Home/ 新着一覧 新着一覧 ASEAN物流の要「ラオス」を守るのは日本しかない! 2016.09.03 幸福実現党・大阪府本部副代表 数森圭吾 ◆急成長するラオス 敬虔な仏教国である「ラオス人民民主共和国」。 2015年には満足度世界一の観光地にも選ばれています。 日本が青年海外協力隊を初めて派遣した国ラオス。1965年に派遣して以来、756人が現地で活躍してきました。 また、ラオスにとって日本は最大の援助国となっており、その支援額は25年間日本がトップとなっています。 ASEAN10ヵ国のなかで最も経済発展が遅れているといわれていたラオスがいま、急成長国家へと変わってきています。 2008年以降ラオスの経済成長率は8%前後を推移しており、周辺国のタイやベトナムと比較しても急成長を遂げているのがラオスなのです。 ◆ラオス進出に必死な中国 このラオスに対して、いま影響力を拡大しているのが隣国の中国。中国のラオス進出が加速しているのです。 ラオスの首都ビエンチャンでは中国資本によって大型開発が行われており、ラオス最大の高層ビルも中国資本によって造られています。 また、ラオス・ミャンマー・タイの国境を含む地域は経済的な地理的重要性から「ゴールデントライアングル」と呼ばれています。 この地域のラオス側国境沿い約3000ヘクタールという広大な土地を、中国人投資家がラオス政府から99年間借り受けるという契約が結ばれました。 ◆中国によるラオス支援の裏側 中国はラオスへの支援を拡大していますが、そこには裏があるといわれています。 ラオス国立競技場にある巨大なスタジアムは中国が無償で建設したもの。しかしこれは完全な支援ではなく、中国は建設の見返りとして首都近くにある1600ヘクタールの土地を50年間開発する権利をラオスに要求しました。 結果、地域住民の生活基盤となっていた湿地帯などが中国資本によって埋め立てられ、経済特区がつくられようとしています。 完成後には5万人の中国人が移り住む巨大なチャイナタウンが出現する予定となっています。 ほかにも中国の昆明からビエンチャンまで走る長距離鉄道の建設もはじまっています。 この大プロジェクトの総事業費は7400億円と巨額になっていますが、なんと建設費用の70%を中国政府が負担し、ラオス負担の残り3割についても中国が低金利で融資するというラオスにとって非常に有利な条件となっているのです。 この背景には中国の習近平が進める巨大計画があります。将来的に中国からシンガポールまで3000㎞におよぶ長距離鉄道を建設し、「21世紀のシルクロードを造る」という計画の一環となっており、ラオスはその要になっているのです。 つまり新たな物流ライン建設においてラオスは中国にとって押さえるべき要所となっているのです。 さらには、2015年11月にはラオス初の通信衛星が中国によって打ち上げられ、これを機に中国はラオスの通信事業進出も狙っているといわれています。 中国がラオスにここまで進出する背景にはラオス国内に眠っているボーキサイトやカリウムなどの資源獲得も大きな理由の一つと言われています。 このような状況の中で、ラオス政府も国民も中国への警戒感を強めています。ラオスのトンシン・タムマヴォン首相は中国に対する危機感を示し、日本政府や日本企業に強い期待を持っているといわれています。 ◆日本企業への期待 過去、電力不足に悩んでいたラオス。ラオス国内では内戦が続き、政治的にも経済的にも不安定な状況でした。 そんななかラオス政府の依頼で日本企業がラオス国内にダム建設を行います。当時内戦中だったラオスにおいて10年以上の年月をかけてダムは完成しました。 その建設ノウハウを生かし、現在では38カ所もの水力発電所が建設され、近隣諸国に電力を輸出も行っていることから「東南アジアのバッテリー」と呼ばれるまでになっています。 そんななか、いま新たにラオスにおいて日本との巨大プロジェクトが進んでいます。関西電力が中心となり、ラオスに「第二のくろよん」建設がはじまっているのです。 その規模は黒部ダム貯水量の10倍にのぼります。さらにラオスには2020年までに80ヵ所のダム建設が計画されています。 これまでASEANのなかでもあまり注目されてこなかったラオスですが、これからはインドシナ半島の物流や電力のハブとなることが予想されます。ラオスへの日本企業進出は2011年から2015年で32社からか78社に急増しています。 長年ラオスへの最も多くの支援を続けてきた日本であるからこそ、日本の技術力を生かし、官民一体となって中国の拡大に対抗していかなければならないと考えます。 12月にプーチン訪日?――ロシアを「中国包囲網」に取り込むために 2016.09.01 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆本年12月で日ソ共同宣言発効60周年 昨今の報道では、プーチン大統領が「日ソ共同宣言」発効60周年を刻む12月に訪日すると言われています。 プーチン訪日の場所は安倍首相の地元・山口県で、詳細な日程は9月2日にウラジオストクで開催される日露首脳会談で決まると見られています。 ◆過去の日露の領土交渉の経緯 9月と12月の会談では、北方領土返還も含めて日露平和条約締結に関する議論が交わされるはずです。 ソ連は北海道の東北にある四島(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)を占領し、戦後も実効支配を続けましたが、この返還交渉は「日ソ共同宣言」でソ連が提示した歯舞、色丹の二島返還論と日本の四島返還論がぶつかり合い、その後もうまくいっていません。 しかし、ソ連崩壊後には、93年の「東京宣言」で四島に関して「歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」とされました。 その後、2001年のイルクーツク声明では「東京宣言に基づき、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより、平和条約を締結」することを明記したのです。 プーチン大統領と森首相の間で出されたイルクーツク声明は日露の双方が重視しています。 