Home/ 外交・国際政治 外交・国際政治 日米で力を合わせ、中国の脅威を封じ込めるために【幸福実現党NEW171号解説】 2025.03.01 幸福実現党政務調査会代理 小川佳世子 幸福実現党NEWS(171号) https://info.hr-party.jp/newspaper/2025/14811/ 解説動画 https://youtu.be/FfyiYcvWD94 ◆トランプ政権の外交政策から見えてくる「対中強硬姿勢」 トランプ大統領就任後、世界は大きく動き始めています。 バイデン政権下では、ロシア-ウクライナ戦争が勃発し、中東でイスラエル-ハマスの争いが激しさを増していましたが、トランプ大統領の就任直前、まず中東で動きがありました。 それが、イスラエルとハマスの停戦合意の発表です。トランプ氏は就任前から「大統領就任までに停戦し、人質を解放しなければ、中東に地獄が訪れる」と警告し、双方に圧力をかけていました。 この映像収録時点では、双方が様子を見ながら交渉を続けており、停戦合意が破棄されるかどうか予断を許さない状況ではありますが、何をするか分からないトランプ氏の迫力が、ひとまず停戦をもたらしたことは確かです。 また、3年に渡って続いているロシア-ウクライナ戦争についても、停戦に向けて手を打っています。 トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と個別に電話会談をし、14日には停戦に向けた協議がドイツのミュンヘンで始まりました。 近々、トランプ大統領とプーチン大統領との首脳会談も行われる見込みです。 ウクライナがNATO加盟を求める一方、ロシア側は緩衝地帯であるウクライナにNATO諸国の影響が及ぶことは受け入れがたく、条件によっては停戦まで時間がかかると思われますが、バイデン政権の時には考えられないほどのスピード感を持って、問題解決の手が打たれています。 このように、トランプ大統領がヨーロッパと中東での戦争を終わらせようとしているのは、現在の世界を見渡した時、中国が最大の脅威であると認識しているからです。 バイデン政権の時は、アメリカはウクライナや中東にも軍事力や資源を投じており、相当消耗していたのですが、二つの戦争を終わらせることによって、アメリカの力をアジアに集中させ、中国をのさばらせないようにしようとしているのです。 ◆パリ協定離脱の狙いとは? この「対中国」という観点を持つと、トランプ大統領が進めようとしていることが理解できます。 例えば、大統領就任初日の1月20日、トランプ氏は幾つかの大統領令を出しましたが、その一つに「パリ協定からの離脱」を命じる大統領令があります。 パリ協定とは、地球温暖化対策のための国際的な取り決めで、5年ごとに参加国に新たな温室効果ガスの削減目標を提出することを求めています。 しかし、このパリ協定は中国にとって極めて有利な取り決めです。 中国は表向き「CO2削減を目指す」としていますが、「我々は人口14億人を抱える途上国なので、急にはCO2を減らせない」と言って石炭火力発電所を建設し、CO2をどんどん排出しています。 さらに、世界的にCO2削減の機運が高まり、再生可能エネルギーが推進されると、太陽光パネルや風力発電設備のシェアが世界一である中国が儲かることになります。 一方、CO2削減の目標を掲げ、真面目に達成しようとする国は非常に不利です。 再生可能エネルギーを推進すれば電気代は高くなりますし、石炭発電は止められ、石油や天然ガスの開発もできなくなります。 そこでトランプ大統領は「パリ協定」を離脱し、バイデン前大統領の時代は禁じられていた新たな石油や天然ガスの開発を推し進め、エネルギー価格を下げて、アメリカ経済を再び強くしようとしているのです。 同時に、脱炭素政策が広がることで中国が得るはずだった利益を減らそうとしています。 こうしたアメリカの動きに対して、世界も反応し始めています。 今年2月10日は、「パリ協定」に基づく温室効果ガス削減目標の提出期限でしたが、目標を提出したのは10数か国に過ぎず、日本を含め9割の国が期限までに提出できていません。 CO2が地球温暖化の原因というのはあくまで仮説にすぎず、むしろ無関係という学説も多く発表されています。 自国の経済に大きなダメージを与えるCO2削減に消極的な参加国が増えているなか、中国に次ぐ第二の排出国であるアメリカがパリ協定からの離脱を決めたことで、世界の流れが変わる可能性も出てきています。 ゆえに日本もこの機会に、脱炭素政策を転換すべきです。 「脱炭素」の取り組みをした企業に補助金や助成金を出す、電気自動車に補助金を出すという施策が動いているので、今さら変えられないというのが政府や一部企業のホンネかもしれませんが、「脱炭素」政策をダラダラと続けることは、電気代を高騰させ、日本のものづくりの首を絞め、中国を喜ばせることになるわけです。 政府も企業も目先の利益に踊らされず、国益のためにスパッとやめるべきでしょう。 なお、脱炭素政策の問題点については、幸福実現党のYouTube番組である「言論チャンネル」の、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志氏と釈党首の対談を是非ご覧ください。 ◆国境警備強化と関税強化でアメリカを安全な国に さらにトランプ大統領は、2月4日から中国に10%の追加関税をかけました。今までかけていた関税に加え、中国からのすべての輸入品に10%の関税を上乗せしたのです。 関税の意図としては、幸福実現党NEWS169号の解説でも触れたように、中国の経済力を弱め、最終的に軍事力に回すお金を減らす、すなわち「兵糧攻め」の意味があります。 さらには、カナダやメキシコにも25%の関税を掛けようとしていましたが、両国の関税発動については1か月の猶予期間を設けました。 なぜ、中国だけでなく、カナダやメキシコにも関税をかけようとしたのかといえば、国境を接した両国から不法移民やフェンタニルという麻薬が入ってくるのを止めるためです。 フェンタニルは、医療用としては合法で有効な鎮痛剤ですが、最近ではメキシコなどで密造され、密売人によって違法に売られています。1錠数ドルで手に入り、効き目が強いため薬物中毒になりやすく、またわずかな摂取量で命を落とすこともある恐ろしい麻薬です。 なお、薬物の過剰摂取による死者は2022年、全米で10万8千人近くにのぼるとされます。 アメリカの交通事故による死者数は4万人以上ですので、交通事故による死者数の2倍以上が違法薬物で亡くなっているのです。また、18歳から49歳という現役世代の死因ではトップになっています。 このようにフェンタニルの密輸は、アメリカを混乱、荒廃させる大きな原因となっているため「現代のアヘン戦争」とも呼ばれ、深刻な社会問題となっています。 アメリカ下院の中国共産党に関する特別委員会が昨年4月に出した報告書によれば、中国はフェンタニルの原料となる化学物質の製造に補助金を出して、組織的な輸出を行っているとのことです。 この違法薬物の問題については、バイデン元大統領と中国の習近平国家主席との会談においても、フェンタニルの生産と輸出の抑制に取り組むことで合意したはずなのですが、対策は思うように進んでいません。 そこでトランプ氏は、麻薬の経由地であるカナダやメキシコにも高い関税をちらつかせて、「不法移民や不法な薬物がアメリカに入らないように、しっかり対策をしてくれ」というメッセージを送っているわけです。 アメリカの治安をよくして国民が安心して暮らせるように、麻薬の輸出によってアメリカを混乱させようとする中国の試みは許さない、麻薬を密輸する不法移民も許さないというトランプ大統領の強い姿勢が見てとれます。 ◆中国に毅然とした態度を このように、アメリカが中国への毅然とした姿勢を見せているなか、日本の石破政権は中国寄りの姿勢を崩していません。 特に批判を浴びたのは、昨年末、岩屋毅外務大臣が中国を訪れた際、中国人向けの観光ビザの発行基準を大幅に緩くする方針を発表したことです。 具体的には、富裕層向けに10年間有効な観光ビザを新設する、団体旅行向けのビザで滞在可能な日数を30日に延長する、65歳以上の中国人に限り、これまで求めていた在職証明書の提出を不要にするといった施策です。 これは、中国人観光客によるインバウンド需要を狙ってのことですが、治安の悪化やオーバーツーリズムなどへの懸念の声も出ています。 さらに問題なのは、特定の国、しかも自国民に人権弾圧を行い、日本に対しても軍事的な脅威をちらつかせるような国からの観光客に期待する政府の姿勢です。 中国はこれまでも、他国に観光客を大量に送り込んで経済的に依存させ、これを「外交カード」として利用してきました。 日本がトランプ政権と一緒に厳しい対中姿勢を取らないようにするため、観光客を外交カードとしてちらつかせる可能性は大いにあります。 これは、日本の外交・安全保障にとって大いにマイナスです。 現地時間で7日に日米首脳会談が行われましたが、その際、トランプ大統領は石破首相にかなり気を遣い、顔を潰さないような配慮をしていました。 笑顔で握手はしていましたが、「中国とアメリカ、どちらが大事か分かっているだろうな」という強いメッセージを送っているようにも感じました。 日本としては、「アメリカと中国、どちらについた方が得か」という損得勘定で考えるべきではありません。何が世界的な正義に適うのか、日本として何を目指すのかというビジョンがなければ、簡単に利害で揺さぶられます。 大川隆法党総裁は、『メシアの法』の中で次のように述べています。 総じて、骨太なかたちでの「善悪の価値観体系」を持つべきだと思うし、それを教える「宗教的な原理」というか、「宗教的なメジャーな思想」というのは、本当に今こそ地上に伝えられ、広げられるべきだと思います。(中略) もし、「経済的に利益さえ出ればいい」ということで、日本政府や、あるいは、それにくっついている公明党、創価学会等、日中国交回復を手柄として言っている人たちが、その変化にまだ気がつかないで、政治的行動をしないようにやっているとしたら、それは「悪なる行動である」というように見ざるをえないと思っています。 (引用終わり) トランプ大統領の力強い決断の背景には、宗教的な信念に基づく善悪の価値観があります。日本も、目先の利益ではなく、正義とは何かを追究すべきです。 ◆防衛予算倍増は待ったなし ただ、正義を貫き、中国に毅然とした姿勢を取るためには、「自分の国は自分で守る」国を目指す必要があります。 岸田政権時代、「防衛予算は2027年までにGDP比2%に引き上げる」と述べていました。 しかし、現在のアジアの状況を見た時、今後2年間、日本の安全を脅かすような出来事が何も起きないという保障はありません。 さらに、中国の覇権拡大阻止を訴える国防総省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー氏は、「日本は防衛費を今すぐGDP3%程度にするべきだ」と述べています。 それだけアジア情勢は緊迫しているということです。さらに、日本は長らく厳しい武器輸出規制があったことで、国内で防衛産業が十分に育っておらず、アメリカから多くの武器を輸入していますが、現在は円安のため、今までと同じ防衛予算ではそもそも足りません。 こうした状況で、防衛予算を増やすための増税を行うと言っていますが、前回の解説でもお伝えしたように、それは国力を落とす道です。 増税の前に、政府がやるべきでない仕事を思い切って減量する必要があります。 国を強くするためには、国を豊かにしなければいけません。 増税によって日本経済が衰退し、国力が落ちてくると、防衛力に予算を割く余裕もなくなります。ですから、いま、必要なことは政府の仕事を減量して減税することであり、それによって日本経済を立て直すことです。 そのためにも、先ほども述べたように、脱炭素を止めて電気代を安くすること、それから経済の足を引っ張っている「働き方改革」を止めること、個人のみならず企業の負担も増やしている手厚すぎる社会保障を見直すことなどが必要です。 日本とアメリカが力を合わせ、世界に共産主義の精神を輸出しようとしている中国を封じ込めて世界の平和を守るためにも、日本は「神様が望まれる正しさとは何か」を追い求める国へと変わっていかなければならないのです。 