Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 だだっ子「中国」を育てる「やまとの心」【後編】 2015.05.30 文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子 ◆地球の大きな「だだっ子」 中国は、軍事だけでなく、経済でも、また国際支援すらも領土拡大に利用しています。ほしいものは、なんとしてでも手に入れていこうとする、なりふり構わない姿は、恐ろしくもありますが、まるで幼い子供のようです。 増長させてから叩き潰すよりは、なんとか成長の手助けをしてやりたくもなります。 考えて見れば、中華人民共和国は、1949年、それまでの中国の正統な継承国である中華民国を内戦で痛めつけ、台湾に追い出してできた国です。今年で66才だから、まだ100才にもならない赤ちゃん国家です。 そういえば、敗戦後、マッカーサーに「民主主義的には12才の子供」と言われた日本ですが、頑張って働き、学び、貢献しながら、立派な先進国となった「成功者」が私たち日本です。 中国は、隣人として、近々の歴史問題で、だたをこねるのをやめて、皇紀2675年の歴史的な大先輩に学んで損はないはずです。 日本人としても、なんとか中華人民共和国という幼い国の成長に手助けをしたいものだ、と考えてはいけないのでしょうか。 視野狭窄に陥っても仕方がありません。1986年には、沖縄県与那国島の海底で、少なく見ても1万年以上前の高度な文化遺跡が発見されています。 気絶しそうな古代からのメッセージは、琉球王国よりも前の沖縄と日本の大和朝廷を結ぶ鍵となる可能性が大きいものだといいます。そのことは、中国に再び、文明を伝える役目を日本が担うということでもあるのではないでしょうか。 ◆共産主義の檻から出る民衆 20世紀に失敗が証明された、時代遅れな「共産主義」の檻に、中国の人々をこのまま閉じ込めておくことは、中国人だけでなく、日本の私たちにとっても、アジアにとってもなにも良いことなどありません。 中国は、せめて経済で先進国に追いつき追い越したくて、軍事拡張もなりふりかまわなくなっているのでしょうが、精神文化のない政治や経済は、糸のきれた凧のようなもので、すぐに墜落するでしょう。 ◆自由な発想 中国は、サイバー空間でも、宇宙空間でも、子供っぽい発想を、じつに見事に、現実にやってしまうという、でたらめだけれど、スゴいパワーを持っています。 だからそれに振り回されて《破壊獣》になってしまうのでなく、うまくコントロールして活用すれば、自国や回りの国々を幸福にする力となるに違いありません。 中国は、「世界のだだっ子」を卒業して、そろそろ、地球の未来に責任を持つ大人の国に成長するための学習をしなければいけないころです。 大人にとって必要な「ルール」や「品位」や「心のよりどころ」を持ち、自分の国が、他の国々にどのような貢献ができるのか、どんな世界を描いて生きることが、国民の幸福になるのか。そうした精神性の高さを、求めなければいけないころなのではないでしょうか。 ◆日本は最高の友人になれる 天安門事件や雨傘革命は、まだ「易姓革命」には至っていません。けれども「自由と、民主主義と、基本的人権、市場経済」といった、この世界の「大人のルール」を学び、回りに敬意を持って、仲間になろうと努力するとき、中国は野蛮な殻を自ら破って、大切なものを得ていくでしょう。 その時、私たちは、一緒に夢を実現していく仲間になれると思います。日本は、その努力を誠実に続けていくことも必要です。 中国の間違った思想の檻に閉じ込められた人々が、自らの手で、錆びた時代遅れの檻をねじ曲げて、自由で、明るい世界に出てくることを手助けしたいのです。 アジアにおける白人優位の植民地を解放したいと立ち上がった先人達は、「自由と誇りをすべての人が持つべきだ」と考えていたはずです。 その心が「やまとの心」ではないでしょうか。 世界のだだっ子「中国」を育てる「やまとの心」【前編】 2015.05.29 文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子 ◆中国の軍備拡張はずっと続いている 5月27日の衆院特別委員会で、安倍首相が「安保法案を夏までに可決したい」と米議会で発言したことについて、野党から「急ぐ理由はなにか」「そんなに危機が近づいているのか」との質問があり、安倍首相は、ホルムズ海峡の石油航路などを上げて、「可能性としてはある」と答えていました。 国名は避けましたが、「中国」の軍事的侵略が懸念されていることは明らかです。 「朝雲」新聞によると、中国の「公表防衛費」は、アジア地域の4割を占めています。(ちなみに日本の防衛費は1割) 2014年版の「日本の防衛」(防衛白書)は、中国の国防費は「過去26年間で40倍」「過去10年間で4倍」と異常に急増し続けて来たことを記しています。 4月に日米両政府は「防衛協力のための指針(ガイドライン)」で「中国による海洋進出など安全保障環境の変化」をあげ、「アジア太平洋を越えた地域での協力」を前面に打ち出しました。 それに対して、5月26日に発表された、中国の「国防白書」では、「データ類の記載」がすっぽり抜けており、国防費の内訳も公表されず、ますます透明性が低下しています。 方針として「陸上のみならず海洋も重視」とするなど、まるで「旧約聖書」に描かれた、怪獣ビヒモスと海獣リヴァイアサンのそろい踏みといった不気味さが漂います。 