Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 国防の気概をもって日米関係の深化と東アジアの繁栄を 2015.04.23 文/HS政経塾3期卒塾生 幸福実現党・新潟県本部副代表 横井もとゆき ◆期待される日本の防衛 この3月31日には、日本と米国の両国の艦隊司令官が横浜港の米海軍第7艦隊旗艦ブルーリッジの甲板にて記者会見を行い「世界で最も緊密なパートナー」として同盟の前進を約束しました。 ブルーリッジとは太平洋からインド洋中東までをカバーする第7艦隊の司令塔の役目をする唯一の艦船です。このような艦上で宣言するパートナーシップとは、新たな日米関係で世界の平和と安全をつくろうという宣言にほかなりません。 そもそも日本に駐留する米軍は、GHQによる戦後の日本の統治から始まり、朝鮮有事ににらみを利かせるとともに、冷戦構造の中で旧ソ連や中国などの共産主義・社会主義の広がりに対する軍事的な防波堤として機能してきました。 日本の防衛がすなわち世界の警察の役割のひとつであることから、自衛隊と日米安保による在日米軍により、日本の平和と安全は守られてきました。 しかし、沖縄問題を見る限り、この平和と安全はすでに表面的なものであると同時に、過去のものとなる可能性が非常に高くなっています。 今まで日本は守られてきました。これまでの恩に感謝し、これからは日本人も世界の平和をつくるため積極的に活動しなければなりません。 ◆2020年の世界はどうなっているのか この日米同盟は一体どこに向かって進んでいるのでしょうか。2020年、日本や東アジアはどうなっているかが一つの着地点になるのではないでしょうか。 中国共産党の計画によれば、中国は2020年までに太平洋に本格進出し、この時点で日本を中国の影響下に置こうとしています。最終的には、日本を自治区化しようとしているという内部情報がネット上に流れたこともあります。 ばかばかしい計画に見えますが、不法な南沙諸島での滑走路建設の他、アジアインフラ投資銀行を立ち上げて周辺国を開発し、各国に華僑の政治家を輩出し、海外旅行先での爆買い中国人観光客誘致を各国に行わせ、ルールにのっとった形で世界の中国依存体形をつくっています。 また、世界中の中国人を共産党の命令一つで一瞬にして兵士に変える「国防動員法」という法律のもと、世界中に共産党員を送り込み、虎視眈々と機会をうかがっています。 中国の軍議動向として海洋進出は加速し、太平洋・インド洋へ遠洋航海、島嶼占領訓練をはじめ、空母運用、DF-21ミサイルなどの空母キラーと言われる弾道ミサイルの量産、高性能化を進めていることから、核の恫喝を後ろ盾とした局地戦勃発の可能性を確実に準備し、その矛先は米軍にも向けられています。 今の日本の延長線上では2020年に我々は平和を享受することは叶いそうにもありません。 ◆防衛費増額、自衛官増員で国防の気概を示せ この状況の中で、米海軍が海上自衛隊をアジア太平洋地域の平和と安定を支えるための世界で最も緊密なパートナーとしたのが日本です。 これは日本の横須賀に駐留しているがゆえのリップサービスではなく、米国の国益のみならず、世界の警察としての米海軍の役割を忘れていないという意志の表れと受け取れるでしょう。 海上自衛隊、さらに日本政府はパートナーとして、この声に応えてゆく責任があります。 27日には日米両政府間で18年ぶりの改定となる日米防衛協力の指針(ガイドライン)が合意される見通しです。 新ガイドラインで新設または強化される協力項目に相応の防衛予算が必要となります。防衛予算も隊員数も今必要とされる防衛力の整備には到底足りません。 ちなみに幸福実現党は防衛予算の倍増を政策として掲げています。 http://hr-party.jp/policy/national-defense/ また任務遂行のための部隊や隊員の練度向上には5~10年単位の月日が必要です。中期防衛力整備計画のような中長期の計画の見直しも必要です。 現実を直視し、新たな米軍との役割や協力のあり方を見直し、新たなガイドラインにおいて、日本人の平和を愛する気概を示してゆかねばなりません。 同盟国の米国と共にアジアの平和と安定を保ち、経済成長を導き、自国の繁栄のみならず、協力国の国益を増大させることをもって、日本人の願う平和としなければなりません。 他者への愛の気持ちで、中国の共産党一党独裁に基づく危険な軍事拡張主義を押しとどめてゆきたいと思います。 参考:読売新聞2015.4.20-22朝刊 日本人としての誇りを取り戻し、世界を牽引する使命を果たせ! 2015.04.16 文/幸福実現党岩手県本部副代表 石川幹子 ◆天皇皇后両陛下、パラオ慰霊のご訪問 戦後70年の節目に天皇皇后両陛下は、去る4月8日から9日にかけて、戦争により亡くなられた人々を慰霊し、平和を祈念されるため,パラオ共和国を御訪問になられました。 両殿下は、パラオ政府主催の晩餐会に出席し答辞を以下のように述べられています。 「私ども先の戦争で亡くなった全ての人々を追悼し、その遺族の歩んできた苦難の道をしのびたいと思います。」 9日には、天皇陛下と日本全国から遺族関係者がパラオ諸島に集まり日本兵、そして敵国であったアメリカ軍人の慰霊祭が開催されました。 ペリリュー島の戦いは、日本人でも最近まで知られていませんでしたが、この度の天皇皇后両陛下のパラオご訪問でにわかに話題となりました。 それ先立ってぺリリュー島での「日米最強決戦の真実」を探るべく「パラオ諸島ペリリュー島守備隊長 中川州男大佐の霊言」が発刊されています。 【参考】 『パラオ諸島ペリリュー島守備隊長 中川州男大佐の霊言』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1435 中川州男大佐は、「サクラ・サクラ・サクラ」の通信を最後に、総突撃をしたと伝えられていますが、当時どんな思いで戦われていたのか、もし聞くことが可能なら聞いてみたいと思うでしょう。 