Home/ 2021年 September 2021年 September 自民党政権に足りない攻めの「経済安全保障」 2021.09.30 HRPニュースファイルの読者の皆様 おはようございます。 9月29日に自民党総裁選が行われましたが、その前日28日に政党のホームページにアップしたもので、現在の自民党政権の政策について幸福実現党政調会の見解を示したものです。 ※長文のため途中からリンクを貼らせていただいております。 ■自民党政権に足りない攻めの「経済安全保障」 幸福実現党政務調査会ニューズレター No.27 米中新冷戦が進展するにつれ、経済安全保障が脚光を浴びるようになりました。2021年の自民党総裁選では、候補者4人のうち、2人が経済安全保障に関する政策を公約に掲げました。 幸福実現党は、立党以来、安全保障の重要性を訴えており、こうした動き自体は歓迎すべきものです。 しかし、自民党が訴える経済安全保障は、主に自国の先端技術や軍事機密の防衛や、重要な産業の振興にとどまっています。 すなわち、日本経済全体の中国依存は、それほど問題視されていません。 自国の経済を特定の国に依存させることは、国家の生殺与奪の権を与えることに等しく、経済安全保障の問題そのものです。 自民党政権が、そうした根本的な経済安全保障を語ることができない理由は、その背景にある思想的限界に見るべきです。中国の間違いを明らかにする「正義」を示してはじめて、攻めの「経済安全保障」としての中国包囲網を、積極的に取り組むことができるようになるのです。 1. 自民党の唱える「経済安全保障」とは ◆「軍事力を使わない戦争」が始まっている 「中国が、アメリカが創り上げた世界秩序に挑戦している」というのが、現在の国際情勢です。そうした覇権争いは、最終的に、軍事的な戦争に発展するケースが非常に多いですが、その前段階として、両者は、あらゆる手段を使って、自国に有利な状況をつくり出そうとします。 特に中国は、積極的に他国から軍事機密や先端技術を盗み出そうとしてきました。それも、政府機関ではない民間企業が、通常の経済活動を装って、スパイ活動をしています。 例えば、2018年に中国スマートフォン大手のファーウェイが米トランプ政権によって制裁対象となりましたが、背景には中国のスパイ活動への懸念があります。 ◆経済を通じて、安全保障上重要な「情報」や「技術」を流出させない 日本も、こうした状況は、決して他人事ではありません。技術大国日本にとっても、自国の重要な情報や技術を流出させないことが喫緊の課題となったわけです。今や、民間レベルの技術や情報が他国に流れ、軍事利用されるのが世界の現実です。 そのため、近年、「経済安全保障」がにわかに脚光を浴びるようになりました。例えば、2021年の自民党総裁選では、高市早苗氏が先端技術の海外流出を防ぐため、「経済安全保障包括法」を公約に掲げました。 ◆「重要な産業」の他国への依存をやめる 経済安全保障のもう一つの論点は、サプライチェーンです。サプライチェーンとは、製品の供給網のことです。 昔は、国内で素材を加工し、製品化まで完結するのが一般的でしたが、現在は、複数国をまたがって製品を完成させることが当たり前の時代になりました。 それは、競争力を高めるために、最も安上がりの方法を企業が追及した結果です。 しかし、国をまたいだサプライチェーンの在り方は、有事のときに非常に弱いものとなります。 これは、今回のコロナ・パンデミックで浮き彫りとなりました。特に昨年、マスクや防護服などの医療品は海外依存度が高いため、しばらく入手困難な状況が続いたことは記憶に新しいでしょう。 医療品の他には、半導体が重要な戦略物資として挙げられることが多いです。 半導体は、電気を使うあらゆる製品に用いられ、「産業のコメ」と言われています。数年前までは、半導体の設計だけをして、実際の製造は、海外に委託する「ファブレス経営」が最先端でした。 工場を持っているとコストが高くなり、儲けが減ってしまうからです。 しかし、米中対立やコロナ・パンデミックによるサプライチェーンの混乱から、各国がこぞって国内誘致を進めているのが、現在の状況です。 経済安全保障では、こうした重要産業のサプライチェーン見直しも範疇に入ります。 重要な戦略物資を、有事の際に入手できなくなれば、安全保障が立ち行かなくなるからです。21年の自民党総裁選で岸田文雄氏が掲げた「経済安全保障推進法」では、まさにそうした観点が含まれています。 ◆自民党の経済安全保障への取り組みは、日本において極めて画期的なこと 自民党が正面から、こうした動きを見せるようになったことは、極めて異例です。数年前までは、安全保障で票を取るというのは、考えられない時代でした。 それが、自民党総裁選で、複数の候補者が積極的に掲げるようになったのは、隔世の感があります。 幸福実現党は、立党以来、安全保障の重要性を訴えてまいりました。「政権与党が、一部の安全保障政策を重視するようになったこと」は歓迎すべきです。 しかし、自民党の掲げる、こうした経済安全保障の取り組みには問題もあります。ここでは、その問題を指摘することで、あるべき経済安全保障の考え方を示します。 もちろんこのことは、自民党の掲げる経済安全保障を否定するものではありません。それは、極めて重要で、疎かにしてはならない政策が含まれており、明日にでも実行すべきものです。 しかし、経済安全保障として、それでは不十分であるため、その点をここでは論じます。 ※続きは、こちらからご覧ください。 https://info.hr-party.jp/2021/12076/ 自民党政権に足りない攻めの「経済安全保障」 幸福実現党政務調査会ニューズレター No.27 ベーシック・インカムは「亡国への道」 2021.09.28 https://info.hr-party.jp/2021/12065/ 幸福実現党政務調査会ニューズレターNo.26 ◆ベーシック・インカムとは何か ベーシック・インカム(BI; Basic Income)とは、すべての国民に対して、最低限の生活を送るために、一定額のお金を給付する制度のことを言います。 同制度の導入の際は、基礎年金や生活保護などはBIに一元化するのが一般的です。 政府は昨年、国民一人10万円の特別定額給付金を支給しましたが、BIは、この給付金が毎月支払われるようなイメージだと言えます。 最近は特に、コロナ禍にあることや自然災害の多発により、BI導入の機運が高まりつつあり、日本維新の会や国民民主党は、BIを次期衆院選の公約に掲げることを既に表明しています。 