Home/ 吉井 利光 吉井 利光 執筆者:吉井 利光 HS政経塾部長(兼)党事務局部長 国連の機能不全と北朝鮮政府による人権侵害――正義はどこにあるのか? 2014.02.20 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆国際社会も断定した北朝鮮政府の人権侵害 2月17日、国連の北朝鮮人権調査委員会は、北朝鮮による人権侵害についての最終報告書を公表しました。400ページにものぼる報告書では、北朝鮮政府による残虐かつ非道な人権侵害が行なわれていることを断定し、厳しく非難する内容となっています。 昨年3月から活動を開始した同委員会は、昨年8月には日本の拉致被害者家族が東京で公聴会をおこないました。それ以外にも、韓国・イギリス・アメリカで公聴会を開催し、脱北者240名以上ものインタビューをおこない、その証言を基に今回の最終報告者を作成しました(2/18読売1面)。 ※報告書はUnited Nations Human Rightsホームページ http://www.ohchr.org/EN/HRBodies/HRC/CoIDPRK/Pages/ReportoftheCommissionofInquiryDPRK.aspx (英語) 今回の報告書によって、拉致問題解決に向けた国際世論の高まりを追い風として、日本政府は、国連人権理事会で、拉致問題の解決を含む決議案をまとめる作業に着手しており、これはぜひとも進めていくべきです。 <ご参考:報告書のポイント>(2/18読売1面参照) ・北朝鮮での人権侵害の多くは、国家政策に基づき行われてきた ・日本人など外国人の拉致は、最高指導者の承認を得て実行されてきた。 ・北朝鮮は、拉致被害者の所在地など、すべての情報を家族と出身国に提供し、生存者は帰国させ、死亡者の遺骨を返すべきだ。 ・中国は、脱北者への強制送還をやめるべきだ。 ・国連安保理は、北朝鮮の状況について国際刑事裁判所に付託すべきだ。 ◆国際刑事裁判所への訴追のネックとなる隣国 今後の流れとしては、3月中旬にスイス・ジュネーブで開催される国連人権理事会で、同委員会から、安全保障理事会に対して、国際刑事裁判所への付託を勧告する報告書の内容を正式に説明することになっています。 国際刑事裁判所(ICC)とは、人権侵害の加害者個人を裁くことのできる国際機関です。今回の北朝鮮のケースのように、国内ではその個人を裁けない、もしくは、裁く意思がない場合にのみICCが裁くことができます。 対象となる犯罪は、「集団殺害罪(ジェノサイド罪)」、人身売買や拉致などの「人道に対する罪」、武力紛争下での罪のない一般市民の殺害などの「戦争犯罪」が挙げられます。 国際刑事裁判所への訴追を行うためには、国連安全保障理事会の常任理事国が拒否権を行使しないことが必要です。安全保障理事会の常任理事国は、アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシアですが、ある日本の隣国の動きがネックとなりそうです。 ◆露呈する国連の機能不全 その国とは、中国です。 元オーストラリア最高裁判事で、調査委員会委員長のマイケル・カービー氏は、報告書を公表した記者会見の中で、脱北者の多くは、中国に逃れるケースが多く、北朝鮮の人権侵害を制止するためにも、中国の協力は不可欠であることを指摘しています。 しかし、中国外務省のファ・チュンイン副報道局長は、「人権侵害を国際刑事裁判所に付託しても、一国の人権状況の改善には役立たない」と述べるなど(2/19読売3面)、中国側の取り組みは消極的であり、国連の機能不全を正に象徴する状況です。 ◆日本は人権保護への国際世論の高まりを喚起するべき 日本は、北朝鮮による拉致問題をはじめとする非人道的な人権侵害の解決に向けた協力を呼びかけ、さらに国際世論を喚起するべきです。こうした取り組みは、歴史認識問題における、日本側の立場を説明していく環境を整えることにも繋がることは間違いありません。 20日の衆院予算委員会で、参考人として出席した石原元官房副長官は、慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」の作成過程で行なわれた、韓国での元慰安婦(と称する)16人の聞き取り調査について、「事実関係の裏付け調査は行われていない」と発言があり、その正当性そのものが疑われています。 日本は、人権を断固として守る国家であることを国際世論に広く訴えながら、国際社会が日本に対して持つ歴史認識の誤解を淡々と解いていくべきです。自虐史観の脱却と、日本が正義あるリーダーシップを示せる道が現実に浮かび上がりつつあります。 NHK籾井新会長の発言は問題なのか?――果たすべきマスコミの役割とは 2014.01.30 文/HS政経塾部長兼政務本部部長 東京第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆NHK籾井会長発言の是非 NHK籾井勝人新会長の就任会見での発言の是非について、議論が分かれています。1/25の就任会見の発言で、取り上げられている主な論点は次の通りです。 1.慰安婦問題 日本だけが強制連行したみたいなことを言っているから、話がややこしい。日韓条約で全部解決している。なぜ蒸し返されるのかおかしいと思う。(1/28朝日朝刊・東京朝刊を参照) 2.尖閣諸島 日本の明確な領土だから、きちっと国民に理解してもらう必要がある。 3.靖国神社参拝 総理が信念で行かれたということで、それはそれでよろしい。 公式の場で、議論が分かれる話題について、個人的見解を述べたということが問題視されているようですが、内容自体に問題があるとは思えません。 ◆籾井会長への政府のスタンス この発言について、安倍首相は、「政府としてコメントする立場にはない」とした上で、NHKは政治的圧力にも屈することなく、中立、公平な放送を続けて欲しいという主旨のコメントを述べ、籾井会長の辞任の必要はないとしています(1/29産経)。 ◇批判側のポイント 朝日新聞、東京新聞では、籾井会長は「政府の立場に寄り添う発言」を繰り返しており、公平性を定めた放送法に反するという批判を展開しています。 また、英国放送協会BBCが、かつてフォークランド紛争やイラク戦争で政府を必ずしも支持せず、客観的な報道を続けたことで、国際的な評価が高まったと主張しています(1/28朝日朝刊社説)。 しかし、「政府の立場に寄り添う発言」をすること自体が、報道の「政治的中立」を揺らがすことに直結するかといえば、それは言い過ぎではないでしょうか。 ◇過剰すぎる反応は、マスコミが果たすべき役割を見誤る 一連の批判もあり、NHKの最高意思決定機関である経営委員会では、籾井会長への厳重注意をするということになりました。これ以上の過剰な反応をとるべきではありません。 ◇見識ある報道基準こそ議論されるべき 確かに、自社の報道基準を持つことなく、ひたすら政府の成果だけを報道するなら、それは問題かもしれません。同様に、政府の行うことに何でも反対することにも問題があります。 なぜなら、そこには見識がなく、国民をミスリーディングしかねないからです。 本来、問われるべきは、マスコミ各社が、その良心の下に報道を行い、政府の政策に対して、是々非々で報道する見識があるか否かではないでしょうか。 一面をあげつらい、「政府に迎合している」・「報道の公平性が損なわれる」という批判自体が、マスコミ本来の役割を見失なわせかねません。 従軍慰安婦問題や靖国参拝問題について言えば、日本の立場からではなく、中国や韓国側の立場から安倍政権を批判している日本のマスコミが未だ少なからず存在しますが、それこそが「中国や韓国に迎合」していることであり「報道の公共性」が損なわれています。 マスコミは自らの良心と国民に対する責任を果たすだけの見識をもってこそ、健全な民主主義に貢献できるのです。 富を増やすことが、国の繁栄の基である 2014.01.09 文/HS政経塾部長兼政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆経済成長による税収の増加を、政府は実績として声を上げるべき 今年6月に策定する新成長戦略の議論が始まります。景気を腰折れさせないためにも経済成長は確かに重要です。 一方で、政府の成果として、もっと宣伝していいのにしておらず、気になることがあります。 それは、2013年度の税収見込みが増えているということです。財務省は、当初見込んでいた税収が2.3兆円増加し、45兆4千億円と見込んでいるのです。この上振れの主な理由は、企業業績の回復による法人税の増収が挙げられます。 税収の上振れ分は、消費増税によって景気を腰折れさせないように経済対策として、昨年12月に補正予算に計上されています。 もっと、税収が上向いているということを政府の成果として強調してもいいのではないでしょうか。しかも、この2.3兆円の税収の上振れというのは、消費税の約1%分に相当します。 順調に経済が成長していけば、消費増税によって景気に悪影響を与えなくとも、税収を増やしていくことは可能なのです。 ◆税金を上げた分、そのまま税収が増えると思う財政再建派 しかし、財政再建派の議論の中では、経済成長についてはほとんど言及せず、消費税を上げた分、税収がそのまま増えるという考え方が問題です。 実際に2014年度の税収見込みは、上振れした税収見込み額(45.4兆円)に、消費増税3%分のうち国に入る分(約5兆円)を加えて、50兆円と見込んでいます。 しかし、それがその通りにいかなかったのが、幸福実現党が何度も主張している消費税を3%から5%に上げた1997年度です。消費税を2%上げたところ、法人税収が1兆円減少しました。さらに、翌1998年度には、税収全体で4.5兆円も減少したのです。 このように増税することで、税収全体が減ってしまうのです。経済成長については様々な要因を考えるのに、税金の話になると単純な足し算・引き算の世界に入ってしまうのは明らかにおかしいことです。 ◆経済成長でしか、安心の社会保障は成り立たない そもそも消費税を上げることは、社会保障を安心にさせるということですが、実は消費税を上げても景気が悪くなってしまっては、社会保障は安心になるどころか、ますます破綻が早まることになるのです。 国民年金と厚生年金には、積立金が約120兆円あります。GPIFという独立行政法人が運用しています。年金の積立金は、国内外の株式・国債の形で運用されています。 それが、株高を背景として、過去最高の18兆円(運用利回り約18%)の運用益が出ました(2014/1/9日経1面)。年金の積立金は、毎年3兆円~6兆円を取り崩していますので、運用益が出るということは、それだけ積立金が厚くなることを意味します。 当然、景気が悪いときは、運用損が出ます。ちなみに過去最大の運用損は2008年度の9.3兆円(運用利回り-7.6%)でした。 長期での平均運用利回りが大切なので、一喜一憂は控えるべきですが、大切なことは、安心の社会保障というのも、活発な経済という土台の上に成り立つということです。 今の日本政府の問題は、社会保障費を抑制するための代替案も十分に検討しておらず、景気に悪影響を与える増税は、社会保障を逆に破綻へと進めてしまっていることなのです。 アメリカも社会保障問題が解決せず、財政問題はいつ再燃するか分かりません。世界各国があるべき社会保障政策について探しあぐねているのです。 ◆健全な経済あっての、財政再建であり、安心の社会保障 大切な考え方として、元気な経済という土台の上に、財政再建という柱や、社会保障という柱が立っているのです。 