Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【後編】 2022.05.28 https://youtu.be/FCdIYOD1K5I 幸福実現党党首 釈量子 ◆現代でも起きている「宗教弾圧」 90歳にもなる枢機卿を逮捕するというのはれっきとした「宗教弾圧」ですが、これは中国共産党、習近平主席の方針に沿ったものと言えます。 中国では以前から、中国が任命した司教をバチカンが正式に追認するように求めていました。 中国共産党に忠実な人物が司教になれば、宗教は骨抜きです。専門家は、「バチカンが実質上、宗教信仰を認めない中国当局に妥協した」「悪魔との取引だ」と批判されていました。 中国の南部では、教会は破壊され、十字架はバーナーで焼き切られていますし、信徒の名簿が当局に渡れば逮捕 されます。こうした流れが、香港に及ぼうとしていると言えます。 昨年10月、中国政府の強い意向によって、香港の司教たちカトリックのトップが、中国政府の息のかかったカトリック、中国天主教愛国会から「宗教の中国化」についてレクチャーを受けたと言われています。 さらに、2か月後の12月、習近平主席は全国宗教工作会議で「わが国の『宗教の中国化』の方向を堅持する」とも演説しています。 ◆「宗教の中国化」という思想 この「宗教の中国化」というのは、習近平主席の宗教政策におけるキーワードです。 簡単に言うと、「宗教は中国共産党の考えに従い、その考えの普及に協力せよ」という内容です。 中国は、表向きには憲法で「信教の自由」は保障されています。(「中華人民共和国憲法」第36条) しかし実際は、中国の教会では、中国共産党に許可されていない教えの実践や説教といったことは禁止されています。 それどころか、習近平主席の思想を宣伝することまで要求され、厳しい検閲を受けています。 つまり中国の言う「信教の自由」とは、「習近平を“神”として崇めよ」ということです。これが「宗教の中国化」の本質です。 中国の仏教寺院のトップは「習近平の言葉を写経せよ」と言って指導をしている話も出ています。 そして香港でも、2020年7月の香港国家安全法の施行以来、「信教の自由」が著しく侵害されています。 キリスト教の神父も、中国共産党の取り締まりを恐れて、説教の内容を「自己検閲」しているとも言われています。 そういった厳しい逆風の中でも、中国政府による宗教弾圧に声を上げ続けていたのが、今回逮捕された陳日君(ゼン・ゼキウン)枢機卿でした。 世界から非難の声があがっているウイグル人への弾圧も、イスラム教といった宗教を根絶やしにするためのものです。 香港において、国際社会で目立ち過ぎないようにしつつも、着実に香港を「ウイグル化」しようとしているのが、習近平政権の狙いでしょう。 西側諸国の目から逃れつつ、香港市民を抑え込み、香港の経済的繁栄を手に入れてしまおうという魂胆です。 ◆最後の希望 そのために習近平主席が排除したいのがまさに「宗教」です。全体主義は宗教を恐れます。 宗教はこの世を超えた「あの世」「魂」といった存在を認めているので、この世の命を捨ててでも「自由」を守り、「信仰」を守ろうとする存在が本当に恐いからです。 これに対して、唯物論・無神論の国は、地上の権力者を「現人神」にします。それは「古代の暴君と同じような者が神を名乗れる」ということです。 だからこそ、宗教が最後の希望です。 大川隆法総裁が『メシアの法』で、「全体主義の傾向」として、次のように警告を鳴らしています。 「香港を制圧したら、次は台湾を制圧したくなるのです。間違いなくそうなるのです。そのあとは、尖閣とか沖縄も欲しくなるし、フィリピンの島から本土も取りたくなるし、ベトナムも取りたくなります。そのための布石として、ミャンマーの軍事政権はすでに北京に押さえられていて、布石は着々と打たれています。」 ◆全体主義と戦う幸福実現党 私たちは、「香港の自由を奪い、台湾を狙う中国の暴挙を放置したら、ヒトラーが順に国を取っていったのと同じことが起きる」と危惧しています。 私たち幸福実現党は宗教政党として、全体主義と闘います。 昨年から「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を行って、 5月12日に内閣府を通じて岸田文雄首相に提出してきました。 ■内閣総理大臣宛に「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を提出 https://info.hr-party.jp/2022/12681/ 日本の国会は、中国に対して未だに名指しで批判することもできず、ジェノサイド認定もしておりません。 公明党の強い意向を受けて、踏み込めないという実態があります。 また、自分の国を守ると言っても、憲法9条の根本的な改正もできていない自民党は、憲法の見直しではなく、「加憲」をすることでもって留まっております。 今回の逮捕をはじめ、中国の悪事に対しては、断固、非難の声を上げていくとともに、日本、台湾、アジアの平和を守るために国防の強化をしっかりと訴えていきます。 カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【前編】 2022.05.27 https://youtu.be/FCdIYOD1K5I 幸福実現党党首 釈量子 ◆急激に進む、香港の「ウイグル化」 急激に香港の「ウイグル化」が進んでいます。 「ウイグル化」とは、中国が新疆ウイグル自治区と呼ぶ東トルキスタンのウイグル人たちが置かれた悲惨極まりない状況に近づいてきているということです。 