Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第6回】 2014.02.02 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《海洋国家日本の国家戦略と安全保障》 前回まで「海洋大国・日本」に眠る海洋資源、それを狙う中国の軍事力と海洋戦略、そして日本のシーレーンの重要性を述べてきました。 今回より、そのような情勢を踏まえ、日本は21世紀以降の未来に向けて、どのような国家戦略を持たねばならないのかについて、安全保障、外交、経済の観点からその方向性を論じたいと考えます。 ◆アメリカが「世界の警察」を放棄する可能性 日本の防衛戦略の要が「日米同盟」であることは論を待ちません。しかし、その同盟関係が今、アメリカの国内問題によって大きく変化しつつあります。 2013年3月から始まった政府の歳出強制削減によって、アメリカは向こう10年間で3兆9000億ドル、日本円にして390兆円の歳出削減を迫られ、それに伴って国防予算は大きく削減されることになります。 その額は実に10年間で約5000億ドル(約50兆円)、一年間で日本の防衛予算(平成25年度4・68兆円)に匹敵する規模です。 これによって、アメリカは「世界の警察」であることを放棄し、アジア太平洋地域における戦力や運用も、縮小せざるを得ない事態に追い込まれているのです。 ゆえに日本は今後、自らの力で中国の軍事的脅威と対峙できる体制を構築すべく、全力を尽くさなければなりません。 ◆防衛費の倍増と、自主防衛体制の確立 すなわち「自分の国は自分で守る」――「自主防衛体制」の確立です。それは明治維新以降、日本が一貫して歩んできた道でもあり、独立国家としては当然の姿勢です。 しかし、そのためにはそれ相応の防衛予算が必要で、最低でも日本は防衛予算を現在の5兆円弱から10兆円規模に「倍増」すべきであると考えます。 出来うるならば、中国が海洋戦略の完成を目指している2040年までは、「3倍」にまで増やすのが望ましいと考えています。 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI) が発表した2010年の世界の主要国の軍事費のGDP比ランキングによると、日本は最低の1%に過ぎません。 サウジアラビアが、10・1%と突出していますが、イスラエル6・5%、米国4・8%、ロシア3・9%あり、韓国とインドが2・7%で並び、イギリス、トルコ、フランスが2%台で続いています。 世界のGDPに占める国防費の割合の世界平均は約2%。中国も、表向きに発表している数字ではありますが、ほぼこの数値となっています。 世界の平均である国防費のGDP比2%は、独立国が国民の生命と安全を守るための「必要最低限の経費」と、日本国民は理解しなければなりません。 いくら国民の福祉のためといって社会保障費を増やしても、国が滅んでしまっては、元も子もないのです。 そうした意味で現在中国は本気で、日本の海洋権益を奪い、あわよくば日本を属国化したいと考えています。そうした国家存亡と民族消滅の危機に直面する今、出来うるならばGDP比3%のコストは必要であろうと考えます。 次回は、日本に向けられた中国のミサイルについて明らかにし、それに対してどう対処していけばよいのかについて論じます。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第5回】 2014.01.31 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《日本の安全保障の要となるシーレーン防衛》 前回は、中国の海洋進出と軍事的脅威の一端を概観してきましたが、今回は、日本のシーレーン防衛の重要性についてお送りいたします。 ◆「中華民族の偉大な復興」と「海洋強国」 トウ小平政権時代の改革開放による中国の経済的発展の目的は、軍事力の増大と強化にありました。その理由は、中国共産党による独裁体制の維持と強化にあります。 人民解放軍は中国共産党の軍隊であり、国家や国民の軍隊ではない。経済発展の富を使って、権力と軍事力を強化し、さらに多くの富を独占して特権と権益拡大を図る、そうした「中国共産党の権力と欲望の無限連鎖的拡大」こそが、現代の「中華帝国」の本質です。 その過程で制定されたのが、国連海洋法条約です。 この国連海洋法条約によって確定した日本の領海と排他的経済水域の面積は、4.479.358平方キロ で世界6位の広さを持っています。それに対して中国の領海と排他的経済水域の面積は、日本のわずか19.6%、877.019平方キロで、世界15位に過ぎません。中国の「自国の海洋」は、日本のわずか5分の1で、一人あたりの面積は約50分の1しかないのです。 つまり、その中国が謳う「中華民族の偉大な復興」のための「海洋強国」と「海洋進出」とは、日本を含む周辺国の領海及び排他的経済水域への「軍事的な進出」以外のなにものでもありません。 ◆シーレーンの重要性 日本は資源やエネルギーの大部分を海外からの輸入に頼っています。「シーレーン」の安全を確保することは、日本にとっては死活問題です。 