Home/ 2015年 April 2015年 April 日本に誇りを取り戻し、国防強化の国の予算執行を! 2015.04.10 文/幸福実現党・群馬県本部副代表 安永 陽(やすなが あきら) 平成27年度の予算案が4月9日成立しました。 年度内成立は予算案外の政治と金の問題(下村大臣等の後援会と政治資金、補助金問題など)で野党の攻勢にあい大幅に遅れました。 一般会計で史上初めて96兆円という莫大な予算です。バラマキにつながる予算の執行には慎重でありたいものです。 ◆中韓反日プロパガンダを放置すべきではない 今回の予算では、わが国の国会議員は国難に鈍感で防衛予算は微増したのみです。 中国は、国防費を毎年2桁の伸び率を維持、南シナ海では、軍事的力を誇示してフィリピンやベトナムと領有権争いを繰り返してきました。 中国は、我が国の尖閣諸島でも、海保の警告にもかかわらず領海で度重なる侵犯をし続けています。北朝鮮は拉致被害者など実態調査を放置し、ミサイル発射を繰り返しています。 我が国はこれまでの弱腰外交を止め、毅然として対抗処置を行うべきです。 こうした国難迫る時に日米同盟強化、集団的自衛権の法制化などの整備も急がなければなりません。 ◆安部総理談話は、過去の自虐的な「河野・村山談話」に捉われてはならない 歴史観においては、中国がありもしない南京30万人大虐殺を国際社会に喧伝しています。韓国も軍強制連行による慰安婦などデマ宣伝を繰り返しています。 日本の戦後70年という節目の年に、安部総理の談話は史実に基づいて出すべきで、河野元官房長官談話は継承すべきではありません。 世界が固唾を呑みながら日本外交・防衛の「積極的平和主義」の建て直しが求められるなかでの予算です。 大きな政府、バラマキ型の予算には賛同できませんが、「積極的平和主義」の外交・防衛予算に関し自主防衛の観点から防衛産業の育成、防衛技術力の向上を図ってもらいたいものです。 ◆平成27年度、防衛省予算 一部引用しますが、「平成27年度航空自衛隊予算の概要(案)」には、以下のように示されています。 平成27年度航空自衛隊予算の概要(案) http://www.mod.go.jp/asdf/news/release/2014/jasdf_budget_draft.pdf 1 「平成26年度以降に係わる防衛計画の大綱」(平成25年12月17日閣議決定)及び「中期防衛力整備計画(平成26年度~平成30年度)」(平成25年12月17日閣議決定)に基づき、新たに導入することとされた装備品の取得も含め、統合機動防衛力の構築に向け、引き続き防衛力整備を着実に実施。 2 各種事態における実効的な抑止及び対処並びにアジア太平洋地域の安定化及びグローバルな安全保障環境の改善といった防衛力の役割にシームレスかつ機動的に対応し得るよう、統合機能の更なる充実に留意しつつ、特に、警戒監視能力、情報機能、輸送能力及び指揮統制・情報通信能力のほか、島嶼部に対する攻撃への対応、弾道ミサイル攻撃への対応、宇宙空間及びサイバー空間における対応、大規模災害等への対応並びに国際平和協力活動等への対応を重視し、防衛力を整備。 3 格段に厳しさを増す財政事情を勘案し、我が国の他の諸施策との調和を図りつつ、一層の効率化・合理化を徹底。 こうした航空自衛隊の装備を充実させるために、本当に国防費は足りているのか、疑問に思うところがないわけではありません。 ◆自分の国は自分で守る防衛予算の執行を 幸福実現党は選挙のたびに他党が防衛問題をタブー視する中で、「自分の国は自分で守ろう!」と訴え続けてきました。 先が読める政党だからこそ抑止力を高め、国民の生命と財産を守るにふさわしい防衛予算にすべきと訴えて参りました。 戦後は、愛国心・道徳心・宗教心を奪う戦勝国の押し付け、左翼陣営等による改ざんされた歪曲された歴史でした。 我が党は、国民の生命と財産を守る隙間のない防衛省予算の考え方を理解し、日米同盟を重視、小さな政府を目指し安心して子供を育てられる国の予算執行を望みます。 日米同盟の強化を阻む「壁」を破るために 2015.04.09 文/HS政経塾 スタッフ 遠藤明成 ◆2015年は日本の安保政策を固めるための「正念場」 中谷防衛大臣とカーター米国防長官は4月8日に会談し、新しい安保法制の内容が日米防衛協力の指針(日米ガイドライン)に反映されることが決まりました。 具体的には、安倍政権は、集団的自衛権の解釈変更などを反映した安保法制を7月末までに成立させ、その後に日米ガイドラインを改定することを目指しています。 今月末には安倍首相の訪米が予定されていますが、そこでも未来の日米関係のあるべき姿が議論されるでしょう。 本年はまさに、日本の安全保障にとって、正念場となる一年です。 ◆日米両国民の「世論」の比較 こうした重要な時期に、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが日米両国の1000人の国民を対象にした世論調査の結果(実施は本年2月)を公開し、以下の事実が明らかになりました。 ・歴史認識について米国民に聞いたところ、日本の謝罪を「十分」(37%)、「不要」(24%)と答えた人の合計は61%。「不十分」(29%)を大きく上回った。 ・「中国の台頭は、アメリカにとって日米関係がより重要になることを意味する」と考える米国民は60%。 ・アジアにおいて日本が果たす軍事的な役割が「拡大されるべき」と答えたのは、日本国民は23%、米国民は47%。