Home/ 記事配信 記事配信 国家存亡の生命線、エネルギー問題を人気投票の材料にしては断じてならない。 2012.04.17 4月13日、野田首相と関係3閣僚は、関西電力の大飯原発3、4号機の再稼働を「妥当」と判断し、福井県に再稼働を求める方針を決定しました。 今回の政府の再稼働の決定に、16日、橋下大阪市長は異議を唱え、「もはや統治能力なし」と民主党政権打倒を掲げ、「再稼働に対して徹底抗戦する」「再稼働の是非を国民の皆さんに決めてもらう」と、再稼働問題を次期衆院選の争点にすると宣言しました。小泉郵政選挙の如く、原発再稼働の是非を問う事実上の国民投票を衆院選挙で行いたいということです。 この「脱原発vs原発推進」という図式は、もともと反原発の菅元首相が構想し、「脱原発」で一点突破全面展開(菅氏が好む戦略の一つ)を図ろうとしていました。今回、全く立場が逆転し、橋下市長にお株を奪われた形になりました。 橋下市長の主張は、政府に対して不信感を抱いている国民にとってある種のカタルシスとなっており、大きな世論誘導の力となっています。 しかし、橋下市長は、具体的に今夏の大阪の電力危機をどのように乗り越えるのか、具体策を示せていません。一市民運動家ならまだしも、大阪市を預かる市長という立場からの「脱原発」運動は極めて無責任であり、ポピュリズムと言わざるを得ません。 国内の電力市場で家庭需要は約3分の1、残り3分の2は産業用、業務用需要です。産業用、業務用需要では節電は容易ではありません。 橋下市長の「計画停電もあり得ると腹を決めれば、電力供給体制を変えられる」との考えに対し、関西経済連合会の松下正幸副会長(パナソニック副会長)は「昨年並みの節電でも困ると言っているのに、計画停電なんてとんでもない。軽々に計画停電と言うべきではない」と強く批判しています。(4/17 読売「橋下氏『計画停電』発言に財界『軽々に言うな』」⇒http://goo.gl/g6reJ) また、昨年は節電で乗り切れたといっても、昨年7月には19基の原発が稼働しており、8月も16基が稼働していました。今夏は、再稼働がなければゼロとなってしまいます。 昨年12月の日本エネルギー経済研究所の予測では、原発ゼロでは7.2%の供給力不足と試算しており、節電して経済活動を抑制すると5.0%の余剰が確保できるとしています。 しかし、節電に加え、経済・生産活動の抑制、そして電力不足で減るGDPと海外流出する燃料費の合計は最大で年間13.6兆円、単純計算で消費税5%分にのぼると同研究所で試算されています。(産經4/8) デフレ経済の中で、もし消費税増税法案が通れば5%の負担増、そして「脱原発」で更に消費税5%分の負担増になるわけです。これは日本経済にとっては壊滅的な打撃となります。 私たちは、偏向したマスコミ報道の喧騒を離れ、エネルギー問題の本質とは何かを考えてみる必要があります。 原子力の目的は、経済、地球環境などいろいろ言われていますが、究極の目的は「国家安全保障」です。日本が他国へのエネルギー依存を減らし、自立した国家として存続するために必要なのが原子力です。また、国防においても原子力技術の保有自体が抑止力となっています。 反原発論者が推奨する再生可能エネルギーは、すべからく分散型エネルギーであり、その根底には国家の否定があるとの指摘もあります。 そう考えると、「道州制」「地域主権」を主張する橋下市長が「脱原発」を主張する魂胆に対し、私たち良識ある国民は注意深く監視していく必要があります。 「国家存亡の生命線、エネルギー問題を人気投票の材料にしては断じてならない」と強く訴えたいと思います。 幸福実現党は、福島第一原発事故を教訓とし、原発の安全性をさらに高め、基幹エネルギーとして引き続き使用していく必要があると考えます。 そして世界最高峰の技術を継承し発展させ世界のリーダーとして原発の安全性の向上に寄与していく使命があると考えます。 事故をおこしたから、失敗したから「全て廃止する」という議論は、個人の選択としてはあり得ても、国家の選択としてはあり得ない、人間の無限の可能性を否定する誤った思想であると考えます。(文責・加納有輝彦) 金正恩氏「先軍政治」を継承――北朝鮮の終わりの始まり 2012.04.16 北朝鮮は15日、金日成主席の生誕100年を迎え、大規模な式典が行われ、正恩氏は初めて22分間の演説をしました。最高指導者の肉声が伝わるのは、金正日総書記が1992年4月25日、「英雄的朝鮮人民軍将兵らに栄光あれ!」とわずか5秒の檄を飛ばして以来20年ぶりだそうです。 軍事パレードでは、これまで未確認だった対米威嚇用とみられる大型弾道ミサイルも登場。金第一書記は「かつての弱小国が今日は堂々たる政治・軍事強国に豹変した」など先代の軍事力強化路線を評価し、先軍政治を継承する意思を改めて示しました。 さらに人民を飢えさせない「確固たる決心」を誓い、南北統一のためには「誰とでも手をつなぐ」と言い切りました。 自らマイクの前に立つというサプライズ演出は祖父流、路線は父の「強盛国家」建設を継ぎました。 