国の政策運営から、中国経済の苦境を伺うことができます。 ◆日本の対策――「中国バブル崩壊」対策と「AIIB吸収」構想 さて、私たちは中国クライシスを警戒し、政府は対策を打ち出すべきです。 まず第1に政府は「中国バブル崩壊」対策を打ち出すべきです。 具体的には90年代00年代の過度な円高で中国に進出せざるを得なかった日本企業の中国撤退あるいは親日アジア地域への移転を、国際協力銀行やそのための基金を設立し、金融的に支援することです。 かつて1920・30年代も日本は通貨政策の誤りによりデフレに陥り、経済的に大陸へ活路を見出さざるを得なくなりました。そして、それが日中戦争の遠因となったのです。 これを教訓とするならば、政府は日中友好のためにも、日本企業の中国流出を金融的に支援すべきです。 第2に「アジアインフラ投資銀行(AIIB)吸収」構想です。 先に述べたように、中国経済は現在、下降軌道にあります。そうした中国主導のAIIBに日本が参加を見送ったのは、経済的に正しい判断であったと言えるでしょう。 ただし、幸福実現党が日本の世界戦略として、リニア新幹線や民生化スペースシャトルにより、全世界を一つに結ぶ構想を掲げるように、日本としても、中国政府が提唱する「新シルクロード」構想自体には共感を寄せるべきでしょう。 しかし、下降軌道にある中国主導で進められるのは心もとない限りであり、また本来、こうした構想は一国の主導ではなく、環境や人権にも配慮する複数の国によって、民主的・平和的に進められるべきです。 よって、日本としては時期を見極め、米国の資本を巻き込みつつ、アジア開銀によってAIIBを吸収合弁・子会社化していく道を構想すべきです。 私たち幸福実現党は日本と地球、全ての平和と発展繁栄に全力で尽くします。 実体経済を伴った株価上昇を目指せ! 2015.04.20 文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) 「景気のバロメーター」といわれる日経平均株価が高値で推移しています。4月10日には、「ITバブル」に沸いていた2000年4月以来、約15年ぶりに2万円に届きました。 うれしいニュースではありますが、これは今の日本の経済状況を正しく反映しているのでしょうか? ◆株価上昇の要因とは? この株価の上昇にはいくつか要因があります。 第一に外国人投資家の存在があります。外国人の株式保有比率は2013年度に初めて3割超になっており、アベノミクスによる株価上昇を受けて、海外投資家が積極的に日本株を買い増しています。 第二に円安や景気の回復傾向によって、大手企業を中心に業績が回復していることです。自動車などの主力輸出企業は円安傾向を受けて、追い風を受けています。 第三に積極的に量的緩和政策を取ったことです。金融市場に大量に資金供給を行ったことで、日銀が供給する潤沢な資金の一部が株式市場に流れ込み、株価を押し上げることになりました。 第四に公的資金によって多額の株式を購入したことです。公的年金資産を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)や郵便貯金や簡易保険の多額の資金が株式投資に向かっています。 主にこれらの要因によって株価が上昇したと言われています。 ◆「人工的」な株価上昇 しかし、国民や中小企業、地方からは依然として、景気回復の実感がしないという声が聞こえてきます。 この株価上昇は実体経済の成長を反映しているよりは、政府主導による「人工的」なものが作用しているといえます。このような状況に「お上が株式市場をコントロールしているようで官制相場の様相だ」という声も出ているようです。 金融相場で金余りによって株価上昇の期待が先行気味であることを示しており、このリスクを抱えながら、株式市場が推移することになります。その期待に実際の企業業績が追い付けない場合は、株価を下押しする可能性が高いです。 この状態を是正するためにも、日本経済を再生させ、一般国民にそれが広く波及するよう経済全体の底上げを図る、実体を伴うものにしなければなりません。 ◆日本はそれほど豊かな国とは言えない! 日本国内で年間に新しく生み出された生産物やサービスの金額の総和を国民の人数で割った一人あたりのGDPはOECD加盟国の34カ国中、日本は19位です。 失われた20年によって日本経済は長期低迷しており、ほとんどGDPの成長が止まっていました。その間、中国に抜かれて、世界第3位の経済国となりました。 