Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 ロシアとの関係強化に日本、北海道の未来あり 2014.05.03 文/幸福実現党・北海道本部副代表 森山よしのり ◆ウクライナ問題 現在、ウクライナ問題が勃発して以来、世界の世論とマスコミのほとんどは、「ロシア制裁」に動いています。 しかし、これをやってしまうと、世界が最悪の方向に流れていく危険が近づいていることに、世界の世論、マスコミの大半は気づいておりません。 クリミア併合などのウクライナ問題は、ロシア、EUなどの「経済的救済力競争」、つまり、経済的に厳しいウクライナをどこが救えるのかという問題ですので、これを、二十年以上も前の、東西の冷戦構造として捉えるのは、間違いです。 ここで、ロシアに、米欧から、厳しい経済制裁をかけ、そこに日本も参加することになれば、ロシアは中国と結びつかざるを得なくなります。 その中露に、イスラム諸国も入れば、新たな冷戦構造が確定してしまいます。米欧を中心とする西側先進諸国と中国・ロシア・イスラム諸国・北朝鮮(韓国)という図式です。 ◆対米追従一辺倒思考からの脱却 今、世界で覇権拡大侵略主義を掲げるのは、中国のみです。この中国が『進撃の巨人』『遅れてきた帝国主義』として、世界に悪をなすのを、押しとどめるために、外交的には、中国包囲網を構築することが急務です。 日米欧露に、インド、アジア・アフリカ諸国、オーストラリアなどが結びついて、中国封じ込めを行うことが、日本および世界の平和を実現する基本的な方向です。 であるのに、アメリカのオバマ大統領のやろうとしていることは、新たな冷戦構造に、世界を逆戻りさせ、アメリカの没落と中国の台頭を一層進めてしまうことになってしまうのです。日本は、どこも護るところがなく、中国の覇権下に入っていく流れができようとしているのです。 このままでは、日本の未来は暗澹たるものしかありませんので、もう、戦後70年続いた対米追従路線を捨て、新たな国際新秩序形成に向けて、日本独自の世界戦略を構築し、普通の主権国家としての立場を取り戻さなければなりません。 そして、国際社会における正論を、堂々と他国とディベートを展開しながら、世界各国に向けて、大きな影響力を持っていくような大国へと脱皮していくことが急務です。アジアの盟主としての日本の立場を高めていかなくてはなりません。 そのためにも、国として、自虐的歴史観を見直し、また、アメリカにも、日本に対する歴史観の誤りを糺させ、また、先の第二次世界大戦における、日本の戦いの正当性、逆にアメリカや欧州の人種差別、植民地主義をなくさせるという非常に先進的な人道主義が根底にあって、自国の防衛と、アジア諸国民の解放という正当な理念のもと、戦ったという事実を認めさせる必要があります。 (1)対米追従路線を捨て、戦後レジームからの脱却、新たな国際新秩序形成への国論の確立 (2)経済の成長 (3)防衛力の強化。 こうした施策が急務であります。そうでないと、現在、ウイグルで中国政府の抑圧に苦しんでいる方々の暴動が頻繁に起きておりますが、その姿は、明日の日本の姿であるという恐ろしい未来が待っています。 ◆日本とロシアの関係強化で新秩序形成を まずは、ロシアと平和条約など、関係を強化する方向に、日本の外交の舵を取っていくことが必要です。今の、ロシアとの関係強化は、日本にとって数多くの問題の解決、国益の増強をもたらします。 そして領土問題。ロシアは、侵略主義ではないのかという国際社会からの疑念を晴らすべく、それと反対のことをやって、この苦境を打開しようと考えています。ここで、極東シベリア開発への相応の投資と引き換えに、北方領土返還を引きだせる可能性があります。 北方領土返還を実現し、シベリア方面に対する投資、それに付随して、今の、EU並みに、日本とロシアの国境の往来を自由にして、日本の企業も自由に経済活動ができるようにしていくことです。 また本土からサハリンに橋をかけ、さらに日本へのトンネルを通じさせ、海道経由で、東京、モスクワ間をリニア新幹線で結ぶようにすれば、新たな巨大経済圏が生まれて参ります。 このロシアとの平和条約締結と、交通革命を進めれば、日本、そして、北海道の繁栄の道もまた拓けて参ります。 そして、ロシアとの関係強化は、中国との尖閣諸島・沖縄本島への侵略行為、また、韓国による竹島不法占拠の問題、北朝鮮による日本人拉致問題も解決していくことができる可能性があるのです。 中国・朝鮮半島に対して、北方方面から軍事的圧力がかかることは、日本にとって、こうした諸問題を解決していく大きな影響力を持ち来たらす可能性があります。 戦後70年続いた対米追従の一辺倒の思考では、日本の未来は見えて参りません。日本国民は、勇気を持って、世界に対して、どのように貢献をしていくのかということを、真正面から捉えなおす必要がある時期に来たのではないでしょうか。 もう、戦後を終わらせ、新しい思考でもって、国際社会の新秩序形成に向けて動きだしていく時であると考えます。 「憲法9条」は「ノーベル賞」ものか? 2014.05.02 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆憲法記念日 5月3日は、憲法記念日。今年も全国で、護憲派、改憲派がそれぞれ集会、街宣活動、デモ行進を計画しています。(弊党に於いても全国において街宣活動を計画しています。最後に5/3弊党役員の街宣予定を紹介) 憲法の最大の論点は、やはり「憲法9条」の「戦争放棄」をめぐる問題です。先日、一人の主婦が思いついたもので、「戦争の放棄を定めた『憲法9条』をノーベル平和賞に」(4/11 朝日)という報道がなされました。 