その霊言によれば、中川大佐は大変立派な方であり、軍神として我々にこれからの日本の進むべき方向性まで指し示されています。 ◆今、日本が抱えている歴史問題 南京大虐殺事件と従軍慰安婦問題がありますが、世界大戦がどういう志のもと戦ったかを検証してみる必要があると思います。中川大佐の霊言の言葉として「人は愛のために戦うのであって憎しみで戦えない」と言われています。 日本の軍隊は、家族、日本国そして、アジアの植民地解放のために命を懸けて戦いました。パラオは欧米列強の植民地となり、1885年以降スペインから過酷な搾取を受けた後、ドイツへ売却されました。 しかし1920年に国際連盟から委託され、日本が統治してからは、インフラが整備され教育も充実、経済も発展しパラオの人々には、日本人が慕われるようになりました。 大戦の時には、日本兵と共に戦いたいと中川州男大佐に申し入れましたが、「我々日本軍人はお前ら土人と戦えないからこの島を出ていけと怒鳴り島民を非難させました。 島民全員が沖に出た時、日本の兵隊が手を振り日本の歌を歌い見送りました。 それで、パラオの人々は日本軍の心を知り涙を流しました。日本軍は島民を避難せたことで一人も死なせることはありませんでした。日本軍を悪くいう歴史観が、いかにウソで塗り固められたつくり話であるか判ると思います。 私たちは、過去から現在をよく学び日本の自虐史観を払拭して行かなければなりません。むしろ唯物論の国に勝利するには、己を知り敵を知ることが大切です。 ◆日本の誇りを取り戻す 我々の存在の原点を知り、ここから新しい明治維新が世界規模で展開されて行くのです。 まず戦いに勝つためには世界の最高の国防技術の確立、現在「心神」ステルス戦闘機が開発されています。 それに加え国防の範囲内でレーザー銃やプラズマ砲などの開発や、原子力を再開させ何時でも核兵器を製造する体制をつくり、中国を牽制するため抑止力を高めておかなければなりません。 それから唯物論や無神論を打ち砕くために、正しい情報を世界に発信していく事が必要です。 ◆神の軍隊としての使命 祖国防衛、アジア諸国の植民地解放、そして天皇陛下のため、日本神道の神々の意志を引き継いでいたからこそ命を掛けて戦えたのです。このことにより、西欧による植民地からアジアの諸国は戦後独立することができ現在の平和があります。 日本の戦前戦後の正しい歴史を学び、いかに日本の先祖の方が正しかったかを認識し子孫である我々は、意志を受け継ぎ日本、アジア、世界を牽引する使命を果たさなければなりません。 幸福実現党は、「国粋主義」か?【後編】 2015.04.12 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆インドネシアの独立を支援した日本の軍人 ポストに投函された【幸福実現ニュース第67号】「日本の誇りを取り戻せ「ぺリリュー島の戦い」の真実」(http://info.hr-party.jp/newspaper/2015/4090/)を見て電話をくださった方とのその後の会話を紹介します。 先方の方は、「仕事でインドネシアに行ったことがある」ことを話し出しました。それで私は次のように質問しました。 「インドネシアに行ったことがあるなら、日本に対してインドネシアの方はどのように言っていましたか?」 「インドネシアでは、日本人はまじめで、実直で、ウソを言わず、約束を守るので非常に信用がありますよ。植民地としてオランダ人がいたときは、オランダは1年かけて橋を建設していましたが、日本は3ケ月くらいで橋をつくり、しかも現在でもその橋が使われています。」 逆に私も知らないインドネシア事情を聞くことができ私の方が勉強になりました。 「そうですか。それはすごいですね。昔から日本人は信用があるんですね。」と相槌を打つと、相手の方との距離がぐっと縮まっていきました。そして以下のような話をしたのです。 「日本が敗戦し、本当は日本に帰ってもいいのに、『自分たちは、インドネシアの独立を支援するために来たのだ、日本には帰らずインドネシア人と一緒に戦う』と言って、1000人を超える日本軍兵士が、再度インドネシアを占領しに来たオランダ軍と戦いました。インドネシアはそれで独立できたのです。」 ◆西欧の植民地政策とは違う日本の統治 相手の方はそのことは知っているようであったので、であるなら話は早いと思い、投函されていた【幸福実現ニュース】の「日本の誇りを取り戻せ「ぺリリュー島の戦い」の真実」の内容をもう一回伝えたのです。 「ぺリリュー島を含むパラオは、以前はスペインが資源を奪うため植民地にしていました。人口も激減したんです。奪う資源がなくなるとスペインはドイツにパラオを安く売りました。」 「その後、第一世界大戦でパラオにいたドイツ軍を日本軍が破りました。それでパラオは日本に統治してもらうのが妥当だろうということになり、それが国際的に承認されたのです。」 ここまでの経過を見れば「日本はアジアを侵略した」という私たちが戦後の教育で教わってきた認識は違うことがわかります。さらに私はこう伝えました。 「ぺリリュー島を含むパラオの日本の統治は、経済発展を支えるインフラの整備だけではなく、学校をつくり教育も施しました。西欧の植民地政策は独立されると困るので知識層がでてこないように教育などはしません。それどころか独立を扇動されると困るので殺してしまいます。」 「しかし日本はパラオの人々が自立できるように日本と平等に学校をつくり教育もしたのです。こうしてパラオは人口も増えていきました。」 戦後の教育で教わってきたような「日本が侵略戦争を仕掛けアジアに多大な迷惑をかけた」という事実はありません。 迷惑どころか、パラオの人々は今でも日本人を尊敬し感謝しています。この統治は、他のアジア諸国、台湾、韓国、満州でも同じです。 