Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 幸福実現党の一貫した主張と脱原発知事の失速 2016.09.15 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆「脱原発」のトレンドが変わった 2011年の東日本大震災以来、原子力発電については、左翼マスコミや言論人等の発信の影響もあり、否定的に捉えられ続けてきました。 また民主党菅政権による浜岡原発の停止要請をきっかけとして、一時は全国すべての原子力発電所の稼働が停止しました。 そして、菅政権の下で設置された原子力規制委員会が、2013年7月に世界で最も厳しいとされる安全基準(新規制基準)を策定し、その新規制基準への適合性審査が遅々として進まないこと、一部の地域で「脱原発」を標榜する知事が、原発の再稼働について、規制以上の厳格な対応を国及び電力会社に要求したことから、現在でもほとんどの原発が停止しています。 法的な定めはありませんが、原発が立地する自治体と電力会社は「原子力安全協定」を結び、増設の際の事前協議などを約束してきた関係で、再稼働には事実上地元の同意が必要とされてきました。このため、法令に基づく新規制基準への適合性審査に合格しても、知事が反対した場合には、原発の再稼働が進まないということが起こり得ます。 しかしながら、すでに「原発事故」から5年経過し、新規制基準への適合性審査に合格した一部の原発では再稼働の動きが進められています。そのうち、九州電力の川内原発1、2号機(鹿児島県)と四国電力の伊方原発3号機(愛媛県)が運転を再開し、電力を供給しています。 ◆鹿児島県三反園知事による「脱原発」の活動 7月の参院選と同時に行われた鹿児島県知事選では、元テレビ朝日記者として全国的にも知名度の高い三反園訓(みたぞのさとし)氏が当選しました。 その選挙戦において三反園氏は、川内原発の再稼働を推し進めた伊藤知事(当時)を批判、「脱原発」を推進し、民進党・社民党などの左翼陣営の県組織及び反原発を訴える市民団体、県政に批判的な保守系の県議の支持も受け、初当選を果たしました。 そして当選後、三反園氏はその公約の実現に向け、8月26日に県庁に九州電力の瓜生社長を呼びつけ「川内原発を即時停止し断層調査及び設備点検を行う事」の要請を九州電力に行い、今月にも同様の要請を行いました。 九電による回答は更なる安全性を高める努力を行いながら稼働を継続する、というものであり、即時停止を拒否した形となりました。 また、川内原発の再稼働によって、九州電力の経営基盤が大きく改善されました。 産業の基礎となるエネルギー供給の企業経営が安定することは国益の立場から考えてもよい影響となったのではないでしょうか。 ◆新潟県泉田知事は4選不出馬を表明 また、柏崎刈羽原発が所在する新潟県の泉田知事も、福島原発事故以来、一貫して原発再稼働に反対してきました。 3年前の2013年にも泉田知事が突如、「地元への調整がない」という理由で、東電との話し合いを拒否。関係者を大変困惑させただけでなく、地域経済にも深刻な影響を与えています。 泉田知事は一時、10月に行われる新潟県知事選4選出馬を表明していたものの、最終的に不出馬となったようです。 県が出資する海運会社の子会社が、韓国企業とフェリー購入を巡ってトラブルになり、地元紙が「県が深く関与している」と責任を追及する報道を展開していたことが不出馬に至った直接の原因と言われています。 現在、地元である柏崎市・刈羽村では、新知事の元で原発再稼働の実現に向けて、大きな期待が寄せられているようです。 このように、各地で「脱原発」を標榜していた知事が、原発再稼働の大きな流れに抵抗しているものの、この流れを止めることが出来なくなっているというのが現状です。 ◆脱原発の危険性を訴え続けた幸福実現党 幸福実現党は、安全が確認された原発については、速やかに再稼働することを求め、一貫して原発再稼働の必要性を訴え続けました。 例えば「原発事故」の記憶も生々しい2012年10月の衆院鹿児島3区補選では、党公認の松澤力(まつざわいさお)候補が、選挙区内に所在し当時は稼働を停止中の川内原発について、自民党公認候補等、4人の候補者の中で唯一、再稼働を主張しました。 また、今夏に行われた参議院選挙において、柏崎刈羽原発が所在する新潟でも横井基至(よこいもとゆき)候補が、泉田知事の判断を批判しつつ、ここでも原発再稼働の必要性を訴え、多くの有権者の支持を広げました。 薩摩川内市 まつざわ力(いさお)webサイト http://www.matsuzawaisao.jp/ 新潟県阿賀野市 横井もとゆきwebサイト https://motoyukiyokoi.amebaownd.com/ ◆シーレーン確保が危うい現在、求められるのは国益の立場からの議論 すでに何回も当ニュースファイルでも訴えてきたとおり、日本は石油や液化天然ガス(LNG)等の化石燃料をすべて輸入に依存しており、その海上交通路(シーレーン)の確保が困難となる可能性が高まっています。 特に、フィリピンのドゥテルテ新大統領が、反米色を出し始めており、南シナ海海域でのアメリカの影響力が低下し、中国の覇権拡大が日本の船舶の通行の自由を脅かす可能性があります。 この事態が進むと、我が党が、何度も警告を重ねてきたシーレーンの確保ができなくなるかもしれないのです。 現在、日本は原油については80%以上、LNGについては3分の1程度を、中東からの輸入に依存しています。 これに加えて、LNGの50%程度、石炭の80%程度を、東南アジア・オーストラリアから輸入しています。 したがって、もし南シナ海が封鎖された場合には、化石燃料のほとんどが日本に輸入できなくなり、突如エネルギー危機に陥る可能性があります。 そうした意味で、幸福実現党はエネルギー資源調達の多様化を主張しており、例えばロシアとのエネルギー資源外交を積極的に展開し、一定量の原油・天然ガスをロシアから輸入し、シーレーンにおける不測の事態に備えることを提案しています。 