Home/ 遠藤 明成 遠藤 明成 執筆者:遠藤 明成 HS政経塾 「改憲」は後回しの自民公約 九条の根本改正なくして日本は守れず 2019.06.10 「改憲」は後回しの自民公約 九条の根本改正なくして日本は守れず HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆改憲の熱意に欠ける自民公約 自民党は6月7日に参院選公約を発表しました。 その中では、改憲を「結党以来の党是」とし、「早期の憲法改正を目指す」という方針を明記しました。 しかし、9条に関しては「自衛隊の明記」と書かれているだけで、目新しい内容はありません。 そのほかの緊急事態対応や一票の格差の解決(※)、教育の充実といった項目も、前の公約と同じです。 結局、「改憲」は最後に「添え物」のように足されただけで、首相が掲げた「2020年の新憲法施行」という目標さえも出てきませんでした。 「結党以来の党是」というわりには「改憲への熱意」に乏しい公約でしかなかったのです。 (※参院選「合区解消」と「地方公共団体」の規定変更により「一票の格差」の解消をはかる案) ◆野党の反対で「国民投票法の改正」はお流れに さらに、最近の国会では、憲法審査会の先送りが目立っています。 6月6日は審査会の開催予定日でしたが、立憲民主党が議題に了承しなかったので、開催されませんでした。 与党は、憲法改正の国民投票の不備な点を公職選挙法にならって変えることを提案しましたが、立憲民主党の枝野代表は、今の国民投票法に問題ありと主張し、改正の議論を止めようとしたのです。 枝野氏は国民投票法の制定過程について参考人招致を要求し、自民党は膠着状態の打開を断念。 「国民投票法案」の成立に必要な審査会の日程を確保できないとして、法案成立のための会期延長を否定しました。 結局、国会で議論が進まないのは、立憲民主党などの野党の反対が原因です。 こうした遅々たる歩みでは、先が思いやられます。 ◆改正項目を絞らなければ、早期改憲は困難 野党は、難癖をつけて議論を先延ばしし、改憲を遅らせています。 しかし、それをよく知っているはずの自民党は、公約で4つも改憲の項目を並べました。 4つもあれば、「1つ目はよくても2つ目はだめだ」「2つ目はよくても3つ目はだめだ」などと議論が拡散するので、余計な時間がかかります。 改憲勢力のなかで議論が割れる可能性が上がり、野党が難癖をつける材料も増えるからです。 この通りにすれば、「改憲案に何のテーマを盛り込むか」という論争が紛糾するでしょう。 「国民投票法案の改正」でさえまとまらない国会に、そんな議題をもちこんだら、早期改憲は難しくなります。 ◆国会議員が余計な改憲の議論を増やした 「憲法改正」と聞いた時に、国民の多くがイメージする議題は「憲法9条の改正の是非」です。 自民党は他の項目を増やしましたが、これらが改憲の課題なのかどうかは疑問が残ります。 緊急事態対応については憲法に規定がない国(米国など)もありますし、選挙制度や教育は主に法律で対応する案件だからです。 選挙制度と教育は、九条改憲で国防が強調されるのを薄めるために、追加された項目にすぎないのではないでしょうか。 ◆自民党の改憲案は中身が「不十分」 この「自衛隊明記」案の問題点は、結局、自衛隊は有事に動けない体制のままだということです。 憲法9条から「専守防衛」という原則が生まれ、被害が出たあとに自衛隊が動く体制がつくられています。 例えば、自衛隊の艦艇や航空機は射撃用レーダーを照射されても敵を攻撃できません(※)。 2013年に中国船からの射撃用レーダー照射事件が起きた後、元米国務省日本部長が「米軍であれば、攻撃と判断して反撃する」(ケビン・メア氏)と述べましたが、自衛隊は、それができないわけです。 自衛隊は、防衛出動が出るまでは警察に近いレベルの動きしかできません。 しかし、空自や海自は、ミサイルをもった敵を相手にするので、被害が出るころには、みんな海の藻屑になってしまいます。 ※領空侵犯に対する警告射撃は解釈次第で可能とされる。ただ、射撃用レーダー照射は銃口をつきつけられたようなものなので、警告射撃では自衛できない。ロックオンに対して警告射撃で応えれば、敵はミサイル発射や砲撃を行うので、自衛隊の艦艇や戦闘機のほうが全滅してしまう。 ◆国会に「新しい風」をもたらす幸福実現党 結局、自民党案では、こうした問題は解決できません。 自衛隊を合憲化することと、自衛隊の動き方を変えることは、別の問題だからです。 今の日本では、幸福実現党のみが、憲法9条の1項、2項を含めた全面改正を選挙で訴え続けています。 九条の根本改正がなければ、日本を守れないからです。 改憲の中身を見失った自民党でも、改憲を止めるだけの野党でもなく、根本的な九条改正を訴える勢力が必要とされているのです。 米国務長官が「天安門」を批判 米中対決は「経済」から「政治」の次元に 2019.06.06 米国務長官が「天安門」を批判 米中対決は「経済」から「政治」の次元に HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆香港では「天安門」追悼集会の参加者が1.5倍に 天安門事件からちょうど30年となる6月4日には、香港や台湾で犠牲者を追悼する集会が開催されました。 香港で集会を主催した民主化団体(「香港市民愛国民主運動支援連合会」)は18万人が参加したと発表しています。 (※警察は、参加者は37000人だと発表) 主催者発表での数字では、本年は、昨年よりも65000人増えています。 増えたのは、多くの民衆が、香港の自由の危機を感じているからです。 今夏の議会で、中国への犯罪者の引き渡しを可能にする「逃犯条例」が可決されれば、民主活動家などが「中国送り」にされかねないので、それに反対する人々が集会に参加するようになりました。 ◆台湾では蔡英文総統が天安門事件を批判 台湾でも追悼集会が開催されましたが、特に注目すべきなのは、蔡英文総統の発言です。 (※以下、蔡総統のフェイスブックを参照) 「一つの国が文明化されているか否かは、政府が人民をどのように扱い、過去の過ちにどのように対処するかを見ればわかる」 「今年は『六四』天安門事件から30周年だ。