国外では、フィンランドで2017年から2018年にまで失業者の一部を対象とする実証実験が行われたほか、2020年にはスペインで低所得世帯を対象とする現金給付制度が導入されるなど、幾つかの事例があります(※1) 。 BIを導入すべきとの論調は、経済的左派のほか、竹中平蔵氏をはじめとする新自由主義者(ネオリベラリスト)の一部も、BIについて積極論を唱えています。 両者には、「社会保障を充実させるべき」「社会保障をより簡素化すべき」といった立脚点の違いがあります(※2)。 果たして、BIの導入は是と言えるのでしょうか。以下、実現可能性と哲学の面から議論を進めます。 ◆ ベーシック・インカムの実現可能性 BIを日本に導入することは財政上、実現可能なのでしょうか。 BIの「給付額」をどのように設定するかについて、論者により様々唱えられていますが、ここでは、国民に一律、年齢に関係なく毎月10万円給付する場合を考えます。 これを成り立たせるために一年間で必要となる予算は、単純計算で、(10万円×12カ月×1億2,000万人)=144兆円となり、2020年度の国家予算、約102兆円(当初予算)を凌ぐ規模感になることがわかります。 BIを導入する際には、基礎年金や生活保護のほか、所得税の各種の控除をBIに整理し、これらを廃止することが可能となります。 鈴木亘氏の試算を用いれば、基礎年金、生活保護費(生活扶助分+住宅扶助分)のほか、所得税にかかる控除分などをカットすることができ、その額は99.5兆円とされます(※3)。 しかし、これでも、BIを導入するときにかかる費用の全てを賄えるわけではなく、44.5兆円もの新たな予算が必要となります。 結局のところ、BIを導入する場合は、大幅な増税策を実施する必要が生じます。 所得税の累進課税強化や法人税の引き上げなど、巨額の財源を確保するには様々な方法があると考えられますが、例えば、消費税の増税でその44.5 兆円分の財源を確保するとなれば、軽減税率を廃止したうえで消費税率を31%にする必要があります。 いずれにしても、BIの導入で国民は結局、大きな負担を強いられることになります。また、今の財政状況を見れば、国債発行を財源にすることも到底考えられません。 尚、日本維新の会は、「日本大改革プラン」の中で、0歳から全国民に対し、月額6万円~10万円を一律給付するとし、その必要財源は約100兆円になるとしています。 しかし、働きたくても働けない人が給付額以上のお金が必要となった場合には、結局のところ、追加分の給付が必要になるとも考えられます。 また、同党は、BIについて、「格差解消のための再分配政策を強化する点で効果的」とし、新たな社会保障の実現に向けて、固定資産税の強化など、資産課税の大幅な強化の必要性を示唆しています(※4)。 確かに、BIを導入して、生活保護制度を無くして資力調査(ミーンズテスト)を不要にするなどして、現今の社会保障制度の維持に伴う行政費用は今より少なく済む部分もあるかもしれません。 しかし、今まで生活保護を受けていなかった人も給付を受けるケースが出るなどして、制度設計次第では歳出が大幅に膨らむことになると言えます。 BIはバラマキ・増税の典型と言ってよく、これを進めた場合は、日本は一層、「大きな政府」へと舵を切ることになります。 尚、今の生活保護制度には「貧困の罠(※5)」が存在し、BIはその解消策になるとされていますが、先述の通り、これは財政的に見ても実現可能とは言えません。 そのため、これについては別途、生活保護者の勤労意欲を減退させないような制度に変更する必要があります。 ◆「働かざる者食うべからず」が人間の基本 様々な理由により、働きたくても働けない人に対して一定のセーフティネットを設けることは、政府の役割と言えます。 しかし、「働けるのに働かない人」にもお金が配られることは本来、是認されるべきではありませんし、富裕層に対しても一律に給付がなされることは愚の骨頂と言えます。 何もせずとも、一定の所得が確保されるのであれば、全く働かないという人が一定の割合で現れてくることでしょう。 結局のところ、BIを実現するとなれば、富裕層をはじめとする、一定以上の所得を持つ人が「大増税」措置を受けて所得は差し引きでマイナスとなり、こうした所得層は、以前より可処分所得が減りかねません。 豊かな人から富を奪い取ってそれをばら撒けば、国全体は「結果平等」の世界へと近づき、誰も努力したり知恵を絞らなくなり、「貧しさの平等」だけが広がります。 また、BIが「無条件」でどの国民にも配られるとしたら、子育てへの責任感を有することなく、「お金欲しさ」に子供を産むという、恐ろしいケースが生じることも否定できません。 個人も国家も、経済発展の礎は「勤勉の精神」であり、「働かざる者食うべからず」というのが大原則であるはずです。 マックス・ウェーバーが資本主義の精神を分析したように、「禁欲や節制をし、勤勉の精神を発揮してお金を貯め、事業に成功することで、神の栄光を地上に現し、世の中を繁栄させる」者こそ、神様から祝福される人間なのです(※6)。 かつて「ゆりかごから墓場まで」というスローガンを掲げた英国は、サッチャーが首相となるまで、停滞の道を歩むことになりました。 日本もBIを導入して「国家社会主義」型の経済をひた走るようになれば、かつての「英国病」のようにますます停滞の道を歩むことになるでしょう。 「国家が国民を養う」という構図となれば、国民の生殺与奪の権は国家が握ることになります。BIの導入はまさに、国家への「隷従への道」であり、「亡国への道」に他なりません。 (※1)BIについて、厳密にいえば、BIの給付額だけでは生活する上で困難をきたす場合は「部分的BI」、年金など、対象者が限定されるものは、「限定BI」と分類される。海外での他の事例は、「欧州の『ベーシックインカム実験』と公的扶助改革」(2021年7月, 国立国会図書館)など参照。ここでの海外の事例は (※2)いずれも、「完全なBI」が導入されているわけではないと言える。 井上智洋『AI時代の新・ベーシックインカム論』(光文社新書, 2018年)等参照。 (※3)鈴木亘『社会保障と財政の危機』(2020年,PHP新書)参照。 (※4)大阪維新の会「政策提言 維新八策」「維新八策を具体化する国家ビジョン 日本大改革プラン」等参照。 (※5)現在の生活保護制度は、受給者が働いて給料を得たとしても、手取り額のほとんどが変化しないという体系となっており、勤労意欲を阻害している。「貧困の罠」は、生活保護から抜け出ようという誘因が働いていないことにより、受給者が貧困から脱却できない状況のことを指す。 (※6)大川隆法『マックス・ウェーバー「職業としての学問」「職業としての政治」を語る』(幸福の科学出版)より。 