「信仰」ある国づくりで、政治に「正しさ」を取り戻そう(幸福実現党NEWSvol.169解説) 2024.12.27 幸福実現党政務調査会代理 小川佳世子 ◆霊的な戦いに勝利したトランプ氏 11月に行われたアメリカ大統領選挙では、皆様ご存知の通り、トランプ前大統領がハリス副大統領に勝利しました。一度落選した大統領経験者が返り咲きを果たすのは、132年ぶりで極めて異例の出来事です。 さらに、トランプ氏が所属するアメリカ共和党は、同時に行われた連邦議会選挙において、上院と下院共に過半数を獲得しました。 日本のメディアは、トランプ氏の歯に衣着せぬ物言いを取り上げ、「なぜこのような人物が勝利したのか分からない」というようなネガティブなトーンの報道が散見されますが、こうした報道は、トランプ氏の本質をまったく捉えていないと言えます。 幸福実現党は、トランプ氏が多くのアメリカ人の心を惹きつけたのは、政府からの自由を求めた精神性、その奥にある宗教的な信念にあると考えています。 トランプ氏の支持者は、熱心なクリスチャンが多いのですが、彼らは今回の大統領選について「Spiritual War」霊的な戦い、宗教的な戦いだと位置づけていました。 バイデン政権やアメリカ民主党からは、「神」という言葉はほとんど聞かれず、LGBTの権利拡大などを推し進め、「神は人間を男女に分けて作られた」という聖書の記述を信じるクリスチャンから批判の声が上がっていました。 一方、トランプ氏のスピーチには、「創造主」や「全知全能の神」という言葉が度々登場します。トランプ氏の「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大な国にしよう)というメッセージは日本でも知られるようになりましたが、トランプ氏は同時に「Make America Pray Again」(アメリカを再び祈りの国にしよう)とか、「この国を再び偉大にするのは宗教である」と語っています。 これについて、日本のメディアは、「トランプ氏が宗教的な発言をするのは、アメリカ有権者の4分の1ほどを占めているキリスト教保守派の支持を集めるためだ」などという穿った見方をしていますが、LGBT権利拡大といった、直接聖書の記述に関わる宗教的なテーマ以外にも、トランプ氏とバイデン政権では目指す国家のビジョンに大きな違いがありました。 ◆信仰ある国づくり (1)自由と自助努力からの繁栄 目指すべき国家ビジョンの違いが大きく出たのは、まず経済政策のあり方についてです。 今回、アメリカ民主党が支持者を減らした最大の原因は経済問題です。 新型コロナによる経済ダメージから立ち直ろうとしている時、民主党が行ったのは巨額のバラマキです。 また、気候変動対策として環境規制を強化し、石油・ガスの掘削許可を取り消すなど、経済活動に制限をかけました。 このように、巨額のバラマキを行う一方で、経済活動を制限すれば、行きつく先はインフレ、すなわち物価高です。 これに加えて、ロシアに経済制裁を加えたことで、世界的にエネルギー価格が高騰し、給料はあまり上がらないのにモノやサービスの値段だけがどんどん高くなり、国民生活を苦しめたのです。 その上、法人税の増税や富裕層への課税強化の方針を打ち出しました。 一方、トランプ氏が掲げているのは、政府がやらなくていい仕事を思い切って無くし、それによって税金の負担も大幅に減らそうということです。 テスラ社や、X社などの経営を行っているイーロン・マスク氏らを政府効率化省(DOGE)のトップに任命し、国家予算を少なくとも2兆ドル、日本円にして300兆円ほど削減するという驚きの施策も打ち出しています。これは、アメリカの国家予算の3割弱に当たります。 そのうえで、法人税の更なる引き下げを目指しています。 前回のトランプ政権下で、35%から21%に引き下げた連邦法人税をさらに下げ、特にアメリカ国内でものづくりをする企業の法人税は15%にするという政策を掲げています。 また、根拠のハッキリしない気候変動対策のための温室効果ガス削減はやめて、石油をどんどん掘ろう、もっと自由にビジネスをできるようにしようと訴えています。 これは、幸福実現党が立党以来掲げている「小さな政府、安い税金」の考えと同じです。 なぜここまで思い切ったビジョンを打ち出せるのかといえば、トランプ氏は「自由は政府からではなく神から与えられたものだ」という宗教的信念を持っているからです。 政府が国の経済のあり方を計画的にコントロールできるという考えではなく、神から与えられた自由を守り、自由のなかで自助論の精神を発揮し、発展していくことが大切だと考えているからこそ、こうした思い切った施策を打てるのです。 ◆信仰ある国づくり (2)唯物論国家・中国への強硬姿勢 目指すべき国家ビジョンの違いの二つ目は、外交政策です。 バイデン大統領は、「民主主義国家 対 専制国家」の構図を打ち出して、ロシアを敵視し、中国、北朝鮮、イランなどの「専制国家」と同じ枠組みに入れました。 中国とロシアが結び付けば、軍事的にも経済的にも、欧米諸国と対抗できる勢力となります。その結果、世界の勢力は二分され、世界大戦、そして核戦争の危機が高まったのです。 一方、トランプ氏は、神を信じない共産主義、全体主義国家の中国こそ、アメリカ、そして世界にとって最大の脅威であると認識しており、政権の中枢に、中国に対して厳しい姿勢を貫く人材をそろえました。 さらに、中国に10%の追加関税をかけ、最終的に60%の関税をかけると主張しています。 2009年から2022年まで、アメリカの最大の輸入先は中国でした。アメリカの輸入全体に占める中国の割合は最大21%もあったのです。 前トランプ政権が中国に関税をかけたこともあり、2023年には15年ぶりに中国がアメリカの輸入先トップから転落しました。 それでも輸入全体に占める割合は約14%、金額にして4200億ドル、日本円にして63兆円を超えています。 減ったと言っても、まだまだ中国からたくさんモノを買っているのですが、トランプ氏は今後、さらに関税を引き上げようとしているわけです。 関税を上げれば中国はアメリカにモノを買ってもらえなくなりますので大きなダメージとなりますが、アメリカにとってもこれだけたくさんのものを輸入しているわけですから、物価高につながって国民生活にも影響があります。 それでもなぜ関税を上げるのかといえば、中国の利益を減らし、経済力を弱め、最終的に軍事力に回すお金を減らす、すなわち「兵糧攻め」の意味があります。 トランプ氏は「もし、中国が台湾に侵攻するなら150%から200%の関税を課すつもりだ」とも述べています。 この発言からも分かるように、トランプ氏はアメリカの経済力を武器として、軍事力による中国の覇権拡大を抑止しようとしているのです。 さらにトランプ氏は、ロシア-ウクライナ戦争を終結させ、ロシアとの関係を修復し、中国とロシアが結び付かないよう手を打つと思われます。 トランプ氏の支持者たちの声、またトランプ政権の今後の動きなどについては、幸福実現党のYouTube番組である、言論チャンネルやTruth Zでも取り上げていますので、是非ご覧ください。 ◆日本も「信仰心」を大切にした国づくりを このようにアメリカはトランプ大統領のもと、大きく変わろうとしています。 アメリカの重要なパートナーである日本も、この流れを見誤るべきではありません。 幸福実現党が訴えたいのは、今、日本にとって大切なことは、「何が正しいか」という善悪の判断に責任を持つ政治を行うということです。 善悪の判断を行うためには、人間の欲望や利害を超えた、神仏の考え、神仏の願いというもの、すなわち価値観を教える宗教を尊重することが大事になります。 日本で「宗教」というと、神にお願い事をして御利益を得ること、というイメージがあると思いますが、世界標準の宗教とは、神仏の存在を信じ、神仏の心、価値観を学ぶものです。 アメリカで起きたトランプ氏当選も、有権者が「正しさとは何か」「神の心に適った政治とはどういうものか」を求めた結果だったといえます。 現在、日本では、政府に何をしてもらえるかという「バラマキ政治」が横行し、「働き方改革」という名の残業規制と企業への「賃上げ要求」を行い、「なるべく働かずに給料はしっかりもらいたい」という考え方が良しとされているような状態です。 「御利益」を求める誤った宗教観が、政治の世界にも流れてきているといえます。 しかし、日本経済が強くなったのは、勤勉の精神を大切にし、「しっかり働いて、社会のため、国家のために貢献しよう」という価値観のもと、智慧を絞り、民間企業が付加価値の高いモノやサービスを生み出したからです。 自助論の精神を持つ国民が増えなければ、国が豊かになることはないのです。 幸福実現党の大川隆法総裁は、「鍛錬の光」という法話の中で次のように述べています。 「自分が努力して、偉くなることで周りをもっともっと素晴らしくしよう、立派にしよう、豊かにしよう。そして日本の国力もつけよう。世界に対してもいい影響を与えよう」、こういうふうに思う人を増やす必要があるのだということです。 「信仰」とそういう「自己鍛錬、努力」というのは両立するものだと思っているし、そうでなければ、立派な国や立派な世界には決してなることはないというふうに思っています。 幸福実現党は、日本がかつて尊重してきた、勤勉の精神を取り戻し「小さな政府、安い税金」の国造りをして、日本を立て直していきたいと考えています。 さらに、「武士道の精神」を取り戻して、中国の悪事に対して正々堂々と発言できるような国を目指します。 人権弾圧を繰り返し、台湾を軍事的に威嚇する中国の悪に目をつぶり、経済的にはうまく付き合っていこうという姿勢では、これからのアメリカの信頼は得られません。 そして中国を封じ込めていくためには、ロシアとの関係回復が不可欠です。 大川総裁は、信仰を持つ国同士が連携して唯物論国家を包囲していく必要があるとして、次のように世界戦略を語っています。 (以下引用) バイデンさん的に、「民主主義国家」対「専制国家」と言うだけでは十分ではないと私は思っているのです。やはり、「神仏への信仰心を持っている国家」対「無神論・唯物論国家」という、この対立であれば、勝てる可能性はあるのです。 「完全な無神論・唯物論の国家」というのは数はまだ少なく、そんなにないのです。はっきり言えば、中国と北朝鮮ぐらいしかないのです。あとは、ある程度、みんな信仰心を持っているので、そちらのほうにもうちょっと追い込んでいく必要はあるのではないかと思っています。(『「メシアの法」講義』) (引用終わり) ロシアは旧ソ連の継承国ではありますが、ソ連とは政治体制が違います。何より、ソ連は共産主義の唯物論国家でしたが、ロシアはロシア正教の信仰を大切にするプーチン大統領のもと、信仰を尊重する国です。 この信仰を持つ国ロシアを、いわゆる西側諸国の仲間にしていくことが、日本と世界の安定のために不可欠なのです。 ◆世界宗教を統合する大川総裁の教え このように、正しい政治を行っていくためには、普遍的な政治思想が必要であり、その根底には神仏の心を教える正しい宗教がなくてはなりません。 「自由」や「民主主義」は大切な価値観ですが、各自の欲望に基づく自由、好き勝手に生きる自由を尊重し、自分の人生や家族に責任を持たず、社会の秩序を乱し、挙句の果てには他人に迷惑をかけても自由というのは何かがおかしいのではないでしょうか。 そして、そうした人たちが多数集まって「民主主義」を行ったとしても、国が繁栄することはありません。 やはり、人間の欲を超えた普遍の価値に心を合わせ、その上で各自の自由を発揮して国づくりをする「信仰ある自由」「信仰ある民主主義」が、国民の幸福を実現し、未来の世界を拓くためのカギといえます。 私たち幸福実現党は、宗教心、信仰心を根底に据えた国造り「宗教立国」の実現を目指しています。トランプ政権のあり方をそのヒントにしつつ、あるべき日本と世界の姿をこれからも示してまいります。 【米大統領選2024】トランプ勝利が日本に与える影響 2024.11.07 https://youtu.be/VeI0YJNyCHE 幸福実現党政務調査会長 里村 英一 ◆米大統領選でトランプ氏が勝利 注目を集めてきたアメリカ大統領選挙は、日本時間11月6日午後4時半の段階でトランプ勝利という報道が流れ、トランプ氏自身も実際に勝利宣言を行いました。 今回のトランプ勝利をどのように見るのか、あるいは、なぜトランプが勝ったのかこれについて考えてみたいと思います。 