ウイグルでは、罪なき人々が「強制収容施設」に収監され、虐殺と搾取によって事実上の植民地、監獄同然となっています。香港はもはやそのような状況になってきています。 5月11日、カトリック教会の香港教区トップの司教をつとめた、陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿ら少なくとも4人が「香港国家安全法」により逮捕されました。 ゼン氏は2002年から2009年の間に香港司教を務め、2006年に枢機卿に任命されました。「雨傘革命」では主導的な役割を果たして民主化運動を応援し、「香港の良心」と呼ばれた方です。 幸福の科学グループの雑誌「ザ・リバティ」の取材にも何度も応じていただき、「中国も民主主義を導入すべき」ということを語っておられました。 ■「香港の信教の自由は風前の灯」 香港の良心と呼ばれる陳日君枢機卿インタビュー 2019.09.29 https://the-liberty.com/article/16317/ ◆「香港の良心を逮捕した男」とは 今回の一連の逮捕は、香港で新しい行政長官が選出された直後というタイミングですが、その新行政長官・李家超(ジョン・リー)氏は、香港警察の元保安局長です。 李氏は2019年からの民主派デモを弾圧したり、中国政府を批判していた蘋果日報(アップル・デイリー)を潰した強硬派として知られています。 この手腕を中国政府に評価されて、香港政府の事実上のナンバー2である政務官に抜擢されていました。 さらに、李氏は保安局時代の2018年、中国・新疆ウイグル自治区の「テロ対策施設」を視察していて、そこでは「大変参考になる」などと発言していたことも報じられています。 この「テロ対策」というのは名ばかりで、そこではウイグル人への大量虐殺、ジェノサイドが行われていることは言うまでもありません。 しかも、李氏はその後、香港と中国の境界近くに「反テロ訓練施設」をつくることを計画しています。 この施設は、拘束された活動家への拷問・強姦などで悪名高い「新屋嶺(しんおくれい、広東語ではサン・ウク・リン)拘留センター」の隣に、東京ドーム4個分もの広さで建設が進んでいます。グーグル・アースの衛星写真からも確認することができます。 市民からは、「強制収容所が建設される」「新屋嶺(しんおくれい)ではなく、新疆嶺(しんきょうれい)だ」と恐れる声が上がっていました。 今回の逮捕は、新行政長官が今後、香港の弾圧をさらに強化していくことを暗示しているといって間違いありません。 ◆相次ぐ海外の批判、そして“慎ましやか”な日本 これに対して海外では批判の声が相次ぎました。 アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は5月11日、「香港当局が再び、あらゆる手段で異論を封じ、権利と自由を傷つけていくことを示した」との声明を発表し、香港政府を批判しました。 またイギリスのジェームズ・クリバリー大臣は、議会に対する声明で、「国家安全法による、民主派の逮捕は受け入れられない」「中国および香港当局には、国家安全法への強い反対を表明し続ける」と非難の声を上げています。 一方、バチカン(ローマ教皇庁)はゼン氏の逮捕について、「懸念している。今後の状況に最大の注意を払う」と遠慮がちなコメントを出しています。 これら、欧米の批判に対しては、中国政府の香港への出先機関(である外交部駐香港特派員公署)は「バカな政治劇はやめろ」と反論をしていますが、こういうのを、厚顔無恥というのだろうと思います。 残念なことに、日本の岸田文雄首相は5月4日にローマ教皇フランシスコと会談したばかりですが、 日本政府からは特に非難の声は出ていないようです。 (後編につづく) ウクライナ戦争で進行する史上最悪の食料危機【後編】 2022.05.19 https://youtu.be/usLR-0zspWU 幸福実現党党首 釈量子 ◆世界の「肥料庫」としてのロシア 史上最悪の食料危機は日本にどう影響するのでしょうか。 輸入とうもろこしの1%がロシア産で、輸入のほぼ全量を米国やカナダ、オーストラリア、ブラジルなどからの輸入のため、価格高騰の影響は受けながらも、「食料危機が日本を直撃」という事態には至っていません。 その代わりに、日本を直撃するものが「肥料危機」です。日本は肥料原料のほぼ全量、99%を輸入に依存しています。 ロシアはその肥料の三要素である「窒素、リン酸、カリウム」の全てで重要な役割を担っており、世界の「肥料庫」なのです。 三要素のうち、カリウムの25%をロシアとベラルーシに依存し、リン酸については、日本の輸入の約9割が中国産だと言われています。 現代の農業においては、化学肥料なしでは、産業ベースに乗る収量や品質を維持することが出来ず、絶対的な必需品です。 世界最大の肥料庫であるロシアからの供給が、ウクライナ戦争による物流の混乱と経済制裁の両面から途絶えることになれば、この「肥料危機」が日本はもちろん、世界中の農業に大打撃を与えることになります。 山形県で20ヘクタール以上の規模で米作を行う農業経営者にインタビューしたところ、次のように言っていました。 「肥料危機は次年度以降の農業経営に直撃する。肥料会社に問い合わせたところ『次年度も予約さえ入れれば同量確保は可能だが、価格は倍以上になる』と言われた」 また、「昨秋から、中国のリン酸や尿素などの輸出制限で肥料が高騰しているのに加え、トラクターの動力で使う軽油1600Lの経費など、ただでさえ苦しい。