日英同盟の締結に向けて 日本に求められるインテリジェンス協力 2021.09.18 http://hrp-newsfile.jp/2021/4151/ 幸福実現党政調会・外交部会 久村晃司 ◆コロナ禍に勢いづく中国の覇権主義 コロナ・パンデミックの最中、中国は南シナ海や沖縄・尖閣などで不当に領土主権を主張して海洋進出を行い、日本をはじめアジア諸国の安全保障を脅かしています。 中国政府は9月1日には「改正海上交通安全法」を施行し、中国の海事当局は外国船に対し、「領海」からの退去や航行の阻止を行うことができるようになりました。 南シナ海や東シナ海を中心に、周辺国との緊張が高まる可能性が指摘されています。 日本にとって、自由や民主主義といった価値観を共有する欧米諸国と連携しながら、戦略的な外交・国防を展開して対中包囲網を築くことが急務となっています。 欧米各国のなかでも、中国包囲網の形成において重要な役割を担いうるのがイギリスです。 ◆イギリスとともに中国を封じ込める イギリスは現在、国際社会での地位や影響力を高めることを目指した戦略である「グレート・ブリテン」構想を掲げています。 その戦略の一環として8月下旬、イギリスの最新鋭空母クイーンエリザベスを中心とする空母打撃群が、沖縄南方で自衛隊及び米軍・蘭軍と共同訓練を行いました。 「インド太平洋」を「世界の成長の中心」と位置付けるイギリスは、このように中国の封じ込めに積極的に関与しています。 特に昨年、コロナ情報を隠蔽し、また香港の「一国二制度」を反故にした中国政府の横暴なふるまいを受けて、イギリスは対中抑止に向けて大きく舵を切りました。 日本としても、国連安全保障理事会の常任理事国であり、核保有国でもあるイギリスと連携を強化していく意義は大きいと言えます。 また「グレート・ブリテン」構想においても、イギリスは日本を安全保障上の重要なパートナーと位置付けています。 こういった背景から、日本が英国との関係を現在の準同盟関係から同盟関係に格上げし、対中抑止に向けた安全保障協力を強化していくことが、日本の基本的な外交戦略の一つとなりえます。 そこで今回は、日英同盟の構築にむけて日本が解決すべき課題について考えてみたいと思います。 ◆インテリジェンス協力で日英同盟の深化を 近年、イギリス政府から、日本の「ファイブ・アイズ」への参加を歓迎する声が出ています。 「ファイブ・アイズ」とは、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのアングロサクソン系の英語圏五カ国で構成される機密情報共有の枠組みです。米英は特に、日本の持つ中国と北朝鮮、およびロシアに関する情報に関心があると言われています。 日英同盟の締結を考えるとき、日本がそうした枠組みを通してイギリスとの緊密なインテリジェンス協力を行うことができれば、同盟関係はより深く実効性のあるものになると言えます。 そこで問題となるのが、機密情報の共有に関して、日本の体制整備が不十分であることです。仮にファイブ・アイズに加盟したとしても、他の加盟国から機密情報を共有する相手国として信用されなければ、必要な情報は得られません。 そうした観点から、日本の解決すべき課題を挙げてみたいと思います。 一点目は、「機密情報の漏えい」のリスクです。日本は秘密の保全体制が充分に築かれていないという問題があります。 まず日本には、機密情報のアクセス権限を限定する資格である「セキュリティ・クリアランス体制」の導入が求められます。例えばアメリカでは、機密レベルは三段階に分けられており、官僚や役人、そして防衛産業などに携わる民間人もセキュリティ・クリアランスを持っています。 さらに、そうした情報が他国から狙われ、盗まれるリスクもあります。日本は「スパイ天国」ともいわれますが、「スパイ防止法」を制定することで情報を他国機関の働きかけから守る仕組みが必要です。 二点目は、「日本から有力な情報を提供できるのか」という問題です。インテリジェンスの世界は「ギブ・アンド・テイク」が原則と言われています。 つまり、ただファイブ・アイズに加盟しただけでは有力な情報は得られません。日本からもそれ相応の有益な独自情報を提供できなければ、協力関係を築くのは難しいのです。 日本にはアメリカでいう「CIA」やイギリスでいう「MI6」といった対外情報機関が存在しません。そのため、日本は他の主要国に比して、圧倒的にインテリジェンス能力が低いのが現状です。 将来的には、日本も自国の対外情報機関を創設する必要があるでしょう。また、その前段階としては、日本から機密情報を分析する能力を持った人材を育成する環境の整備も必要です。 三点目は、「対中抑止に向けた日本の覚悟」です。ファイブ・アイズは情報共有のための機能ですが、そもそもその五カ国が目指すのは、自由や人権、民主主義といった普遍的な価値観を守ることです。 例えば近年、先進国の多くが中国共産党によるウイグル人への人権弾圧に対して非難の声を強め、国際問題となっています。しかし、日本はこの問題について「深刻な懸念」を表明するにとどめ、具体的な行動はとっていません。 日本がそうした親中的な態度をとり続けている限り、欧米諸国、ましてやファイブ・アイズ加盟国から本当に信頼されることはありません。 日本に大きな期待を寄せるイギリスにとっても、日本が曖昧な態度を続けていては、「インド太平洋への回帰」という戦略は中途半端に終わってしまいかねません。 日本はいち早く、中国の横暴に対して善悪の価値判断を下し、中国の覇権拡大を押しとどめる決意を固める必要があります。 例えば、ウイグルでの人権弾圧問題を「ジェノサイド」と認定するなど、日本としての明確なスタンスを示していくことが大切です。もちろん、いざと言うときに欧米諸国と連携するためにも「憲法九条の改正」を避けて通ることはできません。 ◆日本の決意がアジアと世界を守る 以上、ファイブ・アイズ加盟国の仲間入りをし、日英同盟を締結していくために必要な課題について挙げました。 今年7月に建党100年を迎えた中国共産党は、香港に続き、台湾、沖縄・尖閣とその支配の手を伸ばそうとしています。 こうした危機に対し、イギリスをはじめ欧米諸国は徐々に声を上げ、立ち上がりつつあります。 欧米の国々が一枚岩になるには、アジアの大国である日本の行動が必要不可欠です。日本がキーマン国家として、積極的にアジアと世界の平和の建設に動くべき時が来ています。 ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用の問題点【3】 2021.09.17 https://info.hr-party.jp/2021/12014/ 4. 