Home/ 中村こうき 中村こうき 執筆者:中村こうき 日本防衛戦略「核抑止編」【第3回】―核装備プラス日本版SDI(私案) 2016.05.05 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 ◆北朝鮮の核の「脅威」に対する「抑止・対処戦略」 北朝鮮は、核兵器の小型化・弾頭化に至った可能性があり、将来的に核弾頭搭載可能な潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の配備に成功すれば、地上移動式発射型ミサイルの能力向上と併せて、核戦力の残存性が一層高まる危険性があります。 金正恩氏の強気の性格と、米国の「核の傘」の信憑性を考えれば、日本独自の抑止力構築が必要となります。 日本が北朝鮮の「核の脅し」に屈せず、核を撃ち込まれて一千万単位の被害を出さないためには、核装備(「報復型抑止」)と迎撃(「拒否型抑止」)の両方が必要です。 核装備は、原子力潜水艦からの巡航ミサイルを中心にします。敵から先制攻撃で潰されるのを避け、残存性を保つためです。また、日本は、核の「先制不使用」原則を徹底します。 「報復型抑止」は、唯物論国家に対しては、「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」も組み込む必要があります。人権軽視の指導者には、兵器・軍隊・都市の壊滅や人民の大量殺傷さえ、抑止にならない場合があるからです。 金正恩氏の場合、深慮なき先制核攻撃や、第二次・第三次核攻撃、自暴自棄の核使用さえあり得るので、日本国民の生命・安全・財産を護るために、「拒否型抑止」も必要です。 核ミサイル攻撃を感知した場合は、潜水艦、ミサイル艦、航空機からの巡航ミサイルや、爆撃機、無人機等で、敵ミサイル基地を破壊します。 発射されてしまった核ミサイルに対しては、従来のイージス艦SM-3やPAC-3の他、早期に、レーザー迎撃システム、日本版THAAD等を開発して対処します。 ◆中国の核の「脅威」に対する「抑止・対処戦略」 中国の「ロケット軍」は、核戦力と通常戦力の双方を兼ねて、第二撃核戦力の質的向上に取り組み、弾道ミサイルの個体燃料化、車両による移動方式への転換、MIRV化を推進しています。 中国の核戦略は、政治の優位、先行不使用宣言、核弾頭の漸増、平時は核弾頭を外して保管、とされていますが、次のような論があります。 〈1〉先制不使用は柔軟な抑止政策を妨げる 〈2〉通常精密打撃兵器に対して核の先制不使用を適用すべきではない 〈3〉台湾進行作戦への大規模介入にも先制不使用を守るべきではない 実際には、トップの意志で、如何様にも運用されます。 アメリカは、中国が米本土に対して核弾道ミサイルを撃たなければ、東アジアでの限定的な核兵器使用に対しては、精密誘導型通常兵器、極超音速滑空ミサイル等で対処する可能性があります。 日米同盟が順調な関係であれば、対中国でも同盟は発動されるでしょうが、「核の傘」は原則ないと考えて戦略を組む必要があります。 日本が核装備をしてない段階で、「日米同盟の破棄」、「沖縄からの米軍撤退」、「中国による台湾占領」のいずれかが起きた場合、シーレーンは中国に押さえられ、日本隷属化は確実になります。 仮に通常戦力でいかに優勢であったとしても、核使用のエスカレーションには、なすすべがなく、意志の強要に対して抵抗ができないからです。 日米同盟の持続・強化は、今後も決定的に重要ですが、リスクや将来展望を考慮して戦略を立案すれば、「核装備プラス日本版SDI」となります。 ◆「核装備プラス日本版SDI(私案)」 日本の核による「報復型抑止」は、原子力潜水艦からの巡航ミサイルと弾道ミサイルで対処します。 「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」を組み込み、中国の核戦力破壊を重視して、運用計画を幾通りも作り、念のため、「最小限抑止力」200~400発は確保します。 「拒否型抑止」力としては、大量の核ミサイルにも対処可能な、レーザー、マイクロウェーブ、レールガンなどの兵器開発に速やかに着手します。 特にレーザー、マイクロウェーブの技術は、他の追随を許さない圧倒的な技術力を追究し、あらゆる核兵器や通常兵器を短時間で大量に無力化できるレベルまで、開発を進めます。 合わせて、宇宙技術、サイバー技術でも中国を圧倒し、さらに他の種類の、核兵器無力化技術も、最先端で研究し、やがては「核廃絶」の道を拓きます。 また、その技術開発成功までの「脆弱性の窓」にも手を打ちます。 最重要は、日米同盟強化で、米軍の沖縄駐留と巻き込みが鍵ですが、他の一つは、通常戦力の増強です。 特に、「巡航ミサイル」「抗堪性」「兵站力」は飛躍的に増大させる必要があります。 以下に一例を挙げます。 ◆「A2/AD(接近阻止/領域拒否)」と「エアシーバトル(ASB)」 「接近阻止」(A2)とは、米軍部隊の戦域への展開を遅延させる、あるいは紛争の現場からはるかに遠い距離から作戦させようとする行動です。 「領域拒否」(AD)とは、敵が領域内での米軍の作戦を妨害しようとする行動です。 中国の「A2/AD」戦略に対抗する米軍の戦略構想として、「エアシーバトル」があります。 「エアシーバトル」は、統合部隊による敵への縦深(宇宙・サイバー・航空・地上・海洋領域)攻撃を中心思想とする戦争構想です。 この構想は、米軍が本格的戦いに突入すれば、圧勝が予想されますが、弱点は、中国の先制大攻撃に対して、米軍が本格的反攻に入るまで、数週間はかかることです。 例えば、中国が、台湾や沖縄への侵攻前に、北朝鮮を使って、沖縄上空で核爆発を起こさせたとします。 米軍や家族は退避し、いわゆる人質効果さえなくなります。 米軍の反攻が始まるまでの間、自衛隊は、第一列島線の島嶼を中国人民解放軍に占領されないよう、自力で有効に戦い続けねばなりません。 そのためには、敵のミサイル基地等を潰せる「巡航ミサイル」の大量配備が必要ですし、先制攻撃やその後のミサイル攻撃による被害を防ぐシェルターも必要です。 装備や弾薬、燃料、食糧等の分散大量備蓄シェルターや、地下生産設備等も要りますし、当然、国民を護るシェルターが要ります。 「戦略は環境に対応」しますので、今後も戦略は進化するべきですが、まずは、日本も「核装備」をしなければ間に合わないことを肝に銘じたいと思います。 