しかし本当に「憲法9条」はノーベル賞をもらえるほど素晴らしいものなのでしょうか? ◆「憲法前文」と「憲法9条」 「日本国憲法」の前文――「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」 「第9条」――「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」 ◆平和憲法とはかけ離れた現実 もともと日本国憲法は、米国占領軍が一週間でつくり、日本語に翻訳したものであることは、ご存知の方の多いと思います。それでも護憲派は、日本国憲法は、戦争を放棄し、軍隊を持たないことを宣言した平和憲法だからいいじゃないかと言います。 しかしミサイルの発射、核実験で日本を脅し、日本人を拉致しながら平然としている北朝鮮、そして尖閣諸島での領海侵犯、西太平洋での海洋軍事訓練と、近年尖閣のみならず、沖縄までも自分のものだと主張し始めた中国が日本の近隣に存在しています。 日本が、このような悪意に満ちた諸国に囲まれていることを考えれば、憲法前文にあるような「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」できるわけがありません。 さらに「憲法9条」には、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とあります。 この「憲法9条」を北朝鮮や中国からみたらどうみえるか考えたことはあるでしょうか。 「憲法第9条を永久に守ってくれれば、絶対に日本から先に武力で手を出してくることはない」、このように考えているから、中国は以前に尖閣諸島で起きた自衛隊に対して戦争一歩手前の「ロック・オン」(銃を相手に向けて、いつでも攻撃できる状態)ができるのです。他国であれば宣戦布告と捉えられ攻撃されても一切文句は言えません。 もしアメリカは拉致されたら、自国民の生命を守るために、軍隊を派遣し即奪還に向かうことでしょう。それは1980年に起きたイランでの米国人質救出作戦が証明しています。 だから、アメリカには、簡単に攻撃できない、という抑止力が働くのです。抑止力があったら、北朝鮮は日本人を簡単には拉致できません。中国も「ロック・オン」したら撃たれると思えば、無謀な冒険は出来ないのです。 日本国憲法前文は言葉を変えるとこうなります。「日本の平和を自分で守る必要はなく、周辺国には日本を侵略しようとしている悪い国なんか一切存在しない。それを固く信じていれば、日本は永遠に平和でいられる。」――これが日本国憲法の前文の主張です。 自分の国を守る気概もなく、「平和主義者」がよく言う「戦争が起きたら白旗を掲げればよい」という意識を持った国民が増えることを喜ぶのはどこでしょうか。北朝鮮や中国からすれば一発の弾を撃つことなく日本を手に入れることができます。 つまり、逆説ですが「平和主義」こそが、侵略者を増長させるです。これは、国民の中で「平和主義運動」が盛んになった後にドイツに侵略されたフランスがよい例です。 ◆自立していない子供の国 最後に「第9条」の「国の交戦権は、これを認めない」 についてですが、「認めない」とは、誰が誰に対して認めないのでしょうか。日本国が自ら認めないのでしょうか?だとしたら自国民が危機にさらされたら誰が助けるのでしょうか? この「日本国憲法」は、国民の生命は自国が守るのでなく、他国の「公正と信義」に依存していれば日本は安全で、まぁ危なくなってもアメリカが守ってくれますよ――と言っているような子供の宣言です。 弊党が、「憲法9条改正」を掲げる一つの理由もここにあります。それは他国に戦争を仕掛けるためではなく、「自分の国は自分で守る自立した国家になりましょう。逆にそうした国防意識を憲法に表すことが戦争を抑止する力になるのですよ」ということです! ぜひ5月3日は、日本の憲法はこれでいいのか、考えてみましょう。本稿が考える一つのきっかけになれば幸いです。 【5月3日憲法街宣予定】 ※場所および弁士は、状況により変更になる場合があります。 10:00 渋谷ハチ公前 【弁士】加藤文康幹事長 12:00 明治神宮前 【弁士】加藤文康幹事長、及川幸久外務局長 14:00 新宿駅西口 【弁士】及川幸久外務局長 16:00 中野駅南口 【弁士】及川幸久外務局長 改めて日本の自衛力強化を目指す ~自公から自幸へ~ 2014.04.30 文/HS政経塾第二期生 幸福実現党徳島県本部副代表 小松由佳 ◆一定の支持を得たオバマ大統領のアジア歴訪 オバマ米大統領は、29日、アジア4カ国の歴訪を終え、帰国しました。日本、韓国、マレーシア、フィリピンを訪れ、中国牽制を念頭に置いたアジア重視のリバランス戦略をアピールし、各国首脳から一定の支持を得たと言えます。 日本では、米大統領として初めて、尖閣諸島が米国による日本防衛義務を定めた日米安保保障条約第5条の適用対象であることを公式に述べ、日本の集団的自衛権行使容認の検討についても、共同声明に「歓迎し、支持する」と明記しました。 韓国でも、北朝鮮の核開発を批判し、「我々は同盟国を守るためには、軍事力の行使をためらわない」と述べました。 その後、中国が昨年秋に設定した防空識別圏を通過するルートでマレーシアに向かい、現職米大統領として半世紀ぶりの同国訪問を実現し、中国を念頭に、海洋安全保障を含む包括的な協力強化で合意しました。 最後に、フィリピンでは、米軍の展開強化を柱とする新軍事協定に署名し、事実上、22年ぶりの米軍再駐留を決めました。 ◆不安なアメリカと強気の中国 しかし、不安要素も残りました。オバマ大統領は、韓国において、慰安婦問題で韓国の主張を認め、「甚だしい人権侵害だ」などと批判。TPP交渉については、日本で合意に至らず、マレーシアでも、米国が求める国営企業や政府調達の改革への反発が続いています。 また、フィリピンでは、憲法で外国軍の駐留を禁じていることから、同国の上院議員の一部が、米軍駐留は憲法違反だと反発。