問題点(3)ワクチン接種証明書は、全体主義への道 ◆ワクチン接種証明の活用で、最も先行する国の一つが監視国家「中国」 ワクチン接種証明と監視社会の相性は、とても高いです。 事実、デジタル技術を駆使して、国民を総監視している中国は、ワクチン接種証明の活用で、最も先行している国の一つです。 一部のメディアの報道によれば、「接種証明書がないと生活に支障をきたすようになってきた」という現地の声もあります(※19)。 ◆条件付きの自由は、簡単に制限される ワクチン接種者からすれば、この問題は自身には関係ないようにも見えますが、条件付きの自由は、簡単に制限されかねないことを忘れてはいけません。 今は緩い条件でも、一度それを許してしまうと、簡単に条件を厳しくすることができます。例えば、ワクチンが2回で効かなくなれば、定期的な接種が義務付けられたり、「ワクチン以外のことが感染対策に効果的だ」となれば、新しい規制が導入されたりするわけです。 しかし、ワクチン同様、効果があるかどうかを決めるのは政府です。その決定から外れる者の自由は、簡単に制限されるようになります。 ◆健康を理由にした自由の制限は、ナチス・ドイツも歩んだ道 また、歴史的に言えば、ナチス・ドイツも健康を大義に、さまざまな自由の制限を課していきました(※20)。まずガン検診を国民に義務付け、検診を怠ると罰則がつくようになりました。さらに無農薬栽培を進め、タバコやアルコールを禁止し、妊娠している女性の検診を強化するなどして国民の健康管理に努めました。 そうした制限は、最終的には、アーリア民族の健全性をユダヤ人が蝕むと言ってユダヤ人虐殺につながっていきます。 つまり、健康という誰もが反対できないことを理由に、国家権力が、自由を制限することは非常に危険なことであり、全体主義へとつながっていくのです。 ◆ひとつの価値観の押しつけは、全体主義につながる 全体主義というのは、独裁主義とほとんど変わりません。それには主義や主張は関係ありません。一見、全く理想が違うように見えるナチスもソ連も、ともに全体主義国家でした。 大川隆法 党総裁の『奇跡の法』(2001)には、「民主主義と全体主義は別のものではないのです。民主主義は、多数の力を前提とし、民衆の心をつかんだ人が上がってくる制度なのですが、その人が一つの価値観を国民全員に押しつけて、国家総動員的に動きはじめると、全体主義になります」と述べられています。 現在、コロナウィルスへの感染対策を名目とした、こうした動きに徹底して反対していく必要があります。 以上 (※19)ダイヤモンド・オンライン(2021.8.26)「中国版ワクチンパスポートに潜む、国民監視の「真の狙い」」 https://diamond.jp/articles/-/280429 (※20)幸福実現党(2021.2.13)「コロナ関連法改正、コロナ時代の「自由論」とは?」 http://hrp-newsfile.jp/2021/4021/ ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用の問題点【2】 2021.09.16 https://info.hr-party.jp/2021/12014/ 3. 問題点(2) ワクチン接種証明書で、憲法の基本的人権が侵害される ◆接種証明書なしで、飲食店の利用ができなくなる恐れ 政府は、接種証明書の活用によって、営業時間、酒類提供、会食等の制限を緩和する方針です(※11)。「接種者と未接種者が分け隔てなく利用できるよう」としつつも、具体例として、接種証明書を「利用したグループの会食については、人数制限を緩和」としています。明らかに自己矛盾です。 つまり、未接種者が飲食店利用で不利益を被るのは間違いが無く、後はその程度の問題になります。最悪の状態は、未接種者の入店拒否ですが、報告書では言及がありません。しかし、検査システムを導入する以上、そうした事態が発生しても不思議ではありません。また、その際のトラブルの責任は民間が負うことになります。 また、政府の各種規制に苦しむ飲食店にとって、制限緩和は渡りに船と言えます。雪崩を打って飲食店が検査システムを導入すれば、未接種者が飲食店の利用ができなくなる未来もありえます。 なお、政府は、ワクチン接種以外にも、PCR検査等の陰性証明も認めていますが(※12)、1回で数千円以上かかる陰性証明を繰り返し発行するのは困難です。なお、陰性証明の有効期限は、PCR検査が72時間で、抗原定性検査は24時間です。加えて、検査費用には、公費は原則投入されません。 ◆イベントへの参加を監視される恐れ 政府は、さらに摂取証明書の活用として、イベントを挙げています。緩和措置の条件として、ワクチン摂取証明書等に加え、「QRコードによる感染経路追跡などの手法の活用を含む、包括的感染対策」も入れています。 つまり、感染対策の名目で、接種情報と位置情報を組み合わせて活用される恐れがあるわけです。そうなれば、誰が何のイベントに参加したのかが第3者が管理できるようになるわけです。また、言及はありませんが、未接種者がイベントに参加できない可能性は拭えません。 ◆接種証明書なしで、県をまたぐ移動が制限される恐れ 政府は、ワクチン接種・検査を受けた人への自粛要請をしない方針です。裏を返せば、未接種者には、引き続き自粛要請を続けるということです。 これだけなら今までと変わりませんので、一見問題がないように見えます。しかし、公共交通機関が、政府の方針を錦の御旗にして、検査システムを導入する可能性があります。つまり、ワクチン接種をしない者は、自由な移動ができなくなる恐れがあります。 ◆接種証明書なしで、部活ができなくなる恐れ 政府の方針では「大学等の部活動や課外活動における感染リスクの高い活動についても、ワクチン・検査パッケージを活用すること等により、原則可能とする」とあります。 つまり、ワクチンを接種しない者だけが、部活ができなくなるわけです。これは事実上の接種の強制と何も変わらないでしょう。 ◆こうした制限は、憲法違反になりうる こうした規定は、憲法に定める基本的人権を侵害します。具体的には、憲法第13条の「幸福追求権」(※13)や、憲法第22条に関する「移動の自由」(※14)などが当てはまります。もちろん、これらは「公共の福祉」によって、制限を受けるものでもあります。 しかし、ワクチン接種証明書は、「公共の福祉」を考えても、憲法違反である恐れがあります。公共の福祉に関しては、通常、制限する利益と、制限した結果生まれる利益を比較して、後者の利益が大きければ、人権の制限が認められます(比較衡量論)(※15)。