Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 台湾の未来を変える方法を考える 2022.02.12 https://youtu.be/VH4glK1yFfY 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆「台湾地位未定論」とは何か 今回は、「どうしたら台湾の未来を変えることができるのか」について考えてみたいと思います。 幸福実現党大川隆法総裁が、今年1月9日の講演で台湾の未来について、一つのアイディアを提示されました。 「(1945年まで)台湾は日本だった。(その後、蒋介石の中華民国に占領されて)台湾は正式にまだできていないのだったら、蔡英文さんが日本の首相と会って、正式に日本から独立する文章を交換して、友好条約を結んだら、自動的に独立国家になれます。」 これは、「台湾の国際法的地位はまだ決まっていない」という「台湾地位未定論」というものです。 意外に思われる方もあると思うし、そんなことはおかしいという反対論もあると思うし、賛否両論あると思います。もしかしたら、蔡英文総統も反対かもしれません。 しかし、台湾には次のような動きもあります。 2006年に台湾の政治団体「台湾民政府」が、アメリカの連邦高裁で裁判を起こし、「日本が台湾に潜在的主権を持っている」とアメリカ政府に告訴したのです。 つまり、中華民国の台湾占領が今も続いており、台湾人は国際法的に無国籍になっているままだと訴えたわけです。 判決は、「台湾に国際的に承認された政府が存在しないため、台湾人は無国籍である。政治的な煉獄の中で生活している」でした。これに対してアメリカ政府は上告しませんでした。 つまり、アメリカ政府も台湾に国際的に承認された政府は存在しないということを認めたわけです。 これはどういうことなのか歴史を遡ってみましょう。 ◆国際法的に、台湾は中国に属さない 1945年、終戦直後、「ポツダム宣言」を日本が受諾しました。その第8項で、「日本の主権の範囲」を決めています。 日本の主権の範囲は、本州、北海道、九州及び四国、並びに我々(連合国)の決定する諸小島までです。その中に台湾を入っていませんでした。 「ポツダム宣言」を日本が受け入れたことによって、日本は台湾の領有権を放棄したことは確かです。 連合国が台湾をどこに帰属させるか決めることになっていたのですが、台湾の帰属についてサンフランシスコ講和条約の中でも定められていません。 しかし、中国大陸から中華民国がやってきて、台湾摂取(占領)を行いました。 日本では連合国米軍が横浜や沖縄を接収していますが、接収は、国際法的には暫定的な実効支配です。 結局、台湾は、今でも中華民国の領土でも、中華人民共和国の領土でもないのです。 正確には、台湾は今も連合国の占領下にあるということになるわけです。これが「台湾の地位はまだ未決定」であり、国際法的に確定されていいないという説です。 この説に対しては、もちろん中華人民共和国も中華民国政府も反対です。 ただ、アメリカ政府は前述の裁判の判決に対する姿勢と同じように、台湾が中華民国にせよ、中華人民共和国にせよ、中国に属すると認められたことは一度もないという立場です。 国際法的には、この説は有力のようです。 ◆台湾に対する日本の立場 日本政府も、おそらくアメリカ政府との同じ立場だと思います。 なぜなら、50年前に日中国交を回復した際に、中国が「台湾は中国の一部だ」と主張したとき、日本は「それを認識します」と表現しました。 英語でいうと、「Acknowledge」したけど「accept」はしてない。つまり、その中国の主張を認識はしたけども受け入れてはいないのです。 これに対しても、いろんな意見はあるとは思います。 ◆台湾の帰属は台湾人が決定すべき では、台湾はどうするべきなのか。 台湾の帰属は台湾人が決定すべき、これがアメリカ政府の立場であります。 日本の法律に基づいても、やはり台湾の帰属は台湾人が決定すべきであるということになります。 これが先ほどの大川隆法総裁が、「日本から独立して台湾という国になったらいいじゃないですか」という提案の理由です。 ただ、中国に台湾を占領させるようなことがあってはなりません。なぜなら、台湾には2300万人の人権があるわけです。第二のチベット、ウイグル、モンゴル、香港にさせてはなりません。 それに対して日本が具体的に何か手立てはあるのか。そのひとつとして、幸福実現党が前から主張しているのは、日本は「台湾関係法」をつくるべきであるということです。 この点については、次回あらためて紹介します。 【ウイグル人権決議】当初案骨抜きの裏側 2022.02.10 https://youtu.be/XdpJfSF950Y 幸福実現党党首 釈量子 ◆2度も見送られた非難決議 今回は、2月1日、衆院本会議で採択された「人権問題に関する決議」についてです。 中国が、ウイグル、チベット、南モンゴル、そして香港などで行っている人権弾圧について、世界中から非難が高まっています。 日本でも昨年6月、国会において中国に対する非難決議を採択する動きがありましたが見送られました。自民党内に連立を組む公明党への配慮があったとされています。 