もともと日本の一人あたりのGDPは世界のトップレベルでしたが、日本の低成長とその他の国の安定成長によって、日本は相対的にそれほど豊かな国でなくなったといえます。 しかし、日本は未来を切り拓き、再び高度経済成長を実現するポテンシャルを多分に秘めています。 ◆日本が秘めている未来を拓く力 「JFEがミャンマーで水道施設の建設事業に参入」「カンボジアの高速道・鉄道を日本の支援で整備」「川崎重工、米国で地下鉄車両を受注」など日本企業による社会基盤(インフラ)技術の海外展開についてのトピックがあります。 日本のインフラ技術は世界一の技術ポテンシャルを持っており、世界から高い評価を得ています。 また、航空機産業においては、航空各社が経営の効率化を急ぎ、燃費向上につながる航空機の軽量化や耐久性などを実現するために、先端技術を持つ日本企業の活躍が期待されています。 ボーイング社最新鋭機「787型機」では日本企業の製造分担比率は35%となっています。このように日本の資産である世界に誇る技術力を生かし、経済成長を図ることができます。 さらに幸福実現党では交通インフラ整備を進め、ヒトとモノの移動をさらに活発化させる「交通革命」を提言していますが、北陸新幹線の開業で早速、効果が表れているようです。 乗客が2.7倍に増え、観光地の入場者も増えるなど観光を後押ししており、沿線は新幹線効果でにぎわっています。 また、宇宙分野では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が日本発の月面着陸機を2018年に打ち上げる方針を固めました。このように経済成長を実現させる施策が、身の回りには多数溢れていることがわかります。 官制相場が息切れする前に、実体経済を改善していくことが必要不可欠です。そのために政府が打ち出す成長戦略を効果的なものとしなければなりません。 政府の縛りを緩め、規制緩和を促進し、民間にもっと自由を与えること、そして国民の自助努力、企業家精神の発揮を促すこと、未来産業への大胆な投資をすることによって日本の力を最大限に発揮させることができ、実体経済を伴った株価上昇を果たすことができると考えます。 地方創生ビジョン 2015.04.17 文/幸福実現党・埼玉県本部副代表 佐々木 まさこ ◆地方選真っ只中 只今統一地方選真っ只中です。4月12日には10都道府県知事選、41道府県議選、17政令市議選を皮切りに前半戦の投開票がありました. 全国的に自民党が圧勝しているという報道がありましたが、投票率は低く、地方政治に対しても、民意として期待感は薄いという感じがありました。 無投票の選挙区が多いのも今回の特徴です。私の住む埼玉県さいたま市北区も県議選、市議選共に無投票で、せっかくの選挙権を使わずに終りました。 全体の印象としては現職優位。新規参入は政治の世界こそ困難を極めています。 ◆地方創生について さて、今回の地方選を機に、地方創生について考えてみました。 去年7月内閣官房に地方創生本部として「まち・ひと・しごと創生本部」準備室が発足しました。地方の人口減少問題解決や地域活性化のビジョンを策定するためです。 政府は「50年後に1億人程度の安定した人口構造を保持する」という目標をかかげ、5年間の具体的施策をイメージし、地方は都道府県中心にそれぞれのビジョンをまとめます。 また、地方創生本部の基本方針として、 (1) 若い世代の就労・結婚・子育ての希望の実現。 (2) 「東京一極集中」の歯止め。 (3) 地域の特性に即した地域課題の解決。 などを盛り込んでいます。 ユートピア建設も家庭の幸福が基礎であるように、基本となる地方の安定した発展があってこその国家運営です。 ◆地方の過疎化と活力低迷の解決策 地方の過疎化と活力低迷の解決策として、次の3つの施策を提言します。 (1)『交通革命』と『新産業革命』を合体 経済効果の鍵は、速度をはやめること。物流の回転を速くすることです。 リニア新幹線や高速道路の整備で、人や物流がスピーディに往来できるよになることがまず必要です。しかしその先に町おこし的産業計画がないと人は定着しません。 地方に産業を興し、人を集める計画と、リニア新幹線を通すなどの交通革命を合体させて初めて相乗効果が増します。地方に優良企業があれば、優秀な若者、人材が戻ってきます。 企業や工場、学校の誘致を積極的に進めるべきです。この時に、町役場や市役所が推進するのではなく、心ある企業家が地方創生の聖なるミッションを持ち企業できれば、その地域特有の創造的産業が生まれます。 