この前提を忘れてはなりません。この前提を忘れてしまうと、土台そのものが壊れそうなのに、何故か柱の補修にばかり熱心に取り組んでしまうという状況になります。 今、消費税8%が4月1日と目前に迫り、その後2015年10月には、10%にまで上がることが「軽減税率の導入」という美名の下、既定路線化しようとしていますが、何とかこの流れにブレーキをかける必要があります。 日本政府は、日本国憲法29条で定められているように、国民の財産権を侵してはなりません。 日本から、経済成長によって社会保障問題・財政問題を解消する新潮流を創り出すべきです。そのための方向性は増税ではなく、経済成長です。勤勉に働き、国民が富を生み出す総量を増やすことにより、国の繁栄は磐石のものとなるのです。 アメリカの財政議論から日本が学ぶべき教訓 2013.12.12 ◆ひとつ越えた、アメリカ積年の課題 12月10日、アメリカ財政問題を協議する超党派委員会において、今後2年間(2015年9月末まで)の予算編成の枠組みで合意に至りました。当面は、アメリカ政府機関が閉鎖(シャットダウン)することはなくなりそうです。 <合意案の主なポイント> ・裁量的経費の予算規模を約1兆ドル(103兆円)とすること。 ・歳出の強制削減を2年で約600億ドル緩和 ・年金の掛け金の引き上げ、連邦職員退職手上げの削減、空港利用料の増額 ・社会保障制度や税制の抜本改革は見送り (12/11朝日夕刊1面・12/12日経朝刊3面を参照) ちなみに、裁量的経費というのは、教育、農林水産業、軍事など、毎年の予算審議を経て歳出予算法によって割り当てられる経費のことを意味します。裁量的経費と、義務的経費(年金や公的医療保険を含める)でアメリカ連邦予算は構成されています。 今回の合意案は、あくまで裁量的経費についての合意であり、今後膨れ上がる社会保障費を含めた義務的経費(連邦予算の約6割)については、議論されておりません。 したがって今年3月から始まった歳出の強制削減も緩和されるなど、アメリカが本来意図していた財政健全化はなし崩しとなっており、アメリカの財政緊縮路線そのものに疑問を感じざるを得ません。 ◆アメリカ財政が抱えるもうひとつの課題:債務上限問題 今回の合意案で、アメリカの財政問題は一安心かといえば、残念ながらそうとは言い切れません。 懸念として残るのが、アメリカ連邦債務の上限問題です。アメリカ連邦政府はお金を借りる限度額として、16.7兆ドルと決められています。債務上限額以上に、国債を発行してお金を借りることができないのです。 既に上限額を超過しており、今は、暫定的に国債の発行が認められている状況ですが、その期限は来年2月7日です。この時までに債務上限幅を、共和党と民主党で合意する必要があります。 ここで合意しなければ、いわゆるテクニカル・デフォルトという、本来は支払う能力はあるにもかかわらず、自国の法律によって、国債を発行できず返済が滞るという状況に陥ってしまうのです。 ◆今回の合意案の背景にある、2014年中間選挙 今まで、予算案の議論における、共和党と民主党の対立の溝は大きかったにもかかわらず、なぜ今回合意に至ったのでしょうか。そこには、来年2014年に控える中間選挙が背景に挙げられます。 中間選挙とは、大統領選挙の中間にあたる年に行われる、アメリカ連邦議会選挙のことで、上院議員の3分の1、下院議員の全員を改選されます。民主党と共和党とも、ここで議席を伸ばすことで、議会の主導権を握りたいという思惑があります。 今年10月1日から16日にかけて、政府機関の閉鎖(シャットダウン)と、債務上限の引き上げを決断しないことで、アメリカ国債のデフォルト懸念を金融マーケットに広げたことは、記憶に新しいことですが、これが大きな原因となって、共和党も民主党も支持率を下げました。 アメリカ国民の議会に対する不信の高まりが挙げられます。大手調査会社ギャロップ社によると、アメリカ連邦議会に対するアメリカ国民の支持率はわずか14%と1974年からの同社による調査開始以来、最低水準となっていることからも、議会に対する厳しい風当たりを伺い知ることができます(12/12朝日朝刊12面)。 ◆日本が採るべき政策とは? FRBの予想によると、2014年のアメリカの経済成長率は3%としており、確かに経済成長はしますが、あくまで想定の範囲内です。今後、中間選挙を気にしながら、共和党と民主党は妥協案にとどまり、財政緊縮路線の流れの中、大胆な財政政策を打ち出しにくいことからも、今後数年は大胆な成長戦略をアメリカが表明する可能性は低いと考えられます。 日本が置かれた環境は、2020年の東京オリンピックをひとつの節目とするなど、さらなる好景気を迎えられる環境にあることは間違いありません。しかし、残念ながら、日本はこの状況を活かしているとは言えません。 中小企業の景況感が未だ回復していないのです。中小企業は420万社あり、日本企業の99.7%を占め、従業者数の7割を雇用しています。円安で回復しつつある製造業の景況感を、中小企業と大企業で比較しても、20ポイント近く離れており、中小企業の景況感は回復傾向にありつつもまだマイナスの状況が続いています。 回復途上にもかかわらず、中小企業向けの融資100%保証の対象を2014年から縮小する方針も出されている状況で(2013/12/12 日経朝刊5面)、さらに来年4月1日には、消費税が8%ともなります。原発再稼動が遅れれば、エネルギーコストものしかかります。 さらに、軽減税率を消費税10%に導入することを出して、消費増税10%を既定路線化しようという動きも出てきています。まるで、リハビリ中のけが人に、重い荷物を持たせる政策がおこなわれているのです。 今回のアメリカの事例からも分かるように、緊縮財政路線では経済は持ちません。経済成長による財政健全化へと考え方を切り替える必要があります。