毎日新聞が入手した発言録(1月28日)によると、金第一書記は「最大のタブー」とされてきた、資本主義的手法の取り入れを含めた経済改革論議を促しているといいます。(4/16 毎日「北朝鮮:金第1書記、資本主義論議を容認 1月の発言録」⇒http://goo.gl/lXYrl) 北朝鮮ではコカ・コーラやジーンズなどは「資本主義の象徴」と排除されます。 しかし、国家統制経済で、政策の不調が続き、深刻な経済危機に直面している今、金第一書記は「ロシアでも日本でも使える手法があれば取り入れるように」と指示し、資本主義論議をすることを容認したといいます。 しかし、「資本主義的発展」をつくるためには、情報入手の自由や情報交換の自由がなければなりません。今の情報統制では地下経済しか発展しません。 正恩氏は、スイスに留学し、ヨーロッパを見て国際情勢を知っているつもりになっているだけです。本当の経済改革を進めたいなら、まず、何よりも初めに「核を捨てる」ことです。 「核」を捨てない限り、制裁が続き、すでに経済再建は絶望的です。国民は、昨夏の洪水の凶作で、南部中心に餓死者が続出しています。 昨年末以来、金総書記葬儀、生誕記念日などの行事が相次ぎ、その度に党は上納金を納付するよう要求しますが、貧しい国民は「忠誠心を表したいが、少しの力も残っていません」という困窮ぶり。 北朝鮮はミサイル発射を含む金日成生誕100周年記念行事に20億ドル(約1620億円)を注ぎ込んだと見られています。これは米なら北朝鮮全人口の5年分、トウモロコシなら10年分をまかなえる金額です。(4/13 夕刊フジ「貧窮国北朝鮮、1600億円をドブ!飢える国民が泣いている」⇒http://goo.gl/02haZ) このまま国民の犠牲をいとわず、「先軍政治」を進めるなら、北朝鮮の未来はありません。 しかし、金恩氏は自ら核を捨てる気持ちはなく、演説でも「原子爆弾」という言葉を使い、威信回復のため、3回目の核実験につき進むとの観測はますます高まっています。 今こそ、日・米・韓が組み、さらにロシアとも連携し、北朝鮮の「核の刀狩り」をする時です。核武装の解除ができれば、北朝鮮は解放され、経済再建は可能です。 ベルリンの壁の崩壊に続き、「板門店の壁」を終わらせ、冷戦を終わらせること。そして、南北に引き裂かれた民族の悲劇を終わらせること。これが、「北朝鮮の終わり」の始まりです。 正恩氏に残された道は、かつて、東京ディズニーランドや秋葉原で見た日本が、韓半島の未来となるべく、独裁政権と権力欲を捨て、民衆を解放すること以外にありません。(文責・竜の口法子) 民主党闇法案閣議決定へ――新たな人権弾圧、言論弾圧をもたらす「人権救済機関設置法案」を絶対阻止せよ! 2012.04.15 民主党の闇法案「人権救済機関設置法案」が20日、密かに閣議決定されようとしています。この危険な法案については、これまでもHRPニュースファイルで追及して参りました。(「人権委員会」設置法案―野田首相が推進する危険な「闇法案」⇒http://goo.gl/L9JOd) この大変危険な闇法案について、産経以外のマスコミは何故か黙して決して報道しようとしません。(4/3産経「人権救済機関設置法案、20日閣議決定で調整」⇒http://goo.gl/xwqcG) この「人権救済機関設置法案」は、差別や虐待による人権侵害の是正を図るための人権救済機関「人権委員会」を法務省の外局として設置する法案です。(参照:法務省「新たな人権救済機関の設置について」⇒http://goo.gl/xp9aa) 法務省は今国会での成立を目指そうとしていますが、民主党保守系議員らは「人権侵害」の定義が曖昧で、拡大解釈により憲法が保障する「言論・出版の自由」が侵害される恐れがあるとして、閣議決定阻止に向けた動きも見られます。(前出4/3産経) 「人権委員会」は、国家行政組織法3条に基づく独立性の高い「三条委員会」と位置づけられ、人権救済にあたる「人権委員」は、深刻な人権侵害がある事案について、裁判所を通さず、刑事告発できる強力な権限が与えられます。 「人権委員」に偏った左翼団体、人物が入り込んだ場合、正当な言論活動を行なっている団体や個人に対する言論弾圧が始まる危険性が強くあります。 最大の問題は、都道府県で選ばれる人権擁護委員について、日本「国籍」を有する者ではなく「地方参政権を有する者から選ぶ」とあることです。民主党が進めようとしている「永住外国人に地方参政権」が付与されれば、外国人も人権擁護委員に就任できる余地を残しています。 その結果、将来、「外国人差別を無くす」という大義名分を立てて外国人が人権擁護委員に就くようなことがあれば、例えば、中国の軍拡に対する正当な批判も、「中国人の感情を傷つける言論であり、中国人に対する差別」だとして告発される可能性があります。 まさしく、私たち幸福実現党がこれまで行ってきた中国を正す正当な批判や言論も、中国人が日本の法律によって「合法的に弾圧」できることになります。 これは中国国内で行われている言論弾圧、思想弾圧を日本に移植するための工作であり、断じて法案を成立させてはなりません! ウイグルやチベットで行われている中国による言論弾圧を、今、密かに日本で広げていこうとするのが「亡国思想」に取り憑かれた愚かな民主党議員達の正体です。 