「制限されるべき」と答えたのは、日本国民が68%、米国民が43%だった。 ・「日本を信頼できる」と答えた米国民は68%。「米国を信頼できる」と答えた日本国民は75%。「中国を信用できる」と答えたのは、米国民で30%、日本国民は7%でしかなかった。 ・米国民に経済的な結びつきについて日中のどちらが重要か聞いたところ、43%が「中国」を挙げ、「日本」の36%を上回った。 ・米国民の安倍首相の好感度は11%だが、73%は「彼について聞いたことがない」と答えており、アジアに関心の薄い人々が多いことが伺える。(小泉元首相の評価も同レベルの結果であり、慰安婦についても57%が、「全く聞いたことがない」と答えている) この調査を見ると、アジアに強い関心を持っていなかった米国民にも、野心を露わにした中国を牽制する国として日本が意識されていることが分かります。 ◆集団的自衛権行使の「限定容認」に潜む落とし穴 日米防衛相会議では自衛隊と米軍の協力範囲の拡大が合意されました。 そして、新しい安保法制で自衛隊が動ける範囲が広がる見込みですが、現在の自公政権の安保政策には未解決の問題点も数多く残っています。 まず、集団的自衛権の行使に関しては、「自衛の措置としての武力の行使」の要件の厳しさが挙げられます。 これが発動できるのは、日本が「存立を脅かされる明白な危険がある場合」ですが、この要件だと「9.11」後のアフガン戦争のようなケースに自衛隊が参加することは困難です。 NATO軍は集団的自衛権に基づいてアフガン戦争で米軍とともに戦いましたが、このケースは朝鮮有事や台湾有事とは違って日本の安全保障との直接的な関係が薄いからです。 今の日本が行使できる集団的自衛権は、「海外派兵は一般に許されない」という原則の下に、「限定的に容認」されたレベルであり、国際標準とはかけ離れています。 同盟国は本来、双務的にお互いの国が攻撃された際に防衛し合うものですが、今の限定容認の体制だと、米国の危機に際して、大統領に「同盟国なのに自衛隊を動かせないのか」と批判される可能性が残ります。 「我が国は集団的自衛権を使える国になった」と言いながら、結局、同盟国としての役割を十分に果たせなかった場合は、国家としての信用を失う危険性もあるわけです。 ◆本来、目指すべきは、防衛法制の「ネガティブリスト化」 また、新しい安保法制では、他国軍が「現に戦闘行為を行っている現場」以外の場所でしか後方支援は認めない方針なので、支援活動を行う地域で戦闘が始まれば、自衛隊は撤退しなければなりません。 中国や北朝鮮が、後方支援が行われている地域に多数のミサイルを撃ち込み、米軍などがミサイルを迎撃した場合、そこは「戦闘行為」が行われた地域に変わってしまうので、自衛隊は支援活動を放棄せざるをえなくなるのではないでしょうか。 今回の安保法制改革は防衛の立直しの第一歩ですが、まだ大きな問題が残っているので、課題は山積みです。 日米同盟の強化を阻む「壁」を破るためには、やはり、幸福実現党が訴えてきた、国際標準の集団的自衛権の容認と防衛法制の「ネガティブリスト化」(法律で禁じられたこと以外は、国際法に則って機動的に動ける自衛隊をつくること)が必要なのです。 10%への再増税を中止し、経済活性化へ 2015.04.08 文/HS政経塾3期卒塾生 瀬戸優一 ◆2017年4月の再増税 2015年度税制改正関連法が3月31日、参院本会議で可決され、消費税の10%への引き上げが2017年4月となることが決定しました。 今回の増税決定については、「景気条項」が削除されたことにより、景気情勢次第で延期することができなくなってしまいました。 つまり、どんなに景気が悪化しても増税を行うという意思の表れでもあると言えます。 ◆2014年4月増税後の状況 しかし、これに対し昨年4月の消費税増税以降、景気の悪化が止まらない状態にあります。 日銀が4月2日発表した3月の「生活意識に関するアンケート調査」(第61回)によると、昨年4月の消費税率引き上げ後に6割の家計が支出を控え、そのうち75%が現在も支出抑制を続けていることがわかりました。(4/2 ロイター) つまり、消費税が上がったことにより、消費が抑制されているといえます。景況感は改善されているということですが、実際には消費は心理であり、心理的に消費に対する支出の抑制がなされているということは、今後その影響が現実に出てくるといえるのです。 ちなみにこの調査では、消費増税後の支出の変化に対する問いについて「支出を控えた」「支出をやや控えた」という回答が合計で59.8%と全体の6割に達しています。 また、このうち影響の長さでは75.3%が「現在(冬)でもなお支出を控えている」と回答しており、多くの家計で増税後の支出抑制が続いている実態が浮かび上がっています。 さらに増税後に支出を控えた理由(複数回答可)では「物やサービスの値段が上がったから」が82.1%に達していて、次いで「収入が減ったから」が36.4%、「消費税率引き上げ前に前倒しで支出したから」との回答は13.4%ということで、深刻な影響が出てきているともいえると思います。(4/2 ロイター) ◆アベノミクスの効果も薄く これに対して、本来安倍政権では消費税を増税することで景気が悪化しないように、むしろ経済を活性化させて財政再建と景気回復の両者を同時に達成することを目指し、アベノミクスを打ち出し、効果があったとPRしています。 