今、日本がそれをできれば、他国の成長をも牽引できる可能性も十分にあるのです。 アメリカで起きている財政問題を教訓として、日本は増税ではなく、経済成長路線へ転換する絶好のタイミングを活かすべきです。 (HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 経済好調でも貿易収支赤字を拡大する「原発の停止」 2013.11.21 ◆原発停止による貿易収支赤字の拡大 11月20日に発表された10月の貿易統計によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は、1兆907億円の赤字となりました。 赤字額は比較できる1979年以降で3番目の大きさとなり、赤字が16ヶ月連続で過去最長を更新しました(11/20 朝日夕刊2面、11/20日経夕刊1面)。 アメリカ向けの自動車を中心に好調で、輸出額は伸びているにも関わらず、なぜそれ以上に輸入額が増えているのか。 その理由は、「燃料輸入」の増加です。原子力発電所の停止により、液化天然ガスや原油など火力発電に必要な燃料需要が増加しており、さらに円安の影響で、輸入額が拡大しているのです。 日本は、対外直接投資や証券投資の収益である所得収支が大きいため、貿易収支が赤字となっても、今のところ経常収支は黒字です。 経常黒字の積み重なった結果、日本は、世界一の対外純資産は296兆円を保有しています。 これは、日本が世界一のお金持ち国であり、日本がすぐに破綻するハズがないといえる論拠の一つですが、原子力発電所の停止がさらに続き、貿易収支赤字が拡大することは日本経済にとっても悪影響となります。 来年4月には、消費税が8%に増税される予定となっていますが、燃料代もさらに重なるとなれば、消費マインドが冷え込み、購買意欲が減退し、企業の売上に直撃します。 それ以外にも、電力の高コスト化、不安定化は、工場など、企業の設備投資の意欲も冷え込ませることに繋がります。 日本経済が縮小すれば、税収も減少します。増税するにもかかわらず、財政はいつまでたっても健全化しないという状況に陥りかねません。 原子力発電所の再稼動は、日本経済をさらに活性化するためにも不可欠なのです。 ◆原発を推進していた小泉元首相 小泉元首相は、「政府は、原発ゼロの方針を出すべき」と主張しておられますが、首相在任時の判断を変えた経緯をはっきりと述べるべきではないでしょうか。 2005年10月に「原子力発電は基幹電源として着実に推進していく」という原子力政策の基本方針を定め、そのアクションプランとして「原子力立国計画」2006年6月に策定されました。これらを推進したのは、小泉首相在任時でした。 さらに12日、日本記者クラブの記者会見では、「政治で一番大事なのは方針を出すこと。そうすれば必ず知恵が出てくる」と発言し、環境技術をリードする日本のハイブリッド車の可能性について言及しておられました。 しかし自動車のエネルギー消費割合は、最終エネルギー消費内の約14%であり、電力問題の本質的な解決に繋がりません(経済産業省エネルギー資源庁http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2011energyhtml/2-1-2.html)。 1973年の石油ショックを機に、代替エネルギーを開発する目的で1974年にサンシャイン計画が打ち出されました。 当初は、国内総エネルギーの20%を新技術によって充足することを目指していましたが、大きな成果は出ませんでした。 そうした中、日本のエネルギー供給体制を安定的なものとするために、原子力発電所の建設が進められてきた背景があります。 首相在任時と判断を変えた理由や、石油ショックを機に原子力発電が推進されてきた背景について何ら触れることなく、原発ゼロというのは、あまりに強引といえます。 ◆放射性廃棄物の最終処分場の決定へ 20日、経済産業省の作業部会で、放射性廃棄物の最終処分場の選定について、国が主導する方針が表明されました。長年の課題であった、最終処分場についての方針が示されたという意味で、評価できます。 「原発ゼロ」を求める小泉元首相を牽制すると同時に、これを逆手にとって、放射性廃棄物の最終処分場の選定も進めることで、原子力発電にまつわる長年の課題を解決し、原子力発電を活用しやすい環境を整え、日本経済をさらに成長させるチャンスとするべきです。 (HS政経塾部長兼政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) アメリカ政府の債務不履行問題から日本がつかむべき教訓 2013.10.17 ◆何とか回避された、アメリカ政府の債務不履行 10月16日(日本時間17日)、アメリカ連邦議会は、10月の新会計年度に入っても予算を通過できないこう着状態(Gridlock)にありましたが、政府機関の再開と当面の米国債の債務不履行の回避に向けて上院・下院共に合意に達し、局面は打開されました。 前日比で、ニューヨークダウは205.82ドル (+1.36%)、日経平均株価は119.37円(+0.83%)上昇しました。金融市場は、まずは一息というところです。 ◆今回は一時的な暫定措置、本質的な問題解決はこれから 今回の合意の内容には大きく2つのポイントがあります。 1.連邦債務の法定上限を来年2月7日までの借り入れ分について引き上げてデフォルトを回避する。 2.1月15日を期限とする2014会計年度暫定予算を成立させて政府機関閉鎖を解除する。 (参考:10/17日経新聞「米債務不履行回避 暫定案、上下両院が可決」) アメリカの会計年度は、10月1日から翌年の9月30日までとなっており、今回の合意案は、あくまでも来年の1月~2月までの暫定的な措置であり、今後、オバマケアなどの社会保障政策や中長期的な財政再建計画についての議論を超党派で進めていくこととなります。 