中国工作員と民主党議員達は、民主党が推進する「人権救済機関設置法案」と「外国人地方参政権」によって、ある日突然、日本人が中国人に人権弾圧される日を夢見て、着々と本法案成立の地歩を固めているのです。 ちなみに、「人権委員会」がある韓国では、人権委員会に持ち込まれた事件総数の14700件のうち、85パーセントが「虚偽」か「事実ではない」として却下されています。(『こんなに危ない「人権委員会」』日本政策研究センター発刊⇒http://goo.gl/Z09w6) 問題は、「虚偽」の告発として却下されても、人権委員会から調査などを受けたという「風評被害」が調査を受けた個人に残り、社会的な信用を失い兼ねず、それこそが新たな人権侵害につながっていくことにあります。これは事実上の言論弾圧・思想弾圧を意味します。 こうした危険な「人権救済機関設置法案」に対し、断固「NO!」の声を上げて参りましょう!(文責・佐々木勝浩) ミサイル発射で露呈した日米同盟のきしみ――日本よ、自主防衛に目覚めよ! 2012.04.14 今回の北朝鮮のミサイル発射の失敗によって、ひとまず日本国内には安堵感が広がっています。しかし、その一方で、政府の発射情報の発信が大幅に遅れるなど、民主党政権の危機管理能力の欠如が明らかになっています。 それに加えてもう一つ、今回のミサイル発射という「有事」に際し、露呈したことがあります。それが、日米同盟における「防衛意識の齟齬(そご)」です。 その証左となる記事が、4月10日に産経新聞に「迎撃日米に温度差…東シナ海照準、緊張感薄い米」との見出しで掲載されています。⇒http://goo.gl/5Thov 記事によると、米軍は日米協議でも米海軍イージス艦の配置など手の内を明らかにしようとしませんでした。米海軍は06年には日本海に2隻、09年は日本海と太平洋に2隻ずつイージス艦を展開させることを早々に決めたのに比べ、対応は明らかに異なっています。 北朝鮮が1998年、2009年に発射した弾道ミサイルはいずれも東方向(米本土)に向けて発射されましたが、今回は南方向に向けて発射すると発表されたことも米国の警戒感を薄くした要因となっているのでしょう。 米本土を射程に入れる大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に神経をとがらせる米国は、今回の発射で、北朝鮮のミサイルの性能把握に躍起であり、ミサイル観測艦をデータ収集に最も適した海域展開させることしか眼中にないとも指摘されています。 事実、米軍は先月末、「5000キロ・メートル離れた野球ボール程度の大きさの目標も識別できる」とされる海上配備型Xバンド・レーダー搭載の大型艦船を、ミサイル発射に備えてハワイから出港させ、太平洋上に配置しています。近い将来、北朝鮮のミサイルが米国本土を射程に収める可能性が濃厚だからです。 つまり、米国にとっての最大の関心事は、あくまでの自国(米本土)への脅威を防ぐことであり、日本の防衛に関しては「二の次」であり、そのことが、今回のミサイル迎撃に対する「日米の温度差」となって表れたことは明らかです。 しかしながら、これはある意味、当たり前のことだと言えるでしょう。いくら同盟関係といえども、有事の際には、同盟相手の国防よりも、まずは自国の防衛を優先するのは当然です。 米軍は、あくまでも米国民を防衛するために存在し、行動しています。同盟関係も突き詰めていけば、他国の防衛のためではなく、あくまでも自国の防衛戦略の一環、相互補完機能に過ぎません。 そう考えれば、幸福実現党が訴えてきた、日本が「自分の国は自分で守る」という「国家の気概」を取り戻し、自主防衛体制を構築することの必要性がお分かり頂けるのではないかと思います。 いざ、有事の際には「自分の国を自分で守る」ための軍隊がいなければ、最終的に誰も日本国民を守ってはくれないということです。 日米同盟はもちろん維持・強化すべきですが、真に国民の生命・安全・財産を守るためには安全保障を米軍に依存する現状を見直し、日本独自の実効性ある抑止力を整備すべきです。 「自分の国は自分で守る」――そのためにも、戦争放棄や戦力不保持などを定めた憲法9条改正がどうしても必要です。 そして憲法改正までの間、直近の危機に対応するためには、中国や北朝鮮などの「平和を害する」国家に対しては、憲法9条の解釈を変更し、「日本の平和を脅かす国家に憲法9条は適用されない」ことを明確にすべきです。 つきましては、幸福実現党は来たる5月3日(木・祝)、「憲法を変えて日本とアジアの自由を守る!国民集会&デモ」を東京・日比谷で協賛開催し、全国に憲法改正のうねりを起こして参ります!多くの皆さまのご参加をお待ち致しております!⇒http://goo.gl/zq8Dn 今回のミサイル発射によって、多くの日本人が憲法改正の必要性を感じ始めています。その意味で、今回の「有事」は、日本にとって大きな「目覚めのチャンス」を与えてくれたと言えるでしょう。(文責・矢内筆勝) 【北ミサイル失敗】日本の危機管理は大丈夫か? 