Home/ 彦川 だいし 彦川 だいし 執筆者:彦川 だいし HS政経塾第1期卒塾生/党政調会・外交部会 新国立競技場問題の本質 2015.08.06 文/逗子市政を考える会 彦川太志 ◆新国立競技場をめぐる問題の整理 2020年に開幕する東京五輪に向けて、新国立競技場の整備問題が難航しています。問題となった新国立競技場のデザイン案は、2012年にコンペで選ばれたイラク出身のザハ・ハディド氏のプランでした。 日本スポーツ振興センター(JSC)の公式HPによると、収容人数は8万人、開閉式の屋根(後に白紙)、可動式の観客席といった設備を備えるほか、コンサートなど文化事業の開催をも想定したり、附属施設としてジムや商業施設、博物館等が一体となった「日本の文化、経済、科学技術、スポーツを世界中に発信する中枢」(森元首相)としての機能を担うことが期待されていたことがわかります。 しかしながら、当初予算の大幅なオーバーに直面して計画の縮小・変更を重ねるという混乱の中、国と都の予算負担が決裂して下村文科省の責任問題に発展したことが重なり、7月17日、安倍首相から新国立競技場の整備計画を白紙とし、構想をゼロベースで見直すことが発表されました。 その後、7月28日には文科省傘下のスポーツ・青少年局長である久保公人氏が責任を押し付けられる形で事実上の更迭人事が行われ、9月に新整備計画を策定する方針だけが決まっています。 ◆総工費倍増の原因はザハ氏のデザインではなく、そもそもの要求基準 様々な報道記事に接してまず目に付くことは、二本のアーチが特徴的なザハ・ハディド氏のデザインに対する批判が多く、「妙な外国人が奇抜なデザインを持ってきたのが原因だ」とでも言わんばかりの空気が広がっていることです。 しかしながら、ザハ氏のデザインは依頼主であるJSCの要望に応えたから採用されたわけで、そもそもの要求基準に触れずに、建築家を悪者に仕立て上げようとする報道には、憤りを感じざるを得ません。 依頼主の要望とは、「8万人の収容人数、開閉式の屋根、可動式の客席」と言った要求のほか、「博物館や商業施設、ジム」まで入っている“高度な総合施設”を、「2019年のプレオリンピックまでに間に合わせる」ということでした。 ザハ氏のデザインは、このような要望をクリアするために「スタンドの建設と並行して屋根の建設を進めることが可能」で、「重要な建設期間を短縮できる」構造として、二本のアーチ構造(工費230億円)をもつプランを提案したのです。ですから、「アーチ構造をもってきたから、予算が膨らんだ」というJSCの指摘は当たらないと言えます。 ◆火に油を注いで大火にした文科大臣 それでは、新国立競技場問題の核心はどこにあるのでしょうか。新国立競技場の予算増が本格的に政治問題と化してきたのは、2015年5月に行われた、下村文科大臣と舛添都知事の記者会見からでした。 5月18日、新国立競技場の建設費500億の負担依頼に舛添都知事を訪問したわけですが、 その直後から、新国立競技場の建設をめぐってJSCや文科省に対する舛添都知事の批判がヒートアップしています。 詳しい発言は都知事の定例記者会見(5月26日)をご覧いただければと思いますが、ゼネコンの見積もりを元に安易に費用負担を求める下村大臣に対して、「本当にそれで間に合うのかどうか、単に難しい工法だからと言って値段を吊り上げているだけでないのかどうか」を厳しく問い詰めた様子が伺えます。 コストを抑えつつ品質を確保して工期を間に合わせる。そのような当たり前の経営能力を問われた下村大臣は、なんと「建設費の一部を都に負担させる根拠法を作る」という暴論で応酬し、あっさりと論破されています(6月9日)。 ◆国際協約通りザハ氏に再度設計を依頼すべき 結局、この新国立競技場問題の核心とは何だったのでしょうか。 私見ではありますが、舛添都知事に経営能力の無さを露呈され、新国立競技場を政治問題として「炎上」させられてしまった文科大臣が、自分が追求から逃れるためにザハ案を葬ろうとしただけのことではないのでしょうか。 ザハ・ハディド氏は著書の中で、自身の建築プランが実現しない場合は2つしかないと語っていました。 ひとつは「テクノロジーの問題」、二つ目は「政治的問題」です。世界的アーティストが日本にレガシーとなる建築を残すことの意義について、ぜひ多くの方にその価値を知っていただければと思います。 また、安倍首相においては、重要法案の成立と支持率の両睨みを続ける中、野党に攻撃材料は与えたくないものと推察しますが、構想実現のために厳しくある姿勢が、国民の支持を呼ぶこともあると思います。 2020年東京五輪成功に向けて、文科大臣の責任を明確にし、経営センスのあるリーダーを据えていただき、国際協約通りザハ氏に再度新国立競技場を依頼するのが最良の選択肢だと提案させていただきたいと思います。 自虐史観の撤回には、大東亜戦争の再評価が不可欠だ! 2015.05.22 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表彦川だいし 戦後70年を迎えた今年、幸福実現党は「河野・村山談話の無効」と「自虐史観の一掃」を盛り込んだ「戦後70年談話」の発表を安倍首相に求める署名運動を実施しています。 間もなく第一回目の締切を迎える本署名運動の意義について、考えてみたいと思います。 ◆河野談話の何が問題か――やっていないことはやっていないと主張しよう 本署名運動の大きなテーマは、「自虐史観の一掃」にあります。自虐史観とは、自分たちの国の歴史について、「何一つ価値がないか、もしくは害悪を及ぼした」とする見方だと言って良いでしょう。 その典型的な例の一つが「河野談話(1993年)」です。河野談話とは、戦時中、日本軍が占領地などで強制的に慰安婦を集めていたと「認定」した政府見解です。 この談話の発表によって、日本軍が戦争犯罪を行ったとする間違ったイメージを世界中に植え付けてしまいました。 