そのうえで「地域外の国の南シナ海への介入」「海上軍事闘争への準備」などと、明らかに米国を「仮想敵」と見なした表現が使われました。 そして5月20日、南シナ海の中国埋め立て地に接近した米軍機が、中国海軍より「退去警告」を受けていたことを、CNNが放映したのです。 ◆迷惑なお隣さん 中国が勝手に造成している人工島の滑走路は3000メートル級で、軍事使用ができるサイズです。2017年ごろ完成するようです。 ところで、我が国の自衛隊の去年の緊急発進(スクランブル)は去年943回ありましたが、うち半分の464回は中国機が原因の発進でした。 日本は領空侵犯されても、そう簡単に撃墜できませんが、こうしたことが国防の隙となっていることは間違いなく、それだからこそ、自国の領空上に「防空識別圏」を勝手に設定されたりするのでしょう。 あれも単発では終わるものではなく、次のステップへの準備のはずです。 ◆「超限戦」というすごい戦略 軍事だけではありません。経済圏でも、中国の主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーに、先進国を含む57カ国が参加しましたが、明らかに米ドル基軸通貨体制に対抗して「元」を国際通貨として広げる意図があります。 英独仏にとって、ロシアは「近攻」ですが、中国は「遠交」です。危機感が薄いのも仕方がありません。しかしロシアと中国は地中海で軍事合同演習をやってのけました。 中国は、中東、アフリカ、ヨーロッパのハブ港であるギリシャのピレウス港の買い占めも進めています。ヨーロッパも警戒が必要なのではないでしょうか。 ◆一帯一路 「一帯一路」という「砂の万里の長城」と「海のシルクロード」で、石油の航路であるシーレーンを挟み込んだ計画は壮大です。その航路上に、軍事的寄港地や独占的使用を認めさせる港湾、陸路、空港などのインフラを作っていくのですから。 AIIBは、そうした中国に利便の良い設備を「投資や支援」の姿を取って作ろうとしているのではないでしょうか。中国国内の余剰生産物や、落ち込んだ企業の売り込み先を、中国はAIIBを利用して押しつけたいだけではないのでしょうか。 さまざまな疑問が浮かびますが、やはり浮かんでくるのは「超限戦」という見事なまでの「戦略」です。 (つづく) 「戦争する国」という風潮は、新しい時代の戦争を引き起こす 2015.05.27 文/HS政経塾2期卒塾生服部まさみ ◆国会でのズレた議論 集団的自衛権の行使を柱にした安全保障関連法案の国会審議が26日から始まりました。 野党は、自衛隊の活動範囲や戦闘に巻き込まれるリスクばかりを追求し、「戦争法案だ」という声まで飛び出しました。 国会前には900人が詰めかけ、「戦争する国、絶対反対!」と抗議の声を上げました。参加者は、「再び戦争になるのでは。黙って家にいられない」と危機感をつのらせました。 同じ日に、中国政府は国防白書を発表し、海洋進出を本格化させる戦略が打ち出されました。 今回の安保法制の背景には、急激に軍備を増強してきた中国の脅威があります。 その脅威に対して、国民の生命・安全・財産を守り抜くために何が必要かを真剣に議論されなければならないはずです。 しかし、「戦闘に巻き込まれるリスクがある」「日本は戦争をする国になってはいけない」などピンぼけした議論が行われています。 「戦争」というと軍事兵器を使って、戦闘を行うことばかりをイメージしているのかもしれませんが、21世紀型の戦争は新しく変化してきています。 ◆ロシアのハイブリッド戦争 例えば、ロシアがウクライナのクリミア半島に非正規軍を送り込んで制圧し、併合した手法を新しく「ハイブリッド戦争」と規定されました。 日本語で「複合型」と訳されますが、ロシアは、目標達成の為にメディアを通じたプロパガンダを使い、工作員や武器を送り込んで、静かに友好的に国論を変え、一気に非正規軍によって制圧してしまいました。 ◆中国の三戦 このロシアの手法をじっと注目してみているのが中国です。 中国人民解放軍は、工作活動である「三戦」を戦略として用いることを公式に発表しています。 三戦とは、「世論戦」、「心理戦」、「法律戦」の三つのことをいいます。 世論戦は、様々なメディアを使って、国際世論を中国に有利な方向へ導いていきます。友好的な雰囲気を醸し出して、国内外の大衆の支持を生み出すことが目的です。 心理戦は、敵側の士気や国民の結束力を低下させます。外交的圧力や、噂、嘘の情報を流して、敵国内の指導者層への疑念や反感を作り出し、敵の意思決定能力を遅らせたり、撹乱させることが目的です。 法律戦とは、敵の行動を不法なものだと主張しながら、自国の行動を法律的に合法なものだと正当化することです。 例えば、琉球王国が歴代の中国王朝に対して朝貢を行う「冊封国」だった経緯を説明した上で、「琉球王国は中国の属国だった」と主張したり、「尖閣諸島の国有化は、中国の主権を侵し、世界の反ファシズム戦争の成果を否定し、国連憲章に挑戦している」などと自国の軍事行動を正当化しています。 ◆進化する戦争 このようなロシアのハイブリッド戦争や中国の三戦のように、軍事力を直接行使する戦争以外に、平時からメディアを使った世論誘導や、経済的利益、外交、観光などを通じて国民がコントロールされる新しい戦争が仕掛けられる時代なのです。 知らない間に何となく世論を動かされ、指導者層の意思決定能力を奪われ、何となく現状を変えられ、最後に非正規軍によって制圧されてしまう。 