しかし残念ながらその効果はかなり限定的なものであったと言わざるをえないと思います。 消費が回復しかけてきた時点での消費税増税は、一気に消費に向かう心理を冷え込ませてしまったといえるのです。そしてそれが先に挙げたアンケート調査から如実に読み取れるということです。 この状態で2年後に再増税をしたらどうなるでしょうか?消費のさらなる冷え込みについては、想像に難くないと思います。 現時点でも政府は有効な手立てを打つことが出来ていない以上、極めて厳しい状況が予想されるのです。 ◆景気回復のために これに対し、幸福実現党は一貫して、景気回復には“減税”が必要であると訴え続けています。 確かに可決された税制改正関連法では法人実効税率を2年間で3.29%引き下げることで、企業収益が上がり、税収も上がることが期待されています。 しかし、消費税が上がる以上、最終消費者の消費が冷え込むことで、結局収益は悪化する可能性が高いといえるのです。 例えBtoBのビジネスであっても、その相手先がBtoCビジネスを展開していたとすれば、結果的に費用削減などにより、収益が悪化する可能性があります。 最終的に景気を回復させるためには、消費を活性化させなければならないのです。それによって、GDPも回復し、日本経済が活性化していくということを、立党以来訴え続けてきました。 消費が回復することで、企業の収入も増え、それによって働く人の収入も上がっていく、そうしたプラスのスパイラルに日本は入っていかなければならないといえるのです。 幸福実現党は、今後も減税路線を一貫して貫き、それが経済を活性化し、増税をしなくても結果的に増収にもつながっていくのだということを主張して参ります。 ■新刊紹介! 「幸福実現党テーマ別政策集 2 『減税』」 http://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1442 著者 大川裕太 定価 1,404 円(税込) 発刊元 幸福実現党 幸福実現党の政策は 本当に実現可能なのか!? 同党に寄せられる疑問・反論を、検証に基づき一挙解決! ▽消費増税の中止 ▽所得税・法人税の引き下げ ▽相続税・贈与税の廃止 ▽経済成長による財政再建 目次 序 章 幸福実現党の経済政策について 第一章 消費減税 第二章 相続税・贈与税の廃止 第三章 法人税・所得税の減税 第四章 財政再建 日本統治時代の功績を知れば、正しい歴史が見えてくる 2015.04.07 文/幸福実現党・兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆天皇皇后両陛下、ペリリュー島にご訪問 天皇皇后両陛下は、本日からパラオ共和国に1泊2日でご訪問されます。 ペリリュー島では、日本政府が建てた「西太平洋戦没者の碑」と、米陸軍の慰霊碑にそれぞれ献花されるご予定があり、先の大戦で散っていった兵士たちの魂の慰霊を行われます。 両陛下のご訪問に先立ち、幸福実現党党首 釈量子もペリリュー島を訪問いたしました。 戦車がそのまま放置されており、砲弾の跡がまだ残っている現地を見、現地の方の声を聞いた釈党首。「先の大戦で亡くなられた日本兵は、無駄死ではなかった」と確信できる内容になっています。 THE FACT 天皇陛下のパラオ慰霊に寄せて 大東亜戦争「ペリリューの戦い」を知る 天皇陛下のパラオ慰霊に寄せて 大東亜戦争「ペリリューの戦い」を知る ◆ひどかった白人統治時代 1919年、パラオは国際連盟の委託によりドイツの植民地から日本の委任統治領となりました。 日本の委任統治前、パラオ諸島はスペイン、次いでドイツの植民地でありました。 1885年から1899年までの14年間のスペイン統治の時代、パラオの先住民の人口は、元の1割に減ってしまいました。短い期間に、先住民の9割の命が奪われたのです。 植民地政策がどのようなものであったか、想像に難くありません。 スペインはもちろんドイツ時代においても、植民地からは搾取を行うのみで、教育やインフラ整備、産業育成などは行いませんでした。 ◆能力が花開いた日本統治時代 しかし日本は違いました。 パラオに南洋庁を設置し、学校・病院・道路・橋の建設などのインフラ整備、稲作・野菜・果実の栽培を教えました。 すべてのパラオ住民に、無料で数種類の予防接種も受けさせました。 また教育にも大変力を入れました。 パラオの人々は優秀だったようで、教育を行った結果、小学校1年生で九九の暗誦ができたそうです。 また、日本が統治した国々の代表を集めての算数の学力大会を行ったときには、パラオの小学生が優勝したのです。日本人の教育熱心さに驚かされます。 当時、パラオには書くための文字がありませんでした。そのため、小学校では日本語で教育を行いました。 先ほど紹介しました映像の中で、インタビューに答えてくださる90代のお二人がたいへん流暢な日本語を話されております。その理由は、彼らが小学生時代に学んだパラオの教科書にあるようです。 パラオ南洋庁の国語教科書編集書記を務めたのは、文学者である中島敦氏でした。 東京帝国大学国文科を卒業し、数多い文学作品を残した中島氏が教科書作りに関わったことで、パラオの方々は美しい日本語を知ることができたのではないでしょうか。 日本はパラオにも優秀な人材を送り込み、その発展を助けました。 ◆日本人こそが自国の歴史を正しく学ばなければならない パラオ統治は、台湾・朝鮮の統治を倣って行われました。