Home/ 2012年 February 2012年 February 日本政府は北朝鮮の「核の刀狩」を目指せ! 2012.02.19 北朝鮮が、核実験やミサイル発射を行う可能性が出てきました。 韓国国防省高官が17日、北朝鮮が3度目となる核実験や、弾道ミサイル発射を行う可能性について「1~2カ月程度の追加的な準備をすれば(実施が)可能な状態を維持している」と述べたことが報じられています。(2/18 産経→http://goo.gl/zUwt4) その背景には、北朝鮮の内部事情があります。金正恩氏の父親である金正日氏が権力を継承した際に「遺訓統治」がなされました。「遺訓統治」とは北朝鮮独特の政治手法です。 主体思(チュチェ)想の創始者として権威づけられている金日成主席が1994年に死去して後も、その地位に留めておき、金正日氏自身は一歩下がった国防委員長という立場に就くことで、金日成主席の偉大な権威を利用しながら、北朝鮮を実質的に統治する政治手法です。 金正恩氏も「金正恩時代」の幕開けに際し、「遺訓統治」を行うことで、権力固めを行うことはほぼ確実であると見られています。(2011/12/22 聯合ニュース「北朝鮮が『正恩時代』宣言遺訓統治示唆=党機関紙」→http://goo.gl/gxzv9) しかし、父親の金正日総書記が権力を継承した時に比べて、息子の正恩氏は実績を積み上げておらず、そのことが権力継承を確立する上での不安要因になっています。 冒頭の報道のように、「金正恩時代」の幕開けを華々しく告げるべく、今年の4月15日、北朝鮮の最大の祝日とされる「太陽節」に合わせて、ミサイル発射ないしは核実験を強行する可能性は十分にあると言えます。 では、国際社会が北朝鮮のこのような状況を許してきた理由は一体何でしょうか。それは、主に「地政学」的な理由から来ています。 内陸部国家の「ランドパワー」と海洋国家の「シーパワー」のぶつかる大陸周縁地域「リムランド」(極東、西欧、中東)では、紛争が起きやすい状況があります。 第二次世界大戦が終結して以降、自由主義国と共産主義国との冷戦が始まりました。その争いの中で朝鮮半島を2つに分けた朝鮮戦争が1950年に起きました。 朝鮮半島は、ユーラシア大陸におけるリムランドの代表的な地域の一つであり、ソ連や中国(ランドパワー)のような大陸国家と、アメリカのような海洋国家(シーパワー)に挟まれた地域です。 このような地域は、大陸国家と海洋国家が争う地域であるために大陸国家と海洋国家が直接対決をしないようにクッションである国家を置いて互いを牽制し合っています。 北朝鮮は、大陸側に位置しているので大陸国家である中国やロシアの支援を受けており、一方、韓国は海側に位置しているので海洋国家であるアメリカや日本の支援を受け、それぞれが互いに牽制し合っているという構図になります。 日本、アメリカ、中国、ロシア、韓国が参加し北朝鮮をどうするかについて6か国協議で話し合ってもなかなか解決しない理由はここにあります。 そうした地政学的環境の中にあって、北朝鮮は自国の生存を確実なものとするために、上手く立ち回り、核兵器と弾道ミサイルを開発し、脅迫的な「瀬戸際外交」によって、食料支援などの物資を引き出して来ました。 このような均衡状態から脱し、北朝鮮の「終わりの始まり」をもたらし、北朝鮮の圧政から北朝鮮の人々を解放するためには、直接的脅威を受けている日本こそが現状打破を仕掛けていく必要があります。 特に、日本は拉致問題を抱えており、金正恩新体制が固まらない今こそ、同胞を救うチャンスであることを忘れてはなりません。 そのためには、米国はもちろんのこと、韓国、ロシアとも連携し、北朝鮮の核開発に対して制裁を含めた強い圧力をかけ、核兵器の完全廃棄を目指した「核の刀狩」を進め、体制変革へと追い込んでいく必要があります。 しかしながら、野田・民主党政権は、大増税で国力を削ぐことのみに終始しています。隣国の「核武装国家」誕生を黙認する無策無能な野田政権は即刻、退陣すべきです。(文責・佐々木 勝浩) 進むインフラ老朽化~「公民連携(PPP)」で財政負担を減らせ! 2012.02.18 現在、国会において平成24年度予算案が審議されていますが、「増え続ける社会保障費や年金・医療に対処するため」と称して「税・社会保障の一体改革」大綱が閣議決定され、増税に向けて加速しています。 しかし、今後増え続ける歳出について、社会保障費以外に予算案に計上されていない隠れた潜在的社会リスクとして、「インフラの老朽化」が指摘されています。 このことについて、2月14日付サンケイビジネスアイで、小林隆太郎氏が「進むインフラ老朽化」として以下のように述べています。⇒http://goo.gl/OzE5O 「日本のインフラは、東京五輪が開催された1964年前後に建設、整備されたものがかなり多い。したがって、これらが一斉に現役引退の時期を迎えることになる。 今後20年以内に、建築後50年以上経つ社会資本の割合が50%以上を占めるとみられているのだ。 