つまり、本質的な問題はまだ解決しておらず、来年の1月~2月に同じような状況に陥る可能性は依然として残っています。 ◆今後もアメリカの手足を縛る「債務上限」とは 今後も争点となっていくと思われるのは「債務上限(Debt Ceiling)」です。これはアメリカ連邦政府がお金を借りる限度額として定められているもので、現在は16.7兆ドル(1,670兆円)と決められています。この決められた債務上限額以上に、国債を発行してお金を借りることができないのです。 実は、アメリカ政府の債務上限額は、今年の5月に到達していましたが、地方政府支援の停止などの非常措置によって何とかしのいできました。 しかし、10月17日には手元資金が300億ドルとなり、資金のやりくりができなくなる旨の書簡を、9月下旬にルー財務長官が議会に送付したことで、10月17日前後が区切りとして世界の注目を集めてきた経緯があります。 ◆共和党と民主党による「議会のねじれ」 共和党側は、医療保険改革法(通称オバマケア)に反対しており、オバマケアを修正するように要求を続けてきました。民主党側は、オバマケアをひとつの目玉の政策としており、これを推し進めたいという主張の違いがあります。 議会がここまでもつれた背景には、上院では民主党が過半数を占め、下院では共和党が過半数を占めているという「議会のねじれ」があります。今後も、社会保障のあり方については、アメリカで激しく議論がなされていくと考えられます。 ◆国の経済規模との関係で債務上限を考えるべき 債務上限を定めたのは、健全な国家財政を維持していくという主旨は分かりますが、そろそろ考え方を変える必要があると思います。なぜなら、お金を借りられる額は、その国の経済規模、相応に考えていくべきだからです。 企業であっても、企業規模に応じた負債額というものがあるわけですから、アメリカ政府も、その国の経済規模を示すGDP(国民総生産)との関係で、債務上限についても考えるべきではないでしょうか。 HS政経塾の海外政策研修(10月6日~13日)で、政策担当者・金融アナリストから、債務上限の定め方について意見を聞いたところ、絶対額で債務上限を決めるのは非合理で、GDPとの関係で債務上限を見直すのは、合理的な考え方の一つだと思うと述べていました。 経済が成長していけば(GDPが大きくなれば)、負債の比率は小さくなります。アメリカは、経済成長を続けているのですから、それに応じて債務上限を見直すことは妥当なことです。 ◆自分の手足を縛る財政再建主義 経済成長していくためには、投資も必要なのですから、毎回、上限額だけを決めていては、いつも政治的な駆け引きで、債務上限をどうするかの議論で、金融にとって大切な信用が損なわれてしまいます。今後アメリカは、財政再建を理由に、思い切った投資がおそらくできなくなってしまうでしょう。 ヨーロッパでも、財政への監視を強めています。EUの17諸国の政府は、EUに予算案を提出しました。EUでは、財政規律が適切に守られているかどうかを基準に検証を進めていくようです(Financial Times, “Brussels starts eurozone budget monitoring,” Octomber 16, 2013)。 世界的にも、財政均衡を気にするあまり、思い切って国を豊かにする可能性のある産業に、政府が関われない状況に陥っています。当然、民間の自由を促進する規制緩和が前提ですが、政府が果たすべき財政政策は、国を豊かにするためには必要です。 ◆経済成長あっての財政再建 日本政府は残念ながら、社会保障財源を名目に、来年2014年4月からの消費増税を8%に引き上げることを10月1日に決定しましたが、この消費増税は、社会保障財源と共に、財政を健全化するという意味合いもあります。 幸福実現党が再三指摘するように、増税をしても財政再建はできないのです。経済が成長しなければ、結局は経済全体のパイはしぼみ、税収は減り、結果、財政はむしろ悪化するのです。 今回の債務上限問題で揺れたアメリカに象徴されるように、世界的に財政再建をするために政府支出は控えて、大規模な投資を政府が行うべきではないという風潮がありますが、これに流されてはなりません。 ◆種をまかねば、木は育たず、果実は実らない 種をまかなければ、木は育たず、果実は実らないのです。新産業を育成するには、民間が背負えないリスクに対して、政府が積極的に果たすべき役割があるのです。 2020年に東京オリンピックもあり、国民に大きな夢を抱いてもらうビジョンを日本政府は提示できる大きなチャンスにいます。この千載一遇の機会を逃す手はありません。 安倍政権は、今後3年間を「集中投資促進期間」にあてるとしていますが、もう一歩大胆な減税路線と新産業育成ビジョンを示していただきたいものです。 (HS政経塾部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 消費増税ストップこそ、最大の成長戦略――ストップすることで、事は進む 2013.09.19 ◆消費増税圧力に押される、安倍首相 各種マスコミが、安倍首相が来年4月に消費税を予定通り引き上げる意向を固めたと報じています。 首相周辺筋からの情報として、「その強大な指導力をもってしても、予定通りの増税という政府や与党内の体制を押し返せなかった」という報道もあり、安倍首相が増税圧力を跳ね返せない状況が伺えます。(9/19 産経) 「消費増税法の関連法案の修正をめぐり、10月半ばからの臨時国会が紛糾すれば、成長戦略の議論が進まなくなる心配があり断念した」ともあり、成長戦略を優先すべく、消費増税に踏み切ろうとしているようです。(同上) ◆ブレーキとアクセルを同時に踏み続ける不思議 しかし、やはり違和感があります。