さらに、日本において、集団的自衛権の行使容認に弾みをつけたい安倍首相に対し、公明党が慎重姿勢を崩さず、議論が停滞しています。 こうした中で、中国では、政府高官がオバマ大統領への反発を示すと共に、政府系シンクタンクの関係者が、オバマ大統領の言動を「リップサービスにしかすぎず、米国の財政状況を考えれば、中国と本気で対決するゆとりはない」と述べるなど、余裕も見せています。 確かに、アメリカは、国内経済に困難を抱え、中国に多くの国債を握られています。10年間にわたり米連邦予算は毎年10%ずつ強制削減され、軍事関連予算も10年で1兆ドル(約100兆円)以上削られます。 2016年には、アジアにおける地上兵力の中心である在韓米陸軍を米本土に引き上げ、現在20万人弱のアメリカ海兵隊も半分近くに減らす方針です。 オバマ大統領は、28日、フィリピンでの会見で、「米軍と財政に巨大な負担をかけた10年間の戦争を経験したばかりなのに、なぜ軍事力をそんなに使いたいのか分からない」と述べてもいます。やはり、アメリカがアジア防衛を放棄する可能性は否定できず、少なくとも日本が自衛力を確立しない限り、協力は望めません。 関係筋によると、米当局者は日本側に「集団的自衛権を含めた安全保障法制の大きな絵を示してほしい」と要求しています。 ◆自衛強化の足かせとなっている公明党 こうした事情を鑑み、安倍首相は、党幹部に公明党との協議を急ぐよう指示し、29日、「(安保法制懇の)結論によって憲法解釈を変更する必要があれば、閣議決定を行い、国会で議論していきたい」と述べた上で、さらなる国際社会の理解を得るべく、欧州へ発ちました。 しかし、公明党との協議は難航しています。政府は、安保法制懇による5月中旬の報告書提出後、集団的自衛権の行使容認に関する5法案を先行改正することを決めましたが、本来、行使容認に必要な法改正や新規立法は計11法案あり、臨時国会での一括処理を目指していたにも関わらず、公明党への配慮から5法案に絞り込まざるを得ませんでした。 自民党は、これらの法改正に先立ち、夏頃に解釈変更を閣議決定することを目指していますが、公明党は議論を秋以降に先延ばしし、今秋の沖縄県知事選や来春の統一地方選で集票力を見せつけ、閣議決定をさらに先送りしようとしていると考えられます。 1964年に「平和の党」を理念に立党し、10年以上にわたって自民党と連立を組み、「中道」「安定」をアピールしてきた公明党ですが、その役割は結局、「戦後レジームの維持」に過ぎず、日本の自立にとって、いよいよ足かせとなってきた感が否めません。 ◆未来を担う新たな宗教政党が必要 これは国民共通の感覚とも言え、産経新聞社とFNNの26・27日の合同世論調査で、集団的自衛権について、「必要最小限度で使えるようにすべきだ」(64.1%)、「全面的に使えるようにすべきだ」(7.3%)とする賛成派が計7割を超えただけでなく、この問題について自民党と公明党が決裂した場合、「連立解消」を支持するとした人が59.9%に達しました。 一方、憲法改正については、公明党への配慮から安倍首相が発言を控えるようになったため、昨年4月には賛成61.3%が反対26.4%を引き離していたにも関わらず、上記の世論調査で、昨年4月以来はじめて、反対派が47.0%と、賛成派38.8%を上回ってしまいました。 幸福実現党は、日本の真の独立を回復し、平和を守るために、憲法解釈変更はもちろん、憲法改正、さらには新憲法の制定が必要と考えています。5月3日に憲法記念日を迎えるにあたっても、憲法のあるべき姿について、再び議論を喚起する必要があります。 公明党は、創価学会と実質上一体であるにも関わらず、1970年には「政教分離」を宣言してもいますが、これは欺瞞であると言わざるを得ません。そもそも、戦後の神道指令に続く現憲法の政教分離規定は、日本弱体化のための占領政策の一環でした。こうした戦後体制の弊害を、そのまま党是として掲げる政党に、日本の未来を託すことはできません。 幸福実現党は、広い国際的視野を持った宗教政党として、真なる「平和」や「中道」を守るための政策を提案しています。日本はアジア諸国に対し、リーダーとして改革のモデルを示す必要もあります。日本の未来を担える政党はどこなのか、国民の皆様に、冷静に見極めていただきたいと願うものです。 ウクライナ問題と日米首脳会談TPP合意見送り――日本の新・世界戦略の提言! 2014.04.26 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆ウクライナ問題の本質はなにか 4月26日、日米欧とカナダの先進7カ国(G7)は、ロシアがウクライナでの暴力自制などを求めたジュネーブ合意を順守していないとして、ロシアに追加制裁を科すことで合意しました。 こうして世界の世論とマスコミのほとんどの論調は、「ロシア制裁」の方向に進んでいます。その理由は、ロシアのウクライナのクリミア併合が「東西冷戦の復活」につながるというものです。 しかし世界やマスコミが見落としている重要な視点が二つあることを指摘しておきましょう。 一つ目は、ウクライナ問題の本質は何かというと、「東西冷戦の復活」ではなく、あくまでも「ウクライナの経済がうまくいっていない」という点にあります。ウクライナの経済は、ソ連崩壊後から、独立してもほとんど成長していないのです。 そもそもウクライナのデモのきっかけは、親ロシア派のヤヌコービッチ政権がEU加盟を見送ったことにあります。またヤヌコービッチ政権はロシアでもないEUでもない第三の選択として、中国に経済支援を求めようとしていました。 EUは、経済がうまくいっていない諸国が多く、さらに経済が低迷しているウクライナが加盟すれば、EU自体がますます苦しくなります。 