また、昨年12月にも、自民党の茂木幹事長が「日本政府の北京冬季五輪対応が表明されていない現時点では望ましくない」として、党内の足並みがそろわないという理由で見送られました。 ◆骨抜きにされた決議案 このように2度も見送られ、今回ようやく採択に至ったわけですが、その中身は当初予定されていたような「非難決議」とは程遠いものでした。 まず、人権弾圧への当事者国である「中国」への名指しがありません。昨年6月段階の決議案にも「中国」という文言はありませんでした。 主語を明確にせず、責任の所在を問わず、「人権侵害」が「人権状況」という表現となり、「非難」の言葉も削られ、国会が示すべき意思が完全に骨抜きにされました。 しかも本文中には、「弾圧を受けていると訴える人々」という「弾圧は事実かどうか分からないが、そのように訴える人がいる」という、まったくの他人事です。 さらには「深刻な人権状況について、国際社会が納得するような形で説明責任を果たすよう、強く求める」とありますが、誰に求めているのかは不明確なままです。 ◆価値観なき日本政治に未来はない 今回、日本は中国の行為に価値判断を示すことなく、お茶を濁すような決議を採択しました。 一方、アメリカ、カナダ、イギリスをはじめとする国々は、中国の行為を「ジェノサイド」と認定しています。 つまり、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺に匹敵する、あるいはそれを超える悪事であると、ハッキリと価値判断を示し、国の代表が中国に対して「非難」の意思を示しているのです。 なぜ日本はこれができないのか。一つの理由は経済的な問題です。中国には工場もあるし、従業員もいるために政治判断を逃げてきたからです。 さらには、極超音速ミサイルが登場し、中国そして、北朝鮮が世界を脅し、台湾や日本の沖縄も脅威にさらされています。 どこの国も安全保障戦略というものは、「何から、何を、何で、どうやって守るのか」という文脈で決定されます。 ナチス同然の脅威を非難もできないのであるならば、このミサイルを日本に向けていることに対して、どうやって日本を守るか論じることができるのでしょうか。 ◆人間の尊厳を踏みにじる暴挙を止める ここで幸福実現党は、ひとつ提案をさせていただいております。日本も普遍的な価値の体系に基づいて判断してはどうかということです。 幸福実現党は、「自由、民主、信仰」を政治の基本原則とし、国内外において独裁と専制を排除すべく努力すべきだと考えています。 そして、人間の尊厳の根拠は、神の子、仏の子としてつくられた存在であり、その尊厳が踏みにじることは、許されてはなりません。 この人間の尊厳を踏みにじるものを断じて許さないという強さは、信仰に基づく価値がなければ出てこないのではないとか思います。 中国で繰り広げられている悪魔の所業は、人権のレベルの問題ではなく人間の尊厳を踏みにじる暴挙です。 世界においては、中国と北朝鮮以外は何らかの信仰を持っているものです。そうした国々で、悪事をくい止めていかなければいけないと思います。 幸福実現党からは、この人権問題決議について、党声明「腰抜けの人権問題決議採択は日本の未来を誤らせる」を出しました。 また、引き続き、「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を全国で展開してまいります。 こうした活動を通じて、日本と世界の平和と繁栄を守って参ります。 ■党声明「腰抜けの人権問題決議採択は日本の未来を誤らせる」 https://info.hr-party.jp/press-release/2022/12404/ ■「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」のお願い https://info.hr-party.jp/2021/12200/ 日本には台湾を守る責任があるこれだけの理由【後編】 2022.02.04 https://youtu.be/ERutq13kyco 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆中国が台湾を取ったらどうなるか もし、万が一台湾が中国によって飲み込まれてしまったら、その後取られていく周りの国はどこでしょうか。 九州と台湾の間は、1400キロぐらいあり、その間に南西諸島のとても重要な島がたくさんあります。 その中には鹿児島県である奄美大島があり、その南が沖縄県ですが、日本の最南西には与那国島があります。 与那国島から台湾までは111 キロしかありません。台湾から尖閣諸島までは330 キロ。台湾から沖縄本島までは700キロしかないのです。 もし、台湾が中国になってしまったら、ここに中国人民解放軍のミサイルが配備され、台湾から100キロのとこに住んでいる日本人はどうしたらいいのでしょうか。尖閣諸島もどうやって守るのでしょうか。 このように、日本にとって台湾が中国に取られることは大変な危機を意味するのです。 ◆キューバ危機の教訓 同じようなことが過去の歴史でも起きています。例えば1962年の「キューバ危機」です。 米ソ冷戦の時代は、アメリカとソ連が核開発競争していました。当時、ソ連が同盟国であるキューバに核ミサイル基地をつくり、核兵器を配備しようとしていました。 ソ連から核ミサイルがキューバに持ち込まれるだけになった時に世界は震撼したわけです。