両国に対して日本が残した遺産は、精神的・物理的に書ききれないほどの多さです。 しかし、韓国だけでなく、台湾においてもその事実は国民に十分には知らされていません。そして日本人自身が事実を知らず、自国を恥じてきた状態でした。 しかし、時は流れ、真実は明らかとなりつつあります。 このたびの両陛下のパラオご訪問をきっかけに、両国の友好はもちろんのこと、正しい歴史と日本の功績を私たちも学ばせていただきたいと思います。 まだ見ぬ若者の力を政治に反映し、発展する日本をつくろう! 2015.04.06 文/HS政経塾 第5期生 表 奈就子(おもて なつこ) ◆高校生も政治参加できる! 選挙の投票権を持つ年齢を、現在の20歳以上から18歳以上へ引き下げる公職選挙法改正案が、今国会で成立する見込みです。 早ければ来年2016年夏に予定されている参院選から、良識の府の一員にふさわしいのは誰か、18歳なら高校生でも一票を投じることになります。 これによって、日本の若者が政治に参加する間口が広がると考えられます。世界的には、18歳から選挙権を与えられる国は実に9割の国や地域におよびます。 ◆18歳選挙権で危惧される問題点と期待 しかし、日本の若者の政治参加の現状はとても厳しいものです。昨年12月に行われた衆院選における20代の投票率は、年代別でもっとも低い32.58%でした。 この現状を改善しなければ、選挙権を18歳に引き下げても投票率は低いまま、ということになりかねません。 少子高齢化や年金制度の問題、個人消費の伸び悩みなど、乗り越えるべき課題は山積みですが、若者の感覚を取り入れること、実際に若者が求めることは何かを知ることによって、今までとは違う視点の解決法も出てくるのではないでしょうか。 だからこそ、若者の政治参加を歓迎するべきだと考えます。 ◆なぜ若者は政治参加しないのか? 政治活動をしているとき、ある若者から「未成年のときには『未成年を政治にかかわらせてはいけない』と締め出されるのに、20歳になったら手のひらを反して『若者が政治に関心を示さない』と言われるのは心外だ」という声を聞きました。 このような、若者の政治参加への動機付けがうまくなされていない理由として、1969年に文部省から出された「高等学校における政治的教養と政治的活動について」という、高校生の政治活動が望ましくないという内容の通達が影響しているという指摘があります。 しかしこの通達が出された背景には、当時、沖縄返還や安保闘争など過激で暴力的な政治活動が頻発していたという背景があったことを押さえておくことが必要です。 現在ではむしろ、学生の政治的関心を醸成する教育や取り組みが必要でしょう。 そのために投票所を大学内に設ける、疑似投票を設けて選挙の雰囲気を知ってもらうなどの取り組みも、すでに始まっています(2015年4月2日朝日新聞「若き一票 キャンパスで」)。 また、実際に議員が小学校や中学校に出向き政治や自身の役割を語るなど、政治家とのふれあいの機会を持つことによって、早いうちから政治に対する具体的イメージを持ってもらうことも必要ではないでしょうか。 またその際は選挙の公平性を保つための取り決めも必要でしょう。 ◆政治参加は個性ある自分たちの可能性を表現すること 選挙年齢を18歳に引き上げると新たに約240万人が選挙権を得ることになります。ここで私たちが認識しておくべきことは、「政治参加の意義」だと思います。 政治学者のハンナ・アーレントは、政治の最高の理想を「自由の創設」だとし、政治の場である「公的領域は、人々が、他人と取り換えることのできない真実の自分を示しうる唯一の場所」であると言っています。(『人間の条件』p.65) 政治に参加することによって、社会に関わる唯一の自分という存在に誇りを持ち、自分たちの暮らす場所をもっと愛し、もっと良くしていこうという公共心が養われていくことでしょう。 政治に参加する若者が増えるこの機会に、「より良い国をつくる自分たちの可能性を信じよう!」ということを訴えたいと思います。 多くの国民の皆様が自分らしく元気に働いて国が繁栄するという、希望の持てる魅力的な日本のビジョンを示すべく、努力してまいります! 新党の離合集散に政党政治の行く末を考える 2015.04.05 文/幸福実現党・岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆無投票当選の比率が過去最高 4月3日、統一地方選の41道府県議選が告示されました。 今回の選挙は、無投票当選の比率が過去最高となり、「無投票当選5人に1人」と各紙の見出しを飾りました。 3日に告示された41道府県議選は、総定数に占める無投票当選の比率が過去最高の21・9%に上り、香川では全41議席の約3分の2(65・9%)に当たる27議席が決定しました。地方政治の「なり手不足」は深刻な状況を迎えています。(産経ニュース4/3) 41道府県の無投票当選者の501人のうち、自民党が7割の348人を占め、前回より83人多く、告示日の段階で民主党の全候補者を上回る当選が確定しました。 愛知県では、無投票が前回の7選挙区から3倍近い20選挙区に増え、全55選挙区の3分の1以上で有権者が投票できない事態となっています。 前回乱立した減税日本と日本一愛知の会の候補者が激減したほか、民主が1人区の多くで勝負を避け、候補者を絞り込んだことが背景にあると報道されました。