見方を変えれば、経済低迷で苦しむウクライナにロシアが手を差し伸べたと見ることもできます。それがプーチンのクリミア併合です。クリミアでは、ロシア軍を歓迎しG7が指摘するような暴力行使はありませんでした。 二つ目は、ウクライナ問題に中国が沈黙しているという点を見逃してはなりません。 中国にとって、ロシアのクリミア併合を批判すれば、チベット、ウイグル、南モンゴルへ行ってきた侵略行為に対する矛先が、今度は自分の国に向けられる可能性があります。ですから中国は沈黙しているのです。 つまり、今回のウクライナ問題の対応如何では、これまでの世界秩序を覆すような力学が働く可能性を秘めています。 ◆ロシアを仲間に入れた日本の国家戦略 もし、G7がロシアへの経済制裁を行うことになればどうなるでしょう。ロシアと中国が接近し手を組む可能性が生まれます。それがさらに中国の覇権主義を勢いづかせるきっかけにもなります。 また、ロシアへの経済制裁は、今後ミサイル発射やさらなる核実験をほのめかす北朝鮮への制裁を行う場合、ロシアの協力が得られなくなるでしょう。 ウクライナ問題を日本は「冷戦の復活」と捉えるのではなく、「ウクライナの経済問題」として捉えるべきです。ウクライナは、2008年のリーマン・ショックの際にも欧米の外資がさっさと引き揚げたことで経済苦境に立たされました。 したがって今回はそれとは逆に、日本はアメリカをも説得し、ロシアと共に、ウクライナの経済救済に協力すればよいのです。 これは、ロシアを日米と共に中国包囲網の枠組みに組み込み、また北朝鮮の暴走を牽制する大きな力にすることができます。こうした国家戦略を日本はつくり上げるべきなのです。 ◆TPPを国防から考える ひるがえって今回の日米首脳会談でオバマ大統領が、「尖閣諸島も含め、日本の施政下にある領土はすべて、日米安保条約第5条の適用対象となる」と共同記者会見で発言しました。これは一定の評価ができます。 しかし一方で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉では、安倍政権が、農産品重要5項目について関税撤廃の例外扱いを求めていることから、交渉は難航し日米合意は得られませんでした。 選挙目当てに高い関税で小規模兼業農家などを保護し続けても、今後は従事者の高齢化で日本の農業は先細りとなるばかりです。 TPP合意をするとすれば、たとえば、関税撤廃をするにしても段階的に引き下げ時間的な余裕を作り出します。そして必要な範囲で農家に補助金を出しながら、企業の農業進出を後押しして生産から加工・流通販売までを手掛ける第六次産業化を図れば、農業は輸出産業に成長します。 国防面から考えてもTPPは、中国包囲網を形成する重要なカギです。日本は、こうした大局的な立場からTPP交渉の決着を急ぐべきです。 なぜなら優柔不断なオバマ大統領が、国内事情を優先し大量の米国債を中国が保有していることなどを鑑みて、日本との関係を見限り、対中融和へと傾く可能性も否定できません。 以上、述べてきたように、日本は「ウクライナ問題」をチャンスと捉え、また「日米首脳会談」の教訓を冷静に分析して、新たな国家戦略の構築を急がねばなりません。そして中国・北朝鮮包囲網を築くための一手を早急に打つべきです。 「国家戦略特区」が、「トロイの木馬」にならないために 2014.04.25 文/福岡県本部副代表 よしとみ和枝 ◆「国家戦略特区」に6地域が決定 政府は、3月2日地域限定で、大胆に規制緩和を緩める「国家戦略特区」の第1弾に、福岡市の「創業のための雇用改革拠点特区」など6地域の指定を決めました。 福岡市以外では、東京圏を「国際ビジネス・イノベーション拠点特区」、関西圏を「医療イノベーション拠点・チャレンジ人材支援特区」、沖縄県を「国際観光拠点特区」、新潟市を「大規模農業の改革拠点特区」としました。 安倍政権は、経済が順調と言われながらも、実際は、平成25年度の貿易統計によると、貿易収支が、過去最高の13兆7488億円の赤字となっています。 さらに、消費税増税の反動など、本当に成長戦略は実現できるのかという不安があります。そこで、規制改革によって、経済の成長、雇用を創り、経済再生の起爆剤とすることを目的としています。 ◆福岡市の「創業のための雇用改革拠点特区」 福岡市は、特区に選ばれたことで、創業に関する事務手続きの迅速化、融資制度の充実、法人税減免などの様々な規制緩和などにより、10年間で50万人の雇用を創出すると計画しています。 これは、失業率3.6%、開業率4%と言われる福岡市民にとって朗報であります。しかし、両手を挙げて喜べない計画も盛り込まれています。 ・アジアの玄関口としての特徴を活かし、・外資系企業の進出を後押しする。 ・外国人の在留資格要件を緩和する。・医師法などが禁じる外国人医師や看護師による業務を認める。 ・出入国の特例措置などを追加するように国に提案する。・ビザ発給の特例措置。 ・観光クルーズ船内のカジノ営業の緩和。・・・など 「外国人に住みよい環境を提供する」ことに、重点を置かれているのです。 ◆在住中国人が増え続けている福岡の状況 現在福岡近郊の観光地は、連日中国からの観光客で一杯です。在住中国人の数も年々増え続け、大学や専門学校も中国からの留学生で一杯です。 土地やマンション、水源地の買収も市民が気づかないうちに、どんどん進んでいます。また、ホテルや会社のオーナーが中韓の資本家に変わり、日本人従業員が突然解雇され、中国人従業員に入れ変わったという話もあります。 コンビニやディスカウントショップの中国人店員も増え続けています。いつの間にか、在住中国人が増えていることに、驚きをかくせないのが、多くの市民の本音なのです。 ◆2012年に計画された「800人中国公務員研修の受け入れ」 そんな中、一昨年の2012年、福岡市の高島市長が、「中国公務員研修受け入れ」に関する覚書を中国国家外国専家局と交した事があります。 