国土交通白書などによると、2009年時点で、20年後に築50年以上となる割合は分野別で、道路・橋の51%、河川管理施設は51%、下水道管渠22%、港湾岸壁48%といった具合だ。 また、全国の上水道資産は40兆円あるといわれ、このうち高度成長期に整備された多くの施設が更新期を迎える。そのピークとなる2020年までに毎年約7,500億円もの投資が必要になるとみられている。 とはいえ、自治体水道局などの事業者のうち、財政的に余力のあるところは少ない。老朽化していく道路や橋、水道などのインフラ更新には今後50年間で合計190兆円もかかるとの国交省の試算もある。 2037年ころにはインフラの維持管理と更新に必要な費用を公共事業予算で賄えなくなり、耐用年数を過ぎた道路や橋がそのまま放置される恐れが出てくる。もっと早い時期に維持管理費を捻出できなくなるとの試算もある。」 超少子高齢化の中で、高度経済成長に作られたハコモノを維持管理し続けていくことに限界が来ており、増税で対処することは至難の技とも言えます。 このような状況を打開する切り札として期待されているのが、「公民連携」(PPP:Public-Private Partnership)という考え方です。 「公民連携」(PPP)とは「民間にできることは民間に委ねる」「官から民へ」の方針の下、「小さな政府」を志向し、財政負担の圧縮を図りながら、民間事業者の資金やノウハウを活用して社会資本の整備や公共サービスの充実を図ることです。(PFI/PPP推進協議会HPより) 象徴的な事例としては、アメリカのサンデイ・スプリング市の試みが有名です。 同市(人口約10万人)は、2005年に市政全体を民間企業に委託し、市長1名、市職員4人しかおらず、包括的な自治体運営の効果として、半分以下の予算規模に効率化されたとの試算もあり、近隣市の固定資産税率の半分以下に減税されています。 公民連携(PPP)は、行政を公務員によるお役所仕事ではなく、創造的なマネジメントによる経営努力で「小さな政府」や減税を実現させる大きな可能性を有しています。 更に公民連携(PPP)は、アジアの成長を経済成長につなげるために、電力供給・道路鉄道等の交通網・上下水道・通信などの社会インフラ整備を輸出産業にしていく、国家プロジェクトにおいてが重要な可能性を担っています。 経済成長著しいアジアでは2010年から10年間で、インフラ整備のニーズが8兆ドル(約622兆円)規模にも上るとされています。(1/26 SankeiBiz「インフラ輸出官民連携で攻勢」http://goo.gl/NoqNP) また、先進国における財政状況の悪化により政府開発援助(ODA)が削減されており、新興国の多くにおいても、社会資本の拡充に充てる財源が無く、民間や公的資金を必要としており、公民連携(PPP)の手法が期待されています。 野田・民主党政権が考えているように「増税だけが財政再建の解決策」だというのは、余りにも知恵が不足しています。 公民連携(PPP)を活用することにより、「財政負担の削減」と「経済成長」を両立させることが可能となるのです。(文責・小川俊介) 「マイナンバー」制度導入――国民を愚民視するんじゃない! 2012.02.17 政府は14日、国民一人一人に番号を付けて納税記録や社会保障情報を管理する共通番号「マイナンバー」制度(「共通番号」制)を導入する「個人識別番号法案」を閣議決定しました。 過去、議題に上がっては消え、長らく議論されてきた問題です。このタイミングでの閣議決定は、消費税増税と連動したものです。 民衆党はかつて、「マイナンバー制」の元となる「住民基本台帳ネットワーク」の導入に「個人情報は国家管理されるものではない」と猛反対していました。 現状、「マイナンバー制」については、政府の世論調査では8割以上が制度の内容を「知らない」とし、4割がプライバシー侵害を、3割が悪用を心配しており、とても国民の承諾が得られているとは言えません。 そのため、政府は「マイナンバー制」導入のために、アメを用意しています。番号制を使って所得をより正確に把握することで、低所得者に給付金を支給する「給付付き税額控除」を導入するとしています。 また、もう一つのアメとして「特定支出控除」があります。これは、サラリーマンにも必要経費が大幅に認められることになるというものです。確定申告時に「特定支出控除」という制度がありますが、その支出項目を増やそうとするものです。 源泉徴収制度の下、必要経費の実費控除を認められていないサラリーマンにとって、特定支出控除の範囲が広がること、それ自体は悪いことではありません。 しかし、消費税増税を断行するために、アメをぶら下げ、国民の承諾も無いまま、長年注意深く議論してきた「共通番号制」までをも、この期に一気に行う。これは非常に危険な政策です。 民主党政権の志向する社会は「重税国家」「国家社会主義」であり、「国家社会主義」と「共通番号制」が結びつくことに非常に脅威を感じます。 