しかし、相手が非正規軍であるために、一度、制圧されてしまうと、正規の軍隊を使って武力で取り戻すことが難しくなるという、まさに「戦わずして勝つ」戦法なのです。 ◆日本が「普通の国」になることが戦争を抑止する 「戦争する国」、「憲法9条を守ることが平和を守ることだ」と表現する人たちは、その主張が、戦争を止めているのではなく、新しい時代の戦争に加担しているという事実を知るべきです。 米軍基地をなくしたり、憲法9条を守ることが日本の安全や世界の平和を守ることにはなりません。 中国は、軍事力を直接行使する戦争に備えるための軍備増強と並行して、自国に有利な環境を作り出す三戦を着実に実行しています。 「敵に10倍する規模をもって、戦わずし敵を屈服せしめよ」という孫子の兵法を地でいく国に対して、私たち日本に必要なのは、軍事的な能力の備えと政治的な工作に屈しない精神的な備えの両方なのです。 具体的には、速やかに集団的自衛権を始めとする安全保障関連法案を成立させること。そして、憲法改正が必要だという世論をつくっていくことが防衛力を高めます。 憲法9条を改正し、自分の国は自分で守れる体制を築き、日本が「普通の国」になることが戦争をなくす、最大の抑止力になるのです。 沖縄を守る覚悟は誰にも負けない! 2015.05.26 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆沖縄県辺野古へ 5月16日~18日まで沖縄に行ってきました。 米軍の移転反対派は、名護市辺野古にある米軍基地キャンプシュワブの正門前を占拠して居座り続けています。 初日の16日は、その反対派に抗議するため辺野古に住んでいる青年の皆さんが中心になってデモをするというので私も合流し参加しました。 マスコミが流す報道を聞いていると沖縄県民の住民の皆さんのすべてが米軍反対だと言う印象を受けますが、実際には違います。それは地元の青年の方と話してみても分かります。 辺野古の住民の皆さんは、米軍の辺野古移設は賛成と言うと、反対派から執拗な嫌がらせを受けるので、移設賛成と言えない空気があります。つまり言論が封殺されているのです。 ◆基地反対派の中に入ってみる 実はデモに合流する前に時間があったので、米軍基地反対派の中に入ってみました。 中に入って分かったことは、沖縄県民の方が一部いることはいますが、沖縄県外から動員されてきた労働組合員が多いと言うことです。 実際にテントから少しは離れたところで労働組合員がバスに乗り込み帰るところを目撃しました。バスの表示は某鉄道会社の名前でした。 ◆琉球独立学会シンポジウム デモが終わると、場所を変え沖縄の大学で行われた「琉球独立学会」結成2周年の講演シンポジウムに参加しました。正式には「琉球民族独立総合研究学会」といい、日本から沖縄を独立させるために活動をしている団体です。 以前のニュースファイルでも書いたように、沖縄は日本であり同じ民族です。これは間違いがありません。 だから私はかつて先人たちが沖縄を守ろうとしてきたと同じように、同じ同胞である沖縄を守りたいという強い思いがあります。 今回参加して分かったことがあります。主催者や参加者は、純粋に沖縄を日本から独立させることが沖縄のためになると信じていることです。 「米軍基地があるから沖縄がまた戦争に巻き込まれてしまう」「沖縄を非武装中立にすれば戦争に巻き込まれない」「中国は沖縄を取りにこない」と信じています。 要するに問われているのは、琉球独立学会の考えを進めたら沖縄県民を幸福にするのか、それとも幸福実現党が考えていることを進めたら沖縄県民を幸福にできるのか、競争しているのだと思いました。 琉球独立学会は、「沖縄の世界観しか持っておらず国際情勢の視野が狭い」ので真実が見えていません。米軍を追い出しても中国を甘く見れば沖縄は簡単に飲み込まれてしまい、県民を不幸にしてしまいます。 今後、どこかで琉球独立学会とは議論をする機会があるでしょう。 沖縄を中国に差し出したい確信犯は別にして、彼らも同じく沖縄を愛しています。問題は「国際情勢の認識が狭い」ということです。この部分が分かれば変わる可能性はあります。 ◆5.17沖縄県民大会【沖縄最前線!】 翌日17日は、幸福実現党・矢内筆勝総務会長(兼)出版局長と合流し、沖縄セルラースタジアムで開催された「米軍の辺野古への移設計画阻止を訴える県民大会」の開場前で地元の有志の皆さんと、中国の脅威を訴えるチラシを配布しました。 矢内局長ブログより「オール左翼」の5.17沖縄県民大会【沖縄最前線!】 http://yanai-hissho.hr-party.jp/etc/2525.html チラシは驚くほどの受け取り率でしたが、時には「なんで幸福実現党がここでチラシを配ってんだ!」「幸福実現党は米軍賛成だろ!」と怒りチラシを破り捨てたり、丸めて捨てたりされました。 そうした方には迷いなく私の執拗な追っかけが始まります。「反対の意見も聞いてみるのも勉強になりますよ。」 2枚目のチラシが目の前に差し出されると、中には根負けして受け取っていく人もいます。 3日目の18日は、朝6時半出発、普天間基地前で「米軍出て行け!」とヘイトスピーチを行う人たちに対して「ハートクリーン運動」を行いました。 「ハートクリーン運動」とは、左派の「口汚い言葉」を浄化するように米軍の皆さんへの感謝の言葉を伝える運動です。 その際に車を基地近くの駐車場に止めたのですが、管理人さんは、最初はヘイトスピーチがうるさくやめるように促したそうです。