中国の公務員を年間800人、5年間に渡って研修生として受け入れ、海水の淡水化技術や埋立地の活用方法、下水処理技術などをおしみなく教えるというものでした。 ちなみに、海水の淡水化技術は、細菌兵器の製造に利用される技術であることから、国の安全保障貿易管理に係る規制リストに載っています。 そんなことも知らずに、たびたび招かれている中国側の口車に乗せられ、売国行為をしようとしていたのです。幸いにして、その頃、中国国内での日本企業打ち壊しなどの反日行動が激化したことにより、研修生受け入れは、中止となりました。 スパイ防止法のない日本で、戦後教育を受けた世代の日本人には、どこが親日で、どこが反日の国かも認識できないのです。 ◆「国家戦略特区」が「トロイの木馬」にならないために これからの日本は、移民政策を進めていかなければなりませんが、自国の国益と安全保障の面から考えても、唯物論反日国家ではなく、マレーシア、インドネシア、ネパール、カンボジア、フィリピンなどの、親日の国を中心に受け入れていくという前提を持って進めるべきです。 今回の「国家戦略特区」が、「トロイの木馬」にならないように、私達は、十分に関心を向けていかなければなりません。 中国海洋調査船が沖縄県久米島沖で活動 2014.04.24 文/HS経塾一期生 彦川太志 ◆隅々まで調査される日本の経済水域 4月23日付けの産経新聞1面で、中国の海洋調査船が沖縄県久米島沖で「過去最長」の活動を実施していることが取り上げられました。調査は潜水艦隊の活動を前提とした軍事目的のものとみられており、日本政府は再三の中止要請を出しています。 ところが中国側は2001年から日中間で運用を開始された「相互事前通報制度」を根拠に、中止要請に応じない姿勢をとっています。 日中間の「相互事前通報制度」とは、国連海洋法条約に基づき、中国の海洋調査船が自国の排他的経済水域(EEZ)内で調査活動をする場合、「純粋に科学的な調査」であることを前提として、2ヶ月前までに事前通報があれば、日本政府が活動を許可する取り決めとなっています。 ◆海洋進出の軍事的意図を見抜けなかった日本政府 問題は、この中国海洋調査船の調査活動の「内容」について、「一般的な科学調査」であると中国側が説明すれば、どんな調査でも許可が出されてしまうという点にあります。中国側はまさにこの点を逆手にとって、日本側の中止要請を無視しているのです。 この点、「相互事前通報制度」創設を主導した外務省は、中国側の活動について、軍事的な意図に対して「見ないふり」をしていた可能性があります。 事実、中国による東シナ海での海洋調査がすでに問題となっていた1995年、当事の外務省アジア局長は中国の調査活動の意図について「一般的な科学調査」だと断定※しているのです。 2001年に運用が開始された「相互事前通報制度」も、このような解釈が前提にあるがために、中国の海洋調査活動を受け入れる制度となってしまっていることは明らかです。 (95年12月12日:参議院外務委員) しかし、幸福実現党の立党以来、全国で中国政府の覇権主義的意図と、わが国の国防強化の必要性を訴え続けてきた結果、中国の海洋進出に対する日本政府・日本国民の警戒感も高まっています。 中国海軍が西太平洋での軍事演習を活発化させ、米軍に伍する外洋型海軍としての規模と能力の拡大をめざしていることは、世界的な問題となっているのです。 ◆中国の海洋進出を助長させた村山・河野コンビ ところで、東シナ海における中国の「自由な行動」を許した判断が積み重ねられていった重要な時期に、内閣で「村山・河野談話」が発表されていたことは偶然ではありません。 先ほど、外務省は中国の軍事的な意図について「見てみぬふり」をしていたと書きましたが、「日本は侵略国家であった」とする中国共産党の歴史観に迎合する内閣であればこそ、このような国難を招く制度を実施してしまったのではないでしょうか。 ◆「相互事前通報」の枠組みを見直し、実効性のある領域警備を 去る4月22日、133,080筆を集めた「河野談話の白紙撤回を求める署名」の安倍首相への提出が幸福実現党によって行われましたが、河野洋平氏が外務大臣であった時期に実施された「相互事前通報制度」の見直しも、早急に行うべきであると考えます。 例えば、「相互事前通報」制度の前提として、「純粋に科学的な調査である」という条件がありますが、それ以外にも「事前に通報された区域で調査が実施されていること」等の条件があります。 中国側は過去すでに、これらの条件を破り、通告区域外での活動を実施するなどの違反行為を繰り返しています。今回の調査活動においても、海上保安庁が再三の中止要請を出していることをみると、「軍事目的ではないか」という疑いのほか、何らかの問題行為があることが想定されます。 こうした違反行為が現に行われ、軍事目的の調査が行われている可能性がある以上、日本政府は集団的自衛権の容認によって日米同盟を強化するとともに、南西諸島の防衛体制を固めた上で、「中国側に改善の意思が見られない限り、今後一切の中国側の調査要求に応じない」などの対抗手段をとるべきであると考えます。 ウクライナ問題――日本の国際的なプレゼンスを増すチャンス 2014.04.21 文/HS政経塾3期生 たなべ雄治 ◆外相級4者協議、具体的解決には至らず ロシアとウクライナ暫定政権が初めて同席して行われた外相級4者協議ですが、見解の相違を残したまま具体的プロセスにまでは踏み込めず、事態はこう着しています。 ウクライナと欧米、ロシアの間で相互不信に陥っているようです。 欧米の立場では、ロシアがウクライナのEU傾斜を断固阻止し、旧ソ連圏の復活を狙っているように見えているのでしょう。 