それは「なぜ、ブレーキとアクセルを同時に踏むのか」という一言に尽きます。 もちろん、「ブレーキ」とは消費増税で、「アクセル」は成長戦略のことです。 その最たる例は、3%の消費増税で8兆円の税収を見込むものの、景気の腰折れを懸念して、経済対策として5兆円を補正予算として計上することを検討していることです。 復興特別法人税3.5%の前倒し減税など、小出しの経済対策を見ても、とても消費増税による景気のマイナス効果を相殺できるものではありません。 ◆社会保障財源という名目はどこにいったのか? そもそも、消費増税は何のために上げるのかというと、社会保障の財源確保が名目でした。 確かに、消費増税法の付則には、次のようにあります。 「…消費税率の引上げによる経済への影響等を踏まえ、成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分することなど、我が国経済の成長等に向けた施策を検討する。」 すなわち、消費増税は社会保障の財源がメインの理由であり、税収増の3分の2以上を財政投資のために使用するというのは、本来の主旨とは大きく離れています。 ◆不景気になると年金財源も悪化する 社会保障で大きな比率を占める年金は、景気と大きな関わりを持っています。 以前のHRPニュースでも指摘致しましたが、消費増税による景気の悪化は年金制度の破たんに繋がります。⇒http://hrp-newsfile.jp/2013/883/ 日本の年金制度は、賦課(ふか)方式という、現役世代が高齢者世代の社会保障を支える仕組みとなっており、約120兆円という巨額の年金積立金を、GPIFという独立行政法人が、国内外の国債・株式の購入という形で運用しています。 景気の悪化の影響で、保有銘柄の株価が下がれば、当然、年金積立金も運用損が出ます。 事実、GPIFが自主運用を開始して12年間の内、5年は損失を計上しています(平成24年度「業務概況書」) 消費増税によって、景気が悪化すれば、年金基金の運用損が拡大し、社会保障そのものを危うくするのです。 では、運用損の責任は誰が取るのでしょうか?独立行政法人がとれるのでしょうか?残念ながら、答えは「国民へのさらなる増税」となる可能性が極めて高いのです。 ◆実は空前の好景気を前提にしている厚生労働省 ちなみに、2009年の厚生労働省が発表の財政検証では、運用利回り4.1%で賃金上昇率2.5%を前提として、概ね100年間の年金財政の均衡を図れると見込んでいます。(「年金財政の将来見通し:平成21年財政検証結果」) しかし実際は、基本給は2013年7月まで14ヶ月連続で減少している状況です。まさにありえない前提です。 運用利回り4.1%、賃金上昇率2.5%という空前の好景気のためには、幸福実現党がかねて主張している、減税路線と未来産業の創出に向けた経済政策は不可欠です。 この財政検証を維持するなら、厚生労働省は、幸福実現党の政策への支持を表明するべきです。 ◆消費増税のストップこそ、最大の経済成長政策 消費増税によって、景気が悪化することで税収は減り、さらに社会保障の財源も悪化する結果となります。 そして、活力のない日本経済、破たんした社会保障、重い税金という、とんでもない遺産を、若者、子供たち、孫たちに残すことになってしまいます。 日本国憲法第22条には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められています。 消費増税の結果、企業業績が悪化することで、夢を託すべき職業の選択の幅が狭まることを意味します。心ない増税は夢を奪うのです。 はっきり申し上げて、臨時国会で、小出しの成長戦略の議論はして頂く必要はありません。 なぜなら、消費増税をストップすることこそが、最大の日本経済成長戦略だからです。 最も大事なことは、国会が紛糾するほど議論するべきです。禅問答のようですが、「ストップすることで進む」のです。 さらに「ブレーキとアクセルを同時に踏み続ける」経済政策は世界でも流行っており、「消費増税ストップ」の決断は、日本から新しい経済政策の潮流をつくることにもなるでしょう。 安倍首相はプレッシャーを跳ねのけて、「最大の日本の経済成長戦略として、消費増税のストップを決断しました」と力強く表明すべきです。(HS政経塾部長 兼 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 主体性なき日本外交はいつ終わるのか――他国の顔色ばかりを気にする安倍首相 2013.08.15 ◆靖国参拝を見送った安倍首相 8月15日、日本は68回目の終戦の日を迎えましたが、安倍首相は靖国参拝せず、私費で玉串料を奉納したのみです。このことについて、安倍首相は以下のように弁解しています。(8/15 産経「安倍首相の発言要旨」) ・「本日は国の来し方を思い、静かにこうべを垂れ、御霊を悼み、平安を祈る日だ。国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対する感謝の気持ちと尊崇の念の思いを込めて、萩生田光一総裁特別補佐に奉奠してもらった。」 ・「(自身が)今後、いつ靖国神社に参拝するか、しないかは、それ自体が政治問題、外交問題に発展していくという観点から申し上げない考えだ。」 また、日本武道館で行われた「全国戦没者追悼式」において、安倍首相は次のように式辞を述べています。(8/15 産経「安倍晋三首相の全国戦没者追悼式式辞」) ・「いとしい我が子や妻を思い、残していく父、母に幸多かれ、ふるさとの山河よ、緑なせと念じつつ、貴い命をささげられた、あなた方の犠牲の上に、いま、私たちが享受する平和と、繁栄があります。そのことを、片時たりとも忘れません。」 しかし、ここまで言うのであれば、代理を立てるのではなく、首相自ら靖国神社に参拝し、国のために一命を擲った英霊に哀悼の誠を捧げるべきではないでしょうか。 