アメリカが下手な手を打ったら、それがきっかけとなって米ソが戦争になってしまう可能性もありました。 アメリカとキューバは目と鼻の先にあって、キューバにソ連の核ミサイルが配備されたら、もうアメリカは終わりです。 当時のケネディ米大統領は、それをよく分かっていたので、すごいリスクがあったのですが、米艦隊を派遣しキューバを海上封鎖しました。それによってソ連から核兵器が持ち込まれないようにしました。 このケネディの判断でソ連は核ミサイルの配備を諦めたわけです。 これと同じことが今起きようとしているのではないでしょうか。台湾を中国に取られたら、まさに日本の「キューバ危機」に当たることが起きます。 ◆日本が台湾を守るべき第一の理由 台湾が中国に占領されたら日本は海上交通路を奪われ、独立を保つことができなります。これは日本の中国属国化を意味します。これが台湾を日本が守るべき最大の理由です。 いやいや、沖縄本島には在日米軍がいるではないかと思うのですが、そうなった場合、アメリカはきっと中国と話し合うでしょう。 話し合って結局、沖縄ぐらいまでは中国に譲る可能性は否定できません。 まさに、台湾は日本の安全保障にとって最も重要な国です。それを我々日本人は自覚する必要があると思います。 ◆日本が台湾を守るべき第二の理由 日本が台湾を守るべき第二の理由ですが、「日本は台湾の自由を守る責任がある」ということに関して、幸福実現党の大川隆法総裁は、2019年の3月の台湾で講演をしたことがあります。 その時の講演の内容は『愛は憎しみを超えて』という書籍として発刊されています。 『愛は憎しみを超えて』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2167 大川隆法総裁は「日本には、あなたがたを守る責任がある」と台湾の人たちに話しました。その理由は次のような理由からです。 先の大戦の時に、台湾は日本で台湾人は日本軍と共に闘ってくれたのです。その数21万人。そのうち3万人が戦死もしくは病死しています。そして靖国の英霊となっています。 大戦で戦った靖国の英霊は決して日本人だけではありません。 つまり、台湾の人たちのおかげで今の日本がある、台湾が国家存亡の危機にあるのならば、「日本は台湾を守る責任がある」ということを幸福実現党は訴えているのです。 日本には台湾を守る責任があるこれだけの理由【前編】 2022.02.03 https://youtu.be/ERutq13kyco 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆中国人民解放軍の台湾占領映像 今回のテーマは、「日本には台湾を守る責任があるのではないか」ということです。 いま、台湾は中国の人民解放軍に狙われています。 人民解放軍は香港を攻め落とそうとするときにも、香港と同じ街並みをつくって軍事演習する映像を撮っています。 同じように中国に台北の街並みと台湾総督府の建物をつくって、そこに攻めていく軍事演習のビデオもつくっています。 まず、その人民解放軍のバックにいる中国共産党の思考回路をあらためて確認してみたいと思います。 ◆中国共産党の二つの問題点 第一は「科学万能主義」です。 中国共産党は科学の進化を大変重視しています。それが宇宙開発、武器開発、特にバイオです。 例えばウィルスを人工的につくれるのであれば、それを生物兵器にする。普通は戦争でもそれは使ってはいけないというのが「善悪の思想」です。 ところが「科学万能主義」という考え方には、「善悪の思想」がありません。科学でできるものだったら何をやってもよいというのが「科学万能主義」です。 もう一つ、中国共産党の思考回路にあるのは「強制収容所」です。 民主国家であれば政府に対して反対を言う人がいてそこに議論があっていいわけですが、中国共産党の下では政府に従わない国民はいてはいけないわけです。 従わない国民は強制収容して、最終的にはジェノサイド、大量虐殺する。それがチベット、ウイグル等で行われてきました。 ◆中国の世界戦略 ところが、世界に対する戦略は全く違います。その戦略は、中国が世界のメシア、救世主になるということです。 途上国は、アメリカ、ヨーロッパが開発したワクチンは高いので買えません。中国は開発したワクチンをタダで配っています。 他にも一帯一路のプロジェクトとして、道路や高速道路、ダム、空港を中国が造ってあげています。こうして、アジア、アフリカ、南米の貧しい国々にとって中国は救世主になっているのです。 この戦略は見事に当たっており、先進国は中国によるウイグルの人権問題を批判していますが、批判している国が少ない理由はここにあります。 ◆現代のヒトラー このように多くの途上国は、中国をメシア扱いしていますが、これに対して幸福実現党の大川隆法総裁は今年『メシアの法』という本を出しました。 『メシアの法』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2697 この本のなかで、「習近平は決して世界のメシアではない、偽メシアです」と訴えています。 台湾については「中国の台湾侵攻を放置して見て見ぬふりをしていたらヒトラーが順番に国を取ったと同じことが起きる」と指摘しています。 これはどういうことかというと、第一次大戦後、ドイツでヒトラーが台頭すると周りの国を取り始めました。 