それでもやめないので、そのうち注意をあきらめたそうです。 5.17沖縄県民大会では、「屈しない」のゼッケンや、プラカードをたくさん見ました。つまりどんなことがあっても「屈しない」、それが彼らの合言葉です。 本当は保守こそが、この「屈しない」という言葉を取り返す必要があります。それが出来ていないから沖縄は、今の状況に追い込まれているのです。 ◆辺野古での街宣 その後、矢内局長ら有志と辺野古へ。辺野古を占拠する反対派の前で街宣を決行するためです。 キャンプシュワブ ゲート前での幸福実現党街宣【矢内筆勝】 https://www.youtube.com/watch?v=cHGZWeWZgnw#t=14 この後、那覇に戻り、地元に住む方々との懇談の時間を持ちました。これが3日間の主な活動です。 この3日間で感じたことは、今回は対反対派でしたが、最終的に本当に私たちが相対するべきは、「5.17沖縄県民大会」の左翼や「辺野古に居座る左翼」ではなく、「一般の沖縄県民のみなさん」であることです。 つまり沖縄県民の皆さんに真実を伝えることです。そして共に沖縄を真に守る活動を起こさなければなりません。これが私たち幸福実現党の使命です。 2015年――香港で天安門事件追悼式典、まもなく開催! 2015.05.24 文/幸福実現党・兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆雨傘革命後、初の大規模集会開催まであと10日 今年も天安門事件の追悼式典が6月4日香港のヴィクトリアパークで行われます。 昨年の追悼式典では、過去最大人数の18万人を集め、雨傘革命120万人へとその勢いは受け継がれました。 9月から12月に行われた雨傘革命以降、初の大規模な集会である本年の式典開催に関し、中国共産党と香港政府は警戒を強めています。 ◆香港における、選挙権と被選挙権の問題 雨傘革命のきっかけとなったのは、2017年の行政長官選挙制度に対する香港市民の怒りでした。 香港のトップを決定する行政長官の決定方法ですが、今までの選挙では香港一般住民には選挙権、被選挙権のどちらも与えられていませんでした。 720万人の香港市民のうち、1200人からなる「選挙委員会」によって密室で決定されていたのです。この選挙委員会の構成員の5分の4は親中派であるため、中国政府の意向によって決定されていたとも言えます。 この制度を変更し、2017年からは選挙権が18歳以上の香港市民に与えられる予定です。これをもって中国や香港政府は「普通選挙」と言います。 しかし実は、“被選挙権”が制限されています。 立候補者は、中国政府の息がかかった業界団体からなる「指名委員会」によって絞られることになっているため、民主派の立候補は実質ありえません。 そのため、この選挙方法を「ニセ普通選挙」と現地の人たちはよんでいます。 民主派は、選挙権を持つ1%以上が支持すれば立候補できる住民指名方式や、直近の立法会(国会)選挙において得票率5%以上を獲得した政党による候補者推薦方式によって、立候補者を出せるように訴えていました。 しかし香港におけるミニ憲法とよばれる香港特別行政区基本法45条に「指名委員会が実質的指名権を持つ」と書かれていることを根拠に、これらの意見は否定されています。 ◆「香港独立禁止法」制定か 昨年の雨傘革命が世界中に広がったことを恐れる中国と香港政府は、民主派市民リーダーの取り締まりを考えています。 今年の4月、香港の与党である民建連などの親中派政治団体が反中活動を規制する「香港独立禁止法」の作成を進めているという報道がなされました。(2015.4.9 産経新聞) 法案は大きく4つの部分で構成され、 (1)香港の独立を求め、国家の分裂を企てた者は10年から無期懲役の刑 (2)香港の完全な自治を求める者は最高で懲役20年 (3)中国大陸から来た観光客などを攻撃したり、買い物などの経済活動を妨害したりした場合は最高で懲役3年 (4)香港独立を求める団体や組織に資金援助などをした場合は最高で無期懲役 という内容です。 行政長官の梁氏は「そのような計画は今のところはない」と否定していますが、香港議会に占める議員の割合は、親中派が民主派を上回るため、議会に提出された場合は法案が通過する可能性もあります。 ◆香港の自由を、私たちも守り続けたい 実は、ミニ憲法である香港特別行政区基本法には2007年以降に行政長官選挙を普通選挙にする可能性が示されており、民主化活動が盛り上がった時期がありました。 しかしこれに関しては、全国人民代表大会常務委員会の判断と解釈変更により、実施が延期され続けてきたのです。 ミニ憲法が存在しても、その憲法の上に存在するのが中国共産党であることは、中国本土も香港も変わりないのが実情なのです。 雨傘革命が終わり、日本人の意識から香港は遠く離れていますが、危機はすぐそこにまで迫っています。 しかし香港の人たちが、自由を守るために闘うことを諦めない限り、中国共産党が力で抑え続けることができなくなるであろうことは、歴史が証明しています。 私たち日本人は、自由と民主化を求め天安門事件で散っていった若者たちのためにも、香港から目を離してはならないと思います。 倒錯した国会論戦の行方 2015.05.17 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆本格的論戦に入る安全保障法制 政府は14日の臨時閣議で、集団的自衛権の行使容認を含む新たな安全保障法制の関連法案を決定しました。 