参照: 『世界を導く日本の正義』大川隆法著 『戦略の強化書』西村繁樹著 『現代アメリカの軍事戦略と日本』山田浩著 『核戦争計画』丸山浩行著 『米中軍事対決』河津幸英著 日本防衛戦略「核抑止編」【第2回】―アメリカの核戦略の変遷と教訓 2016.04.30 ◆『大量報復戦略』 【第1回】では、「核兵器の種類、核兵器の特性、抑止戦略の種類」について述べましたが、今回の【第2回】では、「アメリカの核戦略の変遷と教訓」について論じます。 アイゼンハワー政権の核戦略のキャッチフレーズで、中欧でのソ連の大規模通常攻撃に対する抑止戦略として立案されましたが、核兵器を万能薬と考え、世界各地で頻発する局地戦までも核兵器の大量報復の脅しで抑止しようとしました。 この戦略は、次のような激しい批判を巻き起こしました。 〈1〉局地紛争が起こった場合、一挙に全面核戦争へエスカレートさせてしまう。 〈2〉相手に脅しを信じさせるのに無理があり、抑止効果に信憑性(信頼性)がおけない。 事実、その後も局地紛争は頻発しました。万能薬は効かなかったのです。 ◆『段階的抑止戦略』 そのため「段階的抑止戦略」が打ち出されました。一挙には戦略核兵器の撃ち合いにエスカレートしないよう「戦術核兵器」を使用する「中間段階」が組み込まれたのです。 この戦略にも、次のような批判が出ました。 〈1〉「戦略核兵器」の優勢がなければ、相手の「戦略核兵器」による報復にエスカレートする危険がある。 〈2〉「戦術核兵器」の優勢もいずれ消える。 ◆『柔軟反応戦略』 ケネディー・ジョンソン政権の核戦略と通常戦略を総称して「柔軟反応戦略」と呼びます。通常戦争には通常戦力で、という振り出しに戻りました。 この政権間に、核戦略のキャッチフレーズは、「損害限定」「確証破壊」「相互確証破壊」と変化しましたのです。 頻発する局地紛争の抑止・対処は通常戦力に依存させ、核抑止の対象は、米国及び同盟国への核攻撃とNATOへの大規模通常攻撃へと縮小しました。 ◆『損害限定戦略』 1962年に登場した構想で、敵の第一撃(先制攻撃)を吸収したあと、まず敵の戦略核戦力に対し報復を行って、敵の第二次攻撃力を破壊し、米国の被る損害を限定します。 この際、敵の都市に対する攻撃をひとまず控え、これを人質として戦争の終結交渉を行います。 戦争の終結交渉が進展しない場合、敵の都市、工業地帯に対し、慎重にコントロールされた核攻撃を行って、交渉の圧力を増加しようとするものであり、「優勢勝ち」を狙うものでした。 ◆『確証破壊戦略』 米国の核攻撃力増強も制限する必要があると考え、「確証破壊」=「敵が十分に計画された奇襲攻撃をわが部隊に加えてきたあとでも、その侵略国が社会として、生活できないようにする破壊力」という量的基準を設けました。 具体的には、ソ連の工業力の70%を破壊し、効果がほぼ頭打ちとなる核弾頭数は、200~400発と分かりました。この数を「最小限抑止力」といい、今日でも通用します。 「損害限定プラス確証破壊」という構想で、米国の核抑止戦略は1960年代半ばに確立したかに見えました。 ◆『相互確証破壊戦略』(MAD) ところが、1967年、抑止の重点は「損害限定」よりも「確証破壊」にあるとされ、1968年には、「相互確証破壊」(互いに破壊を防ぎ得ない無能力さ)が、「双方にとって戦略核戦争を避けようとする最大かつ可能な動機」になるとの戦略が推進されるようになりました。 アメリカの実業家、政治家で、1961年から1968年までケネディ、ジョンソン大統領の下で国防長官を務めたマクナマラは、「恐怖の均衡」の安定化(戦略的安定性=軍拡競争の防止)へ、ソ連と軍備管理交渉を始め、軍拡競争の防止は、ソ連に受け入れられたと判断しました。 しかし、ニクソン政権は、「相互確証破壊戦略」の問題に気づきます。 〈1〉抑止が破れれば、確証破壊に匹敵する大損害を被る恐れがある。 〈2〉これに怖気づけば降伏するしかない。 即ち、対応策が事実上「オール・オア・ナッシング」という問題です。 〈3〉また、同盟国に対する核攻撃があった場合、米国はソ連の再報復によって米本土も大損害を被ることを恐れて報復に踏み切れないのではないか、という疑問が生じました。 ◆『シュレジンジャー・ドクトリン』(『限定核オプション』、『選択反応戦略』) 1973年、「全面核戦争に至らない侵略(限定核攻撃)に対し、攻撃規模に応じた核反撃を行う」という「シュレンジャー・ドクトリン」が出されました。 「損害限定戦略」が「核優勢」を背景に、相手の残存核戦略を撃破して「優勢勝ち」を収めることを企図したのに対して、「シュレンジャー・ドクトリン」は、「核均衡」を背景に、戦闘の低いレベルで核の撃ち合いを止めることに相違がありました。 核均衡下においても、米国は核攻撃に対して何もしないでは終わらせない、という決意表明であり、 「核攻撃の規模に応じた核反撃」を同盟国に約束することで、「核の傘」(拡大抑止)の保障を与えるものでした。 「攻撃の規模に応じた反撃」という基本構想は、冷戦終了まで継続されました。 ◆『相殺戦略』 デタント(緊張緩和)は、蜃気楼であり、米国の一人相撲でした。 ソ連共産党政治局が「相互確証破壊」を受け入れても、ソ連参謀本部は受け入れていなかったのです。 ソ連参謀本部は、「集中的な先制核攻撃で米国の核戦力を壊滅するとともに、政治経済中枢を破壊する」先制攻撃論を維持し、核戦争の長期化さえ考えていました。 ソ連は核戦力を増強し続け、先制攻撃で米国の全ICBM戦力を壊滅できる重ミサイルを配備し、「恐怖の不均衡」が出来上がりました。 カーター政権は、「恐怖の不均衡」を知って、「相殺戦略」を名づけた対抗策を取り、ソ連の重ミサイルに匹敵し、「緊急自動目標変更能力」を持つ核ミサイルの生産・配備を決定しました。 配備される1986年までの期間は、「脆弱性の窓」と呼ばれました。 特筆すべき点は、「目標設定」にクレムリンへの射撃を導入し、「政治中枢の破壊(断頭攻撃)」によるソ連の国家としての一体性の破壊を狙ったことです。 ◆『SDI(戦略防衛構想)』 レーガン政権は、1983年3月、SDI(核攻撃の拒否型抑止)を提言しました。 SDIは、ソ連の弾道ミサイルに対し、レーザー兵器やレールガン等で防衛網を構成し、弾道ミサイルを無力化しようとするもので、究極の目的は「核廃絶」でした。 莫大な経費と技術力を要するSDIは、圧倒的にソ連に不利であったため、ソ連は軍備管理交渉に応じるようになり、ゴルバチョフの「ペレストロイカ(改革)」「グラスノスチ(情報公開)」の下、1991年、崩壊しました。 ◆教訓 〈1〉核戦力で「局地侵略」を抑止することはできない。 〈2〉脅しは強いが、実際に使えそうもない戦略を立ててはならない。 〈3〉一面が優れていても他面に欠陥を持つ戦略を採用してはならない。 〈4〉我の合理的判断を敵も共有できると即断してはならない。 〈5〉「オール・オア・ナッシング」の選択しかできない戦略ではいけない。 〈6〉軍拡競争は、悪いものとされやすいが、そうでない場合もある。 〈7〉技術力と、それを支える経済力で、優位に立たねばならない。 以上、「アメリカの核戦略の変遷と教訓」を論じて参りましたが、【第3回】は、私案として「核装備プラス日本版SDI」を提案いたします。 日本防衛戦略「核抑止編」【第1回】―「危機に立つ日本」を護る核装備 2016.04.29 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹 ◆危機に立つ日本 「水爆」実験や長距離弾道ミサイル発射で、核ミサイル保有を進める北朝鮮ですが、28日にも午前と午後に、中距離弾道ミサイル「ムスダン」を一発ずつ発射しました。 韓国軍は、いずれも「発射直後、数秒以内に墜落した」と分析しています。ちなみに「ムスダン」は、射程3000~4000キロメートルのミサイルです。 また軍事的に膨張する中国(2016年度の中国国防費は、公表分だけで約16.7兆円、28年間で約44倍)、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。 朝鮮半島、尖閣諸島・沖縄、台湾海峡、ベトナムやフィリピン近海等は、紛争の発火点として、いつ起きておかしくない状態にあります。 幸福実現党は、日本を護り抜き、「世界の正義」を推し進めるために、以下を取り組みます。 〈1〉「言論・思想戦」 〈2〉「外交戦」=「日米同盟」を強化(「米中同盟」を阻止)し、インド、ロシア、台湾、オーストラリア、モンゴル、東南アジア諸国、島嶼国などと友好を促進、経済・安保両面で連携強化を図り、中国や北朝鮮の民主化・自由化を促すための外交 〈3〉「強靭な防衛力」の構築 ◆正当防衛としての核装備 中国や北朝鮮からの「核を使っての恫喝や侵略」を思い止まらせる抑止力強化へ、正当防衛としての核装備も進めます。 核兵器の最大の効能は、「他の核兵器保有国に核兵器を使わせない」ということです。 「中国や北朝鮮が核兵器を使った場合には、日本からも核兵器を使われる可能性がある」ということが最大の抑止力になるわけです。 以下、核抑止の理解を深め、日本の核抑止戦略、防衛戦略を考察するために、3回に分けてと論を進めて参ります。 第1回は、核兵器の種類、核兵器の特性、抑止戦略の種類 第2回は、アメリカの核戦略の変遷と教訓 第3回は、核装備プラス日本版SDI(私案) ◆核兵器の種類 核兵器の種類には大別して「戦略核兵器」と「戦術核兵器」があります。中間に「戦域核戦力」(後に「中距離核戦力」)と改称)はありますが、詳述は省きます。 「戦略核兵器」は、敵国の戦略核戦力や政治・経済中枢に対する攻撃に用いられ、戦争の決をつける核兵器であるため、「戦略」の名が冠せられます。 対ソ冷戦期の米国の「戦略核戦力」の態勢は、同時に一挙に破壊されないよう(「抗堪性(こうたんせい)」の保持)、次の「三本柱」で成り立っていました。 〈1〉「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」 〈2〉「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)」 〈3〉「戦略爆撃機」 「戦略爆撃機」は、空中待機から命令を受けて目標に向かい、途中で呼び戻すことが可能という特性があります。「ICBM(大陸間弾道ミサイル)」は、発射すれば呼び戻せません。 「SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)」は、核戦争の最終段階まで温存が可能で、終結交渉の後ろ盾や最後の一撃を担えるという特性があります。 「戦術核兵器」は、彼我接近した戦場で用いられる核兵器です。 「戦術核兵器」は、登場時には、破壊力と使用効果が戦場に限定できる、使用可能な兵器と考えられ、1949年に創設されたNATOの防衛には、通常戦力の不足を補うため、多くの戦術核兵器が配備されました。 しかし、後に、「核兵器の特性」から、戦闘力として戦術核兵器を考えることは難しく、「戦術核戦争」と「戦略核戦争」の線引きは困難と考えられるようになりました。 ソ連軍事ドクトリンには「戦勝に必要な最大限の軍事力行使」がうたわれ、どんな形の核使用でもNATO軍が核を使用すれば、核の全面的な反撃をもって応じる方針があったのです。 ◆核兵器の特性 核兵器のもっとも顕著な特性は、きわめて大きな「瞬時の大破壊力」です。 広島、長崎の惨状をみれば、その威力は一目瞭然です。 北朝鮮が、原爆の数百倍から数千倍も威力を持つ水爆を東京に落とした場合、一千万人から三千万人ぐらいの被害を出す可能性があります。 さらに、特性として超高温の熱、衝撃波や爆風、放射線、電磁パルスがあげられます。 電磁パルスは、強度や機器の遮断程度によっては、電子機器に重大な影響を与え、戦争遂行に重大な支障を来します。これは今日のハイテク兵器の大きな弱点です。 「瞬時の大破壊力」という特性から、核兵器が「実戦に使える決戦打撃兵力(対処力)」なのか、「敵国の先制核攻撃を抑止する」だけの兵器なのか、よく論争の的になってきました。 しかし日本に2つの原爆が落とされた以降の歴史において、核兵器は使われていないという現実があります。 ◆抑止戦略の種類 抑止戦略には、「戦勝戦略による抑止」と「抑止戦略による抑止」があります。 前者は、戦えば我が勝つことを敵に事前に認識させて、侵略を思い止まらせるものです。 主として通常戦争の抑止に使われますが、ソ連は、核戦略においてもこの戦略を採りました。 後者は、戦って我が勝つことまでは目指さないが、敵に侵略目的の達成が不確実か、侵略に伴う損失が利益を上回ることを事前に認識させて、侵略を思い止まらせるものです。 主として核戦争の抑止に使われます。 米国は、冷戦終末期に、ソ連の「戦勝戦略」から生まれた先制攻撃の脅威を抑止するため、核戦争遂行能力が必要と考え、ソ連に似た戦略への転換を図りましたが、冷戦期の大部分は、後者の戦略でした。 