当時国内外で大きく注目された河野談話ですが、その騒ぎの発端となった朝日新聞の記事が2014年に誤報であったとして取り消される事態となったほか、クリントン・ブッシュ政権下の米国政府による調査でも「軍が関与した」という証拠が一切存在しないことが明らかとなりました。 このような数々の調査から、「河野談話」の正当性はすでに失われているのです。 ◆村山談話の何が問題か:日本は侵略戦争などしていない そもそも、なぜ「河野談話」のように「犯罪国家」というレッテルを貼るような動きが是とされてしまったのでしょうか? それは、先の大戦に対する「評価」そのものに問題があります。ここに「村山談話(1995年)」が関わってきます。 村山談話は、大東亜戦争に関して「あれは侵略戦争だったので、周辺国に迷惑をかけた」と謝罪する内容でした。 このような歴史認識は、GHQが占領期に執行した「東京裁判」や、日本の教育・メディアを総動員して植え付けた歴史観(東京裁判史観)をそのまま受け継いだものに過ぎず、「そもそも日本が戦った理由は何なのか?」という本質的な問いについて、思考停止していることに問題があります。 ◆欧米の植民地支配を検証する それでは、大東亜戦争以前、アジア・アフリカでは何が起こっていたのでしょうか?簡単に振り返ってみたいと思います。 <コンゴ自由国(ベルギー領)> 過酷な強制労働によって、1911年までの25年間で人口が3分の1に激減 <インドネシア(オランダ領)> 宗主国の収益を重視した偏った食物栽培が強制労働によって実行され、食糧生産が激減。これにより、1850年には30万人が飢饉の犠牲となる。 <フィリピン(米国領)> 独立運動(大東亜戦争以前)の鎮定の過程で100万人以上が犠牲となる。強制収容所では60万人が病死。 <南アフリカ(英国領)> 第二ボーア戦争の鎮圧では、焦土作戦を実行して数万人を収容所に送り込み、2万人以上のボーア人犠牲者をだした。 (参考「日本の朝鮮統治を検証する」ジョージ・アキタ、ブランドン・パーマー、訳:塩谷紘/草思社) ブランドン・パーマー氏によれば、大東亜戦争以前、アジア・アフリカの欧米植民地では「強制収容所の設置」「強制労働の強要」「劣悪なインフラの放置」が一般的でした。 一方、日本統治下の朝鮮半島は、このような欧米植民地とは「真逆」の、極めて人道的な施策を実施していたことが指摘されています。 上記に挙げた国々が、大東亜戦争の後に次々と独立を勝ち取っていったことを考えれば、日本は侵略戦争を行ったのではなく、大義ある「解放戦争」だったことが理解いただけるのではないでしょうか。 ◆大東亜戦争は「無謀な戦いではなかった」! さらに、「自虐史観」の中でも最大のものは、「あの戦争は無謀な戦いだった」という、日本人自身の中にある「自嘲的認識」にあるのではないでしょうか。 「河野・村山談話」がウソだとわかっていても、大東亜戦争の本質を深く、克つ多角的に研究することなく、「あれは無謀だった」と自嘲する認識が蔓延するうちは、日本がリーダーシップを発揮することは永遠にできないでしょう。 先の大戦の敗因は、当時の指導者層の「戦略と用兵思想の欠如」にあります。それは改善可能な問題なのです。 (参考「日本は勝てる戦争になぜ負けたのか」新野哲也/光人社FN文庫) 日本が遅れてきた帝国主義に立向かい、アジアを守るリーダーとして再び立ち上がり、「守りきる」ためにも、国際正義の観点と、軍事戦略の視点から、大東亜戦争を再検証・再評価することが不可欠だと考えます。 国際正義を明らかにする署名運動にお一人でも多くの方にご参画頂き、「日本の誇りを取り戻す」機運を起こして参りたいと思います。 ■『「河野・村山談話」の無効を宣言し、自虐史観を一掃する「戦後70年談話」を求める署名』 http://info.hr-party.jp/2015/4162/ 【署名活動期間】2015年4月17日(金)~2015年7月23日(木) ・第一次締切:5月末日 ・第二次締切:6月末日 ・最終締切:7月23日〔党本部必着〕 【署名送付先】〒107-0052東京都港区赤坂2-10-8-6F幸福実現党本部TEL:03-6441-0754 自虐史観を一掃する「戦後70年談話」署名へのご協力を! 2015.04.24 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表彦川だいし 日々、幸福実現党の活動への多大なるご支援とご理解を頂き、心より感謝申し上げます。 新たに幸福実現党は、今夏に安倍首相より発表される談話について、東京裁判史観に基づく自虐史観を一掃した「戦後70年談話」の発表を求める運動を4月17日より行っています。 (参考)『「河野・村山談話」の無効を宣言し、自虐史観を一掃する「戦後70年談話」を求める署名』http://info.hr-party.jp/2015/4162/ ◆署名運動の趣旨について 本署名運動の趣旨は大きく二つあります。 一つは、いわゆる「南京大虐殺」「従軍慰安婦」などの虚構の歴史を「事実」として受け入れてしまった「河野・村山談話」の無効を宣言し、英霊や先人の皆様に着せられた無実の汚名を晴らすこと。 二つ目は、「大東亜戦争は、欧米列強の植民地政策や、当時横行していた人種差別を地上から追放し、アジア・アフリカの人々の人権を守るための、大義ある防衛戦争であった。」という正当な歴史観を打ち立てることです。 「河野・村山談話」に基づく歴史認識の誤りを正し、20世紀の初頭に日本が果たした世界史的偉業を再評価する「戦後70年談話」を安倍首相に発表頂くための署名運動です。 ◆自虐史観を一掃する「戦後70年談話」を発表する意義について この署名運動の理念が盛り込まれた談話が発表される意義も、二つあります。 一つ目は、「中国の侵略的行為を抑止する力になる」ということです。 いわゆる「南京事件・従軍慰安婦」を政府見解で認め続ける限り、中国の軍拡を止めることはできません。「河野・村山談話」が反論の口実に使われ、日本側から腰の入った軍拡批判を行うことができないのです。 