さらに大胆な企業誘致の推進するために、一定期間の法人税の優遇なども必要かもしれません。地方独自でベンチャー企業を育てることも可能です。北陸新幹線や北海道新幹線は、地域経済の弾みとなるでしょう。 (2)地域振興と「教育」の結びつきを強化 地域人材の確保として、若者に魅力的な町づくりが必要です。その地域特有の産業の振興に必要な教育機関の創設などは、更に効果的な町おこしとなります。 普通教育、総合教育というより、その産業や仕事に奉仕できるタイプの学校、専門学校や単科大学などは、地域に即した教育システムとして、ベンチャー企業とタイアップできます。 その地域でベンチャー企業群を育てる教育機関として相乗効果のある地方活性システムができるでしょう。 就職率100パーセントを誇る秋田県の国際教養大学は、英語ができるグローバル人材養成で有名となりましたが、地域創生にも一役買っていると思われます。 今年4月千葉県長生村に開校したハッピイ・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)は、将来国際的に多方面で活躍する人材を輩出する大学として大いに期待され、長生村からも地域創生の要として歓迎されています。 (3)資本主義の精神の見直し すべての基は心の在り方です。日本の資本主義の原点ともいえる二宮尊徳は、藩の赤字を次々と黒字化させ、多くの雇用も創りだしました。資本主義は、勤勉さと創意工夫が原点です。 アベノミクスは、増税路線でバラマキ傾向にありますが、大きな政府を頼っての税金頼りは、地域振興に最も必要な意欲、工夫、解決力、判断力といったものを失ってしまします。あくまでも自助努力の精神で、創造する力が大切です。 また道州制など、地方分権の落とし穴を見抜かなければいけません。 大阪都構想など道州制に意欲的な背景には、消費税の地方税化を期待する傾向がありますが、道州制は、結局行政の組織・人員の肥大化を招き、コストの増大をもたらす危険があります。 あくまで政府機関は、必要以上に大きくすべきではなく、小さな政府と企業家精神こそが民間の活性化につながります。 また今の様に防衛・外交に懸念ある時代には、道州制によって防衛の手足を縛られる危険があります。現沖縄県の様に、一県が国の防衛を左右するケースがさらに起きてくるかもしれません。その点注意が必要です。 以上、地方創生について簡単に述べましたが、来る4月26日は統一地方選の後半選挙が行われます。われら幸福実現党からも、40人以上の公認候補者、推薦候補者が出馬する予定です。 この方々が必ず、地方創生の立役者として大いにご活躍するものと信じています。必ず大勝利致しますように祈ってやみません。 【参考】 『富国創造論――公開霊言 二宮尊徳・渋沢栄一・上杉鷹山』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=86 『政治の理想について』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=112 『「地方創生」の背景と論点』 毎日新聞論説委員 人羅格論考 高浜原発3・4号機の再稼働差し止め仮処分 疑わしい司法判断 2015.04.15 文/HS政経塾3期卒塾生 森國 英和 ◆高浜原発の再稼働差し止めの仮処分を認めた福井地裁・樋口裁判長 福井地方裁判所(樋口英明裁判長)はこのほど、関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めの仮処分決定を出しました。 樋口裁判長は決定文の中で、原子力規制委員会の設けた新規制基準は、「緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠く」と断じた上で、「(住民らの)人格権を侵害される具体的危険性即ち被保全債権の存在が認められる」として、差し止め仮処分を認めました。 高浜原発3、4号機は、原子力規制委員会が設けた新規制基準をクリアし、15年内に再稼働する可能性も高まっていました。 関西電力は今後、不服申立てをするようですが、「最終的な司法判断が出るには1年以上かかる」との見方もあり、今回の仮処分決定で、再稼働は大きくずれ込むことになりそうです。 ◆今回の仮処分決定に対する反応 この地裁決定について、新聞各紙は1面で大きく報じ、社説で次のような反応を示しています。 ○判決の“偏向”に疑問を持つ産経・読売・日経 産経(社説・2面):「負の影響」計り知れない 読売(社説・3面):規制基準否定した不合理判決 日経(社説・2面):福井地裁の高浜原発差し止めは疑問多い ○判決の“画期性”を愛でる朝日・毎日・東京 朝日(社説・16面):司法の警告に耳を傾けよ 毎日(社説・5面):司法が発した思い警告 東京(社説・5面):国民を守る司法判断だ 当事者の関西電力については、この仮処分決定を「想定内」と見立てているとも報道されており、抗告して裁判官を変えれば、関西電力側の主張が認められると考えている節もあります(4/15朝日2面)。 また、安全審査に携わる原子力規制委員会も「審査への影響もない」として、審査の手続きをそのまま進める予定です。 とはいえ「仮処分」の決定は、すぐに法的な拘束力を発します。つまり、今回の仮処分に対する不服申立てが認められるか、本体の訴訟が確定するなどして、今回の司法判断が覆されない限り、高浜原発は再稼働することができないことになります。 ◆この司法判断は妥当とは言いがたい 今回の判決は、裁判官個人の思想によるところが大きかったのではないかという指摘が有力です。 森嶌昭夫・名古屋大学名誉教授は、「仮処分は具体的な危険が迫っていると認められる場合に下されるものだ。大地震や大津波が襲うような具体的な危険が本当にあるかについての論拠に科学的な根拠は乏しい。法律家としてではなく、一市民としての個人的な感情に触れすぎているのではないか」と述べて、今回の地裁決定を批判しています(4/15日経)。 昨年5月の大飯原発に関する訴訟(現在、高裁で係争中)において、原発の運転に「ゼロリスク」を求めた樋口裁判長は今回、原子力規制委員会が設けた規制基準について、踏み込んだ判断を示しました。 しかし、それが行き着く結論は、「原発稼働の基準は、どのような内容であれ、定められない(定めさせない)」「原発再稼働は絶対に許さない」ということです。 池田信夫氏は自身のブログで、今回の決定について、「これは原子炉等規制法違反である。(今回の地裁が取り上げている)基準地震動は各地域の地質調査をもとにして、公聴会や事業者のヒアリングが行なわれた上で委員会が決定する。これが『緩やかすぎる』というなら、それを示す地質データを出して異議申し立てを行なうことは可能だ。そういう手続きを全部すっ飛ばして『史上最大の地震は基準地震動より大きい』などという理由で規制基準を否定することはできない」と述べています。 専門技術的な判断をほとんど顧みることなく、「人格権」を名目として、ズカズカと基準の中身に踏み込むところには、独善性を感じずにいられません。 今後、不服申立ての後の判断や、本体の訴訟がどのように推移するかは、国家の原子力政策に大きな影響を与えるので、注目にしておかねければなりません。 ◆「仮処分カード」が濫用されるおそれ 今後、脱原発派の「仮処分カード」が濫用されるおそれがあります。それについて、3点指摘しておかなければなりません。 1点目としては、「仮処分」が認められることで、原発再稼働が遅れた場合、電力会社を財務的に圧迫し、電気料金の値上げという形で補填される可能性があるということです。 今回の原告は、福井、京都、大阪、兵庫の住民9名でしたが、それをもとにして出される仮処分が、関西電力圏内の家庭や工場、企業全体の電気代の値上げにつながることも考えられます。それが、司法判断の帰結として許されるのか、熟考すべきです。 2点目としては、「仮処分」が認められた後、仮処分の内容が覆された時、仮処分を申し立てた人が損害賠償を求められる可能性があるということです。今回だと、高浜原発の再稼働が今後、法的にも問題ないとみなされ場合、今回の原告9名は、大きな額の損害賠償を求められることにもなりかねません。 ちなみに、鹿児島の川内原発について、同様の仮処分申し立てをした原告約10名が、損害賠償の可能性を理由に申請を取り下げています。(この時九州電力は、仮処分の審尋で「再稼働が遅れれば、1日当たり約5億5千万円の損害を被る」との準備書面を提出していた。) 3点目としては、憲法上の権利として「環境権」が盛り込まれた場合、この手の訴訟が多発するおそれがあるということです。今回初めて、原発の稼働の差し止めの仮処分決定が出されましたが、憲法上の権利への「格上げ」がこのような流れを助長することもありうるでしょう。今回の司法判断を、憲法議論をする上での教訓にもすべきだと考えます。 いずれにせよ、今回の高浜原発についての仮処分決定は、やっと再稼働しようとしていた原発政策に大きな衝撃を与えました。2014年度は原発稼働がゼロで、その状態から本格的に脱皮しようとしていた矢先の司法判断でした。 