フランス領のラインラントであったり、オーストリアに住んでいるのは、ドイツ人だからという理由で周りの国の領土を取り始めたのです。 他にもチェコスロバキアのズデーテン地方に住んでいるのもドイツ人であると領土の割譲を要求しました。 武力侵攻ではなく要求ですが、これに対して当時の世界の覇権国だったイギリスのチェンバレン首相は、ズデーテン地方の割譲まではいいだろうと認めてしまいました。 その代わり、これが最後だと言ってヒトラーもわかりましたと約束しました。しかし、ドイツはその後すぐにポーランドに侵攻しています。 最終的には、ごくわずかの中立国が残っただけでヨーロッパはドイツに侵攻され、イギリスは最後に残って孤立しました。これが歴史的な事実です。 習近平を現代のヒトラーに当てはめるとしたら、今度は中国共産党によって起こると警告しています。 (後編につづく) 腰抜けの人権問題決議採択は日本の未来を誤らせる(党声明) 2022.02.02 https://info.hr-party.jp/press-release/2022/12404/ 令和 4 年 2 月 2 日 幸福実現党 1日の衆院本会議で、中国による新疆ウイグルなどにおける人権問題に関する決議が賛成多数で採択されました。 岸田文雄首相は、中国に対して「主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」と述べており、自民党を中心に中国の人権弾圧行為について非難の姿勢を示すべく、本決議の採択を進めてきたはずです。 しかしながら今回採択された決議は、人権弾圧の当事者である中国への名指しを避け、「人権侵害」や「非難」という核心的な文言が削除されるという、中国に過度に配慮したものとなりました。 ウイグル、チベット、南モンゴル、香港などで行われている中国による苛烈な人権弾圧行為への非難は、もはや一刻の猶予も許されません。 現状ではジェノサイドを超える暴挙が行われており、決議文のような「人権状況の全容を把握するために、情報収集を行うべき」といった生ぬるい状況ではありません。 国際社会が中国への非難を強め、経済制裁を行っているなか、このような腰抜けの決議を採択することは、国際社会に対し、日本は中国に宥和的であるという誤ったメッセージを送ることになり、国家の未来を危うくしかねません。 私たち幸福実現党は、昨年末より「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を全国で展開しています。 現在の中国の人権弾圧行為や覇権拡大を傍観したら、日本と世界からは自由が奪われ、人々は不幸のさなかに置かれることになります。 中国の暴挙を止めるのは、今を生きる私たちの責務だと信じるからです。 私たちは、「自由・民主・信仰」こそ政治の基本原則だと考えます。特に「信仰」のない政治は、神仏の目を意識しなくてもよくなるため、権力の暴走に歯止めをかけることができません。 幸福実現党は、信仰ある国で力を合わせ、無神論国家・中国の人権弾圧行為をくい止めるべく、今後も活動を続けて参ります。 以上 北朝鮮の極超音速ミサイルが日本に落ちたらどうなる?日本の国防は大丈夫?【後編】 2022.01.30 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 幸福実現党党首 釈量子 ◆極超音速ミサイルの実験に失敗した米国 一方これに対して米国は、極超音速ミサイルの実験に2021年段階で失敗し、大きく出遅れてしまいました。 極超音速ミサイルは、極超音速に加速すると、空気とミサイルが摩擦を起こし、1000度以上の高温に達することで、電子機器が壊れ、ミサイルのコントロールが効かなくなる点などが、開発を困難にしています。 しかし、中国がどうやって、それを克服したのかは謎となっています。 いずれにしても、日本のミサイル防衛を根本から揺るがす事態が起きていることだけは間違いありません。 ◆「敵基地攻撃能力」は憲法違反ではない こうした事態を受けて、国会でも既に議論が交わされているのが「敵基地攻撃能力」です。 考え方は非常にシンプルで、ミサイルを迎撃できないなら、発射前にミサイルを打てないように敵基地を攻撃するしかない、ということです。 ちなみに、敵基地攻撃能力を持ったとしても直ちに憲法違反にはならず、必要最小限度の範囲であれば自衛手段として認められております。 これは日本だけの考え方ではなく、例えば、米国の国家安全保障戦略には「ミサイル防衛には敵基地攻撃能力も含む」と明記されています。 ◆中途半端な敵基地攻撃能力は最も危険!? 岸田首相は昨今の情勢を鑑みて、敵基地攻撃能力の必要性を訴え、国会において論戦が行われています。 ただ、「敵基地」といっても、北朝鮮が配備する弾道ミサイルは全て「車載移動式」であるため、攻撃したところで「もぬけの殻」という状況になってしまいます。 そのため防衛省では、ドローンの活用や、人工衛星によって電波を特定して攻撃することを考えていますが、叩く手段はなく、叩き漏らしたときの抑止力もありません。 最大の課題は、中途半端な敵基地攻撃能力を持つことで、かえって「核兵器」による反撃を招きかねないということです。 