Home/ 新着一覧 新着一覧 日本独自の防衛産業の哲学を築こう-「防衛装備移転三原則」閣議決定を受けて 2014.04.03 文/HS政経塾部長 兼 政務本部部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆「防衛装備移転三原則」が閣議決定 4月1日、武器輸出に関する新しいルール「防衛装備移転三原則」(新原則)が閣議決定されました。これにより日本は、防衛力強化と経済活性化を同時に推進することが期待されます。 従来の武器輸出三原則は、1967年に定められました。 その内容は、「共産圏」「国連の禁輸国」「紛争当事国かその恐れがある国」への輸出を禁じた上に、それ以外の地域も「輸出を慎む」とし(4/2日経4面)、日米のミサイル防衛や、次世代戦闘機のF35の共同開発などの21件を例外として認めているのみで、日本の武器の共同開発・移転の裁量はほとんどない状況です。 ◆新原則のポイント 今回の新原則のポイントは、北朝鮮などの国連安保理決議で武器輸出を禁じた12カ国は禁輸ですが、日本の平和貢献の積極的推進や、安全保障の強化に繋がると判断できる場合は、国家安全保障会議(NSC)等の審査を経て、輸出を認めることになりました。輸出した装備品については、年次報告で情報公開することになっています。 今回の新原則には、大きく3つの意義があると考えられます。 1.日本の国際社会における貢献 新原則の下、防衛装備の開発を同盟国や友好国と進められるようになりました。 海上自衛隊の救難飛行艇US-2の輸出に向けたインドとの政府間協議や、オーストラリアとの潜水艦技術の協力の模索など、日本政府が主体的に、国益に適うか否かを判断して決められます。 「日本が輸出した武器が国際紛争に使われ、紛争を助長しかねない。」という新原則に否定的な意見(4/3毎日5面社説)もありますが、日本ほどの影響力を持つ国が、何ら判断を行わず、「他国とは関わらないこと」が平和主義なのでしょうか? 東シナ海においては日本が、南シナ海ではASEAN諸国が、中国の軍事的拡張により脅威を受けています。今後ベトナム、フィリピンやインドとの連携を深めていくことは、エネルギー資源の輸送路(シーレーン)防衛を強化し、日本のみならず東アジアに秩序と平和をもたらすことに貢献できます。 2.防衛産業の競争力が高まる 武器の共同開発を進めることで、研究費の分担や、輸出が進むことで装備品の製造単価の抑制が期待できます。軍事技術の維持には莫大なコストがかかり、厳しい各国政府の財政事情を考えると、自国のみでは技術の維持すらままならなくなる状況です。事実、欧米諸国では、積極的に共同開発を進めており、これは世界のトレンドにもなっています。 今後、日本はフランスと防衛装備品の共同開発する分野の選定作業に入ることが予定されており、こうした動きはさらに増えていくと予想されます。ようやく防衛技術開発の国際基準の土俵に上がることになるのです。 3.新産業輩出への貢献 経済特区を定めるなどの施策は打たれていますが、これから安倍首相の経済成長戦略が軌道に乗って、消費増税の反動を乗り切れるのでしょうか? 実は、防衛産業の活性化には、経済を牽引する可能性があります。そのキーワードとなるのが「デュアルユース」です。 「デュアルユース」とは、民生分野と軍事分野の両方に利用できる技術のことです。今、私たちが当たり前のように使用としているインターネットやGPSも、軍事技術から生まれたものです。 軍事研究から生まれた有望な技術を、戦略的に事業化している国としてイスラエルが挙げられます。同国は、科学技術省が中心となって、有望な技術をビジネスにするベンチャー企業家を幅広く支援しています。 グーグルなどのグローバル企業がこぞって、イスラエルのハイテク産業を買収しようと熱い視線を送り続けていることからも、イスラエルのイノベーション政策には学ぶべき点は多いと思われます。 日本での防衛産業の生産額は現在、約1.6兆円ですが、世界の防衛産業の市場規模は40兆円であり(4/2日経4面)、防衛産業の活性化を、日本経済の成長に繋げるべきです。 ◆日本独自の防衛産業の哲学を築こう 今回閣議決定された、「防衛装備移転三原則」にも課題はあります。直接、戦闘に使う戦車、戦闘機などの完成品の輸出は想定外となっており、「戦闘機の部品は良くて完成品を排除することは整合性に欠ける」という指摘もあり(4/3産経2面社説)、運用面の議論は今後も深める必要はあります。 しかし、一方で大きな可能性もあります。 今回の新原則を通じて、武器輸出に受身だった日本が、主体的に国益に基づいて判断し、独自の防衛産業の哲学を築く一歩とできるかもしれません。「地球すべての平和と発展・繁栄」にこうやって貢献するのだと、隣国に示すくらいの気概とビジョンを、日本は持つべきではないでしょうか。 岐路に立つ台湾から現地レポート―立法院占拠は何を守ろうとしているのか― 2014.04.02 岐路に立つ台湾から現地レポート―立法院占拠は何を守ろうとしているのか― 文/HS政経塾1期生 兵庫本部副代表 湊 侑子 ◆台湾の現状報告 3月18日から、台湾の立法府(国会)は学生たちが押し入り、そのまま占拠が続いています。30日には、総統府前での大規模なデモが開催され、集まるように呼びかけた10万人に対して、主催者発表50万人(警察発表11万人)もの人が集まりました。 当日は駅から道路まで人が溢れかえり、現場まではおしくら饅頭状態。総統府の近くの中正記念堂などの大型記念施設も開放されました。 国民党の密室作業(中国語では黒箱作業)による協定の締結に反対することを表明するために、人々は黒い服を着用。 また、今回の向日葵革命(中国語で太陽花学運)にちなんで、向日葵を持ち、「反服貿(サービス貿易協定反対)」のスローガンのはちまきを巻いて集まりました。 日本でもこの運動についての報道はされましたが、問題の本質が分かりにくいものばかりでした。そのため“安保闘争の学生運動と同じようなものだ”と考える人が出る一方で、“警察が強制力を働かせることで、天安門事件のようになるのではないか”という行き過ぎた予測もありました。 ただ私が現地で見聞きした限りはどちらも違い、その本質は「台湾人一人ひとりが自分に、未来はどうあるべきか問いかけるきっかけ」であるように思われました。 ◆今回の問題は中国・台湾間での「サービス貿易協定」 今回台湾で反対されているのは、中台間で締結され、その承認をめぐって与党が審議を中断した「サービス貿易協定」という協定です。 これは、2010年に中台間で発行された「経済協力枠組み協定(ECFA)」の中の柱の一つです。お互いに経済交流を進めるためのもので、中国側は80項目、台湾側は64項目の業種を開放します。なぜ大きな反発を受けているのでしょうか。 ◆「4つ」の理由で反対される「サービス貿易協定」 理由の一つ目は手続き論です。 国民党と中国が密室で協定を進めてきたこと、「条文を一つずつ審議する」との約束を破って一括で審議をしたこと、30秒(15秒または3分ともいわれる)で審議完成としたことに腹を立てています。 取材では、学生たちは内容は深くは分からないが、政府のやり方に不審があると言っていました。 二つ目は中小企業の雇用の喪失論です。 台湾のサービス業の85%が5人以下の零細企業です。そのため、中国の大手資本が入ってきた場合、簡単につぶされてしまうことに恐れを抱き、運輸業・クリーニング業・資源回収業・美容散髪業などが反対しています。 実際に、サービス業に携わる人たちはグループを組み、反対活動を行っていました。 三つ目は中国人の大量流入論です。 この協定により、中国企業は台湾で20万ドル以上(約2000万円)以上投資すれば、2人が経営者として台湾に技術移民することができるようになります。さらに50万ドルを加えれば人数枠が増え、最大7人まで可能です。 これは、他国の技術移民の条件(例:アメリカ 50万ドル以上)に比べてかなり易しく、中国人が増加することを不安視する声が聞かれました。 そして四つ目は自由の弾圧論です。 台湾は今回の協定で、平面媒体広告や印刷業を開放します。もしも中国が台湾の印刷関係を抑えた場合、共産党が気に食わない思想は印刷されません。出版もできず、言論支配が行われるようになります。 インターネット業も解放されますが、台湾人の個人情報や戸籍データが中国側に漏らされ管理されるという危険性があります。 中国共産党から見れば、台湾を併合するには、他は全部捨ててでもこの部分さえ押さえたら成功だと考えるはずです。実際にこの点を指摘する台湾人も数多く存在しました。 大きくはこのような理由から「反服貿」が叫ばれるのです。 ◆「中国の一部にはなりたくはない」 そして、反対の理由を一言でいうならば、協定の相手が「中国」であるということです。ある若者はこういいました。 「この協定の相手が、ヨーロッパ、アメリカ、日本の場合はかまわなかった。でも中国だから反対した。」 台湾と中国はお互いに国として認め合っていないため、国際法が適用されません。そのため、世界で唯一の“両岸関係”という名称で呼び合っています。 両岸関係には、世界の前例がありませんし、ルールも定められていません。監視する組織も国もありません。つまり、両岸関係においては国の力の強弱に基づき、いくらでもやりたいようにできるようです。 中国は大で、台湾は小です。そのため、政権が妥協したり相手国のいいなりになった場合、一つの協定が台湾を滅ぼすことも可能なのです。 学生たちはこのことに気づき、政治家や大人が動かないならば自分たちがやるしかないと立法院占拠に動きました。 学生たちの要求は、すべての協定を監督する条例を定めること、開かれた会議を行うこと、そして今回の協定を撤回することです。 ある大人は言っていました。 「今回の学生運動がなければ、この協定の内容まで詳しく知ることはなかった」「この内容を知ってはじめて、このままだと中国に飲み込まれるかもしれないと思った」 そして、全員が口をそろえて言います。「中国の一部にはなりたくない」と。 台湾の問題は、経済と主権が一体化しており、どちらかをあげるとどちらかが沈むところにあります。この問題を解決できず、バランスを取ることでここまで生き残ってきましたが、この問題に答えを出さなければならない時期にきました。 台湾はもともと国民党の一党独裁体制でありましたが、一党独裁と戒厳令を廃止した後、李登輝という偉大なリーダーを中心として、直接選挙制度を導入、複数政党制を選びました。 彼らにとっての自由とは、他国に押し付けられた価値観ではなく、自発的に内部から湧き出てきたものでした。自由と民主主義の大切さを国民が身をもって知っており、守ろうとしているのです。 馬英九は中国共産党の圧力を受け、協定を撤回するつもりはないといいます。 日本の政治家は、世界でもっとも親日国である台湾の状況を見て見ぬふりをしていますが、国として声明を出すべきです。その声明は、自由と民主主義を守る方向へと台湾が向かうように後押しするものであるべきです。 今後、台湾がどのような選択を行うのか。私たちはそれを見守りつつ、最大限、自由の国台湾を支援したいと考えます。 真なる財政再建への道 ~財政規律至上主義の愚~ 2014.04.01 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆麻生財務大臣の本音 4月1日よりいよいよ消費税が8%に増税されました。 麻生財務大臣は、消費税の8%への引き上げについて1日の閣議後会見で、駆け込み需要の反動減など、景気の動向に関しては「この数カ月間が正念場」とした上で、「(消費税率が)10%になれるような経済情勢・景気というものを今年度4月~6月期以降に作り上げておく必要がある」と消費税率10%に向けた環境整備の必要性を訴えました。(ANNニュース4/1) 麻生財務大臣は図らずも本音を吐露しました。それは、来年10月から予定されている消費税10%への増税が出来るための条件整備として、景気対策を打つというのです。 今回の消費増税の決断の根拠となった昨年4~6月期の実質成長率の数値も、財務官僚が公共投資の集中的な発注で人為的に作ったものと言われています。(ザ・リバティー5月号 田村秀男氏インタビュー「消費増税は愚策 アベノミクスは日本再生ビジョンを示せ」) このように政府の「増税ありき」のむき出しの情念は、どこから生まれているのでしょうか。 ◆財政規律至上主義の愚 その一つとして、財政規律至上主義とでもいうべき「国の財政が一番大事。