その答えは簡単です。アメリカ国民は「小さな政府」と「安い税金」を選んだということです。アメリカは景気がいいですが、物価がどんどん上がって生活苦になっています。 その中でアメリカ国民から経済状態を良くしてほしいという声が止まらなくなっていました。これが今回の大統領選の決め手になりました。 アメリカの大統領選挙は、建国以来基本的に「大きな政府」を選ぶか「小さな政府」を選ぶか、言葉を換えれば、政府により大きな力を与えるのか、そうではなく、より大きな力を民間に与えるのかで選ばれてきました。 今回のアメリカ国民の判断は政府に力ではなく、国民に力を与えようと。これが「小さな政府」や「安い税金」によって可能になるわけで、これを国民が選んだということです。 そういう意味においては、本日ニューヨークダウが上がり、あるいは日経平均株価も上がったというのは非常に納得できるところがあります。 果たして今後このトランプが選んだ判断が、どのように日本と世界に影響するのかこれを考えてみたいと思います。 ◆日米関係の行方 1点目は、日米関係の行方についてです。 基本的にトランプ氏と日本の総理大臣に石破氏が首班指名で選ばれた場合に石破氏とトランプ氏は相性が合いそうにない感じがします。 決してトランプは日本の味方というわけではありません。基本的にトランプ氏の外交方針は2つあります。 1つはアメリカの国益で動くということです。2つ目は主権国家の意思を尊重するというところになります。 そういう意味において、日本がいつもの権利にアグラをかくような外交をやっていると、トランプ氏からはそういう日本の外交姿勢は卑怯だと言われて、厳しいものになるかもわかりません。 この辺は今後経済問題、あるいはさまざまな政治問題で出てくると思います。 さらに日米関係を含めたロシアとの関係を見れば、当然アメリカとロシアの関係は修復に向かいます。 すでにプーチン氏はその方向で動き始めて、談話を発表しています。 日本が相変わらずの反ロシア姿勢でいく限り、日本はアメリカあるいは国際社会で置いて行かれかねない。こういう意味で日本の判断は大きく外交方針も変えていかなければなりません。 ◆株価の推移 2点目は、経済の動向です。 基本的にトランプの経済政策は、政府の支出を減らし減税をする。これはインフルなき経済繁栄をつくる方向で間違いないやり方です。 この方向でいく限りアメリカの株価は上がる。日本の株価も当然上がってくる。ただし反作用もないわけではありません。円安です。 ですから、日本は生産性を上げて、日本製品を海外で買ってもらえる。こういう動きがないと円安になり、輸入を中心に物価が上がることになってしまいます。 ◆憲法改正の今後の展望 3点目は、憲法改正の今後の展望です。トランプ氏はアメリカの歴代政権の中で唯一、憲法9条改正について主権国家として、日本の意思に任せるという考え方を持っていた人です。 そういう意味では憲法改正の今後の展望を見たときに、やはりトランプ時代を逃してはならないと思います。 そして、これにつながる論点として、核装備議論はどうなるかということです。 核装備については、トランプ氏は日本に任せるという考えを安倍晋三氏が総理大臣時代に伝えていますので、やはりトランプ時代にやっておかなければならないと思います。 ◆地球温暖化、LGBTQ、宗教 トランプ氏になると、地球温暖化防止にアメリカが必ずしも乗らないということになると、日本も大きく舵取りを変えないといけなくなります。 あるいは、LGBTQあるいは、同性婚の推進もアメリカの保守への回帰の動きがありますが、それに反して日本が多様性を大義名分に何でもやっていいということになれば、アメリカとの間に政治的トラブルを抱え込むことになるかもしれません。 その政治的トラブルというのは、結局のところ人間の素晴らしさとは何か、さらには宗教的な問題にもなってきます。 暗殺未遂事件で改めて分かったように、トランプ氏自身は非常に信仰心が宗教心が篤い方です。 今後の日本の考えた時に宗教を理解するということがないと、日本はアメリカ外交がうまくいかなくなりかねません。 こういうことだけに幸福委実現党は宗教政党として、しっかりと今後も自立した日本としてのアメリカとの付き合い、ロシアとの付き合いを考えながら、日本の平和と繁栄のために努力してまいります。 トランプ時代の今こそ日本が再浮上する復活するチャンスだと思います。 日台の理想実現を目指す地方議員としての日台友好活動 2024.05.23 茨城県古河市議会議員 古川一美 台湾の頼清徳氏の新総統就任式が5月20日に行われました。 就任式直前の5月中旬に、台湾を訪問し、新政権に待ち受ける試練や日本の重要性をお聞きして、日本への期待感を大変強く感じました。今回は、その訪台記録をお伝えさせていただきます。 最初のきっかけは、昨年10月の幸福実現党・日台友好議員連盟の訪台です。 有志議員18名で訪問し、台湾の民進党立法委員(国会議員)、シンクタンクの識者の方々と意見交換を行いました。その後、シンクタンクの識者を党本部にお招きし、帰朝報告会を行うなど交流を深めてきました。 地方議員として個人的にも信頼関係を深めていきたいと思い、帰国後メールのやり取りをしていた立法委員の方に、選挙の勝利のお祝いを伝えに台湾に再訪したいと連絡したところ、立法院の研究室で会えるというお返事をいただきました。 そこで、幸福の科学東アジア本部の王本部長や政党スタッフにも同行をお願いし、前回お世話になったシンクタンクの識者ともお会いできることになりました。 ◆地方議員は、日台関係構築に向けて大きな役割を担える 地元茨城空港から台北に向かい、まずお会いしたのは、蔡易餘(TSAI YI-YU)立法委員です。 蔡委員は、2020年の米大統領選の際、トランプ氏を「過去30~40年で、最も台湾を支持してくれた大統領」と公然とトランプ支持を表明された方です。 その蔡委員の研究室(議員会館)に伺ったのですが、立法院は会期中で、呼び出しのベルが会館中に鳴り響いている大変お忙しい状況でした。それにもかかわらず、限られた時間を割いていただき、再開することができました。 蔡委員からは、「私たちは日本の地方議会と台湾の国会との交流を通じて友情を育むことを非常に大切にしています。 会期が終わったら是非、あなたの地元の古河にも行きたいと思います」と温かい言葉をいただきました。これは通常“ありえない”話です。 普通なら、国会にあたる立法委員と対等なのは、当然、日本の国会です。それを飛び越えて、地方議員との友情を大切にされるのは、いかに日本との関係を重視しているかが伺えます。 帰国後も丁寧なメールを頂き、日本への期待感を感じました。日本にお迎えし、更に交流が深まることを願っています。 ◆行政と立法の「ねじれ」で大きな試練が予想される頼清徳 新政権 次にお会いしたのは台湾教授協会会長の陳俐甫(CHEN LI-FU)博士です。台湾教授教会とは、台湾独自の文化やアイデンティティを重視する「本土派」の大学教授ら集まる団体です。 陳博士とは昨年の訪台時にお会いし、幸福実現党の台湾政策をお伝えしたところ、とても感動されていました。 その後、陳博士は台湾のケーブルテレビで「国会議員はまだいないが、台湾を独立国と認め、日台同盟まで主張している政党が日本にあることに驚いた」と、幸福実現党を興奮気味にPRしてくださっていました。 その陳博士と1時間にわたり意見交換を行いました。 以下、陳先生の講話のポイントを紹介します。 「アメリカ、欧州、日本などは台湾海峡の安定に強い関心を示しているが、日本はあまり発言してこなかった。日本は台湾の安定に具体的な行動で関与することが望ましい。 現在、台湾では単独過半数をしめている政党はなく多党制が続いている。しかも、中国の台湾政党への浸透は進んでおり、政策決定が難航し、民主主義の危機を招く恐れがある。特に、台湾の軍事近代化に必要な予算化が阻害されれば、安全保障上重大な影響を及ぼす」 台湾では、今年1月の総統選で、蔡英文氏の流れを引き継ぐ民進党の頼清徳氏が勝利したものの、立法委員選挙では事実上、民進党が敗北し、国民党に第一党を譲りました。いわば、「ねじれ」の状態となり、頼総統が進めたい政策を立法院が阻む危険性があるのです。 ◆今の台湾には、目先の利益に走らない、崇高な理想を掲げる宗教政党の存在が必要 「そのような状況の中で、利益集団ではなく、崇高な理想を掲げる理想主義的な政党の台頭が必要である。利益誘導に走りがちな他の政党を監視し、理想主義の回復を促す役割を担う幸福実現党のような宗教政党は、台湾の政治的混迷を収束し、台湾の安全保障を確保するためにも重要だと考える」と、幸福実現党に大きな期待を寄せてくださいました。 陳博士のお話を聞くと、大川総裁がかつて「『理想と現実がぶつかったら、理想が勝たねばならない』と思う人が信仰者なのです」(『君よ、涙の谷を渡れ。』)と語った御言葉が思い出されます。 目先の利益に屈することなく、真実を訴え続ける宗教政党だからこそ、民主主義を守り、その理想実現の担い手となることができるのです。 ◆日台問題でも、目先の利益を乗り越えて、正義の実現を 日台問題についても全く同じです。 日本では、日本と台湾の関係について、詳しくは知らない方も多くおられますが、台湾(中華民国)は、中国共産党一党独裁体制の中華人民共和国の一部であったことは過去一度もありません。 台湾はかつて日本であり、日本の敗戦により日本から独立したのです。中国共産党との内戦に敗れた蒋介石率いる国民党が、台湾島にのがれ、別の国家・中華民国として独自に民主国家として発展してきました。 日本が中華人民共和国と国交を結ぶまでは、日本は中華民国(台湾)と国交がありました。しかし、日中国交正常化と引き換えに台湾と断交したのです。 それまでは独立国として認めていたということですが、巨大な中国大陸という目先の利益を優先し、台湾を見捨てたのです。日本が正義を曲げた瞬間でもあります。 ですから、日本は、正義の心を取り戻し、台湾を独立国として国家承認し、国交を回復させ、日台同盟をも樹立していく必要があると幸福実現党は訴えています。 言論による啓蒙活動を推し進めつつ、地方議員としても、台湾との交流を更に深め、アジアの平和に寄与するためにもこれからも活動してまいります。 ラファ侵攻は絶対に譲らない?イスラエル・ネタニヤフ政権の暴走が止まらない背景にあるもの 2024.05.04 https://youtu.be/PpgoGiI2VQc 幸福実現党広報本部 城取良太 ◆ネタニヤフ首相が戦争犯罪者に? 開戦より半年以上が経過し、ガザでの死者が34,000人を超えてしまったイスラエルとハマスの戦争に対して、ICC(国際刑事裁判所)が動き始めています。 4月下旬、ICCはネタニヤフ首相やハマス指導者など双方の責任者に対して逮捕状の発行を準備、戦争犯罪や人道に対する罪を問う姿勢を見せています。 これに対して、イスラエル、ネタニヤフ首相は猛反発。「イスラエルの行動に影響しない」と断じながらも、「兵士や公人を脅かす危険な前例となる」とICCに警告。実効力はほぼないものの、「反ユダヤ主義」の高まりなど、国際社会における逮捕状が及ぼす影響力は小さくないと危惧し、アメリカ・バイデン大統領にも助け船を求め、発行を阻止する動きを見せています。 この一件について逮捕状発行には反対の姿勢を示すアメリカですが、ガザ地区南部のラファへの本格的侵攻を間近に、イスラエル・ネタニヤフ政権とは意見の食い違いを深めてきました。 ICCの一件をいわばテコにして、アメリカとの事前協議なくラファ侵攻はしないとようやく保証させたという点から見ても、ラファ侵攻を断固止めるつもりのないネタニヤフ政権に振り回され続けるバイデン政権が浮き彫りになってきます。 ◆アメリカのユダヤ人リーダーからも見限られつつあるネタニヤフ首相 イスラエルとほぼ同じ600~700万人、世界最大のユダヤ人社会を有し、イスラエル建国から支援を続けてきたアメリカから見て、今のネタニヤフ政権はどう見えているのでしょうか。 3月14日、アメリカ上院議員で民主党の院内総務を務めるチャック・シューマーという方がある演説を行いました。この方は公職にあるユダヤ系アメリカ人の中で最高位にある方と言われていますが、演説の中で、ハマスとの戦争を巡る対応で「道を失った」と断罪。ネタニヤフ首相を猛烈に批判しています。 そして、イスラエルは新たなリーダーを選ぶべきだと述べています。 