政府がいかに否定しても、「マイナンバー」制度は、機能として「国民総背番号制」であり、全国民のあらゆる履歴が政府の管理下におかれる道が開かれます。 私達は、ちっぽけなアメによって、ごまかされてはなりません。「共通番号制」の導入により、特に納税者の85%を占める給与所得者(サラリーマン、アルバイト、パート等)は、ますます政府の管理下・統制下におかれることになります。 日本の納税方式は原則として、申告納税制度です。これは、納付すべき税額が納税者自身の申告により確定することを原則とする制度です。(国税通則法第16条) しかし、源泉徴収制度のもとでは、サラリーマンは自ら申告する権利を与えられていません。 「申告納税制度が機能する条件として、納税者の側がある程度の知的レベルに達していなくてはならぬ。」(『税金の論理』元税制調査会会長石弘光) 源泉徴収制度を「是」とする、この言葉は、裏を返せば「申告納税」が所得税の本来のあるべき姿であるが、「サラリーマンは申告納税できる知的レベルに達していない」という意味であり、私たちは「愚民」であるということです。 根こそぎ、国民の所得税を引き上げる源泉徴収制度、さらに共通番号制度の導入によりその捕捉率を高め、増税をかけようとする姿勢は、効率化という次元の問題ではなく、一つの愚民化政策でもあると考えるべきです。 「与党民主党のマニフェストがすべて『ウソ』と証明された今、下野するのは当然だろう。国民を愚民視するんじゃない。」(『もしケインズなら日本経済をどうするか』「まえがき」大川隆法著) この言葉に為政者は耳を傾けるべきです。(文責・加納有輝彦) 中国の「情報戦」のしたたかさ 2012.02.16 今日はクイズ形式で始めます。次の新聞記事は、どこの国がどこの国について報道した記事でしょうか? 「海外メディアによると〇〇政府は今年、新型空母2隻の建造に着手する。すでに昨年9月に、新型ヘリコプター空母2隻の建造計画を発表した。 排水量2万4000トン、ヘリコプター9機を搭載可能で、1隻あたりおよそ10億4000万ドルを投じる。このヘリ空母は排水量においても技術においても英国やスペインの現役空母を凌駕し、▽▽最大の軍艦となる。 軍事専門家は『〇〇は他国がどこまで容認するかを試している。海洋大国として、洋上で一定の重みを持つ必要がある。これは政治大国化への重要な一歩だ』と指摘する。 このほか〇〇は武器輸出にも全力で取り組んでいる。〇〇政府は昨年12月、『武器輸出三原則』に基づく禁輸政策を大幅に緩和し、武器の国際共同開発への参加や、『人道』目的の活動への装備供与を可能にするという重量『爆弾』を落とした。 〇〇政府の『宇宙開発戦略本部』の専門調査会は新年早々、『宇宙航空研究開発機構設置法』について『平和目的に限る』との規定を削除し、防衛目的にも利用できるよう改正することを提言した。 専門家は運搬ロケットと弾道ミサイルは技術的に『紙一重』の違いしかなく、この行動の背後には非常に危険な動機が隠されていると指摘する。」 答えは、中国共産党の機関紙『人民日報』のニュースサイト「人民網」の「武器輸出、空母建造、常任理事国入り――日本の動きが意味するもの」と題した記事であり、〇〇には日本、▽▽には海上自衛隊が入ります。⇒2/2 人民日報 http://goo.gl/SNBhe 記事に出てくる「空母」とは、海上自衛隊が建造中のヘリコプター搭載護衛艦「22DDH」のことです。対潜・対水上戦能力の向上を図り、国際平和協力活動、災害派遣などを目的に、今年1月から建造が始まったもので、完成は2014年の予定です。 しかしながら、戦闘機は搭載できませんし、基準排水量も約2万トンで、中国が建造した6万トン級の空母ワリヤーグとは、その戦力も目的も全く別な艦船です。 「武器輸出三原則」については、昨年12月に、藤村修官房長官が発表しました。これまでの事実上の「全面禁止」から、国際共同開発・生産への参加や平和貢献・国際協力での装備品供与を例外として認めるようにするというもので、「防衛装備品の国際共同開発・生産を進め、最新の防衛技術を獲得」が目的です。(2011/12/27 産経) 「宇宙開発戦略本部」については、独立行政法人「宇宙航空研究開発機構」の設置法(JAXA法)を改正し、宇宙開発を平和目的に限定する項目を削除する方針を固めたもので、ミサイル防衛(MD)の精度向上に向け、偵察衛星や早期警戒衛星の研究開発を目的としたものです。(1/3産経) いずれにしても、こうした政府の動きは、普通の国家なら「当たり前」の防衛政策です。 逆に、これまで日本は防衛力に関しては自縄自縛で、大型艦船も武器の国際共同開発も、宇宙空間の安全保障への利用もできなかったこと自体が、独立国家としては異常なことでした。 こうした動きは、空母建造による中国の海洋覇権主義や衛星攻撃兵器(ASAT)開発などによる「宇宙戦争」への準備など、中国が進める軍事大国化路線に対応しようというものであり、この記事が言うように「政治大国化への重要な一歩」や「弾道ミサイル」開発など、「非常な危険な動機」など、さらさらないことは、日本国民なら誰もが分かっています。 