「先の大戦で日本がアジアに多大な迷惑をかけた」と言っているのは、中国・韓国・北朝鮮だけです。この三国は、日本を謝罪させ経済支援を引き出すため「反日政策を国策として行い、歴史観を歪めている」のです。 日本は「国粋主義」¬(自国民および自国の文化・伝統を他国より優れたものとして,排外的にそれを守り広げようとする考え方)ではなかったということがわかります。 確かにパラオでは、日本語で学問を教えましたが、それは文字の普及していないパラオの事情をみて、日本語で教えた方が、効果があったからです。 決して日本語を押し付けたり排他的な考えかあったからではありません。排他的だったらパラオは日本に感謝しないでしょう。 ◆愛を持って戦った日本軍 そして米軍がペリリュー島を占領に来ることを知った現地のパラオ・ペリリュー島の人々は、日本軍と一緒に戦うと懇願しました。しかし日本軍は、現地の人々を船で避難させ一人も死なせなかったのです。 そして日本軍だけで米軍と戦いました。まさに防衛戦であり、侵略戦争ではありません。 日本軍は、なぜ戦わなければならなかったのか、日本軍はどんな気持ちで戦ったのか、その歴史を知ったならば、「日本は無謀な戦争をやった」「戦争は犬死だ」「戦争を美化してはいけない」と言う批判がいかに薄っぺらな考えであるかがわかると思います。 私もかつては電話をかけてこられた方と同じ考えを持っていました。しかしマスコミなどからの受け身ではなく、「本当にそうなのか」を自分で勉強するようになってから真実が見えてくるようになったのです。 そして強烈に「立派に生きた英霊に恥じない生き方をしたい」と思うようになったのです。この考えから「軍国主義」の考えは出てきません。 特に若い人たちへ「日本人は素晴らしかった。もっと誇りを持って先人たちのように多くの人々のためにお役に立てる人になろう」と伝えたいと思います。これが本当の教育ではないでしょうか。 電話を頂いた方とは、このような教育の話もしたのですが、最後に、「幸福実現のため頑張ってください!」との言葉を頂いて受話器を置いたのです。 このように幸福実現党が目指す正しい「歴史認識」は、「国粋主義」や「軍国主義」では断じてないということを申し上げて終わります。 幸福実現党は、「国粋主義」か?(前編) 2015.04.11 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆幸福実現党にかかってきた電話 幸福実現党は、戦後70年を迎え、戦後の「歴史観」を問う大々的な啓蒙活動を展開しています。 先日、ポストに投函された下記の幸福実現ニュース(レギュラー版) を見た方から政党に電話がかかってきました。 【幸福実現ニュース(レギュラー版) 第67号】 日本の誇りを取り戻せ「ぺリリュー島の戦い」の真実 http://info.hr-party.jp/newspaper/2015/4090/ 電話を掛けてこられた方は、次ように私に言いました。 「幸福実現党は、国粋主義的な危険な思想をもっていますね。」 辞書(三省堂)を引くと「国粋主義(こくすいしゅぎ)」とは、「自国民および自国の文化・伝統を他国より優れたものとして,排外的にそれを守り広げようとする考え方」だそうです。 「国粋主義」は、「軍国主義」にも共通するイメージがあるかもしれません。電話を掛けてきた方の考えは、戦後の日本人の一般的な意識ではないでしょうか。 「戦争を美化することは、軍国主義、戦争につながる怖い洗脳だ」という思いは、戦後生まれの者にとっては、少なからず心のどこかに持っています。 ◆洗脳された戦後の日本人 実は占領政策によって「戦争を美化したら軍国主義が復活する」と思いこまされています。占領軍は、二度と日本が立ち上がれないようにするために「日本軍=悪」の洗脳を行ったのです。 ですから、日本人は「戦前が軍国主義で、その洗脳から米国が解いてくれた」と思っていますが、実は逆で「米国から日本は軍国主義で悪い国」という洗脳を掛けられたのです。 歴史観の問題は、自分が納得いかなければ、他人も説得できないものです。私は、その方の占領政策の洗脳をどれだけ解けるか挑戦してみることにしました。 「日本の上層部には、ミッドウエーで敗けた時など戦争を止める機会は何度かあったのに、戦争をやめずにペリリュー島もそうだけれども、みんな犬死させられたんです。」 「戦争をやめる機会は確かにありましたね。それは、現代に生きていている我々は過去の歴史の結末を知っているから簡単に言えることです!でも当時生きている人は必死でしたし、どんな思いで戦っていたかが大事ではないですか!」 と、強い口調で私は言ってしまいました。私は続けました。 「日本が戦争をしたくなくても戦争を仕掛けてくる国があったらどうするんですか?自分の家族が強姦に襲われそうになったら守ろうと思いませんか?」 「よくそういう言い方で、戦争を美化する人がいますね。それが怖いんですよ。人殺しは絶対にやってはいけないことです。」 意見は平行線で、相手に「意識のバリア」のようなものを感じました。 「幸福実現党は、戦争は反対です。しかし中国が戦争をすでに考えており習近平は軍に戦争の準備をしろと言っているのは、知っていますか?」 「知っていますよ。でも中国人は仕事でも付き合いがありますが、いい人たちですよ。」 「個人はいい人であることは分かっています。しかし中国の国家の意思は違うんです。習近平は戦争を考えているんです。」 (注) 習近平は、甘粛省・蘭州軍区を視察の際に、「部隊は『招集されれば直ちに駆け付け、駆け付ければ戦争できる状態にし、戦えば必ず勝利する』よう確保しろ」と指示。 (2013年2月7日『解放軍報』) 「昨年、中国船が小笠原諸島まできてサンゴを取りに来ましたが、小笠原の漁民の方は、恐くて漁にも出られず被害も受けているんです。困っている漁民の皆さんをどうやって守りますか?」 