Home/ 2015年 July 2015年 July 安保関連法案の議論から考えるマスコミ報道のあり方 2015.07.16 文/HS政経塾部長 兼 幸福実現党事務局部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆山場を越えた安保関連法案 安全保障関連法案が、7月15日に衆院特別委員会で可決され、16日の衆議院本会議で自民、公明両党の賛成多数で可決されました。 これから、参議院に安保関連法案を送付して、採決することになります。 参議院で議論が紛糾して、法案の採決ができなかったとしても、憲法59条に定められる「60日ルール」に基づき、9月14日以降に、衆議院で3分の2以上の賛成があれば、法案を成立させることができます。 与党は、衆議院で325議席を占めており、3分の2に当たる317議席を超えていることから、今回の衆議院での可決により、今国会の会期中(9月27日まで)での成立が見込まれています。 ◆国民の理解が深まる建設的な議論へ 衆院特別委員会では審議時間を、当初想定していた80時間を大幅に超えて、約113時間とったものの(1960年以降6番目の長さ)、野党側の「審議は尽くされていない」の1点張りで、議論そのものが深まらない状況になっていました。 参議院でも、野党側の反対攻勢は続くと思われますが、ぜひとも国民の理解が深まるように「反対のための反対ではない」建設的な議論を期待したいところです。 ◆マスコミ側もフェアに説明の機会を設けるべき 各社の世論調査でも安保関連法案について、政府側の説明が丁寧ではないという結果が出ています。 これは国民側のニーズでもあるわけですから、マスコミとしては「なぜ安保関連法案が必要なのか」を説明する機会をフェアに設けるべきです。 説明の場を与えないという「黙殺権」を行使して、さらに安保関連法案に伴う懸念ばかりを報道するのであっては、国民の知る権利に応えているとはいえません。 安保関連法案の議論の推移とともに、マスコミ各社がジャーナリズムにおける本来の責務を果たしているのかどうかも浮き彫りになってくるはずです。 ◆議論の全体像を伝える配慮を 安保関連法案の議論の高まりと合わせて、法案に反対する若者の動きもクローズアップされています。 その中で、SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)という団体があります。 本団体のホームページには、「戦後70年でつくりあげられてきた、この国の自由と民主主義の伝統を尊重します」とあり、日本国憲法の理念を守ることを表明し、安保関連法案にも反対しています。 ただ、戦後70年の間を見ても、なぜ自衛隊が創設されたのか、また集団的自衛権の解釈についても変遷しています。 さらに、日本からは平和的に「法の支配」を呼びかけているにもかかわらず、力による「現状変更」の姿勢を変えない隣国に対応するために安保関連法案の議論が出てきており、国際的には日本に賛同の意を表明する国が多いわけですが、こうした経緯については触れられていません。 このままでは、若者の熱心な活動も、リベラル陣営を築いてきた大人の意見を、定見を持たずに代弁することにもなりかねません。 ◆若者への押しつけではなく、見識を育む発信を 6月に選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げる改正公職選挙法が可決され、来年2016年の参議院選挙から、18歳以上からの投票が可能になります。 低迷する20代の投票率(32.58%・第47回衆院総選挙)を考えても、若者が政治に関わり意見表明することは素晴らしいと思います。 しかしながら、投票権を18歳からにしたのであれば、これまで以上に、教育の場やマスコミ報道等で、議論の全体像を伝える配慮が必要です。 少なくとも賛成・反対の両論を併記するなど、様々な創意工夫の余地があるはずです。 幸福実現党は、若者の幸福にもっと奉仕できる政治の実現に向けた取り組みの一環で、「考えよう!国のこと。政治関心度アンケート」を行っています。 若者世代が、政治に関心を持てるよう創意工夫し、見識を育むことへの貢献は、各政党が取り組むべき、公の責務であるはずです。 ◆より公正なマスコミ報道への契機に 安保関連法案に関する議論の高まりと、18歳投票権という若者の政治参加の広がりは、マスコミ報道のあり方を再度考えるチャンスなのかもしれません。 議論の全体像を掴めるように配慮し、国民に対して責任を負った、より公正なマスコミ報道へと繋げていくべきです。 「自虐史観を一掃する70年談話を求める署名活動」ラストスパート! 2015.07.15 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆日本の世界遺産の登録を逆手にとって世界に反日を宣伝する韓国 7月6日、ユネスコは日本が世界遺産に申請していた「明治日本の産業革命遺産」の登録が決定するという大きな動きがありました。 しかし、日本政府は声明の中で当初から同登録に反対してきた韓国の意を組んだ上で「意思に反して労働を強いられた(forced to work)」朝鮮労働者がいたことを認める考えを示しました。 日本政府は、「労働を強いられた」(forced to work)という意味は、「強制労働」を意味するものではないと否定はしていますが、韓国側は大々的に日本が国際舞台で「強制労働」をはじめて認めた(朝鮮日報)と報道しています。 また日本政府は、声明の中で被害者を記憶にとどめる「情報センター設置」などの処置を取る用意のあることを発表しています。これは「自虐史観」や「反日」を宣伝する情報センターを日本国内に設置するようなものです。 中国がユネスコの「記憶遺産登録」で「南京大虐殺」などを捏造することで日本を貶めようとしていますが、韓国は「世界遺産登録」を逆手に取って反日の宣伝に使おうとしています。 ◆幸福実現党長崎県本部の署名活動 このまま韓国側が「強制労働」を強調すれば、日本が世界的に注目度の高い世界遺産登録で逆に日本の立場を貶めかねない状況です。