販売価格を大幅に上げるしか、生き延びる道はない」と。 ◆危機感ゼロの日本 米欧追従を貫く日本は、ロシアを敵に回してしまったことで、国防的には、北は北海道、南は沖縄に至るまで、ロシア・中国・北朝鮮といった敵性国から包囲され、いつ攻撃を受けてもおかしくない状況です。 また、資源インフレが起きる中、資源小国・日本の数少ない希望である原発再稼働も一向に進まず、エネルギー安全保障の脆弱さは否めません。 このタイミングで中国による台湾侵攻がもし起これば、日本のシーレーンは途端に封鎖され、エネルギーのみならず、食料の輸入も止まる可能性があるのです。 反面、13億人以上を抱える中国は、世界の穀物在庫(小麦51.1%、トウモロコシ68.8%、コメ59.8%)の半分以上を抱え、過去最高水準にまで、在庫を積み上げています。 要するに、世界は穀物在庫の残りを中国以外の国々で分け合っている図式になります。 中国は、肥料についても「一帯一路」の沿線国から輸入増強を図り、肥料生産プロジェクトも推進しています。 不測の時代に備える中国のしたたかな食料戦略を、危機感ゼロのお花畑・日本も少しは参考にしなくてはならないのではないでしょうか。 食料安全保障の柱を立てるためにも、今こそ「減反政策」を完全に廃止し、「食料増産体制」を確立すべきです。 そして世界最大の「肥料庫」としてのロシアとの関係改善を図ることは、日本の食糧増産にとって、シンプルかつベストの方策でしょう。 軍事防衛の面でも、エネルギー・食料安保の面でも、日本の危機を脱するカギを握る国は、実はロシアであるという現実認識がいま求められています。 岸田首相は、欧米追従一辺倒ですが、国家存続の危機に立たされた日本を守り抜くためには、「ウクライナよりも、ロシアを失った方が日本の打撃は大きい」ことを直視すべきです。リアリスティックな判断が必要です。 ウクライナ戦争で進行する史上最悪の食料危機【前編】 2022.05.18 https://youtu.be/usLR-0zspWU 幸福実現党党首 釈量子 ◆史上最悪の「食料危機」が到来 世界中のメディアがロシアとウクライナにくぎ付けになるなか、水面下でジワジワと食料危機が進行しています。 5月4日、「世界食糧計画(WFP)」(※1)は、突発的な事案で十分な栄養を摂取できずに命や生活を危険にさらす状態を示す「急性飢餓」の人口が、2021年から約4000万人も増加、過去最悪の1億9300万人に上ったことを明らかにしました。 3月末にWFPのビーズリー事務局長は「ウクライナでの戦争は第2次世界大戦以降、目にしたことのないような大惨事を地域の農業と世界の食糧・穀物供給をもたらそうとしている」とし、「大惨事の上の大惨事」と最大級の警告で表現しています。 なぜなら、今回の戦争が、世界有数の穀倉地帯ウクライナとロシアとの間で行われているからです。 ◆世界の2つの「食料庫」を直撃するウクライナ戦争 FAO(国連食糧農業機構)が毎月発表している、世界の食料価格指数(肉、酪農品、穀物、野菜・油糧、砂糖、2014~2016年平均=100)を見ると、2022年2月には1990年の統計以来の最高値141.1ポイントを記録しています。 更にウクライナ戦争が本格化した3月度は159.7と食料全体で未曽有の高騰を見せています。その中でも上昇が目立ったのが穀物で、170.1とこちらも過去最高値となっています。(※2) 小麦の世界の生産量は、2021年が7億7587万トンです。ロシアとウクライナの合計は、1億1835万トンで、2か国の生産規模は、全体の13.5%にあたります。 また、小麦の輸出量ベースを見ると、ロシアは世界第1位、ウクライナが世界第5位、2か国合計で国際穀物市場に流通する小麦の約25%~30%を占めます。 両国に小麦輸入の3割以上を依存している国がなんと50か国近く(世界196か国中)もあるという驚くべき状況です。 フランスのデータ分析会社(ケイロス)は6日、ウクライナの22年度産の小麦生産量は前年比で35%以上減少する見通しだと発表しています。 トウモロコシについても、ウクライナが世界第4位の輸出国で、世界の約20%を賄っています。 植物油の原料になるヒマワリ油に至っては、ロシア・ウクライナの2か国だけで世界流通の70~80%を占めているのです。 ◆「食料争奪戦」による争いが世界中で起こる? 特にウクライナへの小麦依存度が6割に上る、エジプトやトルコ、イランなど中東・北アフリカの国々では、すでに食料価格の急激な上昇に喘いでいます。 例えば、エジプトなどでは主食であるパンの価格が50%も上昇し、人口1億人の約3割にあたる貧困ライン(1日1.9ドル以下)を下回る人々の生活を直撃しています。 2011年に北アフリカのチュニジアからエジプト、中東全域に広がった「アラブの春」の革命のうねりは、実は、前年度のロシアやウクライナでの小麦の不作によりパン価格が高騰し、庶民の不満が渦巻いたことに端を発しました。 結果的に、複数の政権が転覆、カダフィ政権が倒れたリビアは未だ内戦状態、アサド政権打倒で内戦に突入したシリアも未だに混迷を深めています。 また、ロシアやウクライナに輸入依存していない国々であっても、不作や冷害などがひとたび起きると、それまで輸出に回していたものを、国内向けに確保するという動きになります。 そして、国際市場に出回る量が一気に減少してしまうために、世界的に一気に急騰する傾向があります。 ◆史上最悪の「食料危機」、真犯人は誰か? さて、ロシア・プーチン大統領は、4月5日、閣僚等と行った「農林水産業開発会議」において、食料供給については「ロシアに対して敵対的な政策を堅持する輸出を注意深く監視しなくてはならない」と述べました。 