一方のロシアからは、2004年に起こったウクライナのオレンジ革命で親EUのユシチェンコ大統領が誕生したのも、2月のヤヌコビッチ大統領が亡命したのも、欧米の差し金に見えるでしょう。そして、民主化の圧力でプーチン政権を崩壊させたいという欧米の意図を感じ、危機感を抱いているのではないでしょうか。 ◆ウクライナ、ロシア、EUが経済的打撃を受けている このままこう着状態が続くことで、少なくとも経済的には得をする国はありません。 ロシアではプーチン大統領の支持率が80%を超えていますが、同時に経済に最も力を入れるべきと答えた人は60%を超えており、プーチン政権とて経済を無視できません。 経済制裁は交易を滞らせ、誰にも恩恵を与えません。一刻も早い事態の解決が望まれます。 ◆民主化は、急がば回れ 今回の混乱の遠因として、EU圏の急速な拡張主義にも問題があるように思われます。「民主化至上主義」とでも言うべき間違いを犯しているのではないでしょうか。 急激な民主化、押し付けの民主化が成功した事例はありません。イラクでもアフガニスタンでも、「民主化は失敗した」と結論付けて良いほどの混乱に陥っています。 民主化さえすれば事態は好転する、というのは幻想です。 なぜなら、民主化において真に難しいのは「普通選挙の実施」ではなく「民主主義の定着」であり、それには長い時間をかけたプロセスが必要だからです。定着させるためには、国民の民主主義に対する理解と、経済成長が欠かせません。 経済成長が必要な理由は、政情を安定させるためです。ウクライナの政変も、その背景には経済停滞に対する不満がありました。 親EU派は、EU化が進めば経済成長を実現でき、繁栄を享受できると考えているようですが、果たしてそうでしょうか。そもそもEU自体が、経済はドイツ頼み、経済発展に成功しているとは言い難い状況です。 ◆地域安定を考慮した現実的な妥協点 民主化を急ぐばかりが、方法ではありません。台湾やシンガポールを見ても、国の発展過程において、時に民主制よりも強力なリーダーシップが必要であるというのは事実でしょう。安定の中で経済成長を進め、政治と経済を成熟させていく必要があります。 ロシアも、民主化する段階ではないと考えているのではないでしょうか。だとすると、ロシアが求めるのは急激な民主化に対する防波堤、政治的な意味での緩衝国です。ウクライナという緩衝国が無くなった今、新たな緩衝国のために、ウクライナ東部の自治権拡大を要求しているのでしょう。 このあたりが妥協点ではないでしょうか。地域安定を重視するならば、ウクライナと欧米は、クリミアのロシア編入を認め、ウクライナの連邦制導入を進めるべきです。 そしてロシアは、親EUのウクライナ暫定政権と次期大統領選挙の正当性を認めるべきでしょう。 ◆欧米、中露との板挟み。どう乗り切るか ロシアとの経済関係が薄いアメリカは、強硬に経済制裁を主張しています。尖閣問題などで日米関係が無視できない日本は、対ロ経済制裁をせざるを得ないでしょう。 また対ロ制裁をしなければ、中国が図に乗って尖閣への圧力が強まる可能性もあります。 しかし一方で、ロシアを追い詰め過ぎることで中国と手を組むような事態になれば、日本にとっては厳しい状況となります。 アメリカとの関係を維持するために表向きは制裁に加わりながらも、中露を結び付けないために水面下でロシアに「日本は決して見捨てない」という固い意思を伝えておくべきでしょう。 そして妥協点に向けて、仲介の労を取るべきです。この事態を逆手に取れば、日本の国際的なプレゼンスを増すチャンスであるとも言えるでしょう。 なぜ日本は負けたのか?~戦史に学ぶ、未来への舵取りと幸福実現党の政策~《第7回》 2014.04.19 文/岐阜県本部副代表 河田成治 前回は、国家未来ビジョンの大切さをお伝えしました。 ◆どのようなビジョンを描くかが、未来を決める 現政権の国家戦略(ビジョン)は不明瞭です。民主党政権時代はもっと酷く、何もなかったように思います。 しかし、国家ビジョンは極めて大切です。幸福実現党は、熱く未来ビジョンを訴えています。どのような国家を目指すのか?これがなければ、漂流国家にも等しいのではないでしょうか。 ◆「新・日本国憲法 試案」に見る幸福実現党の気概 国家の未来ビジョンを、国家の目指すべき“あるべき姿”とすれば、その理想を表すものは、「憲法」と言えるでしょう。 古くは、聖徳太子によって「十七条の憲法」が制定されましたが、その中身は、仏教を中心とした国家建設が理想でした。 第一条の「一に曰(い)わく、和を以(も)って貴(とうと)しとなし、忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。」から始まる条文は、まさしく世界に誇る日本のアイデンティティ、国家のあるべき姿を指し示していたと思います。 また鎌倉時代には、我が国初の武家法である「御成敗式目(貞永式目)」が制定され、「武士の国」としての道徳が示されました。 このように、我が国は、その時々の国家理念によって、国の屋台骨を造ってきました。 2009年に立党し、まもなく立党5周年を迎える幸福実現党は、立党時に早くも、「新・日本国憲法 試案」を世の中に発表しています。 この「新・日本国憲法 試案」は、幸福実現党が考える国家のあるべき姿を、世間に向けて明らかにすると共に、国家ビジョンを掲げることの重要性を率先垂範で示したものです。 したがって、大川総裁の手による「新・日本国憲法 試案」の発表は、幸福実現党発足の目的を明らかにするという点で、まことに責任ある行為であったと思います。本来、国政選挙とは、このように政党の理念と志を明らかにした上で、有権者に選んでもらうべきでしょう。 「新日本国憲法(試案)」の前文には、「われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。」とあります。 