まるで第二の「河野談話」を世界に発信してしまったようなものです。 長崎では幸福実現党長崎県本部が、朝鮮人の強制労働を盛り込んだ平和記念公園の「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」反対署名運動を行い、長崎市議会に陳情を行いました。 その結果、市民からも慰霊碑の建設に対する疑問の声があがり、現時点で設置するかの最終的な判断がなされておりません。つまり実質設置ストップを勝ち取ったのです。 しかし今回の「情報センター設置」は「強制労働」を認めることになりかねません。 ◆戦時徴用をめぐる被害賠償請求裁判に結び付けられる可能性 今回の決定について韓国側外務高官は、「強制労働の被害者の苦痛を記憶に残し、歴史の傷を癒す重要な一歩だ」と発言していますが、それが引いては、戦時徴用をめぐる被害賠償請求裁判に結び付けられる可能性が高まっています。 すでに過去には名古屋市の軍需工場で強制的に働かされたとして元女子勤労挺身隊の韓国人女性や遺族が三菱重工業に損害賠償を求めた訴訟で、光州高裁は約6300万円の支払いを命じた裁判などが起きています。 そもそも日本が世界遺産に申請した歴史は明治時代のもので、韓国は昭和の戦時中の出来事に文句をつけており、筋違いも甚だしいと言わざるを得ません。 そして歴史の真実として戦時中の「国民徴用令」は、賃金の支払いも定めた合法的な労働動員です。もちろん日本人にも適用されており、先の大戦で主要参戦国でも同様の制度を強いていました。従って韓国側の「強制労働」という批判は誤りです。 「強制労働」という「ありえないこと」を事実としてしまった外務省の判断根拠は、まさに自民党政府が出した「河野談話踏襲」にあります。 ◆「70年談話を求める署名活動」ラストスパート! 一般の方からも、「今回の世界遺産の顛末を見てほとほと自民党が嫌になった、ぜひ頑張って下さい!」という意見が寄せられています。 日本の名誉を回復し正しい歴史観を取り戻すことができるのは。幸福実現党しかありません。 「世界記憶遺産」を政治利用した韓国の国際的な反日包囲網を払拭するためにも、安倍首相より自虐史観を一掃する『戦後70年談話』を世界に発信してもらわなければなりません。 署名は7/23締め切りラストスパートです。頑張って参りましょう! ◆「『河野・村山談話』の無効を宣言し、自虐史観を一掃する『戦後70年談話』を求める署名」 http://info.hr-party.jp/2015/4162/ 【署名送付先】〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 今こそIoT市場の積極的拡大によって経済を活性化せよ! 2015.07.14 文/HS政経塾4期生 窪田真人 ◆IoTとは何か 昨今よく耳にするIoTという言葉、皆様ご存知でしょうか。 IoTとはInternet of Thingsの略語であり、モノのインターネットと言われているものです。 すなわち、私達の身の回りにあるモノにセンサーや制御機器を組み込んで、これをインターネットに繋いでネットワーク化することを意味します。 例えば自動車に搭載されたセンサーは、位置情報で現在位置を把握するだけではなく速度や進行方向、エンジンの回転数や温度、燃費など様々なデータをモニターしており、その情報をインターネットに繋げ監視する体制を築くことで、事前に故障の予兆を検知することができます。 このようにIoTは既に我々の生活に密接に関わり、存在しているのです。 ◆IoTで社会はどう変わるか それではIoTで社会はどう変わるのでしょうか?特に製造業の分野で大きな変革が起こると言われています。 製品設計、マーケティング、製造、アフターサービスなど、それぞれの工程において情報を集め、その情報を活かした活動を行い、加えてそうした活動のために、製品データの解析やセキュリティ確保といった業務活動の必要性が生じるため、バリューチェーン(商品がお客様に届くまでの間、どこでどれだけの価値が生み出されていくか)の在り方が変わります。 さらにはバリューチェーンの最適化が促され、生産性の向上が求められることになります。 その結果、IoTは「新たな産業革命」とまで称され、既存のビジネスモデルを大きく変えることになるのです。 予測として、インターネットに接続される機械やデバイスの数は、2015年で150億台、2020年には500億台を超えると言われており、市場規模は全世界で約365兆円にまで拡大すると言われています。 ◆ドイツのIoT戦略 IoTを自らの成長に取り込もうと、各社、各国は現在様々な取り組みを進めています。 特にドイツは官民一体となり、製造業のイノベーション政策として主導しているプロジェクト「Industrie 4.0」を通して、IoTにおける市場獲得を狙っています。 このプロジェクトは、工場を中心にインターネットを通じてあらゆるモノやサービスを連携することで、「ダイナミックセル生産」という生産方式を可能にすることを目指しています。 「ダイナミックセル生産」とは、生産工程の作業管理を行う生産管理システムをインターネットのネットワーク上に構築し、生産に関わるあらゆる情報にリアルタイムにアクセスできる体制を築くことで、最適な生産を行うものです。 具体的には、生産に必要な情報さえ提供すれば、多くのプレイヤーが生産活動に参加でき、顧客の要望に合わせて、製品ごとに異なる仕様、好みのデザインの商品を欲しいときに欲しい数量だけムダ無く作ることが可能になります。 こうした柔軟な生産体制の構築によって、ドイツは自国の製造業の優位性を担保しようとしているのです。 ただ、その実現のためには、工程管理、製造装置における「標準化」が大変重要なキーワードになります。 設計から生産に至るまでの一貫した生産工程を工程ごとに標準化し、求められる仕様に合わせて組み替えができるように対応する必要があり、柔軟で高度に統合された自律的な生産管理が求められます。 また製造装置は標準化プロセスの要となる要素であり、そのもの自体を世界標準とするために仕組みを提供していかなければなりません。 