この食料危機において、自国の強みとしての穀物を「戦略物資」として、十二分に活用し、少しでも外交を有利に進めるつもりでいます。 実際に、ロシアは3月中旬に小麦の輸出制限を発表する一方で、ウクライナ産の小麦が手に入らないエジプトに対しては、ロシア産小麦を前年比の6倍近くまで輸出を急増しました。 イラン、トルコ、リビアにおいても前年比の2倍超を輸出しており、ウクライナ産が手に入らず困窮する国々に小麦を売り、結果的には、紛争の拡大を抑止している形になっています。 対してバイデン政権は食料危機に苦しむ国々へ870億円(6億7千ドル)規模の食糧援助を発表してはいます。しかし、今回の戦争の発端は、ロシアを挑発し、ゼレンスキー大統領をあおりに煽ったバイデン大統領の責任を問わねばなりません。 (後編につづく) (※1)世界食糧計画(WFP)53カ国や地域を対象とした食料危機に関する2021年度の調査報告書 https://ja.wfp.org/news/shiliaoweijiniguansurukuroharubaogaoshushiliaobuannojilugengxin (※2) https://www.fao.org/worldfoodsituation/foodpricesindex/en/?msclkid=6b1d3212cea311eca461734688c9448c 終わらないウクライナ戦争 世界大戦勃発の予兆【後編】 2022.05.06 https://youtu.be/jyY-VpZ1OIA 幸福実現党党首 釈量子 ◆戦争が世界に飛び火、核攻撃も 前編では、(1)ロシアとNATOの全面戦争の可能性を指摘しました。 (2)北朝鮮の戦術核による攻撃 戦争がアジアに飛び火する可能性も濃厚です。すでに、ロシアと北朝鮮の動きは連動しています。 北朝鮮は3月24日、長距離弾道ミサイルICBMの発射実験を行い、4月16日に新型誘導兵器の発射実験を行っています。 4月25日には、朝鮮人民革命軍創建90周年の軍事パレードを行い、(核兵器について)「戦争防止という一つの使命だけに縛られない」と発言しています。 その意味するところは、基地を攻撃するなど限定的な「戦術核」を使用するということです。 この発言によって、北朝鮮による核攻撃のハードルが一気に下がりました。 大川隆法総裁は4月26日に、「宇宙存在であるヤイドロンのメッセージ」を公開しています。 「(北朝鮮の」韓国への軍事侵攻が、もう近い。大統領替わる頃に何かやりたいと思っているだろうと思います」と。 5月10日に韓国ユン大統領の就任の代わり目にミサイルを撃つ可能性もあると警告しています。 米国や韓国はこうした北朝鮮の新しい動き、戦術核に対策ができるでしょうか。 (3)ロシアによる北海道侵攻 岸田首相は、ロシアへの経済制裁のみならず、自衛隊機を派遣するなどかなり深入りし、あっという間にロシアを敵対国にしてしまいました。 このままいけば、日本は尖閣防衛に加えて、ロシアによる北海道侵攻に備えなくてはなりません。 オホーツク海の海底には原子力潜水艦があり、もし米国がロシア本土に核攻撃した場合、核ミサイルで報復できます。 ロシアにとっても西からNATOが迫ってきたように、東から日米同盟が迫り、日本がロシアの敵対国になるならばどうなるでしょう。 プーチン氏は、オホーツク海に面した北海道の北側や東側をロシアの安全圏として確保しなくてはならないと考えるはずです。 北方領土の軍事基地からミサイルを撃ち、札幌の空が赤く染まったり、旭川で市街戦が行われるといった未来もありえます。 日露平和条約交渉の際にも、プーチン大統領は、北方四島を返還した場合に、米軍は駐留しないと確約するよう、安倍首相に強く求めました。 しかし、安倍首相は、日本は日米同盟があるので、米軍が駐留しないとはハッキリ言い切ることができなかったために、平和交渉が進みませんでした。 主権国家なら判断できるはずですが、「アメリカにお伺いを立てなければいけない」ということです。 今年の秋には、北海道で日米共同訓練が行われます。これらが全て、ロシアへの敵対行為として捉えられます。 最近、ロシア下院副議長が「北海道は元々ロシア領だった」と発言するなど、ロシアの口先介入はすでに始まっています。 しかし、ロシアが北海道に攻めてきても、米国は本当に日本を守ってくれるかは分かりません。 武器だけ支援し、最低限の関与しかない可能性もあり、ウクライナのように、日本を戦場として、ロシアと日本を戦わせるかもしれません。 それは、朝鮮半島も同様です。 今、バイデン大統領の描いた「民主主義国家VS権威主義国家」の構図によって、世界が分断されています。 北朝鮮やイラン、パキスタン、シリアなど、アメリカ嫌いの国が横に繋がっていっていく動きを、バイデン政権はまったく見えていないと言わざるをえません。 ◆日本が世界に示すべき平和への道 ここで日本は、冷静に国益を考えて行動しなくてはなりません。 日本は、中国やロシア、北朝鮮の三正面作戦には対応できません。国防強化は待ったなしです。 今できることとして、「日本はロシアを敵に回すな」「ウクライナの中立化で、ロシアと停戦を求める方向で努力すべきだ」「ロシアとの友好の道を残せ」、そして「中露離間外交に力を尽くせ」と強く訴えたいと思います。 それが、平和への道であると考えます。 