今回の場合、ワクチン接種証明書の効果が疑わしいのにもかかわらず、その結果の人権制限は、幅広く、かつ、深刻です(※16)。 ◆先行する海外でも、憲法違反の批判が起きたり、証明書の偽造が頻発したりしている 海外でも、ワクチン接種証明書への批判は高まっています。CNNの報道によれば、米インディアナ州では、大学が登校の条件として、ワクチン接種を義務付けたことを「違憲」として学生が裁判を起こしています(※17)。 また、フランスでは、接種証明書利用の義務化をめぐり、黄色いベスト運動と連動したデモが頻発していると報じられています(※18)。さらに、デモに加え、偽造証明書が発行され、問題化しているようです。 (※11)首相官邸「第76 回(令和3年9月9日開催)資料(新型コロナウイルス感染症対策本部)」 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r030909.pdf (※12)なお、こうした検査体制を「ワクチン・検査パッケージ」とし、既感染者への取り扱いは要検討としている。しかし、現段階の制度設計では含まれていないため、既感染者にも、ワクチンや陰性証明を強いられる可能性がある。 (※13)第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」 (※14)第22条「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」 (※15)衆議院憲法調査会事務局(2004.4)「「公共の福祉(特に、表現の自由や学問の自由との調整)」に関する基礎的資料」 https://www.shugiin.go.jp/Internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/chosa/shukenshi046.pdf/$File/shukenshi046.pdf (※16)なお、政府は、憲法違反と言われないように、実質の人権制限を政府ではなく、民間企業にやらせる仕組みを作っている。これは、通説とされる憲法の「間接適用説」を悪用した手法と言える。 (※17)CNN(2021.6.23)ワクチン義務付けは「違憲」、学生が大学を提訴 米インディアナ州」 https://www.cnn.co.jp/usa/35172799.html (※18)東京新聞(2021.7.25) 「ワクチン証明義務化のフランスで抗議拡大 不正発行も問題に」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/119257 ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用の問題点【1】 2021.09.15 HRPニュースファイル読者の皆様へ おはようございます。 本日より3回に分けて、「幸福実現党政務調査会ニューズレター No.25」をお送り致します。 ■ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)の活用の問題点【1】 https://info.hr-party.jp/2021/12014/ 政府は、新型コロナウィルスのワクチン接種証明書の活用に向けて、9月9日に方針を示しました。 活用には、飲食店やイベント等での証明書の提示を事例として挙げており、今後、非接種者への人権侵害が助長されかねません。 また、政府が感染症対策の名目の下、自由を制限し、国民を監視していくことは全体主義への道です。政府も、ワクチンの効果の限界を認めており、ワクチン接種証明書の活用が感染対策と経済再開の両立となるかは疑問が大きいです。 こうした不確実な制度で、国民の自由を大きく抑圧してはなりません。 幸福実現党政務調査会としては、このようなワクチン接種証明書の活用には、断固反対であり、即時見直しを政府に強く求めます。 1. ワクチン接種証明書(ワクチンパスポート)とは、政府の経済再開の切り札 ワクチン接種証明書は、ワクチンを接種したことを示す証明書になります。 これによって、政府は、経済再開の起爆剤となることを期待しています。緊急事態宣言等によって、経済を止めたことによって、不況が深刻化しています。ワクチン接種によって、自由な行動を許可すれば、経済を再開できるとバラ色の未来を描いているわけです。 2. 問題点(1) ワクチン接種証明書の感染症対策の効果は疑わしい ◆ワクチン接種しても、感染は防げない(ブレークスルー感染) しかし、そもそもワクチン接種証明書は、感染症対策として機能するか疑問が残ります。 ワクチン接種を二回しても、感染することはあります。これをブレークスルー感染と呼びます。 ◆デルタ株は、ブレークスルー感染を増やしている 日本におけるコロナの陽性者のうち、インド発祥のデルタ株が8月末時点で、9割以上となっておりますが(※1)、イスラエルの報告では、デルタ株によって、ワクチンの有効性(感染予防)が9割近くから、63%まで減少したと言われています(※2)。つまり、デルタ株には、ワクチンが効きづらいことを示唆しています。 ◆ワクチン接種をしても人に感染させることがある もちろん、ワクチン接種をすれば、重症化を防ぐとよく言われます。しかし、たとえ重症化せず、無症状感染であったとしても、人に感染させるリスクは残り続けます。 特に、ワクチン接種者も、鼻の中まで免疫を維持し続けるのは難しいと指摘されています(※3)。ある実験では、ワクチン接種者もそうでない人と同じように、デルタ株を増殖させ、人に感染させる能力があると報告されています(※4)。つまり、無症状の接種者が飛沫感染を引き起こす可能性が示されたわけです。 実際、アメリカでも、ワクチン接種者が、自主的な感染対策をほとんど講じなかったことが原因で、ワクチン接種をした人がデルタ株を拡大させていると報じられています(※5)。つまり、ワクチン接種証明書によって、お上からの「免罪符」を国民に贈れば、かえって感染拡大も起こりかねません。 ◆ワクチンの有効期間は短いという説もある ちなみに、厚生労働省は、先述のイスラエルのブレークスルー感染の理由として、ワクチン接種から長い時間(半年)が経過していることを挙げ、イスラエルが3回目の接種を進めていることを紹介しています(※6)。つまり、ワクチン接種証明書が発行されたとしても、本当に体内の中で、免疫が残っているのかが不明なわけです。 なお、ワクチン接種を2回ではなく、効果が切れる度に接種すればいいという考えもあります。しかし、その場合、ワクチンの効果が切れたら、その度にワクチンを接種しないといけなくなります。