実際にドイツは工程管理、製造装置における「標準化」を進め、IoTにおける自国企業の競争優位性を担保することを目指しています。 ◆日本の現状ととるべきIoT戦略 こうしたドイツの動きに対し、日本はIoTに関する対応が後手に回っていると言わざるを得ません。 現状では、総務省がデータ活用による事業化について、ビッグデータのキーワードでIoTに取り組むよう、通信/IT業界へ推奨しているだけです。 その一方で、経済産業省はドイツをはじめとする他国のIoTへの取り組みが、自動車やハイテク、機械といった、日本がグローバルで強みを持つ産業競争力を下げる危険性があると考えています。 実際に、2014年12月に開催された『日本の「稼ぐ力」創出研究会(第8回)』(事務局:経済産業省 経済産業政策局 産業再生課)の説明資料には、その懸念として「我が国のAI・ビッグデータ産業は、グローバル・プレーヤーの一員となっていないのではないか」と記されています。 では日本はこれからIoTについてどのような手を打っていくべきなのでしょうか。考えられる戦略は以下の3つです。 (1)ドイツをはじめとする他国の標準化を受け入れ、その中でグローバル市場におけるシェア拡大を狙う (2)日本独自規格を作り、日本+アジアに展開して世界標準を目指す (3)業界・企業独自の技術を磨き上げて「技術と品質」でグローバル市場をリードする この中で私が進めるべきだと考える戦略は、(2)と(3)の融合です。 日本の最大の強みは、やはり自動車をはじめとするモノづくりにあるでしょう。 その優位性を担保するためには、一般化した技術については「標準化」を通し、他国を巻き込んだ生産体制を構築していくこと、その一方で、最先端の技術力、品質を生み出し続けることがグローバル市場における競争の源泉となるはずです。 IoTについて今日本がなすべきことは、自国の利益を確保しつつ、アジア、そして世界のリーダーとしての強い方針を打ち出し、日本独自規格を標準化し多くの国を巻き込んでいくこと、そして巨大な新生産体制を築いていくことなのです。 集団的自衛権の行使を容認する安保法制成立を 2015.07.10 文/幸福実現党スタッフ 荒武 良子(あらたけ・りょうこ) ◆安保法案で争点となっている「集団的自衛権」 現在、国会では、安全保障関連法案の制定をめぐって議論がされています。今回の安保法案の最大の焦点は、「集団的自衛権」の行使を容認する内容となっていることです。 集団的自衛権とは、自国が直接攻撃を受けていなくても、密接な関係にある他国が攻撃を受けた際、反撃できるという、国連憲章第51条で認められた権利です。 ただし、これまで日本政府は、集団的自衛権の行使について、「集団的自衛権を持ってはいるが、憲法9条下において認められる、自衛のための必要最小限度を超えることになるため、その行使は許されない」としてきました。 ◆日米安保条約について 戦後、アメリカは、日米安全保障条約に基づき日本を守ってきました。日米安全保障条約は、1951年、日本の独立を認めたサンフランシスコ平和条約に基づいて、締結された条約です。 条約では占領軍のうち米軍に引き続き駐留する権利を与え、米軍は「極東アジアの安全に寄与し、日本への武力侵攻等に対し援助する」として、米軍が、日本の防衛を助けることになりました。 1960年の安保改定の時には、10年間、米軍駐留を延長することとなり、10年後以降は、1年前の通告で、条約破棄ができる規定となりました。 なお、10年後の1970年以降も破棄されておらず、現在も日米安保条約は有効です。 ◆日米安保破棄の可能性 現状、日本は、集団的自衛権行使を認めていないため、アメリカは、日本への第3国からの攻撃に対し、防衛しますが、日本は、アメリカへの第3国からの攻撃に対し、共同して防衛できないこととなっています。 アメリカが日本防衛のために戦っているときに、日本はアメリカを防衛することができません。 例えば、尖閣で紛争が起きたときに、アメリカ軍が中国と戦ってくれた場合、日本は、自国が攻撃されたときには防衛できますが、アメリカ軍が攻撃された時には防衛できません。 しかし、この現状では、軍事同盟として機能しているは言えず、日米安保条約を破棄される可能性があります。 ◆国連は助けてくれるか 日本有事の際に国連軍が助けてくれるという考え方もあります。 しかし、世界の平和及び安全の維持のために設立された国際連合の国連軍は、正式には一度も派遣されていません。 国連軍を派遣するためには、米・英・仏・露・中の5常任理事国の全会一致が必要なのですが、資本主義陣営(米・英・仏)と、社会主義陣営(中・旧ソ連)の間で対立が起きたのです。 また、国連は、第二次世界大戦の戦勝国の連合であり、国連憲章では、日・独・伊などへの軍事行動が取りやすくなっているなど、基本的には、先の大戦の勝敗の延長上に、「世界の平和及び安全の維持」を考える傾向があります(旧敵国条項53条 107条)。 このため、例えば、韓国との間で紛争が起きた場合、紛争の調停をする役割の国連事務総長が韓国人であったならば、国連軍は韓国の側につくことがありえます。 ◆南シナ海の軍事的脅威 現在、南シナ海の南沙諸島をめぐって、中国とベトナムが領有権を争っています。 オバマ大統領は7日、ホワイトハウスでベトナム最高指導者のグエン・フー・チョン共産党書記長と会談し、「(南シナ海問題は)平和や安全保障、安定を脅かす」と発言、中国をけん制しています。 また、安倍首相が6日中国の南シナ海での岩礁を埋め立て、軍事基地を建設中であることに対して懸念を表明したところ、中国外務省の華副報道官は、「当事国ではない日本は、言動を慎むよう求める」として、反発しています。 しかし、南シナ海は日本にとって、石油輸入のための重要なシーレーンです。当事国として発言すると同時に、日本の平和を守り、日米同盟を強化するためにも、安保法案を成立すべきです。 ◆日本の存立と世界の平和維持のため安保法制の制立を 以上のように、中国など、隣国に軍拡を続ける国があり、国連が十分に世界の平和を守れない現状では、日本の平和および南シナ海域の安全を守るには、日米同盟の維持が必要です。 