「小笠原だけではなく、数年ほど前から五島列島でも200隻もの中国船が、台風を避けるという名目で漁港に避難しています。中国漁船はただの漁船ではなく、軍隊の訓練を受けた海上民兵です。島民は不安を感じていますが、ある日突然、宣戦布告もなし五島列島が占領されていたということだってあり得る話です。それにどう対応するんすか?」 「その時は、自衛隊を出せばいいじゃないですか。」 「いまは自衛隊ではなく海上保安庁が対応しています。自衛隊をすぐに出したら中国の思うツボです。中国は、こう言うでしょう。…日本は中国の漁民に対して自衛隊(軍隊)を出してきた。だから中国は漁民を守るため海軍で対抗すると。そこから戦争になります。」 「そうしたグレーゾーンの部分の法的整備が日本はまったく進んでいません。集団的自衛権の議論で出てきてはいますが、グレーゾーンの部分の法的整備がしっかりできていれば、中国は簡単に日本に手を出せなくなります。これが抑止力であり戦争を避ける道です。」 ここまで話してきて、やっと「国を守ること、国民を守ること」の意味が少し伝わった気がします。 相手の方が「そうした準備が日本政府は全く出来ていませんね」と言い始め、このあと「歴史観」の話でも思わぬ展開になりました。 最後は、「政党の名前のように幸福実現のため頑張ってください」との言葉を頂いて受話器を置いたのですが、この続きは、また明日に致します。 日本に誇りを取り戻し、国防強化の国の予算執行を! 2015.04.10 文/幸福実現党・群馬県本部副代表 安永 陽(やすなが あきら) 平成27年度の予算案が4月9日成立しました。 年度内成立は予算案外の政治と金の問題(下村大臣等の後援会と政治資金、補助金問題など)で野党の攻勢にあい大幅に遅れました。 一般会計で史上初めて96兆円という莫大な予算です。バラマキにつながる予算の執行には慎重でありたいものです。 ◆中韓反日プロパガンダを放置すべきではない 今回の予算では、わが国の国会議員は国難に鈍感で防衛予算は微増したのみです。 中国は、国防費を毎年2桁の伸び率を維持、南シナ海では、軍事的力を誇示してフィリピンやベトナムと領有権争いを繰り返してきました。 中国は、我が国の尖閣諸島でも、海保の警告にもかかわらず領海で度重なる侵犯をし続けています。北朝鮮は拉致被害者など実態調査を放置し、ミサイル発射を繰り返しています。 我が国はこれまでの弱腰外交を止め、毅然として対抗処置を行うべきです。 こうした国難迫る時に日米同盟強化、集団的自衛権の法制化などの整備も急がなければなりません。 ◆安部総理談話は、過去の自虐的な「河野・村山談話」に捉われてはならない 歴史観においては、中国がありもしない南京30万人大虐殺を国際社会に喧伝しています。韓国も軍強制連行による慰安婦などデマ宣伝を繰り返しています。 日本の戦後70年という節目の年に、安部総理の談話は史実に基づいて出すべきで、河野元官房長官談話は継承すべきではありません。 世界が固唾を呑みながら日本外交・防衛の「積極的平和主義」の建て直しが求められるなかでの予算です。 大きな政府、バラマキ型の予算には賛同できませんが、「積極的平和主義」の外交・防衛予算に関し自主防衛の観点から防衛産業の育成、防衛技術力の向上を図ってもらいたいものです。 ◆平成27年度、防衛省予算 一部引用しますが、「平成27年度航空自衛隊予算の概要(案)」には、以下のように示されています。 平成27年度航空自衛隊予算の概要(案) http://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2014/jasdf_budget_draft.pdf 1 「平成26年度以降に係わる防衛計画の大綱」(平成25年12月17日閣議決定)及び「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」(平成25年12月17日閣議決定)に基づき、新たに導入することとされた装備品の取得も含め、統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施。 2 各種事態における実効的な抑止及び対処並びにアジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能の更なる充実に留意しつつ、特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力のほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視し、防衛力を整備。 3 格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、我が国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化・合理化を徹底。 こうした航空自衛隊の装備を充実させるために、本当に国防費は足りているのか、疑問に思うところがないわけではありません。 ◆自分の国は自分で守る防衛予算の執行を 幸福実現党は選挙のたびに他党が防衛問題をタブー視する中で、「自分の国は自分で守ろう!」と訴え続けてきました。 先が読める政党だからこそ抑止力を高め、国民の生命と財産を守るにふさわしい防衛予算にすべきと訴えて参りました。 戦後は、愛国心・道徳心・宗教心を奪う戦勝国の押し付け、左翼陣営等による改ざんされた歪曲された歴史でした。 我が党は、国民の生命と財産を守る隙間のない防衛省予算の考え方を理解し、日米同盟を重視、小さな政府を目指し安心して子供を育てられる国の予算執行を望みます。 日米同盟の強化を阻む「壁」を破るために 2015.04.09 文/HS政経塾 スタッフ 遠藤明成 ◆2015年は日本の安保政策を固めるための「正念場」 中谷防衛大臣とカーター米国防長官は4月8日に会談し、新しい安保法制の内容が日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)に反映されることが決まりました。 