ましてや、これらの動きは、巨大化する中国の軍事的な脅威に対する防衛措置としては全く不十分で、「ささやか」な防衛上の第一歩に過ぎないことは、軍事的な専門家なら一目瞭然です。 しかし、これをことさら「日本の軍事大国化」「中国に対する脅威の増大」だと、自国のマスコミを使って恣意的に国内外に報道するところに、中国の情報戦のしたたかさと戦略性があります。 軍事拡大を続け、アジアに脅威を与え続けている中国が、「日本の軍事大国化」に警鐘を鳴らすなど、呆れてものも言えません。 こうした中国の情報戦に惑わされることなく、日本は中国の軍事的脅威の拡大をしっかりと見据え、効果的で有効な防衛隊体制の構築に、全力を傾けなければなりません。(文責・矢内筆勝) 日銀のデフレ脱却政策は本物か 2012.02.15 日本銀行こと、日銀が14日の金融政策決定会合で追加金融政策を発表しました。実質上のインフレ目標1%と資産買い入れなどの基金を10兆円積み増しました。 具体的な骨子として、当面は消費者物価指数の上昇率1%を目指すこと。1年ごとに物価が安定しているかどうかを点検すること。ゼロ金利を当面維持し、デフレ脱却に向けて政府、民間企業、民間金融機関が協力していく旨が述べられています(日本銀行「金融緩和について」)。 デフレ脱却と追加金融緩和という姿勢を強く打ち出したことは、これまでの消極的な日銀からすれば大いなる進歩と言えるでしょう。 また、インフレ目標の導入をかたくなに拒否していた白川方明日銀総裁の「豹変」も大いに注目されることです。 この裏では、先月インフレ目標を決定した米連邦準備理事会(FRB)の動向があるのは間違いありません。同時に、10月から12月のGDPが2期ぶりのマイナス成長となったことへの緩和措置もあります。 もう一点、特筆するべき点があります。1月末に発売となった『日銀総裁とのスピリチュアル対話』の発刊、幸福実現党の党員や学生によるビラまきが徹底して行われていた事実を無視することはできません。 もちろん、かねてから日銀の金融政策を批判してきた嘉悦大学の高橋洋一教授や学習院大学の岩田規久男教授のような学者の存在、デフレ脱却を政府に進めてきた評論家の活動もあります。 こうした地道な活動が日銀を動かしてきたことは事実であり、ある意味一定の成果につながっているのは間違いないのです。 日銀の政策が発表されたことで外国為替市場も反応しています。14日午後の円相場は円売りドル買いが進み、一時は1ドル78円を超えました。それまでは、77円付近だった水準から円安が進んだことになります。 東京市場で78円を記録したのは昨年末の12月27日以来です。加えて、海外の外国為替市場でも1ドル78円台を記録、ユーロに対しても103円台まで円安が進んでいます。 今後、日銀が徹底した金融政策を断行するならば、さらに為替相場に影響を与え、次は株式市場へも影響を及ぼすと考えられます。 ただし、今回の日銀の金融政策を手放しで喜ぶことは慎むべきです。まず、デフレ基調は1998年から始まっており、まだ改善されていません。さらに、昨年は東日本大震災や原発事故、円高の高進、失業率の上昇などが明確になっています。 雇用が24万人創造され、失業率が下がったアメリカ経済でも、まだまだ回復の途次にあります。欧州は、ギリシャ債務危機によって揺れており、内外の経済情勢が厳しさをます昨今、今回の日銀の決定は遅すぎたと言っても過言ではありません。 もう一点、資産の買い取り基金として10兆円を積み増したわけですが、これでは物足りないということです。現在、デフレギャップは20兆円以上あるとの試算があるわけですから、日本経済を震災復興から回復させるためには、10兆円では少なすぎます。 また、実際に10年物などの長期国債を購入するかどうかも甚だ疑問です。これまでの日銀の行動を見る限り、基金は積み上げたが実際に購入するかどうかは極めて未知数なのです(同様の内容をクレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストも指摘している)。 さらに、FRBのようにいつまで金融緩和を続けるのかという時期が設定されていないこと。そして、政策としての拘束力がないことを指摘することができます。日銀には、イングランド銀行のように、目標を達成できなかった場合の責任問題がありません。 これは、1998年に日銀法が改正されて、日銀が政治圧力から独立しているとう法律の問題とも関連があります。 本格的に日銀のデフレ脱却を推し進めるならば、日銀法の改正を見据えた目標設定権限を強化するべきでしょう。⇒白川総裁のデフレ独裁――政府は日銀法を改正し、金融政策の目標設定権限を確保すべき とまれ、腰の重い日銀が動き出したことはよいことです。課題は政策のタイミングが遅いこと、資金提供の規模が小さいこと、政策の拘束がないために責任問題が曖昧なことです。 