ただ、この声明が出ても、何をもって四島の帰属問題が「解決」したとするのかは解釈次第なので、ロシアは「これで四島返還に合意したわけではない」というスタンスです。 そのため、交渉が進むかどうかは今後の日露関係の展開次第だと言えるでしょう。 ◆「ロシアに騙されるな」という意見について、どう考えるべきか プーチンは2012年3月、大統領復帰前の記者会見の席で、日露間の領土問題について「引き分け」で解決しようと発言し、その後も対日関係改善の意欲を示していますが、日本には「これはポーズだ。騙されるな」という声も根強くあります。 例えば、北海道大学の木村汎名誉教授は、駐日ロシア大使館で5年ほど勤めた知日派のアントン・ワイノ氏が新大統領府長官に就任したことに関して、「これは対日接近を企てるメッセージに他ならない」という「希望的観測を抱くことは禁物だろう」と述べています(産経正論2016/8/31)。 確かに、オホーツク海から北方領土近海までの領域はロシアが原子力潜水艦を展開するための要所ですし、同国は領土問題を抱える近隣諸国を刺激したくないので、やすやすと返還に応じられない事情を抱えています。 しかし、欧米からの制裁や原油価格の低下等によりロシアの名目GDPは2.23兆ドル(2013年)から1.32兆ドル(2015年)にまで激減し、来年もマイナス成長となることが予測されています。ロシアとしては日本や中国を含め、アジアにも活路を拓きたいところでしょう。 また、ロシアには人口がまばらな極東地域への中国人進出や中国の核戦力の強化への危惧も根強いので、日露関係の強化には、まだ交渉の余地があるのではないでしょうか。 ◆ロシアを「中国包囲網」に取り込むために 日本から見れば、ロシアと中国が組むような未来図は避けたいものです。 そして、ロシアは、近年、中国との間で「核戦力の差が縮小する」ことを「最大の懸念」としているという見方もあります(『東アジア戦略概観』2014年版)。 中露間の交流は盛んですが、ロシアは歴史認識を巡る中国の対日批判に完全に賛同せず、中国はロシアが08年(ジョージア)と14年(ウクライナ)に行った隣国の分離活動支援を支持しないなど、お互いの立場には違いがあるのです(同2016年版)。 また、ロシアがインドやベトナムにも兵器売却を行い、関係を深めていることにも、中国への警戒心が伺えます。 こうした情勢を踏まえるならば、日本は首脳会談で北方領土問題の解決を目指すと同時に、中露接近を止め、逆に中国包囲網の形成につながるように、日露関係の強化を進めなければなりません。 ※幸福実現党「日本を変える123の政策」より https://www.hr-party.jp/policy/ ロシアとの関係を強化します。平和条約の締結を目指すとともに、ロシア極東地域への投資を活発化させ、北方領土の返還を実現します。ウクライナ問題を契機とするロシアの孤立化が中ロ接近を招かないよう、日本としてロシアと米欧との橋渡しを行う外交を展開します。連携する未来のために、一手を打たなければなりません。 東京裁判史観を越え、日本の誇りを取り戻す 2016.08.30 HS政経塾 第6期生 野村昌央 ◆目的を知らなければ教訓を活かせない 毎年夏になると、テレビや新聞で戦争についての番組や記事が見られます。かつてあった戦争の体験を忘れず、語り継いでいく事は大切でしょう。 ですが、本当の意味で平和の実現に向けて行動するためには、戦争の犠牲となった人達の悲惨な体験を語り継ぐだけではなく、なぜ犠牲を伴ってまで戦争を戦ったのかを知る必要があります。 「戦争の目的は一体何だったのか」「なぜ開戦に至ったのか」を知らずに「戦争はいけない」とだけ言っても、何をすれば過去の教訓を活かせるのかが分からず、世界恒久平和の実現に向けて行動することができないのではないでしょうか。 ◆東京裁判に裁判としての正当性はない まず、先の戦争、大東亜戦争の目的ですが、GHQ最高司令官を務め、東京裁判条例をつくらせたダグラス・マッカーサー氏は1951年にアメリカ上院軍事外交合同委員会の場で、公式に「日本は自衛のために戦争に入った」事を証言しています。 そして、開戦に至った経緯について、東京裁判でインド代表判事のラダビノッド・パル博士は、日本に対する資源の禁輸措置の交渉を例にあげ、「日本と合衆国との条約が、一九三九年七月二十六日に廃棄されたので失効になったとき、日本に苛酷な経済的重圧が加えられた。禁輸が有効になったときの貧目標ならびにその日付を一瞥しただけでも、この措置が日本の民間人の生活にも、どれほどまでの影響をおよぼしたかが明らかになるであろう」としています。 そして制裁解除のための交渉について、「もし交渉が、当事者のだれでも、準備の時間を稼ぐ目的だけに図られたとみなしうるならば、時間を稼いだのは日本でなく、米国であったといわざるをえない。両国のそれぞれの資源を思い出して見れば、日本は時間の経過によってうるものはなにもなかった」と述べています。 つまり、資源供給が断たれた日本は自衛のために、アメリカを牽制しつつ、当時オランダ領であったインドネシアに資源を求めたというのが開戦に至った経緯です。 過去の教訓に学ぶとすれば、日本はエネルギー資源の自給と安定供給を万全にしなければならないということでしょう。 パル博士は東京裁判で判事を務めた後、国際連合国際法委員会議長に二度選出されています。また、東京裁判を批判する海外からの声はパル博士以外にもあります。 ハンキー元英国内閣官房長官はその著『戦犯裁判の錯誤』の中で、「パル判事は絶対に正しい」と述べています。 また、アメリカのロバート・A・タフト元上院議員は「勝者による敗者の裁判は、どれほど司法的な体裁を整えてみても、決して公正なものではありえない」と述べています。 ジョージ・ケナン国務省政策企画部初代部長も「そういう制裁は戦争行為の一部としてなされるべきであり、正義と関係ない」と東京裁判を非難しています。 ◆誇りを持って共存共栄の道を歩む 以上のように、東京裁判で作られた歴史認識は非常に一面的なものであり、フェアではありません。先の戦争の悲惨さだけでなく、その目的を知る事は、子供達の教育にとっても大切です。 自分を愛すればこそ他の人を愛せるように、自国に誇りを持って生きてこそ他国の文化も同様に敬う事ができるのです。 <参考文献> 東京裁判研究会編『パル判決書(下)』講談社学術文庫 佐藤和男『世界がさばく東京裁判』明成社 田中正明『パール判事の日本無罪論』小学館文庫 渡部昇一『「パル判決書」の真実』PHP研究所 2020東京オリンピックの聖火を尖閣・沖縄から 2016.08.28 幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆「中共の対日戦争5つのステップ」とは ここに、2013年12月10日、人民日報主宰の強国論壇「博訊新聞ネット」に掲載された「中共の対日戦争5つのステップ」(「月刊中国」2014.1.1号)というものがあります。 【第1ステップ】 海洋警備隊を尖閣に派遣し領海を守るために空軍と海軍が厳しい監視を行い、中共の了解がなければ、いかなる国の艦船・航空機・人員も尖閣に接近させない。中共の警告を無視する者は、中国領空・領海を侵犯したものとして攻撃し逮捕する。 【第2ステップ】 香港・マカオ・台湾の中国民間人および公務員は、自由に魚釣島に上陸しても良い。 【第3ステップ】 魚釣島の海域を「ミサイル発射訓練基地」とする。これは事前に国際社会に通告し、その後24時間以内に訓練は開始される。 【第4ステップ】 日本側との魚釣島に関する協議は無期限に中止し、沖縄海溝までの大陸棚を中国と日本の国境とすることを公表すると同時に、日本すべての船舶を中国の領海から追放する。 【第5段階】 第二次世界大戦でアメリカと蒋介石が了解した「ポツダム宣言」により、琉球群島の国際地位(帰属)は未定であり国遼東半島と東北地区に配備したミサイルで日本本土を照準にした臨戦体制で、この交渉は行う。また同時に、内陸部の長距離ミサイルも第二弾として準備する。 (引用、終わり) ◆中国の尖閣上陸はカウントダウンに入った 現在、中国海警局の公船は、毎日のように尖閣海域を航行しています。最近は、十数隻の公船が尖閣諸島にせまり、中には武装公船(実質の軍艦)が含まれています。 中国当局は同時に300隻もの中国漁船が尖閣海域で操業させ、その中には軍事訓練を受けている「海上民兵」もいます。 空では、東シナ海で中国軍機が日本の自衛隊機に正面から威嚇、前例のない接近(6/30産経)を行なったと報道されています。 中国は、数年前に尖閣の観光ツアーの募集もしているので、近年中に海警局の公船、漁船だけでなく、尖閣海域で中国の観光船が航行することになるでしょう。 8月27日の産経新聞では、「中国が国内法で日本船を摘発するために尖閣で法執行の規定を設けた」とも報道されています。中国から言わせれば、尖閣海域は自国の海なので、日本の船を入れさせないというものです。 そして、ある日突然、尖閣諸島、魚釣島に中国軍が上陸し、【第3ステップ】「ミサイル発射訓練基地」を完成させ、【第4ステップ】として、日本の艦船を排除し、【第5ステップ】、ミサイルで日本を脅して「沖縄を中国のもの」にする、これが中国の計画です。 一方で左翼陣営は、沖縄の米軍を追い出す運動を繰り返しています。それは中国による「琉球自治区化」の工作に手を貸すようなものです。これは沖縄県民を中国による人権弾圧の悲惨な運命に導くものです。 そのようにしないために、ここで、尖閣諸島と沖縄を守るために、ちょっと斬新な提案をします。 ◆尖閣・沖縄を守るための提案 かつて1964年の東京オリンピックの際、まだ沖縄はアメリカの統治下にありましたが、沖縄の声として日本人として東京オリンピックを迎えたいという声が湧き上がりました。 その結果、オリンピックの聖火の日本の最初の上陸地が沖縄に決まったのです。こうしてオリンピックの聖火は日の丸を振る沖縄の人々の歓喜の中で迎えられました。 そして4年後の2020年東京オリンピックもまた、聖火の最初の上陸地は沖縄でなければなりません。 そこで提案です。 国際法上では、実効支配している国が、その島の領有を主張できます。日本の尖閣諸島を固有の領土と主張する根拠は、かつて魚釣島で明治期に260人もの日本人が鰹節漁を営んでいました。 しかし中国人が住んでいた記録はどこにもありません。中国は古代の中国の地図に尖閣諸島は載っているから中国の領土だと主張しますが、それは国際法上認められないのです。 そこで中国は国際社会で尖閣は中国のものだったという主張を繰り返し、公船や中国漁船を頻繁に出して、タイミングをみて魚釣島への上陸を実行し既成事実化を狙っています。 これを防ぐには、一日も早く日本が尖閣に公務員等を常駐させ、日本の領土であることを実質化させることです。日本人が住んでいる尖閣諸島に、中国は軍事基地をつくれば、それは明らかな侵略です。 そして尖閣に公務員等を常駐させたところで、東京オリンピックの聖火の最初の上陸地を尖閣諸島の魚釣島にします。平和の祭典であるオリンピックは世界が注目しているので、中国がこれを阻止しようとすれば非難されるでしょう。 さらに、それとは別に、釣りのオプションも入れた船からオリンピックの聖火を迎えるツアーを企画します。 石原慎太郎氏が都知事時代に尖閣諸島を買うために集めた寄付金はどこに行ったのかわかりませんが、東京都主催で、そのツアーを企画することは可能ではないでしょうか。 こうして、聖火は尖閣、八重山、沖縄本島のルートを通って九州に入ります。これが出来ればオリンピックを通じて国際社会に、尖閣、沖縄が日本であることをアピールできます。 いまは海上保安庁の方々が尖閣諸島を必死で守ってくださっています。しかし中国の攻勢は日増しに高まっています。尖閣諸島を守りきるためには、日本政府、国民が一丸とならなければならないところまできています。 地方活性化に向けて(1)――群馬県上野村「農林業の6次産業化」の事例 2016.08.27 HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆危機にある「地方」 近年、「地方」が危機の中にあると叫ばれています。 国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」によると、今後、人口が激減する自治体が急増し、2040年に人口5000人未満となる自治体は全自治体のうち5分の1以上を占めるであろうと予測されています。 