中でも、日本にとって最も重要なシーレーンが、日本本土から沖縄、台湾とフィリピンの間のバシー海峡、台湾海峡、南シナ海を経て、マラッカ海峡、インド洋、中東に抜けるルートです。このシーレーンが日本の石油輸入、アジア貿易、中東貿易、アフリカ貿易、ヨーロッパ貿易の全てを担っています。 もし中国が、前回紹介した「接近阻止・領域拒否戦略(A2/AD)によって、第2列島線内の制空権、制海権を握り、空母や原潜を自在に就航させる事態となれば、日本のシーレーンは中国の軍事的な管理下となり、「日本の生命線」が中国に握られることになります。 それは、日本がチベットやウイグルのような中国の属国や植民地となることを意味しています。 つまり、中国の「接近阻止・領域拒否戦略(A2/AD)は、中国による南シナ海、東シナ海、西太平洋の覇権戦略であると同時に、日本のシーレーンを支配する、「日本属国化戦略」であると見なければなりません。 日本が先の大東亜戦争で、アメリカ、欧米列強と戦火を交えることになった理由も、また日本がその戦争で敗れた原因も、この生命線を止められ、その攻防に破れたからに他なりません。シーレーンこそが、島国・日本の命綱であり、アキレス腱でもあるのです。 シーレーン防衛の観点抜きに、経済活動も、国民の生活も、自由も人権も存在し得ないということを、私たちは知らなくてはならないのです。 以上、【連載第1回】より「海洋大国・日本」に眠る海洋資源、それを狙う中国の軍事力と海洋戦略、そして今回は日本のシーレーンの重要性を述べてきました。 それでは、中国の軍事的脅威からこの日本をいかに守るべきか、その具体策として、次回より「海洋国家日本の国家戦略と安全保障」をテーマにお送りいたします。 (つづく) NHK籾井新会長の発言は問題なのか?――果たすべきマスコミの役割とは 2014.01.30 文/HS政経塾部長兼政務本部部長 東京第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆NHK籾井会長発言の是非 NHK籾井勝人新会長の就任会見での発言の是非について、議論が分かれています。1/25の就任会見の発言で、取り上げられている主な論点は次の通りです。 1.慰安婦問題 日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから、話がややこしい。日韓条約で全部解決している。なぜ蒸し返されるのかおかしいと思う。(1/28朝日朝刊・東京朝刊を参照) 2.尖閣諸島 日本の明確な領土だから、きちっと国民に理解してもらう必要がある。 3.靖国神社参拝 総理が信念で行かれたということで、それはそれでよろしい。 公式の場で、議論が分かれる話題について、個人的見解を述べたということが問題視されているようですが、内容自体に問題があるとは思えません。 ◆籾井会長への政府のスタンス この発言について、安倍首相は、「政府としてコメントする立場にはない」とした上で、NHKは政治的圧力にも屈することなく、中立、公平な放送を続けて欲しいという主旨のコメントを述べ、籾井会長の辞任の必要はないとしています(1/29産経)。 ◇批判側のポイント 朝日新聞、東京新聞では、籾井会長は「政府の立場に寄り添う発言」を繰り返しており、公平性を定めた放送法に反するという批判を展開しています。 また、英国放送協会BBCが、かつてフォークランド紛争やイラク戦争で政府を必ずしも支持せず、客観的な報道を続けたことで、国際的な評価が高まったと主張しています(1/28朝日朝刊社説)。 しかし、「政府の立場に寄り添う発言」をすること自体が、報道の「政治的中立」を揺らがすことに直結するかといえば、それは言い過ぎではないでしょうか。 ◇過剰すぎる反応は、マスコミが果たすべき役割を見誤る 一連の批判もあり、NHKの最高意思決定機関である経営委員会では、籾井会長への厳重注意をするということになりました。これ以上の過剰な反応をとるべきではありません。 ◇見識ある報道基準こそ議論されるべき 確かに、自社の報道基準を持つことなく、ひたすら政府の成果だけを報道するなら、それは問題かもしれません。同様に、政府の行うことに何でも反対することにも問題があります。 なぜなら、そこには見識がなく、国民をミスリーディングしかねないからです。 本来、問われるべきは、マスコミ各社が、その良心の下に報道を行い、政府の政策に対して、是々非々で報道する見識があるか否かではないでしょうか。 一面をあげつらい、「政府に迎合している」・「報道の公平性が損なわれる」という批判自体が、マスコミ本来の役割を見失なわせかねません。 従軍慰安婦問題や靖国参拝問題について言えば、日本の立場からではなく、中国や韓国側の立場から安倍政権を批判している日本のマスコミが未だ少なからず存在しますが、それこそが「中国や韓国に迎合」していることであり「報道の公共性」が損なわれています。 マスコミは自らの良心と国民に対する責任を果たすだけの見識をもってこそ、健全な民主主義に貢献できるのです。 安倍総理の施政方針演説――キーワードは「2020年」 2014.01.29 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆「集団的自衛権」容認 去る1月24日、安倍総理の施政方針演説が行なわれました。 