しかし、電力については、原子力発電を有効活用することによって、シーレーンの影響をできるだけ抑え、安定供給を確保することが可能です。 各都道府県知事の判断も、地域の声を代表する立場として重要であることは言うまでもありませんが、幸福実現党は、国の安全保障を左右するエネルギー政策のような国家的課題に対しては、国益の立場からの判断が重要であることを訴えております。 今後とも皆さまのご理解をいただきますよう、お願いいたします。 中国が沖縄で仕掛ける日米分断工作 2016.09.11 幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆「沖縄県民は、機動隊にいじめられている!?」 先日、沖縄にお住いの70歳くらいのご婦人から政党に電話がありました。 「沖縄は機動隊にいじめられ苦しんでいます。これをどう思いますか。」 ご婦人が言っているのは、下記のニュースのことです。 沖縄の高江村のヘリポート反対に、高江ヘリパッドへ機動隊100人超投入 http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/54490 続けて、御婦人は言いました。 「戦争のようなことになれば、米軍基地のある沖縄が真っ先に狙われる。だから米軍は沖縄から出て行ってほしい。」 ◆「それでも米軍が沖縄にあったほうが良い」 かつて沖縄戦で米軍に家族を殺された思いを知れば、米軍に出て行ってほしいという感情は理解できます。しかし「それでも米軍が沖縄にあったほうが良い」と私は申し上げました。 なぜなら米軍が撤退して、沖縄が平和になるかと言えば決してそうではないからです。 沖縄の新聞を読んでいると、米軍の悪いところを過大に報道し米軍撤退の世論を煽っています。米軍の悪口は報じても、中国が不利になる報道は全くしません。 中国のウイグルやチベットへの侵略は、「ウイグルやチベットは中国のものだ」という宣言から始まりました。 すでに中国は、尖閣・沖縄は昔から中国のものだと言っています。2010年、中国で起きた反日デモの際には、「回収琉球、解放沖縄」という横断幕が登場しました。 中国は、将来、沖縄を自治区にしようとしています。そうなったらウイグルやチベットで起こった虐殺の悲劇が沖縄でも起こり得るということです。 しかし米軍があることで中国は沖縄に手を出すことができません。これが抑止力です。 ◆中国が沖縄で仕掛ける日米分断工作 そこで、まともに戦えば勝てない米軍を沖縄から撤退させるために、中国は沖縄県民に米軍に反感を抱かせる工作を行なっています。 また、沖縄独立を支援することで日本と沖縄を分断すれば、中国にとっては沖縄を手に入れやすい環境が整います。 それを裏付けるように、「米中経済安保調査委員会」が、「アジア太平洋での米軍の前方展開を抑える中国の試み」と題する報告書をまとめました。(7/13産経)。 「中国が沖縄で日米を離反させるための工作活動」として、中国の動きを次のように指摘しています(抜粋)。 (1) 中国人民解放軍幹部が軍科学院の刊行物などに論文を発表し、中国がアジア、西太平洋で「歴史上の正当な傑出した立場」を取り戻すためには、有事の際に米国がアジアの同盟諸国と共に中国の軍事能力を抑えこむ態勢を崩す必要がある。 (2) 中国軍は、特に沖縄駐留の米軍が有する「遠隔地への兵力投入能力」に懸念を抱き、多角的な方法でその弱体化を図っている。例えばその1つの方法として、中国の政府機関が沖縄の米軍基地の近くに不動産を購入し、沖縄の反米闘争の支援に利用している。 (3) 中国はこうした目的のために経済的圧力を頻繁に行使する。フィリピンに対してはフルーツ類の輸入を大幅に制限し、かなりの効果を得た。日本に対してはレアアース(希土類)の輸出を規制したが、効果をあげられず、他の方法を試みている。 (4) 中国は沖縄に、米軍の軍事情報を集める中国軍の諜報工作員と、日本の米軍基地反対運動をあおるための政治工作員を送りこみ、日本と米国を離反させようとしている。また、中国は沖縄の親中勢力をあおって沖縄の独立運動も支援している。 (5) 沖縄にいる中国の諜報工作員たちは、米軍基地を常にひそかに監視して、米軍の軍事活動を詳細にモニターしている。また、米軍と自衛隊の協力体制も調べている。さらに中国の政治工作員は、沖縄住民の米軍基地に対する不満や怒りを扇動しようとしている。 (6) 中国の官営報道機関は、「琉球で2006年に行われた住民投票で、住民の75%が日本からの独立を望むという結果が出た」と報道した。だが、実際にはそのような住民投票は実施されておらず、沖縄住民のほとんどが日本に留まることを欲している。 (引用終わり) このような反米運動や沖縄独立運動等を操る中国という存在を忘れてはなりません。 ぜひ、こうした中国の工作活動があることを、特に沖縄の方には知っていただきたいと思います。それが中国から沖縄を守るための第一歩となるのです。 緊迫する南シナ海――世界が守るべき「法の支配」と正義 2016.09.10 幸福実現党・神奈川県本部副代表 HS政経塾4期生 いき愛子 ◆人工島の造成、戦闘機配備・・緊迫する南シナ海 南シナ海をめぐる情勢は、周金平政権の発足後、年を追う毎に予断が許されない状況にきております。 2013年にスプラトリー諸島で岩礁の埋め立てに着手していたことが判明すると、翌年には、ファイアリークロス礁での滑走路工事が判明し、今年からは旅客機の試験運用を始めています。 さらに石油探査と称してパラセル諸島周辺で着々と侵略を拡大し、ついに今年2月、ウッディー島にミサイル、戦闘機を配備しました。 米戦略国際問題研究所(CSIS)は、南シナ海の今後について「2030年までに事実上中国の湖になる」という衝撃の報告書(2016年1月)も発表しております。 ◆法的根拠のない中国の侵略理由 中国が領有権を主張する言い分とは何なのでしょうか。 その根底は世界の中心に中国、漢民族が存在する「中華思想」があります。 