しかし、これは裏を返せば「河野・村山談話」、引いてはGHQが刷り込んだ「東京裁判史観」の弊害さえ断ち切れば、中国は日本に反論できなくなってしまう。ということの表れでもあります。 4月初旬には「中国による『南京大虐殺』『従軍慰安婦』のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、日本政府に万全の措置を求める署名」を内閣総理大臣に提出させていただきました。 中国がいわゆる「南京・慰安婦」の記憶遺産登録にやっきになっているのも、「南京・慰安婦」が捏造だったと世界に“バレる”ことを恐れているからに他なりません。日本からの軍拡批判に対して、ウソをついて言い逃れをしていることが分かってしまえば、中国にとって大変な事態です。 日本が中国の軍拡に対して腰の入った批判を行い、侵略を未然に防ぐ力となるためにも、河野・村山談話は撤回されなければならないのです。 二つ目は、「世界平和の実現に貢献できる」ということです。 4月22日~23日までジャカルタで開催されたバンドン会議において、安倍首相は先の大戦に関する「反省」よりも、アジア・アフリカ諸国とのパートナーシップについて多くの言辞を盛り込みました。 一部の国からは後ろ向きの批判もありましたが、1955年のバンドン会議十原則をもとに、多様性と結束を両立した、徳ある発展の追求を訴えた演説について、各国の首脳から大きな期待が寄せられました。 アジア・アフリカの国々は、未来ある言葉、希望あるヴィジョン、責任あるパートナーとしての日本を求めているのです。 「日本は戦前から一貫して、繁栄と調和の中に世界平和を実現するため、努力してきた」という歴史認識を打ち立てることに、大東亜戦争の大義を再評価する談話の意義があります。 ◆「太陽の昇る国」を取り戻す 日本が世界を照らす太陽のように、世界の平和と繁栄に貢献するためには、大東亜戦争の大義に殉じた英霊の皆様に恥じない歴史認識を取り戻さなければなりません。 この『「河野・村山談話」の無効を宣言し、自虐史観を一掃する「戦後70年談話」を求める署名』は、「太陽の昇る国、日本を取り戻す。」そんな意義ある署名運動といっても過言ではありません。 本署名運動に関して、各界の皆様のご賛同を心よりお願い申し上げます。 ■『「河野・村山談話」の無効を宣言し、自虐史観を一掃する「戦後70年談話」を求める署名』 【署名活動期間】 2015年4月17日(金)~2015年7月23日(木) ・第一次締切:5月末日 ・第二次締切:6月末日 ・最終締切 :7月23日〔党本部必着〕 【署名送付先】 〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 緊迫する中東情勢――日本文化・教育の輸出で中東の平和と安定に貢献を! 2015.03.26 文/HS政経塾 第1期卒塾生 彦川だいし ◆「イスラム国」騒動の影で拡大するイランの影響力 3月25日、イラク政府の要請により、米軍など有志連合が北部ティクリートの奪還に向けた空爆支援を開始しました。 ティクリートはイスラム国の拠点であるモスルと首都バグダッド結ぶ交通の要衝であり、イラク治安部隊が戦闘を展開する上で重要な地域です。 米国防総省のウォーレン報道部長は、ティクリート奪還作戦はイラク治安部隊が主導しており、同作戦の成功は「米軍が最も頼りになる連携相手だとイラク側が理解することが重要だ」と指摘しています。 この発言は、対「イスラム国」戦争の影でイランがイラクに対する影響力を拡大していることを念頭においたものと思われます。 というのも、3月2日にティクリート奪還作戦が開始された当初、シーア派民兵約3万人を含むイラク治安部隊の戦闘指導が同じシーア派国家であるイランの軍人が行っており、米軍に対してイラク政府側から支援要請がなかったという経緯があったからです。 イラク戦争後、「民主的な」プロセスを経て成立した政府がシーア派系イラク人による政権だったとしても、それが対「イスラム国」戦争を通じてイランの息のかかったシーア派系国家に変質することは、イランの核開発を問題視する米国として、とうてい受け入れられる事態ではないと言えます。 ◆イエメン内戦に見る、「イスラム世界」の厳しい覇権争い イランの影響力が拡大することを受け入れられないのは、米国だけではありません。イランが中東で影響力を拡大するとなれば、サウジアラビアなどスンニ派諸国との緊張が高まる恐れがあります。 例えば、先ごろからシーア派反政府組織による内戦が激化していたイエメンを見ると、同国のハディ暫定大統領がサウジアラビアなど湾岸諸国に軍事介入を要請したため、3月26日よりサウジ軍などからシーア派反政府組織「フーシ」に対する空爆が開始されています。 イランはこのような湾岸諸国による軍事介入に対して、「イエメンの主権侵害に当たる」として非難すると共に空爆の即時中止を求めました。 当のイランは今年、「フーシ」が内戦で優位に立つとすぐに経済使節団を交換していたほか、「フーシ」支配地域と航空機の定期便を就航させるなど、実に「手際の良い」対応をとっています。 イランはイエメンの「フーシ」に対する支援を公には認めていませんでしたが、水面下の支援なくして、とうていありえない対応だと言えるのではないでしょうか。 仮にイエメンとイラク、二つのイラン系シーア派国家が誕生したとしましょう。その時一番困るのは、これら両国に直接南北を挟まれることになる、サウジアラビアだと考えられます。 サウジアラビアは、かつて2011年にトゥルキ・ファイサル王子がイラン、イスラエルと二つの核武装国に囲まれた場合、自らも核武装のオプションを検討せざるを得ないと発言していることから、イランの勢力伸長に対して強い警戒心を持っていることが伺われます。 対「イスラム国」の戦争を通じてイランの影響力が増し、緊張が過度に拡大しないよう、米国としても神経を尖らせているのではないかと推察します。冒頭のウォーレン報道部長の発言からは、そうした印象が伺えます。 ◆中東の平和と安定のために、日本ならではの貢献を 中東情勢が不安定になった場合、原油価格・資源価格の上昇という形で我が国の経済は打撃を受けてしまいます。遠い中東の地であったとしても、中東の混乱を放置するわけにはいきません。 エネルギー安全保障の観点から、シーレーン防衛を固めるのはもちろん必要ですが、重要な点はイスラム圏の意識改革です。イスラム文化の良さを壊すことなく、経済と社会の発展を実現できる日本的な「和の精神」を広めていく仕組みをつくることが必要だと考えます。 具体的には、イスラム圏でも評価の高い日本型の学校教育を輸出し、日本にあこがれを持つ若者を育てること。さらにそのような若者を、留学生として日本の大学に迎え入れ、日本と本国の架け橋となる人材として送り出すという仕組みを作ることです。 戦前、日本が多くの若者の留学を受け入れ、母国を発展させる人材として送り出したことを、もう一段大きなスケールで実行するわけです。 日本経済を発展させた、日本人の商道徳。多様な文化を受け入れ、新たな価値の創造を可能にする和の精神。それらの根本にある日本人の倫理観や宗教観。 こう言った有形無形の文化体験を通じて、日本と中東の架橋となり、母国の発展を後押しできる人材を育てることが重要だと思います。 議論進む新安保法制――実効性ある体制づくりを実現しよう 2015.03.05 文/HS政経塾 第1期卒塾生 彦川太志 昨夏の集団的自衛権・限定容認の閣議決定を受け、安保法制の与党協議が進んでいます。 協議の焦点は「船舶検査」「海外派遣」「集団的自衛権行使の手続き」の3点に絞られていますが、それぞれのテーマで、実効的な安保法制を組み立てようとする自民党の足を公明党が引っ張る姿が浮かび上がっています。 北東アジアの安全保障環境が不安定化する中、わが国は一刻も早く実効性ある安保法制を整備していかなければなりません。今回は、与党協議それぞれの論点について考えてみたいと思います。 ◆船舶検査:大量破壊兵器の拡散をとめられない公明党 安保法制協議で議論される「自衛隊による船舶検査」には、二つのケースが想定されています。 一つは、米軍を攻撃する国に向かう船舶の積荷を検査する場合であり、もう一つは「大量破壊兵器」などの拡散を阻止する場合です。 前者は現行の周辺事態法によって北朝鮮が想定されていますが、後者は密輸入によって核兵器などが拡散していく事を阻止する事が想定されていると言えます。 米韓研究所によれば、北朝鮮が今後5年間で核弾頭を100発程度生産できる能力を持っている事が言及されていますが、もし北朝鮮が核弾頭を完成させれば、それを配備するだけでなく、「お金に換える」であろうことも十分想定できます。 北朝鮮製の核弾頭が世界に拡散することになれば、わが国のみの安全にとどまることなく、世界の平和を揺るがす事態となってしまいます。 現行法では、自衛隊が船舶検査を実施する際は、「船舶が登録されている国(旗国)の同意」、もしくは「国連安保理の決議」があった上で、対象となる船舶の「船長の同意」を得なければならないため、実効性について不十分であることが指摘されています。 たとえるならば、「ドライバーの同意」がなければ、警察は飲酒運転の検査ができない、と言っているようなものです。 このような事情があるため、政府は2月27日の与党協議会で、「船長同意の撤廃」を提案したのですが、与党である公明党が「隊員の命にかかわるような衝突が多くなる」として反対しています。与党間の調整難航を前に、政府も「船長同意の撤廃」自体を撤回しようとしています。(産経3/5) 政府には、現状維持に後退することなく、「船長同意の撤廃」を実行し、真にわが国と国際社会の平和を守れる体制を整えていただきたいと思います。 ◆海外での邦人救出活動を制限する「北側三原則」 また、恒久法化をめざす自衛隊の海外派遣に関しては、公明党の北側一雄副代表が「北側三原則」と呼ばれる三つの原則※を受け入れるよう自民党に迫りました。 ※(1)国際法上の正当性、(2)国民の理解と民主的な統制、(3)自衛隊員の安全確保 ここで出された三原則の提示は、基本的に統一地方選対策と見られていますが、自衛隊の海外派遣を「国連安保理の決議」「国会の事前承認」を前提とした上で、海外での活動範囲の広範化を抑制することに目的があるとしています。 この三原則について、政府は「国会の事前承認」については受け入れ、自衛隊の活動範囲については、「受け入国の同意」を前提とする方針のようです。(産経3/3) また、緊急時は「国会の事後承認」を得ることとし、承認が得られなければ「即時撤収」するというルール作りを検討していますが、政府の想定する「海外派遣」の事例には2013年のアルジェリア邦人人質事件や、1997年のペルー大使館人質事件への対応などが含まれています。 こうしたテロ事件に対処する場合、国内の政局に合わせて現地の事態が進んでくれるわけではありません。 仮に事前承認が得られないまま海外に派遣され、事後承認が得られなかったとしても、1ヶ月程度は撤収まで猶予を与えるなど、配慮が必要ではないかと考えます。 ◆集団的自衛権に基づく「防衛出動」も議論 3つ目の争点は、集団的自衛権に基づく「防衛出動」までの手続きをどうするか、という議論です。 政府は新たに出動規定を設ける提案をしましたが、公明党の「派遣が際限なく広がる印象が強い」との反対があったため、既存の枠組みに昨夏の閣議決定を反映した「存立危機事態」を加える方向になっています。(産経3/5) 大事な点として、自衛隊法の「武器等防護」の概念を当てはめて米軍の艦船等を個別に守るケースと違い、「防衛出動」が発令されるということは、自衛隊が組織として動き、「侵略を撃退する」という意味があります。 2年前に小野寺防衛相(当時)が東南アジアを歴訪した際は、中国の海洋進出の脅威に直面する多くの国々から、わが国の防衛力強化を歓迎する声があがりました(中央公論2013/11号)。 