核抑止は、核兵器を撃たれたら報復として撃ち返す「報復型抑止」(懲罰的抑止)が中心ですが、飛んでくる弾道ミサイルを撃ち落とす等の「拒否型抑止」もあります。 核の傘(拡大抑止)という同盟国への抑止力提供は、信頼性は疑問としても「報復型抑止」です。 スタンダードミサイル(SM-3)、パトリオットミサイル(PAC-3)、サード(THAAD)ミサイルなどのミサイル防衛(MD)は、「拒否型抑止」です。 「報復型抑止」が効果を発揮するには、「抑止の三原則」を満たす必要があります。 「抑止の三原則」 〈1〉(敵にとって耐え難い)報復を行う「実力」(能力)があること 〈2〉報復を行う「意志」があること 〈3〉我の実力と意志を平時から敵が「認識」していること 抑止には、戦争の生起を押し止めることだけではなく、いったん戦争が起こっても、戦争のエスカレーションを押し止める抑止=「交戦間の抑止」もあります。 以上、今回は【第1回】として、「核兵器の種類、核兵器の特性、抑止戦略の種類」について述べて参りました。 【第2回】では、「アメリカの核戦略の変遷と教訓」について論じます。 (つづく) 「正義の国・日本!」―満州事変から大東亜戦争まで【3】(全3回) 2015.10.20 文/幸福実現党・茨城県副代表 中村幸樹 ◆大東亜戦争の原因(1)――「人種差別による日本人排斥」 1919年、日本はパリ会議で、国際連盟規約への「人種差別撤廃条項」を提案し、賛成多数になるも、議長のアメリカ大統領ウィルソンは否決しました。 以後、アメリカの排日運動は勢いづき、1924年5月には、「絶対的排日移民法」が成立しました。 これで、親米的だった大部分の日本人が反米に変わり、日本政府のアメリカ協調外交も難しくなっていきました。 昭和天皇は、戦後「この大戦の遠因はアメリカ移民の問題であり、近因は石油が禁輸されたことである」との主旨を言われましたが、正鵠を得ていたと思います。 そして、正義は、「人種差別撤廃」「植民地解放」を目指した日本にあったからこそ、戦後のアジア・アフリカ諸国は、独立していったのです。 ◆大東亜戦争の原因(2)――「共産主義の工作」 1930年代のアメリカ政府には、共産主義のスパイが何百人も入り込んでおり、「ハル・ノート」を作成した財務次官補ハリー・ホワイトもソ連のスパイでした。 戦後の朝鮮戦争、ソ連との冷戦、ベトナム戦争、中共の台頭を見れば、共産主義を悪と見て、防共に努めた日本に、正義があったと言えます。 ◆大東亜戦争の原因(3)――「ホーリイ・スムート法に始まったブロック経済」 1929年、アメリカ下院議会に上程されたホーリイ・スムート法が、世界恐慌の決定打となりました。約1000品目の巨大な関税障壁により、一年後には、世界の貿易量が半分になりました。 1933年のオタワ会議で、イギリスもブロック経済に入りました。 アウタルキー(自国で出る原料・資源で経済的なことが完結できる政府)ができるアメリカ、イギリス、フランス、オランダ、ソ連は良くても、アウタルキーができない日本、ドイツ、イタリアには、致命的な問題でした。 戦後、ブレトン・ウッズ体制をとって自由貿易を推進したのは、ブロック経済、保護主義が、先の大戦の遠因だとわかったからです。 ◆大東亜戦争の原因(4)――「石油禁輸とABCD包囲網」 アメリカ、イギリス、シナ、オランダを抱き込んだABCD包囲網で、日本は資産を凍結され、石油や鉄など様々な原材料を輸入できなくなりましたが、致命的なのは石油禁輸でした。 大東亜戦争が自衛戦争であったことは、アメリカ上院軍事外交合同委員会におけるマッカーサーの証言でもわかります。 「日本は絹産業以外には、固有の産物はほとんど何もないのです。彼らは綿がない、羊毛がない、石油の産出がない、錫がない、ゴムがない、その他実に多くの原料が欠如…これらの原料の供給を断ち切られたら、一千万から一千二百万の失業者が発生するであろうことを彼らは恐れていました。従って、彼らが戦争に飛び込んでいった動機は、大部分が安全保障の必要に迫られてのことだったのです。」(マッカーサー証言 抜粋) 大東亜戦争の原因として、日本からアメリカに仕掛けたことは何もありませんでしたが、ルーズベルトは、ドイツと戦うためにも、何がどうあろうと、日本を戦争に追い込むつもりでした。 1941年2月には、日本と戦って屈服させた後の処理を研究する「特別研究部(SR)」を発足させ、7月18日には、150機のB17爆撃機と、250機の戦闘機で東京、横浜、大阪、京都、神戸への爆撃作戦「JB-355」も承認していました。 (戦線が急迫したイギリスに爆撃機を回して実施はされず。) ◆大東亜戦争は、「自衛権の行使」「植民地解放」「人種差別撤廃」の聖戦 大東亜戦争は、人種差別による日本人排斥、共産主義の工作、ブロック経済とABCD包囲網の経済封鎖で追い込まれ、特に石油禁輸が決定打となった「自衛戦争」でした。 日本は、戦わざるを得なくなった以上、正義を貫くべく、全占領地域で現地政府を樹立し、自主独立への教育訓練、人種差別撤廃を推進しました。 大東亜戦争は、「欧米列強から、アジアの植民地を解放し、白人優位の人種差別政策を打ち砕くとともに、わが国の正当な自衛権の行使としてなされたもの」「アジアの同胞を解放するための聖戦として、日本の神々の熱き思いの一部を実現せしもの」(『大川談話』)だったのです。 大川談話―私案― http://special.hr-party.jp/policy2013/okawa-danwa/ 「大東亜戦争は神の意を受けた聖戦であり、激戦の地で戦死した先人たちは英雄である。」(真の平和に向けて あとがき)と断言し、筆を終えます。 『真の平和に向けて』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1464 「正義の国・日本!」―満州事変から大東亜戦争まで【2】(全3回) 2015.10.17 文/幸福実現党・茨城県副代表 中村幸樹 ◆日中戦争の経緯(4)――[南京攻略] 日本は、首都をおさえれば蒋介石も講和に応じるだろうと考え、南京攻略を決断しました。 日本軍は、世界一の規律を守る人道的な軍隊でしたが、南京攻略戦でも、松井石根大将は、後世の模範となる行動をするべく全軍に訓令を出し、軍規を徹底して、終始、立派な指揮をしました。 日本は、住民に被害が出ないように、国民政府軍にオープン・シティ勧告を出しましたが、蒋介石は、勧告を受け入れず、市民を置き去りにして脱出してしまいました。 