イスラエル戦争内閣の中心人物の一人であり、ネタニヤフ首相の最大の政敵でもあるベニー・ガンツ氏は4月3日、口裏を合わせるかのように「今年9月には国政選挙をやるべきだ」と発言しています。 この背景にあるのが、戦争を長引かせ、人質を解放させられないネタニヤフ政権に対する国民の根深い不満です。支持基盤である右派層も含め、国民の8割近くがネタニヤフ退陣を支持していると言われています。 このガンツ氏の発言、どうやらアメリカ側の意図もあるように思えます。 なぜならガンツ氏は、3月初旬ネタニヤフ首相の猛反対を押し切って訪米、ハリス副大統領やサリバン大統領補佐官、共和党・民主党の議員とも交流を図っています。 いま選挙を行えば、国民からの人気が最も高いガンツ氏の勝利は間違いないと言われており、ワシントンとしても極右化が止まらないネタニヤフ政権よりも、現実主義的なガンツ氏の方が好ましいと考えているからでしょう。 一方のネタニヤフ首相とすれば、出口戦略を示さずに「現状が長引けば長引くほど、首相にとどまる可能性は高まる」という計算から、今はいったん静けさを取り戻している対イラン勢力との戦い、またハマスとの戦闘で強硬路線を貫いているという裏事情が見えてきます。 ◆ネタニヤフ政権が連立を組む「極右政党」の何が危険なのか? 確かに、ここ20~30年間、強大化するイランとの「影の戦争」、またパレスチナのハマスの脅威に対抗するため、与党リクードを中心としたイスラエルの「右傾化」は続いていました。 しかし、組閣に苦しみ、選挙を繰り返してきたここ数年のイスラエルにおいて、1年半ぶりに返り咲いたネタニヤフ政権は今まで以上の強硬路線を採っています。この最大の要因こそ、現政権の連立相手となる「極右政党」の存在です。 120議席あるイスラエルの立法府(クネセト)において、7議席を占める「宗教シオニスト党」、6議席の「ユダヤの力」、1議席の「ノアム」の3つが今回話題となっている「極右政党」です。 では、いったい彼らはどんなことを訴えているのでしょうか。 各党によって若干異なるものの、アメリカでもよく議論にあがる中絶への反対や、世界的にも潮流となっている同性婚やLGBTQなどについては、その宗教的信条から断固反対を掲げており、米国共和党をはじめ、保守系の政党が掲げる極めてマトモな政策が並んでいます。しかし、その中で他国の保守政党の政策には絶対に出てこない特殊な政策が出てきます。それが「入植」という考え方です。 ◆いまパレスチナで行われている「入植」の実態とは ここで言う「入植」とは主に、1967年の第三次中東戦争後にイスラエルが占領したヨルダン川西岸地域のことを指しています。先住民として主にアラブ人が住んでいましたが、ここにユダヤ人が入植を始め、現在では地域の60%はイスラエル軍の支配地域にあります。 国際法違反の裁定があるにもかかわらず、160以上の入植地に70万人以上のユダヤ人が住んでいるとされています。そして、この入植活動が今でも続いているわけです。 ネタニヤフ政権は発足直後から「政府や閣僚の決定が非合理であれば無効にできる」という最高裁の権限を奪おうと司法制度改革に臨み、国民からの大反発を受け、大規模デモが続いていましたが、結局、これもヨルダン川西岸などへの入植活動を邪魔する最高裁の口を封じるためというのが主な目的とされています。 更に、ガザでの戦争が始まってからのヨルダン川西岸はカオス化しているようです。 通常は入植者とパレスチナ人の間に入るイスラエル軍が手薄なこともあり、4月12日以降、強硬な入植者たちによって17ものパレスチナ人の村々が攻撃され、家や車が燃やされたり、居住者が銃撃され、死傷者も出ています。 また、本来治安を維持する役割の軍とパレスチナ人たちとの間でもガザ侵攻以来、緊張が高まっており、今までに多くの非武装の民間人を含む430人以上のパレスチナ人が殺害されているようです。 こうしたイスラエルに嫌気がさしているのが、アメリカを始めとした欧米各国です。4月19日にはバイデン政権は暴力的な入植者に経済支援する資産に対し、新たな制裁を課しています。EUも同様の動きを取りつつあります。 こうした過激な入植活動を煽っているのが、ネタニヤフ政権の新パートナーである「極右政党」であることは間違いありません。 実際に、「ユダヤの力」の党首であるイタマル・ベン-グヴィル氏は、1月下旬の集会で行った演説の中で「10月7日を繰り返したくなければ、この土地(ガザ)を支配する必要がある」と述べ、ユダヤ人入植者たちにガザへの「帰還」を呼びかけました。 ◆ユダヤ教における原理主義としての「シオニズム」とは何か? 他の国々から見て、どうしても理解しがたいこの「入植」という考え方ですが、この元にあるのが「シオニズム」「シオン主義」といいます。 聖都エルサレムの南西にある「シオンの丘」が直接的な由来ですが、古代イスラエルでは、エルサレム自体がシオンという名称だったと考えられており、要するに「民族の故郷に帰ろう」という運動です。 西暦66年、「マサダの砦」に立てこもり、ローマ帝国に反乱を企てますが、数年間の激闘の末、集団自決。このパレスチナの地におけるユダヤ人は全滅してしまいます。 その後はスペインや東欧などを中心に、欧州・中東圏に離散(ディアスポラ)したユダヤ民族は、それぞれの地域にある程度馴染みながらも、ユダヤ教や独自の文化を守って暮らします。 時代はグッと下って19世紀末。ユダヤ人にとって大きな契機となる出来事が起こります。 それが「ドレフュス事件」です。フランス陸軍参謀の士官だったユダヤ人アルフレド・ドレフュスがドイツのスパイであるとして逮捕されたという事件です。 結局、その後の捜査でこの事件は事実無根の冤罪ということが分かるのですが、この事件の根底にあったものが長年水面下に渦巻いていた「ユダヤ人への反感」でしょう。これがいわば顕在化し、「反ユダヤ主義」となって欧州全土に広がっていきます。 そして、このドレフュス事件を取材したユダヤ人記者テオドール・ヘルツルこそ、この「反ユダヤ主義」の席巻に危機感を感じ、ユダヤ人国家創設が必要だと提唱。これが「シオニズム」の始まりです。 ◆シオニズム運動の盛り上がりと、現代におけるシオニズム その後、イギリスの支援などを得て、「シオニズム運動」は盛り上がりを見せ、欧州と同じく、ポグロムに象徴される弾圧で苦しめられたロシア系ユダヤ人などを中心に、欧州各地やロシアから大量にユダヤ系移民がパレスチナの地に「帰還」するわけです。 しかし一方、迷惑千万なのはその地域に住んでいた先住民であるアラブ人です。 第一次世界大戦の終戦に乗じて、敗戦国オスマントルコの広範な領土を割譲し、利権を漁りまくった悪名高いイギリスの三枚舌外交(サイクス・ピコ協定、フサイン=マクマホン協定、バルフォア宣言)によって、ユダヤ人国家の創設も国際的に約束されてしまいます。 勝手な約束に当然、現地のアラブ人たちは怒ります。パレスチナの地に徐々に増えてくるユダヤ人に脅威を感じるアラブ人との間で衝突が激化していきます。 当時はイスラムテロというよりは、ユダヤ人によるテロリズムが頻発した時代で、間に入るイギリスは対応に苦慮します。 しかし、1930年代から巻き起こるナチス・ドイツによるユダヤ人迫害によって、ユダヤ擁護の国際世論へと流れは急変。移住希望のユダヤ人の急増と共に、シオニズム運動は一気に急拡大していきます。 そして1948年5月14日にイスラエルが建国、翌日から第1次中東戦争が始まり、ここからイスラエルの長い闘争の歴史が始まるわけです。 このシオニズムという思想が現代に至るなかで、何パターンかに類型化されていきます。要するに穏健なシオニズムもあれば、強硬なシオニズムもあるといった具合です。 このうち、最も右寄りと言われるのが「宗教シオニズム」、いわば古代ユダヤ教の教えと一体化したシオニズムのことです。そして、この「宗教シオニズム」を中核としているのが、政権に入閣している「極右政党」です。 ◆過激な入植活動の根底にあるもの 「宗教シオニズム」が主張する過激な入植活動の根底には、旧約聖書の教えに基づいた「宗教的な信条」があります。 要するに、エルサレムはもちろん、ヨルダン川西岸にあるヘブロンなど他の聖地に住むのは当然の権利であり、ひいてはパレスチナ全域を含む「大イスラエル」を手に入れることこそ、シオニストの悲願であると考えます。 なぜなら、神がユダヤ人に約束した土地(エレツ・イスラエル)に入植することでメシア(救世主)の到来が早まると考えるからです。 こうした神との契約を守るために、アラブ系パレスチナ人に対し暴力を使ってでも土地から追い出すということが堂々と正当化されているわけです。 シオニズムという概念自体、古いものではありませんが、3000年以上の時間を超えて、ユダヤ教誕生の時の「神の言葉」を元に、現在おかれたパレスチナの状況を無視して、入植を肯定するという考え方は、極めて原理主義的なものだといえるのではないでしょうか。 このユダヤ人たちのシオニズム運動に関連して、幸福実現党の大川隆法党総裁は『鋼鉄の法』の中で、このように言及されています。 「ユダヤ人たちは、十九世紀の終わりごろからポツポツと祖国の地に帰り始め、戦争(第二次世界大戦)が終わったころには、七十万人ぐらいは入植していたと思います。そして、それを欧米のほうが認めることで、一九四八年に『イスラエル』という国が建ちました。これは結構ですし、よいと思います。 ただ、その後、四回の中東戦争があって、その間にイスラエルは軍事的にどんどん強大になってきました。これについては客観的に見るかぎり、やはり、『フェアではないな』というのが私の感想です。 というのも、ユダヤ人たちは、自分の国ではないのに、あとから入ってきて、パレスチナの土地を分けてもらい、国を建てさせてもらったわけです。あとから来た者は、もう少しおとなしく、行儀よくやってはどうかと思うのです。(中略) それなのに、イスラエルは、いつの間にか、核兵器で武装して、核ミサイル、核爆弾を何百発と持っています。これは、少し行きすぎではないでしょうか。そのように思います。」(『鋼鉄の法』より) ◆ユダヤ教・イスラム教の「原理主義的な部分」のぶつかり合いが止まらない現代 ちなみに、イスラエルと長い対立関係にあるイランですが、イスラム教を中心とした全体主義的な色彩は色濃く、自由が大きく制限され、イスラエルと比べれば、人々が強く抑圧されていることは確かです。 しかし、イランの現体制はユダヤ教への信仰自体を否定しているわけではありません。 実際イラン国内には、中東最大規模となる2万人のユダヤ教徒が住んでおり、一応ユダヤコミュニティを保護しています。イラン指導部が真っ向から否定しているもの、それがこの「シオニズム」であり、「シオニスト政権」であるわけです。 イスラム教とユダヤ教の宗教対立を加速させるものの正体として、ユダヤ教の中にある「排他的なシオニズム」、それに対してテロリズムをも肯定するイスラム教の「好戦的なジハード主義」といった、元々は決してマジョリティではない「原理主義的な考え」がぶつかり合う中で、争いが止まらず、双方の不信が深まり、徐々に全体が右傾化しているというのが真相ではないでしょうか。 こうした争いを完全に終わらせるには、それぞれが唯一の神と信じる存在が、地球神として同一の存在につながっているのだという宗教的真実の広がりを待つしかありません。 こうした宗教的真理が広がるまで、この一神教同士の争いが破滅の道を辿っていかないように、「可能性の技術」とも言われる政治こそ、使命を果たすことが求められているように思います。 【憲法記念日】改憲論の先にある国家の未来構想「新・日本国憲法試案」 2024.05.03 https://youtu.be/L1TTipmrZtM 幸福実現党党首 釈量子 ◆「平和憲法」では日本は守れない 1947年5月3日、現行の「日本国憲法」が施行されて77年経ちました。 現行憲法は1945年の敗戦後の占領下において、占領軍の人が一週間ぐらいで作り、押し付けられたものです。 軍隊を取り上げられ、宗教を教育から排除し、国家の背骨が抜かれました。日本の強さは精神性にあるとみた占領軍は、日本が再びアメリカに対して歯向かうようなことがないように、国家の背骨である宗教を骨抜きにしたのです。 このように、とても日本人の手で作ったとは思えない憲法は、戦後、一度も改正されることがないまま、今日に至っています。 