特に、地方自治体のうち、2040年時点に20-39歳の女性人口が半滅すると推計される自治体は「消滅可能性都市」と呼ばれるようになりました。 これに関し、2014年5月に行われた「日本創成会議」の「人口減少問題検討分科会」において、2040年までに全国約1800市町村のうち約半数(896市町村)が消滅する恐れがあるということが発表されました。 このように、人口の大幅な減少により、いわば「存続の危機」に直面している地方は、今、その活性化のための施策の実施が急がれているわけです。 ◆人口の19%が「移住者」で占められる上野村 当稿では、地方を活性化させるための施策を考えるきっかけとして、群馬県上野村の事例を取り上げることに致します。 上野村は、人口1300人(2016年3月時点)で、群馬県内で最も小さな自治体です。 同村では定住人口を増加させるため、早期から高齢化や過疎化に対する様々な取り組みが行われてきました。 その結果、上野村へIターン(出身地とは別の地域に移住すること)を行った者は、平成元年からの総計で121世帯254名にものぼり、現在は、移住者が人口の約19%を占めるまでになりました。 また、上野村への移住者に対するアンケート調査によると、およそ5人に4人もの人が「今後も上野村で暮らしたい」と答えており、このことは、移住後の生活満足度も高いことを裏付けています。 そして、移住を行うかどうかに大きな影響を及ぼす要因になると思われるのが「雇用」や「所得の向上」です。 そこで、ここでは、上野村で行われている様々な施策のうち、地元産業の活性化策に焦点を当てて議論を行って参ります。 ◆上野村における農林業の6次産業化 上野村では、地元資源の活用を通じた「農林業の6次産業化」に向けた取り組みが行われています。 6次産業化とは一般的に、第1次産業としての農林業が、第2次産業である食品加工業や第3次産業のサービス業に進出することを通じ、特に地元経済を活性化させることを指します。 上野村における取り組みとして、まず取り上げられるのが「きのこ栽培」です。 同村では、以前より椎茸や舞茸の栽培が行われてきましたが、新鋭設備を有する「きのこセンター」の建設や、きのこ類の製造・販売など村の積極的な取り組みにより、きのこ類が村の基幹産業に育てあげられてきたわけです。 また、林業に関しては、9割以上が山林で占められる同村は、以前から行われていた丸太の出荷に留まらず、通例、伐採の際に出荷することができないとされる間伐材に着目しました。 それを木炭や木酢液、また、ストーブなどの燃料となる木質ペレットの生産に活用し、生産工場を村が直営で事業化しています。 さらに13年には、これら農林業に対する資金面や経営面でのバックアップなどを目的として、地域ファンド「上野村活性化投資事業有限責任組合」が発足しています。 このファンドは、地元金融機関ではなく自治体が主体的に組成している点で、非常に画期的なものとなっており、こうしたことからも、農林業の6次産業化の更なる推進の取り組みに対する自治体の積極的な様子が現れています。 ◆地方活性化策とは では、この上野村の事例から、どのような地域活性化に向けたヒントを見出すことができるでしょうか。 一点目は、上野村では林業やきのこ栽培に関する潤沢なる経営資源が有効利用されているという点です。まず、「地域」について知り尽くし、ヒト、モノ、カネ、情報などといった「強み」となる資源を見出していくことが必要であることを、この事例は物語っています。 二点目は、本来廃棄されるはずの間伐材の例のように、地元の経営資源をうまく転換しながら、それを「顧客の満足」につなげるためにあらゆる創意工夫が施され、様々な製品の製造や販売がなされているという点です。 そして三点目は、「外部との連携」を構築することです。上野村では、多くの移住者が林業やきのこ栽培に携わっているという点で、元々外部にあった「人的資源」がうまく活用されている一方で、上野村における今後の長期戦略として「販路の開拓」が課題の一つであるいう指摘もあります(竹本昌史『村ぐるみで6次産業化 シンボル事業を深堀り』参照)。 リーダーシップを発揮し、こうした「課題」の解決に導く人材が、村の内部にいるとも限りません。外部との人的ネットワークの構築等を通じた取組で、6次産業化のさらなる発展が望めるかもしれません。 このように、地域の活性化に対しては、(1)地元資源の最大活用、(2)創意工夫と試行錯誤によるオリジナリティの創出、(3)外部との連携強化という、三つのヒントを挙げることができるでしょう(週刊ダイヤモンド2014年4月12日号「地方復活の特効薬 “ジリキノミクス”」参照)。 また、この事例を見ても、地方活性化のための鍵は「国からの補助金」などの外部要因に求めることができるわけではないこともわかります。 やはり、地元の資源を生かし切ることで産業を推進させ、地域の魅力増大につなげていこうとする「自助努力の精神」にこそ、地域活性化のための根本的なヒントが隠されていると言えるのではないでしょうか。 (参考文献) 週刊ダイヤモンド2013年7月6日号「『イナカノミクス』成功の極意」 週刊ダイヤモンド2014年4月12日号「地方復活の特効薬 “ジリキノミクス”」 竹本昌史『村ぐるみで6次産業化 シンボル事業を深堀り』, 経済界2014年7月8日号. 佐藤知也 『移住者を後継者に変える村づくり』, 「農業と経済」2016年5月号. 核にゆれる世界――真の独立国になる好機を逃すな! 2016.08.23 HS政経塾5期生 水野善丈 ◆核の影響力はなくならない 国連核軍縮作業部会は8月19日、核兵器禁止条約の締結交渉を来年中に開始するよう勧告する報告書を賛成多数で採択しました。 「条約」で北朝鮮に核兵器を放棄させる考えのようですが、そもそも米英露仏中は協議に参加しておらず、実効性は低く冷ややかに見られています。 世界では、核拡散防止条約NPTに基づいて、常任理事国以外では核兵器を持てないことになっています。 しかし、北朝鮮、イスラエル、インド、パキスタンがすでに核兵器を持ち、イランも数年のうちに核兵器保有国になるとみられているように、核保有国が減らないのも現状であります。 ◆宥和的な外交政策のオバマ政権 この8年間のオバマ政権下での外交政策は、宥和的な戦略が取られてきました。 