幸福実現党は、日本国の精神的主柱を神仏に求め、さらに人間が仏の子であることが、基本的人権の根拠だと宣言しています。 第五条では、「国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。」とし、国防軍の必要と存在根拠を明確にしています。 また、第十一条で「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。」とし、自由という価値観の尊重とともに、国家社会主義、全体主義を否定しています。 包み隠さず、ここまで明確に国家の未来ビジョンを提示した上で、政党を立ち上げていることは、日本的風土や日本の政党政治の歴史からすれば、前代未聞なことではないでしょうか。(つづく) ≪連載≫中国の「超限戦」に勝つために!(第1回) 2014.04.18 幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 「敵は韓国にあらず!――従軍慰安婦問題の本質」 歴史認識を巡る様々な問題が、毎日のように中韓から日本に襲い掛かってきています。曰く、「日本は第二次大戦で20万人もの婦女子を性奴隷にしていた」、「日本は南京で30万人の罪のない婦女子を大虐殺した」、「日本は軍国主義化し、世界秩序を破壊しようとしている」--等々。 特に、韓国による従軍慰安婦像のアメリカやオーストラリアの諸都市への設置運動は、多くの日本人の韓国への反発と嫌悪感を強めています。 こうした歴史認識を巡って、今何が起きているのでしょうか?その背後で何が動いているのでしょうか?私たちはこうした危機に対して何を、どう行動しなければならないのでしょうか? その答えを提示するために、「中国の『超限戦』に勝つために」と題して、連載したいと思います。 ◆超限戦とは何か さて、「超限戦」(ちょうげんせん)という言葉をご存じでしょうか。これは、1999年に中国人民解放軍の大佐である喬良と王湘穂が発表した、中国の新しい軍事戦略です。 簡単に言えば、「限界(限定)を超えた戦争」というもので、「中国はこれから、従来のミサイルや軍艦、戦車や戦闘機等を使う『通常戦』だけでなく、『情報』や『経済』など、あらゆるものを駆使して、敵に攻撃を加えて屈服させる」というものです。 「(社会の)あらゆるものが戦争の手段となり、あらゆる領域が戦場になり得る。すべての兵器と技術が組み合わされ、戦争と非戦争、軍事と非軍事、軍人と非軍人という境界がなくなる」という、新しい戦争の概念ーー要するに「何でもあり」の戦争です。 その中核をなすものが、マスコミやインターネット、教育、対人工作を駆使した「情報戦」です。情報といっても、単なるスパイや暗号だけではありません。その中には、特定の思想や世論、意識を敵国や世界に広げる「宣伝工作」が含まれます。 その一つが「歴史観」の捏造です。中国は1970年頃から「南京大虐殺」という歴史を捏造し、日本を攻撃し、貶め、それによって生じた日本人の贖罪意識を利用してODAを引き出したり、国際社会で自国に有利なポジションを作り上げてきました。 そして近年、その武器の一つに加わったのが「従軍慰安婦問題」です。 ◆韓国を操作する北朝鮮、そして中国 「従軍慰安婦問題」といえば、韓国政府による日本国への攻撃と受け止め、韓国を嫌い、敵対意識を持つ人が増えています。マスコミ報道だけを見ていると、確かにそうも見えます。しかし、本当にこの問題を単純に「韓国vs日本」と見て良いのでしょうか? 日韓は、自由と民主主義の大国・アメリカを軸に、アジアにおいて右手と左手のように相互に「同盟関係」にある関係です。その日韓が反目し、敵対関係に陥ることで、最も利益を得る国はどこでしょか? 答えは簡単です。北朝鮮と中国という二つの独裁国家です。北朝鮮は韓国、中国は日本を最大の敵国と位置づけ、それぞれ相手国への侵略の意思を明確にしています。この2つの国家が水面下で画策し、日韓分断のために「従軍慰安婦問題」を利用し、けしかけているとしたらどうでしょうか? 評論家の櫻井よしこ氏は、韓国の国会議員に北朝鮮の凄まじい工作が及んでいることを、次のように指摘しています。 「韓国の野党・民主党は元大統領である金大中、盧武鉉両氏の路線を受け継ぐ政党で、 韓国の国会議員 300 人中 127 議席を占めています。驚くべきは、 うち 21 人は反共法及び国家保安法違反で逮捕された前科を持つという点です。 つまり彼らは北朝鮮による韓国併合を目指す勢力と事実上、同じだということです。 」(週刊ポスト2014年1月1・10日号) 過去に逮捕された議員だけで21人ですから、そうでない与野党の議員の中に、どれどほどの工作された議員が存在しているのでしょうか。事態は極めて深刻です。 また、韓国内で従軍慰安婦問題を広げてきた中心的な団体に「韓国挺身隊問題対策協議会」があります。2011年12月にソウルの在韓大使館の前に、従軍慰安婦の少女の像を設置したのは、この団体です。 元日本軍慰安婦の調査、日韓両政府への意見表明、世界各国で日本政府に謝罪や賠償を求める運動を行っているこの「協議会」が、実は「親北朝鮮」の反日団体であることを、産経新聞や読売新聞は指摘しています。つまり「韓国挺身隊問題対策協議会」は、日本で言えば、「朝鮮総連」のような団体と言って良いでしょう。 私は以前、韓国に行ったことがありますが、日本のマスコミが報道するように、韓国の国民がこぞって反日かと言うとそうではありません。もちろん、長年の反日教育で反日の人はいるでしょうが、日本に憧れや好意を抱いている韓国人は決して少なくはありません。 ちょうど、「沖縄で過激に反米反基地闘争をしている人たちの多くが、実は沖縄県民ではなく、本土から入った過激派などの左翼活動家であり、一般の県民は単に左翼的なマスコミに誘導されているだけ」であるのと、似た構図と言えるでしょう。 