具体的には、安倍政権は、集団的自衛権の解釈変更などを反映した安保法制を7月末までに成立させ、その後に日米ガイドラインを改定することを目指しています。 今月末には安倍首相の訪米が予定されていますが、そこでも未来の日米関係のあるべき姿が議論されるでしょう。 本年はまさに、日本の安全保障にとって、正念場となる一年です。 ◆日米両国民の「世論」の比較 こうした重要な時期に、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが日米両国の1000人の国民を対象にした世論調査の結果(実施は本年2月)を公開し、以下の事実が明らかになりました。 ・歴史認識について米国民に聞いたところ、日本の謝罪を「十分」(37%)、「不要」(24%)と答えた人の合計は61%。「不十分」(29%)を大きく上回った。 ・「中国の台頭は、アメリカにとって日米関係がより重要になることを意味する」と考える米国民は60%。 ・アジアにおいて日本が果たす軍事的な役割が「拡大されるべき」と答えたのは、日本国民は23%、米国民は47%。「制限されるべき」と答えたのは、日本国民が68%、米国民が43%だった。 ・「日本を信頼できる」と答えた米国民は68%。「米国を信頼できる」と答えた日本国民は75%。「中国を信用できる」と答えたのは、米国民で30%、日本国民は7%でしかなかった。 ・米国民に経済的な結びつきについて日中のどちらが重要か聞いたところ、43%が「中国」を挙げ、「日本」の36%を上回った。 ・米国民の安倍首相の好感度は11%だが、73%は「彼について聞いたことがない」と答えており、アジアに関心の薄い人々が多いことが伺える。(小泉元首相の評価も同レベルの結果であり、慰安婦についても57%が、「全く聞いたことがない」と答えている) この調査を見ると、アジアに強い関心を持っていなかった米国民にも、野心を露わにした中国を牽制する国として日本が意識されていることが分かります。 ◆集団的自衛権行使の「限定容認」に潜む落とし穴 日米防衛相会議では自衛隊と米軍の協力範囲の拡大が合意されました。 そして、新しい安保法制で自衛隊が動ける範囲が広がる見込みですが、現在の自公政権の安保政策には未解決の問題点も数多く残っています。 まず、集団的自衛権の行使に関しては、「自衛の措置としての武力の行使」の要件の厳しさが挙げられます。 これが発動できるのは、日本が「存立を脅かされる明白な危険がある場合」ですが、この要件だと「9.11」後のアフガン戦争のようなケースに自衛隊が参加することは困難です。 NATO軍は集団的自衛権に基づいてアフガン戦争で米軍とともに戦いましたが、このケースは朝鮮有事や台湾有事とは違って日本の安全保障との直接的な関係が薄いからです。 今の日本が行使できる集団的自衛権は、「海外派兵は一般に許されない」という原則の下に、「限定的に容認」されたレベルであり、国際標準とはかけ離れています。 同盟国は本来、双務的にお互いの国が攻撃された際に防衛し合うものですが、今の限定容認の体制だと、米国の危機に際して、大統領に「同盟国なのに自衛隊を動かせないのか」と批判される可能性が残ります。 「我が国は集団的自衛権を使える国になった」と言いながら、結局、同盟国としての役割を十分に果たせなかった場合は、国家としての信用を失う危険性もあるわけです。 ◆本来、目指すべきは、防衛法制の「ネガティブリスト化」 また、新しい安保法制では、他国軍が「現に戦闘行為を行っている現場」以外の場所でしか後方支援は認めない方針なので、支援活動を行う地域で戦闘が始まれば、自衛隊は撤退しなければなりません。 中国や北朝鮮が、後方支援が行われている地域に多数のミサイルを撃ち込み、米軍などがミサイルを迎撃した場合、そこは「戦闘行為」が行われた地域に変わってしまうので、自衛隊は支援活動を放棄せざるをえなくなるのではないでしょうか。 今回の安保法制改革は防衛の立直しの第一歩ですが、まだ大きな問題が残っているので、課題は山積みです。 日米同盟の強化を阻む「壁」を破るためには、やはり、幸福実現党が訴えてきた、国際標準の集団的自衛権の容認と防衛法制の「ネガティブリスト化」(法律で禁じられたこと以外は、国際法に則って機動的に動ける自衛隊をつくること)が必要なのです。 日本が果たすべき「ワールド・ジャスティス」への使命―「イスラム圏」編(1) 2015.03.27 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹(なかむら・こうき) ◆世界的正義 日本が使命として担うべき「ワールド・ジャスティス(世界的正義)」として、以下の3点があります。 (1)白人優位主義による帝国主義的植民地支配に対する歴史の修正。 (2)共産主義運動という名の唯物論思想による「神仏の封じ込め作戦」への戦い。 (3)イスラム圏の改革。 (1)~(3)は連動しています。 白人の植民地支配への反省を促し、大東亜戦争の日本の正義を国際常識とすれば、巨大共産主義先軍国家である中国の野望を阻止する力(三戦「世論戦、心理戦、法律戦」への対処力)となり、イスラム圏と対するユダヤ・キリスト教圏への説得力、調停力につながるからです。 今回は、最近注目度の高い「イスラム圏」に焦点を当てて、論じたいと思います。テロ行為や卑劣な殺人は、許しがたい暴挙であり、再発防止の措置は大切です。 しかし、日本と世界の政治家やマスコミ、知識人の大半は、イスラム圏の問題に対し、「ワールド・ジャスティス」を冷静に分析、判断できない状態にあります。 歴史的、民族・人種的、宗教的視野からの智慧が不足しているからです。 