「秦の始皇帝の時代に時代にすでに東南アジア全体は中華文化に支配されており、中国を核とした秩序の下にある国際社会であった」という根拠の元になり立っています。 そして、中国は、南シナ海のほぼ全域を九本の線(九段線)で囲み、その内側は中国の海洋領土であると主張しております。 しかし、これは国際司法では全く通らない、中国の独善的見解です。 国際海洋法の前文には、「すべての国の主権に妥当な考慮を払いつつ、国際交通を促進し、かつ、海洋の平和的利用、海洋資源の衝平かつ効果的な利用」と掲げてあり、すべての国に対して公平性が担保されることが原則とされています。 ◆仲裁裁判所が南シナ海問題で初の裁定 すでに南シナ海における暴挙においても「法の支配」における制裁はくだされております。 フィリピンは中国の九段線の無効確認などをオランダ・ハーグ常設仲裁裁判所に訴えを起こし、今年7月「九段線」に関しては「歴史的な法的根拠はない」と全面的に否定しています。 さらにフィリピン漁船への妨害行為や航行の安全を脅かす行為に対しても違法性が指摘され、中国の海洋進出は侵略行為であると判断を下しました。 これに対し、管轄権を否定された王毅外相は「法衣かぶった政治的茶番だ」と一切受け付けない姿勢です。 法治主義を無視した国家の侵略に対して、理屈抜きでは解決できない面があることを、日本の政治家は重々認識しなければいけません。 ◆「法の支配」と正義を貫く気概ある国家へ 日本は、「法の支配」をはじめとする価値観を各国で堅持していくと共に、安全保障上の措置をさらに高めていく必要があります。 南シナ海における日米やフィリピンとの共同訓練は実施されておりますが、さらに自衛隊の護衛艦を派遣し独自の警戒・監視行動をとっていくことが必要です。 「法の支配」を無視し、覇権を拡げる中国に対して日本の使命は、各国以上に中国の台頭を許さない気概と正義を貫く行動力を発揮していくことです。 ASEAN各国とアメリカの間を繋ぎ、中国包囲網を築くリーダー国家としての使命が求められております。 ※参考書籍:南シナ海でなにが起きているのか-米中対立とアジア・日本-(山本秀也著) ■中東和平への関与で、ロシア外交の突破口を開け 2016.09.08 HS政経塾一期卒塾生/逗子市政を考える会 彦川太志 ◆日露首脳会談 本年、北方四島返還を含む日露平和条約の締結に向けて、日露首脳会談が精力的に開催されています。 政府は「新たなアプローチ」で領土問題に取り組み、まず経済協力から関係を強化していくことを表明しています。 一方のプーチン大統領は、北方四島を日本に与えるつもりはなく、「我々は多くを購入する用意はあるが、売るようなことはしない。」(Pravda紙)と発言し、経済支援の見返りとして北方四島を返還する意図はないことを明らかにしています。 ◆軍事費負担を軽減したいロシア それでは、経済支援以外にどのようなアプローチが考えられるのでしょうか。 それを考える手がかりとなるのが、ロシア経済に重くのしかかる軍事費です。ロシアは韓国と同程度のGDPにも関わらず、対GDP比で5.4%、664億ドルの軍事費を計上しています。 クリミア事件以降、核戦力の更新や軍事演習の活発化によって強硬な印象を与えているロシアですが、2016年5月には、プーチン大統領がシリアからロシア軍の主力を撤退させると表明しているほか、イランを経由して実施したシリア空爆を突如中止にするなど、台所事情が苦しい様が伺えます。 自国の安全保障に関わる地域から少しでも紛争を減らし、軍事費負担を軽減したいと考えているのは、米国だけでなく、ロシアも同様であることがわかります。 ◆トルコのクーデター未遂事件がシリアに及ぼした影響 そのような中で、8月26日、ロシアのアントノフ国防副大臣から日本に対して、シリアの「アレッポでの人道支援に協力して欲しい」との要請が入りました。 シリアは現在、7月15日に発生したトルコ・クーデター未遂事件の余波でアサド大統領を巡る米露の対立関係が変化しており、日本として調停役を買って出るチャンスが来ているといえます。 ここで、トルコでのクーデター未遂事件がシリアに及ぼした影響について、簡単に解説いたします。 7月15日に発生したトルコでのクーデター未遂事件について、エルドアン政権はイスラム教指導者ギュレン氏をクーデターの首謀者だと断定し、非常事態宣言を発出して同氏の運動に関連する人々に弾圧を加え、自身の政権基盤の強化を行いました。 さらにギュレン氏本人を処罰しようと、亡命先の米国に様々な形で送還圧力をかけましたが、米国は送還に応じませんでした。 このため、トルコは米国の核兵器が配備され、対「イスラム国」作戦上重要な役割を担うインシュリク空軍基地への封鎖圧力をかけたほか、シリア問題において退陣要求を突き付けていたアサド政権について、一転して「容認」の姿勢に転じ、ロシアとの関係修復を行うという外交的アクロバットを行ったのです。 クーデター未遂事件以降、トルコ国内においては、政権によって「ギュレン氏の運動と関連がある」としてパージされた者は約8万人に上り、エルドアン大統領自身が最大の利益を得るという不思議な結果になりましたが、一方で国外の動きに目を転じるとどうでしょうか。 ◆トルコと関係を回復したロシア この間、トルコと関係を回復したロシアはイランへの S300 地対空ミサイルの輸出や、シリアにおける在外空軍基地の強化などを通じて、東地中海への軍事的プレゼンスを高めたほか、トルコとガスパイプライン開発計画の再開に合意し、バルカン半島など南欧地帯への経済的影響力も高めようとしています。 ロシアとトルコの和解によって、ロシアは地中海・バルカン半島への影響力を強めていき、トルコは国内の政権基盤を強化したほか、エジプト・シリアとの関係修復に着手するといった事態が進展したのです。 そして7月下旬になると、トルコ軍が「自由シリア軍」と共に南部国境からシリア北方の町に向けて「ユーフラテスの盾」作戦を開始し、突如進撃を開始しました。 表向きは「イスラム国」の掃討が謳われておりますが、実際は政権と対立するクルド人武装勢力を国境地帯から一掃するための軍事行動であった事が指摘されています。 