与党は遅くても26日に審議入りさせ、6月24日までの会期を延長して8月上旬の成立を目指しています。いずれにせよ、今月下旬から与野党の論戦が本格化します。 昨年7月に閣議決定された集団的自衛権の限定的な行使容認の条件である「武力行使の新3要件」については、繰り返し議論がなされてまいりましたが、今後の論戦においても中心論点となる見込みです。 新法制では、他国への攻撃により、日本の存立や国民の権利が根底から覆される明白な危機があるケースを「存立危機事態」とし、このケースでは集団的自衛権を行使できるとされています。 ◆想定されるホルムズ海峡の封鎖 想定されるケースの一つとして、ホルムズ海峡が機雷により封鎖される事態があげられます。 わが国に輸入される原油を載せたタンカーの大部分が通過するペルシャ湾のホルムズ海峡が機雷で封鎖された際の国際的な機雷の掃海活動(機雷除去)への参加について、「日本の船舶も含め外国の商船も多数航行する重要な海峡で機雷が敷設され、各国が協力して機雷掃海を行っているなか、その能力に秀でる日本が掃海をできなくていいのか。」安倍首相がしばしば具体例としてあげてきたものです。 当初、ホルムズ海峡が機雷で封鎖されれば、集団的自衛権を発動して自衛隊が機雷掃海にあたると理解される発言を安倍首相は示していました。 しかし、論戦が進む過程で、与党の発言は変化しました。 ◆看過できない自民党高村副総裁の恐るべき発言 5月3日のNHKテレビ番組で自民党の高村正彦副総裁は、自衛隊が中東・ホルムズ海峡で、集団的自衛権を使って停戦前に機雷掃海をする条件について「ホルムズ海峡から原油が全く来なくなって、国内で灯油もなくなって、寒冷地で凍死者が続出するというのは、国民の権利が根底から覆される(状況)ではないか」と語りました。 高村氏は「単に経済的理由では駄目だ。原油が3割、5割上がる程度では駄目だ。(新3要件は)かなりしっかりした規定だ」とも語りました。 「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」とは原油が3割、5割上がる程度では駄目で、寒冷地で凍死者が続出するケースとしたのです。 ホルムズ海峡が封鎖され、灯油がなくなり、寒冷地で凍死者が続出して初めて「武力行使の新3要件」を満たすというこの高村氏の発言は、驚くべき発言です。 昨日のNHK番組では、自民党稲田朋美政調会長も、「餓死者、凍死者の続出」が想定される国民の生命が脅かされるケースの一つと考えられると高村氏より幾分幅をもたせながらも発言しました。 餓死者、凍死者が続出する事態の前には、失業者の続出が想定されます。 我々納税者が、失業し、餓死し、凍死するまで、集団的自衛権は発動されず、ホルムズ海峡の機雷掃海はなされないとは、笑止千万、そのような政府に税金を払う必要性を感じません。 高村氏、稲田氏の発言は、集団的自衛権の限定的行使が、いかに厳しい基準で行われるか、武力行使の新3要件の要件がいかに厳しいものであるか、野党の追及をかわすための、国民生活の現実からかけはなれた詭弁に過ぎません。 ◆倒錯した論戦でなく、現実的論戦を もともと無理のある憲法解釈の変更の矛盾のつじつま合わせのために、国民生活の現実が犠牲になり、国会論戦が机上の空論に終始するなら、これほど馬鹿げた事はありません。 当面の選挙を凌ぐために、憲法改正を前面に掲げることを回避した自公政権の無作為のツケを、多くの国民が餓死、凍死することをもって払わせられるとしたら、もはや国会議員の存在価値はありません。 反対する野党も、自民党の高村氏、稲田氏から、集団的自衛権の限定的行使が事実上不可能であることの言質を取ったと考えるのなら、国民へのこれほどの背信行為はありません。 与党、野党の国会議員の皆様は、どうか、国民が餓死、凍死してでも憲法9条の精神を護るというような馬鹿げた倒錯した論戦に終始されないよう期待をいたします。 「新たな冷戦」に向けての国家戦略を考える 2015.05.14 文/静岡県本部副代表 江頭俊満 ◆自衛隊の活動を制限してきた日米協力が転機を迎える 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)は、日米安全保障体制を効果的に運用するため、自衛隊とアメリカ軍の協力の基本的な枠組みや方向性を示すものです。 ガイドラインは、東西冷戦時代の1978年に、旧ソビエト連邦による侵略などの日本有事に備えて、初めて策定されました。 日米両政府は先月27日、このガイドラインを改定しました。 新ガイドラインは、「世界から警戒されている中国の動きによる」安全保障環境の変化を受け、日米がアジア太平洋を越えた地域で連携し、平時から有事まで切れ目なく対処するとしています。 また、海洋進出を活発化させている中国を念頭に島嶼(とうしょ)防衛での協力を明記したほか、安全保障法制の整備内容が反映され、集団的自衛権を行使する際に想定される協力項目が盛り込まれています。 今回の改定で自衛隊の活動を制限してきた日米協力は転機を迎えたと言えます。 ◆日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している 日米同盟は1951年締結の安保条約で始まり、60年の改定でアメリカの日本防衛義務を明記しました。 そして、日米指針は冷戦下の旧ソ連への対処から、北朝鮮の脅威などに対応するものに変わってきました。 