それは半永久的にワクチン接種を続けることを意味するかもしれません。 ◆ワクチンが効かない変異株が生じうる また、これからワクチンが効かない変異株が生じる可能性もあります。WHOによれば、注目すべき変異株(VOI)として、インド発のカッパ株(※7)やコロンビア発のミュー株(※8)などを挙げており、これらはワクチンの効果を弱める可能性が指摘されています。 加えて、東京五輪のせいか、日本でもデルタ株のさらなる変異株も発見されています(※9)。つまり、日本型変異が発生したのではないかということが示唆されたわけです。こうした新たな変異がワクチンの有効性を更に下げることもあり得ます。 ちなみに、こうした変異株の発生を防ぐためにも感染の数を減らすべく、ワクチン接種を進めるべきだという意見があります。これには一定の合理性はあるでしょうが、ワクチン接種を希望しない人に、事実上接種を強制するワクチン接種証明書を導入することなど断じてあってはありません。 なお、コロナが生物兵器である可能性を幸福実現党は指摘していますが(※10)、その場合、新たな変異株に偽装した生物兵器による攻撃も想定されます。つまり、変異株の発生を防ぐという戦略は水泡に帰すということです。 (※1)厚生労働省(2021.9.1)「第50 回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 国立感染症研究所 感染症疫学センター サ ーベイランスグループ作成資料(資料3-2 鈴木先生提出資料)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826599.pdf (※2)Israel Ministry of Health (2021, June 7) Explanation About the Effectiveness of the Vaccine for Coronavirus in Israel https://www.gov.il/en/departments/news/06072021-04 なお、重症や入院を防ぐ有効性は93%としている。 (※3)日本経済新聞(2021.9.8)「デルタ株、ワクチン接種しても鼻腔で増殖 米で確認」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD252Q60V20C21A8000000/ (※4)medRxiv (2021. Aug, 11) Shedding of Infectious SARS-CoV-2 Despite Vaccination when the Delta Variant is Prevalent –Wisconsin, July 2021 https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.07.31.21261387v3 査読前の論文であるため、注意が必要である。 (※5)Business Insider Japan (2021.7.12)「米専門家、ワクチン接種済みの人がデルタ株の拡大を助けていることは『疑いようがない』」 https://www.businessinsider.jp/post-238324 (※6)厚生労働省(2021.8.27)「「ワクチン接種後のブレークスルー感染」 なぜワクチンと感染予防対策の両方が必要なのか(森内浩幸 著)」 https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/column/0006.html (※7)厚生労働省(2021.9.1)「第50 回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料4 新型コロナウイルス感染症(変異 株)への対応等 (新型コロナウイルス感染症対策推進本部)」 https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000826604.pdf (※8)WHO (2021. Aug, 31) Weekly epidemiological update… デジタル庁に迫る中国軍の魔の手――私たちの個人情報が危ない? 【後編】 2021.09.12 https://youtu.be/HXDY7fceXRg 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が狙う究極の個人情報:DNAデータ 中国が最も狙っている個人情報の一つは、DNAです。 DNA情報は、身体の設計図ですので、その人やその民族の弱点というものが見えてくるわけです。 実際、アメリカの米中経済安全保障審査委員会(USCC)は2019年の段階で、中国が遺伝子情報を収集し、それを生物兵器に利用する危険性を報告しています。 もし、日本のDNAを収集したビックデータが流出すれば、生物兵器に悪用される可能性もあります。 厚生労働省などが所管する日本医療研究開発機構(AMED:エーメド)が国民の全遺伝子情報の15万人規模の大規模データベースづくりを目指すと言われています。 ちなみに、マイナンバーの健康保険証としての利用は、今年3月から始まっていて、10月からは、マイナンバーの専用サイトである「マイナポータル」で、薬剤情報・医療費情報の閲覧が順次可能になります。 政府のマイナンバーカードの健康保険証利用を推進するチラシには、「ご自身の診療情報がマイナンバーと紐づけられることはありません」と書かれています。 しかし、情報自体はデジタル化され、ネットにつながっているため、サイバー攻撃のリスクはゼロではないでしょう。 ◆期待できない日本のサイバー反撃能力 個人情報などが中国のサイバー攻撃で流出したとしても、それに対する日本の「反撃」は、おそらくできないでしょう。 「なぜ、反撃なのか」ということですが反撃能力をもつことで、一種の「抑止力」になるわけです。 例えば、今年の5月7日、アメリカのパイプラインがサイバー攻撃を受けて停止した事件が起きました。これに対し、アメリカは即時反撃し、犯人のロシア系のハッカーを敗北に追い込みました。 しかし日本において、自衛隊がこうした動きをするのは難しいです。 その理由は、憲法9条の問題です。9条では、軍隊を持ってはいけないことになっているので、自衛隊は必要最小限度の実力組織でなければなりません。 また、サイバー攻撃に対し、自衛権を発揮するためには、「武力行使の三要件」を満たす必要があります。 手短に言えば「日本の存続が危ぶまれるような存立危機事態であり、他に手段が無く、武力行使は必要最小限でないといけない」という条件です。 