国の財政さえ健全なら日本は大丈夫」という考え方があるのではないでしょうか。 国家財政が破綻したら元も子もない、国民生活も破綻するということです。 土居丈朗慶大経済学部教授等を起草者として、財政制度等審議会より昨年11月末、麻生財務大臣に対し「平成26年度予算の編成等に関する建議」が提出されました。 この建議書が、現在の財政運営を規定しています。この建議では、財政健全化を着実に進めるに当たっては、いたずらに自然増収に期待するべきではない。 我が国の財政の現状では、歳出削減と増税による歳入改革の両方を実行しなければならず、経済成長のみで財政健全化を実現させることは不可能と認識しなければならないと結論付けています。 幸福実現党が訴えている「経済成長による税収増」で財政健全化を図るという考えを「不可能」と否定しています。 この考えの違いは、究極的には、国の財政を第一とみるか、民間企業の経営を第一とみるかの違いといえます。これはすなわち大きな政府をとるか、小さな政府をとるかの違いでもあります。 国を優先した場合、増税で民間が苦しんでも財政規律を守らなければならないという考えになります。民間を優先した場合、減税で民間を富ませ、民間の富の創造・蓄積により国の財政も豊かになるという考えになります。 ◆全企業黒字化による財政再建 幸福実現党は、国家の繁栄のためにこそ、民間の富の創造、蓄積が大切と考えます。それが小さな政府を目指すということの意味でもあります。 幸福実現党大川隆法総裁は、幸福の科学グループ創始者兼総裁でもありますが、来年開学を予定している幸福の科学大学に経営成功学部を創設する予定です。 現在の経営学の成果は、7割以上の赤字企業の存在です。これが意味するところは、現在の経営学は「節税学」あるいは「脱税学」である可能性が極めて高いということであります。 よって幸福の科学大学経営成功学部では、10割の企業が黒字体質になる方法を学問化することを目的とします。 これは、わが国の法人税収の飛躍的増大への道でもあります。増税ではなく、企業の黒字化、発展による税収増への道です。 今、必要なのは、明るい未来展望であります。未来展望があれば、人々の投資意欲は高まります。それがデフレ脱却への真の道筋です。 財政規律至上主義者は、わかり易くいえば「経理屋さん」の目線であり、未来志向の企画提案を予算がないとして潰す役回りであります。 幸福実現党は、新しい学問成果を果敢に政策に取り入れ、未来を切り開いていく所存であります。国家の発展は、民間の発展なくしてあり得ないのであります。 デフレから未だ完全に脱却していない現在、消費増税を始めとする社会保険料アップ、光熱費アップ、等々国民負担が急速に増大しています。これは民間の発展を阻害するマイナス要因でしかありません。 民間の収支の改善をこそ政府は優先すべきです。さすれば、国の財政も必ず再建されるのです。 ※参考文献 「経営成功学とは何か」 大川隆法著 これ以上の中国の虚言と人権弾圧は許さない! 2014.03.31 文/HS政経塾2期生 小松 由佳 ◆習近平のドイツでの発言 ドイツ歴訪中の習近平中国国家主席は、3月28日、ベルリン市内で講演し、「日本の侵略戦争で中国人3500万人が死傷した」、「日本軍は南京に侵略し、30万人以上もの中国人を殺す残虐な行為を行った」などと日本を批判しました。中国の国家主席が公の場で日本を批判するのは極めて異例です。 一方、習氏は、中国の軍事費増大についての質問には、「中国は列強に植民地にされた歴史の悲劇を繰り返すわけにはいかない。自衛のための国防力は必要だ」と、軍事拡大を正当化しました。 また、「中国人は自分にされたくないことを他人にしてはならないとの信念を持っている」とも述べましたが、現在進行形で、国内での人権弾圧や自治区での虐殺を行っていながら、よくも言えたものです。 ◆中国の虚言と世界の反応 このような中国の虚言は、既に国際社会に通じなくなっています。 ドイツ政府は習氏のホロコースト記念碑訪問を拒否し、メルケル首相は習氏との会談で、「言論の自由は社会に創造性をもたらす極めて重要な要素だ」として中国の人権状況の改善を求め、ガウク大統領も、「自由な意志表明が訴追対象になる」中国の状況に懸念を表明しました。 習氏が言及した「3500万人」「30万人」といった数字は、日本の歴史研究者はもちろん、中国の改革派の歴史学者の間でも疑問視されていますが、江沢民元国家主席が日本を批判する際に、よく言及した数字でした。 その江沢民氏はといえば、在任中のチベット族へのジェノサイド(民族・集団の計画的抹殺)の疑いで、昨年11月にスペイン裁判所から逮捕状が出され、今年2月には、同裁判所から国際刑事警察機構(ICPO)に国際手配が要請されました。 これらは、スペインが国内法で、国外の人道犯罪を国内裁判所でも裁けるとする「普遍的管轄権」を定めていることから、可能となったものでした。 ◆他国の罪をでっち上げ、自国の罪は揉み消す中国 しかし、スペイン下院は2月27日、この国内法を制限する改正案を、与党国民党の賛成多数で可決してしまいました。国民党は、上院でも過半数の議席を確保しているため、改正案の成立は確実と見られ、これまでの捜査が事実上、無効となる可能性があります。 これについて、ネット番組THE FACT第9回(https://www.youtube.com/user/theFACTtvChannel)では、告訴の当事者にインタビューし、中国からスペイン政府に対する圧力があったことを報じています。 また、3月28日には、第25回国連人権委員会にて、日本とEUが共同提出した、北朝鮮の人権侵害についての非難決議が、賛成多数で採択されましたが、中国は、パキスタンやベネズエラなど5カ国と共に反対しました。 他国の罪をでっちあげながら、自国の罪は揉み消し続ける、そうした中国の暴挙は、これ以上許せません。日本は、過去に行ってもいない罪を否定すると共に、現在中国が行っている罪を止めなくてはなりません。 ◆国際社会の「保護する責任」と「責任ある主権」 近年、国際社会では、「保護する責任」という概念が提示されています。 