となると結局、核兵器に対しては、核で抑止力を持つことが不可欠であり、相手に攻撃を思いとどまらせるためには、本来は核保有について議論されなくてはならないはずです。 ◆新たな抑止力と防衛体制のかたち もっとも、地上に落とす広島・長崎型ではなく、電磁パルス(EMP)のように、パンと上空で爆発させることで電子機器を使えなくさせ、都市機能を麻痺させることを目的にするものでいいわけです。 日本を攻撃することによって、逆に「受け入れがたい被害」が敵国に生じるのであれば、これが十分に抑止力となります。 更に「ミサイルに対してミサイルで撃ち落とす」のではなく、日本独自の考え方として、電子戦と電磁波兵器による「電磁バリア」を築くべきだという指摘もあります。 例えば、言論チャンネルに多数ご出演頂いております用田和仁氏(元陸上自衛隊・西部方面総監)は、電磁波兵器がミサイルやドローンに内蔵されている電子機器を破壊すると提言しており、課題である電源の開発を急ぐために、早急に予算をつけるべきだと強く訴えていらっしゃいます。 ◆小手先の改革では何も変わらない 以上の通り、北朝鮮のミサイルと核について考えてきましたが、政府はいまだに「遺憾です」としか言えておりません。 また、未だに「二枚舌」というか、防衛白書を一つとってみても、北朝鮮については明確に「脅威」と書きながら、中国については、あくまで「懸念」という表現にとどまっています。(令和3年版『防衛白書』) しかし、北朝鮮よりも中国の方が明らかに軍事力は強大ですし、実際の自衛隊の配置も、中国を想定して、沖縄・南西諸島方面の防衛を強化しています。 コロナウィルスも「生物兵器」であると我々は考えており、「もう戦争は始まっている」という認識が必要だと考えます。 小手先の改革ではなく、国を護るということで、バシッと一本、精神棒を入れる必要があるのではないでしょうか。 ◆「自由・民主・信仰」に基づいた国家戦略を! 世界の正義と平和を構築するために、国家の基本原則として「自由・民主・信仰」という価値観が政治の基盤に必要だと考えます。 バイデン大統領が「民主主義国家 対 専制国家」といってロシアを中国に接近させてしまっていますが、プーチン大統領は元来、敬虔なロシア正教会の信仰者として、強い信仰心をお持ちです。 「自由・民主・信仰」を原則とする国々が手を結ぶべきです。 なぜなら、神を信じない国は、中国と北朝鮮ぐらいで、大抵の国は「信教の自由」を認めており、信仰を持たない国の独裁者に「遺憾です」といっても通じませんが、「神仏への信仰心を持つ国家 対 無神論・唯物論国家」の対立軸を構築できれば、勝てる可能性が出てくるのです。 また、「人権」「法の支配」という言葉もありますが、政治の上位概念にある「神への信仰」を認めなければ、その根拠というものは極めて甘いものになります。 北京五輪への外交的ボイコットや、ウイグルジェノサイドへの非難決議もできず、国防体制の構築もなかなか進みませんが、これは日本に精神的な柱が立っていないために、善悪の判別ができないことと無関係ではありません。 こうした観点から、日本の外交戦略を根本的に組み直し、国防も強化していくべきであると考えます。 日本は「武士道の国」として甦る必要があるのではないでしょうか。 北朝鮮の極超音速ミサイルが日本に落ちたらどうなる?日本の国防は大丈夫?【前編】 2022.01.29 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 幸福実現党党首 釈量子 ◆2022年、頻発する北朝鮮ミサイル発射実験 今年に入って、北朝鮮は既に6回のミサイル発射実験を行っています。 1月5日、1発の極超音速ミサイル発射を皮切りに、14日には鉄道発射型イスカンデル、17日には北朝鮮版のエイタクムスを2発ずつ発射しています。 エイタクムスはもともと米国のミサイルで、今回のミサイルは大変酷似しており、韓国からの横流しではないかと囁かれています。 また今後、追加の核実験に踏み切る恐れも指摘されております。 ◆東京23区壊滅!? 衝撃の被害想定 ミサイルはあくまで運搬手段でありますが、ここに核を搭載したらどうなるのか。 こうした核攻撃の防衛に失敗するという最悪の事態をシミュレートしたNUKEMAP(ニュークマップ)というものがあり、これは中国の大陸間弾道弾「東風5号」が千代田区三番町に着弾した場合の被害を想定しています。 ※NUKEMAP(ニュークマップ)は、下記動画の映像よりご覧ください。 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 風向き等、自然条件で変わるものですが、着弾する中心エリアは核爆発で生じた火球で蒸発してしまいます。 その外縁部は「爆風半径」と呼ばれ、大半の住宅が崩壊し、木造家屋の場合は圧死の可能性があると言われます。 さらに北はさいたま市、南は川崎市に至る範囲は「熱放射半径」と言い、皮膚や髪などを含めて木造の建築物が瞬時に燃え上がる恐れがある地域となります。 たった一発の核ミサイルで東京23区は壊滅し、死者は最大で約220万人、負傷者は437万人に上ると考えられています。 ◆極超音速ミサイルが日本の防衛体制を無力する? そのため、こうした核ミサイルが決して日本に落ちないように、これまでPAC-3やイージス艦を中心とするミサイル防衛のシステムを政府は構築してきたわけです。 