一国の指導者としての言葉としては、中身が伴っていないと言わざるを得ません。 今回の安倍首相の靖国参拝の見送りを「外交的にも周辺諸国を刺激しないためにやむを得ない」とする論調もありますが、他国の顔色ばかりに配慮して、本当のことを言わない「主体性なき外交」はやめるべきです。 よりによって15日、韓国国会議員が靖国神社近くで安倍政権を非難する横断幕を広げ、抗議しました。(8/15 産経「韓国議員ら、靖国での声明発表断念、500メートル先の路上で抗議」) 日本政府は、靖国神社に参拝すること自体を「外交問題」として発展させているのは、韓国や中国の側であることを明確に国内外に伝えるべきです。 ◆歴史修正主義者のレッテルに負けるな そして、もう一つ乗り越えるべきは、同盟国であり、同時に自虐史観を植え付けてきたアメリカのスタンスです。 リベラルな論調のニューヨークタイムズでは5月23日に、「Shinzo Abe will not revive Japan by rewriting history(歴史を修正して、日本は復活させられない)」として、安倍首相について「危険な歴史修正主義」と指摘しています。 また、米議会上院の外交委員会・東アジア太平洋小委員会で委員長を務めるカーディン氏は、NHKでのインタビューで次のように述べています。(8/14 NHK「米上院委員長 安倍首相の靖国見送り意向を評価」) 「(安倍首相が、靖国神社に参拝しない意向について)ともにアメリカの同盟国である日本と韓国が緊張関係にあるのは、有益なことではない。韓国と良好な関係を築こうとしている安倍総理大臣の対応を支持する。」 日本政府は、アメリカ側のスタンスも踏まえつつ、海外ロビイ活動に力を入れ、正しい情報を海外に発信すべきです。 もちろん、日本の正当な歴史認識を主張する中で、「歴史修正主義(historical revisionism)」と言われたり、様々な理由をつけて批判されることもあるでしょう。 その際には、アメリカが原子力爆弾を使用したこと、東京大空襲では無差別爆撃で10万人の民間人(非戦闘員)が犠牲になったことなど、「人道に対する罪」も指摘する必要があるでしょう。 日本の首相として、間違っているものは、間違っていると言わなければ、国益を損う一方です。 ◆安倍首相は「安倍談話」を発表せよ! 従来、終戦の日の全国戦没者追悼式の式辞の中で、村山首相以降、歴代の首相は式辞で「アジアへの加害と反省」について触れて来ました。 しかし、今回、安倍首相は、歴代首相が表明してきたアジアへの加害責任の反省について明言しませんでした。(8/15 日経「安倍首相、アジアへの加害責任明言せず」) このことは「村山談話」「河野談話」の白紙撤回に向けた第一歩として評価できます。 是非とも、安倍首相には、靖国神社の秋の例大祭に参拝し、「大川談話―私案―」を基に、河野・村山両談話の無効を宣言し、本当の意味で靖国の英霊への供養ともなる「安倍談話」を発表すべきです。 (HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 元気な経済あっての年金制度――消費増税は年金破たんへの道 2013.07.25 ◆受給開始年齢引き上げだけで、公的年金の問題は解決するのか? 政府の社会保障国民会議が、公的年金の受給開始年齢の引き上げを、中長期的なテーマとして8月上旬の報告書に盛り込む方向で調整に入ったことが報じられています(7/25 朝日朝刊7面)。 年金の受給開始年齢の引き上げだけが論じられていますが、これだけで果たして、年金制度の抱える問題が解決するのでしょうか? 年金制度については、年金制度として独立に考えられがちですが、年金と経済の関係もしっかりと考えるべきです。 ◆景気好調で、運用益11兆円の公的年金積立金 日本の年金制度は、賦課(ふか)方式という、現役世代が高齢者世代の社会保障を支える仕組みとなっています。 ただし、現役世代が納めている保険料がそのまま全部使われているわけではなくて、一部は積み立てられており、その積立金の大部分を、GPIFという独立行政法人が運用しています。 積立金は、国内外の国債や株式で運用されていますので、景気が良くなると、株価が上がり、その結果、運用益も上がります。 昨年末、自民党政権となり、幸福実現党が2009年の立党以来、主張し続けていた金融緩和政策や財政政策を採用した結果、景気は好転しつつあり、株価も大幅に上昇しました。 そして、約120兆円もの公的年金の積立金を運用する、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、2012年度の運用実績が約11兆円の黒字であり、自主運用をはじめた2001年度以降で最高になりました(7/3 読売朝刊2面)。 ◆「元気な経済」という土台があっての年金制度 経済に元気がなければ、年金積立金を運用しても、利益が出るどころか、損失まで出かねません。 GPIFが自主運用を開始して12年間のうち、5年度は損失を計上しています(平成24年度業務概況書:)。 安心の年金制度を維持するためにも、元気な経済は不可欠なのです。 土台がぐらぐらしているのに、柱だけを丈夫にしても、根本的な解決策とはなりません。健全な経済という土台に、社会保障という柱が立っているのです。 そして、経済が活発になるからこそ、意欲のある高齢者の方々が働ける雇用の創出もできるのです。 経済成長を抜きに、社会保障制度だけを充実することはできません。 だからこそ、幸福実現党は、経済成長政策を前提とした上で、生涯現役社会の推進を訴えているのです。 ◆景気に水を差す消費税増税は、年金制度を更に不安定にする そう考えると、今の消費増税の議論も違った切り口から見えてきます。 1997年4月1日から消費税を3%から5%に増税して以来、経済全体のパイは縮小しました。 