ドイツ軍に対するパリの如く、オープン・シティにすれば被害が出ないのに、しなかった責任は蒋介石にあります。 日本軍は、慎重に、攻略前にも投降勧告を出し、拒否を確認してから、1937年12月10日、攻撃を開始しました。蒋介石に任された唐生智(トウセイチ)将軍も途中脱出してしまい、日本軍は13日には城内に入り、17日には正式に入城式が行われました。 市民の多くは日本軍が来る前に南京城内から逃げ、逃げ切れなかった市民が第三国がつくった「安全区」に避難しました。日本軍占領後は「南京は安全だ」と分かり市民が戻り始めると、約1か月後には、人口は25万~30万に増えています。 「南京大虐殺」という言いがかりは、中国共産党の覇権に悪用され、日本の自虐史観の原因にもなっていますが、東京裁判で、突如として捏造されたものです。東京大空襲や原爆投下の正当化のためにも、日本の戦争犯罪をでっち上げる必要があったからです。 日本人による虐殺など存在しなかったがゆえに、戦後になるまで噂さえ立たず、蒋介石も米英仏も、当時抗議したことがなく、多数駐在していた欧米マスコミからも指摘されず、東京裁判では実証できず、戦後出てきた「証拠写真」なるものは、すべてインチキと判明しているのです。 ハーグ陸戦規定により、便衣隊(ゲリラ)は、掃討し、処刑するのが国際常識ですが、これは虐殺とは呼びません。 ◆日中戦争の経緯(5)――「欧米諸国の蒋介石支援」 日本は、上海、南京、広東、北京、天津、保定、武漢三鎮(漢口、漢陽、武昌)などの主要都市を皆占領しましたが、蒋介石は重慶の山の中に逃げていました。 米英ロシアが、資金、物資、兵器等を、蒋介石を支援し続けなければ、南京政府を作った汪兆銘と蒋介石を話し合わせ、日本軍が願い続けていた支那からの撤退が可能となったはずです。 ルーズベルトは、米退役将校シェンノート(中華民国空軍航空参謀長)の航空隊「フライング・タイガース」に、アメリカ人飛行士100人と飛行機500機の派兵までしました。日米開戦前の軍事的関与であり、重大な国際法違反です。 ◆日中戦争(支那事変)は、日本の侵略戦争ではない 日中戦争は、すべて受け身で、支那側からの攻撃に対処していったものでした。 開戦責任は支那側にあり、日本陸軍は、引きずり込まれながら、一貫して終結を願い続けましたが、共産主義のスパイ活動、米英の蒋介石支援により、抜け出せなかったというのが真相です。 もし、支那事変が侵略なら、例えば、韓国軍が、突如、アメリカ民間人を大量虐殺し、在韓米軍を攻撃してきたため、米軍が救出に向かったら、アメリカは韓国を侵略したということになります。 そして、米軍が韓国に平和と秩序と繁栄を取り戻し、新たな韓国人リーダーを擁立して撤退しようとしても、もとの韓国軍が北朝鮮の山奥に立てこもり、中国やロシアが兵器や物資、資金を供給し続けるために、撤退できずにいたら、アメリカは韓国を侵略し続けている、ということになります。 つまり、支那事変が日本の侵略戦争なら、朝鮮戦争もベトナム戦争も、アメリカの侵略戦争ということになりますし、世界のほとんどの紛争を侵略戦争と呼ぶことになります。 ですから、支那事変を日本の侵略戦争とするのは不当であると結論づけられます。 「正義の国・日本!」―満州事変から大東亜戦争まで【1】(全3回) 2015.10.16 文/幸福実現党・茨城県副代表 中村幸樹 ◆満州事変と満州国建国の経緯 コミンテルン(共産主義インターナショナル)にそそのかされた反日侮日運動が過激化し、張学良軍、馬賊、匪賊による、誘拐、略奪、恐喝が横行する満州で、1931年9月18日、一万数千人の関東軍は、30万とも45万ともいわれた張学良軍を追放しました。(満州事変) 政府や陸軍中央も知らないところで起きたのは問題であり、政治的リーダーシップの欠如(幣原外交)や明治憲法の欠陥(統帥権干犯問題)等、改善すべき点はあったにせよ、日本人居留民に危害が及ぶ危機的状況を、自衛のためにも解決せざるを得なかったというのが、満州事変の真相でした。 翌1932年3月、関東軍の主導で、清朝最後の皇帝溥儀(フギ)をトップに迎えて、満州国を建国しました。大臣たちは全員、満州人か清朝の忠臣としました。 1911年の辛亥革命で、満州族王朝清から、漢民族(シナ人)が独立し、日本公使館に逃げ込んだ溥儀の、切なる希望が満州国でした。満州国は、民族自決という観点からも理にかなっていたのです。 漢民族と満州民族は別の民族であり、万里の長城以北は、シナ固有の領土とは言えません。 シナを支配したことがある民族の故郷はシナの領土だと言うなら、インドを支配したことがあるイギリスは、インドの領土だという論理になるからです。 満州国は、「五属共和」(満州民族、漢民族、蒙古民族、朝鮮民族、日本民族の共存共栄)を建国の精神として、安定した治安、安心できる生産活動、商業活動を提供し、奇跡と言えるほど発展しました。 塗炭の苦しみに喘いでいた不法の土地、満州は、自動車や飛行機まで作ることができる一大近代国家、桃源郷へと変貌を遂げたのです。 ◆満州事変と満州国建国は、日本の侵略ではない もし、満州事変が侵略なら、例えば、チベットやウイグルをアメリカ軍が独立に導き、トップも大臣もすべてチベット人やウイグル人にし、実務は手伝って近代化を促し、人々があこがれる、安全で繁栄した理想的な国家ができたとしても、アメリカはチベットやウイグルに侵略したことになります。 この場合、アメリカ軍は、チベット人やウイグル人の夢である独立を支援し、繁栄と幸福をもたらしたと言うべきであって、侵略と呼ぶべきではありません。 満州事変と満州国建国は、人々に幸福をもたらした正当な行為であり、日本の侵略ではないのです。 ◆日中戦争(支那事変)の経緯(1)――[盧溝橋事件] 1937年7月7日、「盧溝橋事件」は、蒋介石の国民政府軍に潜り込んだ中国共産党軍のスパイが、日本軍と国民政府軍の衝突を作り出し、「漁夫の利」を得るために発砲したことから始まりました。 それでも日本軍は攻撃せず、7月11日に事態収拾のための現地協定を成立させましたが、共産党スパイが繰り返す発砲に勘違いした国民政府軍が攻撃してきて、日本軍は「巻き込まれた」というのが真相です。 ◆日中戦争の経緯(2)――[通州事件] 日本の不拡大方針が堅持される中、国民政府が一転して対日交戦を決定、7月29日には「通州事件」が起き、200人以上の日本人が、人間とは思えない方法で惨殺されました。 