このようなトルコのシリア進撃を受けて、米国とロシアは、シリアでクルド人問題と言う民族対立が激化する可能性を憂慮し、「シリア領内における、クルド人の特別な行政区域」を容認せず、シリア問題の焦点を「アサド政権の退陣」から、「シリアの国家的統一性の維持」とすることで合意に至りました。 この段階に至って、トルコのクーデター未遂事件がシリア内戦問題に合流したのです。 ◆シリアでの人道支援をロシアが日本に依頼 こうした事件が進行するさなかに、ロシア国防副大臣から日本への「アレッポでの人道支援」依頼が行われたのです。ちなみに、ロシアが依頼してきた人道支援のエリアは、今回トルコが進撃した地域とは異なります。 シリア問題の解決については、中国も「名乗り」を上げており、これを放置すると、中露関係の強化による「日本外し」の進展をみすみす許してしまうことになります。 日本もロシアの要請により、シリア問題の解決を支援すると一言発するだけで、だいぶ状況は変わるのではないでしょうか。 もちろん、中東和平については軍事力による解決ではなく、まずは人道支援から入って日本的なソフトパワーによる解決のアプローチを考案していくべきでしょう。 「カネで領土を買う」という発想だけではなく、中東和平の調停の労を取ることで「貸し」を作れれば、これまでとは「別次元のアプローチ」で、日露関係、領土問題を進展させることができるかも知れません。 ASEAN物流の要「ラオス」を守るのは日本しかない! 2016.09.03 幸福実現党・大阪府本部副代表 数森圭吾 ◆急成長するラオス 敬虔な仏教国である「ラオス人民民主共和国」。 2015年には満足度世界一の観光地にも選ばれています。 日本が青年海外協力隊を初めて派遣した国ラオス。1965年に派遣して以来、756人が現地で活躍してきました。 また、ラオスにとって日本は最大の援助国となっており、その支援額は25年間日本がトップとなっています。 ASEAN10ヵ国のなかで最も経済発展が遅れているといわれていたラオスがいま、急成長国家へと変わってきています。 2008年以降ラオスの経済成長率は8%前後を推移しており、周辺国のタイやベトナムと比較しても急成長を遂げているのがラオスなのです。 ◆ラオス進出に必死な中国 このラオスに対して、いま影響力を拡大しているのが隣国の中国。中国のラオス進出が加速しているのです。 ラオスの首都ビエンチャンでは中国資本によって大型開発が行われており、ラオス最大の高層ビルも中国資本によって造られています。 また、ラオス・ミャンマー・タイの国境を含む地域は経済的な地理的重要性から「ゴールデントライアングル」と呼ばれています。 この地域のラオス側国境沿い約3000ヘクタールという広大な土地を、中国人投資家がラオス政府から99年間借り受けるという契約が結ばれました。 ◆中国によるラオス支援の裏側 中国はラオスへの支援を拡大していますが、そこには裏があるといわれています。 ラオス国立競技場にある巨大なスタジアムは中国が無償で建設したもの。しかしこれは完全な支援ではなく、中国は建設の見返りとして首都近くにある1600ヘクタールの土地を50年間開発する権利をラオスに要求しました。 結果、地域住民の生活基盤となっていた湿地帯などが中国資本によって埋め立てられ、経済特区がつくられようとしています。 完成後には5万人の中国人が移り住む巨大なチャイナタウンが出現する予定となっています。 ほかにも中国の昆明からビエンチャンまで走る長距離鉄道の建設もはじまっています。 この大プロジェクトの総事業費は7400億円と巨額になっていますが、なんと建設費用の70%を中国政府が負担し、ラオス負担の残り3割についても中国が低金利で融資するというラオスにとって非常に有利な条件となっているのです。 この背景には中国の習近平が進める巨大計画があります。将来的に中国からシンガポールまで3000㎞におよぶ長距離鉄道を建設し、「21世紀のシルクロードを造る」という計画の一環となっており、ラオスはその要になっているのです。 つまり新たな物流ライン建設においてラオスは中国にとって押さえるべき要所となっているのです。 さらには、2015年11月にはラオス初の通信衛星が中国によって打ち上げられ、これを機に中国はラオスの通信事業進出も狙っているといわれています。 中国がラオスにここまで進出する背景にはラオス国内に眠っているボーキサイトやカリウムなどの資源獲得も大きな理由の一つと言われています。 このような状況の中で、ラオス政府も国民も中国への警戒感を強めています。ラオスのトンシン・タムマヴォン首相は中国に対する危機感を示し、日本政府や日本企業に強い期待を持っているといわれています。 ◆日本企業への期待 過去、電力不足に悩んでいたラオス。ラオス国内では内戦が続き、政治的にも経済的にも不安定な状況でした。 そんななかラオス政府の依頼で日本企業がラオス国内にダム建設を行います。当時内戦中だったラオスにおいて10年以上の年月をかけてダムは完成しました。 その建設ノウハウを生かし、現在では38カ所もの水力発電所が建設され、近隣諸国に電力を輸出も行っていることから「東南アジアのバッテリー」と呼ばれるまでになっています。 そんななか、いま新たにラオスにおいて日本との巨大プロジェクトが進んでいます。関西電力が中心となり、ラオスに「第二のくろよん」建設がはじまっているのです。 その規模は黒部ダム貯水量の10倍にのぼります。さらにラオスには2020年までに80ヵ所のダム建設が計画されています。 これまでASEANのなかでもあまり注目されてこなかったラオスですが、これからはインドシナ半島の物流や電力のハブとなることが予想されます。ラオスへの日本企業進出は2011年から2015年で32社からか78社に急増しています。 長年ラオスへの最も多くの支援を続けてきた日本であるからこそ、日本の技術力を生かし、官民一体となって中国の拡大に対抗していかなければならないと考えます。 12月にプーチン訪日?