(中日4/4) 地方政治のなり手不足とともに、高齢化する地方議員の世代交代を進める意味でも若い人の立候補が望まれるところですが、落選後の補償もなく「若い世代に仕事を辞めてまで立候補してくれとは、言いにくい」と地方の政党幹部の声も聞かれます。 また最近の各種選挙の投票率の低さも際立っており、政治への無関心が、さらに地方政治のなり手不足に拍車をかける悪循環に陥りつつあります。 政治家養成の母体となるべき政党のここ数年の離合集散劇を見るにつけ、政治活動の継続の困難さが理解されます。 ◆新党の離合集散劇 幸福実現党は、2009年5月に立党し、本年立党6周年を迎えますが、この6年を振り返っても、政党の離合集散により立党時に存在していた政党の多くは、現在存在していません。 2009年8月に結成された「みんなの党」は、2014年11月に解党されました。 民主党政権時、与党であった「国民新党」も、今は存在しません。 2010年4月に結党された「立ち上がれ日本」は、2012年11月13日に「太陽の党」に党名を変更、同月17日に日本維新の会に合流し解党しました。(太陽の党は昨年、西村眞悟衆院議員らにより復活) 2012年7月小沢一郎氏は「国民の生活が第一」を結党しましたが、同年11月、同党を解党し、「日本未来の党」に合流、同年12月には、日本未来の党は、「生活の党」と改称されました。 その後、2014年12月に施行された総選挙の結果、生活の党は政党要件を失いましたが、12月26日に無所属の参議院議員山本太郎氏が入党し、政党要件を回復させ、党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」に改め世間を驚かせました。 このように、ここ数年の政党の離合集散を見る時、新党に政治家養成の母体となるべき余裕は全くないことがわかります。 同時に、政党助成金を受け取るためのなりふり構わぬ野合に、政治の場が政治の場でなく、生活の場に成り下がっている感が否めません。 こうした事態に、政治信条、政策を共有する者が集まっている政党という概念も揺らいでいます。むしろ選挙の都度、変形していく選挙協力互助団体という色彩が強くなっています。 ◆立脚点としての人生観 政党による政策の差が、曖昧となれば、政治家の政策論議も、意味を持ちません。退屈で凡庸なものとなります。 政治家が、政党助成金の獲得のために何らかの政党に所属し、差異も曖昧であるところの政策論議をする事に、有権者は何の意味も魅力も見いだせなくなるでしょう。 むしろ政治家に要請されていることは、己の人生観の開示です。 いかなる人生観、歴史観でもって政治の場に立とうとしているのか。彼の人生観、歴史観こそが、彼の政策を規定するのです。そして彼の所属する政党もその人生観、歴史観を共有します。 その方向に見えるものは、哲人政治家の到来です。徳高き政治家の出現です。 少なくとも、哲人政治家、徳高き政治家を目指している人間、政党の出現が、政治不信をなくす道であり、投票率の回復、活発な政治参加も促す道であると考えます。 幸福実現党は、宗教政党として、霊的人生観を立脚点とし徳高き政治家、哲人政治家を理想とし精進してまいりますと共に、失墜した政治に対する信頼を取り戻してまいります。 「電力自由化」の是非――安定的で安価な電力供給の確立を 2015.04.04 文/HS政経塾4期生 西邑拓真(にしむら たくま) ◆政府の電力システム改革 2016年4月より、電力の小売が全面自由化されます。 これまでは、電気の大口使用者への小売事業への参入のみ認められていましたが、この度の全面自由化で、家庭などへの小売り事業に対する参入規制も撤廃されることになります。 現在、日本は、(1)電力需給をチェックする機関の設置、(2)小売事業の全面自由化、(3)大手電力会社から送配電網を分社化する(発送電分離)という3つの段階で電力システム改革を推進しています。 そして、今月3日、政府は改革の3段階目である発送電分離を義務付ける電気事業法の改正案を閣議決定し、2020年4月に発送電分離を実施することが目指されています。 ◆公益事業における規制緩和事情 電気は、国民の日常生活や生産活動にとって必要不可欠なことから、適切な料金で安定的な供給がなされる必要があります。 その一方で、同事業は規模の経済性などの自然独占性の性質を有することから、参入規制などを敷く必要がある事業として、「公益事業」に分類されます。 現今の「地域独占」に対し、規制を緩和し新規参入を認め、同事業に「競争の原理」を取り入れることで、利用者の選択の自由を増やすのが「電力自由化」です。 また、電気事業では発電、送電、配電、小売の業務が同一企業の下で維持されてきました。 これに対し、垂直的に統合された企業を業務内容別に分離する「発送電分離(アンバンドリング)」は、新規参入企業が、既存大手企業に比して公平な条件で送配電網を利用することができるようにさせ、これにより競争環境の改善が進むことが期待されています。 ◆電力自由化が価格に与える効果 では、電力自由化によって、実際に価格は低下するのでしょうか。 諸外国における電力自由化等による電気料金への影響調査において、「電力自由化開始当初に電気料金が低下していた国・州もあったが、概ね化石燃料価格が上昇傾向になった2000年代半ば以降、燃料費を上回る電気料金の上昇が生じている」と指摘されています。 