これは、「国家は、ジェノサイド、戦争犯罪、民族浄化、人道に対する罪から、当該国家の人々を保護すると共に、これらの事態を予防する責任を負う」というもので、「介入と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)の2001年報告書で初めて提示され、05年の世界サミットで採択された成果文書にも明記されました。 同文書には、国際社会が、国家が上記の4つの罪から「自国民を保護することに明らかに失敗している場合には、時宜にかなった断固とした方法で、安全保障理事会を通じ、第7章を含む国連憲章に従って、個別の状況に応じ、適切であれば関係する地域的機構とも協力しつつ、集団的行動をとる用意がある」とも明記されています。 しかし、中国政府は、「国家主権」と「不干渉原則」を強調し、保護する責任に基づく人道的介入に、否定的な態度を示してきました。2011年、リビアのカダフィ政権による人民弾圧に対し、安保理が追加制裁決議を採択し、保護する責任に基づく初の武力行使が容認された際も、中国は棄権しました。その後、シリアでの民衆弾圧に対しても、中国の反対もあって十分な介入ができていません。 「国家主権」は極めて重要ですが、その濫用は許されません。国家主権の絶対性のみを強調することは、今日の国際社会の相互依存的関係において必ずしも妥当ではなく、「責任ある主権」という概念も示されています。 つまり、主権は責任を伴うものであり、主権が正当性を認められるためには、最低限、その管轄下にある住民に対してベーシック・ヒューマン・ニーズを提供する責任を果たす必要があり、国内避難民が大量に発生しているような状態の国家については、主権の正当性に疑問が生じており、国際社会からの人道支援や人道的介入を拒む理由として主権を援用することはできない、というものです。 こうした比較的新しい概念について、中国以外からも賛否両論はあり、具体的な実現方法も確立していませんし、安保理に中国が入っている以上、今後も国連によっては十分に実現し得ないことは明らかです。 ◆日本は国際社会でイニシアティブを示す時 しかし、こうした理念自体は普遍的で、一定のコンセンサスがあるので、これらを大義名分として活かしつつ、有志の国々で具体的行動を想定し、準備を進めることが大切だと考えます。 北朝鮮、中国、シリア、こうした国々で続いている人権弾圧に対し、国際社会は具体的行動をとる必要があります。米国が行動できないならば、日本が普遍的正義に基づいて、イニシアティブをとれるようになるべきです。 日本軍が先の大戦において、中国大陸に入っていったのも、一つの人道的介入だったと言えます。今、大陸で再び民衆が苦しんでいるならば、今度こそ、共産主義と侵略主義の払拭を成し遂げるため、勇気ある介入を行う必要があります。 そのためには集団的自衛権の行使容認も必要です。他国と協力し、一刻も早く、過去の罪の亡霊と共に、現在只今犯され続けている罪を、断固粉砕するべきです。 【参考文献】 3月30日付産経・読売新聞 日本国際連合学会編『新たな地球規範と国連』2010年国際書院発行 日本国際連合学会編『日本と国連』2012年国際書院発行 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言 《第3回》 2014.03.30 文/岐阜県本部副代表 河田成治 前回では、日本の「情報の軽視」について述べました。 ◆圧倒的な情報源としての「霊言」 日本は今、奇跡とも言えるたいへん幸福な状態にあります。幸福の科学グループの大川隆法総裁による、「霊言」を通して異次元情報が収集可能になっているからです。 世間の常識からすれば、「霊言」というものが胡散臭く見えたり、根拠のないオカルトのように捉える人もいます。しかし、後で詳しく述べますが、大川隆法総裁の「霊言」が、今、各界で注目され、日本政府や世界に大きな影響を与えています。 そして幸福実現党の政策には、大川隆法総裁の「霊言」を外すことはできません。この「霊言」が、CIA活動によっても知り得ない、極めて貴重な情報源であるとするならば、これ以上に国益に資するものはないからです。 これは日本の外交政策上、起死回生の秘策に等しいもので、まだ、国民の多くはその空前絶後の効果に気づいていませんが、やがて誰も目にも明らかになると思います。 ◆戦争という策略に引きずり込まれた日本 例えば、なぜ、日本は大東亜戦争(太平洋戦争)に引きずり込まれたのか?これも情報の不足でした。当時のルーズベルト大統領は、アメリカ国民から、戦争をしないことを公約として当選した大統領で、選挙中に婦人からの「あなたは戦争をやるつもりか?」という質問においても「重ねて、重ねて、重ねて、何度でも繰り返して誓うが、貴女がたの息子を戦場に送ることはない」(大森実「人物現代史4 チャーチル」)と答えています。 国民の大多数は、ドイツや日本との戦争を望んでいませんでした。(戦争反対67.4%、ドイツとの開戦を望んだ国民は2.5%。小室直樹著「日本の敗因」) しかし、ドイツとの戦いで敗北寸前であったイギリスは、アメリカの参戦を強く望んでいました。またアメリカとしても、もしドイツがヨーロッパの覇者となれば、アメリカの孤立を招き、どうしてもドイツを叩いておかなければならなかったのです。 ルーズベルト大統領は、イギリスを助けるためにどうしても参戦する必要がありましたが、選挙公約の手前、絶対に戦争はできないというのが当時の状況でした。 そこで日本の側から攻撃させ、アメリカは仕方なく戦争に巻き込まれるという状況をつくり出すことを考えます。 日本と戦争になれば、同盟国であるドイツとも戦争になるからです。そこで、日本に戦争を始めさせるために、石油や鉄屑の禁輸等で日本をギリギリまで追い詰めていきました。 つまり、ルーズベルト大統領の本音は、「いかなる手段を使っても、日本を戦争に引きずり込む」ことであって、日本がいかに和平工作と外交努力を重ねても、日本の譲歩に乗ることはないということは、アメリカの決定事項であったのです。 ちなみに開戦前、日本の政治家でアメリカとの戦争に賛成していた政治家はなく、対米戦争に反対した日本海軍軍人も多数おり(小室直樹著「日本の敗因」)、開戦のギリギリ、8日前の11月30日まで最後まで諦めることなく和平交渉を続けていました。 