「武力行使の三要件」とは、厳密に言えば次の通りです。 (1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと,又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること(存立危機事態) (2)これを排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないこと (3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと 2020年の5月16日の衆議院の本会議で、当時の岩屋防衛大臣は、「どのようなサイバー攻撃がこの武力行使の三要件に言う武力攻撃に該当するかにつきましては、生起した事態の個別の状況に応じて判断すべきもの」と答えています。 ですが、厳しい武力行使の条件の中で、自衛隊が政府へのサイバー攻撃の反撃をできるかは、正直、疑問です。 デジタル後進国とも言われる日本が、焦ってアナログ情報をデジタル化すれば、サイバー攻撃の格好の餌食になるだけです。 ともかく、日本政府は、便利さなどデジタル庁の利点ばかり訴えますが、中国への情報流出という安全保障上の問題は間違いなくあります。 加えて、デジタル庁によって、「国民の情報を集めて監視する。さらには資産状況を把握し、税金をかけていく。そうして国民の自由を奪っていく」そうして日本を「デジタル全体主義」に導く面もあります。 ですから、政府に求めたいことは、憲法9条の改正や、スパイ防止法などの法律を制定して、サイバー攻撃から防衛できる体制を整えることです。 デジタル化以前にやるべきことはたくさんあるはずです。それを無視してデジタル化したところで、問題の解決は難しいでしょう。 デジタル庁に迫る中国軍の魔の手――私たちの個人情報が危ない? 【前編】 2021.09.11 https://youtu.be/HXDY7fceXRg 幸福実現党党首 釈量子 ◆デジタル庁の3つのコンセプト 9月1日、菅政権の肝いりの「デジタル庁」が発足しました。 発足式では、菅総理から「我が国全体を作り変えるくらいの気持ちで、知恵を絞っていただきたい」という激励の言葉もありました。 デジタル庁のコンセプトは、「情報の集中」と「一元管理」です。そのために、あらゆるデータのデジタル化を試みています。 平井デジタル大臣は、デジタル庁の3つの柱として、(1)『行政のデジタル化』、(2)『産業社会全体にわたるデジタル化』、(3)『誰もが恩恵を享受できるデジタル化』を掲げています。 (1)「行政のデジタル化」とは、マイナンバーを基盤として、スマホであらゆる手続きをオンラインでできるようにすることです。 そのために、地方自治体との情報管理システムの壁を取っ払って、政府の情報の一元管理を進めます。 (2)「産業社会全体にわたるデジタル化」では、具体例として、医療・教育・防災を挙げています。 つまり、「今まで眠っていたアナログのデータ、例えば、紙に書かれた医療情報をデジタル化して、今流行りのAIを使ったら、便利で儲けられる」という話です。 (3)「誰もが恩恵を享受できるデジタル化」は、デジタル庁が音頭を取って、データを使いやすいように標準化を進めることです。 ◆中国軍に狙われるデジタルデータ このように、デジタル庁は、便利さを追求するために、データの標準化・デジタル化を進めるわけですが、これは諸刃の剣です。 使い勝手のいい、便利なデータが、集中するということは、それだけ情報流出したときの被害が大きくなるということです。 しかし、日本のデジタル情報の防衛力はお世辞にも高いとは言えません。 イギリスのシンクタンクIISS(国際戦略研究所)は今年6月、日本のサイバー能力を3段階のうちで最低のグループにあると評価しており、これは中国やロシア、イギリス、フランスよりも低い評価です。 もちろん、デジタル庁もサイバー・セキュリティに取り組むとしていますが、日本は既にかなりの劣勢です。 特に、中国のサイバー攻撃部隊は精強で、17万5,000人規模とされ、このうち、サイバー攻撃部隊は3万人とも指摘されます。数だけで言えば、おそらく世界一でしょう。 アメリカのサイバー任務部隊は、6200人規模。我が国は、今年新設予定の自衛隊サイバー防衛隊で、160人です。 また、日経新聞の報道によれば、2020年度末の段階で、陸海空を合わせたサイバー関連の人材は660人で、2023年度までに1000人越えを目指すということですが、中国の3万人と数だけ比較すれば、非常に厳しい現状です。 2018年には、アメリカ海軍の契約業者が中国政府のハッカーによって、潜水艦搭載の超音速対艦ミサイルに関する極秘情報が流出しました。 加えて、尖閣を狙う、海上民兵のように「サイバー民兵」の存在も指摘されています。 例えば、平成28年に宇宙航空研究開発機構(JAXA)など国内約200の企業や研究機関を狙ったサイバー攻撃に関与した疑いが強まったとして今年4月に中国共産党員の30代の男を書類送検されました。 サイバー民兵の狙うものとして、個人情報も挙げられます。2015年に日本年金機構へサイバー攻撃が行われ、氏名や住所を含む個人情報が125万件、流出しました。 (後編につづく) 邦人の救出を常時可能にする体制の整備を 2021.09.10 https://info.hr-party.jp/2021/11970/ 幸福実現党政務調査会 No.24(2021.9.9) 日本政府がアフガニスタンにいる現地邦人などを退避させるため、同国に自衛隊機を派遣したものの、実際に退避させることができたのは計15人に留まり、当初想定していた500人にはるかに及ばない形となりました。 自衛隊の行動などを定める「自衛隊法」。今回の事例を受け、自民党総裁選に立候補を表明している岸田文雄氏は、自衛隊法改正に前向きな姿勢を示しており、同法改正が自民党総裁選の争点になる可能性も指摘されています。 今回は同法について改正すべきポイントに迫ります。 ◆対応が後手に回った日本政府 8月15日にタリバンが首都を制圧したことを受け、米国をはじめとする諸外国が大使館員の退避を決定。米国は16日、その他の国もその翌日頃には軍用機や民間機を派遣して救出作戦を敢行します。 一方、日本がNSC(国家安全保障会議)で自衛隊輸送機の派遣を決定したのは23日と、他国に対して大幅に遅れを取ることになりました。 外務省は6月25日の時点で既に、アフガニスタン全土に退避勧告を発令しており、邦人に対して積極的な注意喚起を行ってきました。