ちなみに諸外国では戦後どのくらい憲法改正されているかというと、1945 年から 2022 年まで、アメリカ 6 回、カナダ19 回、フランス 27 回(新憲法制定を含む。)ドイツ、67 回、イタリア19 回、オーストラリア 5 回、中国でも、戦後10回改正しています。 世界は激変しています。ウクライナや中東での戦争が世界大戦につながりかねず、核兵器を持つ中国、北朝鮮、ロシアの3カ国を敵に回して日本は国家存亡の危機です。ところが国会では裏金問題に終始しています。 日本では戦争の放棄を定めた憲法9条を含んだ現行憲法を「平和憲法」と称し、「日本国憲法さえ守っていれば、日本は安全で幸福になれる」という“憲法信仰”、「現行憲法を守っていれば、日本は平和で安定的に発展する」という考え方がずっと続いてきました。 しかしながら、日本は「平和を愛さない国」に囲まれています。戦後、状況は大きく変わってきており、日本が戦争を放棄すれば、日本も世界も守れないことは明らかです。 企業でもイノベーションが必要なように、国際情勢に照らして、軌道修正、さらには思い切った憲法改正が必要です。 日本人の手で自分の国の憲法を変えられないというのなら、「政治参加の自由」がないということです。まるで江戸時代の町人のように「お上によって、下々が治められている」意識とあまり変わらないのではないでしょうか。 ◆国家理念を提示する「新・日本国憲法試案」 私たち幸福実現党は、2009年の立党直後に、大川隆法党総裁による「新・日本国憲法試案」を発表しました。 「この国を根本的に改造し、未来型国家に変身させることも可能だと信ずる」とし、「国家の理念」となる骨組みとして前文と16条を提示しました。 「新・日本国憲法試案」 http://special.hr-party.jp/policy2013/constitution/ 憲法とは国家権力の制限の道具として存在するというのが一般的な考え方です。しかしながら、それではあまりにも寂しいと私たちは考えます。 会社に経営理念があるが如く、国家にも「国家理念」、つまり国の基盤となる考え方を明らかにすることが、国民の幸福を実現するために必要なことだと考えています。それが幸福実現党の憲法観です。 「新・日本国憲法試案」はこのような憲法観に基づくものであり、聖徳太子の「十七条憲法」を彷彿とするのですが、国家の未来をどうデザインするかという構想を示し、叡智は、そう簡単に得られるものではありません。 大川総裁が書き下ろされた憲法試案は、改憲議論のさらに先にある未来国家の構想といえます。 まずは、現行憲法の改正から始めるのが現実的ですが、日本人の手で自分たちの幸福を実現する機運を作っていくために、その一部をご紹介します。 ◆現在の改憲議論「緊急事態条項」について 現在、衆議院の憲法審査会で焦点になっているのは「緊急事態条項」です。 安倍政権下で「お試し改憲」ということで浮上しましたが、「緊急事態条項」とは、戦争やテロ、それに大規模な災害などの非常事態に対処するための規定のことです。「大規模な災害」には、コロナの感染拡大といったことも想定されています。 現在、国会では「国会議員の任期延長」に絞って憲法改正に向けた議論が行われています。総理大臣が事前もしくは事後の国会承認を要件として「緊急事態」を宣言すれば、「国会議員の任期延長」を行って、国会の機能を維持することを目指す趣旨です。 緊急時に国会機能を維持する必要性は理解できます。ただ、同時に憲法審査会では、緊急状態で国会機能が維持できない場合に備えて、政府が法律と同じ効力を持つ政令を定める「緊急政令」や「緊急財政処分」に関する規定についても検討すべきだとの議論も行われています。 このような政府権限の強化は危険性が高いといえます。「緊急事態」の名のもとに、政府に権限が集中すれば、国民の自由が制限される危険性が高まるからです。これは、ナチスのヒトラー政権における授権法のような、全体主義体制につながりかねません。 ヒトラーのようにというのは大げさかもしれませんが、日本でもコロナ禍において「緊急事態宣言」が出され、私たちの移動の自由や営業の自由などが著しく制限されました。 あくまでも「外出の自粛」「営業の自粛」ということではありましたが、営業しているお店を攻撃したり、ネットで晒したり、といった「自粛警察」という言葉が流行りました。まるで反ナチス運動を取り締まる秘密警察、ゲシュタポのように一般国民が密告者にさせられるような恐怖を感じました。 緊急事態を名目に、一時的にせよ内閣が法律と同じ効力の政令を安易に出せるようになってしまえば、国民の自由や基本的人権が簡単に制限されてしまう危険性が高まるのです。 ◆宗教立国は世界のスタンダード もちろん、戦争時など、やむを得ず政府の権限を強化しなければいけないこともあるかもしれません。しかし、新型コロナの特性が次第に分かってきてからも、緊急事態宣言が繰り返され、自由が制限されたことを振り返ると、自由の大切さを何度強調しても足りないと言えます。 私たち幸福実現党は、私たちの生命、そして自由は神から与えられたものだと考えます。人間は造物主に作られたものだから、神の子、仏の子だから尊く、人権があると考えます。 このように、人間を超える神仏の存在を認めていなければ、為政者は国民の自由を奪うことに躊躇がなくなってしまうのです。 ですから、幸福実現党は、まずこの国を宗教を基盤とする精神性の高い国にしたいと考えています。宗教立国は世界のスタンダードです。 アメリカ独立宣言には、「すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され」と述べられています。トランプ氏が何度も「自由は政府ではなく神からの与えられたものであるという基盤の上にこの国は成り立っている」と述べていました。 自由の大切さは、先ほど述べた緊急事態への対応の際に問われるのはもちろんのこと、経済政策においても問われます。 トランプ氏は大統領就任時、大胆な減税や規制緩和を行い、国民の経済的自由を拡大しましたが、これは神から与えられ自由だからこそ、それを最大限尊重すべきだという、トランプ氏の宗教的な「自由の哲学」がもとになっているといえます。 ドイツ憲法の前文では「ドイツ国民は、神と人間とに対する責任を自覚し」と示されています。 「人間は造物主によって造られた神仏の子である」ことが人権の根拠であり、ここから「自由」が尊いものになるわけです。この点、神仏の存在に根差さない日本国憲法は、人権の根拠が薄弱です。 『新・日本国憲法試案』前文には、すべての党派や宗派を超え、人々が国民として生きていくための規範、進むべき方向を指し示されています。 〔前文〕われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。 いま、感染症全体主義や、マイナンバーを使った国民の私有財産を一元管理することなど、人間を超えた叡智を持つ神仏の存在を認めない、天狗的な傲慢さがあります。 私たちはこの精神のもと、政策を作り、判断し、唯物論・無神論国家の中国、北朝鮮の覇権主義や人権侵害行為も止めさせたいと考えています。 ◆国防…自衛隊を国際標準の国防軍に 世界情勢を考えると、急がなくてはならないのが「憲法第九条」の改正です。「自分の国を守る」ということを憲法で明文化できないのは、主権国家としては悲しいことです。 「戦争をしない」ということと、「戦争ができない」のは意味が違います。「敵の監獄の中に入れば、もう襲われることはない」と言うなら、奴隷の平和です。 安倍政権の時に、戦力不保持と交戦権を否認したまま、憲法9条に自衛隊の存在を明記する「加憲」が議論されましたが、これは「自衛隊は戦力(軍隊)ではない」という、嘘の追認をするだけで、日本の国防強化にはぜんぜんつながりません。むしろ、「戦えない自衛隊」が明文化されてしまう危険性があります。 ですから、9条を改正して、自衛隊を国際標準の軍隊と認め、自衛のために戦えるようにすることが大事です。 幸福実現党の「新・日本国憲法試案」では、もう一歩踏み込み、「防衛軍」を創設することを明記しています。 〔第五条〕国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる。 国防と警察は政府がなすべき代表的な機能です。 ◆経済…小さな政府で国民の自由を守る 現在、インフレが暮らしに打撃を与えていますが、こうした厳しい状況のなか、与野党ともにバラマキ合戦に終始しています。しかし、バラマキ政策は必ず増税をまねきます。 歴代政権がバラマキ政策を繰り返した結果、政府の借金は1280兆円です。政府の借金を子孫の代に先送りしているだけです。 著名な投資家が、「日本に経済的に明るい兆しはもうない」として、日本からの脱出を促す人もいます(ジム・ロジャース氏)。 いまこそ「小さな政府」「安い税金」を目指し、「国民の自由の領域」をふやし、民間に任せられるものは民間に。無駄な役人を減らして、無駄な役所を減らして、無駄な仕事をやめる。」ことです。(『減量の経済学』第3章) 「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。」(『新・日本国憲法試案』第11条) 「小さな政府」か「大きな政府」かを分ける指標はいろいろありますが、代表的な指標が「国民負担率」です。所得に占める、税と社会保険料の割合です。今は47.5%。江戸時代の五公五民と同じ状況で、どんどん大きな政府に進んでいます。 日本がバラマキと増税の悪循環に陥る中、日本の国内総生産(GDP)はドイツに抜かれ世界4位、2026年にはインドにも抜かれそうです。 与党も野党も、福祉国家主義、国家社会主義のもと大きな政府に突き進むなか、幸福実現党だけは「小さな政府」「安い税金」を訴えています。 それは先述したように、「小さな政府・安い税金」こそが、国民の自由を守る道だからです。「安い税金を目指し」で、増税の防波堤にはなります。 以上、「憲法記念日」にあたり、変わるに変われない日本の急所、憲法について考えました。 日本人自らの手によって、憲法を、自分たちの幸福にとってふさわしいものに変えていこうではありませんか。 大統領選を左右する大論争。バイデンvsトランプ。アメリカを再び祈りの国に。 2024.04.26 https://youtu.be/WRL3Z8Yjin8 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン陣営対トランプ陣営の大論争 先月末3月31日、キリスト教圏にとって最も大切な祝日の一つ、「イースター(復活祭)」が行われました。 イエス・キリストの復活を祝う宗教行事で、カトリックやプロテスタントなどの西方教会では毎年、「春分後の満月から数えて最初の日曜日」に行われることになっています。 イースター・サンデーと言われ、家族でごちそうを食べイースターエッグを部屋に飾ります。そしてアメリカ大統領も毎年スピーチを行います。 ところが、今年の「イースター・サンデー」をめぐり、バイデン陣営とトランプ陣営とで大きな論争が巻き起こりました。事の発端は、バイデン大統領が3月31日に向けて出した声明です。 「トランスジェンダーデイ・オブ・ビジビリティ宣言2024」という声明で、トランスジェンダーなどの性的少数者の平等や権利を守ろうと呼びかける内容です。 「ビジビリティ」というのは「可視化」「見える化」「認知度を上げる」くらいの意味です。2009年に活動家によってはじめられ、毎年3月31日と定められましたが、大統領として最初に認めたのがバイデン氏で、2021年から毎年、声明を出しています。 それが今年、3月31日がイースター・サンデーと被ってしまったので、物議を醸しました。 キリストの復活を祝う聖なる日に、大統領がトランスジェンダー可視化の日宣言を行ったということで、トランプ元大統領を、はじめ多くの共和党支持者は「キリスト教への冒涜である」と猛反発しました。 民主党側は大手メディアを含め、今年はたまたまイースター・サンデーと同じ日になっただけだ」と反論していますが、トランスジェンダーといった「性的マイノリティ」の権利に関する問題は、キリスト教の教義に大きくかかわります。 バイデン氏の軽率さに、トランプ氏は4月2日、ウィスコンシン州の集会でバイデン氏を痛烈に批判し、同時に対抗する “宣言”を行いました。 