2012.04.13 4月13日午前7時38分、北朝鮮による「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルの発射実験が行われ、高度120kmまで上昇した後、実験は失敗に終わりました。 北朝鮮のミサイル発射は、失敗はしものの、日本やアジア諸国の挑発的行為は地域の安全を脅かすものであり、断じて容認できません。同時に、野田政権の危機管理の重大な問題も露呈しました。 7時40分過ぎには米軍の早期警戒衛星(SEW)による情報が日韓に同時に伝えられ、米韓メディアは50分ごろから速報を始めました。しかし、日本では官邸から関係機関に緊急情報を伝える「Em-Net(エムネット)」での第一報が8時3分で、内容も「わが国としては確認していない」というものでした。 日本政府がミサイル発射を正式に公表したのは、ミサイル発射44分後の8時22分の田中防衛大臣の緊急会見で、内容も「何らかの飛翔体が発射されたとの情報がある」という曖昧なもので、1分弱で打ち切られました。この時点で、既に韓国国防省は「発射失敗」を発表しています。田中防衛大臣が「失敗だった可能性が高い」と発表したのは、なんと10時9分の会見でした。 今回、発射情報を自治体に速報する「Jアラート」(全国瞬時警報システム)は作動せず、自治体向けの緊急情報ネットワークシステム「Em-Net(エムネット)」の第1報も発射に20分以上遅れての午後8時3分に公表されました。(4/3 産経「瞬時警報システム作動せず 専門家『危機管理上、大いに問題』」⇒http://goo.gl/zx9Qi) しかも、8時3分の発表は「発射を確認していない」という内容(http://goo.gl/C612j)ですが、この時点で既に官邸はアメリカから発射情報を得ており、全国に虚偽の送信していたことになります。 本来の計画では、日本政府はJアラートとエムネットの二段構えで発射情報を発信する予定でした。速報性はJアラートが優れ、アメリカが運用する早期警戒衛星が発射を探知してから2分ほどで防災無線などから避難を呼びかけることが可能とされてきましたが、いずれも機能しませんでした。 発射が失敗に終わっていなければ、既にミサイルが日本上空を通過している8時過ぎの段階で、政府がミサイル発射情報を掌握、伝達できていなかったことは極めて重大な問題です。日本領土に落ちてくるようなことがあれば、避難は完全に手遅れになり、火の海に陥っていた危険があります。 今回打ち上げられた弾道ミサイルは自己着火性を持つ「ヒドラジン」と「四硫化二窒素」という有毒物質を用いたハイパーゴリック推進剤による液体燃料方式によるものであったことを考え併せると、国民保護の上からも、情報の伝達は迅速に行うべきでした。 官邸は「誤情報を出さないために、ダブルチェックしていた」と釈明していますが、日本が整備するミサイル防衛の探知システムであるJ/FPS-5とJ/FPS-3改の2種類の警戒管制レーダーの性能は、ミサイルが水平線を超えればすぐに探知することができ、またそれを追跡することが可能なシステムです。このことから、少なくとも防衛省はこれを使用して情報を把握していたはずです。 防衛省からの情報は首相官邸に入る仕組みになっていますから、すべては収集された情報を使い、迅速に国民に伝えなかった首相官邸の怠慢そのものです。 今回のミサイル実験を巡る一連の怠慢は、野田首相、田中防衛大臣、藤村官房長官ら民主党政権の“気の緩み”から来ています。誤発表を恐れるあまり、「間違いないと判明するまで何も発表しない」という方針を取った野田政権の判断は、打ち上げが失敗していなければ、国民を危機に陥れていました。 今回のミサイル発射は、実績に乏しい金正恩氏の権威付けを急いだものでしたが、発射が失敗に終わったことで、金正恩氏の権威を取り戻すべく、さらなるミサイル発射や核実験の強行、前倒しも推測されます。 もはや「国民の生命・安全・財産」を軽視する民主党政権に、日本を任せることはできません。野田政権は即刻、退陣すべきです。 また、北朝鮮は打ち上げ失敗を認めていますが、北朝鮮としては弾道ミサイルの信頼性を上げるために失敗するリスクを承知で実験を行った可能性も考えられます。 今回の弾道ミサイルは3年前に発射された「テポドン2号」とほとんど変わらず、1段目は「ノドン」とみられる4本の中距離弾道ミサイルを束ねたもので、専門家は、今回の実験がプログラムした通りにミサイルの飛行や切り離しが確実に行えるかどうかを検証するのが目的ではないか指摘しています。(4/9 NHK⇒http://goo.gl/kn0zq) 今回打ち上げられたロケットは、「ノドン」と見られる信頼性の高い複数のロケットブースターを束ねて総合的な推力を上げる「クラスターロケット」であると見られますが、クラスターロケットは制御が難しいという欠点があります。 こうしたクラスターロケットが開発できるような段階にまで北朝鮮のロケット技術が進展したことは、日本を狙っている中距離弾道ミサイル「ノドン」の信頼性が増していることを意味しています。 