日本は、集団的自衛権を行使し、アメリカと協力して世界の平和に貢献していくことが必要です。 我が国の存立と世界の平和を維持するため、集団的自衛権の行使を容認する安保関連法制は制定されるべきです。 参考:『現行日本国憲法をどう考えるべきか』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1103 選挙権年齢が18歳に!大人こそ政治参加の意義を考え直すべきだ 2015.07.09 選挙権年齢が18歳に!大人こそ政治参加の意義を考え直すべきだ 文/幸福実現党・兵庫第12選挙区支部長 和田みな ◆選挙権が「18歳以上に」 先月17日、公職選挙法が改正され70年ぶりに、選挙権年齢を現行の「20歳以上」から高校生を含む「18歳以上」に引き下げられます。 海外の主流である18歳選挙権に合わせる形となり、対象となるのは全有権者の2%、約240万人。来夏の参議院選挙から適用される予定です。 先月行われた読売新聞調査では、18歳選挙権について賛成54%、反対39%と賛成が過半数を超えているものの、反対する声も少なくありません。「まだ十分な判断力がない」、「引き下げても投票に行く若者が増えるとは思えない」というのが反対の理由です。 一方で、政治・選挙情報サイト「政治山」による17~19歳への意識調査では、64.3%が投票に行く意欲があるという結果がでました。新聞の世論調査の心配とは裏腹に、10代の若者は選挙に高い関心を持っています。 ◆教員への罰則の強化 各党からは若者の政治参加に期待する声が上がると同時に、若者への「主権者教育」について提言がまとめられつつあります。 自民党の文部科学部会では関係法令の早期の改正を目指しており、その一つは、教員の政治活動の制限を強化し、違反者に罰則を科すというものです。 改正により高校生も投票に行くことになるため、「学校教育に政治的なイデオロギーが持ち込まれることがあってはならない」と、教育公務員特例法を改正し地方公務員法の改正も盛り込まれました。 一方で、現場からはこのような厳しい罰則規制には「教育現場が委縮する」との批判も上がっています。 そのため、密室で行われる学校教育の現場において、どこまで政治的中立性が確保されるかは非常に難しい問題を含んでおり、まだまだ議論が必要でしょう。 ◆新科目「公共」の創設 自民党の提言のもう一つの柱として、新科目「公共(仮称)」の創設があります。この創設の目的は、政治参加への意欲を高めることにあります。模擬選挙や模擬議会を実施し、高校生に投票の意識付けさせることが話し合われました。 一方で、昨年末の衆議院選挙の投票率は、小選挙区では過去最低の52.66%、比例区でも52.65%と、約半数の国民が棄権している現状があります。冒頭の若者への調査では64.3%が投票に行く意欲があるという結果が出たことからも、政治参加の意欲を高める必要があるのは、高校生よりも大人にこそ必要であると言えます。 まずは、大人が政治参加の見本を示すこと、国民全体として選挙の意義を高めることが最大の意識付けになることは明らかです。 ◆政治家は未来のための政策立案を 昨年末の衆議院選挙における年齢別の投票率をみると、60代が最も多く68.28%。一方で40代以下は50%を切っており、20代に至っては32.58%と、60代と20代の間には倍以上の投票率の開きがあります。 人口比率が多い60代の方々の投票率が高く、人口の少ない若い世代の投票率が低いということは、政治家側からみると若者政策は後回しにしてでも、高齢者世代の政策の充実を図ることで、選挙に勝利することができるということを意味しています。 しかし、高齢者の政策を考えると福祉優先の考え方にならざるを得ず、日本の未来に投資し、若い世代に投資する政策は後回しにされてしまいます。 このような政治が、若者世代の政治離れを加速し、更なる票率の低下を招いているのです。 真に国の発展を考えるのであれば、政治家は若者世代の政策、更にその先の未来に対する政策をこそ国民に提示するべきです。 ◆民主主義に必要な「愛国心」 それと同時に有権者である私たち一人ひとりも、今一度「政治参加」の意味を考えなければなりません。 民主主義の発祥といわれる古代ギリシャの「ポリス」では愛国心は「祖国への愛情と奉仕」を意味しました。故に、民主主義に参加するということは、愛国心の顕現でした。 また、フランスの政治思想家トクヴィルも、アメリカの民主主義が繁栄した要因について「愛国心」を挙げています。著書の中で以下のように述べています。 「アメリカの公共心はこの愛国心によって、公益と私益が混合しており、人々は『自国の繁栄に関心を持っている』ことによって、個人の繁栄と国の繁栄が思想の上で結びついていることが指摘される。そしてこの想いは、人々を国の政治に参加させることによって実現される。つまり、民主主義の政治参加の根本にあるものは『愛国心』という宗教的精神であって、これによって個人の繁栄と国の繁栄が初めて結びつくのであり、民主主義を繁栄に導くために、必要なものであることが明らかになった。」 宗教心を根本に置いた「愛国心」があって、「公」と「私」の利益が一体となることが、民主主義の政治参加の根本であるのです。 ◆民主主義の健全化に向けて 現在、第一次安倍政権で改正された教育基本法では、「我が国と郷土を愛する」という愛国心が盛り込まれました。それに伴い、公民の教科書などでも「愛国心」という文言を使って、子供たちに愛国心を教えることが可能となりました。 しかし、それもまだまだ一部の教科書のみであり、その愛国心の根本にある「宗教心」については、公立学校では全く教えられていないのが現状です。 さらに政治参加への意欲を高めるには、学校教育のみの問題と考えるのではなく、「なぜ選挙に行かなければならないのか」ということを、国民全員が深く理解しなければなりません。それが民主主義を健全に機能させる方法なのです。 今回の選挙年齢の引き下げを契機として、国民全体で「政治参加」について深く考えていくことが大切です。 