――ロシアを「中国包囲網」に取り込むために 2016.09.01 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆本年12月で日ソ共同宣言発効60周年 昨今の報道では、プーチン大統領が「日ソ共同宣言」発効60周年を刻む12月に訪日すると言われています。 プーチン訪日の場所は安倍首相の地元・山口県で、詳細な日程は9月2日にウラジオストクで開催される日露首脳会談で決まると見られています。 ◆過去の日露の領土交渉の経緯 9月と12月の会談では、北方領土返還も含めて日露平和条約締結に関する議論が交わされるはずです。 ソ連は北海道の東北にある四島(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)を占領し、戦後も実効支配を続けましたが、この返還交渉は「日ソ共同宣言」でソ連が提示した歯舞、色丹の二島返還論と日本の四島返還論がぶつかり合い、その後もうまくいっていません。 しかし、ソ連崩壊後には、93年の「東京宣言」で四島に関して「歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」とされました。 その後、2001年のイルクーツク声明では「東京宣言に基づき、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより、平和条約を締結」することを明記したのです。 プーチン大統領と森首相の間で出されたイルクーツク声明は日露の双方が重視しています。 ただ、この声明が出ても、何をもって四島の帰属問題が「解決」したとするのかは解釈次第なので、ロシアは「これで四島返還に合意したわけではない」というスタンスです。 そのため、交渉が進むかどうかは今後の日露関係の展開次第だと言えるでしょう。 ◆「ロシアに騙されるな」という意見について、どう考えるべきか プーチンは2012年3月、大統領復帰前の記者会見の席で、日露間の領土問題について「引き分け」で解決しようと発言し、その後も対日関係改善の意欲を示していますが、日本には「これはポーズだ。騙されるな」という声も根強くあります。 例えば、北海道大学の木村汎名誉教授は、駐日ロシア大使館で5年ほど勤めた知日派のアントン・ワイノ氏が新大統領府長官に就任したことに関して、「これは対日接近を企てるメッセージに他ならない」という「希望的観測を抱くことは禁物だろう」と述べています(産経正論2016/8/31)。 確かに、オホーツク海から北方領土近海までの領域はロシアが原子力潜水艦を展開するための要所ですし、同国は領土問題を抱える近隣諸国を刺激したくないので、やすやすと返還に応じられない事情を抱えています。 しかし、欧米からの制裁や原油価格の低下等によりロシアの名目GDPは2.23兆ドル(2013年)から1.32兆ドル(2015年)にまで激減し、来年もマイナス成長となることが予測されています。ロシアとしては日本や中国を含め、アジアにも活路を拓きたいところでしょう。 また、ロシアには人口がまばらな極東地域への中国人進出や中国の核戦力の強化への危惧も根強いので、日露関係の強化には、まだ交渉の余地があるのではないでしょうか。 ◆ロシアを「中国包囲網」に取り込むために 日本から見れば、ロシアと中国が組むような未来図は避けたいものです。 そして、ロシアは、近年、中国との間で「核戦力の差が縮小する」ことを「最大の懸念」としているという見方もあります(『東アジア戦略概観』2014年版)。 中露間の交流は盛んですが、ロシアは歴史認識を巡る中国の対日批判に完全に賛同せず、中国はロシアが08年(ジョージア)と14年(ウクライナ)に行った隣国の分離活動支援を支持しないなど、お互いの立場には違いがあるのです(同2016年版)。 また、ロシアがインドやベトナムにも兵器売却を行い、関係を深めていることにも、中国への警戒心が伺えます。 こうした情勢を踏まえるならば、日本は首脳会談で北方領土問題の解決を目指すと同時に、中露接近を止め、逆に中国包囲網の形成につながるように、日露関係の強化を進めなければなりません。 ※幸福実現党「日本を変える123の政策」より https://www.hr-party.jp/policy/ ロシアとの関係を強化します。平和条約の締結を目指すとともに、ロシア極東地域への投資を活発化させ、北方領土の返還を実現します。ウクライナ問題を契機とするロシアの孤立化が中ロ接近を招かないよう、日本としてロシアと米欧との橋渡しを行う外交を展開します。連携する未来のために、一手を打たなければなりません。 2020東京オリンピックの聖火を尖閣・沖縄から 2016.08.28 幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆「中共の対日戦争5つのステップ」とは ここに、2013年12月10日、人民日報主宰の強国論壇「博訊新聞ネット」に掲載された「中共の対日戦争5つのステップ」(「月刊中国」2014.1.1号)というものがあります。 【第1ステップ】 海洋警備隊を尖閣に派遣し領海を守るために空軍と海軍が厳しい監視を行い、中共の了解がなければ、いかなる国の艦船・航空機・人員も尖閣に接近させない。中共の警告を無視する者は、中国領空・領海を侵犯したものとして攻撃し逮捕する。 【第2ステップ】 香港・マカオ・台湾の中国民間人および公務員は、自由に魚釣島に上陸しても良い。 【第3ステップ】 魚釣島の海域を「ミサイル発射訓練基地」とする。これは事前に国際社会に通告し、その後24時間以内に訓練は開始される。 【第4ステップ】 日本側との魚釣島に関する協議は無期限に中止し、沖縄海溝までの大陸棚を中国と日本の国境とすることを公表すると同時に、日本すべての船舶を中国の領海から追放する。 【第5段階】 第二次世界大戦でアメリカと蒋介石が了解した「ポツダム宣言」により、琉球群島の国際地位(帰属)は未定であり国遼東半島と東北地区に配備したミサイルで日本本土を照準にした臨戦体制で、この交渉は行う。