2013年のシリアの内戦では、アサド政権が反政府勢力に対して毒ガス攻撃をすると言いながら、何の軍事的行動も起せず、ロシアのウクライナへの侵攻に対しても、牽制はするものの軍事的措置はとりませんでした。 核・ミサイル実験を繰り返す北朝鮮に対しても、国連を動かすことができず、実質的に北朝鮮は実験を成功させ、核保有国となってしまいました。 世界の警察を降りた米国にとって、国内の財政難やアメリカ国内の反発もあり、宥和的な政策を取ったとも考えられますが、逆にその姿勢が国際社会の秩序を揺るがしてきたともいえます。 ◆「核先制不使用宣言」の日本への影響 そのような中で、任期が近づくオバマ大統領は、最後に就任当初より掲げていた「核なき世界」の実現のため、「核先制不使用宣言」を行おうとしています。 安倍首相は、これに対し、米ハリー・ハリス司令官に反対の意向を伝えたとする報道を米紙にされましたが、本人は全面否定をしています。 しかし、「核先制不使用宣言」を現実的に考えると、米国のもつ核抑止力が弱体化することによって、世界に対する北朝鮮の核の脅威はさらに大きくなるメッセージとなってしまいます。 日本では、「平和憲法」のもと非核三原則を国是として堅持しているので、核兵器はもたず、アメリカの「核の傘」に安全保障を依存しています。 ゆえに、米国の「核先制不使用宣言」は、日本の国家存立の危機に迫ることであるので、しっかりと反対の意向を伝えないといけませんが、わざわざ全面否定する国家元首には落胆せざるを得ませんでした。 ◆真に独立国となる好機は近い しかし、米国が内向きに向かう状況は、日本にとってピンチであると同時に、真に独立国家となるための好機が近づいているともいえます。 共和党のトランプ大統領候補も、米軍に頼りっぱなしの日本に対して、対等な軍事費の負担や核装備もしたらいいのではないかという指摘もしています。 それに対し最近では、バイデン副大統領の「(日本が)核保有国になり得ないとする日本国憲法を、私たちが書いたことを彼(トランプ氏)は知らないのか」(産経8/17)という発言も波紋を広げています。 また一方で、日本国内の世論は、政治家の姿勢、日本の在り方というものも若者を中心に認識が変わってきていることがうかがえる興味深いアンケート結果も出ています。 ○「日本は核を保持すべき?すべきじゃない?渋谷アンケート」 https://www.youtube.com/watch?v=eW3JGmyrpIw 結果は、「日本は核を保持すべきですか」という質問に対して、半分以上が保有すべきであるという回答がなされております。 意外な結果ではありますが、戦後71年が過ぎ、日本を取り巻く国産環境も劇的に変わっていく中で、国内の世論も、段々と変わってきているようです。 そのような中で、マスコミ世論を恐れ大切な議論から目をそらしてきたのは政治家だけのように見えます。 戦後、GHQの占領時につくられた憲法を守り、憲法9条第2項では、交戦権は認めず、国家としての中軸である安全保障を米国に任せて主権放棄の状態が長く続いています。 日本が主権を取戻し、真に独立国家となるためには、憲法9条改正はもちろん、自分の国は自分で守れる体制を整えることが求められます。またそれは、一国平和主義から脱し、真の世界を実現するリーダー国家としての役割を担うことを意味するでしょう。 最後は、国家に責任を持った政治家の気概と決断が、そうした議論へと向かわせ日本を変える一歩になると感じます。 私たち幸福実現党も、世界に誇る文化・歴史を持つ日本に真の誇りを取戻し、日本を世界のリーダー国家へと押し上げる一翼を担ってまいります。 安全保障上からの、米国TPP反対論について 2016.08.21 幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆米国次期大統領候補は、いずれも「TPP反対」 去る8月11日、米国民主党のヒラリー・クリントン大統領候補は、ミシガン州で行われた経済演説の中で「もし自分が大統領になっても、TPPに反対する」との意志表示を行いました。 もう一方の共和党大統領候補である、トランプ氏もすでにTPP反対の演説を行っていたため、オバマ政権後、いずれの大統領が当選しても、米国がTPPから離脱する可能性が高まってきました。 ◆TPPの本質は「中国包囲網 」 米国は、元々国是として「自由貿易」「門戸開放」を掲げておりましたが、特に2008年のリーマンショック以降の経済危機の打開策の一つとしてオバマ政権は、TPPの推進に取り組んできました。 一方、日本では、2009年に民主党政権が誕生、当時の鳩山政権は日米同盟の危機を招きかねない幾つかの重大な判断を行いました。 まず、沖縄の普天間基地の返還問題で、決まりかけていた辺野古への移転を白紙に戻そうとしました。さらに、日中韓三国間の「FTA」協議を進め、中国との連携を深めようとしました。 「FTA」とは条約締結国の間での関税などの経済的な障壁をなくすための取り決めであり、米国から見ると日本が中国との関係強化を推進したことが、自国への挑戦として受け止め、経済上及び安全保障上の危機感を強めたのかもしれません。 この間、日米間でどのような話合いがあったのかは不明ですが、結果として日本は民主党菅政権の元で2010年に突如、TPP参加表明を行いました。この判断は、安全保障上、日本にとっては是とされるものであります。 我が幸福実現党の大川隆法総裁はTPPについて、その本質を以下のように述べています。(『ジョーズに勝った尖閣男』より) 『TPPとは、実は、「アメリカとアジアを経済的に結び、中国を外す作戦」です。つまり、TPPの本質は「中国包囲網」なのです。TPPの条項のなかには、中国がどうしてものめないものが入っています。 そこには、知的財産権の保護や人権重視、あるいは、環境保護などの概念が入っているのですよ。したがって、このTPPに、日本と他のアジアの国々が入り、さらにアメリカが入れば、実は、これで中国包囲網をつくれてしまうのです。』 『ジョーズに勝った尖閣男』幸福の科学出版/大川隆法著 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=838 結果として、一旦は日中間の関係強化に向いつつあった日本は、本来の日米同盟強化へと戻る事になったのです。 ◆なぜ米国はTPP反対に変わったのか オバマ政権は、中国包囲網でもあり、経済成長戦略の柱でもあるTPPを推進してきましたが、来年就任する予定の次期米国大統領は「TPP推進反対」との立場を取る可能性が高まってきました。この大きな変化の原因は、何が考えられるでしょうか。 米国は2013年、オバマ大統領の演説で「世界の警察官としての役割を返上」することを明言し、世界各国に駐留している米軍を撤退させる可能性を示唆しました。 その結果、中東の混乱はさらに拍車がかかる結果となったものの、その方向性が変わるとは思えません。 現在の米国の予算の中で、オバマケア等の社会保障費を充実される代償として、軍事費削減を行う流れが止まらない事と同時に、米国民の中でも、「なぜ自分と関係のない国の為に生命を懸けなければならないのか」、という正義の観点がなくなってしまったのではないでしょうか。 現在行われている米国大統領選挙でも共和党候補のトランプ氏は、経済人としての立場から、まずは米国内の雇用が悪化しないことを優先し、特に不法移民に対して厳しい態度で対応し、TPPだけでなくNAFTA等の自由貿易圏の推進に、反対の立場を取っています。 先ほどお伝えしましたとおり、TPPは単なる自由経済圏ではなく、中国に対抗するための安全保障上の観点からも重要なのですが、トランプ氏はこの点に関連しても在日米軍の引き上げに言及するなど、東アジアの安全保障には日本に対しても自主防衛を求めることが予想されています。 オバマ政権で国務長官を務めた民主党のヒラリー氏の見解も元々は、TPP推進の立場をとるものと見られていましたが、結果として国内の雇用確保を優先し、TPP反対を表明することとなりました。 こうした米国が内向きの方向が出てきた事について、「TPPは、中国包囲網」という視点から見ると、日本にとっては危険な方向であると認識しなければならないと思います。 ◆日本は主導的な立場に立ってTPP推進すべし さて、日中間の動きでは、来週の23日~24日にかけて、習近平政権では初めて中国外相が訪日し、日中韓3国外相会談が都内で開催される見通しになりました。 しかし6月9日に尖閣周辺の接続水域に中国軍艦が初めて航行、8月に入ってからも尖閣周辺の領海に漁船や公船が連日航行するなど、中国側の挑発はエスカレートし、将来には軍事的な衝突の可能性が高まっています。 本来はこうした時こそ日米同盟の強化を進めるべきであるにも関わらず、次期米国大統領のTPP反対という意思表明は、日米同盟が弱体しかねない危険性を持っています。 そうした意味でも日本は米国に代わって主導的な立場に立ってTPPを推進し、また日米同盟の懸案となっている普天間基地の辺野古移設問題についても、政府として速やかにその実現を図り日米同盟を強化することが今後の東アジア情勢の安定には重要であります。 止まらない社会保障給付増——―日本は、新たなグランド・デザインを描け! 2016.08.20 HS政経塾4期卒塾生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆増大し続ける社会保障給付費 国立社会保障・人口問題研究所は今月5日、2014年度の年金や医療、介護などの社会保障給付費が前年度比1.3%増の112兆1020億円だったと発表しました。 その内訳は、医療が前年度比2.0%増の36.3兆円、年金は、支給額減額の影響により0.5%減の54.3兆円、また介護などを含む「福祉その他」は4.6%増の21.4兆円となっています。 社会保障給付費は、毎年概ね1兆円増を繰り返しており、財政状況の大きな逼迫要因となっています。 また、国民から徴収する社会保険料収入では、増え続ける社会保険給付費を賄いきれていないのが現状で、公費負担つまり税金によってその埋め合わせが行われています。 このように、消費税を含めた増税議論の根本要因ともなっている社会保障給付費の伸びを、どのように押さえていくかということが今、国家的な課題となっています。 ◆給付費増大の構図 では、そもそも日本は、なぜこのような事態に直面しているのでしょうか。 それについて、日本で急速な「少子高齢化」が進行していることと、社会保障制度が「賦課方式」を採用していることに、その要因を求めることができます。 内閣府の「高齢社会白書(平成27年度版)」によると、総人口に対し65歳以上の高齢者が占める比率である「高齢化率」は、2014年現在で26%という実績が出ており、さらにこの割合が25年には30%、60年には40%に上昇すると推計されています。 高齢化が進行すれば、医療費等が高騰化するのは避けることができないのと同時に、高齢者の社会保証給付費をその時の現役世代が賄う仕組みである「賦課方式」が用いられれば、急激な高齢化が現役層の社会保障負担額に直結することになります。 例えば、以下のように一人の高齢者が、年金、医療費、介護費など、毎月30万円の社会保障費を費しているケースを考えれば、若者の負担の大きさを実感することができます(鈴木亘『社会保障の「不都合な真実」』参照)。 1960年代には、10人の現役世代が1人の高齢者を支え、その高齢者一人を支えるために、現役世代一人当たり3万円の負担のみが強いられる構図となっていました。 しかし、2010年代には、3人の現役世代が1人の高齢者を支えなければならなくなったため、一人当たりの負担は10万円に増加しています。さらには、2050年代になれば、30万円全ての社会保障負担額を一人の現役層が賄わなくてはならない状況になるとされています。 このように、日本の社会保障制度は、今後、制度そのものが維持できなくなる事態に発展しようとしているわけです。 ◆国の新たな「グランド・デザイン」明示の必要性 小泉内閣時代、「低福祉・低負担」の社会保障が標榜され、毎年2300億円もの歳出抑制を実行しました。 これは、「小さな政府」路線に沿った改革で、日本の現状を考えれば必然的な改革であったと言えます。 しかし、先述の通り、社会保障費が増大している額は毎年1兆円にものぼるため、これだけの歳出減を行った小泉改革であったとしても、それは多額にのぼる負担増を単に一部緩和したものに過ぎず、根本的な解決策を提示したわけではなかったと言えます。 