今回の長距離弾道ミサイル「テポドン2号」の打ち上げ失敗は、射程となり得るアメリカにとっては一安心ですが、日本にとっては別の意味で脅威が増したことを意味します。その意味で、今後、日米間に北朝鮮に対する温度差が生じることも懸念されます。 今、日本がなすべきことは、今回の国連安保理決議に違反するミサイル発射を受け、ミサイルの信頼性を向上させるような実験を二度とさせないよう、米国、韓国や国際社会と連携して北朝鮮に圧力をかけ、「核の刀狩り」まで追い込むことであります。(文責・黒川白雲) 脱・無責任外交――日本から平和と秩序を世界に発信する気概を! 2012.04.12 4月11日に、金正恩氏が北朝鮮労働党の「第一書記」に就任しました。父・金正日を「永遠の総書記」とし、金正恩氏が新設した、北朝鮮労働党の「第一書記」に就任の背景には、父・金正日の権威を高め、その「遺訓」に従って統治をしていくことを宣言することで、3代世襲を正当化して、金正恩体制への求心力と安定化につなげる狙いがあるようです。 4月12日から、先軍思想(軍事優先)路線の象徴と見られる、衛星と称した長距離弾道ミサイルの発射予告期間に入りました(発射予告期間は、4月12日~16日:午前7時~正午)。 12日に発射は行なわれませんでしたが、今後も万全の対応が必要です。ロシアのインテルファクス通信は、北朝鮮が「衛星打ち上げ用運搬ロケット」と説明する長距離弾道ミサイルの発射は14日になる見通しと報じています。 今後も4月13日に、金正恩氏が最高人民会議で国防委員長に就任予定、4月15日に金日成主席生誕100周年と、大きな節目が続きます。 衛星と称した長距離弾道ミサイルの発射の動向にも十分な警戒が必要なことはいうまでもありませんが、さらに、これからの「日本の防衛をいかにするか」についても政府は考えを示すべきです。 なぜなら、過去の長距離ミサイル発射後(2006年7月、2009年4月)の数ヶ月以内に「核実験」を行なっており、日本の安全への大きな脅威が生じうるからです。 実際、北朝鮮が北東部・咸鏡北道豊渓里(プンゲリ)の核実験場で3回目となる核実験を準備しているとの見方を韓国政府消息筋も明らかにしており、アメリカの商業衛星からもその状況が確認されています。 日本は、国連安全保障理事会で「追加制裁決議採択」を目指し、国際社会で適切に対処する方針を、アメリカのクリントン国務長官と確認しています(4/12 産経)。 また、米ワシントンで開幕した主要8カ国(G8)外相会合の冒頭で、「われわれ(8カ国)は朝鮮半島の安定という強い利益を共有していると考える。そのために最善策を話し合う」とし、国際社会の連携を深める模索をしていますが、北朝鮮に大きな影響力のある中国が不在であることから、効果が疑問視されています。 さらに、忘れてはならないことは、2009年の北朝鮮のミサイル発射の際に、安全保障理事会での決議を求めましたが、当時は、中国とロシアが「強硬だと反対」し、法的拘束力のない「議長声明」としてアメリカが妥協したことです。アメリカ任せにも限界があります。 また、韓国では4月11日に総選挙の投開票が行なわれ、保守系与党のセヌリ党(旧ハンナラ党)が、全300議席のうち過半数となる152議席を確保し勝利しましたが、対北朝鮮政策は争点化せず、経済成長や福祉が主要な争点であったようです(4/12東京)。 対北朝鮮については、日本から率先して、韓国に働きかけていく必要があります。やはり、他国任せではなく、日本として自国の安全を守り、また他国に対して働きかけていくのかという「安全保障戦略」をしっかりと提示する必要があります。 そのためにも「武器協同開発戦略」をはっきりと持つ必要があるのではないでしょうか。 日本は、武器輸出三原則の緩和を受け、防衛装備品の共同開発と生産に乗り出すことを、イギリスと合意しました。イギリスとの共同声明には、日本の国連常任理事国入りを支持することも盛り込まれています(4/11毎日)。 イギリス以外にも、フランス、イタリア、豪州などから、水面下でのオファーもあるようです。日本の高い技術力への期待はもちろんあるでしょうが、日本としては、どの国とパートナーシップを組むかを戦略的に考えることは、日本としての安全保障の考え方を打ち出すことにも繋がります。 日本としては、シーレーン防衛など、国益の観点を踏まえて、アジア諸国とも、パートナーシップを広げるべきです。 武器輸出緩和すること自体が争いを助長するという反対の声もありますが、日本が平和を愛する国なのであれば、日本からの意見を発信して、争いの火種を刈り取るためにも、日本との価値観―「平和を愛する諸国民への信頼」―を共有できる国とのパートナーシップを構築するべきです。 日本では、税金など国内問題ばかり議論していますが、集団的自衛権の解釈、憲法9条の改正など、日本のこれからの防衛のあり方を論ずるべきです。 自分の国は自分で守る。これは国民の幸福の前提です。弱腰外交、他国任せ、日本海にミサイルが打ち込まれても何もいえない、「無責任外交」はもうやめにしなくてはなりません。 日本は大国です。自分の国のことだけを考える段階はとっくに過ぎています。