冷戦終結後の1990年代半ばになって、北朝鮮の核開発疑惑や台湾海峡危機など東アジアでの緊張が高まったことを背景に、1997年にガイドラインは見直されることになりました。 このときの見直しは、日本に対する武力攻撃に加え、朝鮮半島有事を想定し、周辺有事の際の日米協力が中心となるものでした。 そして、日米両政府は、中国による海洋進出の活発化や北朝鮮の核やミサイル開発など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているとして、一昨年から、見直しに向けた作業を進めてきました。 ◆何が両国の安全保障上の最大の問題かという視点を常に失わない 先の大戦後、日本の潜在能力を弱体化しようとしていたアメリカが、一転して、日本を同盟国として育成する政策をとった理由は、ソ連の脅威が顕在化して、冷戦が始まったことにあります。 冷戦の終結、つまりソ連がアメリカに屈服した決め手となったのは、レーガンが軍拡を断行したからと言えます。 日本にとって幸いだったのは、冷戦の最後の時期において、日本の安全を守る国家利益と、世界戦略におけるアメリカの国益とが一致していたことです。 日本は、1980年代に防衛力増強を行ったことで、西側(自由主義陣営)の一員として大きな成果を挙げ、冷戦における勝利者側に立つことができました。 今後も、日米両国にとって最も重視すべきことは、何が両国の安全保障上の最大の問題かという視点を常に失わないということなのです。 ◆日米両国が真の運命共同体であるという実績を示す努力が必要 日米同盟を維持するには、共通の認識だけでなく、相互協力と責任負担が必要であり、日米間が共通の価値観で結ばれている事が必要です。 その価値観とは「自由民主主義を実践し、人権を尊重し、経済における自由解放体制を持つと同時に、世界における自由貿易を主導する」ことです。 日米の安全保障関係の協力強化と、TPP交渉の早期妥結を通じて、日米両国が真の運命共同体であるという実績を示すことが、今最も重要なことです。 アメリカは、今後とも東アジアの軍事安定のためにその責任を維持すべきであり、日米同盟と日本における米軍基地は、アジア全体の平和と安定のために必要不可欠なものと言えます。 つまるところ、日本はその国家戦略として、「沖縄の普天間基地を可及的すみやかに辺野古へ移設完了」させ、中国による「新たな冷戦」に備えなくてはなりません。 「戦争を起こさせない」ために、安保法制改革の実現を! 2015.05.07 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 本年の憲法記念日には、護憲派と改憲派が集会を開催し、それぞれの主張を訴えました。 今後の安保法制改革の向かうべき方向を見定めるために、今回は、5月3日に出された両者の主張を対比してみます。 ◆支離滅裂な主張が続く護憲派集会 護憲派は、憲法記念日に「平和といのちと人権を! 5・3憲法集会」を横浜市で開催し、「集団的自衛権の行使」や「戦争のための全ての法制度」への反対などを訴えました。 大江健三郎氏は、現政権が成立を目指す安保法制に対して、「安倍は日本の国会で(そのことについて)はっきり述べて、われわれ日本人の賛同を得たことはない」と述べ、憲法学者の樋口陽一東大名誉教授は、国民を飢えさせないことと、絶対に戦争をしないことが政治の役割だ(※)として、安倍政権を批判しています。(産経ネット版:2015.5.3) ※これは樋口氏の友人である菅原文太氏(俳優)の遺言 しかし、この批判はどちらも的外れです。 自民党は14年の選挙で「安全保障法制を速やかに整備します」と公約し、13年公約ではガイドライン改定、12年公約でも「集団的自衛権の行使」を明記していました。今回の安保法制改革は民意の審判を経ずに出てきたわけではありません。 また、「絶対に戦争をしないこと」を政治の役割とした場合、他国からの侵略に対して政府は何もできません。一切の戦争が禁じられたならば、侵略に対して自衛のために戦うこともできないからです。 集会では、精神科医の香山リカ氏が、「私たちはこの憲法を変えるどころか、まだ使い切ってもいない」と述べていましたが、有事に「使いものにならない」ことが、今の憲法の最大の問題点なのです。 ◆現行憲法の矛盾を批判する改憲派 一方、改憲派に関しては、東京町の砂防会館別館で開かれた公開憲法フォーラム「憲法改正、待ったなし」の内容が報道されています。(産経ネット版:2015.5.3) 基調講演を行った櫻井よしこ氏は、「平和を愛する諸国民の公正と信義」と書かれた憲法前文を問題視しています。 講演では、例えば、「中華人民共和国のような平和を愛する国の公正さと信義の厚さを信頼して、日本国と日本国民の安寧と生存を守っていこうと決意した」と書かれていたら、受け入れられるかどうかを聴衆に問いかけました。 前文は日本の近隣に「平和を愛する諸国民」が満ちていることを前提にしているので、この精神を遵守した場合、反日的な軍拡国家(中国や北朝鮮など)の善意を信頼しなければいけなくなります。この理不尽さを指摘しているわけです。 ◆中国の軍拡や北朝鮮の拉致や核開発から目を背けてはならない 両者を比べると、護憲派と改憲派とでは、平和への「脅威」と見なすものが違うようです。 護憲派は安倍政権を平和への「脅威」と見なしていますが、改憲派は軍拡を続ける中国や北朝鮮などを「脅威」と見なしています。 しかし、戦後史を振り返ると、中国はチベット、東トルキスタン、南モンゴルを武力で奪い、台湾(金門島砲撃など)やベトナム(中越戦争)、インド(中印戦争)などに戦争をしかけました。 