今度は、九州電力・川内原発の再稼働についての再稼働差し止め仮処分の判断が、4月22日、鹿児島地裁で下されます。 その判断に注目を集めつつ、鹿児島地裁では、誤った司法判断が下されないことを期待したいと思います。 政府は高浜原発再稼動に全力を尽くせ! 2015.04.14 文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太 ◆オドロキの高浜原発再稼動差し止め 14日、福井県や関西の住民ら9人が関西電力高浜原発3、4号機の再稼働差し止めを求めた処分の申し立てに関し、福井地裁(樋口英明裁判長)は住民側の主張を認める決定を出しました。 2月には再稼働の前提となる原発の新規制基準に基づく「審査書」を決定し、先月20日には、地元の高浜町議会が再稼働に同意していた矢先の司法判断となります。 今回、仮処分の手続きによって原発の運転差し止めが認められたのは初めてのこととなります。 関西電力側としては高浜3、4号機の再稼働を今年11月と見込んでおりましたが、差し止め決定の取り消し・変更や仮処分の執行停止がない限り、再稼働することができず、日本で原発再開の灯がまた遠ざかってしまいました。 ◆福井地裁の差し止めに対する不服の声 運転差し止めを認めた福井地裁の樋口裁判長は、決定理由として「基準地震動を超える地震が高浜原発に来ないというのは根拠の乏しい楽観的見通しにすぎず、現実的で切迫した危険がある」と指摘しています。 また、原子力規制委員会の規制基準については、「深刻な災害を引き起こす恐れが万が一にもないといえるような厳格な内容を備える必要があるが、基準は緩やかすぎて、適合しても安全性が確保されていない」と規制基準自体に合理性がないと判断しています。 これに対し、関電側は「準備ができ次第、速やかに異議の申し立てと執行停止の申し立ての検討をしたい」と述べ、裁判所に理解してもらえない不服の念を表しました。 更に、地元の高浜町では住民らが戸惑いを口にし、高浜町商工会の田中康隆副会長も「原子力は国家事業で、共存共栄を図ってきた。原発が再稼働すれば町の経済が活性化すると思っていたので、決定に驚いている」と述べています。 ◆「法律の遡及適用」は法学の大原則に反する 周囲の不服の声からも推測できる通り、今回の福井地裁による仮処分は、日本の未来を根底から狂わせかねない「トンデモ判断」と言わざるを得ません。 まず、原発の安全性を評価する基準としては「世界一厳しい」とされている日本の新規制基準を「緩やかすぎる」と判断したこと自体、客観性が著しく欠如しているとしか言えません。 また、そもそも既存の原発に新基準を当てはめるという「法律の遡及適用(バックフィット制度)」自体が、事後法の禁止などと並び、「法律不遡及の原則」として、法学の大原則に反するということを知らねばなりません。 原発の場合、安全性に関わり、社会に及ぼす影響が極めて大きいという理由で、遡及適用を行なうことになっておりますが、こうしたバックフィットの考え方は、本来は極めて慎重に適用していかねばいけない「例外」であるのです。 ◆エネルギー安全保障の見地から政府は高浜原発再稼動に全力を尽くせ! ただでさえ、原発の停止を補うため、火力発電の燃料に使う天然ガスなど化石燃料の輸入額は年3.7兆円増え、電気料金(全国平均)は東日本大震災前と比べ、家庭向けで約2割、企業向けで約3割高くなっており、日本の産業競争力に与える影響は甚大です。 中東に目を向ければ、現状イランを筆頭とするシーア派と、サウジアラビアに代表されるスンニ派との宗派対立の激化、核開発を嫌悪するイスラエルとイランの有事など、今後更なる混迷が待ち受けているでしょう。 そんな中、日本は原油を8割以上、天然ガスを3割近くを中東に依存状態にあり、もし中東有事により化石燃料の確保が立ち行かなくなれば、日本のエネルギー安全保障の根幹が崩れることになり、国家存亡の危機に陥るということは、妄想や空想ではなく、極めて現実的な議論といえます。 是非とも、日本政府としては、大局観なき左翼的な司法判断に断固負けず、高浜原発の再稼動こそ、日本のエネルギー事情の今後を占う試金石であるという強い意思を持って、全力を尽くしていただきたいと願っております。 10%への再増税を中止し、経済活性化へ 2015.04.08 文/HS政経塾3期卒塾生 瀬戸優一 ◆2017年4月の再増税 2015年度税制改正関連法が3月31日、参院本会議で可決され、消費税の10%への引き上げが2017年4月となることが決定しました。 