むしろ、日本が世界の中心となって、平和の価値観と秩序を築き上げる強い決意と行動が必要なのではないでしょうか。(文責・吉井としみつ) 日銀の金融政策「据え置き」では不十分 2012.04.11 日本銀行(以下日銀)は4月10日の金融政策決定会合で、金融政策の現状維持を発表しました。唯一変化があったのは、成長分野に対しての貸付強化だけです。貸し付け総額は120億ドル。受付期間は2014年3月末までとすることを発表しています。⇒http://bit.ly/HuCCU4 同じく、日銀はデフレ脱却と経済成長を「極めて重要であると認識している」と表明しています。政府内でも、デフレ脱却のための閣僚会議を新設し、4月内には日銀の白川総裁もオブザーバーとして参加する方向性を定めました。 政府と日銀は、表向きはデフレ脱却と金融緩和に向けた姿勢を示したことは評価できます。ただ、結論としては、1%の物価上昇率を達成するのに「現状維持」では不十分です。 なんと金融引き締めをしていた! 加えて、指摘しなければいけないのは、表向きの態度とは裏腹に、日銀は通貨供給量を絞っていたことです。 4月3日に発表された市中に流通する現金と日銀当座預金で構成される通貨供給量は3月、対前年同期比0.2%減と減少。2008年8月以来3年半ぶりの減少に転じました(2月の、11.3%増から大幅に縮小した)。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は、「まるで金融引き締めを実施したような収縮ぶりだ」と指摘しています。⇒http://bit.ly/IkLB6L 同氏は、日銀が通貨供給量を増やさないと、再度円高デフレが進行することに懸念を表明しています。 元日銀副総裁が苦言 日本経済研究センター理事長であり、元日銀副総裁の岩田一政氏も更なる金融緩和を提言。具体的には、長期国債買い入れを増やすなどを実施し、2%の消費者物価指数の上昇が必要であることを指摘(ただし2%は決して高くなく、不十分)。 もう一つ、岩田氏が注目すべき発言をしたのは「日銀券ルール」に関するものです。日銀券ルールとは、長期国債保有額を日銀券発行額の限度内に収めるものです。 ただし、早稲田大学の若田部昌澄教授によれば、「経済学的な根拠はない」とされ、量的緩和を導入する時に、いわば日銀が「勝手に」決めたものとして批判しています。 岩田氏は、「日銀券ルールは、経済が順調に成長しているとき通貨を供給するための、いわば平時のルール。戦時のルールではない。(中略)長期国債の買い入れを始めた2010年10月をもって日銀券ルールは放棄された」とまで発言しています。⇒http://bit.ly/IdHt8Y 実質上「日銀券ルール」が放棄されているならば、岩田氏が指摘するように長期国債買い切りオペを断行するべきであって、「金融引き締め」をするべきではありません。 金融緩和のカギは「インフレ予想」と期待に働きかけること 金融政策には効果があります。 例えば、08年のリーマン・ショック時に米英の中央銀行が2倍以上バランスシートを拡大し、デフレと景気悪化を食い止めたのは金融緩和でした。米英の景気回復は緩慢ですが、少なくともデフレは止めています。 FRBのバーナンキ議長をはじめ、世界の中央銀行が大量の株や証券など購入をして通貨供給を増やしたのは、大恐慌や日本のバブル崩壊の反省に基づいているからです。言い換えれば、「不況から恐慌を食い止めるためには金融緩和が必要」という共通認識が、中央銀行関係者には共有されているのです。 三菱UFJリサーチ&コンサルティング経済・社会政策部主任研究員の片岡剛士氏の研究によれば、昭和恐慌や米国の大恐慌からの経験は次のようにまとめられます。 金融緩和→デフレ予想の払拭→資産価格上昇→資産が増えることでの消費拡大や為替レートの円安による輸出企業の業績改善等→総需要の増加→デフレ脱却→企業の借り入れ増による金融システムの復活。詳細はこちら⇒http://bit.ly/Hx4juD つまり、上記のような過程を経て初めてデフレ脱却が可能となるのです。現在の日銀の金融政策では規模が小さく、一過性の効果しかもたらしません(実際、日経平均株価は下がり始めている)。 言い換えれば、金融政策が効果を発揮するには一定の時間が必要だということ。さらに言えば、人々がマイルドなインフレになるという期待が起こるまで継続すべきです。 今後の課題としては、金融政策の目標達成責任を明確にすること。事実上のインフレ目標を導入した以上、日銀法の改正も視野に入れた金融政策の実効性を高める努力も必要となることでしょう。(文責:中野雄太) 日本はグローバルな安全保障戦略を構築せよ! 2012.04.10 オーストラリア北部の都市ダーウィンに4月3日夜、同地に駐留を始めるアメリカ海兵隊の第1陣約200人が到着したとオーストラリア政府が発表しました。 駐留は2011年11月にオバマ米大統領が同地で発表したアジア太平洋地域への米軍再配置計画の一環で、アメリカ海兵隊は今後6カ月交代でオーストラリアに常駐し、有事に備えた訓練をオーストラリア軍と共同で実施し、同盟関係を強化する予定です。 