他にも、日本に南シナ海防衛を担ってほしいと米政府高官が発言していることからもわかるように、わが国の安保法制改革は、基本的に好意的に受け止められていると言ってよいでしょう。 戦後70周年を迎えるいまこそ、国内で完結した神学論争に終止符を打ち、憲法9条の改正を視野に入れた、アジアの責任ある大国にふさわしい安保法制を打ち立てるときだと考えます。 宗教政党の強みを生かす…地域防災への取り組みの実例 2015.02.06 文/HS政経塾第一期卒塾生 彦川 太志 ◆天意の現れる国土 初めに、古事記に収録されている大和武尊の和歌を紹介いたします。 「やまとは 国のまほろば 畳(たた)なづく 青垣(あをがき) 山隠(やまごも)れる やまとし美(うるは)し」 これは、日本武尊が遠征の後、都のある大和に帰還した際に故郷の美しさを詠んだと伝えられる和歌です。 たった数行の文章ですが、眺めているだけで「神仏の愛される国・日本」の原風景が想起されてくるような、豊かな霊感溢れる和歌だと言えます。 私たち日本人にとって、この国土の風景は、その時代ごとの「天意」を感じ取る鏡でもありました。 本年は阪神大震災からちょうど20年に当たるということもあり、年初から防災に関心が向く一年となっていく気がしております。 そこで、今回は地元・鎌倉後援会の地域防災への取組について、ご紹介させていただければと思います。 ◆鎌倉後援会の取り組み 2014年10月、暴風と豪雨を伴う台風18号が関東に上陸し、首都圏の広い範囲で水害が発生しました。幸福実現党鎌倉後援会のある鎌倉市内でも、市内各所で水害が発生しました。 特に被害が大きかったのは、JR大船駅の周辺です。折からの豪雨で駅の裏手を流れる柏尾川が増水し、川へ流れる排水が逆流するという現象が起こりました。 幸いにして雨天は短時間で止み、冠水も午後には回復いたしましたが、道路に散乱したゴミの撤去活動や、冠水した商店街のゴミ出し支援活動を鎌倉後援会として実施いたしました。 地域の皆様からの感謝の声に励まされつつ、ボランティア活動の実施後、災害の予防について後援会メンバーが情報収集に取り組み、道路冠水がなぜ起こったか、原因を探りました。 その結果、河川増水による道路冠水への対策は、河川、下水、道路などいくつかの部署に分かれており、統合した対策が立てられていないということが見えてきたのです。 柏尾川は過去2004年の台風でも逆流現象が起こっているため、地域発展の阻害要因となっております。実効的な水害対策が実現されるよう、地域の皆様と協力しながら行政に働きかけて行きたいと考えています。 ◆地域のつながりが防災力の基礎 鎌倉後援会のある大船は、人情の街でもあります。近隣の自治会長は、「向こう三軒両隣的な、人情のある街にしたい」というビジョンを語っておられました。 少子高齢化が進む社会にあっては、少しでも人と人との繋がりをつくっておくことが、防災のみならず、防犯や孤独死対策につながると言えるでしょう。 また、普段からの話し相手をつくることで、若い世代であっても子育てや教育問題について解決の糸口を掴めるかもしれません。 冒頭紹介した、日本武尊の「やまとは国のまほろば…やまとし美し」という和歌も、神仏に愛されるような、「人と人の美しいつながり」を詠んだ歌なのかもしれません。 人間誰しも、「孤独」に勝る苦しみはないものです。東日本大震災で問題となったのも、避難生活におけるプライバシーと孤独の問題ではなかったでしょうか。 「美とは、存在の恵みないし愛なのではないだろうか」という言葉※があります。 宗教政党である幸福実現党は、相手のご意見に耳を傾けることはもちろん、言葉にならない「心の声」にも傾聴する姿勢を持った政党です。 鎌倉後援会は、人と人との温かみある関係が希薄になっていると言われる現代において、少しでも地域の潤滑剤になっていき、美し麗し、大和の国の復活を後押したいと考えています。 ※参考文献 『美について』今村友信 講談社現代新書 道徳の「特別な教科化」に寄せて――学校教育の現場の声 2014.11.06 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 10月21日、中央教育審議会が公立小中学校の道徳の時間を「特別な教科」に格上げするよう、答申を出しました。 この答申を受け、道徳の授業における検定教科書の使用や、数値式でない評価方式の導入などが2018年度より新たな学習指導要領の下で実施される予定です。 本日は、この道徳の「特別な教科化」をめぐる議論について、現場の声も交えながら検証を加え、あるべき道徳教育の姿について提言していきたいと思います。 ◆道徳の「教科化」が求められた経緯-年少者による凶悪犯罪の多発 道徳を正式な教科として格上げする動きは、第一次安倍政権が設置した「教育再生会議」の提言から始まりました。しかし、当時は「子供達の『心の成長』について、点数をつける『教科』化はふさわしくない」という見解から、正式な「教科」への格上げは見送りとなりました。 今回の答申はそうした経緯を踏まえ、点数式ではない評価方式を実施する「特別な教科」として、学校教育法施行規則上の「道徳」の位置づけを変更することになったのです。 そもそも、なぜ道徳を「特別な教科」と位置づける必要があったのでしょうか? その理由として、(1)「他の授業の時間に当てられてしまうことが多い」ことや、(2)「学校や教員によって指導内容や指導方法ばらつきがある」ことが挙げられていますが、本質的には1997年の神戸連続児童殺傷事件や1999年の栃木女性教師刺殺事件、2011年の大津小におけるいじめ自殺事件など、年少者が関わる凶悪犯罪が多発していることに対して、対策が求められたという経緯があります。 いかにして子供達の「善なる心」を開花させるか―。道徳の教科化を考える際、このような本質的な論点を忘れてはならないのです。 ◆いわゆる「平和教育」の押し付けが行われている「道徳」の時間の現状 このような道徳の「特別な教科化」の動きに対して、一部メディアから「思想統制、価値観の押し付けになるのでは」という慎重意見がありますが、すでに教育の現場では、いわゆる「平和教育」の押し付けが行われているという現状があります。