これは、通常国会の冒頭にあたり、首相が今年一年の方針について述べるもので、最重要な位置づけがなされています。この演説では、安倍総理の今年にかける大きな意気込みを感じました。 まず、第一に「集団的自衛権」容認への意欲を示しました。集団的自衛権とは、ある国が武力攻撃を受けた場合に直接に攻撃を受けていない第三国が協力して共同で防衛を行う権利です。 現在の日米安保体制では、日本に対する武力攻撃があった場合、日米両国が共同して対処することを定めていますが、もしわが国を守る米軍が他国から武力攻撃を受けても、自衛隊は一緒に戦うことができないのです。 これは、日米同盟の中で大きな課題とされてきました。日本を守る米軍の立場からすると、なぜ、自分たちだけが犠牲を払わなくてはならないのか、理解できないはずです。 集団的安全保障を認めることになると、日米同盟が共に戦う仲間となり、さらには「憲法9条改正」の実現に向けても大きく前進する事になります。 ◆「好循環実現国会」 一方、経済については今国会を「好循環実現国会」と名づけ、昨年来のアベノミクスによる株価の上昇を推し進め、景気回復の実感を届けることを訴えています。 「実現」という言葉を使用したことは大いに評価するのですが、残念ながら消費増税のことについては『万全の転嫁対策を講ずることに加え、経済対策により持続的な経済成長を確保してまいります』と述べるにとどまり、どのような効果が期待できるのか、不安の残る状況となっています。 また「増税分はすべて社会保障に使う」と述べていますが、目的税化されているわけではなく、このことを検証することは出来ません。かつての復興税が流用されていたこともあり、細川内閣で言われた「社会福祉税」の如き、実に官僚的な政策という印象を否めません。 安倍総理の実績とされてきた「株価の上昇」も今年に入ってから下落の一途をたどっています。 米国の金融緩和が縮小される事によって、世界的な株安傾向が始まっていると共に、国内では増税が始まるということで、日本経済にとって、今年は「忍耐の一年」になりかねません。 報道では、トヨタも4月以降の自動車生産台数を10%程度縮小するとの事で大きな消費の落ち込みが予想されています。 このまま行くと、安部総理の主張とは反対に、増税→消費落込み→企業業績悪化→給料ダウン→消費の冷え込みの「悪循環」が実現することになりかねません。 やはり、消費増税を中止することが、安倍総理の今国会の大きな使命の一つであるといえます。 ◆五輪成功への意気込み 安倍総理は、日本の大きな繁栄への希望を持っていることもこの演説で表明しました。今回の演説ではキーワードとして「2020年」を強調していることがわかります。数えてみると、全部で12回言及していました。 言うまでもなく、2020年は東京五輪開催の年です。幸福実現党もこの年に向けて日本が繁栄へのロードマップを作成することを訴えておりますが、安倍総理も理解を示しているかのようです。 現在、東京都知事選挙が行われています。今回選出される新しい知事の下でインフラ整備などの様々な動きが出てくると思われます。 都民だけでなく、国民挙げて五輪の大成功を目指すことが大切です。今回の演説を通して、安倍総理の繁栄へ向けてのビジョンは伝わってきました。 ◆GDP世界第2位奪還を 今回の施政方針演説では、安倍総理の元々の思いとして「集団的自衛権」「東京五輪成功」についての意欲が表明されたものの、消費増税については官僚側の主張を受け入れた結果になっています。 本来は、施政方針演説は日本の繁栄に向けて大きな目標を提示すべきよい機会になったはずです。安倍総理は、消費増税によって税収増を目指すことを表明しています。 しかし、一方で成長目標については具体的な数字を打ち出すことが出来ないでいます。日銀も黒田総裁の下、一時は2%成長への自信を見せていたものの、最新の予想では、1.4%とその数値予想を引き下げています。 日本は、「失われた20年」を速やかに取り戻さなければなりません。潜在力は、いまの10倍程度はあるにも関わらず、誤った経済・財政・金融政策によって足踏みを強いられてきました。 安倍総理も、年初に「強い経済を取り戻す」と決意を表明しています。考え方は難しいことではありません。まずは繁栄ということを実際に政策に示すことです。 そのためには、消費増税を中止することと、成長目標を国民に提示することです。中国のGDPは、近年低下の傾向があるものの、8%を一つの指標としています。このままでは、日中間の格差も開いていく一方になり、国防上の危機にもつながります。 本当は、日本には、大きなチャンスがあるのです。この時に政府として、大きな目標を掲げ、国民が元気になることを訴えることは必要です。そこで、安倍総理には今国会において「2020年東京五輪の大成功」と共に「GDP世界第2位の奪還」を掲げることを勧めたいと思います。 日本は素晴らしい国家です。この国の持つ、自由で勤勉な価値観は世界に広げるべきものです。幸福実現党としても、2020年、東京五輪開催を一つの目標として、新しい繁栄へのグランドデザインを掲げることを推進してまいります。 空の交通革命――国内開発力の向上へ 2014.01.27 文/HS政経塾3期生 瀬戸優一 ◆躍進する日本企業 先日の日経新聞に、東レが炭素繊維複合材の生産設備を増設し、主にボーイング向けの炭素複合材の供給能力を上げる旨の記事が掲載されていました。