要するに、「日銀がデフレ脱却に本気かどうか」を判断するのは時期尚早だということです。 引き続き、日銀をウォッチしていく必要があるのは言うまでもありません。(文責・中野雄太) 財務省の「日本の国民負担率が低い」は統計のトリックである。 2012.02.14 【財務省の統計トリック】 「国民負担率」とは、租税負担率と社会保障負担率を合計した割合のことです。大雑把に言えば、私達が稼いだ所得の内、税金や年金、医療保険などのために支出する割合だと言えます。 政府が増税の根拠を示す際、よく用いるのが「国際的にみて日本は国民負担率が低いから、まだ増税の余地がある」という議論です。今回は、この点について検証致します。 財務省は、ホームページで「国民負担率の国際比較」と題し、国際比較のグラフと共に「日本の国民負担率は、主要先進国と比べると低い水準にあります」と説明しています。⇒http://goo.gl/o8vyA このグラフによれば、国民負担率は日本38.8%、アメリカ32.5%、イギリス46.8%、ドイツ52.0%、スウェーデン59.0%、フランス61.1%となっており、確かに、日本の国民負担率はアメリカに次いで低い数値となっています。 このグラフだけ見ると、日本も増税する余地が大いにあるような錯覚に陥りますが、ここに「統計のトリック」があることを指摘しておきます。 「第一のトリック」は、財務省統計では、租税負担と社会保障負担の合計の「国民所得」に対する割合を「国民負担率」としていることにあります。 国際標準では「国民負担率」は「国民所得に対する割合」ではなく、「GDP(国内総生産)に対する割合」が用いられています。 ※『国際比較にみる日本の政策課題』(国立国会図書館)p.28には「日本では一般的に、租税・社会保障負担額の対国民所得比が用いられるが、対国民所得比を用いると分母に間接税が含まれないため、税収に占める間接税の割合が高い国は相対的に負担率が高く表わされる傾向がある。OECDの統計では、国際比較をする際、租税・社会保障負担額の対GDP比で比較をして」いると記されています。⇒http://goo.gl/bFXzY すなわち、財務省方式の「対国民所得比」を用いると、分母に間接税が含まれないため、間接税の割合が高い欧米の国は相対的に負担率が高く、日本は相対的に負担率が低く見えるというトリックが駆使されているのです。 実際、国際方式である「対GDP比」の「国民負担率」で見ると、日本28.1%、アメリカ26.4%、イギリス37.3%、ドイツ39.3%、スウェーデン43.7%、フランス45.2%となり、財務省方式と比べて、日本と欧米との差は大きく縮まります。(財務省「国民負担率の国際比較」より⇒http://goo.gl/eC1rZ) 「第二のトリック」は、税金負担と社会保障負担に財政赤字額を加えた割合である「潜在的国民負担率」(対GDP比)を見せないようにしていることにあります。 「将来の税金」とも言える財政赤字を加えた「潜在的国民負担率」で比較すると、日本36.2%、アメリカ32.3%、イギリス42.1%、ドイツ39.3%、スウェーデン43.7%、フランス48.5%となり、日本と欧米との差は更に縮まります。(同上) 上述した財務省方式では、日本と「高福祉・高負担」国家であるスウェーデンの国民負担率の差は20.2ポイントと大差がありますが、「潜在的国民負担率」(対GDP比)で見ると、両国の差は僅か7.5ポイントに過ぎません。 結局、財務省の統計は、世論を増税に導かんがための「統計のトリック」を大いに駆使したものであり、こうした「悪意ある統計」を垂れ流しにし、国民を洗脳しているマスコミも同罪です。 【「重税感」こそが問題の本質】 また、「国民負担率」に関わらず、日本人の多くが「重税感」を感じている理由について、慶應義塾大学の土居丈朗教授は「払った税金に見合うだけのメリットを自分たちが得られないから」と説明しています。(土居丈朗著『財政学から見た日本経済』光文社新書) すなわち、「日本は国民負担率が低いから、まだ増税の余地がある」という単純な議論は間違いで、私達の税金が無駄遣いされ、国民がメリットを受けていないことにこそ問題の本質があるのです。 「重税感」は「国民負担率」だけでは表されません。行財政の無駄を放置したまま増税すれば、日本国民は更なる「重税感」を負うことになります。 「日本の国民負担率が他国と比べて重いか軽いか」は二の次であり、政府は「増税」を論じる以前に、まずは「払った税金に見合ったサービスが供給されていない」お粗末な国政・行政の現状を改革していくことから始めるべきです。(文責・黒川白雲) 増税は「亡国の選択」――消費税増税が自殺者急増を招く 2012.02.13 昨年、全国で自殺した人は3万584人に上り、14年連続で3万人を超えました。(1/10 朝日⇒http://goo.gl/dOOhU) 2月12日の朝日新聞に「ストップ自殺―足立区の努力に学ぼう」という社説が掲載されています。