「トランスジェンダーデイ・オブ・ビジビリティ」に対して、「クリスチャン・ビジビリティ・デイ」をつくると言ったのです。 まさにバイデン大統領の向こうを張った内容です。聴衆の熱い反応からも、大統領選が、アメリカとはどういう国であるべきかをかけた「宗教的信条、価値観の戦い」であることが分かります。 また、もう一つ注目の出来事がありました。イースター・サンデーの直前の3月27日、トランプ氏がなんと聖書の発刊を発表しました。 その名も「God Bless The USA Bible」、日本語では “アメリカに神の祝福を”聖書です。これは従来の聖書に、アメリカの合衆国憲法や独立宣言などを付け加えたものです。 日本の報道ではアメリカ民主党系メディアの横流しで、「金儲けだ」といった否定的な内容が多いですが、トランプ氏の狙いはそういうレベルの話ではありません。 これも、今起きているアメリカの分断の根源的理由、つまり大統領選の本当の争点に迫るものです。 トランプ氏は聖書の発刊について次のように説明しています。 「宗教とキリスト教はこの国で失われている最大のものです。そして私はそれをいち早く取り戻す必要があると本当に信じています。それがこの国がおかしくなっている最大の原因の一つであると考えます。(中略)聖書はアメリカに取り戻すべきもの、この国を再び偉大にするのは宗教であることを思い出させてくれます。」 ◆アメリカを神に祝福される国に 「祈り」とは心の針を天上界に向けて、清らかな心で、神につながろうとする行為です。そして祈りは、最大の力を持っています。『聖書』の「マルコによる福音書」(9:29)には、悪魔と戦う時、イエスが、「この類のものは、祈りによらなければ、どうしても追い出すことはできない」と述べています。 トランプ氏は、「聖書」に合衆国憲法や独立宣言を加えることで、アメリカを一つにしようとしています。「公的な祈り」の国にしよう、そして「神に祝福される国にするのだ」という信念が伝わってきます。 そもそもアメリカの建国の歴史は、イギリス国教会から弾圧され分離したピューリタンが、信仰の自由で、アメリカの新大陸に神の国を建設しようとしたことから始まっています。 1776年7月4日に採択された「独立宣言」の冒頭にも、すべての人間は「創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」という有名な文があります。 アメリカ人は何世代も7月4日の独立記念日にこの言葉を朗読し、子供たちに読ませ、政党を問わず政治家が引用し、裁判所の判決にも書かれ、カントリーソングや、ロックでも歌われてきました。 また「権利章典」、合衆国憲法の修正第一条にもまず「信教の自由」を保護することがうたわれています。 トランプ氏が何度も「自由は政府からではなく、神から与えられた。その基盤の上にこの国はなりたっている」と述べていますが、トランプをはじめ多くの共和党の人々は、バイデン氏の行き過ぎたリベラルで分裂した国を一つにしようとしています。 ◆自由・民主・信仰の世界 大川隆法総裁は、次のように述べておられます。 『自由・民主・信仰の世界』において、「神に対して祈ることを当たり前とする国が多数決を取ったら、神様の心に近づこうとするのは当然のことではありませんか。だからこそ、人間がつくった法律以上の、道徳律の高い政治が実現できるのです。したがって、この信仰の世界を自由と民主に取り込んでいくことは、非常に大事なことだと思っています。これが、日本の未来です。世界の未来です。こうあらねばなりません!」 大統領選はアメリカの道筋はもちろん、世界の方向性に大きく影響を与えます。引き続き大統領選挙の行方に注目していきたいと思います。 ひるがえって日本は、裏金問題などの政治家の腐敗がまたしてもクローズアップされ、低迷しきった支持率はもはや政治への絶望にかわりつつあります。 なぜ変わらないのか。それはバイデン政権と同じく、「神なき民主主義」で漂流しているからです。 神仏が人間をお創りになられた時に与えた「自由」が、人間の最大の幸福です。そして「人間が神の子として平等に造られた」という考えのもとに、民主主義が花開きます。これはプーチン氏もよく言っていることです。 歴史を振り返れば、日本も世界に誇る「祈りの国」でした。聖徳太子が「篤く三宝を敬え」といい、奈良時代に聖武天皇の発願で大仏が建立されました。疫病や天変地異に対する「鎮護国家」、仏の御加護を公的に祈る国だったのです。 しかも、奈良の大仏は、仏陀・釈尊の霊的本質である毘盧遮那仏、つまりキリスト教でいう造物主への信仰です。イスラム教のアッラーでもあるし、中国では天帝にあたる存在です。 幸福実現党は、「自由、民主」に加え、あらゆる宗教が共通して祈る地球神への信仰を持つ国で、唯物論国家の中国・北朝鮮を包囲し、弾圧される人々を解放し、地上の地獄を終わらせたいと考えています。 トランプ氏が「Make America Pray Again」アメリカを「祈り」によって復活させ、宗教(キリスト教)の力を取り戻すことで再び偉大になることを目指しているように、日本も神仏に愛される国になれるよう、信仰心を取り戻さなければなりません。 精神的な高みを目指す国であってこそ、本当の世界のリーダー国へと変わっていけるのではないでしょうか。 イスラエル・イラン対立の真相。新たな中東戦争にエスカレートするのか? 2024.04.17 https://youtu.be/Ha6CmHVmKps 幸福実現党広報本部 城取良太 ◆イランによるイスラエル領内への史上初の直接攻撃 ハマス奇襲に端を発するイランとイスラエルの対立が新たな局面を迎えようとしています。 4月14日未明、イランは300発以上にのぼるミサイルやドローンをイラン本国などから発射。ほぼ「99%」がイスラエルや米英などの迎撃により、本土に届く前に撃ち落とされたとされ、イスラエル側の被害は負傷者1名と軽微なのが現状です。 この発端となったのが4月1日、シリア・ダマスカスにあるイラン大使館に対して行われた、イスラエルによるミサイル攻撃でした。 この攻撃によってイラン革命防衛隊の司令官クラスを含む7名が殺害されています。今回はこれに対する報復という形になっています。 しかし、今回のイラン側の攻撃を見ると、イスラエルに大きなダメージを与えるような攻撃とは程遠く、かなり「抑制的」だったと言われています。 実際に、攻撃の前段階には、核協議の再開などをアメリカに持ちかけるような外交を展開していました。 今回の攻撃もイラン国内の宗教保守層に対するパフォーマンスという面も色濃いように思います。 一方のイスラエル・ネタニヤフ首相は、イラン本土からの初めての攻撃に対し「更なる反撃」を行う準備があると明言。 それに対して、アメリカのバイデン大統領はネタニヤフ首相に自重を求め、防衛上の支援はするがイラン反撃への参加はしないと述べています。 その後、ネタニヤフ首相は「報復を見送る」と述べたという報道も一部ありましたが、一夜明け、イスラエルの戦時内閣でイランへの反撃で一致しており、「全面戦争が目的ではない」とするも、「明確かつ強力」に反撃することを述べています。 どちらにしても、昨年10月から約半年経過したハマスとイスラエルの戦争が、いよいよ中東全土を巻き込んだ大規模戦争へと、いつエスカレートしてもおかしくない、かなりきわどい状況にあることは確かだと言えます。 ◆以前は良好だったイスラエルとイランの関係 では、そもそもイスラエルとイランはなぜ対立するのでしょうか。 ユダヤ教とイスラム教の宗教対立といってしまえばそれまでですが、個別的に見れば、イスラエルとエジプトなど、宗教を超えた国家間で平和条約が締結されている事例は実際にあります。 ここでイスラエルとイランの対立がどのように深まってきたのかを客観的に整理してみたいと思います。 何より、以前はこの両国は関係良好だったという歴史があります。 1948年イスラエル建国直後に起きた第1次中東戦争から、1973年の第4次中東戦争に至る25年間の戦いは、エジプトを中心としたアラブ諸国とイスラエルの戦いであって、イランは関与していません。 そういう意味で、これからいつ起きてもおかしくはない新たな中東戦争は、過去4回の中東戦争とは意味合いが全く異なると言えます。 当時、王政だったイランは、中東における「アメリカの前線基地」として、実はイスラエルと同じく親米国でした。 実際、イスラエルの諜報機関モサドと当時のサバックというイランの諜報機関は「対アラブ」「対ソ連」で情報協力協定を結んでいるように、同盟関係に準ずるものがあったと言えます。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機①:1979年の「イラン・イスラム革命」 この両国の関係にとって、1つ目の大きな転機が、1978年から1979年にかけて、イスラム指導者のホメイニ師が求心力となって起こった「イラン・イスラム革命」でした。 ホメイニ師は「イスラム法学者による統治論(ヴェラヤテ・ファキーフ)」を発表、当時パフラヴィー王朝の元、急速に西欧化しようとしていたイラン国内の風潮を危険視し、欧米の植民地主義、またシオニズムによって建国されたイスラエルを痛烈に批判しながら、「将来、ユダヤ人に支配されることをおそれる」とその中で述べています。 この1冊がいわば国の指導原理となり、今の「反米」と共に「イスラエル打倒」を掲げるイラン・イスラム共和国が誕生、今に至る45年間の長きに渡る対立の「原点」となります。 また時をほぼ同じくして、4回の中東戦争を繰り広げたエジプトとイスラエルがアメリカの仲介で平和条約が締結。この「1979年」という年がいかに中東情勢を根底から変える非常に大事な年の一つといえるでしょう。 ちなみに、この大転換を図ったエジプトに代わって、反イスラエルの急先鋒として「アラブの盟主」に名乗りを挙げたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。 イラクはイスラム教の2大宗派スンニ派とシーア派が入り混じった地域で、イラクでは約2割しかいない少数派となるスンニ派が国を支配していました。 そのためフセイン大統領は、抑圧された多数派であるシーア派(約6割)が、お隣のシーア派国家イランから「革命の影響」を受けることを止めるべく、1980年から8年に及ぶ「イラン・イラク戦争」を起こします。 イラン革命によって飼い犬から手を嚙まれる形となったアメリカは、この時、イラクのフセイン政権を積極的に支援します。 しかし、その後イラクもアメリカに牙を剥くこととなるのは歴史が示している通りです。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機②:2003年の「イラク戦争」 そしてイランとイスラエルの対立を更にエスカレートさせていくきっかけとなったのが、まさに「イラク戦争」です。 アメリカブッシュ政権は2003年、イラクが所持する大量破壊兵器の脅威から、世界を解放するという大義のもと、「イラク戦争」に踏み切ります。 余談ですが、大量破壊兵器は見つからず、当時の国務長官だったパウエル氏は、CIAの情報を信じ、開戦の大義を語ってしまった自身の国連演説を「人生の汚点」と語っています。 結果的に、イラク戦争によってフセイン政権は崩壊、アメリカ主導によって民主化がなされます。 先ほど申し上げた通り、イラクの宗派バランスから考えると、民主化されたことで多数派のシーア派主体の政党が力を持ち、政権を握っていくことになります。 すると、それまで力を持っていたスンニ派と、抑圧されていたシーア派のパワーバランスが逆転し、スンニ派が押され始めます。 CIA長官まで務めたペトレイアス氏の占領政策によって、一時期は宗派の均衡は見事に維持されていましたが、イラク戦争を「誤った戦争だ」と断罪し、大統領に就任したオバマ元大統領は2010年にイラク駐留軍を大規模に縮小し、宗派間の衝突が激化し、治安が急激に悪化していきます。 このように、良くも悪くもイラクのフセイン大統領、そしてそれに代わる米軍という「重石」がなくなったことで、イスラエル国境に向けて、イラン革命防衛隊など軍事組織が、イラクを超えて、シリアのアサド政権(シーア派系のアラウィー派)、レバノンのシーア派組織ヒズボラなどとの連携を緊密にしながら、直接的に影響力を行使させていくことが出来るようになっていきます。 