また、その後の各政権においては、具体的な改革策が示されず、社会保障問題の先送りが繰り返されています。 そして、日本は今、目先の歳出抑制策だけでは十分ではないことが明らかになっている中で、国民にとって最適な社会保障政策の方向性を指し示す「グランド・デザイン」を描く必要性に迫られているのです。 ◆生涯現役社会の構築 日本の社会保障問題に対する根本的な取り組みを行うためには、人口増加のためのあらゆる政策の構築に取り組んでいかなければなりません。 同時に、現在直面している高齢化については、高齢者を「若者に支えられる立場」から、むしろ「現役世代」、すなわち「日本経済を支える立場」へと社会的に認識を変えていくことが必要です。 ここで、「高齢者白書(平成28年度版)」によると、60歳以上の方の約7割が就業を希望しており、その中の2割が「働けるうちはいつまでも働きたい」としています。 また、65歳以上の高齢者のうち、人口に占める「働く意思も能力もある人」の割合を示す「労働力率」については、日本は他の先進国に比べて高い水準を保っています。 また、高齢者が仕事を持って生きがいを持った生き方をすれば、それが健康増進につながり、高騰する医療費の抑制につながる可能性もあるでしょう。 これに関し、「一人当たり老人医療費」と「高齢者就業率」との間には、高い相関関係があるという指摘もなされています。 例えば、長野県の高齢者就業率は、男性38.5%、女性19.7%(平成24年)と共に国内トップである一方で、一人当たり実績医療費も78.9万円(平成25年)と、国内で三番目に低い水準となっています。 このように、働く意欲の高い高齢者の智慧が国・地域・各企業の発展に活かされる社会を構築していくと共に、高齢者が生涯にわたって健康的で「生きがい」を持って人生を全うできる「生涯現役社会」の構築が今、この国に求められているのではないでしょうか。 【参考文献】 鈴木亘『社会保障の「不都合な真実」』(日本経済新聞社) 日本経済新聞(電子版)2016年8月5日付「社会保障給付費112兆円に 14年度、介護伸び最高更新」 日本は「Japan is No.1」に向けた国家目標を 2016.08.18 HS政経塾第2期卒塾 川辺賢一 ◆世界を舞台に活躍する日本勢 8月5日に開幕したリオデジャネイロ五輪では、日本選手団の活躍により、連日連夜の如く、日本中が感動の渦に包まれております。 先日の競泳女子200m平泳ぎでは金藤選手が日本勢7つ目となる金を獲得、また卓球女子団体の銅獲得によりメダル総数29枚となり、史上最多のメダルを獲得した2012年ロンドン五輪(38枚)に迫る勢いを見せております。 こうしたなか今月16日、技術・知財分野での世界ランキングのように、世界知的所有権機構(WIPO)がイノベーションを生み出す環境が最も整っている国はスイスで、日本は16位だとする調査結果を発表しました。 1位から順にスイス、スウェーデン、イギリス、アメリカ、フィンランドと続き、アジア勢では韓国が11位、香港が14位、日本が16位、そして中国が25位とされ、WIPOの担当者は「(日本は)研究開発の質が高く、特許の数も多いが、その割りに新たな商品やサービスにつながっているものが少ない」と指摘します。 一方で各国の国際収支における技術貿易(外国との特許やノウハウ提供、技術指導等、技術の提供又は受入れ)を比較すると、日本の技術競争力の高さが伺えます。 技術輸出額から輸入額を差し引いた技術貿易収支では、日本は1993年以降、毎年黒字を計上し、さらに1996年以降、日本の技術貿易は全ての国に対して一貫して黒字なのです。 同義反復にはなりますが、技術貿易が全ての国に対して黒字なのは日本の他にありません。 また各国技術の国際競争力を示す技術貿易収支率(技術輸出額/技術輸入額)でも、日本は6倍近くで、2位以下を大きく引き離して世界一です。 ◆世界一の国家目標と市場創造の戦略を 「人口や規模ではなくて、『技術力で、世界ナンバーワンになり、五十年ぐらい差を付けるところまで突き進む』というあたりを国家目標にしたら、あとのものは付いてくる」 「技術そのものを売る時代だ。〈中略〉経済全体が変わってくる時代が来るんだな。一兆円で〈モノを〉売るのではなくて、「毎年、一千億円ずつ、技術使用料を払い続ける」という契約を国家間でする。こういう貿易に変わってくる時代が、君、これから来る」 このように幸福実現党・大川総裁の著書『民主党亡国論』(大久保利通の霊言)のなかで述べられるように、日本は高い技術競争力をさらに伸ばし、名実共に世界一にしていくことを国家目標として目指していくべきです。 『民主党亡国論』――大久保利通の霊言 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=92 17日の日経朝刊では一面で「東レ、宇宙船に炭素素材」が取り上げられ、東レがイーロン・マスク氏率いる宇宙開発ベンチャーのスペースXにロケットや宇宙船の機体に使う炭素繊維(カーボンファイバー)を長期供給することで基本合意されたことが報道されました。 「鉄の10倍の強度で、4分の1の軽さ」とされ、幅広い分野で実用され始めた炭素繊維は東レを始め、日系3社が世界市場の過半を占めており、全ての産業の土台となる素材分野における日本の高い技術力が伺えます。 また、さらに次世代の炭素素材として注目され、やはり日本人によって発明されたカーボンナノチューブは、理論上、鉄の400倍の強度を持つとされ、炭素繊維同様、あらゆる産業分野への応用が期待されております。 しかしながら、カーボンナノチューブにおいては実用化、大量生産化まで研究の課題もあり、また素材分野で高い優位性を持つ日本勢への嫉妬もあってか、欧州を中心に炭素から直接製造されるカーボンナノチューブの健康被害を懸念する動きもあります。 こうした状況に関しては政治が官需でひっぱりつつ、また外国の研究機関との共同研究や研究者と企業をつなげるコンソーシアムの設立なども積極的に推進し、戦略的にオープンイノベーションの環境を整えていくことが重要です。 かつて日本は「Japan As No.1」と言われましたが、新しい国家目標として「Japan is N0.1」を目指し、戦略的に新技術の市場化を推進していくべきです。 ◆カーボンナノチューブで宇宙エレベーターが可能に そしてカーボンナノチューブの技術革新により、ロケットに替わる宇宙輸送手段として注目を集める宇宙エレベーターの建造が可能になると言われております。 宇宙空間に出るまでに大量の燃料を必要とするロケットの場合、より大きな積荷を宇宙空間に運ぼうとすると、その重みに耐えるため、さらなる燃料を積み込まねばならず、その燃料を運ぶためにも燃料が必要となり・・・、ロケット発射費用の98%程度が燃料に費やされると言われます。 それに対して宇宙エレベーターは外部からマイクロ波やミリ波レーダー、レーザー等の電磁波で電力を供給するため、ロケットのように燃料を積み込む必要がなく、より巨大な積荷を安く運ぶことが可能になります。費用はロケットに対して95%引下ると言われます。 政府はこのような新しい産業科学分野を正しく助成し、新規産業の創造を積極支援していくべきです。 天皇陛下の生前退位と憲法9条―日本の政治家よ、今こそ高貴なる義務を果たせ 2016.08.16 HS政経塾第5期生 表なつこ ◆天皇陛下が「生前退位」の強いお気持ちを示唆 天皇陛下は、加齢によって、「国と国民のために活動し続ける」という象徴天皇としての信念を果たし続けることができなくなる懸念に対して、「生前退位」のお気持ちがあることを示されました。 このことについて、マスコミ各社が行ったアンケートでは、生前退位を容認する人が多数を占めています。 政府は、来月にも専門家などによる有識者会議を設置して、議論を始める予定です。天皇陛下の生前退位に対して国民の容認があることや、ご高齢である天皇陛下のご体調の観点からも、早急に結論を出す必要があるでしょう。 ◆国会の改憲議論に影響も ただ、天皇陛下が「生前退位」の意向を強く示されたことによって、安倍晋三首相が目指す憲法改正の論議に影響が出そうだとの報道がなされています。(8月11日(木)日本経済新聞など) 7月の参院選で、改憲に前向きな勢力が衆参両院の3分の2を超える議席を確保し、首相は9月の臨時国会から、改憲論議を始めようとしていました。生前退位を最優先課題として検討すれば、改憲議論に遅れが生じそうです。 天皇陛下の生前退位については、論点が膨大なので、今の天皇に限った特例法で対応するという手もあるでしょう。 ですが、このような話題は、本来、象徴天皇のあり方などを定めた憲法と、密接不可分な関係にあるものです。それは、先の大戦における日本のポツダム宣言受諾までさかのぼります。 ◆憲法9条と天皇制の切っても切れない歴史 ポツダム宣言は、先の大戦で日本軍の降伏を求めた文書です。日本の完全武装解除や、再軍備を可能とするような産業の禁止、また、しばらくの間、日本を連合国が占領することも規定されていました。 降伏するにあたり一番の問題は、「日本は古来より天皇が国を治め、国民はこれをたすけていく」という「国体」が護持されるかどうかということでした。 そこで、日本政府は、「この宣言は、天皇の国家統治の大権を変更するという要求を含んでいないという了解のもとに受諾する」という条件付きで受諾したのです。 そして、天皇の権限は占領軍の最高司令官マッカーサーの下に置かれることとなり、この占領時下、戦争放棄や、軍備と交戦権の否認、「国民の総意に基づく」と天皇の地位を規定した、現在の日本の憲法ができたわけです。 これが、天皇制の存続と、日本の平和憲法が、ある意味でバーター(取引)のようなものだったと言われるゆえんです。 ◆矛盾する状況にある天皇陛下のお立場 話を現代に戻します。 安保関連法案の是非に関しては国論も二分していました。 先に述べたとおり、この7月の参院選で、改憲勢力が3分の2を超えましたが、選挙戦では、改憲勢力の主体である与党自民党は、憲法改正の是非を有権者の皆さまに問うことをしませんでした。 平和憲法の制定と引き換えに「国民の総意に基づく」象徴としての地位にあり続けた天皇が、以上のような、国民の総意があると言えない状況で、平和憲法の根幹にかかわる「憲法改正の交付」をしなければならなくなる可能性がある。 これは、大きな矛盾だと言わざるを得ません。 ◆政治家は正々堂々と責任を果たせ 日本国憲法が公表された日、マッカーサーは憲法9条を指し、「これによって日本は本来その主権に固有の諸権利を放棄した」と発言しています。 日本はこのような主権のない状態をいち早く脱し、中国や北朝鮮の軍拡という、現実に迫っている国防の危機に自国で対処できる法改正を急ぐべきです。 ですが、この重大な法改正には、元首の地位が不明確である、今の憲法を改正する必要があります。 対外的に国家を代表する存在が誰かを明確にせずに、万が一軍拡を進める国々と戦争が起こってしまった場合、誰が責任を取るのか。 この点、自民党の憲法改正草案では、天皇を元首と規定しており、天皇陛下が政治責任や戦争責任を負う危険性をはらんでいると言えます。 皇室が2000年以上も連綿と続いてきた要素の一つとして、「天皇が直接政治を執らなかったこと」が挙げられると、明治天皇の玄孫である竹田恒泰氏は指摘しています。(『旧皇族が語る天皇の日本史』PHP新書) 天皇のお仕事とは、今回のビデオメッセージで天皇陛下ご自身がおっしゃっている通り、「国民の安寧と幸せを祈ること」です。 日々国民の幸せを祈ってくださり、清らかな日本の心を体現してくださっている天皇というご存在をお守りするためにも、政治家は現代日本に適合した「国体のあり方」を提示し、国民に信を問う必要があるでしょう。 また、政治家や首相が国民の安全を実質的に守る存在だと、その責任を明確に憲法に記す時期が来たと言えます。 ●幸福実現党HP 天皇陛下の「お気持ち」の表明を受けて(党声明) https://info.hr-party.jp/press-release/2016/3455/ 宗教立国・国家ビジョン https://hr-party.jp/policy/future-nation/ ●幸福の科学出版公式サイト 『今上天皇の「生前退位」報道の真意を探る』(大川隆法) https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1712 すべてを表示する « Previous 1 … 86 87 88 89 90 … 253 Next »