たとえば、幸福実現党鎌倉後援会には、次のような市民の声が寄せられています。 ・市内の公立小学校では、中学年の道徳の授業で「サダコの折り鶴の物語」から「平和憲法」へと話の内容を飛躍させ、「修学旅行は広島市に行きたい」という子供達の「声」を引き出す授業が行われています。先生の口調も熱狂的で、憲法に話が移ると「その憲法を今、変えようとしている!」と叫ぶ子供もいます。これは道徳の授業といえるのでしょうか。(鎌倉市内在住、主婦Aさん) こうした授業内容について、相談を受けた教員経験者の方は「どこかで似たような授業を見たことがある。授業というより『主張』であり、おそらく用意された台本があると思う。」とコメントをしています。 つまり、一部のメディアが危惧するような“押し付け”の道徳教育は、すでにいわゆる「平和教育」として行われているというのが現状なのです。マスメディアには、こうした現状もしっかり報道していただきたいと思います。 ◆「検定教科書」の導入だけでは不十分。学校教育の透明性を高めよ しかし、だからと言って「検定教科書」を導入すれば済むという話でもありません。後援会に寄せられた別の声を紹介いたします。 ・「検定教科書」を導入しさえすればいいというわけではないと思います。教科書をまったく使わず、先生が自分が作ったプリントで、まったく反対のことを教えているケースもあります。本当に授業の中身を改善したかったら、プリントまでチェックしないとだめだと思います。(お子様が横浜市内の県立高校に通学中、主婦Bさん) ・政治家や識者の方に、「学校の現場」で何が起こっているか真剣に見て頂きたい。学校が責任を取らないで親に負担を押し付けるようなことが横行している。学校教育が適正に行われているかを社会がチェックする意味でも、もっと開放度を高めないといけない。(逗子市在住、元教員Cさん) 多くの新聞報道でも指摘されているとおり、道徳のような「心」に関する指導力は「国の方針」で上下するようなものではありません。指導力の源泉とは、教師自身の教育に対する使命感と、日々自己研鑽に励む姿勢にこそあるのではないでしょうか。 学校教育の実情を、家庭や社会がチェックするためには、「顧客第一」マインドのもと、学校教育の公開度を上げていく必要があります。 ◆宗教系私立学校にならい、公教育でも「宗教」を積極的に教えるべき 道徳の「特別な教科」化の出発点にあった問題とは、年少者による凶悪犯罪の多発という社会問題でした。 「子供達の「心」を悪事から遠ざからせ、善なる方向に開花させるにはどうすればよいか―。」それを教える真の「道徳」の授業が成立するには、あの世の存在や神仏の愛、天国・地獄の存在という「宗教的教養」をバックボーンとした教育体系が必要不可欠だといえますが、今回の「道徳の教科化」の答申では、宗教的教養の重要性についての検討が十分に行われた形跡は見られません。 しかし、文科省は私立の宗教系学校において、「宗教」の時間をもって「道徳」に変えることを容認しているのですから、思い切って世界の「宗教的教養」を「道徳」の授業で扱う。というぐらいのイノベーションをかけるべきだと考えます。 そうであってこそ、子どもたちを国際感覚に優れる真の「教養人」を育てることにつながるのではないでしょうか。 「自主防衛の気概」が導いた、日米防衛協力のためのガイドライン改定 2014.10.09 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 ◆日米防衛協力のためのガイドライン 10月8日、日米両政府の間で改定交渉が進む、「日米防衛協力のためのガイドライン」の中間報告が発表されました。 「ガイドライン」とは、特に日本の周辺で発生する有事において、日米両政府が取りうる協力体制について、まとめられたものです。 今回の改定の特色は、今夏の集団的自衛権行使容認の閣議決定を反映し、「米軍に対して自衛隊が連携できる内容と範囲が大幅に拡大した」と報道されている点にあります。 このような防衛協力の拡大について、自主防衛に関する日本国民の意識の高まりがあった事を、用語と共に解説させて頂きます。 解説する用語は、「アセット(装備品等)の防護」と、「切れ目の無い、実行的な政府全体に渡る同盟内の調整」です。 ◆「アセット(装備品等)の防護」とは 集団的自衛権の行使容認により、自衛隊は武力攻撃を受ける米軍の軍艦や軍用機、基地を守れるようになりました。 アセット(装備品等)とは、この米軍の軍艦や軍用機、基地のことを指す言葉です。 これで日米安保条約の「片務性」が解消されることとなり、日米安保協力がより強固なものとなりました。 ◆「切れ目の無い~同盟内の調整」 これは尖閣諸島などの離島防衛を念頭に置いたものです。 わが国の防衛について、米軍と自衛隊の役割はこの「ガイドライン」で明確に分担されております。 現行の「ガイドライン」では、以下の3点について取り決めを作っています。 (1) 平素から行う協力 (2) 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等 (3) 日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力 現行のガイドラインの問題は、この3点に含まれない「脅威」については何の取り決めもなされていないため、日米両政権の相性や政治的環境の変化によって、ケースバイケースの対応がありえたと言うことに尽きます。 例えば、(3)の「周辺事態」は、朝鮮半島や台湾有事を想定した「非戦闘地域」での協力を想定したものであり、尖閣諸島についての取り決めではありませんでした。 また、(2)の「武力攻撃」については、すでに戦争が起きてからの話であり、中国公船や漁民が尖閣諸島に上陸を試みるような、「戦争以前」の小競り合いは対象外でした。 