根本的な解決には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教間の確執を超克しなければならず、「寛容」と「許し」を伴う3つの精神的叡智を、政治的叡智として取り入れる必要があると考えます。 ◆武士道精神、騎士道精神 日本の武士道精神は、大義の下、己を律し、敵に対しても慈悲の心、礼の心を貫くため、日露戦争の名将、東郷平八郎や乃木希典などが諸外国で絶賛されました。 大東亜戦争においても、迫害されたユダヤ人を真っ先に保護したり、本気でアジアの同胞を解放する等、世界一人道的で規律正しくあったというのが事実です。 西洋でも騎士道精神が生まれました。 しかし、カトリック・プロテスタント間の宗教対立でその伝統が見失われ、1618年からドイツを中心に繰り広げられた30年戦争では、お互いに相手を悪魔と捉えて徹底的に戦い、甚大な被害と荒廃をもたらしました。 その反省から、1648年に締結された「ウエストファリア条約」では、かつて封建時代の中で発達していた騎士道精神が見直され、相手を辱めるようなことはせず、お互いの宗教を認め、相手の国の宗教には口を挟まないという国際的な取り決めがなされました。 武士道精神も騎士道精神も、関係国が全てその認識を持っていれば有効ですが、ヒトラーのような独裁者が出現した場合や、騎士道の文化を継承しなかった国(米ソ中等)には効果がない、という教訓もあります。 しかし、日本軍が武士道精神で、民間人へのテロや虐殺を決してしなかった事実や、イスラムの英雄サラディンが騎士道精神を貫き、キリスト教圏からも評価された等の教訓は、テロ撲滅や相互の融和に、プラスに作用するはずです。 ◆日本の「和」の精神 聖徳太子「十七条憲法」の第一条には、「和を以って貴(とうと)しと為し、忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。」とあります。 大きく和する、大調和の精神は、仏教伝来の折にも発揮され、仏教の優れた教えは採り入れつつ、古来からの神道も引き継ぐという、共存共栄や融合の伝統を生み出しました。 そして、儒教やキリスト教、その他の思想や文化に対しても、寛容に取り込んでいく歴史を培ってきました。 「和」の精神は、異なる宗教や文化を調和させ、争いを緩和し、抑止する力がありますので、世界の紛争解決にも効果を期待できます。 以上、日本の「和」の精神について述べましたが、次回、もっと踏み込んで、世界の紛争を解決するために必要な「ワールド・ジャスティス」について述べて参ります。 緊迫する中東情勢――日本文化・教育の輸出で中東の平和と安定に貢献を! 2015.03.26 文/HS政経塾 第1期卒塾生 彦川だいし ◆「イスラム国」騒動の影で拡大するイランの影響力 3月25日、イラク政府の要請により、米軍など有志連合が北部ティクリートの奪還に向けた空爆支援を開始しました。 ティクリートはイスラム国の拠点であるモスルと首都バグダッド結ぶ交通の要衝であり、イラク治安部隊が戦闘を展開する上で重要な地域です。 米国防総省のウォーレン報道部長は、ティクリート奪還作戦はイラク治安部隊が主導しており、同作戦の成功は「米軍が最も頼りになる連携相手だとイラク側が理解することが重要だ」と指摘しています。 この発言は、対「イスラム国」戦争の影でイランがイラクに対する影響力を拡大していることを念頭においたものと思われます。 というのも、3月2日にティクリート奪還作戦が開始された当初、シーア派民兵約3万人を含むイラク治安部隊の戦闘指導が同じシーア派国家であるイランの軍人が行っており、米軍に対してイラク政府側から支援要請がなかったという経緯があったからです。 イラク戦争後、「民主的な」プロセスを経て成立した政府がシーア派系イラク人による政権だったとしても、それが対「イスラム国」戦争を通じてイランの息のかかったシーア派系国家に変質することは、イランの核開発を問題視する米国として、とうてい受け入れられる事態ではないと言えます。 ◆イエメン内戦に見る、「イスラム世界」の厳しい覇権争い イランの影響力が拡大することを受け入れられないのは、米国だけではありません。イランが中東で影響力を拡大するとなれば、サウジアラビアなどスンニ派諸国との緊張が高まる恐れがあります。 例えば、先ごろからシーア派反政府組織による内戦が激化していたイエメンを見ると、同国のハディ暫定大統領がサウジアラビアなど湾岸諸国に軍事介入を要請したため、3月26日よりサウジ軍などからシーア派反政府組織「フーシ」に対する空爆が開始されています。 イランはこのような湾岸諸国による軍事介入に対して、「イエメンの主権侵害に当たる」として非難すると共に空爆の即時中止を求めました。 当のイランは今年、「フーシ」が内戦で優位に立つとすぐに経済使節団を交換していたほか、「フーシ」支配地域と航空機の定期便を就航させるなど、実に「手際の良い」対応をとっています。 イランはイエメンの「フーシ」に対する支援を公には認めていませんでしたが、水面下の支援なくして、とうていありえない対応だと言えるのではないでしょうか。 仮にイエメンとイラク、二つのイラン系シーア派国家が誕生したとしましょう。その時一番困るのは、これら両国に直接南北を挟まれることになる、サウジアラビアだと考えられます。 サウジアラビアは、かつて2011年にトゥルキ・ファイサル王子がイラン、イスラエルと二つの核武装国に囲まれた場合、自らも核武装のオプションを検討せざるを得ないと発言していることから、イランの勢力伸長に対して強い警戒心を持っていることが伺われます。 対「イスラム国」の戦争を通じてイランの影響力が増し、緊張が過度に拡大しないよう、米国としても神経を尖らせているのではないかと推察します。冒頭のウォーレン報道部長の発言からは、そうした印象が伺えます。 ◆中東の平和と安定のために、日本ならではの貢献を 中東情勢が不安定になった場合、原油価格・資源価格の上昇という形で我が国の経済は打撃を受けてしまいます。