幾千もの若者の尊い命が失われた事件の真相や、中国による香港の自由の侵食に、全世界が注目している」 そして、香港の集会に参加しようとした天安門の元学生指導者が空港で入境拒否されたことや、中国の国防相が武力弾圧を正当化したことを取り上げ、共産党を批判しました。 「中国政府は過去の過ちを悔いていないばかりか、真実の隠蔽を続けている」 「私は、全世界の自由と民主主義を求める人々は、こうしたやり方に同意できないと信じている」 さらに、「一国二制度」下の香港で自由が後退していることを指摘。 「民主主義と権威主義とは共存できない」と断じました。 ◆米国務長官が明白に「天安門事件」を批判 そして、米国でも、5月30日の国務省報道官の会見に続き、ポンペオ国務長官が6月3日に天安門事件を批判しています。 「(この事件の)死者数はまだ不明である。我々は、重大な危険にかかわらず、(政府に)説明責任を求めてやまない、勇気ある『天安門の母たち』に、また、いまだ悲しみに暮れている遺族に、心からの哀悼の意を表明する」 「数十年にわたり、米国は、国際社会に入った中国が、より開かれ、寛容になることを望んできた。だが、それらの望みは打ち砕かれた。一党独裁の中国は反対意見を認めず、自らの利益のためには人権侵害も辞さない」 「我々は、権利を要求すべく、勇敢に天安門広場で30年前に立ち上がった中国人民の英雄に敬意を表する。彼らの模範的な勇気に続いて、ベルリンの壁は崩れ、数ヶ月間で東欧における共産主義が終焉した。それらの活動は、世界各地で自由と民主主義を求める次世代の人々を鼓舞し続けている」 「多くの犠牲者を慰めるために、我々は、中国政府に、殺された者や行方不明者についての完全な情報公開を要求する」 「我々は中国に対し、権利と自由の行使を求めて拘束された人々を解放し、宗教や政治的表現をテロと混同する、逆効果のある政策をやめることを要求する」 ※国務長官声明は、ウィグルの人権弾圧も批判 「そこでは、共産党の指導者たちが、組織的にウイグル文化を統制し、イスラム教信仰を根絶しようと試みている。(その計画には)少数民族のイスラム教徒を100万人以上、拘禁することが含まれているのだ」 ◆天安門の象徴”タンクマン写真”をユネスコ世界記憶遺産に 国務長官は、中国の独裁体制そのものを批判しています。 「トランプ政権の対中強硬策は譲歩を引き出すためで、米中貿易戦争はやがて収束する」という見方も根強いのですが、この声明をみると、米中の対決が、今、経済から政治の次元へと移行してきたことが分かります。 しかし、日本政府は、中国の人権状況を懸念している程度にとどまっています。 いまだに「天安門事件の真相究明」をはっきりと要求していません。 日本は、米国や台湾と連携して、中国の人権抑圧を批判すべきです。 幸福実現党は、主要政策で中国の人権侵害を批判するとともに、本年、新たな試みをはじめました。 中国の人権弾圧の実態を世界中の方に知ってもらうために、「『天安門大虐殺』を象徴する「タンクマン写真」をユネスコ世界記憶遺産に登録するために」署名のご協力を呼びかけています。 ■「『天安門大虐殺』を象徴する「タンクマン写真」をユネスコ世界記憶遺産に登録するために」署名ご協力のお願い https://info.hr-party.jp/2019/9099/ これは、釈党首と対談した人権活動家の楊建利氏が始めた運動ですが、こうした試みを通して、中国の民主活動家を支援してまいります。 【参照】 ・TBS NEWS「香港で『天安門事件』追悼集会」(2019/6/5) ・MICHAEL R. POMPEO “Department Press Briefing May 30, 2019″(USDepartment State ) ・蔡英文総統 Facebook ・フォーカス台湾「蔡総統『台湾は民主主義と自由守り抜く』天安門事件から30年」(2019/6/4) 「天安門事件の真相究明」で日米は連携を 2019.06.03 「天安門事件の真相究明」で日米は連携を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆中国は「天安門事件」の風化を目論む 共産党が民主化を求める学生らを武力鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件が起きてから、6月4日で30年となります。 しかし、中国では言論統制が強化され、この事件への言及はいまだにタブーとされています。 この種の「禁止ワード」を削除するために、中国のネット上には「グレート・ファイアウォール」(万里の長城)が築かれ、ついにウィキペディアまでもが遮断されました。 中国共産党は、若い世代が「天安門事件」を知る機会を奪い、この虐殺の記憶を風化させようともくろんでいます。 こうした独裁体制に対して、5月末に米国の国務省から注目すべきメッセージが出されたので、その抜粋を紹介してみます。 ◆米国務省報道官が「天安門事件」をめぐり、中国を批判 5月30日、米国務省のオータガス報道官は記者会見で、天安門事件30周年をめぐる言論統制を厳しく批判しました。 「平和的な抗議者への徹底的な虐殺が行われたことを、我々は忘れてはならない」 「我々は、悲劇的に失われた無実の命を思い起こし、今までと同じく本年も、その遺族のために哀悼の意を表明する」 「米国は、他の国々や国際社会とともに、(中国に)殺された者、拘禁された者、行方不明者を完全に明らかにすることを求めている」 「我々は、天安門広場の記憶を(社会に)存続させようとしたことで投獄された人々の釈放を要求する。そして(天安門の)デモ参加者と家族への継続的な嫌がらせや威嚇を終わらせることをも求めている」 「それは、中国共産党による、組織的で恐るべき虐待であり、我々がこんにち世界で目撃したものの中で、非常に悲しむべき事件の一つだ」 ◆日本政府は「天安門事件30周年」に沈黙を守るのか しかし、日本政府は、天安門事件について、中国に真相究明や運動家の釈放などを求めていません。 それは、18年11月の訪中以来、「日中友好」が強調されているためですが、もっと遡ってみても、政権発足以来、天安門の真相究明を求めたことはありませんでした。 