しかし今、これを真っ向から揺るがす新しい兵器が登場しました。 それが、前述した「極超音速ミサイル」です。 今年に入ってからの北朝鮮のミサイル発射でも、6回中2回、1月5日、11日のものが極超音速ミサイルだったと言われています。 こうした極超音速ミサイルは、2兆円かけて作り上げた今までのミサイル防衛体制では迎撃できないと言われています。 ◆極超音速ミサイルは初代ウルトラマンより速く飛ぶ まず、極超音速ですが、「音の速さより極めて速い」ということで、具体的には音速の5倍以上になると極超音速と呼ばれるようになります。 このときに、「マッハ」という言葉がよく使われます。これは音速と比べて「どれくらいの速さなのか」を表したもので、マッハ1は音速と同じ速さで、マッハ5が音速の5倍の速さということになります。 ちなみに、初代ウルトラマンの飛行速度はマッハ5ですので、ウルトラマンより速く飛んでくるのがこの極超音速ミサイルになります。 野球の剛速球のように速度が上がれば上がるほど、迎撃は難しくなりますが、問題は、速さだけではありません。 ◆迎撃が極めて難しい極超音速ミサイル 通常のミサイルの軌道は放物線を描いて落下しますが、極超音速ミサイルは全く違った動きをとり、低い高度で、ものすごい速度で迫ってくるところに特徴があります。 通常のミサイルの場合、放物線を描くので落下地点を演算で出すことも比較的容易なのですが、極超音速ミサイルは軌道がくねくねと変動するので、動きが予想できず、迎撃が難しいのです。 例えば、発射段階では日本本土に落ちるのか、排他的経済水域(EEZ)に落ちるのか、それ以外に落ちるのかをミサイルの軌道だけで判断するのは難しいわけです。 さらに、1月11日に打ち上げたミサイルはもっと曲者で、縦方向の高度で動きを変えただけでなく、横の水平方向に200キロ以上方向を変えたと言われています。 例えば富士山より西側に向けて発射したように見せながら、最終的には東京を狙える、というようなことを意味します。 ◆イージス艦では撃ち落とせない!? 加えて、極超音速ミサイルは、発見と探知が格段に難しくなります。 地球は丸いのですが、ミサイルを探索するためのレーダーの電波はまっすぐにしか進まず、もっと言えば、こうした低空軌道のミサイルをイージス艦で迎撃することはできません。 なぜなら、イージス艦はミサイルが宇宙空間まで上がるタイミングで迎撃を行いますが、これは高い高度を飛んでいるミサイルにしか対応していません。 ですので、もし極超音速ミサイルが日本に飛んできた場合、早期の発見が難しく、イージス艦でも十分に迎撃できない可能性が濃厚となります。 PAC-3が限られた時間の中で、高速のミサイルを撃ち落とせるかどうか、非常に心許ない状況と言えるでしょう。 一昨年は陸上型のイージスシステムを配備するかどうかで大変揉めていましたが、わずか数年でその根本を揺るがす事態が起きているわけです。 ◆極超音速ミサイルを既に配備する中国 なお、脅威という意味では、北朝鮮以上に中国が深刻です。 北朝鮮は、極超音速ミサイルは実験の段階ですが、中国は既に、兵器として配備しています。 これについて、幸福実現党の大川隆法総裁は、1月9日に行われた「『秘密の法』講義」の中で、「中国と北朝鮮が、同時にマッハ5以上の超音速のミサイルができるわけがないので、そこが通じているということでしょう」と指摘されました。 中国と北朝鮮が裏でつながって、中国からの技術供与がなされ、北朝鮮が極超音速ミサイルの技術を着実に蓄積しているということについて、警戒感を高めるべきであると考えます。 なお、大川総裁は「中国はいざという時は北朝鮮を戦場にして」「北に撃たせまくるつもりで多分やっているのだろうと思います」という読みもされています。 (後編につづく) 北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【後編】 2022.01.14 https://youtu.be/0pCKwKCeZZA 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東はなぜ沈黙するのか?そして同通するポイントとは? 【中編】で示したように、米国の同盟国を含めて、中東のイスラム教国がことごとく中国の軍門に下ったかのようになっていますが、共通するポイントは「チャイナマネー」です。 米トランプ前大統領のような強いリーダーが不在になり、米国の足元を見て、中国と付き合った方が明らかに得だと、値踏みをされているのは間違いないでしょう。 もう一つの共通する点は「人権思想」が欠けていることです。 イスラム教を土台にした強権的な社会体制は、元来「自由」「民主」といった欧米的な人権思想には反発心が強く、同じ人権問題で内政干渉されたくない中国と、見事に同通してしまいます。 更に言いにくいところではありますが、イスラムの商習慣の中には「嘘をついて騙してなんぼ」という日本人には理解しがたいメンタリティーがあると言われます。 ムスリム全てがそうではないのはもちろんですが、平気で嘘をつけるというのは、中国との隠れたもう一つの共通点かもしれません。 中国は、経済的に苦しい国々を「債務の罠」にかけていますが、「はなから中国からの巨額の債務を踏み倒すつもりで支援させている。