終わらないウクライナ戦争 世界大戦勃発の予兆【前編】 2022.05.05 https://youtu.be/jyY-VpZ1OIA 幸福実現党党首 釈量子 ◆米国の目的は「ロシア弱体化」 前回に続き、「世界大戦勃発の予兆」という緊急性の高いテーマです。 米国は、ウクライナへの軍事支援を強化するために、330億ドル(約4兆3000億円)の追加予算を議会に要求しました。 米国は当初、ロシアとの直接対決を避けるために、防衛用の兵器に限定していましたが、ここにきて、重火器やヘリコプター、攻撃用無人機まで提供しています。 米国製の武器を運用できるよう、ウクライナ兵を訓練していることも明らかにしています。 こうした中で、4月24日、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官がキエフを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しています。 さらに4月25日、オースティン国防長官がポーランドで「ロシアが、ウクライナ侵攻と同等のことができない程度に弱体化することを望む」と発言しました。 国防長官の立場で、「米国の目標はウクライナを守るための戦いだけではなく、長期的にロシアを弱体化させることにある」と明言したのです。 オースティン国防長官の発言を受けて、ロシアのラブロフ外相は「米国が代理戦争を行っている」「ロシアの核使用は可能性がある」と警告しました。 ◆米国が代理戦争を行う理由 米国が代理戦争を行う理由は、直接対決のリスクを減らせることや、戦争に反対する国内世論を納得させるメリットがあるからです。 特に、バイデン大統領にとっては、米国は弱い者を助けているように見せながら、ロシアを弱体化させることができます。 しかもトランプ叩きにつながり、選挙対策としても、実に都合のよい構図だということです。 4月25日にはオースティン国防長官が、「西側諸国から適切な軍備支援が行われたら、ウクライナは戦争に勝利することができる」とも述べています。 ◆バイデン政権を批判する米報道 しかし、米国ではバイデン政権が、ロシアとウクライナの停戦に関心を示さず、さらに軍事的支援を強化をしていることに対する批判が増えてきました。 例えば4月14日、米国の保守系メディア「The American Conservative」に、「ワシントンはウクライナ人が最後の一人になるまでロシアと戦うだろう」という記事が出ました。 記事では、「ロシアとウクライナの外交的解決を妨げているのは米国だ」「欧米は戦争への支援と同じくらい平和に向けた努力を行うべき」などと主張しています。 このバイデン政権による「代理戦争」から、戦線はどうやら「世界大戦」の方向へと拡大しつつあります。 ◆戦争が世界に飛び火、核攻撃も 今後戦争が、飛び火していく可能性をみて参ります。 (1)ロシアとNATOの全面戦争 プーチン大統領は「作戦に干渉するなら、電撃的な対抗措置を取る」と強気の姿勢を崩しておらず、「他国の持っていない兵器がある」とまで語っています。 当然、「戦術核」の攻撃も辞さずということです。 5月9日の対独戦勝記念日に、「特殊軍事作戦」ではなく「戦争宣言」をする可能性が高いと言われています。 そうなれば、今までのような限定的でゆっくりした攻撃ではなく、軍事支援をしている国への攻撃を開始する可能性があります。 例えば、ポーランドは旧ソ連型の戦車200台やドローンを供与するなど、相当な軍事支援も行っています。 また、ウクライナとの国境から約70キロメートルのジェシュフに重要な補給拠点があり、頻繁に着陸する軍の輸送機からトラックに装備を積み替え、ウクライナに向かいます。 ジェシュフ近郊では、米国が派遣した欧州への増派部隊約2000人の大半が駐留しており、人道支援物資もここを経由します。 ロシアはポーランドへの天然ガス供給をすでに停止していますが、欧米の軍事支援が続けば、プーチン大統領はポーランドのジェシュフの補給拠点を攻撃するかもしれません。 もし、ロシアがポーランドに戦術核を落とした場合、NATOが報復攻撃を行えるかどうか。もし報復を行えば、ロシアとNATOの全面戦争になる可能性もあります。 (後編につづく) ウクライナ戦争から学ぶべき二つの教訓、憲法9条改正と核装備【後編】 2022.05.04 https://youtu.be/8oXLpFXBTOc 幸福実現党党首 釈量子 ◆非核三原則見直しと核装備 前編では、日本がウクライナ戦争から得るべき、一つ目の教訓は、憲法9条改正が必要であることを述べました。 二点目の教訓は、「非核三原則」の見直しと核装備です。 ソ連邦崩壊後、ウクライナは核保有国でしたが、1994年に米国とロシアとの間で「ブタペスト覚書」に合意し、全ての核兵器を放棄することを決めました。 もしウクライナが核放棄せずに、核兵器を保有していれば、今回のようなことは起きなかったかもしれないと言われています。 ウクライナ戦争を機に、日本でも「持たず、つくらず、持ち込ませず」の非核三原則を見直し、米国との核シェアリングが必要ではないかという議論が出てきました。 しかし、日本が核シェアリングするには、粘り強い外交交渉が必要です。 国連の常任理事国は全て核保有国です。しかし、米国は自分の核抑止力は強化するけれども同盟国や他の国に核を持たせないのが基本方針です。 日本と同じ敗戦国であったドイツが米国と核を共有することで、核抑止力を保っています。 ◆ドイツの核シェアリング 1964年中国が初の核実験を行った後、1968年に米国のジョンソン政権は核保有国が広まるのを警戒し、一気に「核不拡散条約NPT」に舵を切ります。 