【参考】 『諸外国における電力自由化等による電気料金への影響調査(平成25年3月)』 http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2013fy/E003213.pdf 「欧米諸国の先行例を改めて吟味する電力全面自由化はやはり愚策だ」 (石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表] http://diamond.jp/articles/-/47345 このように見ると、電力自由化は、必ずしも電気料金の低下につながるわけではないということがわかります。 ◆安定供給網体制の整備に対する懸念 また、電力自由化の重大な懸念事項として、「競争の導入によって、電力供給の安定性が失われる」ということが挙げられます。 その一例が、2000年夏から2001年冬にかけての「カリフォルニア電力危機」です。 アメリカ・カリフォルニア州では、1996年に電力自由化が実施されましたが、電力需要が拡大する中で、発電事業者が発電所新設に対し消極的姿勢をとったり、既存発電設備が運転停止になるなどして、電力需要は供給を大きく上回り、電力卸売価格は増大する一方となりました。 その中で、小売価格に対しては、政府によって価格規制が行われていました。 したがって、電力小売業者は卸売価格の上昇を、小売価格に転嫁することができなかったことから、「逆ざや」が生じました。 その中で、大手電力会社の一社が破たんに追い込まれる一方、発電事業者が代金回収に懐疑的となったことから「売り渋り」を行い、結果として輪番停電を行わざるを得ない状況にまで発展しました。 この事例から、電力自由化によって、国民生活にとって不可欠な電力が十分安定的に提供されなくなり、電気事業が「公益事業」としての役割を果たさなくなる可能性が懸念されるわけです。 ◆安定的かつ安価な電力供給網整備の前提条件は、原発の再稼働 日本の産業競争力の強化にとって欠かせない、安定的かつ安価な電力を供給することは、電気事業を担う者にとっての使命とも言えます。 その使命が十分に成就されるためにも、適切な競争環境の整備に向けた取り組みと共に、電力供給量の確保そのものに向けた取り組みが重要になります。 原発は、火力や水力発電に比べて、安価で大量の電力を提供することができるのは周知の通りです。この点から、競争の有無に関わらず、原発再稼働は電気料金低下にとっての大きな前提条件と言えます。 したがって、日本は、各地の原発の再稼働に向けた取り組みに邁進すべきことは言うまでもありません。 同時に、電力自由化を行った場合、「競争環境下において、重要な電源としての原発を、誰が維持・促進していくのか」などといった「設計図」が示される必要があります。 以上のことから、日本は今一度、「電気事業の公益性」という原点を鑑みた上で、「電力システム改革」の是非を検討すべきです。 検証――介護保険制度4度目の改正法実施 2015.04.03 文/幸福実現党・栃木県本部副代表 みつはし明美 ◆地域医療・介護総合確保推進法案 昨年6月、「地域医療・介護総合確保推進法案(地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案)」が可決されましたが、そこに含まれる介護保険制度もこの4月から順次施行されます。 私事、3月初旬に、福岡県小倉に住んでいた母・透析、父・心不全と痴呆を熊本県の老人施設に入居させるため一週間ほど滞在して引っ越しと一連の煩雑な手続きを経験しました。 その時に、国民保険、介護保険、後期高齢者保険、老人医療、更生医療、デイケアサービスケアマネジャー、老人ホーム様々な保険制度と事業者(保険者)と関わりましたが、この度の改正で利用しやすくなったのか否か?検証してみましょう。 ◆2015年4月改正でどうかわるのか? A) サービス提供体制 ・保険給付で行われていた訪問介護と通所介護が地域支援事業に移行されるので、市町村ごとの独自予算、判断の事業になります。 ・居宅介護支援事業所は国の基準に基づき都道府県が指定、監督、指導を行っていたがそれも市町村に権限移譲(2018年4月までの移行期有)されます。 ・特別養護老人ホームの入所待機者50万人超えのため 入所資格を要介護3以上の重度者に限定されることになります。 B)費用負担 利用者所得の区分を細分化しますが、結局のところ高所得者には負担増、低所得者には軽減されるようになります。 この軽減部分に必要な公費が推定1300億円で、ここに消費税増税分が充てがわれることになっています。 また、年金額280万以上の人は自己負担が2割になり、個人単位での査定になるので夫婦や同世帯でも一人は1割負担でももう一人は2割負担となる場合も出てきます。 C)在宅医療と介護の連携強化 医療保険財源と看護職員適正な配置などの課題から2014年4月の診療報酬改定の際に「地域包括ケア病棟」が創設されました。これは在宅復帰を重視し、在宅の急患を受け入れる機能を持ち合わせます。 改正はまだまだたくさんありますが、高齢者、利用者として関わるのは大きくは上記3点にしぼられます。 ◆今後の課題と懸念される点 まだまだ複雑で範囲が拡大した介護サービスを整理し適正に活用するにはケアマネジャーの資質向上が求められます。 私の周りにもケアマネジャーを職とする人が数人おりますが、みな利用者のために心より良いプランづくり、環境づくりに努めています。 しかし、そのような人材はまだまだ少ないように思えます。