日本はこの時点で、邦人救出についての具体策を打つべきではなかったでしょうか。 日本政府の判断が遅れた背景の一つには、自衛隊を派遣するにあたって、今回のケースが自衛隊法に定めた在外邦人の保護や輸送についての規定に抵触しないかどうかなどについての検討に時間がかかったとみられます(※1)。 自衛隊の派遣が遅れたため、日本の大使館員12人は、英軍機の助けを借りることによってUAEのドバイに退避することができましたが、もし、その輸送機に日本人を乗せるだけの余裕がなければ、このような手段をとることができなかっただろうと考えられます。 こうして考えても、日本は今回の事態を重く受け止めるべきでしょう。 ◆対応が遅れる大きな要因となった、自衛隊法の「不備」 今回の自衛隊の任務は、自衛隊法第84条の4(在外邦人等の輸送)を根拠に行われましたが、それには、「輸送を安全に実施できる」との要件が課せられています(※2)。 今回のケースで言えば、米軍が警備し、基本的に安全が保障されると思われるカブール国際空港での任務は可能と考えられますが、米軍が警備していない場所への自衛隊の派遣は、困難が予想されました。 実際のところ、8月26日に日本政府がアフガン人をバスで空港に輸送しようとしたところ、空港周辺で自爆テロが起こったため、その任務は断念されることになりました。 自衛隊法第84条の3(在外邦人等の保護措置)を根拠とする枠組みを用いれば、任務遂行のために武器を使用することも可能となり、空港外のような、より危険度が高い地域にも自衛隊を派遣できるとの見方もありました(※3)。 しかし、同条を根拠にする場合には、現地政府に同意を取り付けなければならないといった要件が厳格に定められています(※4)。 アフガニスタンを実効支配するタリバンは、「治安に責任を持てる状態」ではなく、「同意」を取り付けられる主体たりえないとして、同項を適用した活動は、選択肢から排除される形となりました(※5)。 ◆自国民の救出を行える体制整備を しかし、生命の危機にさらされる環境下において、自国民等を救出できないということには大きな問題があります。危険な場所であるからこそ、自衛隊を派遣することに意味が見出せるのではないでしょうか。 状況が目まぐるしく変わる中で、自衛隊の行動が規定に抵触しないかどうかを、ケースバイケースで検討することを強いられる自衛隊法の規定はナンセンスであり、憲法13条の「幸福追求権」に抵触すると言えます。 自国民を救出することは、国家の大切な責務であることにほかなりません。米国などは、独立国家であれば当然有する権利である「自衛権」などを根拠に、「在外自国民保護活動(NEO)」として、自国民の安全確保に向けた活動を展開しています(※6)。 日本についても本来は、「戦闘地域」であるか否かにかかわらず、「自衛権行使」を根拠とした邦人救出のための措置を講じるべきです。 日本政府は現行憲法の下、「国家」に対して武力攻撃が発生した場合については、自衛権を行使することは認められていると解釈しています。 しかし、現状では、「在外自国民」の保護、救出に対して自衛権を行使することは、困難だと考えられます。 日本政府は、「国民を守る」という国家としての使命を果たすために、滞在場所を問わず、「国民」が生命の危機に直面した場合などに、自衛権の行使が認められているとの解釈を明確に行うべきです。 その上で、自衛隊法第84条の3について、「戦闘行為がないこと」との記述を削除し、また、「当該国の同意」を緊急時には必要としないとの文言を追加するとした法改正を行うべきと考えます。 しかし、自衛権の行使できる範囲について、憲法9条の解釈を変更するだけであれば、議論の余地を残すことになりかねません。 本来は、国民の生命・安全を護れるよう体制整備を進めていく上で、憲法9条の第2項「戦力の不保持」「交戦権の否認」を削除するなど、全面改正する必要があると考えます。 (※1)日本には、国家として適切な判断を行うにあたってのインテリジェンス機能が脆弱であるという指摘もある。今回のようなケースにおいて、迅速な対応を行うためには、国家としてのインテリジェンス機関の設立も検討すべきと考えられる。 (※2)自衛隊法が1994年に改正され、「在外邦人等の輸送」が可能となったが、法改正された当時、連立政権の一角を占めていた社会党が「自衛隊の海外派兵に道を開く」として、同改正に反対する姿勢を取り、「安全が確保されない場合には邦人輸送を行わない」との条件が課せられることになったとの背景がある(織田邦男『アフガン脱出に速やかな自衛隊派遣を、問題点と解決策』(2021年8月23日, JBpress))。 (※3)自衛隊法84条の4(在外邦人等の輸送)でも、武器の使用が認められているのは「自分自身や自己の管理下に入った人の生命を守るため」に限られるが、84条の3(在外邦人等の保護措置)では、これに加えて「任務遂行」のための武器の使用も認められている(同法94条の5, 94条の6)。 (※4)自衛隊法84条の3では、外国で起きた緊急事態によって生命や身体に危険が及ぶ日本人を守る目的で自衛隊を派遣する場合、①相手国において戦闘状態とならないこと、②日本人保護を行うために自衛隊を派遣することについて相手国が認めていること、③安全に保護活動ができるよう相手国との連携や協力が見込まれること、という3つの要件を満たす必要がある。 (※5)産経新聞(2021年9月1日付)「自衛隊 邦人退避に憲法の壁」より (※6)政務調査会ニューズレターNo.22「万一の場合には、自衛権を根拠に邦人救出を」参照 ウイグル・ジェノサイドの認定を幸福実現党が求める理由 2021.09.09 幸福実現党政務調査会ニューズレター No.23 ウイグル・ジェノサイドは、現在、非常に重要な国際問題です。先進国の多くが、中国のウイグル・ジェノサイドに関して、積極的に非難し、その真相を明らかにしようとしています。 これに対して、わが国では、外務大臣は「深刻な懸念」としつつも、具体的な行動には至っていません。 また、与党公明党代表は「わが国が制裁措置を発動するとすれば、(中国当局の)人権侵害を根拠を持って認定できるという基礎がなければ、いたずらに外交問題を招きかねない」と述べており、概して、消極的です。しかし、既に多数の証言や間接的な証拠は積み上がってきており、これを無視することは、「平和主義」を国是とする日本としては看過できません。 本稿は、ウイグル・ジェノサイドを裏付ける、さまざまな情報を整理し、まとめたものです。 こちちらからご覧ください。 https://info.hr-party.jp/2021/11997/ すべてを表示する 1 2 Next »