1997年度は53.9兆円あった税収は、2012年度は43.9兆円です(財務省「一般会計税収の推移」)。 差額の10兆円はどこにいったのでしょうか? それは景気後退によって、税収が減ってしまったのです。ちなみに、消費税1%分で約2兆円ですから、減少分の10兆円は消費税5%分に相当します。 景気回復を続け、法人税収・所得税収を上げていけば、税収を回復させることは可能です。 社会保障の財源を名目として、消費税を増税しようとしていますが、経済が元気でなくなれば、税収も減り、年金積立金も早く枯渇することになることは明らかです。 そろそろ、「年金詐欺」とも言える詭弁はやめて頂きたいものです。 ◆守られるべき国民の財産権 政治は、国民の最大幸福のために、国民の生命・安全・財産を守るのです。 日本国憲法29条1項に「財産権は、これを侵してはならない」と記されています。年金詐欺は「国民の財産権」の侵害です。 安倍首相は、麻生副総理の増税容認論に負けずに、国民の財産を守るためにも、消費増税の中止を決断するべきです! (HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) 試される安倍首相の国家観――いかに自虐史観を払拭し、憲法改正を成し遂げるか 2013.07.22 ◆試される安倍首相の国家観 第23回参議院選挙において、自民党が64議席を獲得し、115議席となりました。自公で135議席と過半数を上回る議席数を獲得し、「衆参のねじれ」が解消されました。 今回の参議院選挙では、とにかく「経済政策における実績を問う」ということで、自民党は、アベノミクスの成果を強調することに重点を置きました。 今後、アベノミクス「第3の矢」である成長戦略をどれだけ魅力あるものにしていけるかに注目が集まりそうです。 しかし、これからは経済一辺倒ではなく、「安倍首相は、日本の戦後の歴史観をどう捉えているのか」、また「憲法改正の議論をどう深めていくのか」、首相の国家観が問われてくることになるでしょう。 ◆安倍首相の歴史観・憲法改正の可能性に注目する海外メディア 海外メディアも日本の戦後の歴史観や憲法改正について、詳しく報じています。 例えば、保守的な論調のワシントンポスト紙は「強硬な国粋主義者である安倍首相は(今回の参議院選挙の勝利で)、中国と韓国を激怒させている、日本の帝国主義的侵略したというアジアの歴史観を修正する意見を大胆に表明するようになるかもしれない」と指摘しています。(7/21 ワシントンポスト”Japan ruling bloc cruises to victory in parliamentary election“) また、リベラルな論調で知られるニューヨーク・タイムズでは、「(今回の参議院選挙の自民党の勝利で)、日本国憲法が1947年に施行されて以来、初めての憲法改正に現実味を帯びてきた」と今後の憲法改正の可能性を指摘しています。(7/21 ニューヨーク・タイムズ”Election Win by Ruling Party Signals Change in Japan“) 世界各国から、安倍首相の歴史観・憲法改正への踏み込みについて注目が集まっているのです。 ◆自虐史観払拭のために乗り越えるべき「二つの相手」 日本は自虐史観の払拭をしていくために「二つの相手」がいます。 一つ目は、アジアの隣国である、中国と韓国です。 中国は南京大虐殺を、韓国は従軍慰安婦を、事実を歪曲して、日本が悪いことをしたと仕立て上げるために、海外ロビイ活動も戦略的に行っています。これに対して、日本側も正当な主張を海外に対しても発信する必要があります。 二つ目には、同盟国であるアメリカに対する説得です。 第二次大戦中、日本・ドイツ・イタリアはファシズム国家であり、アメリカ側に正義があったということになっています。アメリカにとっても、原爆まで使った手前、「日本が侵略国家であった」ということにしないと都合が悪いのです。 当然、アメリカは同盟国であり、一番の脅威は、「信教の自由」から生じる自由を否定し、人権を抑圧する国ですから、優先順位を考えて外交政策を行う必要があります。 このような優先順位を考えた外交を行うためにも、日本が発展すること自体が力強い交渉カードとなるのです。 ◆幸福実現党が訴えてきた、日本に必要な「本当のこと」 幸福実現党は、今回の参院選を通じて、「国防強化」「消費増税中止」「生涯現役社会」という3つのチャレンジを訴えて参りました。 日本が「自分の国で自分を守る」方向にシフトすることは、アメリカにとっても、軍事費の削減に繋がります。 また、消費税増税の中止や法人税減税は、日本の景気回復、経済成長を促進させます。 そして、「生涯現役社会」の推進は、増大する社会保障費という、先進国共通の問題に対して、自助をベースとした新しい福祉哲学を提案しています。 また、幸福実現党は、自虐史観を払拭し、「日本の誇り」を取り戻すことを力強く訴え続けて参りました。 「日本の誇り」を取り戻すためには、日本が発展するしかありません。現状維持では、「日本の誇り」は取り戻せないのです。 安倍首相の「本気さ」がこれから試されます。是非とも、河野談話・村山談話の踏襲の撤回にまで踏み込むべきです。 今回の参議院選挙では、幸福実現党としては、誠に悔しい結果とはなりましたが、日本が発展・繁栄して、世界に対しても日本が大国としての責任を果たすためにも、幸福実現党は、日本に必要な「ほんとうのこと」を粘り強く訴え続け、必ずや次期選挙での勝利を果たして参ります! (HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ) すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 6 Next »