アメリカにとってオーストラリアは、日本に次ぐ同盟国であると言え、両国は日本よりも濃い関係にあると言えます。 オーストラリアは第一次世界大戦以降にアメリカが参加した戦争すべてに派兵した唯一の国であり、アメリカにとって「死活的国益」である「西半球防衛」という観点から、オーストラリアとの同盟関係は必須であると言えます。 では、アメリカはなぜこの時期にオーストラリアのダーウィンに軍事力を配備するのでしょうか? オーストラリアのアジアへの玄関口であるダーウィンは、エネルギーや食糧の重要な「シーレーン」となっているマラッカ海峡やインド洋に近接しています。 特に、ダーウィンはマラッカ海峡を通航することなくインド洋に展開できる拠点であり、インド洋を睨んだものであると見られます。 アメリカがインド洋において、このような戦略を取る理由は、ひとえに中国のインド洋における戦略的展開にあります。 中国は「真珠の首飾り戦略」によって、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ミャンマーなどに手を伸ばし、港湾建設に投資するなどの関与を推進し、艦艇が寄航できる港湾を確保し、インド洋権益を確立する体制を整えつつあります。 インド洋を舞台として、米国と中国のグローバルな戦略が衝突する形となりますが、日本も、もっとグローバル(汎地球的)に物事を考え、安全保障戦略を立てるべきです。 なぜなら、中東の原油にエネルギー安全保障を依存している日本にとっては、マラッカ海峡における安全な運航を維持していくことは死活的に重要だからであり、その重要度はアメリカとは比較にならないくらい大きいからです。 在日米軍再編見直し協議では、沖縄からグアムへ4200人、オーストラリアやハワイなどに3500人の海兵隊を移転させ、この中に地上戦闘部隊の大半が含まれることがほぼ固まりました。 日米両政府は米軍が国外に分散配置されても、「太平洋全体で日本への脅威に対抗できる」と説明していますが、局所的な米海兵隊のプレゼンス低下を補完するためには、憲法9条を改正し、「自主防衛」を強化していく必要があります。 中国の飽くなき覇権主義を抑えていくためには「自分の国は自分で守る」という「自主防衛」の基本に立つと共に、アメリカを代表とする日本と利害を同じくする多くの国々と連携し、シーレーン防衛等、グローバルな安全保障戦略を早急に構築すべきです。(文責・黒川白雲) 不誠実な野田首相の対話集会――野田首相はまず、国民の信を問え! 2012.04.09 野田首相は7日、社会保障・税一体改革に関する政府主催の「明日の安心」対話集会に初めて出席し、自ら消費税増税への理解を訴えました。 この対話集会は2月からスタートし、民主党の議員が、社会保障・税一体改革の必要性を訴えてまわり、今までに32府県をめぐりました。 会場に選ばれたのは兵庫県西宮市の甲南大学。若者を中心に現役世代が集まりました。首相は、集会前に「一体改革は若者の支持が低い。若者の理解が大切だ」とアドバイスを受けていたということです。 質問のトップバッターの19歳男性は「増税は仕方がない。高齢化で年金の負担が増えていくことは避けられない」と理解を示す質問でした。 首相は「今日よりも明日が良くなるという展望を持つためには一番の不安を取り除くことが前提。一番の不安は、社会保障の持続可能性だ」などと応じ、対話集会では、社会保障の説明にかなり多くの時間を割きました。 つまり、首相が強調したかったのは、「社会保障・税一体改革は、若者の将来の安心につながりますよ」ということです。 しかし、消費税増税によって、現行の日本の社会保障、特に年金制度を維持することは、もはや不可能と見られます。 東京財団上席研究員の原田泰氏の試算によれば、高齢者一人あたりの社会保障給付費を現状の水準で一定とし、名目GDPが生産年齢人口に連動して減少していくと仮定すれば、社会保障給付費の増加分を全て消費税で賄うなら、実に58.8%もの税率アップが必要と予測されています。 60%超の消費税率は誰がどう見ても非現実的です。「できない」ことを「できる」と言って、お金を集めるのは、無限連鎖講(ネズミ講)と同じ詐欺行為です。 野田首相が強調する「社会保障と税の一体改革」は絵空事と言わざるをえません。 また、野田首相は「未来世代にツケを回さない」と語っていますが、そもそも、これまでの政治家や官僚による予算管理や年金管理・年金予測の杜撰(ずさん)さによって窮状に至っているのであり、それを「増税」という形で「国民にツケをまわしてはならない」のは当然のことです。 増税しても税収が増えるとは限りません。税収増は、経済成長によってこそ可能になります。政治家は、若者に対して、経済成長、所得倍増、GDP2位奪還作戦、自助努力の精神など、もっと夢やビジョンを語り、若者が「夢を持てる国・日本」を目指すべきです。 「下山の思想」が流行る時代、もう一度、「坂の上の雲」を目指して、国のあるべき姿を次世代に示すのが政治家の責務です。 日本が高度経済成長を成し遂げた後、政治家も官僚も「国家の未来ビジョン」を持てず、目先の問題の解決に追われているのが現状です。 