両親を担当してくださったケアマネジャーの方は、マネジャーというより、「介護保険の点数計算と案内」にとどまり、病院、介護施設、高齢利用者のパイプ役は務めていただけませんでした。 ◆もう一つ重大な問題点は やはり市町村の裁量によるところが大きいため、サービス内容、価格、質に格差が生まれ、財源が乏しくなればサービス打ち切りの権限も有するので、改正の大目的である包括的継続的介護で自立を目指すのが果たされていかないのではないかと思われます。 10年、20年先を見据えて先細りする財源を確保のための制度改正と共に、国民の意識改革を起こしていくことも急務であると感じます。 これから高齢者が増える時代に消費増税で医療・介護の財源を賄おうとすれば、増税をどこまでも繰り返さなくてはなりません。それでは経済は疲弊し、さらに財源の確保は難しくなります。 財源をどのように確保するかについては、経済成長による税収増の方向性を示す必要があります。 また親の介護問題を抱える私たち世代は、介護保険に全面頼るのでなく親に対する感謝と報恩の意を持つことが大切です。そして本来の使命や社会や家族内で、何らかの役割を担っているという生きがいを見出してもらうことが大切であろうと思います。 私たち自身は、年金や介護制度に頼ることを良しとせず、老後生活にも何らかの生産的活動をし、生涯現役を全うする気概をもって年を重ねていきたいと思うのです。 誰もが直面する高齢者介護の問題も水際対策的な制度改革にとどまらず、家族の絆と人生の目的まで示して社会としての発展に繋げていくのは、宗教政党である幸福実現党の役目であると考えます。 アジアインフラ銀行への注目を逆手に、積極的「繁栄」主義を目指そう! 2015.04.02 文/HS政経塾部長 兼 幸福実現党事務局部長 幸福実現党東京都第9選挙区支部長 吉井としみつ ◆各国から熱い視線が注がれる、ある国際金融機関 アジアインフラ投資銀行(AIIB)という国際金融機関に注目が集まっています。 中国が主導して2015年内の設立を目指しており、アジア諸国の鉄道・道路・発電所などのインフラ整備の資金提供を主な目的としています。 3月31日時点で、51カ国・地域が参加申請をしており、日本側の予想を上回る活況を見せています。 ちなみに、インフラ整備の資金提供を主な目的とする国際金融機関は、既に存在しており、日米が主導しているアジア開発銀行(ADB)には67の国と地域が参加しています。 日米が主導するアジア開発銀行は、融資枠を現状の1.5倍に広げて、2017年に200億ドル(約2.4兆円)へと拡大する計画もありますが、アジア各国のインフラ需要は、毎年7000億ドル(約84兆円)超という試算もあり、現状ではインフラ投資への資金が大きく不足しています(4/1毎日)。 アジアにおけるインフラ投資への資金不足を解消するという点で、中国主導のアジアインフラ投資銀行への期待が高まっているのです。 ◆当面の判断の節目となる6月 今後の議論の行方として、アジアインフラ銀行の出資期限となる6月末までに、日本として参加するか否か判断することになり、今後の議論の深まりが注目されます。 <アジアインフラ銀行の主な日程> ・2013年10月:習近平国家主席が設立を提唱 ・2014年10月:中国や東南アジアなど21カ国が設立合意 ・2015年 -3月31日:創設メンバーとなるための参加申請期限 -4月15日前後:創設メンバーの確定 -6月末:出資期限、参加国の出資比率等の決定 -12月末までに:運営開始を目指す。 (4/2日経、4/1毎日を参照) ◆変化しつつある日米のスタンス 日本としては、アジアインフラ投資銀行に対して、運営体制・融資基準・既存の国際機関との関係が曖昧であり、相手国の債務返済能力を超えた融資をしてしまう可能性や、環境破壊を招きかねないという点で、慎重な姿勢をとっていました。 しかし、アジアのインフラ需要を取り込むチャンスを逃すべきではないという産業界からの根強い意見もあり、将来的な参加の可能性もあります。 また、アメリカのルー財務長官は、アジアインフラ銀行が、既存の金融機関を補完するものであれば「歓迎する」というスタンスを示しています(4/2産経)。 ◆中国との経済的結びつきに伴う恩恵への期待 当初、日本政府はアジアインフラ投資銀行に参加する国は限定的だと見ており、「G7諸国からの参加はない」旨の報告が、財務省から首相官邸に入っていました。(4/1日経) しかし、3月12日のイギリスの参加表明を皮切りに、ドイツ、フランス、イタリアといったG7諸国も、参加を表明しました。各国とも、停滞する世界経済の中で、経済面で中国との関係を強めることで生じる恩恵への期待が垣間見えます。 イギリスでは、外務省側はアメリカとの関係悪化を懸念して、アジアインフラ銀行への参加に反対していたようですが、オズボーン財務相が経済的な利益を重視するべきとして、参加を決断しました(March 26, Financial Times, “Sound and fury over UK’s AIIB membership signifies very little”)。 ◆日本に求められる構想力 日本の判断にかかわらず、中国主導のアジアインフラ投資銀行への各国の期待は高まることが予想されます。 インフラの受注競争の遅れを取らないために、アジアインフラ投資銀行に参加するという商業面のみの判断ではなく、日本がアジアや世界に対していかなる貢献ができるのかという構想の下に、進むべき道を決めるべきではないでしょうか。 