⇒http://goo.gl/fVgj 足立区では、2009年までの5年間で、自殺者が都内最多であったことから、NPOのライフリンクと手を結び、対策に力を入れてきました。 その結果、昨年は自殺者が145人いましたが、前年に比べれば2割も減りました。参考になる取り組みであり、学ぶところは大きいと思います。 しかし、自殺者が3万人を超え、そこから高止まりの状況が続いた原因は何かを考えなくてはなりません。 自殺者が初めて3万人を超えた年は1998年です。前年から8272人も増え、約35%も急増しました。 前年の1997年といえば、橋本内閣が消費税を3%から5%に増税し、消費も投資も一気に冷え込んだ年です。翌98年の経済成長率は-1.5%(97年は0%)と戦後最悪のマイナス成長になりました。 その結果、拓銀・山一・長銀など大金融機関の倒産を伴う金融危機なども起こり、97年から98年にかけて、戦後初の2年連続マイナス成長となりました。 自殺に関する政府の分析では、中年男性の自殺死亡率が高く、中でも無職の男性が多いということです。失業、多重債務、うつなどの悩みを抱えています。 自殺者が急増した1998年は、それまで順調に増加していた就業者数と雇用者数が初めて減少に転じ、さらに有効求人倍率の年平均が過去最低を記録しています。リストラと求人の減少が同時に起こり、失業率が急増したことが分かります。 自殺を考える人の多くは、失業、多重債務、うつなど複数の悩みを抱えており、足立区では失業してハローワークを訪れた人が、多重債務や不眠を打ち明けたら弁護士や保健師につなぐなど窓口や相談機関のネットワーク化を進めています。 もちろん、こうした対応も大切ですが、政府としては失業や多重債務を減らすための根本対策を進めることが急務です。 それは、幸福実現党が主張している「デフレ脱却」「景気回復」「経済成長」であり、これが日本の自殺者を減らす大きな鍵となります。 「増税やむなし」と論じる左翼マスコミにはそれが分からず、自殺者急増に加担しているのです。 1997年の消費税増税による自殺者急増問題を教訓にするなら、「不況化での消費税増税は絶対にしてはいけない」ことは誰の目にも明らかです。 増税は「亡国の選択」です!民主党・野田政権は、これを重く受け頂きたいと思います。 幸福実現党が言っている「増税は国を滅ぼす」は単なる標語ではありません。国民を守るための切実なるメッセージです! 野田首相は消費税増税を撤回し、金融緩和や減税、財政政策等によって早急に景気回復を優先させるべきです。 野田首相に「景気回復」「経済成長」という考えがないのなら、一日も早く退陣して頂くしかありません。 日本をこれ以上、貧乏にさせる政権は要りません!(文責・竜の口法子) 民主党の「年金改革」案は壮大な「年金詐欺」である。 2012.02.12 【最低保障年金は「年金詐欺」】 2月10日、民主党は月額7万円の「最低保障年金」を柱とする「年金抜本改革」の財政試算を公表し、2075年度に必要な税財源は、野田政権が目指す「消費税率10%増税」に加え、更に最大7.1%の引き上げが必要となることが判明しました。 野田首相は、国民からの反発を恐れ、「年金抜本改革」に関する「財政試算」を公表することなく、国民に対して増税の重荷を背負わそうとしていました。今回、野党側の批判を受けて公表したものです。 公表を受けて、野田首相は「党調査会幹部の政策検討用の参考資料であり、民主党として決定したものではない」と釈明。野党側は「無責任だ」と反発を強めています。 そもそも、民主党の「最低保障年金」は「無年金者、低年金者を全て救済する」ことを掲げていますが、そのような夢のような制度が成り立つのでしょうか? 現行の「基礎年金」(満額月6万6千円)は加入者だけが対象で、財源は税と保険料で折半する仕組みですが、民主党の「最低保障年金」は、ほとんど収入がなかった人も含む低所得者に支給し、その財源は全て税金となります。 しかし、最低保障年金月額7万円を満額を支給するのは、現役時代の平均年収が300万円以下で、それを超えると減額され、600万円超で最低保障年金の支給額がゼロとなります。 すなわち、中高所得者の年金受給は高い消費税を支払い続けた上、年金支給は大幅に減少するのです。 更に、野党からの「最低保障年金はいつから全額支給されるのか」という質問に対し、小宮山厚労相は「40年後です。マニフェストの段階で説明できていなかったことは申し訳ない」と答えていました。(2月10日衆院予算委員会) すなわち、今の現役世代の大多数は「最低保障年金」の恩恵に預かることはできないにもかかわらず、先に消費税を大幅に増税し、しっかり多大な負担だけを押し付けるのが民主党の「年金改革」の狙いなのです。 今回、民主党の「年金改革」案は、大増税によって国民の財産を略奪しつつ、多くの国民の年金支給が減らされる「年金詐欺」であることが明らかになりました。 【今こそ必要な国民の「自助努力の精神」】 そもそも、年金とは「年金保険」の略であり、「保険」という名が示すように、保険料の掛け金に見合った支給が原則ですが、「最低保障年金」は、この原則を完全にぶち壊す壮大なバラマキに過ぎません。 