遠い中東の地であったとしても、中東の混乱を放置するわけにはいきません。 エネルギー安全保障の観点から、シーレーン防衛を固めるのはもちろん必要ですが、重要な点はイスラム圏の意識改革です。イスラム文化の良さを壊すことなく、経済と社会の発展を実現できる日本的な「和の精神」を広めていく仕組みをつくることが必要だと考えます。 具体的には、イスラム圏でも評価の高い日本型の学校教育を輸出し、日本にあこがれを持つ若者を育てること。さらにそのような若者を、留学生として日本の大学に迎え入れ、日本と本国の架け橋となる人材として送り出すという仕組みを作ることです。 戦前、日本が多くの若者の留学を受け入れ、母国を発展させる人材として送り出したことを、もう一段大きなスケールで実行するわけです。 日本経済を発展させた、日本人の商道徳。多様な文化を受け入れ、新たな価値の創造を可能にする和の精神。それらの根本にある日本人の倫理観や宗教観。 こう言った有形無形の文化体験を通じて、日本と中東の架橋となり、母国の発展を後押しできる人材を育てることが重要だと思います。 ロシア、プーチン大統領は何に追い詰められているのか 2015.03.25 文/幸福実現党・世田谷区代表、HS政経塾第2期卒塾生 曽我周作 ◆プーチン大統領、突然の「核戦力準備」発言 「ロシアのプーチン大統領は15日、国営テレビで放映された特別番組「クリミア、祖国への道」のインタビューで、ウクライナで昨年2月に親露のヤヌコビッチ政権が崩壊し親欧米派が政権を掌握した際、ロシアの核戦力に戦闘準備を指示していたと明らかにした。政変の危険性を強調し、一方的なクリミア編入の正当性を強調する狙いがあるとみられる。」(共同) この衝撃的なニュースが飛び込んできたとき驚かれた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 筆者もその一人であり、プーチン大統領が何に追い詰められてそのような発言をしたのだろうかと疑問に感じました。 ◆プーチン大統領の政権基盤揺らぐ? ロシアでは2月27日に野党有力指導者、「カリスマ的な野党指導者だった」と言われるネムツォフ元第1副首相が殺害されたばかりです。 上記報道の中に「政変の危険性を強調し」とありますが、ロシアではプーチン政権が圧倒的な支持を得ているように見えているものの、実情は違っているかもしれないことが伺える一連の動きかと思われます。 加えて、「アメリカのオバマ政権の一部はプーチン大統領の政権基盤を揺るがし、政権を交代することを狙っている」という指摘も存在しています。 ネムツォフ氏については「ロシア国内はもちろん、国外でもネムツォフ氏の動向が報じられることはほとんどなかった」とも言われており、以前の選挙でも落選していたようですから、殺害された時点でどれほどの影響力があったのかは分かりません。 しかし、「ロシアのメディアから排除され、彼の政治活動が伝えられていなかった」とも指摘されるように、プーチン政権にとっては脅威の一つであったと見られています。 参考:http://www.huffingtonpost.jp/2015/02/28/boris-nemtsov_n_6776162.html ◆苦境に立つロシア経済が政権を揺るがす原因か ロシアは現在欧米からの制裁や原油安で経済的に非常に大きなダメージを受けているところです。 クリミア併合など、「強いロシア」を率いるプーチン大統領というイメージもありますが、経済状況の悪化の中で政権の基盤が揺らいでいるのかもしれません。 ロシアは過度に石油や天然ガスといった資源に依存した経済構造で、「連邦予算の約半分を石油・天然ガスの税収に依存」(産経 3/19)している状況です。 ロシアの富豪が減少しているということが世界の長者番付でも見て取ることができますが、仮にプーチン大統領の政権基盤が揺らいでいるとするならば、やはりこのロシア経済の悪化が大きな原因ではないでしょうか。 ◆ウクライナ問題は、簡単に解決はしない 残念ながら、ウクライナ情勢を含め、プーチン大統領の「核戦力準備」の発言など、日本にとってはマイナスの動きでしかありません。 親日家と言われるプーチン大統領と安倍首相は良好な関係にあるとはいえ、安倍首相はプーチン大統領率いるロシアと接近しづらい状況です。 ロシアの一連の動きは日本の最重要の同盟国アメリカのオバマ政権を大いに刺激しています。 ただ、事の発端のウクライナ問題は簡単には解決しそうにありません。 核戦力の準備についての言及の真意はわかりませんが、ロシアにとってウクライナ問題とはまさに国防上の問題であるということは、ドミートリー・トレーニン氏が、ウクライナがNATOに加盟した場合の問題について「ロシア・ウクライナ国境が冷戦期の分断線のようになる」ということを指摘していることからもわかります。 同氏は「境界線を引こうとすれば、無数のいさかいが起きるだろう」としたうえで、仮にそのような事態になれば、ロシアが「大規模な兵力の再配備を行うことになろう」と指摘しています。(『ロシア新戦略』より) ウクライナ問題が最終的決着するまでにはまだ時間がかかるのではないでしょうか。 ◆日本政府は粘り強い外交を 日本としては、少なくとも日米同盟を堅持したうえで、ロシアが完全に中国と一体化しないようにしなければなりません。 この一連の動きの最中に鳩山元首相がクリミアを訪問し、ロシアによるクリミア併合に肯定的な発言をしたという、どう見てもロシアのプロパガンダに利用されたとみられることがありました。 アメリカのオバマ政権にとっては、現在も大きく揺れている普天間基地の辺野古への移設問題について「トラスト・ミー」と発言した、鳩山氏のこの行動に怒りを覚えるだろうことは想像に難くありません。 これから戦後70年の節目に発表する談話発表や、アメリカ議会での演説など、安倍首相にとってはアメリカとの関係にも非常に細かく神経を使った外交が求められている最中に、鳩山氏の行動も含め頭の痛い事態であります。 