そして、北朝鮮は世界最悪の人権弾圧を続けながら核ミサイル開発を進めているのです。 この両国の戦争や非人道的な行為から目を背け、集団的自衛権の行使や安保法制改革で日本が戦争国家になると批判する護憲派の主張は、東アジアの現状を無視した悪質なプロパガンダだと言わざるをえません。 ◆「戦争を起こさせない」ためには、安保法制改革が必要 戦後70年、日本の平和を守ってきたのは、憲法九条ではなく、日米同盟と自衛隊の「抑止力」でした。 今回の安保法制改革は、昨年の集団的自衛権の行使容認、訪米時のガイドライン改定を踏まえ、日米同盟の抑止力を強化することで、近隣の野心ある国に「戦争を起こさせない」ための改革です。 また、万一、戦争をしかけられても、それに対応できる体制をつくるための改革でもあります。 安保法制改革は先延ばしが続いてきましたが、戦後70年の本年にこそ、これを現実にし、さらに九条改正に向けた気運を高めていかなければなりません。 【参照記事】(どちらも産経ネット版:2015.5.3) 【憲法記念日】「すべて安倍のせい」と護憲派が横浜でスパーク 大江健三郎氏「米演説は露骨なウソ」 香山リカ氏「憲法使い切ってない…」 【憲法記念日】櫻井よしこ氏「憲法前文は変な日本語。文法も間違い」「皆さんの命を中国に預けますか?」 憲法フォーラムで基調提言 「戦後70周年、『唯一の被爆国』としてのあるべき姿とは?」 2015.05.05 文/幸福実現党・山形県本部副代表 城取良太 ◆有名無実化する核拡散防止条約 5年に1度行なわれる核拡散防止条約(NPT)を再検討する会議が、先月27日よりニューヨークの国連本部で開会され、約1ヶ月間、核軍縮や不拡散を前進させるための話し合いが行なわれることになっています。 NPTは、1970年3月に発効された多国間協定であり、2010年5月現在で世界の190カ国が加盟しております。 建前としては、核兵器廃絶という理想を掲げ、核兵器の削減、核拡散の抑止を目的としておりますが、現実的には戦勝国史観に立ち、核兵器を限られた国のみで独占するための「参入障壁」といえましょう。 例外的に、イスラエルに関してはアメリカの黙認によって、NPT非加盟であるにもかかわらず、数百発もの核弾頭を保有しており、こうした「二重基準」が不公正感を生み出し、インドやパキスタンは非加盟ながら核保有を実現し、北朝鮮もNPT脱退後、3度の核実験で核保有国であることを世界に認めさせようとしています。 このように、NPTすでに歴史的に限界を露呈し続けており、既に有名無実化しているといって過言ではありません。 ◆拡散するのが核兵器の性質 実際に、NPTの理念とは正反対の「核拡散」が中東地域を中心に席巻する見通しとなっています。 その象徴がイランの核開発問題でしょう。 4月上旬、イランが保有する遠心分離機を3分の1に減らす代わりに、欧米は対イラン制裁を解除するという内容で枠組み合意を受けて、イランが核兵器開発に突き進む最悪の事態は避けられたとされています。 しかしながら、イランの最高指導者、ハメネイ師が4月9日、テレビ演説で対話路線を強調しつつも「これまでの交渉は合意も内容も保証せず、交渉が最終決着するまで続くことも保証しない」と延べ、議論が白紙に戻る可能性も示唆しています。 イランは核開発を継続すると踏んでいる周辺国も躍起になって核保有に動き出しております。 イランとシリア、イエメンで代理戦争を行なうサウジアラビアも、イランが核保有を実現した際には、パキスタンから1ヶ月以内に核兵器を入手すると見られています。 イラン、サウジアラビアが核兵器を保有したと分かれば、エジプト、トルコも必ず核保有に動き出すはずで、自然の摂理としては、中東各地に核は拡散していくことになるのです。 ◆戦後70周年に相応しい「唯一の被爆国」としての立ち位置を! 極東に目を向けてみても、拡散とまではいかずとも、日本にとって危険な国ほど核戦力を拡張している現実があります。 現在行なわれているNPT再検討会議においても、核開発を続ける北朝鮮に対して、全ての核兵器を廃棄するよう強く要求されていますが、北朝鮮がそんな警告を聞かないのは明らかです。 また、中国の確保有数が不明確であることを踏まえて、岸田外相は「核戦力の透明性確保」が重要であると強調していますが、中国がそうした勧告に従うとは思えません。 その一方で、日本においては相変わらず「核アレルギー」という空気感に囚われ、核を保有すべきかどうかという議論を健全に行なう土壌すらない状況にあります。 戦後の日本は、「唯一の被爆国として核兵器等の廃絶など、最大限の努力をすべきである」とリアリズムの世界では全く通用しない主張を繰り返してきました。 戦後70周年を迎えるにあたり、「原爆のような大量破壊兵器によって、二度と自国民の生命や安全を脅かさない万全の国防体制を構築するべく、核保有も視野に入れる」という選択肢も持つべきでありましょう。 まずは「核アレルギー」をなくし、核保有すべきか否かを議論できるニュートラルな空気感が醸成されることこそ、中国や北朝鮮への大きな抑止力になってくるはずです。 武士道国家としての矜持 2015.05.03 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆60年安保を上回る大転換? この度の、安倍首相の訪米に合わせ、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)が18年ぶりに改定され、日本が集団的自衛権を使うことを盛り込み、米軍への後方支援の地理的制限をなくしました。 