要するに、この問題については、はじめから腰が引けているのです。 安倍首相は、2014年の「雨傘革命」の時も「対話が実現し、それを通じて事態が平和裏に収束することを望んでいる」(2014/10/8、参院予算委)としか言えていません。 今の自民党には、中国の人権問題を批判する勇気を持った政治家はいなくなったようです。 ◆日米で連携し、国際社会と共に「天安門事件の真相究明」を求めるべき 「天安門の真相究明」については、今から四年前(2015年)に、スペインの記者が中国の報道官を詰問したことがありました 「中国は日本に歴史を正視しろと求めています。それでは、中国はいつになったら天安門事件の歴史を正視するのですか」(スペインEFE通信社のパロマ・アルモゲラ記者)。 これは、極めて理にかなった質問です。 こうした中国の人権弾圧に関しては、日本や米国だけでなく、世界各国に憤る人々がいます。 そうした自由民主主義者の声を代弁すべく、日本は声をあげるべきなのです。 ◆主要国が沈黙すれば、独裁国は人権侵害をやりたい放題 国際政治においては、結局、パワーを持つ「大国」以外は無力なので、日本や米国などの主要国が沈黙すれば、独裁国の人権弾圧を止められるものは何もありません。 そのため、世界の先進国には、独裁国の人権侵害に対抗する責務があります。 14年に香港で雨傘革命が起きた頃、最後の香港総督を務めたクリス・パッテン氏は「世界の国々は民主主義と人権で中国に対抗することを恐れてはいけない」と述べていました。 近代化された軍隊を持つ独裁政権を市民が倒したり、人権侵害をやめさせたりするには、大国の支援が必要だからです。 こうした観点から、幸福実現党は、中国の人権侵害に抗議し、国際社会に自由の危機を訴えるべきだと主張してきました。 【参照】 ・USDepartment State”Department Press Briefing May 30, 2019″(MORGAN ORTAGUS, DEPARTMENT SPOKESPERSON) ・NEWSポストセブン「天安門事件を正視しろ」習近平を叱責したスペイン美人記者(2015.6.23) ・産経ニュース「香港デモの平和裏な収束望む」 参院予算委で安倍首相(2014.10.8) ・産経ニュース「人権で中国に対抗を」 最後の英香港総督がメッセージ(2014.11.21) 【NHK料金】国民に解約の自由がないのはおかしい 2019.06.02 【NHK料金】国民に解約の自由がないのはおかしい HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆NHKもTV番組をネットで同時配信が可能に 5月29日、NHKのテレビ番組をネットでも同時配信を可能にすることを盛り込んだ「改正放送法」が成立しました。 今まで同時配信できるのは民放だけだったのですが、2020年のオリンピックに合わせて、NHKもこれが可能になりました。 これに対して、民放連(日本民間放送連盟)は、NHKがネットに業務を拡大するのは「民業圧迫」になると反発しています。 民放各局の収入源は、スポンサーからの広告収入等ですが、NHKは法律で支払いが定められた「受信料」で賄われているからです。 そのため、民放連は、NHKのネット業務の範囲に上限(*受信料収入の2.5%以下)を定めるべきだと主張しています。 ◆国会議員もマスコミも公共放送の問題点はスルー 国会では、改正放送法に対して、自民党、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本維新の会、希望の党、社民党などが賛成しました。 マスコミは、監査委員会のチェック機能強化(不祥事対策)、情報公開による透明性の確保といった法改正の要旨を報じたものの、公共放送の問題点については、あまり言及していません。 その問題点というのは、現代では「公共放送が必要な理由」が揺らいでおり、料金徴収の仕組みが時代遅れになっているということです。 ◆「公共放送が必要な理由」の根拠は怪しい NHKは、受信料で成り立つ公共放送は、国家に直接支配されず、民放のようにスポンサーに左右されないので、独立した放送が可能だと主張しています。 独立した立場で「公」のための放送を行うことが、公共放送の意義だとされているのです。 しかし、その実態は、建前と一致していません。 例えば、NHKの紅白歌合戦では、広告代理店や芸能事務所と密接な関係が築かれています。 大河ドラマでも、役者は芸能事務所を通じて確保しますし、プロモーションには広告代理店が関わります。 番組を通じて利害関係が生まれるので、実際のNHKは、自分たちが主張するほどには、独立できていません。 「特定の利益や視聴率に左右されず」(NHK)と書きながらも、NHKが毎年、紅白歌合戦や大河ドラマの視聴率を気にしているのは周知の事実です。 (※今年の大河ドラマ「いだてん」は視聴率一桁が続き、年間放映が危ぶまれている模様) また、公的な情報の配信も、大部分は民放で可能です。 例えば、大地震の際には民放でも予定を変更して緊急報道を行っています。 ネット記事や動画、SNS、携帯アプリなどの媒体が増えたので、緊急情報はテレビ以外でも入手できます。 公的な情報の配信は、もはやNHKだけが担っているわけではないのです。 ◆時代遅れな料金徴収システム NHKの受信料については「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(放送法64条)と定められています。 これは、テレビが広まり始めた頃にできた制度なので、現代では、もう古くなってきています。 1950年代は民放が少なく、主な番組がNHKから提供されていたので、「テレビを設置するがNHKは見ない」という人は稀でした。 しかし、今は多チャンネル化が進み、選択の自由の幅が広がっています。 WOWOWのようにスクランブルをかければ受信料を払った視聴者に限って番組を提供できるので、「受信設備を買ったらNHKと契約しなければいけない」というルールを強要する必要性はなくなっています。 ◆NHKとの契約・解約を自由にしたらどうなる NHKがいう「公共放送が必要な理由」が妥当かどうかは、「契約・解約」を自由に国民が選べるようにすればわかります。 NHKの主張が理にかなっているのなら、多くの国民は契約を維持するはずです。 しかし、納得できなければ、多くの国民がNHKを解約するでしょう。 これは、高度な価値判断が問われるような問題ではないので、国民に選ばれるかどうかで、NHKの主張の是非を判断できます。 放送法を根拠にしなければ存続できないのなら、NHKには、国民を納得させられるだけの「中身」がなかったと考えるべきなのです。 ◆本当に「公共放送」が必要かどうかは、国民に選ばせればわかる NHKは「公共放送」という建前を掲げ、憲法で認められた「契約自由の原則」に対する特別扱いを求めています。 しかし、その業務の多くは民放でも代替できますし、その経営実態と建前の間には、ギャップが生まれてきています。 そのため、今後のNHK改革の方向性としては、まず、NHKに関して、国民に解約の自由を認めることが大事です。 それでNHKが潰れても、民放に対して、非常時に公の放送を優先すべきことを、法律で強く義務づければ済むのではないでしょうか。 (※NHK改革には「民営化」という道筋もありえます。これは、民放と競争条件を同じにして「広告容認+独自コンテンツの活用」で放送局としての独自性を追求するという選択肢です) 日米貿易交渉を契機に農政の大転換を 2019.05.31 日米貿易交渉を契機に農政の大転換を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆日米経済協議の中で農業は重要分野 5月に訪日したトランプ大統領は、日米貿易交渉の結果について、「8月に発表ができると思う」と述べました。 この交渉が本格化するのは参院選後となる見込みですが、そのなかで、日本の保護農政のあり方は、大きな争点の一つになっています。 日本では、自由に競争が行われている農産物と、高関税などで保護される農産物との差が大きいので、特に後者が問題視されているのです。 ◆米国が交渉を急ぐ背景 米国の通商代表部(USTR)は、日本には、牛肉や豚肉、コメ、小麦、砂糖、かんきつ類などに「貿易障壁」があると批判しています。 --- 【米国から見た「貿易障壁」の例】 ・コメ:輸入分のほとんどが加工・飼料用や食料援助用となり、消費者に提供されない ・小麦:小麦輸入は国家貿易 ・豚肉:差額関税制度(国内販売価格より輸入価格が安い場合、差額分が関税扱いとなる) --- 米国はTPPを離脱したため、現状ではFTAの恩恵を受けられず、TPP11の国々よりも高い関税がかかっています。 例えば、米国産牛肉には36%の関税がかかりますが、TPPに加盟している豪州・カナダ・ニュージーランド・メキシコの牛肉は27.5%です。 そのほか、日欧FTAも発効したので、欧州の農産品も関税削減が始まっています。 結局、現状は米国農産品に不利なので、トランプ政権は交渉を急いでいるわけです。 ◆日米協議についての安倍政権のスタンス 米国はTPPよりも有利な条件を勝ち取るために、TPPを離脱しました。 「(米国は)TPPに参加しておらず、縛られていない」(トランプ大統領 5/27) しかし、安倍政権は一方的にTPPを離脱した米国を他国よりも優遇できないと考え、「TPPと同水準」で日米貿易交渉をまとめようとしています。 安倍政権は、選挙で農業票を失いたくないので、「コメや麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖」などの関税は譲れないと考えているのです。 ◆減反と高関税でコメの消費者負担は重くなる しかし、高関税は輸入品の値段をあげ、消費者に負担を強いるので、国民全体の利益を損なっています。 農政アナリストの山下一仁氏は、生産量を減らす「減反」と「高関税」でコメの値段が上がり、年間6000億円もの国民負担を生んでいると指摘しています。 マスコミ報道では、「安倍政権が減反を廃止した」ことになっていますが、この種の補助金は、違った形で支払われています。 減反補助金と、2010年度に始まった戸別所得補償を足すと、年間で4000~5000億円の規模になっていました。 この補助金の配分が2013年に変わり、普通のコメのかわりに飼料米などをつくる農家への補助金が強化されたのです。 農政の体質は変わっていません。 (2019年予算では「水田活用の直接支払交付金」 が3215億円。これに他のコメ農家支援の項目が追加される) 山下一仁氏は、4000億円以上の補助金に高米価がもたらす6000億円の消費者負担を足すと、国民は毎年、1兆円以上の負担を強いられていると試算していました。 ◆保護農政の結果、主業農家は農地規模を十分に拡大できず 減反が始まった1970年に農地は580万ヘクタールありましたが、2017年には444万ヘクタールにまで減りました(23%減)。 1968年に1445万トンあったコメの生産量は、2017年には782万トンにまで下げられています(46%減)。 本来は、自由競争の中で農産物を増やし、余った分を輸出すべきなのに、コメ農政はその逆になっています。 この政策は「自給率の向上」を目指す農林水産省の方針とも矛盾します。 自民党や公明党は、農業だけでは食べていけない兼業農家の票を得るために、補助金行政を続けてきました。 その結果、自由競争に任せれば農業をやめて土地を貸し出す層までが保護されたので、主業農家は農地を十分に拡大できなかったのです。 ◆コメ農政の大転換を 農業では、「規模を大きくして生産コストを下げる」という規模の経済が働きます。 しかし、日本では、そのメリットを活かせませんでした。 そのため、幸福実現党は、生産調整に伴う補助金を廃止し、主業農家の生産量を増やそうとしています。 生産量が増えれば、農産物の価格が下がるからです。 また、輸出できるほど農産物を増やせば、非常時に輸出分を自国消費に回せるので、食糧安全保障は強化されます。 日本は、トランプ政権との日米交渉を契機に、農政の大転換を行うべきです。 幸福実現党は、立党以来、生産調整(減反)の廃止と大規模化の推進を訴えてきました。 