要するに、米国の同盟国である西ドイツや日本には核を持たせないで、「核の傘」で守ることにしました。 ところが米ソ冷戦時代の最中、米国はソ連との最前線にある西ドイツに大量の核を持ち込んでいました。 当時、西ドイツのクルト・キージンガー政権は何とか核使用への関与を強めるために、西ドイツ領内から核を使う場合、西ドイツの意見を聞くよう粘り強く交渉しました。 その結果、西ドイツと米国は核の運用を共同管理する「核シェアリング」が成立したわけです。ドイツの核シェアリングの背景には、粘り強い外交交渉があったわけです。 冒頭申し上げた通り、現在の日本の状況は、冷戦期の西ドイツ以上に厳しいものです。 ◆核シェアリングを否定した岸田首相 岸田首相は3月上旬、非核三原則に反するので「核シェアリングは認められない」と即座に否定しました。 核シェアリングに至るまでには、まず「核を積んだ米海軍艦艇の日本寄港を認めるか」という問題があります。 「核を持ち込ませず」に反するので、大議論になると思いますが、議論を前に進めていく必要があります。 日本が核シェアリング導入に成功した場合でも、核を使用するかどうかの最後の判断を、日本がするのか、米国がするのかという問題が残ります。 米国に最終判断を委ねた場合、米国は報復を恐れて、躊躇するかもしれません。やはり、最終的には、日本は主権国家として自前の核装備をすることが必要なのです。 ◆米国の「核の傘」では日本を守れない 戦後日本の平和は日米安全保障条約によって守られ、その中核に「米国の核の傘」があったのは事実です。 しかし、「米国はワシントンを犠牲にしてまで、核兵器を撃ってくれるのか」という疑問が残っています。 日米安全保障条約の中には、「日本が核攻撃を受けたら、米国が核兵器で報復する」という文言は一言も書かれていません。 例えば、「北朝鮮が日本に核攻撃したら、米国が核で報復する」という見込みがあれば、核の抑止力が成立します。 しかし、北朝鮮はすでに米国本土に到達可能な大陸間弾道ミサイルを保有し、さらに迎撃の難しい極超音速ミサイルを開発しています。中国やロシアも同じです。 ワシントンを危険に曝すことはできないので、米国の大統領次第で、核を使用しないという判断もあり得るわけです。その場合、北朝鮮は日本に核攻撃する可能性が出てきます。 広島的世界平和主義が限界を迎えた今、核なき国ではなく、核を落とさせない国を目指すべきです。 日本は戦後のマスコミや教育がタブー視してきた憲法9条や非核三原則の問題に踏み込み、「自分の国は自分で守る」体制を構築すべきです。 主権国家として「奴隷の平和」ではなく、「正義のある平和」を実現しなくてはなりません。 ウクライナ戦争から学ぶべき二つの教訓、憲法9条改正と核装備【前編】 2022.05.03 https://youtu.be/8oXLpFXBTOc 幸福実現党党首 釈量子 ◆国家存続の危機にある日本 ウクライナで戦争が続いていますが、終結の目処は立ちません。 欧米はウクライナへの軍事支援を強化し、4月24日に米国の国務長官、国防長官までキエフ入りしています。これは、ロシアへの宣戦布告に近い、危険な行動です。 4月27日、プーチン大統領は「電撃的で、素早い対抗措置を取る」と話し、核兵器の使用も辞さない姿勢を示しました。 このままでは、ウクライナ戦争が欧米を巻き込んだ「世界戦争」「核戦争」になる可能性が濃厚です。 岸田政権の動きも極めて危険で、米欧に追随し、ロシアに対して強硬に出たために、日本は一気に「ロシアの敵対国」になってしまいました。 津軽海峡のロシア艦艇通過や、北方領土の軍事演習、ロシアによる北海道侵攻が現実味を帯びています。 中国とロシア、北朝鮮の核を保有した三カ国が連携し、台湾・沖縄侵攻、北海道侵攻、韓国侵攻などの共同軍事行動を取る可能性も高いと言えます。 日本の最大の危機が現れていることに、日本人は気づかなくてはなりません。 ◆憲法9条改正 日本がウクライナ戦争から得るべき、一つ目の教訓は、憲法9条改正です。 幸福実現党は立党間もない段階から『新・日本国憲法試案』を発表し、憲法改正に積極的に取り組んできましたが、その必要性は日増しに高まっています。 例えば、日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、我らの安全と生存を保持しようと決意した」と書かれています。 これは簡単に言うと、「日本人の生存と安全を、国際社会の善意に委ねる」ということです。中国や北朝鮮、これらの国に日本の命運を委ねたい人はいないのではないでしょうか。 これが戦後日本の空想的平和主義の土台になっています。自分の国は自分で守らなくてはなりません。 ◆自衛隊を国防軍に 憲法9条1項で「戦争放棄」を、9条2項で「戦力の不保持」「交戦権の否認」を定めています。 この条文は、周りの国も一緒に戦争放棄していれば成り立つかもしれませんが、日本の周辺には軍備増強を加速する核保有国ばかりです。 憲法9条2項では「戦力の不保持」を定めているので、日本は本来、戦力を意味する軍隊を持つことはできません。 しかし、自衛隊はすでに存在し、22万人の自衛隊員と巨大な組織、装備を持っています。 世界の軍事力ランキング5位、英語では「セルフ・ディフェンス・フォース」と訳され、海外からは軍隊として扱われています。 幸福実現党としては、憲法を抜本的に改正し、自衛隊を国防軍として明確に位置づけるべきだと思っています。 幸福実現党の大川隆法総裁は、2009年に発表した『新・日本国憲法試案』の第5条で、次のようにと定めています。 