今回の増税決定については、「景気条項」が削除されたことにより、景気情勢次第で延期することができなくなってしまいました。 つまり、どんなに景気が悪化しても増税を行うという意思の表れでもあると言えます。 ◆2014年4月増税後の状況 しかし、これに対し昨年4月の消費税増税以降、景気の悪化が止まらない状態にあります。 日銀が4月2日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第61回)によると、昨年4月の消費税率引き上げ後に6割の家計が支出を控え、そのうち75%が現在も支出抑制を続けていることがわかりました。(4/2 ロイター) つまり、消費税が上がったことにより、消費が抑制されているといえます。景況感は改善されているということですが、実際には消費は心理であり、心理的に消費に対する支出の抑制がなされているということは、今後その影響が現実に出てくるといえるのです。 ちなみにこの調査では、消費増税後の支出の変化に対する問いについて「支出を控えた」「支出をやや控えた」という回答が合計で59.8%と全体の6割に達しています。 また、このうち影響の長さでは75.3%が「現在(冬)でもなお支出を控えている」と回答しており、多くの家計で増税後の支出抑制が続いている実態が浮かび上がっています。 さらに増税後に支出を控えた理由(複数回答可)では「物やサービスの値段が上がったから」が82.1%に達していて、次いで「収入が減ったから」が36.4%、「消費税率引き上げ前に前倒しで支出したから」との回答は13.4%ということで、深刻な影響が出てきているともいえると思います。(4/2 ロイター) ◆アベノミクスの効果も薄く これに対して、本来安倍政権では消費税を増税することで景気が悪化しないように、むしろ経済を活性化させて財政再建と景気回復の両者を同時に達成することを目指し、アベノミクスを打ち出し、効果があったとPRしています。 しかし残念ながらその効果はかなり限定的なものであったと言わざるをえないと思います。 消費が回復しかけてきた時点での消費税増税は、一気に消費に向かう心理を冷え込ませてしまったといえるのです。そしてそれが先に挙げたアンケート調査から如実に読み取れるということです。 この状態で2年後に再増税をしたらどうなるでしょうか?消費のさらなる冷え込みについては、想像に難くないと思います。 現時点でも政府は有効な手立てを打つことが出来ていない以上、極めて厳しい状況が予想されるのです。 ◆景気回復のために これに対し、幸福実現党は一貫して、景気回復には“減税”が必要であると訴え続けています。 確かに可決された税制改正関連法では法人実効税率を2年間で3.29%引き下げることで、企業収益が上がり、税収も上がることが期待されています。 しかし、消費税が上がる以上、最終消費者の消費が冷え込むことで、結局収益は悪化する可能性が高いといえるのです。 例えBtoBのビジネスであっても、その相手先がBtoCビジネスを展開していたとすれば、結果的に費用削減などにより、収益が悪化する可能性があります。 最終的に景気を回復させるためには、消費を活性化させなければならないのです。それによって、GDPも回復し、日本経済が活性化していくということを、立党以来訴え続けてきました。 消費が回復することで、企業の収入も増え、それによって働く人の収入も上がっていく、そうしたプラスのスパイラルに日本は入っていかなければならないといえるのです。 幸福実現党は、今後も減税路線を一貫して貫き、それが経済を活性化し、増税をしなくても結果的に増収にもつながっていくのだということを主張して参ります。 ■新刊紹介! 「幸福実現党テーマ別政策集 2 『減税』」 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1442 著者 大川裕太 定価 1,404 円(税込) 発刊元 幸福実現党 幸福実現党の政策は 本当に実現可能なのか!? 同党に寄せられる疑問・反論を、検証に基づき一挙解決! ▽消費増税の中止 ▽所得税・法人税の引き下げ ▽相続税・贈与税の廃止 ▽経済成長による財政再建 目次 序 章 幸福実現党の経済政策について 第一章 消費減税 第二章 相続税・贈与税の廃止 第三章 法人税・所得税の減税 第四章 財政再建 すべてを表示する « Previous 1 … 42 43 44 45 46 … 78 Next »