(1/26日経「東レ、米生産3割増強」) この背景には、米ボーイング社が開発し、最新技術が盛り込まれている機体として注目されているボーイング787型機の生産拡大があります。 現在の月産10機から、2016年には月産12機、さらに14~16機と、増産していくことから、供給体制の拡大が必要と判断されたためであると言えます。 このボーイング787型機には、従来の航空機に使用されていた金属よりも軽く、強度も強い炭素複合材が、構造体の全重量中50%採用されています。そして、その炭素複合材を供給しているのが、日本企業である東レであるのです。 このボーイング787型機には、他にも幾つものパーツで日本企業が生産を担当しており、その比率は過去最大と言われる約35%です。 日本にはこうした面からも、航空機を製造するための技術力が着実に上がってきており、信頼を得ているとも言えるのではないでしょうか。 ◆日本の未来を拓く技術力 我が党では、交通革命、未来産業投資、交通インフラ投資という政策に共通して、航空分野を今後さらに発展させていくことを掲げています。今後、その発展を実現させていくには、航空機の開発・製造を国内で行っていく必要があると言えるのです。 現在日本において国産で開発が進んでいる機体は幾つか存在します。例えば民間機の分野では三菱航空機のMRJ、自衛隊機の分野では次期哨戒機P1などです。このうちP1については、エンジンも機体も全て国内開発されています。 このように、日本には産業としての伸びが期待でき、より日本及び世界を身近にしていくためのインフラを構築するための技術があると言えます。 ◆国内開発の課題 しかし、開発にあたり幾つかの課題も存在します。1つは、機体及びエンジンの開発には莫大な費用、そして時間がかかる点です。数千億円から1兆円を超える開発費がかかるだけでなく、開発期間も平均5年程度かかることから、民間の企業だけで簡単に開発に踏み切ることができないのが実情でもあります。 2つめに、確実な投資の回収が見込めるわけではないという点です。今後世界的な航空機の需要が見込まれていますが、その需要を確実に取り込める保証がないことから、莫大な費用をかけて開発を行うリスクが高いというのも難点です。 さらに3つめは、開発後には安全性を確かめるための様々な試験設備が必要となり、この設備投資が巨額になってしまうという点です。 幾つもの機体を開発し続ければ、その設備も稼働しますが、ほとんど稼働させることがない状況での設備投資は大きな負担にもなります。その他の点については、紙幅の都合上割愛させていただきます。 ◆幸福実現党の未来ビジョン こうした問題点に対し、多くの皆様の幸福を実現していくためにも、交通インフラ投資、未来産業投資を積極的に行っていくことで、民間企業だけに負担をさせず、国家として空の利便性の向上を図ることが必要であると言えます。 現在、日本では超音速機や乱気流を検知する装置の研究なども進んでおり、国家として投資するに値する領域であり、民間機だけではなく、防衛力を高めるためにも、航空機の技術力向上、及び国内での開発・製造は必要です。 他国に依存するだけではなく、自国での航空機開発を推進することで防衛力も高まり、また日本の先進的な技術を駆使することで、より空の交通が便利になります。 世界的な航空機の需要増の予測からも、自国での開発は今後のさらなる経済成長の可能性を大いに秘めていると言えるでしょう。 幸福実現党は、日本を経済的にも技術的にも世界ナンバーワン国家へと導いてまいります。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第4回】 2014.01.24 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 ◆中国の海洋戦略の骨格 前回は、中国の建国以来の海洋戦略の流れの中で、2010年10月、尖閣諸島沖での「漁船衝突事件」が起きたというところまで述べました。この事件は、これから始まる侵略行動の「前哨戦」に過ぎないのです。 ここで、中国の海洋戦略の概略、骨格を見ておきます。2013年4月に海洋政策研究財団の川中敬一氏が発表した 『中国の海洋進出』(海洋政策研究財団)――「海洋をめぐる中国の戦略的構造」によれば、中国の海洋進出の戦略的な方向性と目標が見えてきます。 2013年段階で中国海軍は、「戦略目標」において、「第1列島線内制海権掌握」の時期であり、すでにDDG、AWACS、DD、FFなど、欧米に比肩する近代的な戦艦群が登場しているものの、それもまだ「開発段階」に過ぎません。 (注) DD――駆逐艦 DDG――艦対空ミサイルを搭載した駆逐艦 FF――対空・対潜・対水上などの兵装を備えたフリゲート(護衛艦) AWACS――空中目標をレーダーにより探知・分析して航空管制や指揮を執る早期警戒管制機 SSBN――潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を搭載した原子力潜水艦 SLBM――潜水艦発射弾道ミサイル この計画では中国海軍は、2030年から大型空母戦闘群を開発し、2040年代の「完成」を目指すとしていますが、それらの計画は、かなり前倒しされている可能性があります。 