日本は、あくまでも戦争反対の立場だったのです。これはどうしても知っておかねばなりません。 しかし11月26日、今までの譲歩をすべてぶち壊す、「ハルノート」といわれるアメリカの要求が出されるに至って、交渉は決裂、日米開戦へと突入しました。 ◆悪意に満ちた「ハルノート」 「ハルノート」の要求は、悪意に満ちたものでした。 東京裁判でのパール判事は、「この文書を他国に送れば非力なモナコ公国やルクセンブルク公国でさえ必ずアメリカに対して武力をもって立ちあがっただろう」と言いました。 「ハルノート」を書いたのは、ホワイト財務次官補という人で、この人の原案がもとになりましたが、ハルノートの名前となった、当のハル国務長官でさえ、その非道な内容を見て驚き「こんなことを言ったら日本は戦争するしかないだろう」と発言しています。 ちなみに「ハルノート」を知っていたのは、ルーズベルト大統領をはじめトップ4人のみで、ルーズベルト大統領(民主党)の政敵であった、フィッシュ共和党党首は、自分が外交委員であるにもかかわらず、ハルノ-トを日本に通告していることを全く知らされておりませんでした。戦後事実を知って、彼もまた「あんなものを通告されたら、日本は戦争をするしかないだろう」と書いています。(ハミルトン・フィッシュ著「日米開戦の悲劇」) 「ハルノート」は、石油を止められていた日本に、唯一の石油の頼みのインドシナ(ベトナム方面)からも全面撤退を要求したもので、事実上の兵糧攻めでした。これを守れば、何もしなくても2年後には日本が滅亡する要求であったのです。 戦争にあくまでも反対し、対米交渉の先頭に立っていた東郷外相は「目もくらむばかりの失望に打たれた」と、米国の対応に落胆しています。(次回につづく) 「日本を救うもう一つの中国包囲網」~アメリカと中国の新しい関係に備えて~ 2014.03.29 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆アメリカと中国における「通貨同盟」 アメリカ・ワシントン情勢に詳しい日高義樹氏の新著『アメリカの大変化を知らない日本人(PHP研究所)』第1章において「アメリカと中国の間に通貨同盟が成立した」と日本人にとって驚くべき事実が明らかになっております。 要するに、人民元が安いレートでドルとペッグされ、人民元がドルによって国際通貨としての価値を保証されたことで、天然資源等を海外から大量に輸入している中国にとって望ましい状況が到来したと言えます。 この背景には、巨額の財政赤字に苦しむアメリカの姿があり、ドルを基軸通貨として維持するために中国に対してとったぎりぎりの妥協策であったようです。 一方、ドルも人民元の持つ将来性によって保障されたことや、新しい予算削減法などによって急速に財政赤字が減ったことで、ドルは完全に復権し、景気の回復や株価及び債権の値上がりを呼び込み、アメリカにおいて新しい経済環境が出来つつあると日高氏は見ております。 ◆アメリカの極東外交における「複眼思考」 実質的な米中の通貨同盟の成立によって、「日米安保体制」VS「中国の覇権主義」という一面的な見方は出来なくなり、日本にとって大きな変化を迎えつつあることが予想されます。 また、こうした通貨同盟を背景に、中国は人民元安という状況を維持し、安い製品をアメリカや日本、東南アジアへと売り込める体制を手にしたことで、本来は「経済的中国包囲網」であったはずのTPP(環太平洋パートナーシップ)が有名無実化する恐れも出てきたともいえます。 もちろん、軍事的にはアメリカと中国は対峙関係にあり、現時点で日米安保体制を破棄するなどということは今までの日米関係から考え難いことではあります。 しかし、アメリカはこの極東情勢において「日本との軍事同盟」、そして「中国との通貨同盟」という複眼思考で臨みつつあることは確かです。 そして、現在のアメリカの経済状況からすれば、通貨同盟に力を入れざるを得ず、これからの情勢次第では日本の安全保障体制の舵取りは極めて難しくなってくると考えられます。 ◆中国の海洋進出によって脅かされる日本のエネルギー安全保障 現に、2015年から本格的に動き出す沖縄海兵隊のグアム移転、また在韓米軍も2015年12月には削減される見込みで、「アジア重視」を堅持する国防戦略を採りながらも、アメリカは極東から軍事力を引き始めることになります。 その際、安全保障上日本にとって最も大きな懸念としてまず生じるのは、中国海軍によるシーレーン封鎖によるエネルギー確保の問題であります。 日本は長年、原油の大半をシーレーンリスクを負う中東に依存してきた経緯があり、最近では輸入先の多様化により比率は下がっているものの、原発稼働ゼロの影響で中東への絶対的な依存度は高まっているといえます。 戦前の歴史を振り返っても、日本が石油の重要性を見抜けなかった一方、アメリカによる石油の対日禁輸、そして第2次大戦が始まってからは「タンカーを沈めることを潜水艦の最優先目標とせよ」という命令があったくらい、アメリカによって徹底的に石油の輸入を封じられ、エネルギー資源の軽視によって敗北したといっても過言ではありません。 今こそエネルギーの自活は国家存続の肝であるという前提に立ち、日本にとって唯一の自活できるエネルギー資源と言ってもよい原子力発電の再稼働を急ぎ、海外へのエネルギー依存度を減らすことです。 また、クリミア併合によってアメリカやEUから経済制裁を受けているロシアに対しても、欧米諸国との歩調を合わせつつも、近年関係を深めてきたロシアと資源分野での連携を更に強め、シーレーンリスクを負わないエネルギー確保を目指すべきです。 ◆日本が考えるべき「第二の中国包囲網」 またロシア同様、日本が更なる関係の深化を図るべき国の一つとしてインドが挙げられます。 昨年、日本の天皇皇后両陛下が53年ぶりとなるインドへの歴史的訪問を果たしたことは記憶に新しいですが、この10年のシン政権において、インドと日本は緊密な戦略的連携を築いてきました。 この背景にはアジアにおける両国の最大のライバルである中国が、経済的にも軍事的にも力を増してきた事実があり、特に海洋安全保障における協力体制の更なる深化が検討されています。 冒頭で紹介した「米中通貨同盟」の成立など、これからの国際社会はより複雑化する様相を呈しております。 