また同時に、内陸部の長距離ミサイルも第二弾として準備する。 (引用、終わり) ◆中国の尖閣上陸はカウントダウンに入った 現在、中国海警局の公船は、毎日のように尖閣海域を航行しています。最近は、十数隻の公船が尖閣諸島にせまり、中には武装公船(実質の軍艦)が含まれています。 中国当局は同時に300隻もの中国漁船が尖閣海域で操業させ、その中には軍事訓練を受けている「海上民兵」もいます。 空では、東シナ海で中国軍機が日本の自衛隊機に正面から威嚇、前例のない接近(6/30産経)を行なったと報道されています。 中国は、数年前に尖閣の観光ツアーの募集もしているので、近年中に海警局の公船、漁船だけでなく、尖閣海域で中国の観光船が航行することになるでしょう。 8月27日の産経新聞では、「中国が国内法で日本船を摘発するために尖閣で法執行の規定を設けた」とも報道されています。中国から言わせれば、尖閣海域は自国の海なので、日本の船を入れさせないというものです。 そして、ある日突然、尖閣諸島、魚釣島に中国軍が上陸し、【第3ステップ】「ミサイル発射訓練基地」を完成させ、【第4ステップ】として、日本の艦船を排除し、【第5ステップ】、ミサイルで日本を脅して「沖縄を中国のもの」にする、これが中国の計画です。 一方で左翼陣営は、沖縄の米軍を追い出す運動を繰り返しています。それは中国による「琉球自治区化」の工作に手を貸すようなものです。これは沖縄県民を中国による人権弾圧の悲惨な運命に導くものです。 そのようにしないために、ここで、尖閣諸島と沖縄を守るために、ちょっと斬新な提案をします。 ◆尖閣・沖縄を守るための提案 かつて1964年の東京オリンピックの際、まだ沖縄はアメリカの統治下にありましたが、沖縄の声として日本人として東京オリンピックを迎えたいという声が湧き上がりました。 その結果、オリンピックの聖火の日本の最初の上陸地が沖縄に決まったのです。こうしてオリンピックの聖火は日の丸を振る沖縄の人々の歓喜の中で迎えられました。 そして4年後の2020年東京オリンピックもまた、聖火の最初の上陸地は沖縄でなければなりません。 そこで提案です。 国際法上では、実効支配している国が、その島の領有を主張できます。日本の尖閣諸島を固有の領土と主張する根拠は、かつて魚釣島で明治期に260人もの日本人が鰹節漁を営んでいました。 しかし中国人が住んでいた記録はどこにもありません。中国は古代の中国の地図に尖閣諸島は載っているから中国の領土だと主張しますが、それは国際法上認められないのです。 そこで中国は国際社会で尖閣は中国のものだったという主張を繰り返し、公船や中国漁船を頻繁に出して、タイミングをみて魚釣島への上陸を実行し既成事実化を狙っています。 これを防ぐには、一日も早く日本が尖閣に公務員等を常駐させ、日本の領土であることを実質化させることです。日本人が住んでいる尖閣諸島に、中国は軍事基地をつくれば、それは明らかな侵略です。 そして尖閣に公務員等を常駐させたところで、東京オリンピックの聖火の最初の上陸地を尖閣諸島の魚釣島にします。平和の祭典であるオリンピックは世界が注目しているので、中国がこれを阻止しようとすれば非難されるでしょう。 さらに、それとは別に、釣りのオプションも入れた船からオリンピックの聖火を迎えるツアーを企画します。 石原慎太郎氏が都知事時代に尖閣諸島を買うために集めた寄付金はどこに行ったのかわかりませんが、東京都主催で、そのツアーを企画することは可能ではないでしょうか。 こうして、聖火は尖閣、八重山、沖縄本島のルートを通って九州に入ります。これが出来ればオリンピックを通じて国際社会に、尖閣、沖縄が日本であることをアピールできます。 いまは海上保安庁の方々が尖閣諸島を必死で守ってくださっています。しかし中国の攻勢は日増しに高まっています。尖閣諸島を守りきるためには、日本政府、国民が一丸とならなければならないところまできています。 核にゆれる世界――真の独立国になる好機を逃すな! 2016.08.23 HS政経塾5期生 水野善丈 ◆核の影響力はなくならない 国連核軍縮作業部会は8月19日、核兵器禁止条約の締結交渉を来年中に開始するよう勧告する報告書を賛成多数で採択しました。 「条約」で北朝鮮に核兵器を放棄させる考えのようですが、そもそも米英露仏中は協議に参加しておらず、実効性は低く冷ややかに見られています。 世界では、核拡散防止条約NPTに基づいて、常任理事国以外では核兵器を持てないことになっています。 しかし、北朝鮮、イスラエル、インド、パキスタンがすでに核兵器を持ち、イランも数年のうちに核兵器保有国になるとみられているように、核保有国が減らないのも現状であります。 ◆宥和的な外交政策のオバマ政権 この8年間のオバマ政権下での外交政策は、宥和的な戦略が取られてきました。 2013年のシリアの内戦では、アサド政権が反政府勢力に対して毒ガス攻撃をすると言いながら、何の軍事的行動も起せず、ロシアのウクライナへの侵攻に対しても、牽制はするものの軍事的措置はとりませんでした。 核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に対しても、国連を動かすことができず、実質的に北朝鮮は実験を成功させ、核保有国となってしまいました。 世界の警察を降りた米国にとって、国内の財政難やアメリカ国内の反発もあり、宥和的な政策を取ったとも考えられますが、逆にその姿勢が国際社会の秩序を揺るがしてきたともいえます。 ◆「核先制不使用宣言」の日本への影響 そのような中で、任期が近づくオバマ大統領は、最後に就任当初より掲げていた「核なき世界」の実現のため、「核先制不使用宣言」を行おうとしています。 安倍首相は、これに対し、米ハリー・ハリス司令官に反対の意向を伝えたとする報道を米紙にされましたが、本人は全面否定をしています。 しかし、「核先制不使用宣言」を現実的に考えると、米国のもつ核抑止力が弱体化することによって、世界に対する北朝鮮の核の脅威はさらに大きくなるメッセージとなってしまいます。 