安倍首相が掲げる「積極的平和主義」を反映し、自衛隊の米軍への協力を地球規模に拡大する内容で、自衛隊のあり方が根本から変わるとされています。(朝日デジタル 4/28) この変更は、祖父の岸信介首相が行った安保改定(60年安保)を上回る、自衛隊の本質の大転換がなされるものだという批判も聞かれます。 安倍首相も米連邦議会の上下両院合同会議における演説の中で、今、取り組んでいる安全保障法制の整備は、戦後初めての大改革であるとし、この夏までに成就させると明言しました。 ◆禅問答の如き憲法解釈 安全保障法制の整備は、武力攻撃事態法、周辺事態法等の改正、恒久法国際平和支援法の制定などが想定されますが、大きく「日本の平和と安全」「国際社会の平和と安全」の二つを柱とし、その中心論点は、昨年7月に閣議決定された集団的自衛権の限定的な行使容認です。 政府は、集団的自衛権の限定的行使の容認の根拠として、憲法の番人たる最高裁の砂川判決をしばしば引用しています。 砂川判決とは、1959年12月に出された最高裁判決で、日米安保条約にもとづく駐留米軍が憲法9条2項に違反するとした1審判決(東京地裁1959年3月)を覆すものでした。 判決は、日本は憲法9条2項により戦力は保持しないが、これによって生ずるわが国の防衛力の不足を、憲法前文にいう「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼する」ことによって補う事は否定されていないとし、頼るべき対象は、わが国に駐留する米軍でも何ら問題はないとしました。 憲法9条2項が禁止した戦力とは、わが国の戦力をいうのであって、外国の軍隊は、たとえそれがわが国に駐留するとしても、憲法にいう戦力には該当しないと解すべきである・・・というような内容であります。 政府は、この判決を元に、最高裁は「主権国家として持つ個別の自衛権」は憲法上否定されていない、わが国が、自国の平和と安全とを維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置を執り得ることは、国家固有の権能の行使であるとしています。 この判決から半世紀が経過し、わが国を取り巻く安全保障の環境の変化に合わせて、この判決の法理は維持しつつ、集団的自衛権の容認の根拠となり得ると説明しています。 これら政府の憲法解釈は複雑ですっきりしません。 昨年7月に衆院予算委員会で安倍首相が集団的自衛権に関する質問に対して答えた、「武力行使の新3要件」も非常に抽象的で分かりづらいものでした。 ◆正々堂々と憲法改正を掲げ、潔く負けよ 安倍首相が掲げる「国際協調主義に基づく、積極的平和主義」を展開するためには、これらの複雑な憲法解釈変更の積み重ねにより煙幕を張るのではなく正々堂々と憲法改正を掲げて国民に説明する明快さが必要であります。 安倍首相は、米議会演説の冒頭で祖父の岸信介首相に言及し、自らを重ね合わせているようであります。 しかし、田中秀征福山大学客員教授は、民法のTV番組において「私は60年安保の時、学生であった。(国会を10万人とも30万人ともいわれる)デモ隊に包囲され、命の危険を感じながらも日米安保改定を断行した岸信介首相に対して、『敵ながらあっぱれ!』という当時の学生たちの言葉を聞いた。安倍首相も、憲法解釈変更でなく堂々と憲法改正を訴えるべきだ。」と発言していました。 また、昨日開催された講演会「新時代を創る力」において、幸福の科学グループ大川隆法総裁も「安倍首相は、禅問答をするのではなく、すっぱりと憲法改正を訴えるべき。堂々と国民に信託を仰ぐべき。そして潔く負けるべきだ。」と説かれました。 昨年7月に出版された「集団的自衛権はなぜ必要なのか」のまえがきでは、大川隆法総裁は、「安倍政権は次の総選挙で必ず憲法9条改正を掲げるべし。その勇気と気概がなければ、『武士道国家』としての恥を知るべきである。」と激を飛ばされました。 己の保身のために、本音を封印し、権謀術数をめぐらす政治家の群れにあって、正々堂々と正論を訴え、潔く負けていく「首相」の出現こそ、日本の誇りを取り戻す「魁」となりましょう。 参考:「集団的自衛権はなぜ必要なのか」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1213 【この一冊で、「集団的自衛権」がよくわかる!】 東アジアの現実に目を向けよ! 日本よ、いまこそ“半主権国家”から脱却せよ! ▽左翼的な平和勢力の掲げる「平和」とは侵略国家への隷属を意味する ▽護憲にこだわる平和主義者は、中国や北朝鮮にこそ憲法九条をすすめよ ▽他国は軍事拡張してもよいが日本だけはダメというのは偏った見解 ▽国を守るために必要な軍事力を持つことは間違っているのか ▽日本が軍国主義化を進めていると思うのは間違い ▽尖閣で軍事衝突が起こったらアメリカは本当に動くのか? ▽先の大戦における「日本原罪論」の誤りを正す ▽他国も自国民をも弾圧し、基本的人権を踏みにじる中国の暴走を止めよ ▽戦後70年、いざ「占領憲法」から「自主憲法」へ ▽滋賀県知事選における「自公の敗北」をどう見るか ▽安倍政権は次の総選挙で「憲法九条改正」を掲げるべし すべてを表示する « Previous 1 … 51 52 53 54 55 … 98 Next »