家計を楽にするために、生産を増やし、安いコメが買える農政を実現してまいります。 【参照】 ・外務省「2019年 USTR外国貿易障壁報告書(日本関連部分概要)」 ・農林水産省「平成29年度 農林水産白書」 ・農林水産省「米をめぐる関係資料」(平成30年7月) ・山下一仁著『日本農業は世界に勝てる』(日本経済新聞出版社) 公務員平均給与は678万円 民間平均は432万円 この差は何? 2019.05.29 公務員平均給与は678万円 民間平均は432万円 この差は何? HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆増税を予定しながら、自公政権は5年連続で公務員の給料を増やした 2019年には消費税10%への増税が予定されていますが、不思議なことに公務員の給料は伸び続けてきました。 18年11月には、平均年収を約3万円増やし、678万3000円とする改正給与法が成立しています。 これで、5年連続の給料増となることが決まりました。 ◆平均給与「公務員VS上場企業」の結果は? 政府の言い分は、好景気が続いてきたので、公務員も「民間並み」に昇給したということです。 しかし、その説明に納得できる人がどれだけいるのでしょうか。 東京商工リサーチによれば、2018年3月決算をもとに計算した上場企業(1893社)の平均年間給与は620万8000円です。 今の公務員は、厳しい上場基準をクリアした企業よりも、1割ほど高い給料をもらっていることになります。 さらに、民間の平均給与をトータルで見ると、2017年は432万円でした。 (*民間給与実態統計調査〔平成29年度〕。現在、17年の値が最新) これは、正規・非正規と男女の双方を含めた約4900万人の平均値です。 4900万人の23%が非正規社員なので、金額は低めになる分は割り引いて考えるべきですが、公務員とは250万円近い差がついています。 ◆「赤字続きで昇給」というのは、民間ではありえない 今の日本は「財政赤字を増やし続け、国民に増税をお願いしながら、公務員の昇給を続ける」というおかしな政治が続いています。 「中央政府と地方を足すと、1100兆円もの赤字がある。だから、増税が要るんだ」 「子供や孫の世代に国の借金の負担を先送りしてはいけない」 それが増税の理由だったのに、安倍政権は、5年連続で公務員の給料をあげています。 2013年に616万円だった平均給与が、19年には678万円にまで上がるのです。 しかし、民間では、赤字を積み重ねながら毎年昇給を続けるような経営を続けていたら、悲惨な未来が待ち受けています。 ◆政府に「経営の思想」を入れたら、どうなるのか この問題について、幸福実現党・大川隆法総裁は、20年前から人件費の拡大と不採算部門の肥大化に警鐘を鳴らしていました。 「財政赤字の場合、公務員は、ボーナスや退職金をもらえたり、年功序列で給料や地位が上がったりすることを、当たり前と思ってはならないのです」 「財政を再建するためには、将来的にも税収が見込める分野に予算を重点的に配分する一方で、将来的には成長が見込めず、単に税金のたれ流しになっている分野を縮小していくことが必要になります」 (※『繁栄の法』幸福の科学出版刊 この発言は1998年1月) ◆「小さな政府、安い税金」で民間が自由に使えるお金を増やす 大川総裁の考えは一貫しており、5月22日にも「消費税をあげていくなら、省庁を一つずつ減らすなど、目に見えるかたちにしてくれないと、納得がいかない」と政府を厳しく批判しました(「令和元年記念対談」)。 (※詳細は「幸福実現NEWS 2019年5月23日 特別号」を参照) それは「小さな政府、安い税金」を実現し、民間が自由に使えるお金を増やしたいと考えているからです。 「政府が国民からお金を集めて使うよりも、国民や企業が自分で稼いだお金を使ったほうが、有効な使い道になる」というのが、自由主義経済の基本です。 幸福実現党は、この精神に沿って、消費税5%への減税や政府のスリム化(組織や事業の見直しや公務員給与の適正化など)を進めてまいります。 【参照】 ・時事ドットコム「改正給与法が成立=国家公務員、年収3万円増」(2018/11/28) ・東京商工リサーチ「2018年3月期決算『上場企業1893社の平均年間給与』調査」(2018/8/3) ・国税庁企画課「平成29年分民間給与実態統計調査結果について」(平成30年9月) ・J-CASTニュース「公務員給与の削減終了 わずか2年、『身を切る姿勢』はどこにいった」(2013/11/30) ・大川隆法著『繁栄の法』幸福の科学出版刊 ・幸福実現NEWS「大川隆法党総裁・釈量子党首〈幸福実現党立党10周年・令和元年記念対談〉『君たちの民主主義は間違っていないか。』を開催」(2019年5月23日特別号) 「大義なき自公」「反対のみの野党」には任せられない 2019.05.25 「大義なき自公」「反対のみの野党」には任せられない HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「大義」の中身を語れない自民党 菅官房長官は、5月17日に続き、20日の会見で、内閣不信任案の提出は解散の大義になりえると述べました。 ――― 「(会見の質問は)内閣不信任決議案が提出された場合に解散の大義になるか、ということだった。私は当然なり得るだろうと話した」(時事通信 5/20) (それは)「制度上の問題だから、当然ではないか」「首相が解散すると言えば、解散する。しないと言えばしない…まさに首相の専権事項だ」(日経電子版5/20) ――― この発言を見ると、解散に至るまでの「制度」を説明しただけで、「大義」の中身は述べられていないことがわかります。 本来、政治家にとっての大義は、国民のための政策実現を意味するのに、菅長官は何も政策を語っていないからです。 「増税延期が解散の大義になる」という方もいますが、今年は参院選で民意がわかるので、解散の必要はありません。 「増税延期」を参院選で訴え、結果を見た後に是非を決めることができるからです。 そのため、昨今の解散風は「野党が劣勢である間に議席を確保したい」という自民党の事情から生まれてきたものだといえます。 