ここで、日本側の対応として、以下2つの提案をします。 1)アジア開発銀行の融資基準を見直す 日米主導のアジア開発銀行は、「融資基準が厳しすぎる」とASEANから不満が出ていたことが、中国主導のアジアインフラ投資銀行への期待が高まった遠因ともなっているので、アジア開発銀行の役割を再定義する中で、融資基準の緩和について検討するべきです。 2)TPP交渉への追い風とする 中国のアジアインフラ投資銀行の構想は、環太平洋経済連携協定(TPP)への対抗という側面もあります。TPP交渉は大詰めを迎えつつあるので、締結に向けての材料として、アメリカに働きかけるべきです。 世界的な低金利の中、マネーは魅力的な投資先を求めています。リニアモーターカーの建設など、インフラ投資の質を高める方向で、日本ならではの提案も必要でしょう。 積極的平和と共に、アジアや世界に対する「積極的繁栄」のために、日本がなすべきことを構想することが求められています。中国主導のアジアインフラ投資銀行の動向に左右されるのではなく、日本にしか通れない道を、堂々と進むべきです。 国家のビジョンは予算で示せ! 2015.04.01 文/幸福実現党・岡山県本部副代表 たなべ雄治 ◆かつて、国立の大学院での出来事 私が大学院の工学研究科に在籍していた時の出来事です。研究していた分野で、ある高価な実験装置があれば研究が一気に進むという状況がありました。 上司の助教授に相談したところ、いくらかの予算オーバー。しかし予算を繰り越して、翌年度分の一部と足せば十分に手の届く額でした。 ところが、制度上予算の繰り越しは出来ないとのことでした。予算を使い切らなかった場合は、余った額が翌年度の予算から削られるのだとか。「必要なかったのね」と判断されるのだそうです。 そして翌年の三月には予算が余っているのだとかで、要るのか要らないのか分からない購入物をリストアップさせられたのでした。 ◆単年度予算の弊害 そんな悔しい思いもいつしか忘れ去り、それが単年度予算という制度の所為だと知ったのは随分後になってからでした。 単年度予算には、予算を消化するための無駄遣い、予算配分の硬直化、など様々なデメリットが考えられます。国の組織の随所で、学生の時分の私が経験したような矛盾が発生しているのでしょう。現に様々な指摘がなされています。 ◆単年度予算にもそれなりの意味はあるが・・・ 弊害の目立つ単年度予算ですが、全くの無意味ではありません。国家の予算を一年単位で分断してチェックすることで、財政権の乱用を防ぐという意義はあるのです。 とはいえ単年度予算が、財政権力を抑制する唯一の制度というわけではありません。複数年度予算制度でも、それをチェックする方法くらい存在します。年度をまたいだ柔軟な予算のやりくりを、財政権の乱用だと理解するのは行き過ぎでしょう。 ◆複数年度予算は導入可能 憲法第86条では、「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」と規定していますが、ここに会計年度の定義はありません。 会計年度を定めているのは、財政法第11条 「国の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終るものとする。」です。 憲法改正を待たずとも、財政法の改正で複数年度予算の導入は可能です。 ◆大切なのは国家のビジョン ただ複数年度予算を導入すれば解決するというものでもありません。柔軟な予算編成ができることは重要ですが、それよりもやはり「何を目的として国民の血税を使うのか」という国家ビジョンこそが大切です。 予算編成における国家ビジョンの欠落を如実に示すのは、何と言っても防衛予算でしょう。 中国は毎年毎年、日本の数倍の予算を国防費につぎ込み(Global Note社調べでは7倍)、さらにその額は伸び続けています。 中国の国防費がGDP比4%程度なのに対し、日本はなぜか数十年一貫してGDP比1%を死守しています。アメリカの国防予算対GDP比率の変動は大きいですし、2013年のインドの国防予算対GDP比は実に8%でした。 安全保障環境に応じて国防予算を変動させるのは、国家を維持するうえで当然のことです。ましてや日本は、尖閣諸島が中国に脅かされるなど、国防の危機にあります。 補正予算や継続費という制度をフル活用して防衛力強化に努めてはいますが、焼け石に水といった感が否めません。 防衛予算により、日本のビジョンと意思をはっきりと示すべきです。 ◆予算委員会は悲劇か喜劇か 会計年度の開始日4月1日までに予算を成立させるため、3月までは予算国会とも言われます。 予算委員会がTV中継されますが、その中で予算の議論はほとんどされません。話題に上るのは、国会議員のスキャンダルばかりです。 素行不良な与党議員も問題ですが、本質的な予算の議論をすることなく足を引っ張ることしか考えない野党議員にも残念な限りです。 有権者を馬鹿にするのもいい加減にしてもらいたいものですが、私たち有権者も、よく政治家を見て投票する必要があるのでしょう。 政治に関心のある人ほど、政治に失望していたりするものです。しかしもう一歩踏み込んで、政治のあるべき姿を考えてゆかねばなりません。 統一地方選を目前に控えています。”考える人”の力を結集して、政治を正していくことも幸福実現党の仕事です。 すべてを表示する « Previous 1 2 3