日本では、「平和憲法」のもと非核三原則を国是として堅持しているので、核兵器はもたず、アメリカの「核の傘」に安全保障を依存しています。 ゆえに、米国の「核先制不使用宣言」は、日本の国家存立の危機に迫ることであるので、しっかりと反対の意向を伝えないといけませんが、わざわざ全面否定する国家元首には落胆せざるを得ませんでした。 ◆真に独立国となる好機は近い しかし、米国が内向きに向かう状況は、日本にとってピンチであると同時に、真に独立国家となるための好機が近づいているともいえます。 共和党のトランプ大統領候補も、米軍に頼りっぱなしの日本に対して、対等な軍事費の負担や核装備もしたらいいのではないかという指摘もしています。 それに対し最近では、バイデン副大統領の「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを彼(トランプ氏)は知らないのか」(産経8/17)という発言も波紋を広げています。 また一方で、日本国内の世論は、政治家の姿勢、日本の在り方というものも若者を中心に認識が変わってきていることがうかがえる興味深いアンケート結果も出ています。 ○「日本は核を保持すべき?すべきじゃない?渋谷アンケート」 https://www.youtube.com/watch?v=eW3JGmyrpIw 結果は、「日本は核を保持すべきですか」という質問に対して、半分以上が保有すべきであるという回答がなされております。 意外な結果ではありますが、戦後71年が過ぎ、日本を取り巻く国産環境も劇的に変わっていく中で、国内の世論も、段々と変わってきているようです。 そのような中で、マスコミ世論を恐れ大切な議論から目をそらしてきたのは政治家だけのように見えます。 戦後、GHQの占領時につくられた憲法を守り、憲法9条第2項では、交戦権は認めず、国家としての中軸である安全保障を米国に任せて主権放棄の状態が長く続いています。 日本が主権を取戻し、真に独立国家となるためには、憲法9条改正はもちろん、自分の国は自分で守れる体制を整えることが求められます。またそれは、一国平和主義から脱し、真の世界を実現するリーダー国家としての役割を担うことを意味するでしょう。 最後は、国家に責任を持った政治家の気概と決断が、そうした議論へと向かわせ日本を変える一歩になると感じます。 私たち幸福実現党も、世界に誇る文化・歴史を持つ日本に真の誇りを取戻し、日本を世界のリーダー国家へと押し上げる一翼を担ってまいります。 安全保障上からの、米国TPP反対論について 2016.08.21 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆米国次期大統領候補は、いずれも「TPP反対」 去る8月11日、米国民主党のヒラリー・クリントン大統領候補は、ミシガン州で行われた経済演説の中で「もし自分が大統領になっても、TPPに反対する」との意志表示を行いました。 もう一方の共和党大統領候補である、トランプ氏もすでにTPP反対の演説を行っていたため、オバマ政権後、いずれの大統領が当選しても、米国がTPPから離脱する可能性が高まってきました。 ◆TPPの本質は「中国包囲網 」 米国は、元々国是として「自由貿易」「門戸開放」を掲げておりましたが、特に2008年のリーマンショック以降の経済危機の打開策の一つとしてオバマ政権は、TPPの推進に取り組んできました。 一方、日本では、2009年に民主党政権が誕生、当時の鳩山政権は日米同盟の危機を招きかねない幾つかの重大な判断を行いました。 まず、沖縄の普天間基地の返還問題で、決まりかけていた辺野古への移転を白紙に戻そうとしました。さらに、日中韓三国間の「FTA」協議を進め、中国との連携を深めようとしました。 「FTA」とは条約締結国の間での関税などの経済的な障壁をなくすための取り決めであり、米国から見ると日本が中国との関係強化を推進したことが、自国への挑戦として受け止め、経済上及び安全保障上の危機感を強めたのかもしれません。 この間、日米間でどのような話合いがあったのかは不明ですが、結果として日本は民主党菅政権の元で2010年に突如、TPP参加表明を行いました。この判断は、安全保障上、日本にとっては是とされるものであります。 我が幸福実現党の大川隆法総裁はTPPについて、その本質を以下のように述べています。(『ジョーズに勝った尖閣男』より) 『TPPとは、実は、「アメリカとアジアを経済的に結び、中国を外す作戦」です。つまり、TPPの本質は「中国包囲網」なのです。TPPの条項のなかには、中国がどうしてものめないものが入っています。 そこには、知的財産権の保護や人権重視、あるいは、環境保護などの概念が入っているのですよ。したがって、このTPPに、日本と他のアジアの国々が入り、さらにアメリカが入れば、実は、これで中国包囲網をつくれてしまうのです。』 『ジョーズに勝った尖閣男』幸福の科学出版/大川隆法著 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=838 結果として、一旦は日中間の関係強化に向いつつあった日本は、本来の日米同盟強化へと戻る事になったのです。 ◆なぜ米国はTPP反対に変わったのか オバマ政権は、中国包囲網でもあり、経済成長戦略の柱でもあるTPPを推進してきましたが、来年就任する予定の次期米国大統領は「TPP推進反対」との立場を取る可能性が高まってきました。この大きな変化の原因は、何が考えられるでしょうか。 米国は2013年、オバマ大統領の演説で「世界の警察官としての役割を返上」することを明言し、世界各国に駐留している米軍を撤退させる可能性を示唆しました。 その結果、中東の混乱はさらに拍車がかかる結果となったものの、その方向性が変わるとは思えません。 現在の米国の予算の中で、オバマケア等の社会保障費を充実される代償として、軍事費削減を行う流れが止まらない事と同時に、米国民の中でも、「なぜ自分と関係のない国の為に生命を懸けなければならないのか」、という正義の観点がなくなってしまったのではないでしょうか。 