年金問題の抜本解決のためには「国民の意識改革」が必要です。 かつてケネディ大統領は、米国国民に対してこう呼びかけました。 「祖国があなたに何をしてくれるかを尋ねるのではなく、あなたが祖国のために何をできるか考えて欲しい」と。 国からもらうことを求める国民が増えれば、どんな国家であっても必ず衰退の道を歩むことになります。 増税とバラマキが無限に拡大していけば、社会主義と同じく、努力する者が報われず、誰も努力しない社会になるからです。 逆に、国家に対して自分は何ができるかを自らに問い、社会に貢献する国民が多くなれば、国家は発展繁栄していきます。 日本の明るい未来を築いていくためには、国に生活を保障してもらう「もらう側の人間」ではなく、国の発展のために「与える側の人間」が増えていく必要があるのです。 国民が政府に依存しなくなれば「減税」が可能になり、「無税国家」が近づきます。問題の本質は「国民の意識」にあります。 国に依存するのではなく、自助努力によって自らの未来を切り拓いていく。そうした「国民のマインドシフト」がなされた時、日本の明るい未来は必ず拓かれるのです!(文責・佐々木勝浩) 野田首相の任命責任~素人にして「大の親中派」田中直紀防衛相登用の不見識~ 2012.02.11 野田首相は10日発足した復興庁に平野氏を初代・復興相として任命し、防災相に中川正春氏を起用しました。 しかし、野田首相は予算審議入りする重要な時期における閣僚人事で、国会審議を紛糾させている元凶として問責決議の検討もされている田中直紀防衛相を更迭せず、続投させる選択をしました。 田中防衛相は、就任以来の一挙手一投足が問題視されている状態で、失言や迷走は数え上げれば切りがありませんが、まず指摘されることは「基本知識の絶対的な不足」です。 地方議員ではなく、経済と外交・安全保障を主要な責務とする国会議員を25年も経験し、外務政務次官や参議院外交国防委員長を務めながら、あまりにも無知過ぎます。 田中防衛相は、米軍戦略や自衛隊と憲法の関係などについて、基本的な質問を受けても、まともに答弁できず、「知らない」などと答える場面が予算委審議の冒頭から相次ぎ、国会を混乱させています。 本来なら普天間基地移設に指導力を発揮しなければならない立場であるのに、防衛政策の突っ込んだ議論が望めない状況にしていることは、極めて大きな問題です。(2/3 産経 主張「防衛相以下タガ締め直せ」⇒http://goo.gl/97dV1) 国会審議においては、メモ用紙や模範解答を耳打ちする防衛省の秘書官を後着同席させて終始答弁を行って「二人羽織」と揶揄されています。後方に座る身内の民主党大臣が呆れ顔で苦笑している始末です。 このような状態で国防有事が起きた場合、「政治不能」に陥ることは火を見るより明らかです。 2月1日衆議院予算委員会では、海空戦力の一体運用に重点を置く米国の「総合エアシーバトル」に質問を受け、「そこまで理解していない」と平然と答えています。 このことは、沖縄普天間基地の移設問題や米海兵隊の編成見直し等が重大な局面を迎えている時に、基礎情報について見識が無く、適切な判断ができない事を示しています。 このままでは沖縄基地問題は決して解決することはなく、日米同盟にも亀裂が生じかねません。 また、予算委員会中に断りも無く審議を20分間も抜け出して、議員食堂にいるところを発見され、「風邪をひいており鼻水が止まらないから風邪薬を事務所から持ってこさせていた」と言いながら、その後にコーヒーを飲んでいた事実が明るみになるなど、全く信用できません。 また、普天間基地移設については、2012年中の埋め立て工事着工を示唆する発言をして地元の反発を招き、更に「(時期・目標などの)手順表を持っておりまして…」とまたも口を滑らせています。 この手順表は日米両政府間で「極秘扱い」の文書であり、今後、問題になることは間違いありません。田中氏は米国の新国防戦略についても「普天間飛行場の移設計画は不変とする」との米側からの伝達内容を暴露しています。 もはや田中氏が防衛相を続ける限り、「日米政府の信頼関係を維持していくことは不可能に近い」との厳しい批判が出ています。(2/2 産経) しかし、田中防衛相についての野党議員からの追及に対して、野田首相は「政治的経験、蓄積を踏まえ総合的に判断し、適任と判断した」と強調しています。 田中防相の安全保障に関する資質の欠如・見識の無さは「素人以下」であり、到底、国防の重責を託すに値する「適任者」とは言えないことは誰の目にも明らかです。 そもそも、田中直紀氏は、日中の国交を樹立した田中角栄氏の娘婿で、「大の親中派」と言われてます。 田中直紀氏の防衛相就任に際し、香港紙『明報』は「田中角栄の娘婿が防衛相に」と題し、「妻の真紀子氏は中国の指導者層から厚遇を受けている」と明かしています。 また、香港紙『大公報』は「親中派が防衛相に」と題し、親中派の防衛大臣誕生を歓迎しています。