いわば「シャドウ・ウォー(影の戦争)」が活発化していくわけです。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機③:2011年から始まる「シリア内戦」 そして、この「シーア派の弧」と呼ばれるイラン勢力圏を更に強大化させるきっかけとなったのが「シリア内戦」です。 イランのこうした急速な影響力の拡大にアメリカやイスラエル、サウジアラビアなど周囲の国々は焦ります。 その頃奇しくも2011年に北アフリカで起きた「アラブの春」によって、民主化のウネリがシリアにも直撃し、アサド政権(シーア派系)の独裁に対して、スンニ派系の反政府勢力が立ち上がり、内戦に発展していきます。 当時のオバマ大統領はアサド政権の打倒を名目として、CIA主導で「ティンバーシカモア」という秘密プロジェクトを立ち上げて、巨額の予算を投じてスンニ派の武装組織に武器の支援や戦い方を教えていきます。 そしてこの時に提供された膨大な武器の多くを闇ルートで手にし、巨大化していったのが、かの「イスラム国」です。直接的なつながりを証明するものはありませんが、間接的にアメリカが「イスラム国」を巨大化させたということは紛れもない事実です。 ちなみにこの「イスラム国」の中枢を担ったのが、元フセイン政権の構成メンバーと言われています。 アメリカとしては、シリアのアサド政権、そしてバックにいるロシア、イランの影響を弱めていくために、弱体化していたスンニ派勢力に力を与えることでシリア・イラク地域における宗派間の力の均衡を保ちたかったという思惑があったようには思います。 しかし、結局「イスラム国」が予想以上に強大化、最終的に、アメリカを中心とした有志連合は「イスラム国打倒」のために更なる資金と大量の武器を投じていきます。 こうした長年の「イスラム国」などとの戦いを通じて、更に力を蓄えていったのが、イランの革命防衛隊を主体とした、前述したシーア派系の武装組織などです。 また、近年では、長年の不倶戴天の敵だったサウジアラビアと中国の仲介によって歴史的な国交正常化に踏み切るなど、イランにとって中東における対立構図というのはイスラエル一国に先鋭化していると言っても過言ではありません。 イスラエルから見ても、イランの強大化というのは、紛れもなく現在の最大の脅威です。 こうした深い懸念こそ、イスラエル政権の極右化が進んでいる主な要因の一つであり、エスカレートが止まらなくなっている訳です。 ◆イスラエルとイスラム教国を巡る対立軸にあり続ける「核兵器」 そして、イスラエルを巡る対立軸の中心にあり続けるのが「核兵器」という要素です。 イラクのフセイン大統領は、イスラエルとの戦争を見据えて、大統領就任当初から秘密裏に核保有を目指していました。それに対してイスラエルは「イラク原子炉爆撃事件(1981年)」などに象徴されるように、軍事力を行使し、爆撃によって力づくで排除します。 前述した「イラク戦争」の開戦前には、現首相であるネタニヤフ氏など一部の閣僚が、「フセインがまた核開発を再開している」と脅威を訴え、ブッシュ政権にイラク戦争をけしかけたとも言われています。 そして、21世紀に入って、核開発の疑惑が浮上してきたのがイランです。 モサドによるイラン人の核科学者の暗殺や核施設の爆破などで、イスラエル側はイランの核開発の妨害を幾度となく繰り返してきました。 しかし、科学国際安全保障研究所の2024年3月の報告書によると「あと5カ月で13発の核兵器を保有する能力がある」と言われています。 内情が見えにくいイランの場合、もっと進んでいる可能性は否めず、核保有が寸前まで迫っている現状を考えれば、イスラエルとしてはいよいよ一刻の猶予もありません。 ◆新たな中東戦争はエスカレートするのか? さて今後はどうなっていくのでしょうか。 今回、シリアのイラン大使館攻撃でイスラエルは明らかに挑発的な姿勢を示しています。 決めつけはもちろん禁物ですが、そうした意味から考えると、今回のイランの反撃がたとえ抑制的であったとしても、国際社会でイラン攻撃の口実となる限り、イスラエルとしては「エスカレート」させたい思惑は強いとも言えます。 また一方で、「ハマスによる奇襲」によって、世界中の目がパレスチナに向けられてきたことを考えれば、イランとしての格好の「時間稼ぎ」にもなっている面も見過ごすことは出来ません。 いま核戦争の発火点となりうるのはロシア・ウクライナ方面、そして今回、中東におけるこのエスカレーションで核戦争の危険性はグッと高まったと言えるのではないでしょうか。 幸福実現党の大川隆法党総裁は『信仰の法』の中で、中東における核戦争の可能性について、このように言及されています。 今、心配されているのは、「核兵器をすでに持っているイスラエルと、核兵器をもうすぐ製造し、保有するであろうイランとの間に、核戦争が起きるかどうか」ということでしょうし、また、「イランの核兵器が使用可能になる前に、イスラエルがイランを攻撃するかどうか」ということでしょう。 そして、イランの核保有を認めたら、おそらく、サウジアラビアやエジプトも核武装をするのは確実でしょう。 今の中東は、「イスラエルだけが核武装をしていて、イスラム教国は核兵器を持っていない」という状況にありますが、それが今度、「核武装したイスラム教国にイスラエルが囲まれる」という状況になったとき、それを黙って見過ごすことができるかどうかです。これが、ここ十年ぐらいの間に懸念される大きな事態の一つです。」 日本人の心理の中には「ノーモア・ヒロシマ」が世界の常識だと思い込んでいる節があります。しかし、残念ながら世界の本音の部分とは大いにかけ離れているといえます。 実際に、日本は神を信じない唯物的無神論国家の核保有国に囲まれています。 いいかげん、きれいごとばかりで表面を繕うお花畑思考から抜け出さないと、日本の存続自体が立ちゆかなくなるという危機感を持たなければならないのではないでしょうか。 世界大戦を招くマクロン発言。トランプが戦争を終わらせる。 2024.03.29 https://youtu.be/bPz6Lb1_rmM 幸福実現党党首 釈量子 ◆マクロン発言でパニック 2月26日、フランスのマクロン大統領が、欧州全体を戦争に巻き込むような発言をして世界を驚かせました。 パリで開かれたウクライナ支援について話し合う緊急会議で、ドイツのショルツ首相、英国キャメロン外相、アメリカやカナダの代表団などが出席。 マクロン大統領が記者会見で、「西側の地上部隊をウクライナに派遣する可能性」について「排除すべきではない」と発言して驚かせたわけです。 米ホワイトハウスは声明で、バイデン大統領は「勝利への道」は軍事支援の提供だとしつつも「アメリカがウクライナでの戦闘のために部隊を派遣することはないと明言している」と付け加えました。 イギリスのスーナク首相の報道官は、イギリスは現在ウクライナ軍を訓練している少人数の軍人以外に、ウクライナに大規模な軍事派遣をする計画はないと述べました。 ドイツのショルツ首相も、欧州やNATO加盟国はウクライナに部隊を送らないという合意された立場に変更はないと述べました。 イタリアのメローニ首相の事務所も、イタリアの「支援には欧州やNATO加盟国の軍隊がウクライナ領土に滞在することは含まれていない」としました。 NATOストルテンベルグ事務総長は、ウクライナに部隊を送る可能性を否定し、一方でNATOに加盟していないウクライナを引き続き支援すると強調しました。 こうした姿勢は、スペイン、ポーランド、チェコといった多くのNATO加盟国も同調し、フランスとはだいぶ温度差があります。 ところが、マクロン氏はさらに3月14日、現地テレビ局のインタビューで、改めて欧州諸国による部隊派遣の可能性について「選択肢は排除しない」「自分たちから攻撃を仕掛けることはない」と述べました。 けれども、「私たちにはロシアを勝たせないという目的を達成するための決意と勇気を示さなければならない」と強気の発言をしました。 ◆マクロン発言に対しロシアが警告 これに対して、ロシアは警告を発し、2月28日プーチン氏側近の下院議長は、次のように牽制しています。 「ナポレオン気取りだ」「第3次世界大戦を引き起こすこと以外に考えられなかったのだろう。フランス市民にとって彼の構想は危険だ」 マクロン氏の突如のタカ派発言の背景について、フランスのニュースサイト『マリアンヌ』が興味深いことを言っています。 フランス軍の機密文書を紹介し、「ウクライナ軍の勝利は軍事的に不可能」「軍事的解決策のみを追求し続けることは深刻な誤り」と指摘しています。 つまり、ウクライナの苦境に焦ったマクロン氏は、政治的に援護する必要があると判断し、長い目でみれば「戦略的な曖昧さ」といっても帳尻が取れると考えたのではないかという見方です。 フランスの新聞『ル・モンド』によると、マクロン氏はさりげなく「オデッサに派遣しなければならないだろう」と語ったといいます。 ロシアがウクライナの港湾都市オデッサを制圧すると、ウクライナが「陸の孤島」となり終わってしまいます。 長期戦になれば最終的にはロシアは損をして負けるかもしれないと、あらゆる選択肢をテーブルの上に並べようとしているのかもしれません。 ◆口先だけのマクロン発言 欧州唯一の核保有国ではあるけれども、保有する弾頭はフランス300発に対してロシアは7000発近くです。 フランス国内の世論調査では、大統領のウクライナ派兵案には国民の約68%が反対し、「マクロン一人でいけ」と言う声なども上がっています。 前述の『マリアンヌ』編集長の「目を覚ましましょう!さもなければ全面戦争になります」と主張しています。 ドイツの「キール世界経済研究所」によると、これまでアメリカはウクライナへ(開戦後から今年1月15日までに)422億ユーロ(約6兆8800億円)を拠出、続いてドイツ、イギリス。 これまでの軍事支援は7億ドルで、EUから見るとフランスのマクロン発言は口先だけです。ロシアとの戦争準備が整った軍隊もありません。 ◆トランプ前大統領の再登板でどうなる? トランプ氏はこれまで、自分が大統領選で当選すれば「24時間以内に」戦争を終結させると約束しています。 また、EUのなかにはハンガリーのオルバン首相のようにウクライナ支援は「無駄」と言って反対しているところもあります。 オルバン氏は3月9日、トランプ氏のフロリダの私邸まで行き、会談後に「(トランプ氏は)ウクライナとロシアの戦争には一銭も出さないだろう。だからこの戦争は終わる」と述べています。 ◆レッドラインを示して牽制するロシア ロシアは戦争拡大を望んではおらず、欧州の動きを牽制しています。 3月19日、ナルイシキン対外情報局長官は、もしフランスがウクライナに軍隊を派遣すれば、「フランス軍はロシアによる攻撃の優先的、かつ合法的な標的になる」と牽制。 ほかにも、3月1日、ロシア国営メディア『RT』のシモニャン編集長がソーシャルメディアに「ドイツ軍のビデオ会議38分の音声」をリークするといったのもありました。 ドイツ軍幹部が、クリミアとロシアを結ぶ橋のミサイル攻撃を検討している内容で、リークの翌日、ドイツ当局がロシア側に不正侵入されたことを認めました。 プーチン大統領自身も、欧州諸国に、何度も「レッドライン」を出しています。 3月13日、プーチン大統領は国営テレビのインタビューで「核戦争の準備があるのか」と聞かれ、「軍事技術の観点から言えば、もちろん準備はできている」と述べ、核戦力は常に臨戦態勢にあると強調しました。 ◆停戦しなければ核を使った世界大戦へ ロシアは冷静で本気です。できるだけ早く停戦することが、ウクライナの若者を死地に追いやらないために大切なのです。 3月8日、トルコのエルドアン大統領がゼレンスキー大統領をイスタンブールに招きました。 会談後の共同会見でエルドアン大統領は「われわれは交渉による戦闘の終結に向け最大限の力を尽くし、ロシアも参加する和平協議を開催する用意がある」と仲介役を担う姿勢を改めて示しました。 しかし、ゼレンスキー大統領は「すべてを破壊し、殺す連中をどうすれば招待できるのか分からない」と述べ和平交渉に応じる気がありません。 ウクライナ国内の世論調査では「停戦」支持が、戦争から2年経って過半数を上回っています。 このまま戦争が続けば、「ウクライナが地上から消える可能性がある」こともあるかと思います。 ◆トランプ氏による「強制終了」 戦争終結を願う世界の人々が待ち望むのが、トランプ氏による強制終了です。 バイデン氏が、2月27日、連邦議会幹部らに対しウクライナ支援600億ドルを含む総額950億ドル(約14兆3000億円)余りの外国支援包括予算案を承認するよう求め、13日に連邦上院で可決されました。 しかし、下院のジョンソン議長(共和党)は会議で、まずメキシコとの国境危機を最優先事項とすべきとしています。 トランプが復活すれば、アメリカのウクライナに対する軍事支援は無くなります。 幸福実現党の大川隆法総裁は、核戦争の危機がかなり近いところまで来ていることに警鐘を鳴らし、次のように述べています。 「八十年近い昔に、広島と長崎に原爆が落とされて、『あんな悲惨な目に遭った』『ノーモア・原爆、ノーモア・戦争、ノーモア・ヒロシマだ』と言って、そして、『これはもう世界の常識だろう』と思い込んでいるところがあるということです。けれども、そうではないのです」(『真実を貫く』) 日本は、バイデン政権に言われるままウクライナ支援を続けてきましたが、方向転換しないと、支援金を引き出すATMのように使われますし、ロシアと準軍事同盟化した北朝鮮のミサイルが本土に落ちかねません。 核を保有するロシア、中国、北朝鮮の3カ国を敵に回しながら、日本は裏金問題に終始している場合ではありません。日本が属国になりたくなければ、自分の国を自分で守るための核保有も含めた抑止力の強化、憲法九条改正も急ぐべきです。 【COP28】「脱炭素」は姿を変えた共産主義 2024.01.13 https://youtu.be/2pgch65UnaI 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東の産油国で開催されたCOP28 2023年11月30日から12月12日にかけて、UAE=アラブ首長国連邦のドバイ、エキスポシティで、気候変動対策を話し合うCOP28が開催されました。 しかし、10月7日のハマス攻撃、2022年からのウクライナ戦争と、世界中が温暖化防止よりエネルギー安全保障や経済を優先せざるを得なくなり、温暖化防止への熱意は失速してきています。 昨年ウクライナ戦争で石油価格が高騰したので、バイデン大統領はOPECに石油の増産を求めました。 ところが普段は「温暖化防止だ、石油を使うな」と言っておきながら、増産を頼み込むバイデン大統領への反発は大きく、ほとんど増産に応じませんでした。 逆に中国の仲介で、昨年3月にサウジとイランが外交を正常化するなど、存在感を見せてきました。 ◆「CO2温暖化説」はfake science 今回のCOP28の議長は、UAEスルタン・アル・ジャベル産業先端技術大臣ですが、11月21日のオンラインイベントで化石燃料の段階的廃止の必要性を問われ、「科学的根拠はない」などと発言をし、批判の声が上がりました。 「人為的CO2温暖化説」は「fake scienceだ」とする科学者は世界中いて、アメリカ人の過半数の人は、脱炭素などまったくの無駄だと考えています。 ◆グローバルストックテイク 今回の合意内容をみると、「パリ協定」の枠組みの下、「グローバルストックテイク」について初めての決定が採択され、特徴は二つあります。簡単に言うと、「トップダウン」と「ボトムアップ」です。 (1)トップダウン型 トップダウン型の「世界共通目標」として、「産業革命以降の気温上昇を2度以内に抑え、できれば1.5度努力する」などの枠組みを決めました。 (2)ボトムアップ型 その共通目標のもと、各国が、国情に合わせて「自主目標」を設定します。 日本は「2030年までに、13年度比45%削減、さらに長期的には2050年にカーボンニュートラルを達成する」という目標を立てています。 この「自主目標」を実効あらしめるため、進捗を定期的に評価する仕組みを「グローバル・ストックテイク」です。「ストックテイク」とは「棚卸」の意味です。 ただ、自主目標なので、各国の目標を積み上げると2030年には2010年比で14%増えてしまいます。 さらにCOP26のグラスゴーで「1.5度目標、2050年カーボンニュートラル」を強調したために、2030年までに2010年比で45%の削減、すごい勢いで減らさなくてはなりません。 コロナで経済活動が停滞した2020年で、わずか5.8%減なので、中国のように2030年をピークに、その後から減らします。またインドのように2030年以降も排出を増やす国もあるので、形骸化は確実です。 ◆合意内容 ではCOP28の合意内容を見てみます。 ・およそ10年間で化石燃料からの移行を加速 ・2030年までに世界の再エネ設備容量を3倍に ・途上国を支援する基金への先進国の一層の貢献を呼びかけ(ロス&ダメージ基金) 最大の争点は「化石燃料」の扱いです。これまで言及されてこなかった石炭や石油、ガスなどすべての「化石燃料からの脱却」を、産油国開催のCOPで打ち出せるかが焦点になっていました。 ところがやはり、各国の合意を取り付けることができませんでした。 当初は「化石燃料を削減する」という言葉でしたが、化石燃料の消費と生産の両方を削減する。最終的には、化石燃料からの移行を進め、この重要な10年間の行動を加速するという文言になりました。 また、「排出削減対策を講じない石炭火力」についても、当初案では、「段階的廃止(フェーズアウト)」という主張があったのですが、サウジアラビアや、ロシア、中国などの反対で「段階的削減に向けた取り組みを加速」という表現に「後退」しました。 「加速」について定義があるわけではないので「抜け道だらけ」と言えばその通りです。 ◆「化石燃料の脱却」は極めて非現実的 では、化石燃料から「脱却する」ことはできるのかというと、無理です。 現状、世界の一次エネルギー(加工されていないエネルギー)のうち、8割は化石燃料に依存しています。 温室効果ガス・世界最大の排出国である中国を筆頭に、多くの国がエネルギーの8割以上を化石燃料に依存しています。現代文明に必要な鉄鋼やプラスチック、農業で必要な肥料もCO2排出が前提です。 アメリカも「化石燃料を削減すべき」としていた欧州に同調していますが、「削減する」どころか、今、欧州向けの石油を増加させています。 米国エネルギー情報局(EIA)によると、ウクライナ紛争でロシア制裁の一環でロシア産石炭を輸入禁止措置が取られるようになってから、2022年8月~23年7月までの一年間、アメリカ産石炭の欧州への輸出が前年比22%増の3310万トンに拡大しています。 また、米国を含めた北米(米国、メキシコ、カナダ)で、LNG(液化天然ガス)の輸出基地建設が急拡大しています。2027年までにLNGの輸出能力は現状からほぼ倍増の見込みです。 二枚舌のアメリカのリーダーの姿を見れば、他国が真面目に取り組むわけもありません。 ◆中国を利するだけの再エネ目標 COP28の合意内容の2点目」は、「世界全体で再エネ設備容量を2030年までに3倍」という目標が掲げられました。 再エネの太陽光や風力発電の設備には、重要鉱物が必要ですが、これは、世界のシェアを占める中国への依存を強めることになります。 参考;山本隆三「COPで表明、再エネ3倍増 阻む重要鉱物の中国依存」 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/32285 ◆途上国支援で環境マネーは国際規模に 3点目に、「ロス&ダメージに対応するための基金」を含む、途上国支援のための先進国の支援の大枠が決まったことです。 ロス(損失)というのは、気候関連災害で失われたもの、ダメージを受けた被害を指します。 基金は世界銀行のもとに設置し、立ち上げ経費は先進国が出すことなどが決まり、日本を含む各国から「いくら出します」という誓約(プレッジ)が行われました。 岸田文雄首相も、立ち上げ経費として1000万ドル(約15億円)の拠出を表明しています。これまでのところ、世界で合わせて7億9200万ドルが拠出されています。 「支援を受けるのは気候変動の影響が大きい脆弱な途上国」に絞り、「先進国を中心に、義務でなく、自主的な資金拠出を求める」などで合意しましたが、ウクライナ戦争でも「支援疲れ」が起き、自国の防衛に回す必要も高まっています。 となると、途上国は「支援がなくなれば削減しません」ということになるのは必定だと思います。 化石燃料を使って豊かになった先進国が、途上国の経済発展に必要な化石燃料の利用に反対して太陽と風力だけというのは、価値観の押し付けだ、エコ植民地主義だという反発も当然でしょう。 本質的には、先進国からお金を吸い上げようとする「共産主義」の発想で、今回支援のための金額は過去最大に増加しました。 しかし、これらの資金公約は、計画を実施し、途上国を支援するためにははるかに及びません。途上国を交えてこの目標を達成するには、金額ベースで、年間1000億ドルという資金が必要で、現実的ではありません。 ◆「脱・脱炭素」が必要 今回のCOP28で掲げられた目標は、実現すれば西側先進国の没落の引き金ともなるものばかりです。 岸田首相は「すでにおよそ20%を削減し、着実に進んでいる」と世界にアピールしましたが、その陰で、莫大な負担に苦しむ国民がいます。 民主党政権時代から始まった「再エネ全量買い取り制度」で太陽光発電を大量導入した結果、再エネ賦課金として、いま国民は毎年2.7兆円を電気料金に上乗せされています。 また日本政府は「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」と称して、官民合わせて今後10年間で150兆円を超える脱炭素投資を行うとしています。そのうち、20兆円規模は政府がGX移行債を発行して調達します。 その償還には「カーボン・プライシング」、つまり企業などの排出するCO2に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法を導入すると見られます。 日本は大きな目標を掲げ、国際舞台で資金を拠出しているうちに、国内は倒産、失業の山になるでしぃう。 日本の全産業を停止させて化石燃料を全く使わなかったとしても、世界の排出量の5%しか現象せず、それで下がる気温は0.00002~0.00004度と言われます。 来年のアメリカ大統領選でトランプ大統領が復活すれば、「パリ協定」どころか「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」からの脱退の可能性もあると言われています。 日本も世界統一政府のような全体主義的な動きから距離を置き、無駄な脱炭素方針を根本的に見直しすべきです。 最適なエネルギー政策が必要ですし、また、それを支えるため、いまは無き「長銀」のような、強靭な金融を復活させなければなりません。 ◆原子力の設備容量を2050年までに3倍に 一つだけ良かったのは、COP28の合意文章で初めて、原子力への言及があったことです。 「世界全体で原子力の設備容量を2050年までに3倍にする」という宣言には、アメリカや日本をはじめ22か国が署名しました。 脱炭素に向けた電源の大量確保という文脈で出てきた文面とは言え、日本にとっても国益に適うものです。 経済同友会が、「縮・原発」から「活・原子力」に転換するという提言を出しましたが、政治の責任として、再稼働・新増設に向けて迅速に舵を切るべきです。 世界の海運・石油大手も紅海ルートを避け、喜望峰を迂回する航路へ切り替えています。石油の95%を中東に依存する日本は安穏としていられません。 最後に、幸福実現党の大川隆法総裁は、2009年の立党時に、次のように述べておられました。 「CO2の増加によって、地球が温暖化し、破滅的な最後になる」という考え方は、一種の終末論」と喝破され「そうなることはありえません。必ず地球の自動調整装置が働きます。CO2の増加と温暖化とは特別な因果関係はないのです。(『幸福維新』/第一部 夢のある国へ2009年7月3日「ミラクルの起こし方」) そして、「姿を変えたマルキシズムに気をつけなければいけない」と警鐘を鳴らされました。 いま、私たちの住む地球のシステム自体が人間の想像を超え、はるかに安定的であることも分かってきていますが、人間の浅知恵では計り知れない地球を創造された神の叡智に、思いを馳せる必要もあると思います。 すべてを表示する 1 2 3 … 98 Next »