この報は日本にも伝わり、日本国民の怒りは頂点に達しました。 ◆日中戦争の経緯(3)――[第二次上海事変] 盧溝橋で始まった事変は、北支事変として収束に向かいましたが、本格的な「支那事変」は1937年8月13日、上海地区における中国側の攻撃に始まりました。 日本の海軍陸戦隊約4千人が、軽武装で日本人居留民を守っているところに、コミンテルンの手先、張治中(チョウジチュウ)将軍が、約5万の大軍で攻撃してきました。 翌8月14日、蒋介石軍は、アメリカから提供された戦闘機で、シナ人を中心とする民間人がいるホテルや避難所を攻撃して、3600名余りを死傷させ、「キリスト教の中国が、異教の日本に蹂躙されている」イメージの情報戦を展開しました。 日本は通州事件のような惨劇を繰り返さないために、陸軍を派遣しましたが、蒋介石が招いたドイツのゼークト大将(防御陣地造りの権威)による作戦で、日本軍は約4万もの大損害が出ました。 その後、南京攻略への上陸作戦で、上海の背後を衝く形をとったことで、中国軍は総くずれになりました。 (つづく) 日本が果たすべき「ワールド・ジャスティス」への使命―「イスラム圏」編(2) 2015.03.28 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹(なかむら・こうき) 世界の紛争は宗教的対立を含んでおり、世界的正義がどこのあるかを判断するということは大変難しいことです。これを解決するためには、各宗教を束ねる全地球レベルの価値観を示すことができなければなりません。 社長が、経営者として会社の全責任を持っているように、「地球」の経営に対して全責任をもっている「至高の神」「地球神」の考えがあるとすれば、誰でもが聞きたい話です。この考えに基づけば、地球の紛争も解決できるからです。 今回は、その世界の紛争を解決するために必要な地球レベルの「ワールド・ジャスティス(世界的正義)」について述べて参ります。 ◆「寛容」と「許し」の論拠 世界の紛争を根本解決には、お互いの理解を妨げる壁を取り除き、「寛容」と「許し」の論拠となる、決定的叡智が必要です。 それは、「地球神の存在」「霊界構造と教えの多様性」「人間神の子の思想」であると考えます。 ◆「地球神の存在」 イスラム教、キリスト教、ユダヤ教を指導した、同一の神が現実に存在します。 『旧約聖書』で「エロヒム」と呼ばれ、現在は「エル・カンターレ」と呼ばれる、創造主、根本神(根本仏)、至高神にして、地球神が、マホメットもイエスもモーセも地上に遣わし、最高責任者として彼らを指導してきました。 「アラー(イスラム教)」「天なる父(キリスト教)」「在りて在るもの(ユダヤ教)」が同一の神であり、信仰の対象が同じであると明確に認識すれば、互いに「悪魔の宗教」とレッテルを張って攻撃するような考え方を改めることができます。 地球神は実在し、諸宗教を統合できる地球的仏法真理は存在します。 この事実が、「寛容」と「許し」への第一の論拠となります。 ◆「霊界構造と教えの多様性」 霊界は、悟り(心の境涯、愛の発展段階)に応じた、さまざまな階層(次元)に分けられ、地域性や心の傾向性によっても、空間的に分けられています。 地球神(至高神)ではない神々、天使、聖霊は、必ずしも全知全能ではなく、認識力や考え方に違いがあると知ることは、寛容さの基礎になります。 例えば、ヤハウェの考えはエロヒムの教えと違い、絶対の真理ではないと理解すれば、裁き心の緩和につながります。 救世主や預言者が地上に降りても、至高神の法の全てをストレートに受けられるわけではなく、自らの悟り、地域性、時代性、教えを説く対象、通信役の天使の個性等の影響を受けつつ教えを説くため、人類普遍の法と、人・時・所で解釈や内容に融通を利かせるべき教えとが混在します。 こうしたメカニズムを知れば、教えの普遍的な共通部分は祝福しつつ、教えの違いや多様性は、寛容に理解し合い、学び合い、必要に応じて教えをイノベーションすることができます。 仏神と霊界の実在、永遠の生命と転生輪廻、波長同通の法則、原因結果の法則、愛と慈悲の心、反省の心、魂修行とユートピア建設等。 以上の変えられない本質的で普遍的な法の根幹と、変えても良い部分を判別することで、他宗教との矛盾点、生活様式や慣習、経済・科学・学門等の新しい課題に対しても、教えに必要な修正をかけて、「寛容」と「許し」につなげることができます。 ◆人間神の子の思想 人間が神の子であり、すべての人間の魂に神の性質が宿っているなら、すべての人間の尊厳は護られるべきとの考えに到ります。 「憎しみを捨て、愛をとる」考えが正当となり、報復や、テロ、虐殺への防波堤となります。 唯物論、人間罪の子、性悪説など、神性を否定する思想は、人間不信、犯罪、殺戮につながる、間違った思想です。 すべての人間には、根本神(根本仏)から分かれてきた尊い神性(仏性)が宿っています。 「ワールド・ジャスティス」の根底には、地球神の慈悲の心があり、人間の魂も神の子としての慈悲の心を宿している尊い存在だという真実が、前提としてあるのです。 幸福実現党は、地球神、ワールド・ティーチャーの智慧と慈悲を基盤とした宗教政党であるからこそ、宗教が根底にある全世界の課題に対して、「ワールド・ジャスティス」(世界的正義)を明らかにし、根本的な解決を図ることができます。 幸福実現党は、全世界の平和と繁栄へ、「ニュー・ワールド・オーダー」をつくり出して参ります。 日本が果たすべき「ワールド・ジャスティス」への使命―「イスラム圏」編(1) 2015.03.27 文/幸福実現党・茨城県本部副代表 中村幸樹(なかむら・こうき) ◆世界的正義 日本が使命として担うべき「ワールド・ジャスティス(世界的正義)」として、以下の3点があります。 (1)白人優位主義による帝国主義的植民地支配に対する歴史の修正。 (2)共産主義運動という名の唯物論思想による「神仏の封じ込め作戦」への戦い。 (3)イスラム圏の改革。 (1)~(3)は連動しています。 白人の植民地支配への反省を促し、大東亜戦争の日本の正義を国際常識とすれば、巨大共産主義先軍国家である中国の野望を阻止する力(三戦「世論戦、心理戦、法律戦」への対処力)となり、イスラム圏と対するユダヤ・キリスト教圏への説得力、調停力につながるからです。 今回は、最近注目度の高い「イスラム圏」に焦点を当てて、論じたいと思います。