(台湾は日本の生命線!「田中直樹防衛相と中国との関係を疑わなくていいのか」⇒http://goo.gl/SyGCO) 中国の覇権拡張と対峙すべき防衛大臣の職に、愚昧で、中国に従順な防衛大臣を配置し、現在も続投させている野田首相は国民の生命と安全を軽んじる、不誠実極まりない「国賊」です。 野田首相の任命責任、そして国家の存亡を左右する安全保障に対する不誠実な政治判断は重大な失政です。 2月11日の建国記念の日にあたり、日本を建国され、守り続けて来られた先人の方々への感謝と敬意を込め、日本の平和と繁栄を守る決意を新たにすると共に、国防の重責を軽んずる野田首相・民主党政権の即時退陣を強く求めます。(文責・小川俊介) 白川総裁のデフレ独裁――政府は日銀法を改正し、金融政策の目標設定権限を確保すべき 2012.02.10 米連邦準備制度理事会(FRB)が2%の「インフレ目標」を導入してから、日本の国会においても、デフレを放置している日銀の責任を問う声が高まっています。 ※FRBはの表現は“a longer-run goal for inflation”(インフレに対する長期的なゴール)という表現であり、「インフレ目標」と言っても差し支えないと考えます。 日銀の白川総裁は、国会予算委員会の答弁で、今回のFRBの「インフレ目標」の導入について「日銀に近づいてきた」と強弁しましたが果たしてそうでしょうか? 日銀は「インフレ率を2%以下のプラス領域、中心は1%程度を中長期的な物価安定の理解とする」としています。 よく意味が分からない「理解」が、FRBの「インフレ目標」と同じというのでしょうか? 嘉悦大学教授の高橋洋一氏は「1998年の新日銀法施行以降、日本で前年同月比のインフレ率が0~2%に収まっていたのはわずか1割6分。一方、FRBが1~3%に収めたのは実に7割以上」であるとして、落第生日銀の「理解」と優等生FRBの「目標」は全く違うことを指摘しています。⇒http://goo.gl/8tpkF 「インフレ目標」を導入している各国は数値目標だけでなく、達成期間、説明責任などを明確に定めています。 例えばニュージーランドは、インフレ目標を達成できなかった時には、政府は中央銀行総裁を罷免することができます。イギリスは、目標2%の上下1%を超えると、中央銀行総裁の財務大臣に対する説明責任が生じます。 日本は2011年度まで3年連続で消費者物価の上昇率はマイナスです。しかし、日銀総裁は何ら責任をとる必要はありません。 内閣府の試算によると、2011~2020年の物価上昇率の平均が、成長シナリオで1.7%、慎重シナリオで1.1%です。⇒http://goo.gl/RSW4z 古川経済財政担当相は10日午前の衆院予算委員会で、政府の財政政策と日銀の金融政策の両面から「2%程度の緩やかなインフレの達成に向けて、全力で(成長シナリオを)行っていきたい」と発言しています。 しかし、日銀は中心を「1%」としているため、政府の「2%」とはあまりに離れています。 白川総裁が「これをどう説明するのか」と同委員会で問われても、「ピンポイントで定めるのは難しい」と曖昧な答弁に終始し、「2%を達成する」という強い意志は全く示されませんでした。 1998月4月1日に施行された新日銀法では「金融政策の目標の設定」と「それを達成する手段」の両方に関して、日銀に政府からの独立を認めてしまいました。 「インフレ目標」を採用している諸外国では「金融政策の目標は政府が最終的に決定する権限を持ち、それを達成する手段は、中央銀行が政府から独立に決める」という「手段の独立性」を認めているに過ぎません。 現在の日銀法の下では、たとえ政府が「成長シナリオ」を進めたくとも、金融政策に関しては日銀が主導権を持っているため、政府に決定権はありません。 白川総裁は「デフレは潜在的成長力、生産性が低下しているのが原因であって、日銀がいくら流動性を供給(貨幣供給)しても脱却できない」と、開き直りとも思える発言を繰り返しています。(経済成長戦略や規制緩和等によって「潜在成長率」を高める努力を怠って来た民主党政権も問題ではありますが。) 学習院大学教授の岩田規久男氏は、白川日銀の「物価の安定」とは「デフレの安定」である。言いかえれば、日銀の金融政策の目標は「安定的なデフレ」という「デフレ・ターゲッティング」に他ならないと指摘しています。(『WiLL』3月号「デフレ・超円高の元凶は日銀だ」) 白川総裁は、文藝春秋3月号にて、インタビューを受けていますが、その中でも、現在は、積み上がった債務を正常なレベルに戻していくことが優先され、その間は、支出が切り詰められるため、成長率は低下すると、デフレを容認しています。 もはや白川日銀総裁は「疫病神」と言われてもいたしかたありません。すみやかに国会は日銀法を改正し、政府が金融政策の目標を決定する権限を持つべきです。(文責・加納有輝彦) すべてを表示する « Previous 1 2 3 Next »