空母建造に関しては、ウクライナから購入した未完成の空母「ワリヤーグ」を改装して、2012年9月に「遼寧」として就航させています。 現在、国産空母を建造中とされ、2016年には2隻体制、2020年には、4隻の国産空母機動部隊を建造予定とも言われています。 ◆「接近阻止・領域拒否(A2/AD)戦略」 その過程で現在中国軍が実行している軍事戦略が、「接近阻止・領域拒否戦略(A2/AD Anti-Access/Area Denial)と呼ばれているものです。 その目的は、台湾や南シナ海、東シナ海で軍事行動を起こす際に、第1列島線は当然のこと、米軍を第2列島線内から排除し、その行動と関与を封じることです。 その主たる作戦目標は米空母で、具体的には、第1、第2列島線内への、大陸から発射される弾道ミサイルや航空機からの巡航ミサイル、原子力潜水艦、軍艦などによる攻撃が準備されています。 さらに、日米の主要作戦基地や作戦支援設備への直接攻撃も含まれていると見られています。 ◆日本の主要都市に照準が定められている「東風21」 A2/AD戦略の切り札として、中国軍が開発を進めているのが、中距離弾道ミサイル「東風21」(DF-21)を対艦誘導ミサイルに改良した、DF-21Dです。 「東風21」はすでに、核を搭載した多弾頭中距離弾道核ミサイルとして実戦配備されており、日本のほぼ全ての主要都市に照準が定められているとされています。 改良型のDF-21Dの射程は約1500~2000キロメートルで、第2列島線内(西太平洋)をその射程内に収めています。 中距離弾道ミサイルを移動する空母に命中させる技術は、欧米では未だ開発されていません。中国がもし開発に成功したならば、米国の空母機動部隊にとって、極めて大きな脅威となることは必須です。 このように、中国軍の日本に対する核心的な戦力は、戦闘機などの通常の戦力だけはなく、その背後に存在する、人民解放軍第二砲兵部隊と海軍、空軍の中距離(核)弾道ミサイル、そして長距離巡航ミサイルであることを、私たち日本人は知らなければなりません。 つまり、もし中国が日本と本格的な軍事衝突に突入する意思を固めた場合、中国は戦闘機や潜水艦、軍艦などの従来の兵器を使った戦闘よりも「(核兵器を含む)長距離射程ミサイルによる攻撃」によって日本を恫喝、または実際に攻撃する可能性が極めて高いのです。 しかも、中国はすでに数百~数千発もの核弾頭を有する「核大国」であり、すでに日本の全ての主要都市に対して、「東風21」を中心とした核弾頭を搭載した中距離弾道ミサイルの照準を定めているとされています。 中国の、こうした核弾道ミサイルを含めた長射程ミサイル群(中距離弾道ミサイルと長距離巡航ミサイル)こそ、北朝鮮の核ミサイルとは比較にならない、我が国が直面する最大の脅威であるのです。 そのことを日本人は自覚し、早急にそれらに対する防衛体制を構築し、有効な抑止力を持たなければなりません。 次回は、「日本の安全保障の要となるシーレーン防衛」についてお送りします。 (つづく) 統治能力を問われている安倍首相 2014.01.21 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆有史以来の振興費を投入しても敗北した名護市長選 安倍首相は今後7年間、毎年、沖縄振興費3000億円以上の支給を約束し、仲井真知事をして「有史以来の予算」と言わしめ、名護市長選挙終盤戦においては石破幹事長により名護市基金として500億円の支給も公表しました。 こうした「有史以来」の大盤振る舞いにも関わらず、名護市長選は辺野古移設反対派が勝利しました。これにより、国の工事が本格化すれば、市長権限が関わるものもあり、移設作業が滞る恐れがでてまいりました。 実際、仲井真知事は、選挙後のインタビューで、「埋め立て申請はもう承認したので、私が今からどうこうはできない。移設に反対している稲嶺氏だと、おのずと、それなりに影響を受けると思う」と述べています。 ◆反対派の妨害を受けることのないL字案 仮に政府が実力行使に出た場合を想定しますと、 本土の応援部隊も参入して 成田闘争並みの広がりを見せる可能性があるとの指摘もあります。 このような観点から2005年当時、政府は反対派の妨害を受けることのないキャンプ・シュワブ(辺野古沿岸)の滑走路の設計案を検討していました。 それは、L字案と呼ばれ、反対派の妨害を受けることのないキャンプ・シュワブ基地内(立ち入り禁止)に建設する案でした。 当時の小泉首相も防衛庁もL字案しかないとして、2005年10月アメリカが、防衛庁のL字案を受け入れ「普天間移設、防衛庁案で決着」と報道されました。 しかし、当時の稲嶺知事と岸本名護市長が、日米合意L字案を拒否すると表明し、暗礁に乗り上げたのです。 ◆なぜか反対派の妨害を受けやすい浅瀬案を提案する沖縄政財界 日米決着のついたL字案に対し、沖縄の政財界のメンバーは、浅瀬案(ライト案)なら沖縄は呑むと説明に動きました。しかし浅瀬案は、反対派の妨害を避けることができない案でした。 そして2006 年4月。当時の島袋名護新市長は、前市長の意向を受け、政府案に反対を表明しました。 