結局、自民党は、国民に必要な政策の議論なしに「解散」を進めたいという下心を「大義」という美しい言葉で隠しているのです。 ◆「野党候補の一本化」=「談合」による候補者の決定 いっぽう、支持率低下が目立つ野党は戦々恐々としています。 NHK世論調査(5/10~12調査)によれば、政党支持率は自民党と公明党で38%あるのに、反安倍政権を掲げる勢力は10%以下です。 ――― ・自民党は35.2%、公明党は3.1%。中間勢力の日本維新の会は2.9% ・立憲民主党は4.8%、国民民主党は0.7%、共産党は3.2%、社民党は0.6% ――― そのため、野党は候補者の一本化を進めています。 5/21には、共産党が参院選で20人の候補予定者を取り下げる方針を固めました。 そうすることで、立憲民主党や国民民主党などとの連携を進める体制をつくっています。 この「一本化」によって、野党の支持者は「違い」を選べなくなります。 「共産党は嫌だ」と思っていても、「安倍政権を許さない」というだけの理由で統一候補に票を入れるしかなくなるわけです。 これは、「議席を減らしたくない」という野党の事情で、有権者に「思想・信条の自由」に沿った投票を行う選択肢を奪っています。 共産党などの左派陣営は、自民党を土建屋と密着した「談合政治」だと批判してきましたが、自分たちは「談合」によって有権者の投票先を減らしているのです。 野党連合が目指す民主主義では、談合で有権者の選択肢を減らしても構わないのでしょう。 それは、候補者と有権者の思想や信条などはどうでもよく、党利党略だけで有権者の投票先が決められる政治なのです。 ◆幸福実現党が示す「新しい選択」とは 今の与野党は、選挙を自分たちの党利党略を実現する場ととらえています。 しかし、幸福実現党は「大義なき解散」や「政党の談合による候補者選び」で勝者が決まるような政治でよいとは考えていません。 幸福実現党は、日本に「自由・民主・信仰」といった価値観を打ち立て、本物の民主主義を実現したいと考えているからです。 幸福実現党は、あくまでもこの大義を尊び、この価値観に反する政党とは手を組みませんでした。 また、立党以来、消費税増税に反対し、今は5%への減税を訴えています。 北朝鮮の核ミサイルや中国の軍拡にも、立党の時から警鐘を鳴らしてきました。 立党から10年の間、変わらぬ理想と政策を訴え続けてきたのです。 それは、大義も政策も見えない政治の中に「新しい選択」を示すための試みでした。 「大義なき解散」をはかる与党でも、「反安倍」しかメッセージのない野党でも満足できない方の受け皿であり続けてきたのです。 幸福実現党は、立党10年の今年も、減税と国防強化を訴え続け、国民に「新しい選択」を訴え続けてまいります。 【参照記事】 ・時事ドットコム「菅官房長官、解散『大義』再び発言=内閣不信任案提出なら」(2019/5/20) ・日経電子版「不信任案提出は解散大義 菅氏『制度上、当然』」(2019/5/20) ・「NHK世論調査 政党支持率」(NHK選挙WEB 2019年5月) ・毎日新聞「共産が20選挙区で取り下げへ 参院選1人区 野党候補を一本化」(2019/5/21) オーストラリアで与党勝利のサプライズ 日米豪の連携強化へ 2019.05.21 オーストラリアで与党勝利のサプライズ 日米豪の連携強化へ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆豪州総選挙で与党が辛勝 5月18日に行われたオーストラリアの総選挙は、保守連合(国民党+自由党)が労働党に勝利しました。 自由党では2018年に内紛が起き、ターンブル前首相が失脚。スコット・モリソン氏は国民の審判を仰がずに首相となったので、総選挙は厳しい戦いでしたが、続投が決まりました。 労働党に有利な数字が並んでいた数か月の世論調査をくつがえすサプライズが起きています。 親米路線を取り、中国のファーウェイ社(華為技術)排除にもいち早く協力した保守連合が勝利したことは、同じく米国との同盟を重視する日本にとっても朗報だといえます。 ◆注目点(1):豪州の外交路線は親米でまとまる 日本から見た時に、今回の豪州選の最大の注目点は、与野党の外交路線です。 モリソン首相と労働党党首の路線が真逆だったので、政権が交代すれば、外交路線が変わる可能性があったからです。 労働党のビル・ショーテン党首は「中国の台頭を歓迎」しており、その台頭を「脅威」ではなく、「チャンス」と捉えていました(※1)。 そして、トランプ大統領に対しては、2016年に「自由世界の指導者に全くふさわしくない」とまで酷評していたのです(※2)。 しかし、保守連合を率いたモリソン首相はトランプ大統領と連携して中国のファーウェイ社の排除を主導。 カナダと豪州、ニュージーランドがいち早く米国に賛同し、これに日本も同調したことで、米国の影響力が世界に印象付けられたといえます(英国は19年4月に全面排除を撤回)。 米中の経済対決は、双方が賛同する主要国の数を競っているので、このたびの保守連合の勝利には、非常に大きな意義があります。 ◆注目点(2):中国包囲網の「豪州切り崩し」は困難に この保守連合の勝利を悔しがっているのは、中国でしょう。 ファーウェイ排除の厳しい網の目を破るために、中国は「豪州の切り崩し」を狙っていたからです。 豪州の貿易において、中国は輸出の3割(30.6%)、輸入の2割(18%)を占めているので、労働党政権ができたら、これを用いて対中政策をくつがえせる可能性がありました。 (※3:出典は外務省HP「オーストラリア基礎データ」) それが必要だったのは、トランプ政権が5月15日に大統領令で安全保障上の脅威と見なされた企業が米企業に通信機器を販売することを禁止したからです。 ファーウェイ社はその中に含まれただけでなく、製品供給も事実上、禁止されるブラックリストに載せられています。 これが完全に実施されれば、ファーウェイはソフトウェア更新やメンテナンス、ハードウェアの交換ができなくなり、経営危機に直面するはずです。 そのため、中国は英国に続いて「豪州切り崩し」を狙っていましたが、それは、今回の選挙で難しくなりました。 ◆注目点(3):労働党のCO2削減案は予期したほどの支持を得られず 3番目に大きな注目点は、豪州のエネルギー政策です。 今回の選挙では、与党も野党もインフラ投資による雇用拡大を掲げており、経済では意外と共通点がありました。 (※ただ、最低賃金の引上げや低所得者減税、富裕層や大企業への課税強化などを訴える労働党のほうが「格差是正」色が強い) しかし、最も大きな違いが分かれたのは、エネルギー政策です。 石炭の産地である豪州は火力発電が8割を占めているので、保守連合は地球温暖化対策にはやや消極的でした。 (※保守連合のCO2等の削減目標は2030年までに2005年比で26~28%削減) これに対して、豪労働党は2030年までに温暖化ガス排出量を45%(2005年比)削減することを公約したのです。 そのために再生可能エネルギーの拡大をうたったのですが、これを実現した場合、火力発電にブレーキがかかり、再エネ用の設備投資や温暖化対策費がかかります。 これに対して、モリソン首相は「コストを明らかにせよ」と批判していました(※4)。 結局、労働党は予想したほど支持されなかったのですが、「火力で十分なのに、なんで再生可能エネルギーがそんなに要るんだ?」という疑問が出てくるのは、きわめて当然のことでしょう。 ◆日米豪でさらなる連携強化を オーストラリアは、日本にとって欠くことのできない友好国です。 同じ自由民主主義国で、ともに米国を同盟国としているだけでなく、わが国は石炭の7割(71.5%)、天然ガス(LNG)の3分の1(34.6%)をオーストラリアから輸入しています。 日本は原油の9割(86%)を中東から輸入していますが、豪州も、違った意味での資源安全保障上の要地なので、失うわけにはいかない友好国です。 また、米国にとっても豪州は秘密情報を共有する五カ国(ファイブアイズ)の一員です。 イギリスとカナダ、オーストラリアとニュージーランドは、米国の同盟国の中で、もっとも親密な国々に位置づけられています。 米海兵隊は豪州のダーウィンに拠点を構え、中国の海洋進出に睨みを利かせています。 グアムと、グアムの北にある沖縄、南にあるダーウィンに米軍が展開することで、東南アジアから日本までのシーレーン(海上交通路)が守られているのです。 (※5:日本の化石燃料の輸入比率は「日本のエネルギー2018」(資源エネルギー庁)を参照) すでに、トランプ大統領からモリソン氏の勝利への祝辞が届いていますが、今後、日米豪が安全保障と経済面で連携を強化し、中国の覇権拡大に対峙していくことが大事だといえます。 【参照】 ※1:ニューヨークタイムズ Bill Shorten Wants Australia to Embrace China. But at What Cost? (By Jamie Tarabay, 2019/5/15) ショーテン氏は“I welcome the rise of China in the world”と述べていた。NYTは he saw China not as a “strategic threat,” but as a “strategic opportunity.”と指摘。 ※2:ガーディアン Australian opposition leader Bill Shorten to declare Donald Trump ‘unsuitable’ to lead US (2016/10/11) 原文は entirely unsuitable to be leader of the free world ※3:2017/18年の「財・サービス」輸入。出典は外務省HP「オーストラリア基礎データ ※4:ガーディアン “Australian election… 憲法成立時に反対した共産党が、なぜ護憲を語るのか 2019.05.02 憲法成立時に反対した共産党が、なぜ護憲を語るのか HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆共産党は日本国憲法ができる前、9条に反対していた 5月3日の憲法記念日が近づくと、共産党は、いつも「護憲の政党」であることをPRしています。 しかし、我々日本人にとって、思い出すべき事実があります。 それは、憲法9条ができた時、野党だった共産党は、反対していたということです。 当時、共産党を代表し、野坂参三氏が国会で反対の演説を行いました。 「憲法案第二章は、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危くする危険がある、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない」 (※ここで言っている「第二章」は9条第2項のこと) 当時、共産党は「日本人民共和国憲法」を世に訴えており、そこでは自衛権を放棄していなかったのです。 「すべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない」 これは、戦力を持つことも自衛戦争を行うことも可能な条文でした。 当時、そう訴えた共産党が、なぜか、今、護憲の旗を掲げているのです。 ◆日本国憲法は「共産党を除く大多数」の賛成でできた 日本国憲法は、実は、共産党を除いた、全政党が賛成してできた憲法でした。 「共産党を代表して野坂参三君より反對意見を述べられ、採決の結果、共産党を除く大多数を以て委員長報告の通り可決せられました」(自民党・芦田均氏) 共産党は、なぜ、かつての主張を捨てて、「憲法9条を守れ」と訴えるようになったのかを、しっかりと国民に説明していません。 元委員長の不破哲三氏は、2000年に「日本人民共和国憲法」を「歴史的文書」として切り捨てました。 これは今後の「基準」にならず、共産党の行動を「拘束」しないと言っていたのです。 単なるご都合主義としか思えません。 ◆野党にも本心では「九条ではまずい」と考える人がいる どうやら、護憲を掲げる野党の指導者でも、九条に問題を感じたりすることはあるようです。 そうでなければ、こんな主張が出てくるはずがないからです。 