テロ行為や卑劣な殺人は、許しがたい暴挙であり、再発防止の措置は大切です。 しかし、日本と世界の政治家やマスコミ、知識人の大半は、イスラム圏の問題に対し、「ワールド・ジャスティス」を冷静に分析、判断できない状態にあります。 歴史的、民族・人種的、宗教的視野からの智慧が不足しているからです。 根本的な解決には、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教間の確執を超克しなければならず、「寛容」と「許し」を伴う3つの精神的叡智を、政治的叡智として取り入れる必要があると考えます。 ◆武士道精神、騎士道精神 日本の武士道精神は、大義の下、己を律し、敵に対しても慈悲の心、礼の心を貫くため、日露戦争の名将、東郷平八郎や乃木希典などが諸外国で絶賛されました。 大東亜戦争においても、迫害されたユダヤ人を真っ先に保護したり、本気でアジアの同胞を解放する等、世界一人道的で規律正しくあったというのが事実です。 西洋でも騎士道精神が生まれました。 しかし、カトリック・プロテスタント間の宗教対立でその伝統が見失われ、1618年からドイツを中心に繰り広げられた30年戦争では、お互いに相手を悪魔と捉えて徹底的に戦い、甚大な被害と荒廃をもたらしました。 その反省から、1648年に締結された「ウエストファリア条約」では、かつて封建時代の中で発達していた騎士道精神が見直され、相手を辱めるようなことはせず、お互いの宗教を認め、相手の国の宗教には口を挟まないという国際的な取り決めがなされました。 武士道精神も騎士道精神も、関係国が全てその認識を持っていれば有効ですが、ヒトラーのような独裁者が出現した場合や、騎士道の文化を継承しなかった国(米ソ中等)には効果がない、という教訓もあります。 しかし、日本軍が武士道精神で、民間人へのテロや虐殺を決してしなかった事実や、イスラムの英雄サラディンが騎士道精神を貫き、キリスト教圏からも評価された等の教訓は、テロ撲滅や相互の融和に、プラスに作用するはずです。 ◆日本の「和」の精神 聖徳太子「十七条憲法」の第一条には、「和を以って貴(とうと)しと為し、忤(さから)うこと無きを宗(むね)とせよ。」とあります。 大きく和する、大調和の精神は、仏教伝来の折にも発揮され、仏教の優れた教えは採り入れつつ、古来からの神道も引き継ぐという、共存共栄や融合の伝統を生み出しました。 そして、儒教やキリスト教、その他の思想や文化に対しても、寛容に取り込んでいく歴史を培ってきました。 「和」の精神は、異なる宗教や文化を調和させ、争いを緩和し、抑止する力がありますので、世界の紛争解決にも効果を期待できます。 以上、日本の「和」の精神について述べましたが、次回、もっと踏み込んで、世界の紛争を解決するために必要な「ワールド・ジャスティス」について述べて参ります。 「日米同盟」と「自主防衛力」に関する考察と戦略 2014.08.29 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 ◆「防衛白書」(平成26年度版)で観る、我が国の安全保障政策 中国の脅威が高まる中、その対処として「国家安全保障戦略」「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」(平成25年12月17日閣議決定)に沿って、 国際協調主義に基づく積極的平和主義、防衛力の「質」「量」の確保、「統合機動防衛力」の構築、日米同盟の強化等を推進する方針、また、「国の存続を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成26年度7月1日閣議決定)で「集団的自衛権」を行使可能とし、前進したと言えます。 (1)日米同盟を基軸として、不敗の地に立て、(2)台湾を中心としたシーレーンを守れなければ、日本のエネルギー危機が来て未来は危ない、ということ(「日本外交の盲点」)を、一応押さえていると見られます。 しかし中国の覇権への執念と「日本支配」の可能性、「日米同盟」弱体化の危険見積もりという点では、判断に甘さが感じられます。 ◆帝国主義的侵略を目指している、危険な中国 中国の公表国防費は、過去26年間で約40倍、過去10年間で約4倍となっています。2014年度は約13兆円ですが、人民解放軍の衣食住コスト、人民武装警察部隊コスト、ミサイル戦力コスト、医療費と年金コスト、経営する武器製造企業のコスト、輸入外国製兵器、宇宙戦争予算等が入っていないために、実際は20兆円~30兆円とも言われています。 「先軍政治」で、数千万人粛清してでも国体を維持し、資源争奪、他国支配で、「軍事力をお金に換える」体質を持っています。 「アクセス(接近)阻止/エリア(領域)拒否」(「A2/AD」)能力の強化で、第一列島線~第二列島線と支配圏を拡大し、日本降伏と支配の計画、さらには世界制覇の野望も持って、軍事力の近代化を推し進め、三戦(さんせん)(輿(よ)論戦(ろんせん)、心理戦、法律戦)を展開しています。 ◆日米同盟の脆弱性(ぜいじゃくせい)。 アメリカは、時折、正義を見失い、判断を誤ることがあります。 日本に、人種差別をし、石油を止め、ABCD包囲網を敷き、ハルノートなどの外交で開戦に追い込んだ例、東京大空襲と原爆投下で民間人を大虐殺した例、戦後は、台湾を裏切り、中国共産党と手を組んだ例などです。 現在も、 (1)経済的理由で、世界の警察官としての使命を放棄し、『孤立主義』に入る可能性。 (2)中国との軍事的対決を避けるため、また中国との経済的関係を重視して、東アジアは中国に任せよう、との誘惑に駆られ、日米同盟を破棄し、『米中同盟』に入る可能性。 (3)将来、中国の軍事力が日米を上回って、日米同盟が『機能不全』に陥る可能性。 は完全には捨てきれず、戦略と対策が必要です。 ◆日米同盟の強化、継続の力 日米同盟の強化と継続には、日本が、アメリカから見て、 (1)敬意を払いたくなる『徳力』。 (2)敵対したくない『防衛力』。 (3)中国より魅力的な『経済力』。 を持っていることが、有効な力となります。 ◆敬意を払いたくなる『徳力』 「南京大虐殺」「従軍慰安婦」などの捏造歴史認識を、日本中・世界中から払拭させ、 「世界から人種差別と植民地支配をなくしてきた、正義のサムライ国家・日本」「世界最古の王朝が連綿と続く、奇蹟の国・日本」「今後も、世界の恒久平和のために尽くす、平和と正義の守護神・日本」といった内容のPR活動を大々的に行い、世界人類の幸福に責任を持って、発言力、外交力、リーダーシップを発揮していくべきです。 ◆敵対したくない『防衛力』 アメリカとの友好関係は常に親密にし、相互に軍事協力は推し進めつつも、同時に、高度な技術を有する「自主防衛力」を構築することが大事です。 傭兵に頼って経済的繁栄だけを求めていたカルタゴが徹底的に殲滅された事例を考えれば、自主独立した、高度で、頼りがいのある防衛力を保持することが、国防の隙をなくし、誇りある健全な同盟関係を持続させていく鍵になります。 自衛隊の最新兵器は、レベルは高いのですが、アメリカがソフトのコードを変えれば機能しなくなるものも多いという弱点があります。同盟関係なら問題ないのですが、米中に組まれたら、日本は奴隷国家へと転落するか、消滅するかという結末になります。 アメリカが日本を敵に回したくない「最新(未来型)通常兵器」の自主開発、「核抑止力」の自主構築が必要と考えます。 具体的には、各種軍事作戦を遂行し得る宇宙衛星、宇宙兵器、ミサイル防衛システム、原子力潜水艦、原子力空母、巡航ミサイル、弾道ミサイル、次世代航空機、各種無人機、ロボット兵器、レーザー兵器、サイバー戦技術、島嶼戦の装備、核シェルター、核抑止力、核ミサイルを無力化する兵器等において、技術的に中国に対して圧倒するレベルを確保することが大事です。 自主開発の高性能兵器を、アセアン諸国、インド、オーストラリア、韓国、ロシア、その他の友好国に、戦略的に輸出することは、中国包囲網を形成し、中国の侵略を抑止するための有効な方策となります。 ☆『経済力』に関しては、別の機会で論じたいと思います。 【後編】「集団的自衛権」行使容認が必要な理由 2014.06.06 文/茨城県本部副代表 中村幸樹 『抑止が破れた場合の対処とその影響』の観点 ◆「集団的自衛権」に関連する4つのシミュレーション 『抑止力』は、完全に100%働くとは言いきれない面があります。 なぜなら、例えば中国がベトナムやフィリピンに侵略する場合、対処する側(ベトナム、フィリピン、アメリカ、日本等)に、撃退する「能力」と「意思」があっても、侵略を意志決定する中国指導者側の、情報不足、分析や判断のミス、自己保身、性格上の欠陥等により、「認知」が正しく行われないことがあるからです。 では、抑止が破れた場合、即ち、中国が、ベトナムやフィリピンと戦争状態になった場合、その後どのような展開になるのか、対処とその影響を含め、「集団的自衛権」との関連で、4通りのシミュレーションを考察してみます。 (1)日本が「集団的自衛権」を行使できる場合で、米軍が介入するシナリオ 米軍が介入した場合、兵器性能の圧倒的な差で、中国軍は撃退され、中国の侵略は頓挫します。日本の自衛隊は、米軍に積極的に協力し、日米関係はより緊密になり、日米同盟は強化されます。 その後の日本や他のアジア諸国への帝国主義的侵略にも、『抑止力』が強く働くようになります。国民の生命、安全、財産が護られ、投資基盤が安定することで、経済的発展にもつながります。 ASEAN諸国はもちろん、中東、アフリカなど、世界中で中国の横暴を嫌悪していた国々の、日本への信頼感は増し、正義の国家、徳あるリーダーとして、良き影響力を発揮できるようになります。 (2)日本が「集団的自衛権」を行使できる場合で、米軍が介入しないシナリオ 日本は、国際正義実現のために、米国に対し介入を説得し続けなければなりません。ベトナムとフィリピンは、戦力的に中国には勝てず、見過ごすままでは、ASEAN諸国は、次々と中国の手に堕ちていくからです。 日本は、米国の核抑止力(核の傘)が有効であると判断できる範囲で、多くの国々との連携も密にすべきです。通常戦力で日本が介入すれば、米国も介入せざるをえなくなります。さすれば、事態は収拾できます。 米国の核抑止力が有効でないと判断される場合は、早急に日本独自で核抑止力を持たねばなりません。(この核抑止力も含めた「自主防衛力」の考え方に関しては、別途、詳しく説明させていただきます。) 日本が愛と正義の立場を貫き、智慧でもって世界をリードしていく中に、世界の未来はあるのです。 (3)日本が「集団的自衛権」を行使できない場合で、米軍が介入するシナリオ ベトナム、フィリピンは救われ、アメリカは称賛されますが、日本に対するASEANのリーダーとしての信頼感は大きく失われます。 米国の国民が激昂するようなことになった場合は、「日米同盟」を破棄される原因にもなりえます。 かつて日本は「日英同盟」を結んでいましたが、第一次世界大戦での協力が不十分だったことが破棄の原因になり、それ以降、アメリカの排日政策は激化し、日米開戦につながっていったことを教訓にするべきです。 「日米同盟」が解消された場合には、核抑止力を持たない日本は、中国に飲み込まれ、チベットやウイグルのように、日本国は消滅し、日本国民の自由、人権、幸福は失われます。 核兵器の脅しと使用に対しては、米軍なくしては抑止が効かず、降伏するしかないからです。 そうならない場合でも、中国の覇権を嫌う米国が日本を再占領するか、日本を戦場として米中が戦うか、米中ソで日本を分けるか、といったシナリオになります。 (4)日本が「集団的自衛権」を行使できない場合で、米軍が介入しないシナリオ アメリカの「神の正義、世界正義」の信頼は失われます。 アメリカが途中で回心しない限り、ベトナム、フィリピンはもちろん、アジア諸国から世界全体に至るまで、次々と中国の傘下に入っていき、粛清、強制収容所、侵略主義的覇権主義が世界にはびこることになります。 日本はシーレーンを中国に押さえられ、石油や各種資源の確保は、中国の支配下に置かれ、経済的に搾取される中、アメリカからは、弱って頼りにならない日本は見捨てよう、ということになり、日本国は消滅、中国の圧政下に置かれます。 ◆「集団的自衛権」行使容認が、日本と世界の生き筋 結局、日本は、「帝国主義的侵略を目差している無神論・唯物論の国家に対しては、毅然として対処すべし」ということです。 「集団的自衛権」を行使可能とすることが、不当な侵略主義を許さず(勝つべくして勝つ)、様々な攻撃や謀略への適切な対処を可能とし(不敗の地に立つ)、日本が「平和と正義の守護神」として「世界の恒久平和のために尽くす」リーダー国家になる(勢いに乗じる)道を開きます。 この「積極的平和」の道が、日本の生き筋であり、世界の生き筋だということです。 すべてを表示する 1 2 Next »