現在行われている米国大統領選挙でも共和党候補のトランプ氏は、経済人としての立場から、まずは米国内の雇用が悪化しないことを優先し、特に不法移民に対して厳しい態度で対応し、TPPだけでなくNAFTA等の自由貿易圏の推進に、反対の立場を取っています。 先ほどお伝えしましたとおり、TPPは単なる自由経済圏ではなく、中国に対抗するための安全保障上の観点からも重要なのですが、トランプ氏はこの点に関連しても在日米軍の引き上げに言及するなど、東アジアの安全保障には日本に対しても自主防衛を求めることが予想されています。 オバマ政権で国務長官を務めた民主党のヒラリー氏の見解も元々は、TPP推進の立場をとるものと見られていましたが、結果として国内の雇用確保を優先し、TPP反対を表明することとなりました。 こうした米国が内向きの方向が出てきた事について、「TPPは、中国包囲網」という視点から見ると、日本にとっては危険な方向であると認識しなければならないと思います。 ◆日本は主導的な立場に立ってTPP推進すべし さて、日中間の動きでは、来週の23日~24日にかけて、習近平政権では初めて中国外相が訪日し、日中韓3国外相会談が都内で開催される見通しになりました。 しかし6月9日に尖閣周辺の接続水域に中国軍艦が初めて航行、8月に入ってからも尖閣周辺の領海に漁船や公船が連日航行するなど、中国側の挑発はエスカレートし、将来には軍事的な衝突の可能性が高まっています。 本来はこうした時こそ日米同盟の強化を進めるべきであるにも関わらず、次期米国大統領のTPP反対という意思表明は、日米同盟が弱体しかねない危険性を持っています。 そうした意味でも日本は米国に代わって主導的な立場に立ってTPPを推進し、また日米同盟の懸案となっている普天間基地の辺野古移設問題についても、政府として速やかにその実現を図り日米同盟を強化することが今後の東アジア情勢の安定には重要であります。 尖閣諸島を守るため、日本はリーダーシップを発揮せよ! 2016.08.09 文/幸福実現党・宮城県本部副代表 HS政経塾5期生 油井哲史(ゆい てつし) ◆中国船の尖閣海域航行、新局面へ 中国海警局の公船6隻が8月6日午前、尖閣諸島周辺の接続海域を運行しました。公船周辺では中国漁船約230隻が操業しています。 同日午後には公船1隻が加わり、公船7隻が同時に接続水域に入ることは異例であり、中国漁船の一部も接続水域内に入りました。 これを受け、外務省は在日中国大使館の公使へ2度にわたり、公船の即時退去を求め、厳重に抗議しました。 7日には、中国の公船が午前に2隻、午後には計5隻が領海に侵入(朝日8/8)、過去最多13隻の公船が接族水域を航行し、その周りには400隻の漁船が航行していたとの情報もあります。(読売8/8) さらに8日には、15隻の中国公船が接続水域を航行し、うち3隻が領海に侵入、公船のうち6隻は「武器のようなものを搭載している」と稲田防衛相は述べています。 公船の領海侵入に対する中国への抗議は、結局4日連続となり、中国船の尖閣海域航行は、新局面を迎えています。 ◆中国が狙う尖閣諸島の占拠 近頃、尖閣諸島をめぐる中国の圧力がますます強まっています。6月上旬には尖閣諸島周辺の接続水域で初めて中国軍艦の航海が確認されました。 さらに、6月中旬には中国海軍の情報収集艦が鹿児島県の口永良部島近くの日本領海に進入し、翌日にも情報収集艦が沖縄県の北大東島の接続水域に侵入しました。 軍艦が登場したことにより完全にステージが上がっています。 危惧されるのは尖閣接続水域航行の常態化です。次に軍艦が領海侵犯し、知らないうちに尖閣諸島が占拠されるという事態です。 中国のねらいは、その実現に向け、確実に計画を遂行しています。まさに予断を許さない状態が続いているのです。 日本側がいくら抗議してもこの流れが収まる気配はありません。日本の国防は待ったなしです。中国の暴走を食い止めるためには、日本が「毅然とした対応」を取り、見える形で行動を示していかねばなりません。 ◆日本が尖閣諸島を守るために必要なこと いま尖閣諸島の周辺に海上自衛隊の艦船を2隻配備しており、日本の海を侵犯しないように監視活動を続けていますが、この監視と抑止の構えをしっかりと維持し、強化することが求められます。 そのために同じ価値観を共有する国々が連携し、対応していくことが必要であり、他国の海軍との共同パトロールが考えられます。 日米韓、日米豪、日米印、さらにはアジアの国々とも連携し、共同監視活動を行うことで断固たる態度を示すことです。共同「行動」を通して、一体化した「力」を見せつけるのです。 さらには、海上警備行動を事前に伝達し、抑止力を強化させることです。 海上警備行動とは防衛大臣が海上における人命や財産の保護、または治安の維持のため特別に必要があると判断した場合に命ぜられる、自衛隊の部隊による海上における必要な行動をいいます。 これによって、自衛隊の艦艇はさまざまな制約があるものの「武器の使用」ができるようになり、不正な侵害への対処行動になります。 ◆日本は「平和のリーダーシップ」を発揮せよ 近年、東シナ海や南シナ海で膨張しようとする中国に対し、アジア諸国における警戒感が非常に高まっています。中国を抑止するためにアジアの国々は、日本に大きな期待を寄せています。 同盟国のアメリカは、一国平和主義が強まる傾向にあり、内向きの時代に入っています。これまでのような全面的に頼れる相手ではなくなっています。 日本が自分たちの平和を守るための自覚を強め、アジアのリーダーとして「平和のリーダーシップ」を発揮しなければなりません。 自由と民主主義、国際法の遵守といった共通の価値観を共有し連帯を強めることで、多くのアジアの国々と手を携えて、中国包囲網を形成することが重要です。 日本は、アジア諸国を牽引していくという使命を担っていくべきです。 すべてを表示する « Previous 1 … 38 39 40 41 42 … 98 Next »