結局、その後の折衝で国と名護市で、V字案で最終基本合意がなされ、2006年5月、国と稲嶺県知事とV字案で確認書が取り交わされました。5月末、政府は確認に従い閣議決定したのです。 2006年11月、沖縄県知事選に仲井真氏が当選。仲井真知事は基地の沖縄県内移設を容認しましたが、政府V字案の修正を要求しました。 2007年、仲井真知事と末松名護市助役が合意V字案に関し、滑走路を沖合へ500M移動を希望しましたが、安倍総理は、知事に合意案を尊重してほしいと要望しました。 そして2009年民主党政権になると。鳩山由紀夫氏が、「県外移設」を訴え、全てが水泡に帰したのです。 ◆劣悪なリーダーシップ、ビジョンの欠如 これらの経緯を見る限り、沖縄の政財界は、日米合意を尊重する姿勢は残念ながらなかったと言わざるを得ません。 さらに一連の動きが、振興策のお金をもらい続け、軍用地主の利権も守るという巧妙な罠、ずるい戦術であったとことを知らなければならないと守屋元防衛事務次官は自著「『普天間』交渉秘録」で書いています。 沖合へ500m移動させるというような事は、いじわるであり、狡猾な罠であったと言っているのです。 守屋氏は、稲嶺知事に「あなたは7年間、何もしなかったじゃないか」と詰問すると「守屋さん、沖縄では大きな仕事は20年かかるんですよ。石垣空港もそうだったでしょう。あの時だってそれだけ年月がかかっても誰も困らなかった。今回はまだ7年です。たいしたことないじゃないですか」と答えたそうです (p.83) 関係者の狡猾なトラップ(わな)に政府が右往左往 し、翻弄され、結局、18年もの間、日米合意が何も進まなかったのです。 日本政府から「旭日重光章」を叙勲されているシンガポール政府高官が、日本を「図体のでかいデブの負け犬」と批評したといいます。日本の「愚かさ、劣悪なリーダーシップ、ビジョンの欠如」がASEANでの地位後退を招いたと指摘しています。 安倍首相の祖父である岸信介元首相は、先を見据え日本の国防を強化するため、左派の反対の中で「日米安保」を英断されました。 安倍首相におかれましても、日本の国防のため日米合意たる普天間基地・辺野古移設を一日でも早く実現すべく、御祖父より受け継がれた「統治能力」を発揮されますことを祈念いたします。 今年は名護市長選挙に続き、沖縄県知事選挙もあります。弊党におきましても立党当初より主張してきた「日米同盟堅持、米軍県内移設」は国防のカナメであるということを、今後も一貫して沖縄県民の皆様に、そして日本国民に訴えてまいります! 東京都知事選挙――オリンピックをきっかけに未来都市建設を目指せ! 2014.01.20 文/HS政経塾第2期生 曽我周作 ◆都知事選は「脱原発」を争点にして良いのか 1月19日に沖縄県名護市で名護市長選挙が行われ現職の稲嶺進氏が再選されました。この結果が普天間基地の辺野古への移設問題にどのような影響を及ぼすのか、または及ぼさないか非常に気になることです。 一方、1月23日から東京都知事選が始まります。今一部マスコミが「脱原発」を単独争点化しようとしています。 しかし明らかに国家としての根幹の問題である「安全保障」が名護市長選で、国家の経済を支える「エネルギー政策」が東京都知事選の地方選挙の結果に左右されかねない事自体がおかしいと思います。 小泉元首相とタッグを組み「脱原発」を掲げて都知事選出馬を表明した細川元首相は、「22日夕に記者会見を開き、具体的な政策を公表することになりました。 「脱原発については、『原発の再稼働を認めない』とする方針を固めた」 (1/18朝日http://www.asahi.com/articles/ASG1L4FDCG1LUTIL00S.html) と報道されていますが、細川氏は14日に都知事選への出馬を表明した際「原発の問題は国の存亡にかかわる」と発言し、小泉氏も「原発の問題で共感できる点がたくさんあった」として細川氏を支援する意向を表明しています。 ◆弊党が考える「国家の存亡にかかわる問題」の真の意味 確かに「原発の問題は国の存亡にかかわる」というのはその通りでしょう。我が党は大震災以降「原発は日本において必要である」との立場をとり続けたのも「今すぐに原発を全てやめて脱原発路線をとることは、我が国の存亡にかかわる」と判断したからです。 しかし、細川氏も「国の存亡にかかわる」問題に取り組むというのなら、都知事選ではなく国政選挙に出馬すべきです。 地方自治法の第1条の2に「国においては国際社会における国家としての存立にかかわる事務、全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動…その他の国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねることを基本として…」とあります。 つまり地方自治法では細川氏らの言う「国家の存亡にかかわる」問題は国が取り組むということが明記されており、細川氏、および支援する小泉氏は、「国家の存亡にかかわる問題」に取り組みたいのなら、ともに国政を目指すべきであることはあきらかです。 いくら「原発の再稼働を認めない」と言っても、そもそも原発立地場所ですらない東京都の知事にそのような権限は無いはずです。 ◆オリンピックをきっかけに未来都市建設を目指せ」 今のところ「脱原発」しか公約がはっきりしない細川氏においては、今「東京オリンピック」についても「安倍晋三首相が『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価が格段に違ったものになっていた」と発言したことが問題視されています。 もしそんなことを言えば、福島の風評被害を全世界に対して日本国政府がばら撒くことになり、とんでもないことです。 さらに「東京佐川急便からの1億円借り入れ問題の説明の仕方に苦慮しているとみられる」と言われています。 「佐川急便からの借入金問題について『昔の話であり、みそぎは済んだ』」 (1/16産経http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140116/stt14011621050004-n1.htm) この問題で首相を退き、いまだ説明が不十分であると言われているにも関わらず、徳洲会から5000万円を受け取った問題で辞職した猪瀬前知事の後任に立候補するということ自体に、違和感を感じます。 いずれにせよ、多くの日本国民が歓喜した2020年東京オリンピック開催に向けて東京都政を推し進め、オリンピックを大成功させようという情熱と、実務能力を伴った候補者が東京都知事に選ばれることを期待したいと思います。 私もHS政経塾での研究で「いかに東京都の都市開発を進めるか」を研究しているものとして、有意義な提言をし、輝く未来都市建設を目指し精進して参ります。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第3回】 2014.01.19 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 前回は、日本海に眠る海洋資源を紹介しました。今回の3回目は、その日本の資源を狙う中国について言及致します。 《中国の海軍戦略と海洋進出》 前回で触れた「宝の海」とも言える、我が国の海洋領域を強奪し、奪取しようとする国家が台頭しています。それが「海洋強国」を国家戦略として掲げ、海洋進出を始めた隣国、中国です。 ◆中国の帝国主義と海洋戦略 中国は、1978年の鄧小平による改革開放路線によって、それまでの社会主義経済を捨て、市場経済体制に移行しました。 その経済成長は目覚ましく、この20年にGDPの成長率は10%前後で伸び続け、GDPはすでに日本を抜いて世界第2位の経済大国になったことはすでに報道されているとおりです。 中国はその経済力をバックに、驚異的なスピードで軍事力を強大化させ続け、アジア最大の軍事大国へと変貌しました。その目的は、「大中華帝国の再興」であり、日本併呑まで視野に入れた、覇権国家の実現です。 2012年の共産党大会で、党総書記、中央軍事委員会主席に就任した習近平は、国家としての大方針として、「中華民族の偉大な復興」を打ち出しました。 「中華民族の偉大な復興」とは、「漢民族中心の国家建設」と「富強(富民強国)大国の建設」であり、中国共産党創設100周年に当たる2021年を中間目標とし、最終目標は中華人民共和国創建100周年に当たる2049年としています。 そうした「中華民族の偉大な復興」という“中国の夢”を実現するための国家戦略が「海洋強国」です。 同大会では、それを「海洋資源開発能力を向上させ、海洋経済を発展させ、海洋生態環境を保護し、国家海洋権益を断固として守り、海洋強国を建設する」と提起しています。 地政学的には「大陸国家」に分類され、1949年の建国以来、その拡大(侵略)の矛先を陸続きの隣国に向けてきた中国が、「海洋強国」として海に向け始めたのです。 その直接的な国家権益の拡大として目をつけているのが、中国の眼前に広がり、資源とエネルギー、そして食料の宝庫としての南シナ海、東シナ海、西太平洋なのです。 ◆中国の海洋戦略の沿革 中国の建国以来の海洋戦略の沿革を、財団法人・日本国際問題研究所の金田秀昭客員研究員は、三段階に分けています。 〔第1段階〕1949年の建国~60年代 1960年代の中ソ対立によって、対外貿易活動をソ連との陸運から西側諸国との海運に切り替える必要性が生じ、海運重視の道を選択。64年には国務院直属機関としての国家海洋局を創設し、海洋調査活動を活発化。 〔第2段階〕 1970年代~80年代 1974年、鄧小平が国連特別総会での演説で、中国を発展途上国と第3世界の盟主として位置付け、国連海洋法会議を意識した資源ナショナリズムを主張。 80年代には、人民解放軍の海軍司令員・劉華清が、台湾の武力統一と自国防衛、天然資源確保のための「第1列島防衛線」を設定し、日本列島と南西諸島、台湾、フィリピン、ボルネオを結ぶを絶対海上防衛線とする「近海防御」戦略を策定。 さらに鄧小平の改革・開放路線によって経済成長が現実化すると、成長維持のために、エネルギーと天然資源の確保の必要が生じ、外洋行動力を持った強大な海軍力の必要性を認識。 〔第3段階〕1991年の冷戦終結~現在 冷戦が終結し、旧ソ連との国境線沿いの膨大な軍事力が不要となったことで、国家資源を海軍力の増強に振り向けることが可能となりました。 国防費が連続して2桁(2010年のみ9.8%)の伸びを示す中で、その軍事力の力点を海軍に置き、近代的な原潜や通常潜水艦、駆逐艦、さらに米空母を主目標とする対艦弾道ミサイル、航空母艦の建造を推進。