しかし、「護憲の政党」という看板が掲げられると、そうした発言はしにくくなります。 その矛盾に堪えきれなくなると、他の政党に鞍替えたりしたりする人が出てくるのでしょう。 ◆護憲派の主張は、もはや「ファンタジー」 実際のところ、護憲派の主張は、現実離れしたものばかりです。 その典型は「軍隊は国民を守らない」「日本が戦争を放棄し、非武装を貫けば、外国は攻めてこない」「日米同盟で米国の戦争に巻き込まれる」などという考え方です。 これは、中国の軍拡や北朝鮮のミサイル実験から目を背けています。 しかし、それは歴史的な事実から見て、間違っています。 例えば、チベットは十分な軍隊がなかったので、中国共産党の支配下に置かれてしまいました。 非同盟のスイスは、徴兵制を敷き、「自分の国は自分で守る」国を維持してきました。 こうした現実は、護憲派の主張が、世界の実態とは合わないことを教えてくれます。 彼らにとっての脅威は「安倍政権」であり、中国や北朝鮮の軍隊ではないようです。 これは幻想なのですが、その夢をみている方は、北朝鮮が何度ミサイル実験を行っても、いっこうに目を醒ましてくれません。 ◆ぶれずに筋を通しているのは、幸福実現党のみ こうした平和ボケの夢から目をさましていただくためには、憲法9条の改正案が必要です。 しかし、自民党の改憲案は、昔よりも後ろ向きになりました。 現行の九条の条文を残して、そこに自衛隊の根拠となる条文を入れればよい、という程度のスタンスです。 九条の根本改正を訴える政党は、国会には、もうありません。 ぶれずに九条の根本改正を訴えているのは、幸福実現党だけです。 幸福実現党こそが、日本を守る真の保守政党なのです。 【参考】 ・帝国議会会議録データベースシステム「90-衆-本会議-35号(回)昭和21年08月24日」 ・国会図書館「日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)」(一九四六、六、二九発表) ・不破哲三「日本共産党の歴史と綱領を語る」(日本共産党創立78周年記念講演会、2000年7月20日) 憲法論で「筋を通せる」のは、立憲民主党ではなく、幸福実現党 2019.05.01 憲法論で「筋を通せる」のは、立憲民主党ではなく、幸福実現党 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆立憲民主党 枝野代表の憲法論には矛盾がある 日本の安全保障の最大の問題は、憲法9条の改正ですが、これに関しては、共産党のほか、立憲民主党が、近年、抵抗を繰り広げています。 しかし、その代表である枝野氏に関しては、過去と現在の主張に大きな矛盾があります。 その矛盾をマスコミは広く国民に伝えていないので、今回は、その問題を掘り下げてみます。 ◆立憲民主党・枝野代表は2013年に「他国と共同して、自衛権を行使」と主張 民主党が野党になってから約10ヶ月が経った頃、枝野氏は、2013年10月号の『文藝春秋』に「憲法九条 私ならこう変える」と題して「改憲試案」を発表しました。 そこには「我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対して、急迫不正の武力攻撃がなされ」た場合に、「他の適当な手段がな」ければ、「必要最小限の範囲で、当該他国と共同して、自衛権を行使することができる」と書かれていたのです。 これは「集団的自衛権」の行使を認める内容です。 「我が国の安全を守るために」という条件がついているので「限定容認」ですが、その範囲で集団的自衛権が使える文言を入れたわけです。 実際に、枝野氏は、この論文のなかで「個別的か集団的かという二元論で語ること自体、おかしな話です」と書いています。 そして、自衛権の行使は、内容次第で是非を判断すべきだと論じていました。 --- 【具体例】 ・自衛のためでも先制攻撃や報復行為は認めない。 ・日本に照準を向けたミサイルが発射される前には自衛権を使ってよい。 ・日本に米軍基地があるのは「集団的自衛と説明するしかない」。 ・定義が困難な後方支援は「言及する必要がない」(※言及するとそれに縛られ、臨機応変に動けないため) --- この内容は、自民党の方針に近い内容だったので、当時、民主党では保守派だった長島昭久議員も賛成していました。 そのため、この改正案は、共産党から「集団的自衛権の行使に道を開くもの」(市田忠義書記局長〔当時〕)だと批判されていたのです。 ◆「筋を通す」ならば、立憲民主党の旗を下ろすべき しかし、2014年に安倍首相が集団的自衛権の行使を認めると、枝野氏は、反対しました。 本人は、改憲私案は「集団的自衛権の行使を認めたものではない」と言いますが、同盟軍である米軍が攻撃された時に、日本が共同して戦闘に参加するのは、集団的自衛権の行使です。 理解に苦しむ行動ですが、枝野氏は、そのあとに2017年に立憲民主党を立ち上げても、同じく、集団的自衛権の行使に反対を続けました。 枝野氏は、過去と現在の矛盾を、有権者にきちんと説明できていません。 枝野氏は、立憲民主党をつくった頃、「筋を通す」ためだと言っていましたが、実際は、言行不一致の状態が続いています。 筋を通すのならば、2013年に出した、もとの案に戻り、立憲民主党の旗を下ろすべきです。 ◆立党以来、「集団的自衛権の行使」「憲法改正」で一貫している幸福実現党 しかし、幸福実現党には、そのような問題はありません。 立党以来、「集団的自衛権の行使」による日米同盟の強化を訴えてきました。 憲法九条を変え、自分の国を自分で守ることを一貫して主張し続けています。 我々は、票を取りたいがために、平気で矛盾した主張を重ねる枝野氏が率いる立憲民主党とは違います。 しかし、幸福実現党には、そんな迷いはありません。今後も、変わらず、筋を通して、憲法9条の根本改正を訴えてまいります。 【参考】 ・枝野幸男「改憲試案発表 憲法九条 私ならこう変える」(『文藝春秋』2013年10月号) ・しんぶん赤旗「枝野9条改定私案―歯止めどころか集団的自衛権の行使に道を開くもの 市田氏が批判」(2013年9月10日) すべてを表示する « Previous 1 … 4 5 6 7 8 … 11 Next »