「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる」 「軍隊を持てば戦争を始める」という意見もありますが、極論です。世界中の国が軍隊を持っていますが、世界中で戦争が起きているわけではありません。 ◆自民党の「加憲」で国は守れるのか 自民党は安倍政権の時に、憲法9条に「加憲」し、自衛隊の存在を憲法上で認めることを憲法改正案で示しています。 しかし「自衛隊は軍隊ではない」という解釈は同じなので、本質的には何も変わりません。 自民党案は「白馬は馬にあらず」を憲法に書き込むことであり、解釈論と条文の改訂を混同しています。 いずれにしても、国の交戦権を認めず、戦力を保持しないまま、自衛隊が憲法上の存在となるのは、国の主権を考えていない無責任な政治といわざるを得ません。 自衛隊が軍隊になれば、日本の抑止力は、格段に強くなります。 「ウクライナに便乗して、憲法改正するな」という野党の意見も現実離れしていますが、自民党の「加憲」であっても日本の独立を守るためには十分ではありません。 いまこそ、憲法9条を抜本的に改正し、日本の「戦後」に終止符を打つべきです。 (後編につづく) ウクライナのネオナチ「アゾフ大隊」とは。ロシアの軍事作戦の正当性はあるのか? 【後編】 2022.04.21 https://youtu.be/pAj1tFBXNr4 幸福実現党党首 釈量子 ◆アゾフ大隊の残虐さ ネオナチ「アゾフ大隊」の残虐さは、国連も調査しています。 国連人権高等弁務官事務所は、2015年の11月から2016年2月にかけて、紛争が起きていたウクライナ東部の現地調査を行いました。 現地住民へのヒアリングから、アゾフ大隊によって、民間人の殺害、拷問、虐待、略奪があったことを報告しています。 例えば、2015年1月28日、マリウポリの男性が「ドネツク共和国を支援している」との理由でアゾフ大隊によって拘束され、2月6日まで、電気ショックや水責めの拷問を受けた事例が載っています。 これは国際法違反であり、ミンスク合意違反です。 ヒューマン・ライツ・ウォッチが発表した2016年のレポートでは、ハリコフやマリウポリなどに秘密の監禁施設があり、親ロ派の住民を恣意的に拘束し、虐待していると指摘しています。 また、2014年5月に起きた「オデッサの虐殺」では、アゾフ大隊が大勢のロシア人を建物の中に追い込み、放火し火炎瓶で焼き殺しました。 これらの報告を見ると、プーチン大統領の指摘通り、親ロ派住民の安全は全く確保されていなかったことが明らかです。 ◆アゾフ大隊の称賛が可能に フェイスブックは2016年、アゾフ大隊を白人至上主義者のKKKやイスラム過激派のISISと同じレベルの危険組織と認定しました。 アゾフ大隊は、フェイスブックを通じて世界中から隊員をリクルートしており、2019年には、その利用が禁止されています。 同時期、米国下院議員40名がアゾフ大隊を海外テロ組織として認定するよう国務省に働きかけを行っています。 ところが、今年2月、なぜかロシアの特別軍事作戦後、アゾフ大隊のフェイスブックの利用禁止が解除され、アゾフ大隊を称賛することも可能になっています。 ◆米欧が隠すアゾフ大隊の「不都合な真実」 3月8日の国際女性デーにNATOの公式ツイッターに、ウクライナの女性兵士の写真が4点アップされました。 その中の1点に、迷彩服の胸にナチスのシンボルである「黒い太陽」の紀章をつけた民兵が写っていたため、NATOは慌てて、削除しています。 「黒い太陽」は、聖書の黙示録の解釈として、中世から提唱されてきた理想の国家「第三帝国」の紋章で、ナチス親衛隊SSが神聖視していたものです。 また、ゼレンスキー大統領が、ギリシャ議会でネット演説した際に、ギリシャ人が数多く住むマリウポリを守る2人のウクライナ民兵を紹介しました。 しかし、そのうちの一人がアゾフ大隊の隊員であることを話してしまい、ギリシャの議員から反発の声が上がりました。 このように、ウクライナを支援する米欧にとって、アゾフ大隊は表に出したくない「不都合な真実」なのです。 ◆ゼレンスキー大統領の責任 2014年以降、ウクライナ東部ではウクライナ政府と、親ロ派住民との内戦で1万4000人以上の死者が出ています。 少なくとも、ウクライナ政府には東部まで統治が行き届かず、大きな責任があります。 この紛争を止めるために、2014年9月にロシアとウクライナの間で結んだ「ミンスク合意」(ウクライナ、ロシア、ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国が調印)があります。 さらに、2015年には「ミンスク2」がフランスとドイツの仲介で結ばれ、ウクライナ東部の2つの共和国に幅広い自治権を認めるという約束がありました。 しかし、ゼレンスキー大統領は、親ロ派の自治権を認めるどころか、更なる攻撃を加え、低迷していた支持率を回復するために利用しました。 プーチン大統領の演説の通り、ウクライナ東部の2つの共和国を守ることを目的とした、「特別軍事作戦」だったことも一定の合理性があります。 ◆バイデン大統領の罪 一方、バイデン大統領は、選挙を控えて、人気取りのために、ロシアをたたき、しかも息子ハンター・バイデン氏がウクライナや中国からお金を得ていたという疑惑を隠蔽しています。 バイデン大統領のロシアたたきは、中国が仕掛けているコロナウイルス戦争の悪事から、世界の目を背けさせています。 世界が非難すべきは、ウイグルやチベット、香港の人権弾圧を行っている中国共産党であることを忘れてはなりません。 ◆日本は独自の外交努力を 日本政府は、ゼレンスキー大統領が「世界戦争の火付け役」だと見抜かなくてはいけません。 幸福実現党としては、岸田政権によるロシアへの追加制裁にも反対です。日本政府は世界大戦を防ぐためにも、ウクライナの中立化に向けて外交努力すべきです。 そして、日本は日露関係をいち早く修復し、中露の離間を図り、ロシアを含めた信仰ある国々で、対中包囲網を築くべきだと考えます。 さもなければ、日本は、中国・北朝鮮・ロシアの共同軍事行動に対処しなくてはならなくなります。 日本の国益を考えた時に、ウクライナよりロシアのほうが日本の将来には大切です。同情だけで人気と票を取ろうとするなら、日本の国を危うくします。 ウクライナのネオナチ「アゾフ大隊」とは。ロシアの軍事作戦に正当性はあるのか? 【前編】 2022.04.20 https://youtu.be/pAj1tFBXNr4 幸福実現党党首 釈量子 ◆経済制裁でロシアを止められる? 岸田首相は4月9日、記者会見を開き、ロシアからの石炭輸入禁止など、ロシアへの追加制裁を発表しました。 岸田首相からは「平和秩序を護る正念場」という言葉もありましたが、「経済制裁でロシアを止められる」と考えている点は、バイデン大統領と認識が同じです。 ロシアは、中国やインドとの貿易を継続しているため、経済制裁でロシアの妥協を引き出すのは困難です。 逆に、全世界でエネルギー価格や小麦が値上がりし、ペルーやスリランカでは暴動が発生しています。 ここで米国がインフレを抑えるために利上げを急げば、世界経済は大打撃を受けるでしょう。 さらに、ゼレンスキー大統領の「ウクライナへの侵攻は欧州への侵攻だ」との主張は、ロシアとNATOの全面戦争をもたらす極めて危険な考えです。 ◆ロシアに軍事作戦の正当性はあるのか 岸田首相は「ロシアがウクライナの主権および領土の一体性を侵害し、国際法に違反するもので決して認められるものではない」と主張しています。 ロシアのプーチン大統領は2月24日の演説で、ウクライナの「中立化」「非軍事化」「非ナチ化」を理由に挙げて、「特別軍事作戦」を行うと宣言しています。 つまり、ロシアは国家承認した「ドネツク共和国」「ルガンスク共和国」の2か国から軍事支援の要請を受けて、集団的自衛権の行使として「特別軍事作戦」を行っているということです。 国連憲章では、「武力の行使」を原則禁止(第2条)していますが、二つの例外を認めています。 一つ目は、自衛権、集団的自衛権(国連憲章第51条)です。 主権国家である以上、当然のこととして、「自分の国は自分で守る」権利である「自衛権」が認められています。 また、自国の防衛力だけでは守れない場合には、他国と同盟を結びます。これが、「集団的自衛権」です。 二つ目が、国連が決議して進める「集団安全保障」です。 例えば人道的危機が生じた場合、国連の安全保障理事会が、全会一致で決めたら、軍事介入できる場合もあります。 ただ常任理事国の5か国の意見が一致することは難しく機能していません。 ロシアの主張は、ウクライナへの「侵略」ではなく、国連憲章で認められた「自衛権の行使」だということです。 しかし、プーチン大統領が言うような「ウクライナにネオナチなど存在せず、東部のロシア系住民を排斥するような事態はなかった」と反論する人もいます。 ◆ネオナチ「アゾフ大隊」とは プーチン大統領が非難するネオナチとは、ウクライナの「アゾフ大隊」のことで、ウクライナ東部には、アゾフ大隊を含めて約40の極右グループが存在します。 アゾフ大隊の創設者、アンドリー・ビレツキーという人物は、ナチスの信奉者で、白人至上主義者として知られています。 日本の公安調査庁は「国際テロリズム要覧2021」でアゾフ大隊について次のように言及しています。 「アゾフ大隊は、欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ、同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2000人とされる」 しかし、不思議なことに、公安調査庁は4月8日、「この記述が誤解を生むので削除する」と発表しました。 ◆「アゾフ大隊」が頭角を現した背景 2014年に親ロ派のヤヌコビッチ大統領が退陣に追い込まれた過激なデモ(マイダン革命)がありましたが、そこで「アゾフ大隊」は頭角を現しました。 この時、米政権がデモをバックアップしたことが、オリバーストーン監督のドキュメンタリー映画「Ukraine on Fire」に描かれています。 ■ドキュメンタリー映画『Ukraine on fire』全編公開中!【日本語字幕版】 https://youtu.be/pSDZpw1EZsQ その後、ウクライナ東部の民兵として、親ロ派勢力から港湾都市マリウポリを奪還しました。 この功績が認められ、アゾフ大隊はウクライナの正規軍に編入され、正式に「国家親衛隊」になりました。 2019年、米メディア「The Nation」は、「ウクライナは、ネオナチが正規軍になっている世界で唯一の国だ」と指摘しました。 ヤヌコビッチ大統領がロシアに亡命してからは、アゾフ大隊の影響力は政治の世界にも広がり、アゾフ大隊の創立者アンドリー・ビレツキーは2014年に国会議員になっています。 他にも閣僚級を輩出するなど、ネオナチの影響力は軍隊のみならず、政治の世界まで及びました。 ネオナチが国家権力に浸透しているのは、世界の中でウクライナしかありません。 (後編につづく) すべてを表示する « Previous 1 … 6 7 8 9 10 … 98 Next »