中東イスラム諸国の方が一枚上手だ」という見方もあるかもしれません。 ◆ウイグル問題でどっちつかずの日本。どうすべきか? 中東と中国がつながることで世界の闇はますます深まりますが、こんな状況において日本はどうすべきでしょうか? まず中国と欧米諸国、どっちつかずのスタンスを捨て、明確な姿勢で欧米側に立つという「判断」をし、真正面からウイグル弾圧を非難すべきです。 幸福実現党創立者である大川隆法総裁は、昨年12月エル・カンターレ祭における御法話『地球を包む愛』で「お金で魂を売ってはいけない」と指摘、「なぜイスラム教の多いウイグルで、あれだけの強制収容所の苦しんでいる人たちがいるにもかかわらず、助けようとしないのか。」と激しく訴えました。 イランでは強硬派の大統領が誕生し、米国を舐め切って核開発を加速させている一方、イスラエルも更に強硬路線に立って、イランとの最終戦争に踏み切る可能性は否めません。 この点についても、大川総裁は「(中国への依存は)食べていくためには仕方ないと思うところもあります」としつつ、「核兵器をつくるのを、急ぐのをやめてください。つくったら、イクラと同じ運命が待っています。イスラエルとイランが核兵器もったら、生き残るのはイスラエルです。イランは無くなります。だから私の言葉を聴いて、踏みとどまってください、西洋化してください、民主化を入れてください、それが生き延びる道です。」と述べられました。 ◆中東イスラム諸国から中国を切り離し、欧米圏とつなぐことが日本の使命 そして、中国と中東イスラム教国の良からぬ関係を「分断」するのは、日本の役割でしょう。 「イスラム圏」の国々は大変親日的で、日本人の真面目さ、勤勉さ、誠実さ、その日本人が作り出す自動車や精密機器など、質の高い製品への信頼感は驚くほどです。 そして何より、日本の「武士道精神」によって、欧米の植民地支配を終わらせたことに深い敬意を抱いています。 信仰の同胞を虐殺しながら、お金で懐柔する中国に代わって、日本がイスラム圏の末永い発展を支えるような役割を果たすべきです。 そして、欧米キリスト教圏と中東イスラム教圏の懸け橋となって「つなぐ」ことこそ、世界宗教と渡り合えるような、宗教的・精神的文化を有する日本のみが果たしうる世界的な使命だと言えるでしょう。 幸福実現党は本年こそ、日本が「武士道の国」として蘇り、地球的正義を取り戻すために、世界に向けて大きな役割を果たすべき年として参りたいと思います。 北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【中編】 2022.01.13 https://youtu.be/0pCKwKCeZZA 幸福実現党党首 釈量子 今回は中東イスラム諸国を一つずつ、見ていきたいと思います。 ≪エジプトの事例≫ 長い歴史を持ち、人口も1億人を超え、アラブのリーダー国家とされるエジプトですが、2017年、ウイグル人イスラム教徒たちが一斉に逮捕され、約20人が中国に強制送還されるというショッキングな事件が起こりました。 多くは、イスラム教の名門アズハル大学の留学生で、ウイグル人が集まるレストランや家にエジプト治安当局が押しかけましたが、中国政府の要請で動いたとみられています。 背景にあるのは、習近平主席とシーシー大統領の「蜜月関係」です。 2014年12月、両首脳が両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしてからは、カイロの「新行政首都」の建設や、スエズ運河経済特区への投資など、中国から莫大な投資を受け入れ、2015年からは合同軍事演習も行なっています。 元来、エジプトは米国の同盟国ですが、ここ10年、対米関係には隙間風が吹いています。 エジプトの立場から見ると、人権問題に敏感な欧米諸国と異なり、国内の政治情勢や人権侵害(特に女性)を融資の条件としない中国の方が、商売上、好都合なのかもしれません。 ≪サウジアラビア、UAEなど湾岸諸国の事例≫ ウイグル人と同じ「スンニ派」の盟主サウジアラビアが、沈黙を保っているのもおかしな話ではありますが、今、最大のビジネス相手国は中国です。 少し古いデータですが、サウジ国内において建設・電気通信・インフラ・石油化学分野など、140社以上の中国企業が事業を展開し、約2兆円相当と言われる莫大なチャイナマネーに魂を奪われた状況と言えます。 また、サウジアラビアをはじめ、UAE(アラブ首長国連邦)やカタールなどは、2019年国連人権理事会において提出された「ウイグルの人権弾圧に対する非難書簡」に対し、中国を擁護する立場に回っています。 こうした中東の小国は、国際社会の動きを敏感に察知しており、特に「バイデン大統領弱し」と見て、中国への傾斜はより鮮明になっています。 昨年11月には、UAEの首都アブダビの港で、中国が秘密裏に軍事基地を建設していたことが発覚しました。アメリカの介入で急遽中止となり、UAEは「軍事施設だとは知らなかった」と弁明しています。 その後12月半ばには、トランプ政権時に締結していたF35の購入計画を凍結されましたが、中国への情報漏洩を恐れた米国側が厳しい要件を付けたことに、UAEが反発したと言われています。 昨夏には、UAEドバイに中国の秘密拘置施設があり、複数のウイグル人が拘束されているとAP通信で報じられました。中東一開かれた観光都市であるはずのドバイのダークな一面が見えてきます。 ≪トルコの事例≫ 更に、ウイグルと信仰面でも、民族的にも同根のトルコですが、ウイグル弾圧に対しても、5万人のウイグル人を受け容れ、世界各地で発足されたウイグル人組織の先駆けにもなりました。 2009年には、エルドアン大統領はウイグル問題が「大量虐殺」に当たると批判し、中国との緊張が激化。2018年にもトルコ政府はウイグル弾圧を激しく批判しています。 しかし近年、エルドアン大統領の中国批判のトーンは急激に下がっています。 昨年3月、トルコ野党が「中国によるウイグル人に対するジェノサイド」と認定する決議案を国会に提出しましたが、エルドアン大統領率いる与党AKP(公正発展党)が反対、決議案を握りつぶしました。 最大の要因は経済的な問題でしょう。トルコリラの暴落など、経済的苦境が続くトルコが、新型コロナの拡大も相まって中国依存を深めました。 エルドアン大統領が中国製のワクチンを率先して打ち、中国へのすり寄りを国民に示した姿は、実に残念でなりません。 それ以外でも、中東における最大の親中国イランはもちろんのこと、南アジアのパキスタンなども、中国の悪行には目を瞑っています。 (後編に続く) 北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【前編】 2022.01.12 https://youtu.be/0pCKwKCeZZA 幸福実現党党首 釈量子 ◆昨年末、英米で大きく動き始めた「ウイグル問題」 2月の北京五輪あと少しとなりました。その前に、開催国・中国に対して、断じて譲れない問題として、改めて注目されているのが「ウイグル問題」です。 ご存じの通り、新疆ウイグル自治区で強制収容所に入れられたウイグル人は、2017年から19年の2年間で少なくとも300万人と推計されています。 昨年末からこの問題がまた大きく動き始めて、英国では12月初旬、非政府組織「ウイグル・トリビューナル」が、ウイグルにおいて、強制収容や強制労働、大規模な不妊手術など、苛烈な人権侵害が行われていることが記された「新疆文書」を世界にリークしました。 内容としては、2014年から17年の間に、習近平国家主席や、他の共産党幹部が、新疆ウイグル自治区に関して行った最高機密レベルの演説が含まれており、今ウイグルで行われている強制的な同化政策の方向性を決定づけたとする、極めて重大な内容だとされています。 文書を公表した団体は、ウイグル族やカザフ族に対するジェノサイド、すなわち民族大量虐殺が日常的に行われており、習近平国家主席の重大な責任を国際社会に訴えています。 これに対して、中国は「新疆での取り締まりはテロを防ぎ、イスラム過激派を根絶するために必要だ」と断固否定しています。 12月中旬、米上院議会においても、新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法案」が全会一致で可決されました。 輸入禁止は法成立から180日後に発効されますが、ウイグルに供給網を多く抱える日本企業にとっても、これは大きな分水嶺です。 ◆ウイグル弾圧を正当化する根拠はなかった!? そして、本年1月4日、トルコ在住のウイグル人が、新疆ウイグル自治区でレイプや虐殺など、人道に反する罪を犯しているということで、習近平を含む中国共産党の幹部112人を、トルコのイスタンブール検察当局に刑事告発しています。 告発したウイグル人は19人ですが、イスタンブールの裁判所の前には、およそ150人のウイグル人が家族の写真を掲げて抗議の声を上げていて、映像を見ましたが、胸が締め付けられるような思いになりました。 これに対しても、中国外務省の汪文斌(おうぶんひん)報道官は5日、記者会見で「人道に対する罪などというものは、反中勢力がでっちあげた、とんでもないデタラメであり、事実や法律的な根拠は何もない。うそに基づいて中国を攻撃し、中傷しようというたくらみは、絶対に成功しない」と反発しています。 ちなみに、これまで、中国がウイグル弾圧を正当化する根拠として挙げていたのが、イスラム過激派の存在で、中国当局はETIM(東トルキスタン・イスラム運動)という組織の存在を挙げています。 一方で、米国務省の調べによれば「ここ10年以上、ETIMが実在している十分な証拠がない」という結論が出ています。 要するに、さもありそうな敵を創作し、それを大義にウイグル人弾圧を行ってきたという手口をよく使うことを、日本人含めて、全世界の方は覚えておかなくてはなりません。 ◆同胞の弾圧に口をつぐむ中東イスラム諸国 ここで疑問なのは、ウイグルの人々と同じく、イスラム教を信仰する国々が沈黙していることです。 特に、中国は彼らの信仰心を標的にし、「神を信じることが罪だ」として片端から収容所に入れています。その本質は宗教弾圧です。 英米など、欧米キリスト教国が、宗教の壁を超えて、唯物論国家・中国の魔の手から彼らを護ろうとしている一方、中東イスラム教国は、信仰の同胞たちへの苛烈な弾圧に対して、ダンマリを続けているのは残念でなりません。 様々な背景があるとは思いますが、「見て見ぬふり」ができる最大の理由、それは中東諸国が中国とズブズブの関係にあるからです。 (中編に続く) すべてを表示する « Previous 1 … 9 10 11 12 13 … 98 Next »