日本外交も「複眼思考」を持ち、TPPによるアメリカ主導の「中国包囲網」とは一線を画した、日印露による「第2の中国包囲網」を機能させ、日本のエネルギー安保、海洋安保をより強化するべきです。 日本のマスコミを揺るがす消費増税について 2014.03.28 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆4月1日の消費増税が近づき、日本のマスコミでも特集開始 あと3日で消費増税が始まります。日本のマスコミもここに来て突如、特集を組んで増税後の具体的な値上がりについて報道するようになりました。 本来であれば、昨年の9月から10月にかけて、安倍総理が決断する時期に報道しなければならないはずです。しかし当時は、アベノミクスの影響として好況であり、増税やむなし、という論調でありました。 一方、海外のメディアでは昨年からすでに核心をついた報道が行われています。2013年9月13日のイギリスの経済紙「Financial Times」では、次の見出しで報道されました。 「安倍首相の戦略は1997年の消費増税の悪い記憶を思い出させる」 「消費増税により消費が減退し、最近の景気回復は止まってしまうのか」 (いずれも原文は英語) さらに2013年9月16日「International Herald Tribune」では、 「経済の専門家、増税計画が日本の経済成長を止めるのではと懸念」 「消費増税が個人消費の盛り上がりを潰してしまうのではないかと彼ら(専門家)は述べている」(いずれも原文は英語) との見出しで「安倍総理の増税の決断が最悪のタイミングであり、日本の景気回復の根幹を崩しかねない」と報じています。 海外では当たり前のように行われてきたこのような議論が、日本国内ではほとんどなされなかった事が残念です。 ◆家計支出の削減はどこから? 昨年10月、安倍総理が「消費増税」の決断をしてからもマスコミは相変わらず「アベノミクス」による経済成長に焦点を当ててきました。 残念ながら、景気は今年に入ってから、その勢いに陰りが出ており、日経平均株価も年初から比較すると下落の傾向性が止まらない状況です。 来週からは増税が始まるのですが、すでに消費景気の冷え込みが見え始めています。外食、自動販売機、切手等々、日常のあらゆる暮らしの中に増税が影響してきます。 今回の増税には「軽減項目」はないので、当然その中に「新聞紙」も入ります。 確認したところでは、大手新聞も、消費増税をきっかけとして値上げに踏み切ります。朝日新聞は、宅配の新聞に限り3,925円から4,037円へと110円の値上げとなるほか、中日新聞は、駅売りの販売価格を110円から130円へと20年ぶりの値上げとなります。 危機感を持っている消費者はすでに家計の防衛に入り、可能な支出の削減に入っているようですが、4月以降さらなる削減として、上記に掲げた新聞購読料も入る可能性があり、新聞社にとって経営危機が訪れようとしています。 新聞社自身が分かっているとおり、長期デフレ下の中での値上げということは販売上、極めて厳しいのです。 マスコミは本来、安倍総理が決断する前までに、経済に及ぼす影響をしっかりと伝えなければならなかったのです。それがこの時期、自らの身に及ぶことになりました。 ◆もう一つの動き「マイナンバー法」に要注意 また、消費増税に関連して、「マイナンバー法」の動向についても注目しなければなりません。 去る3月18日の日経新聞1面によると、政府は預金口座にマイナンバーの登録を義務付ける方向で銀行界との調整に入っています。 「脱税、マネーロンダリングを防止する」という大義名分はもっともに聞こえますが、財務省はこの他に、「国家が個人財産を管理する」ことも一つの目的として意図しているとも言え、注意が必要です。 これは、消費増税の隠された目的でもある「国家社会主義」への道にも大きく関係しています。このような動きが着々と進められていることについて、広範囲に報道されていませんが、注意深くしなければなりません。 ◆社会保障に使われる保障はない また、政府・自民党や民主党等は「増える社会保障費のために増税しなければならない」と主張していますが、現在の議論を見る限り、本当に消費増税分が社会保障費に充てられるかははっきりと決まっていません。 そうであれば、「福祉目的税」となるべきなのですが、増税分の支出について、はっきりと社会保障費として規定されているわけではないこともお伝えいたします。 ◆日銀は「2%成長」を忘れたのか 昨年は、日銀の「異次元緩和」なる金融緩和の結果、株価の上昇と消費景気の拡大、さらには2020年東京オリンピックの開催決定などの要素が重なり好況を感じさせる一年でありました。 その立役者であった黒田日銀総裁は、就任直後の意気込みは大変強く、実質GDP「2%成長」を掲げ、日本経済も活気を持つようになりました。 しかし昨年9月、消費増税の議論に関して、財務省寄りの発言を行ってからはやや存在感が薄くなり、そして、本当に2%成長を目指そうとしているのか、疑問に感じられるようになりました。 それに関連して、先日の日銀金融政策決定会合後の記者会見で「現在の失業率3.7%は完全雇用に極めて近い」と発言し、日本経済が安定しているとの認識を示しました。しかし、特に地方においては、雇用は地域の最重要課題の一つとして取り上げられています。 数字以上の厳しい実態がある中で、日銀の考えが本当に実態に即しているものなのか、大きな疑問が残ります。 かつて民主党政権時代、まじめに「増税によって景気がよくなる」と言った首相がいました。 現在の日銀総裁について、まさか「増税によってGDP2%が達成できる」と考えてはいないとは思いますが、いずれにしても今後の日本経済について危機感が薄いことは事実です。 ◆鹿児島補選でも消費増税の是非が争点に この消費増税の是非については、来る4月15日告示の衆院鹿児島2区補選でも大きな争点となることは間違いありません。 消費増税施行後の初の国政選挙として、国民がどのような判断をするのか、この結果が注目されるところです。 幸福実現党は、今後も一貫して消費増税反対を掲げて、がんばってまいります! 