固定資産税制について考える【その2】 2015.07.08 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 前回は、土地税制のうち固定資産税、特に建物固定資産税のあり方について、「応益税と言えるのか?」「投資を妨げる効果があるのでは?」という問題提起をさせていただきました。 固定資産税制について考える【その1】 http://hrp-newsfile.jp/2015/2223/ ◆担税力が反映されない建物固定資産税 現在、建物に対する固定資産税は「再建築価格」を課税標準としています。しかしこれも非常に問題を多く含んでいます。 まず、これでは「担税力」、つまり「税金を負担する能力」を反映できません。例えば、同じようなオフィスビルが東京都と、かたや田舎にあったとします。 当然、東京にあるオフィスビルの方が賃料も高くなりますので、東京のビルを所有する方が収益力は高く、従って担税力も高いということになります。 しかし、仕様の同じビルを東京と、田舎で建てるコストはそれほど大きな差はありません。当然土地の価格は全く違うでしょうが、建物の建築費用に通常は極端な差は出ないはずです。 単純に言えば、再建築価格が同じであれば、東京にあるビルも、田舎にあるビルも同様の固定資産税を課されることになります。 しかし、これでは収益性が反映できなくなってしまいます。 ◆固定資産税は「役所にとって」都合の良い安定財源 まず、この課税標準を「再建築価格」としていることは、行政サービスと関係しているとは言い難く、建物は行政サービスによって新築時よりも再建築価格の方が高くなることはないのではないでしょうか。 やはり、建物固定資産税を応益税とするのは無理があると思われます。 また、どれだけ景気が悪化するなどして、周辺の地価が下落しても、建物固定資産税は「再建築価格」によって課せられるため、地価の下落に応じて少なくなることもありません。 これは資産を持つ者にとっては不利であり、行政側にとっては有利な制度になります。なぜなら、行政のサービスが悪く地価が上がらない、または、下落したとしても、建物部分の固定資産税は変わらないわけですので、非常に安定した財源になります。 ◆税金をかけてよいのは「果実」の部分 幸福実現党の大川隆法総裁は『幸福維新』の中で、以下のように述べられています。 「今、この国では、『果実』でないものに、たくさん税金をかけています。それが経済活動を阻害しているのです。国を富ませるための根本を知らないからです。経済活動をしようとすると税金がかかるような税制になっています。これは、国を治めている人たちが勉強していないからです。税金をかけてよいのは『果実』だけなのです。」 つまり、経済活動の元手になるものへの税金はかけるべきではないと指摘されています。 特に企業にとって、建物固定資産税は経済活動を行っていく上での元手にかけられる税金であると言えるのではないでしょうか。 ◆償却資産に固定資産税を課税するのは間違いでは? さらに償却資産に対する税金も同様です。 GHQの要請によって1949年にカール・シャウプを団長とする日本税制使節団(シャウプ使節団)が日本の税制に関する報告書まとめました、これが日本の戦後の税制に大きな影響を与えました。 「シャウプ勧告」の第12章で課税標準をそれまでの賃貸価格から資産価格に新ためる勧告がなされ、その理由としては「本税(不動産税)を土地建物に限定しないで減価償却の可能なあらゆる事業資産に拡大するため」というものをあげています。 償却資産に対しても固定資産税が課されており、平成25年度で1.55兆円の課税(見込み額)がなされています。 しかし、この課税についても、単に大きな資産を持つことができるということに「担税力がある」とみなして課税しているにすぎず、建物固定資産税と同様、付加価値の元手に課する税金です。 そもそも、その所得や借入れによって手に入れた元手に税金を課する正当性はなく、本来そこから生み出された果実、つまり利益に対して課税がなされるべきです。 ◆固定資産税のあり方を変えていくべき 固定資産税は地方税の根幹をなすものでありますから、慎重に改革をすすめる必要があると思いますが、経済活動を阻害するような税金は無くしていく方向に進むべきであると思います。 政策研究大学院大学の福井秀夫氏が「建物に固定資産税を掛けると、どうしても投資を抑制してしまうわけです。保有税は、土地に掛けると有効利用のインセンティブになりますが、建物にかけると、建物に投資することが、その分だけ確実に不利になるわけです」と指摘しているように経済活動を阻害し、経済成長を妨げる圧力をかけてしまいます。 さらに、現在のような収益性が反映されない「建物の再建築価格」を課税標準とする税金のあり方にも問題があると言えるのではないでしょうか。 したがって、一定の移行期間を設ける必要があるかもしれませんが、固定資産税制の在り方は、役所にとって都合の良い制度であることを改め、大きく改革をしていかなければならないと思います。 次回は、固定資産税は「法律を作らずに増税されていた」ということを含めて、問題点を見ていきたいと思います。 仁徳天皇に施策の根本を学ぶ 2015.07.07 文/HS政経塾4期生幸福実現党大阪本部副代表数森圭吾 ◆「愛」と「徳」高き仁徳天皇 古事記によると、西暦300年~400年頃に在位された仁徳天皇。その御名の通り、歴代天皇のなかでも徳高き天皇として知られています。 仁徳天皇は日本の第16代天皇で、古事記、日本書紀などにも登場しており、当時の皇居は難波高津宮(なにわのたかつのみや)で、現在の大阪府大阪市中央区周辺にあったとされています。 仁徳天皇の墓である仁徳天皇陵は大阪の百舌鳥古墳群にあり、エジプトのクフ王のピラミッド、秦の始皇帝陵とともに世界三大墳墓の一つに数えられ、墓域面積は世界最大です。 参考:世界三大墳墓の比較(堺市HP) http://www.city.sakai.lg.jp/kanko/rekishi/sei/sandaifunbo.html ◆仁徳天皇の「仁」の政治 記紀に記されている「民のかまど」の逸話にも見られるように、仁徳天皇の治世は仁政として知られています。 