何かが起きた時、日米両政府がどう対応するのか、その事前の取り決めがなかったのです。 これがいわゆる「グレーゾーン」であり、ここに目をつけたのが、中国でした。 日米関係が悪く、日本に自主防衛の意志が無い状態にあって、「ガイドライン」の取り決めがない隙間を突けば、日米安保の片務性を暴露することができます。 平たく言えば、「ガイドライン」に含まれない「グレーゾーン」を突けば日米関係を破壊できると踏んで、2010年の漁船衝突事件が起きたのです。 ◆「グレーゾーン」を埋めたのは、自主防衛の気概 漁船衝突事件では、中国船の恣意的な衝突映像を隠蔽しようとした民主党政権に対し、勇気ある海上保安官が情報をYouTubeに公開しました。 これによって、誰の目にも中国による海洋進出の脅威が明らかとなり、幸福実現党の主張する自主防衛の気運が、全国に広がり始めたのです。 このように、全国に広がった自主防衛の気運が、夏の集団的自衛権の行使容認や、今回のガイドライン改定に影響を与えたことは間違いありません。 防衛協力の「グレーゾーン」を埋めたのは、国民ひとりひとりの意識の高まりだったのです。 本ガイドラインの改定について報じる9日の五大紙は、いずれも改定の背後に中国の脅威があることを認めています。 今後は、自衛隊がひとり自国の防衛のみならず、世界の平和と安定のために、積極的な役割を果たす必要がある、と言う論調を主流とさせる努力が必要となるでしょう。 香港の普通選挙要求デモから考える日本の使命 2014.10.03 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 ◆自由な普通選挙の実施を要求する、香港の人々 中国の特別行政区・香港において、2017年から普通選挙が始まる行政長官選挙での「立候補の自由」を求める抗議活動が続いています。 これまで香港行政長官の立候補者は、業界団体の代表者や議員によって構成される「指名委員会」によって選出されていたという経緯があり、事実上、中国共産党の意向に沿わない候補者を門前払いにすることが可能でした。 今回の抗議活動の趣旨は、2017年に実施予定の普通選挙において、「一定数の市民の支持」があれば、誰でも立候補ができる新しい制度の実現を求めたものです。 香港の人々がこのような制度の実現を求める理由は、普通選挙の実施を求める政治活動に対し、強権的取締りを行う中国政府に不信感が高まっていることにあります。 ◆抗議活動の特徴:メディア、国際社会の反応も視野に入れた周到な戦略 今回の抗議活動の特徴は、その活動が極めて「平和的」に行われていることです。報道によれば、民主派のデモ隊は、催涙弾を撃ち込まれるなどの被害を受けながらも暴徒化することなく、平和的な抗議活動を行っています。 今回の活動について、ロイター通信は以下の理由を挙げています。 (1)一人のリーダーが突出し、中国政府による集中攻撃を受けてしまうことを回避している ウォールストリートジャーナルの報道でも、「誰が中心なのか、必ずしも明確でない」という事を取り上げています。たとえば若干17歳の学生運動リーダーとして知られる黄之鋒(ジョシュア・ウォン)は、中国政府から「米国のスパイ」というネガティブキャンペーンを張られていますが、大小のリーダーが複数存在することにより、そのような流言が運動全体の決定的打撃になることはないと言えます。 (2)暴力的な抗議活動を避けることで、中国政府による武力鎮圧を回避している。 直近では、本年5月には、香港のTV取材を受けた中国政府の元高官が、「香港が混乱に陥った場合、中国は香港に戒厳令を布告する権限がある」という警告を発したことが報道されています。 このような元政府高官の発言は、「社会秩序の維持、災害救助」に際して、駐留している人民解放軍への支援申請を中国政府へ要請できるとする、1997年に施行された香港の法律に根拠を置いています。デモが過度に暴力的になった場合、戒厳令布告の格好の口実となります。 (3)平和的・組織的デモの方が、民主主義国の支持を受けやすい。 暴徒化しやすい抗議活動を、平和的かつ組織立って統制できている背景には、香港に1400あるプロテスタント教会の約半数が、抗議活動を支援しているからだという説があります。 実際、聖職者が発起人として名を連ねるグループもあり、ある聖職者は、香港における政治的抗議活動について、「文化を守るための戦い」であり、社会主義・唯物論がそれを破壊する性質をもつがために行われている、と公言しています。 10月1日に行われた米中政府首脳の会談において、ケリー国務長官は「香港当局が自制し、デモ隊の表現の自由を尊重することを強く期待する」と表明したほか、オバマ大統領も「米政府は香港民主派デモの状況を注視しており、平和的な対応を期待する」と発言し、民主運動家の活動を擁護していますが、宗教的信条に裏打ちされた民主活動がおこなわれているからこそ、米国も堂々と賛意を表明できるのでしょう。 以上の点を見る限り、香港の活動家の描いた運動戦略は、今のところ功を奏していると言えそうです。 ◆決定的な問題点:出口戦略が不明確 しかし、決定的な問題点として、中国政府と「政治的取引の着地点」を設定できるかどうかが不明確、という点が残っています。 香港の民主活動家たちは行政長官選挙における「自由」の獲得を求めて行政庁長官である梁振英氏に対して辞任を要求しましたが、梁振英氏は辞任を拒否し、学生達と「対話の用意がある」旨を発信しました。 抗議活動は国慶節の休日を利用して行われているため、行政府・中国側は「平日を待つ」という持久戦略を考えていると報道されています。デモ参加者の多くが仕事や学業に戻らなければならない事態が予想されるため、抗議活動の縮小が予想されています。 ◆日本よ、「アジアの自由」の灯を守れ 以上のように、周到な戦略で粘りを見せる香港の民主派抗議活動ですが、意義ある形で収束させるには、国際社会によるもう一段の圧力が必要だと考えます。わが国としては、「アジアにおける自由主義・民主主義の護り手としての立場」を明確にすべく、香港の民主派活動に対する賛意を首相の声明として発表するべきでしょう。 