そして、韓国内でそうした工作活動を行う北朝鮮を、実質的な保護領として背後でコントロールし、利用しているのが、他でもない中国です。(張成沢事件があったとしても、その本質は何ら変わりません)。 ◆敵を見誤ってはならない そうです。一連の歴史認識問題の本質は、単に「韓国が日本を攻撃している」のではありません。「北朝鮮が韓国内で工作活動を行って韓国を動かし、中国が火に油を注いで「日韓対立」を煽り、日本の国際社会での孤立化と、日米韓の分断、そして最終的には日米の離間を狙っている」と見るべきでしょう。 だからと言って、従軍慰安婦問題に関して、日本が何もしなければ良いわけではありません。韓国や世界に対して、しっかりと日本の「正しい歴史観」を伝え、不当な言論に対して「正々堂々の主張」を展開しなければなりません。 しかし、韓国や韓国民を過度に嫌悪して敵視し、感情的に相手を攻撃することは、中国と北朝鮮の「術中に嵌(はま)る」ことになります。 「敵は韓国にあらず、中南海(北京にある中国の政治の中心部)にあり」ーー。 従軍慰安婦問題に対処するに当たって、私たちはまず、この事を知らなくてはなりません。 なぜ日本は負けたのか?~戦史に学ぶ、未来への舵取りと幸福実現党の政策~《第6回》 2014.04.14 文/岐阜県本部副代表 河田成治 前回では、強く見せることで戦争を防ぐことができることをお伝えしました。 3.政略、軍略の欠如→未来ビジョンの欠如 ◆中長期戦略を策定してこなかった日本 アベノミクスの柱として、日銀は異次元緩和を行いましたが、第三の矢「成長戦略」はいまだ効果を上げておらず、中途半端の感を拭えません。 なぜ、「成長戦略」が上手くいかないのでしょうか? その理由は「未来ビジョン」の欠如だと思います。残念ながら、日本政府や政治家は、「未来ビジョン」や「国家戦略」をあまり打ち出してきませんでした。 「成長戦略」が不発なのは、日本は「どのような未来国家を目指すのか」という、明確なビジョンが示されていないからだと思います。経済特区政策も打ち出されましたが、全体として何を目指しているのかを、もっとハッキリ国民に訴えるべきでしょう。 つまり、根本的な問題は、「国家戦略」なきところに、「経済成長戦略」は策定できないということです。 ◆明治期にあった明確な国家戦略 明治時代には「富国強兵」「殖産興業」という、明確な国家戦略がありました。日本人は、「坂の上の雲」を目指して頑張ったのです。 そして、日本はその理想どおり、世界の五大大国にまで急速に発展しました。 しかし大正になって、日本が五大大国入りすると、急速に国家のグランドデザインを亡くしたように感じます。 その時期に、日本は度重なる試練を受けます。関東大震災1923(大正12)年、排日移民法1924(大正13)年、昭和恐慌1930(昭和5)年などです。 さらに国家ビジョンなきところに襲って来たのは、悲惨な戦争でした。 ◆大東亜戦争に見る軍略の欠如 この国家ビジョンを持たないという傾向性は、大東亜戦争の青写真(戦略)をも描けないという日本の弱さを露呈しました。 これは致命的で、戦争の終わり方も決められなかったため、国土を焦土と化すまで戦争を止めることができませんでした。 当時の日本海軍が“唯一”持っていた「戦略」は、「真珠湾でアメリカ艦隊を撃滅し、主力部隊を失ったアメリカは、意気消沈するだろう。 そして戦意をなくしたところを、早期講和に持ち込む」というものでした。そのため、日本は真珠湾攻撃で勝った後は、場当たり的な作戦ばかりで、一貫した戦略らしきものがほとんど出てきません。 この理由は、事実上のトップであった山本五十六司令長官の考えにあります。 山本長官自身が、戦争に勝てるとは思っておらず、「半年一年は存分に暴れてみせますが、しかしながら、2年3年となれば全く確信は持てません」との言葉は有名です。 ◆山本長官の心のビジョンと伊藤博文の気迫 山本長官は在米勤務の経験から、国力の圧倒的差を身にしみて知っていたために、「日本の敗北」という心のビジョンを見ていたのでしょう。この点は理解できますが、海軍の最高責任者の心の中の「敗北する日本」というイメージは、現実を引き寄せました。 こういった人材が活躍せざるを得ないところに、日本の教育や風土の問題は大きいと言えます。 これは、エリート人材の登用が、試験の点数のみならず、勇気、積極的思考、粘り抜く心といった、ある意味、宗教的精神性を養うことの重要性を教えていると思います。 一方、日露戦争で、連合艦隊司令長官に東郷平八郎大佐(当時)が抜擢された理由は、「運のいい男」でした。 さらに当時、総理大臣であった伊藤博文は、「陸海軍ともに成功の望みはまったくないが、ロシア軍が大挙して九州沿岸に襲来するならば、わしは俊輔の昔に戻って、自ら武器を取って奮闘する所存だ。兵は皆死に、艦はみな沈んでも、博文は一歩も敵を国内に入れぬ決意だ」と気迫に満ちた言葉を述べています。 この決意が未来を拓いたのではないでしょうか。 日露戦争も大東亜戦争も、勝つ見込みが薄かったことは同じです。しかし、同じく国家存亡の危機をかけた戦争でも、「なんとしても勝つ」という決意、ビジョンを掲げたかどうかは、大きな違いでした。 ◆現代政治に理想と国家ビジョンを 現代も高度経済成長を経て、アメリカに追いつく事を達成した以降の、バブル崩壊、大震災、中国等の外交圧力、長期不況など、状況が酷似しています。 今、日本は、新たな「坂の上の雲」を目指して、ワクワクするような、「国家戦略」「未来ビジョン」をぜひとも持つべきではないでしょうか。 次回は、幸福実現党が掲げる「国家ビジョン」を考えてみたいと思います。 (次回につづく) すべてを表示する « Previous 1 … 62 63 64 65 66 … 101 Next »