「民のかまど」の逸話 当時の民衆は非常に貧しく、質素な生活を送っていました。 仁徳天皇はこの状況を憂い、まず「宮殿に使える労役をなくせば、民が耕作や機織りに集中でき、豊かになるのではないか」と考え労役を廃止します。 その後三年たち、仁徳天皇が飯時に高台から都を眺めたとき、人家から飯を炊く煙が上がっていないのを見て民の生活は豊かになっていないことを知ります。 民の生活が改善しない理由について、天皇の側近が「近年、日照りや水害が続き、穀物が実らないため」と説明します。 仁徳天皇は民を救うため、宮中に保管された食糧(三年分)を切り崩す前提で、民に対する税と労役を3年間廃止します。 宮中には反対の声もありましたが、仁徳天皇はこの政策を断行します。三年後、仁徳天皇が飯時に高台に上ってみると、炊煙が盛んに立ち上っていました。 仁徳天皇は喜び、こんな歌を詠まれました。 高き屋に登りて見れば煙立つ民のかまどは賑ひにけり この時、仁徳天皇は皇后との会話の中で以下のように述べたともいわれています。 天皇 「私はすでに富んだ。嬉ばしいことだ」 皇后 「宮垣が崩れ、屋根が破れているのに、どうして富んだ、といえるのですか」 天皇 「政事は民を本としなければならない。その民が富んでいるのだから、私も富んだことになるのだ」 実はこの逸話はここで終わりではなく、続きがあります。 仁徳天皇は民がさらに豊かになることを望み、税・労役免除をさらに三年間継続することを決定し、その間、宮中の食糧や修繕は自給自足することとしました。 その後、民は益々ますます豊かになり、自ら納税を訴える者もあらわれ、宮廷を修繕すべく大工道具をもってくる者もいたといいます。 ◆「政は民が本」~君民一体を実現した施策~ 仁徳天皇の業績はこれだけではありません。 日本書紀には関西を中心に各地に大規模土木工事を行ったことが記載されています。当時、民の生活の豊かさは、食物の確保にかかっていました。 仁徳天皇は民の生活を豊かにするため、土地を開墾し、田畑をつくる大規模土木工事を行ったのです。 これは先ほどの「民のかまど」の逸話と同様、すべては「民」のために行った施策でありました。この日本初の大規模土木工事において発生した大量の土によって百舌鳥古墳群が誕生したと言われています。 仁徳天皇が眠る仁徳天皇陵の建造にどれほどの期間と労力が必要だったかについて、ある建設会社が以下のような試算結果を出しています。 必要年月:15年8ヶ月 必要人員:796万人 学者のなかには仁徳天皇陵は「天皇の権威を示すために民衆を奴隷として使い、建設させた」と主張する方がいます。 しかし当時、日本の人口は全国でも4~500万人程度。これだけの時間と人を強制的に労役につかせた場合、農耕などに人員が割けず、民だけでなく宮中の人間まで飢える可能性があります。 つまり、仁徳天皇は人々とともに大規模な土木工事を行い、民は仁徳天皇への感謝でその土を使った御陵に仁徳天皇を埋葬し、「和泉国の百舌鳥野のみささぎに葬し奉る」と書き残したのでしょう。 まさに「君民一体」。一つの理想政治が当時実現していたのではないでしょうか。 過去の世界史のなかには、権力者が民衆を私物のように考え、財産どころが命を奪っても構わないといった行動をとった暴君もおりました。 しかし仁徳天皇には根本に「仁=愛」があった。民への無償の愛があったからこそ「徳」が発生し、人々の「信」がついてきたのではないでしょうか。 ◆現代の政治家に必要な「仁」と「徳」 現代は当時と比較し複雑な社会となっています。 しかし現代において、この仁徳天皇の精神を持って施策を行っている政治家が一体何人存在するでしょうか。 単なる綺麗事ではなく、この民を思う私心なき「仁愛」こそ国民の命を預かる政治家に必要な基本的精神ではないかと思います。 我々幸福実現党が「宗教政治家」の必要性を訴える意味の一つがこの「仁」です。 本来、宗教にはこの「無私の愛」が存在するからこそ「宗教政治家」に存在意義があると考えています。愛と徳ある政治を実現するため、幸福実現党は活動して参ります。 「宗教立国」を目指す幸福実現党【後編】 2015.07.04 文/幸福実現党・島根県本部副代表 池田健一郎 前編で、(1)20条1項後段に「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」について考察を加えました。今回は、日本国憲法【(2)20条3項】と【 (3)89条】について考察を加えて参ります。 ◆日本国憲法20条3項について (2)「国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」という規定についてです。 公立の高校などでは倫理の時間があり、キリスト教、イスラム教、仏教のいわゆる世界三大宗教や、ギリシャ哲学などの概要を学ぶ時間があります。 つまり「公立学校が一つの宗教だけを教え込んだり、儀式をしたりするのはよくない」という、ただそれだけの意味です。 これに対して、私立学校はそもそも「国およびその機関」ではありませんので、宗教教育を自由に行えることは言うまでもありません。 ◆日本国憲法89条について (3)公金や公の財産は「宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」と規定されています。 たとえば、政府は様々な事業に対して補助金を出すことがあります。しかし、政府はただで補助金を出してくれるわけではありません。 「補助金を出すかわりに、ああしろ、こうしろ、定期的にこれこれの報告をしろ」等々、様々な条件をつけてくるのが普通です。実際に補助金を受けたことのある方はお分かりになるのではないかと思います。 もし、宗教団体にこれが適用されたらどうなるでしょうか?政府から「あなたの宗教の教えは、この部分が問題だから変えなさい、でなければ補助金は出さないよ」ということになりかねません。こんなことがまかり通ったら大問題です。 以上のことをまとめて言うならば「私的な事業への不当な公権力の支配が及ぶことを防止するための規定である」ということになります。 