宗教的信条を背景に唯物論・社会主義と戦い、「自由の灯火」を護ろうとする香港の民主派運動を支援することは、安倍首相自身が教育改革においてすすめる「宗教の尊重」と姿勢を一にするはずです。 終戦70周年を控えた今、日本は「アジアの自由」の守り手として、力強く立ち上がるときを迎えているのではないでしょうか。 <参考> 産経ニュース2014.7.27 「正念場迎える香港 「普通選挙」の民意、来月中国側が拒絶の公算 揺らぐ一国二制度」 ロイター通信コラム2014.10.2 香港デモが突く中国政府の「泣き所」 WSJ:2014.10.3 香港の民主化デモ、中国軍が鎮圧の可能性も」 ロイター通信2014.10.3 「香港行政長官が辞任を拒否、「政府庁舎占拠なら深刻な事態」 WSJ:2014 .10 .3 「香港の民主化運動の底流にあるキリスト教価値観」 大東亜戦争終戦の日を迎えて 2014.08.14 文/HS政経塾1期卒塾生 彦川太志 ◆「大義に殉じた」先人に感謝を表そう ちょうど69年前の8月15日正午、昭和天皇の玉音(肉声)を録音した一枚のレコード盤が、日本全国のラジオで一斉に放送されました。 「朕、深く世界の大勢と、帝国の現状とにかんがみ、非常の措置をもって、時局を収拾せんと欲し・・・」という出だしで始まり、大東亜戦争の終戦を全国民に諭旨した「大東亜戦争終結の詔書」、通称「玉音放送」です。 当時、全国の諸先輩方がどのようなお気持ちでこの放送を拝聴していたか、昭和60年生まれの筆者には想像するより他の手段はありませんが、「欧米植民地政策からのアジア同胞の解放」という、自衛戦争・解放戦争としての大義に命をかけておられた先人に対して、感謝と敬意を形に表す一日にしたいと考える次第です。 ◆安倍首相の靖国神社「不参拝」2つの理由 ところで一週間ほど前、安倍首相が8月15日の靖国参拝を見送る方針であるという報道がありました。11月に北京で開かれるAPECで「日中首脳会談」を実現するための配慮であると言われています。 確かに、昨年12月の靖国電撃参拝において、中韓はおろか、米・露・印・独から批判的な反応が返ってきたことを鑑みれば、外交において「安全運転」を志向したいと考えているとしても不思議ではありません。 しかし、政党政治家として無視できない最大の問題としては、「内閣支持率」と「地方選への影響」を心配しているのではないでしょうか。国内を固めなければ、外に打って出ることも難しいものです。 今回は、地方における保守回帰運動の必要性について、レポートしたいと思います。 ◆地方自治体での「保守回帰」運動推進の必要性 まず安倍政権の支持率ですが、各報道機関でばらつきがあるものの50%前後。不支持率については35.1%~41%と報道されており、支持率―不支持率の逆転が近いことが印象付けられてしまいます。 次いで地方選、特に首長選挙では自民系候補の大敗が続いていることから、現政権が地方において必ずしも安定勢力を確保し切れていない。という実態が改めて浮き彫りとなりました。 これらのことから、安倍首相は来年の統一地方選を控え、「保守色を強めることが必ずしも得策にならない」という判断を下している可能性もあります。 地方自治体において、十分に「保守回帰」が進んでいない現状が、安倍首相の靖国参拝に二の足を踏ませているのならば、誰かが「保守回帰」運動を推進しなければなりません。 ◆地方自治における革新勢力の現状とは ところで、地方自治における革新勢力の影響力について、一つの指標となるのが、「自治基本条例」の制定自治体数です。 自治基本条例とは、菅直人元首相が“師”と仰ぐ松下圭一氏による政治理論を基に構想された地方自治理論ですが、その本質は「国家の否定」であり、憲法の下における「地方自治制度の破壊」です。 同条例の制定をタテに、左翼勢力によって議会運営が混乱に陥れられるような事態が現実に報告されています。 そのような危険性を持つ「自治基本条例」を制定する地方自治体数は、全国1797の自治体のうち、その6分の1にあたる308もの自治体に上ります。 松下理論を背景に持つ条例が300以上の自治体で制定され、さらに多くの自治体で審議の俎上に上っているということ自体、地方自治体の「保守回帰」を進める必要性を示していると言えそうです。 ◆明治以来の近代化を再評価し、地方から「保守の風」を起こそう 「保守回帰」とは明治以降の近代史の再評価であり、旧軍関連の歴史の再評価であると考えます。 具体的な例として、戦前から軍港として栄えてきた神奈川県横須賀市を挙げたいと思います。 横須賀市には、記念艦三笠や日米海軍の軍港と言ったスポットのみならず、日本最初の総合工場として名高い「横須賀造船所」が造られたという歴史がありますが、「軍事色が強くなるから」という理由から、観光資源として十分な活用がなされておりません。 実際、「市長が“軍港”のイメージを払拭しようとするあまり、せっかくの観光資源、歴史的遺産を生かしきれていない」という意見が地元からも強く出ているのです。保守回帰を進め、大東亜戦争の意義を正しく評価することは、地方の活性化に間違いなく直結すると考えられるのです。 明治以来、わが国は近代化を進めた結果、「欧米植民地政策からのアジア同胞の解放」という大義を達成しました。靖国に眠る英霊の皆様は、そのような大義を成就するために一身を投げ出し、後世に大きな徳を残された方々です。 安倍首相に置かれましては、どうか表面的なリスクに迷うことなく、大義のもとに靖国参拝を成し遂げていただければと思います。 参考 NPO法人:公共政策研究所 全国の自治基本条例一覧) 自民党政策パンフ:「チョット待て!!“自治基本条例”」 日本政策研究センターHP 月刊ザ・リバティ2011年5月号:嶋田陽一氏寄稿オピニオン すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 6 7 Next »