以前ワシントンでお会いした伊藤貫氏は、歴史問題について、アメリカは共和党よりも民主党のほうが強硬姿勢だと指摘していました。 安倍政権は外交的に極めて難しい局面に立たされているのかもしれませんが、国益をかけて力強く、そして粘り強く対応していくべきです。 経済制裁に苦しむロシアと日本 2015.03.14 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆ロシアを苦しめる「経済制裁」の内容について 現在、ロシアは欧米から「経済制裁」を受けています。 日本ではロシア経済について、あまり報道されませんが、実際は深刻な影響を与えており、強気のプーチン大統領もさすがに厳しさを認識しているようです。 ひとくくりに「経済制裁」と言っても内容は様々です。昨年3月のウクライナ危機を受け、最初に、以下の経済制裁を行いました。 ・ロシア政府・財界要人の入国禁止 ・ロシア政府・財界要人の在外資産の凍結 第1弾の経済制裁は、一般のロシア国民には、影響はありませんでしたが、資産家・富裕層は、欧米での資産が運用できなくなり、大きな痛手となりました。 さらに昨年7月、ウクライナ上空で発生したマレーシア航空機撃墜にロシアが関与している可能性が高まった事で、以下の制裁が加わる事となりました。 ・ロシア大手銀行への融資禁止 ・ロシアへのエネルギー関連技術供与の禁止 第1弾は主として個人に対しての規制でしたが、第2弾は、企業が対象となるもので、撃墜事件がいかに、欧米諸国の怒りを買ったのかが分かります。 ◆さらに「原油安」がロシア経済に大きな影響 さらに、第2弾の経済制裁と機を一にするかのように、原油価格が急落しはじめました。 昨年の年初から、100ドル前後の高止まりを続けていましたが、昨年7月から急落は始まり、現在はおよそ40ドル前後です。経済制裁に加え、原油安は深刻な影響を与えています。 元々ロシア経済は、原油及び天然ガスのエネルギー資源の輸出に大きく依存しており、大幅な資源安は、ロシア国内の景気及び、国家財政を厳しくし、それに連動してロシアの通貨ルーブルも急落しています。 ロシア中央銀行は、急落を食い止めるために度重なる金利の利上げを行い、この結果、物価が急上昇し、家計に厳しい影響を与えています。 ウクライナの紛争そのものは、ロシア、ウクライナ、欧州による交渉が合意に達し、ひとまず停戦に至っていますが、本質的な問題の解決ではなく、経済制裁が解除される見通しも立っていません。 また、原油安について、底を打った感はあるものの、上昇のトレンド(傾向)の見込みもなく、現在ロシア経済には大きな不安が残っています。 ◆巻き返しとしての中国・北朝鮮との関係強化 こうした中、ロシアのプーチン大統領は、経済制裁に対しての対抗策を進めています。まず、中国とのガス供給の交渉が昨年5月、妥決しました。 元々、この交渉は価格が折り合わず、20年近く続いていたのですが、欧米の経済制裁への対抗措置として、プーチン大統領は中国側へ譲歩を行い、契約締結につながりました。 また、北朝鮮との関係改善についても注目されています。 今年5月、ロシアで行われる「対独戦勝70周年記念式典」に金正恩氏の出席が決定し、金氏が北朝鮮の指導者となって以来、初の海外訪問となりました。 ロシアは、北朝鮮に対して様々な支援を行います。米ハドソン研究所主席研究員の日高義樹氏によると、具体的に以下の支援を検討しているとの事です。 1.朝鮮半島での共同軍事演習 2.原油や天然ガスなどの供給 3.港湾、道路などのインフラ整備の支援 4.食料増産の援助 5.北朝鮮核兵器の小型化を技術支援 ロシアの本音はアメリカへの牽制である事は明白で、どこまで北朝鮮の支援を行うかが未知数ですが、特に、共同軍事演習及び、核兵器の性能向上については、日本の安全保障にも重大な影響が出てきます。 このように、欧米とロシアの緊張状態が続くことは、日本にとっては好ましいものではありません。 特に現在、中国の軍事的な拡大路線が懸念されているわけですが、その中で、ロシアは、中国への牽制ともなるべき非常に重要な国家であります。 ◆日本がとるべき考えとは 「ウクライナ危機」は、ロシア側が、一方的な侵略の意図をもって進められたものではありません。元は、ウクライナがロシア側からEU側への移行を意図した事がきっかけとなったのです。 ウクライナは建国時より、EUとロシアの間の「緩衝地域」としての役割を果たしていたのですが、2013年、大規模な市民によるデモの結果、親ロシアのヤヌコビッチ政権は崩壊、現在はEU側につくことを選択しました。 しかし、ロシアとしてはEUと直接国境を接する事になり、国益の立場からこの事を決して容認できないのです。 とは言いつつも、ロシアの手法もかなり強引で、中間的な立場を持っていた国からも非難され、結果として経済的な苦境に立っています。 そして、プーチン大統領は、明るい見通しを国民に示すために、様々な手を打っているのが実情です。 日本は、まず日米同盟の堅持を掲げつつ、安全保障の観点からも、ロシアとの友好関係を強化することが非常に大切です。 安倍総理は、ソチ五輪の開会式において、欧米諸国の首脳たちの多くが欠席した中、数少ない出席者の一人でした。当然プーチン大統領としては、恩義に感じているでしょう。 欧米諸国と歩調を合わせるべき局面もありますが、日本は、ロシアがこれ以上、中国・北朝鮮との関係を深め、東アジアの安全保障上の危機とはならないよう、常にロシアへの配慮を続けていく事が必要です。 ウクライナをめぐるロシアと欧米諸国との緊張状態は、まだ見通しが立たない状態ですが、日本は今後も慎重な対応を続けていくことが、国益にかなう事にもなります。 すべてを表示する « Previous 1 … 50 51 52 53 54 … 101 Next »