北朝鮮の人権弾圧を終わらせるための覚悟を 2014.03.27 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆日米韓首脳会談が実現 日米韓国首脳会談が25日、オランダのハーグで実現しました。 日本メディアの中には、朴槿恵大統領が安倍首相と目線を合わせず、握手を拒否したことを揶揄するような報道もありましたが、三カ国首脳会談が開かれたことだけでも重要な一歩です。 今回の会談に反発するかのように、北朝鮮は日本海側に向けて中距離弾道ミサイル「ノドン」を発射しており、例え形だけであったとしても、三カ国の首脳会談が北朝鮮への圧力になると証明されました。 日本としては、さらに三カ国の連携を深め、東アジア有事に対応できるよう努力すべきでしょう。 ◆韓国では意外と知られていない北朝鮮の人権侵害 北朝鮮については人権状況に関して、先月17日に、国連の人権委員会に報告書が提出されました。 表現・思想の自由がないこと、政治犯収容所行なわれている拷問や公開処刑、さらに外国人に対する拉致などについて人道に対する罪に当たると指摘しています。 強制収容所における労働や拷問などによって、過去50年で数十万人が死亡。 現在も8万人以上が収容されていると報告書は伝えています。 同様に、拉致については子どもを含む外国人20万人以上が犠牲になったとされています。 特に、強制収容所における人権侵害は目を覆うものがあります。 北朝鮮の強制収容所12号を抜け出した女性脱北者は次のように語っています。 「遺体から出てきたうじ虫を、周りの人は捕まえて食べていました。 私は、体に悪いのではないかとも心配しましたが、生き延びるために、私も食べるようになるのではと想像しました。 (収容所では)ねずみを生で食べていました。口が血で真っ赤なのを覚えています。 収容所ではたくさんの人が殺されます。1か月に3人も殺されていました。」 (参照:http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2014/03/0317m.html) しかし、韓国国内では、北朝鮮で目を覆いたくなるような人権侵害が行なわれていることは、それほど知られていません。 北朝鮮でのキリスト教徒への迫害を描いた『神が送った人』という映画が公開されていますが、これを見た観客は「北朝鮮の現実についてあまりに無知だった」と感想を述べています。(2月25日付朝鮮日報) また、日本では強制収容所の悲惨な実態を描いた映画『北朝鮮強制収容所に生まれて』が公開されていますが、韓国では親北の国会議員の反対で上映される予定はありません。 韓国では、北朝鮮の人権侵害を伝える脱北者に対し、親北の議員が「裏切り者」「変節者」「ゴミ情報を量産している」と攻撃することもめずらしくなく、本来であれば一番同情すべき韓国人が北朝鮮問題に関して一致団結して解決に当たることができていません。 ◆封殺される親日派の声 それに対し、親日的な言動については、強硬な統制が行なわれています。 昨年7月に、韓国出身の呉善花(オ・ソンファ)氏が韓国への入国を拒否されたことは有名です。 韓国政府は入国拒否の理由を明らかにしていませんが、呉善花氏の言論活動が親日的であるとみなされ、そのために入国できないのではないかと考えられています。 『親日派のための弁明』の著者である金完燮(キム・ワンソプ)氏は朝鮮半島の日本統治を肯定的に評価したため、本書は有害図書に指定され、金完燮氏は名誉毀損と外患扇動罪で逮捕されています。 同様に、日本による統治が韓国の近代化につながったという論文を発表している李栄薫(イ・ヨンフン)氏もソウル大学の教授を辞職するように圧力を受けました。 残念ながら、韓国では親日的ととられる言論は攻撃され、学問の自由も保障されていない状況にあります。 その結果、世論は「親北反日」に偏っていく一方です。 ◆今こそ行動を起こす時 こういった世論を考慮すると、日本と協力関係を築き、北朝鮮と対抗していく困難が理解できます。 その中でも、日米韓の首脳会談が開けたことは大きな一歩です。3ヶ国は北朝鮮の人権問題の理解をさらに深めるとともに、拉致被害者が出ているヨーロッパ各国にも協力を要請し、この問題を一日でも早く解決できるよう連携を深めるべきです。 ただ、韓国国内世論と朴大統領の今までの言動を見ていると、どれだけ信頼関係を構築できるか楽観できません。 また、アメリカが外交よりも国内問題を優先する孤立主義の時代に入りつつあります。 最終的には日本単独でも北朝鮮に対処する気概が必要です。 北朝鮮の人権状況について報告書をまとめたカービー委員長は、証言の多くに涙を流さずにはいられなかった、と述べ、次のように訴えました。 「これまで国連は報告を受けても行動をおこさなかった。今こそ行動を起こす時です。」 21世紀、最悪の人権弾圧を終わらせる覚悟が必要です。 中国から祖国を守る台湾学生の勇気! 2014.03.26 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆台湾の学生が、中台協定に反発 中台間で昨年締結された「サービス貿易協定」の撤回を要求する台湾の学生らが、23日に立法院(国会)を占拠し、数百メートル離れた行政院(内閣)にも突入、警察に強制排除される事態に発展しました。(読売3/25) 朝日新聞では、「台湾の警察が24日未明に、行政院に突入した学生や市民らを約5時間かけて強制排除、警官隊がこん棒や盾で市民らを殴る場面もあり、現場は混乱。市民や警官に100人余りのけが人が出た」と報じました。 さらに「行政院への突入は立法院の周辺にいた学生が独自に呼びかけたもので、立法院の議場内の学生は占拠を続けている。台湾大学などの学生会は警察の強制排除を『暴力による鎮圧』と批判し、授業をボイコットするよう呼びかけた」と報じています。 朝日新聞を読む限りでは、学生が暴徒のように報じられ、なぜこのような行動に出たのかの詳しい情報が抜け落ちています。 ◆学生の反発の理由 学生の「貿易協定」反対の不満が爆発し、立法院議場を占拠した理由は、3月17日、立法院で「貿易協定」の議論が白熱し、「3カ月審議して立法院として反対の結論を出せなかった場合には審議終了として、行政院(政府)が当初提案の通りに手続きを進めることができる」という規定のもとに「審議終了」を宣言したからです。 (サーチナ3・24 http://news.searchina.net/id/1527741) 読売新聞では、学生の反発の理由を以下のように報じています。 「学生らが法を犯して実力行使に訴える背景には、域内総生産(GDP)の7割を占める台湾のサービス産業が規制緩和されることで、台湾が経済的に中国にのみ込まれるとの不安感が高まったからだ」(読売3/25) そして学生は、「警察が動かなければ、我々も動かないぞ」「民主主義を守り、サービス貿易を撤回しろ」と訴えていると報じています。 ついに学生の占拠から一週間たった3月25日、馬英九総統が学生の代表を総統府に招き対話をする考えを示しました。今後の動向に注視したいと思います。 一方で中国政府は、台湾側に立法院の占拠問題が「適切な解決」を得られない場合は、中国の対台湾政策トップの訪台を無期限に延長すると伝えています。(読売3/26) では、中国はどんな意図を持って台湾に接近しているのでしょうか。 ◆中国による台湾自治区化 中国軍事専門家・平松茂雄氏は、「中国は、2020年めどの『台湾統一』へ向けて着実に動いている。2021年は中国共産党結党100周年だから、その記念の祝杯を、台北で挙げようというのが当面の目的である」と指摘しています。(産経2011/6/24) 中国も武力による台湾併合は、国際社会からの非難を受けるとわかっています。最終的に武力による併合も否定はできませんが、しかし経済面からの台湾併合は、国際社会も容易に非難できません。それが中国の台湾併合の戦略です。 2008年に馬英九政権は、対中融和路線を掲げ、経済を中心に急速に中国との交流を拡大し、今年2月11日には、1949年の分断後、初めて中国と台湾当局による閣僚級の経済協力等を協議する会談が南京で開催されました。こうして着実に中国による台湾自治区化への道が進行していたのです。 ◆台湾は日本の生命線 今回の「貿易協定」反対派の主張には、台湾側の印刷出版業を大陸資本に開放する内容が盛り込まれているので、「言論の自由が損なわれる」との意見もあります。(サーチナ3/19 http://news.searchina.net/id/1527356) 近年、台湾は親中派が増え、このまま中国に飲み込まれてしまうのだろうかと危惧していましたが、今回の勇気ある学生の行動に、台湾を力で飲み込もうとする共産国家中国の野心から自国の独立を守ろうとする若い力が台湾にあることを知りました。 日本にとって台湾は運命共同体です。なぜなら台湾が中国の手中に落ちれば、日本のシーレーンは中国に簡単に脅かされるようになり、日本の経済は干上がってしまうからです。 日本のマスコミも、ほとんど関心を示していませんが、台湾は日本の生命線です。是非、今回の報道を機に、日本の国民は台湾に関心を持ち、民主主義を愛する台湾の学生と連帯すべきではないでしょうか。 なぜ日本は負けたのか?――戦史に学ぶ、未来への舵取りと提言 《第2回》 2014.03.25 文/岐阜県本部副代表 河田成治 今回から、敗因を掘り下げて考察し、幸福実現党の政策について考えてみたいと思います。 ◆情報戦略 (1)情報戦で負けた日本軍 たいへん悔しく思うのは、太平洋戦争の直前から敗戦に至るまで、ずっと日本の暗号がアメリカに筒抜けであったことです。 (正確には、戦争直前は日本の暗号のおおよそが解読でき、ワシントン駐在の日本人大使と東京外務省の暗号電文が解読され、日本が戦争を決意したという極秘情報も、ルーズベルト大統領はキャッチしていた。) しかし日本は、暗号技術に絶大な自信を持っていて、敗戦まで解読されていたことに気がつかなかったようです。 太平洋戦争の帰趨を分けたミッドウェー海戦、山本五十六長官の戦死、東京大空襲を許すこととなったマリアナ沖海戦、日本の敗戦が決定的となったレイテ沖海戦、これらすべてで、日本の作戦は筒抜けで、日本が情報戦で負けたことが、敗戦の原因であったといっても過言ではありません。 (2)現代でさらに重要になる情報収集能力 従って、現代でも、外交や国防政策においては、情報戦が最重要の鍵を握っています。 たとえばアメリカは、CIA(中央情報局)やNSA(国家安全保障局)など情報機関に、年間で約7兆円(産経2009.9.16)もの予算をかけています。これは、日本の防衛予算の1.5倍にもなる金額で、アメリカは情報部門だけで、これだけのお金をかけているのです。 またエシュロンと呼ばれる電波傍受施設を、アメリカは世界中に持っていますが、これは、史上最強の盗聴機関といわれ、軍事無線は当然のこと、携帯電話、ファクス、電子メールなど、おおよその通信が盗聴されていると言われています。 このエシュロンは、日本の青森(米軍三沢基地)にも存在するようで、つまり、日本やアジア近隣諸国の情報は筒抜けになっています。 このように、アメリカの情報収集と分析にかける労力は桁外れです。 また当然、中国も政府の管轄する国家安全部、軍が持つ総参謀第二部などの情報機関を持ち、情報収集のほか、スパイ活動などを行っていますが、詳細は不明です。 一方、日本はCIAにあたる組織は持っていません。あえて言えば内閣情報調査室がそれにあたりますが、その職員数は170名で、CIAの2~3万人(推定)に比べ、予算も規模も比較になりません。 自衛隊も情報本部(2400名。予算約500億円。防衛省HPより)等を持ち、外国の軍事情報を収集、分析していますが、やはり非常に限定的な組織です。 ちなみに、情報収集活動の中には、友好国からもたらされる重要な情報源もありますが、「特定秘密保護法」ができたことで、相手国もより安心して秘密情報を日本に提供できるようになったといいます。 (それまでは日本に情報提供すると、簡単に情報漏洩してしまうので、危なくて提供できないと言われていた。) このように日本も情報の重要性を認識し、法律の整備等も行うところですが、他国とは太刀打ちできない差が開いていることも事実です。(次回につづく) すべてを表示する « Previous 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