2007年には、胡錦濤主席が「遠海防衛」を提起。 そうした流れの中で、2010年10月、尖閣諸島沖での「漁船衝突事件」が起きました。しかし、この事件は、これから始まる侵略行動の「前哨戦」に過ぎません。 次回は、その中国の戦略について詳しく分析いたします。 (つづく) 沖縄名護市長選・東京都知事選――地方選挙で日本の未来は決められない! 2014.01.18 文/HS政経塾1期生 湊 侑子 ◆辺野古移設を行うことはできるのか 本日は、沖縄名護市の市長選投開票日です。 現職で共産、生活、社民、沖縄社大が推薦する稲嶺氏が先行、無所属で自民推薦の末松氏が追いかける形になっています。(1/17 産経新聞「稲嶺氏先行 末松氏が猛追」) 一般的にメディアにおいて「先行」という言葉が使われる場合、支持率が10%以上離れていることを指すようですので、辺野古基地への移設賛成派は、苦しい立場に立たされていることが分かります。 現職市長は、辺野古基地移設反対をアピール。陣営には、沖縄だけでなく県外から共産党関係者や基地移設反対の活動家が集まっています。 ◆左翼活動家の実体 彼らは、平日の朝6時から8時、普天間基地の前では通勤する海兵隊に向って、「MARINES OUT(海兵隊はでていけ!)」と罵声を浴びせています。 朝6時からメガホンや拡声器を使ったヘイトスピーチに住民も大変迷惑しており、「オスプレイよりも活動家の方がうるさい」いう苦情が出るのも当然です。 また、辺野古埋立予定地には基地移設に反対して不法に建てられたテントがあります。区民は全員の総意で撤去を願っており、テント撤去に関して署名活動も行いましたが叶わず、困っている状態です。 参考:TheFACT【沖縄・名護市長選】直撃取材!「民意」を名乗る反基地運動にダマされるな! http://www.youtube.com/watch?v=0e1fpmKbuV4 ◆沖縄は活動家の最後の聖地になっている 事実を報道せず、名護市民が全員辺野古移設に反対するかのような報道を行う既存のマスコミに名護市民も大変迷惑しています。 民主党政権時代、私も実際に現地に行き、テントにいる人に話を聞いたことがあります。 その頃、彼らは辺野古に“じゅごん”がいるという理由で移設反対を唱えていましたが、話を進めていくなかで、「結局じゅごんがいてもいなくてもいいんだよ、移設さえ阻止できればそれでいい」という回答を得ました。 沖縄の人が望んでいる平和や安全を願う純粋な気持ちを利用して、本土では実現できなかった反政府・反日運動を展開する左翼活動家に強い怒りを覚えざるを得ません。 ◆沖縄県名護市長選で、市民の民意は明らかになるのか 地元住民は、合併前の久志村の頃から、基地誘致運動を行っていました。基地移設を前提として、交付金も支給されていました。少なくとも辺野古周辺の住民の民意は明らかに無視しているといえます。 そもそも、普天間基地の辺野古移転については、1996年の日米首脳会議の折に合意がなされています。昨年末には沖縄県知事も、埋め立てを許可しています。県や国だけでなく、国家間で既に合意がなされているのです。 稲嶺市長は「駄目なものは駄目と日米両政府に見せつけよう」と基地移設を拒んでいます。 市長権限で辺野古移設を阻止する考えでありましょうが、これは自身の特定の意志に基づいた主観的な判断であり、職権乱用につながると判断されます。 民主党政権に取って代わられてから迷走を続けた普天間移設問題に終止符を打つために、自民党の安倍首相以下の政府高官は、名護市長選の結果に関わらず、政治生命をかけて移設を進める策を推し進めるべきであります。 ◆細川氏は東京都知事選にふさわしくない 現在76歳の細川護熙元首相は都知事選に立候補を表明しておりますが、公約発表を2度も延期したり、2020年の東京オリンピック辞退論を披露したりと、あまりの無責任ぶりに、立候補取りやめを示唆する声も出始めております。 自身がたった9か月で首相辞任をする原因となった1億円献金問題も、様々な矛盾が未だに解決しておらず、日本の首都を任せるに値する人物であるとは到底考えられません。 東京都民1300万人を超えて、日本国民の生命と未来を左右するエネルギー問題に関して、代替案を示すことなく「脱原発」の一点張りを主張することも理解に苦しみます。 晩節を汚すことなく、陶芸家として残りの人生を穏やかに過ごされることを望みます。 参考:The Fact 「殿、ご乱心!細川元首相が立候補すべきでなかった2つの理由」 ◆日本の未来は、地方選挙で決められない 稲嶺名護市長が反対する辺野古移設は、住民投票で決められるものではありません。沖縄の米軍基地は日本だけでなく、東アジアの防衛基地であり、中国・北朝鮮に対する安全保障の要です。 同様に、エネルギー政策も地方自治が扱うべきものではありません。日本の方向性を決めるのは、国会議員であり、最後は首相です。 各地域の住民の皆さまが正しい判断を下されることを祈りつつも、首相は強い決意のもと、国益を増進させる方向に日本を導いていかねばなりません。 私たち幸福実現党も、精進を積み重ねてゆきたいと思います。 すべてを表示する « Previous 1 … 67 68 69 70 71 … 101 Next »