つまり、「宗教団体に公金を出すと、宗教団体の助けになるどころか、かえってその独立性が失われて、宗教団体が国家のいいなりになってしまう」、それを防止するための規定なのです。 ですからこれも「宗教の側から」「政治に対して」関わってはいけないということとは無関係です。「政治の側から」「宗教に対して」公金を出してはいけない、というだけの意味です。 以上、日本における政教分離の根拠は煎じ詰めればこの三つしかありません。 結局「政教分離」とは、「一つの宗教が国家権力を使って他の宗教を管理したり弾圧したりしてはならない、」という意味であり、また「宗教は政治に参加してはいけない」という意味ではないということです。 他にあえて挙げるとするなら、マスコミなどによって作られている「空気」、これだけです。 以上私が述べてきたことが、少しでもこの「宗教が政治に介入するのはよくない」という「空気」に「水を差す」ことができれば幸いです。 今後も幸福実現党は、日本国民の皆様の幸福を実現する政治を目指して頑張って参ります! 「宗教立国」を目指す幸福実現党【前編】 2015.07.03 文/幸福実現党・島根県本部副代表 池田健一郎 ◆政教分離をどう考えるべきか 私たち幸福実現党は、大きな理念の柱として「宗教立国」を掲げて活動しております。 しかしながら、わが日本国においては「戦前、国家神道によって戦争が引き起こされた」などの誤解に基づき、「宗教が政治に介入するのはよくない」という「空気」が存在します。 私自身、活動の途上において、支持者の方から「宗教が政治に関わるのはなんとなく良くない感じがする」というお言葉を頂くこともあり、誤った「政教分離」の概念が「空気」のごとく蔓延しているように感じます。 今回は、「宗教立国」の前提として「政教分離をどう考えるべきか」についてお話したいと思います。 ◆「政教分離」の憲法上の根拠は三つ わが国では、「政教分離」という概念は、戦後にできたものです。GHQが「神道が国家主義や軍国主義の精神的支柱となった」と判断したため、現在の日本国憲法では以下のように規定しています。 (1) 20条1項後段に「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」 (2) 20条3項に「国およびその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」 (3) 89条において、公金や公の財産は「宗教上の組織もしくは団体の使用、便益もしくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育もしくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない」 ◆日本国憲法20条1項後段について まず(1)の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」という規定に関してですが、おそらくこれが一番、皆様が引っかかりを感じる規定なのではないかと思います。 「宗教団体が政治上の権力を行使しちゃいけない、って書いてあるじゃないか」というわけです。 しかしながら、もともとこの規定は、戦前に神道が国から特権を受け優遇され、キリスト教や大本教など、多くの宗教が弾圧されたことを受けてつくられたものです。 つまりこれは「一つの宗教が国家権力を使って他の宗教を弾圧してはならない」という意味の規定なのです。 ◆参政権は「人権」である この(1)については、もう一つ考えるべきことがあります。 「政教分離」を「宗教が政治に参加してはいけない」と曲解している方は、とても重大なことを忘れています。 現在の日本国憲法においては、国民に「参政権」という権利が認められています。これは「選挙で一人一票を投じる権利」ですが、しかし「参政権」とは、これだけではありません。 「選挙で一票を投じる権利」だけでなく「自らが議員になるべく、選挙に立候補する権利」、これも「参政権」、つまり「政治に参加する権利」として保障されています。この二つとも「参政権」、つまり「人権」なのです。 ◆宗教団体が政治に参加することは正当な権利 ところで、わが国には様々な団体が存在します。経団連、医師会、日教組、自治労、共産党など。特定の考えを持ち、その実現のために活動している団体です。 それぞれの団体が、選挙のために候補者を擁立し、選挙戦を戦っていますが、それについて文句を言う方はいません。 そして、宗教団体も「特定の考えを持ち、その実現のために活動している団体」であることに変わりはありません。宗教団体が選挙のために候補者を擁立し、選挙戦を戦うことに、何か問題があるのでしょうか? あるとすればその根拠は?「経団連や共産党ならいいが、宗教団体は駄目だ」という理由が、どこにあるのでしょうか? 「ある」という方の根拠はおそらく「宗教は神を信じているから」という理由なのではないかと推測します。 「神を信じているから」というただひとつの理由で「宗教は政治に関わってはいけない」とするならば、神を信じる人間には「自らが議員になるべく、選挙に立候補する権利」がないということになります。 もっとはっきり言うと「宗教は政治に関わるな」と主張する人は「神を信じる者には人権が無い」と主張していることになります。 「神を信じる者に人権が無い」国はいくつかあります。中国や北朝鮮がその例です。 「宗教は政治に関わるな」と主張する方は、中国や北朝鮮が理想の国なのでしょうか。冷静に考えれば、そんなことは無い、ということがお分かりいただけると思います。 結論として、日本国憲法における政教分離の根拠、(1)「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、または政治上の権力を行使してはならない」という規定は、「宗教団体が政治に関わってはいけない」という理由にはならないことがお分かりいただけたのではないかと思います。 次回、日本国憲法【(2)20条3項】と【 (3)89条】について考えてみたいと思います。 (つづく) 「ユネスコ世界記憶遺産」登録阻止に向け、幸福実現党が取り組んだ具体的な活動 2015.07.02 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆中国による反日活動の柱「ユネスコ世界記憶遺産」登録申請 今年は、戦後70年という節目の年です。世界各国では様々な行事が予定されていますが、中国では習近平国家主席を中心に、様々な反日活動の盛り上げを企てています。 その柱が、いわゆる「南京大虐殺」「従軍慰安婦」に関する資料のユネスコ世界記憶遺産への登録申請です。もし、これが認められると、日本は国益を大きく損ねる危険があります。 「日本人は戦争中、悪い事を行った非人道的な国民である」という誤った見方が世界的に広まると、国際社会での日本の立場もさらに悪化し、経済的な影響も否定できない状況になりますが、残念ながら、政府は菅官房長官による反論以上の対応を取っておらず、実質的に傍観しているかのようです。 幸福実現党は、日本全国で「中国による『南京大虐殺』『従軍慰安婦』のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、 日本政府に万全の措置を求める署名」活動を展開し、4月2日に、総数192,036筆にも及ぶ署名を内閣府へ提出しました。 ◆釈量子党首が5月25日(日本時間)、ユネスコ本部へ反論書提出 現時点に至るまで、日本政府による明確な反論はなされていないようですが、幸福実現党の釈量子党首は、5月25日(日本時間)、パリのユネスコ本部に飛び、上記の中国による登録申請に対して反論書を提出しました。 この反論書には、上智大学名誉教授の渡部昇一名誉教授、国際エコノミストの長谷川慶太郎氏を始め、国内の著名な有識者40名が名前を連ね、国益を守る上で実に重要なものであることが示されました。 さらに、この反論書提出について、日本国内はもちろん、海外にも広く知らしめる事を目的として、6月10日、外国人特派員協会において、その詳細な内容についての記者会見を行いました。その様子は、こちらのユーチューブ動画でご覧いただけます。 ユネスコ記憶遺産への登録申請に反論文書を提出・記者会見【抜粋版】 https://www.youtube.com/watch?v=TDGd8hB1vjM 昨年、国会で特定秘密保護法案の審議の際、マスコミは「国民の知る権利」を振りかざし、法案成立の阻止に動きましたが、今回のような国益を守る活動こそ、国民に知られるべきです。 ところが、一部のマスコミを除いて報道がなされておらず、国民の知る権利が著しく阻害されているのです。 ◆6月10日の外国人特派員協会記者会見で釈党首が訴えた事 6月10日に行われた記者会見には、釈量子党首の他、天児都(あまこ・みやこ)氏、茂木弘道氏も登壇し、中国政府がユネスコに提出した資料について、具体的に明確な反論を行いました。 「ザ・リバティ」8月号には、その詳細が掲載されておりますが、今回は、その要点をお伝えいたします。 1、中国側が提出した「慰安所」の画像についての疑義 最も象徴的とされた「慰安所の前で日本兵と女性が並んで立っている写真」について、中国側は「従軍慰安婦の強制連行」の証拠として提出し、写真の著作権は中国政府にあると明記しています。 今回の会見で、写真のネガを持っているのは、福岡県にお住まいの天児都さんであることが明らかになりました。 天児さんは、「中国に写真の使用を許可した覚えはない」と述べ、写真について「民間の慰安所であり、写っている女性は、決して日本軍が強制的に連行した慰安婦ではない」と明言しました。 2、第6師団の谷師団長に対するでっちあげ判決文についての疑義 また中国側は「南京事件」に関し、戦後行われた元第6師団(熊本)の谷師団長に対して行われた裁判の判決文等を証拠としてユネスコに提出しています。 ところが、谷師団長が率いた第6師団は、「大虐殺」が行われたとされる1937年12月12日から12月21日までの10日間、南京にはほとんど人はいなかったという事実が明らかになりました。 その場にいなかった軍隊がどうして大虐殺を行う事ができるでしょうか。 谷師団長は、戦後、「大虐殺を実行した罪」を着せられ、死刑に処せられましたが、この裁判ではほとんど弁護人の主張を受け入れず、実体は「裁判」という名前を借りた、一方的な断罪でありました。 こうしたでっち上げの裁判の判決文を「史料」として提出したとしても、学術的な観点から説得力はほとんどないのです。こうした資料をぬけぬけと公の場に提出した中国政府こそ、批判されるべきではないでしょうか。 3、中国寄りの米国宣教師によるでたらめな証言 更に、今回の申請には、米国宣教師のベイツ氏による虐殺の供述書が申請されています。 その内容では、ベイツ氏は「殺人、強姦、略奪など日本兵による犯罪」を列挙し、これらが事実であることを証言したとされていますが、彼は、国民党から2度の勲章を授与されているように、中国側の利益に立って発言したと考えられます。 以下のニュースファイルでもお伝えしたとおり、ベイツ氏や東京裁判で証言したマギー氏など、当時の中国で、宣教活動を行っていた米国人は、親中の立場であることが分かっており、彼らの証言を記載しているこの資料も、公平性、客観的を欠くものであります。 参考:HRPニュースファイル「南京大虐殺」の虚構――なぜ宣教師はウソの証言したのか http://hrp-newsfile.jp/2014/1680/ ◆幸福実現党の活動は、真に国益を守る活動 このように、国際機関であるユネスコへ、偽りの証拠を提出した中国政府を決して許してはいけないと同時に、この虚偽申請が認められることについても、万全の体制で阻止しなければなりません。 このような事は、本来国家として行うべきことですが、幸福実現党は、国益を守るために「ユネスコ記憶遺産」登録阻止に向け、全力を挙げて取り組みを進めて参りました。 今後もこの歩みを止めることはありません。幸福実現党が進める真の国益を守る活動に対して、ご理解とご協力をいただきますよう、お願いいたします。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 Next »