「現状維持」を前提とするのが官僚の発想であり、「現状打破」を行うのが政治家の発想です。野田首相の発想はせいぜい「官僚」レベルです。 そして野田首相は、のうのうと対話集会で「増税キャンペーン」を行う前に、2009年の衆院選で「消費税を上げない」と公約したのにもかかわらず、消費税増税法案を国会に提出したことについて、全国を「懺悔(ざんげ)キャンペーン」して回るべきです。 野田首相のような不誠実な大人の態度を若者は見ています。そして、国民は政治への不信感を募らせています。 消費税を増税をしたいなら、民主党政権は衆議院を解散し、正々堂々と「消費税増税」をマニフェストに掲げて選挙で戦い、「国民の信」を問うべきです。(文責・竜の口法子) 迫る北朝鮮ミサイル発射――北朝鮮の「核の刀狩り」を迫れ! 2012.04.08 韓国政府当局者は7日、北朝鮮が「人工衛星」打ち上げと称して発射を予告している長距離弾道ミサイルの1段目のブースター(噴射装置)が6日までに、北西部・平安北道にある東倉里(トンチャンリ)基地の発射台に設置されたことを確認しました。(4/7読売) 北朝鮮は12~16日の間を発射予告していますが、13日には、金正恩が最高指導ポストの国防委員長へ就任する最高人民会議があり、15日には金日成生誕100年の記念行事が予定されています。 以上の点から13日の「最高人民会議」と15日の「金日成生誕100年の記念行事」の間の14日、世界の報道陣を前にミサイルを発射、金正恩を北朝鮮の「将軍」として祭り上げる「祝砲」とするのではないかという見方もあります。(4/7 読売「北朝鮮ミサイル、14日発射有力」⇒http://goo.gl/apDrV) 北朝鮮の長距離弾道ミサイル試射は1998年にテポドン1号、2006年と09年にテポドン2号が行われました。そこから2つの教訓を見出すことが出来ます。 一つ目の教訓は、非常任理事国である日本が、国連で国際社会に北朝鮮に対する強い姿勢を訴えても、常任理事国である中国が北朝鮮をかばい、制裁決議を妨げて来た構図があります。 今回の場合も、日本の玄葉外務大臣は、中国で行われた日中韓三か国外相協議で、中国の楊潔チー外相に対し、中国が密接なパイプを持つ北朝鮮に、発射中止を働きかけるよう要請、「発射を中止させる」と強い言葉を引き出したとされます。(4/8 朝日⇒http://goo.gl/DNRcd) しかし、中国は北朝鮮を利用して日米韓を牽制しながらアジアの覇権を狙っているため、中国を通して北朝鮮のミサイルを封じることは事実上、不可能です。 国連を通して日本が北朝鮮のミサイル発射を封じ込める力を持つためには、日本は戦略的に「常任理事国入り」を目指す必要があります。 二つ目の教訓は、2006年7月、2009年4月の過去2回のミサイル発射後、数か月以内に「核実験」を行っているということです。 これは、ミサイルの性能と射程距離を誇示すると共に、「核弾頭」をいつでも搭載できる実力を持っていることを国際社会に知らせることが目的です。 ですから、ミサイル発射と核実験はセットで実行されることは間違いありません。既に、韓国情報当局者は8日、「北朝鮮が過去2回の核実験を実施した咸鏡北道・豊溪里で3回目の核実験を密かに準備している」ことを掴んだことを明らかにしています。 最近撮影した商業衛星映像を分析した結果、従来の二つの坑道以外に新しい坑道を掘削しており、工事が最終段階にあることが確認されています。(4/8 中央日報「北朝鮮で3回目核実験の動き=韓国情報当局」⇒http://goo.gl/4mq73) 北朝鮮のミサイル性能の向上と核弾頭の小型化成功が組み合わされば、「核武装国」としての脅威が増し、日本のみならず、アジアを不安定に陥れます。 こうした事態を受け、米韓両国は北朝鮮の内戦を想定して、韓国軍を直接北朝鮮内に10万人を投入する米韓軍合同演習(キー・リゾルブ)を2月末から3月初めに実施しました。(4/6 朝鮮日報「韓米両国、北の内戦を想定し初の訓練」⇒http://goo.gl/vWbZg) 米軍が関わって韓国軍の北朝鮮直接投入を想定した訓練は初めてのことです。 訓練は金正恩体制移行期の不安定化した情勢にあって内部の分裂と強硬派の抵抗を想定したもので、米韓軍としては、核開発にまで踏み出している北朝鮮をいかに管理するかを課題としています。(4/7 産経) これに抗する意志表示なのか、北朝鮮は3月29日、2発の地対艦ミサイルとみられるミサイルを西部沿岸地域から発射しました。これを見ても、北の3回目のミサイル発射、3度目の核実験の流れは避けられないものと考えられます。 日本外交の方向性としては、北朝鮮と裏で同盟関係にある中国にどんな働きかけをしたところで効果はなく、米韓と連携し、外交的・軍事的包囲網によって、北朝鮮の「核の刀狩り」を迫るべきです。 そのためには、日本は憲法9条改正、若しくは集団的自衛権の行使を認めるための憲法9条解釈の見直しが急務です。 日本は「国家の気概」を取り戻すか、それとも、座して国家の滅亡を待つのか、「最終の分岐点」に立っていると言えます。(文責・佐々木勝浩) すべてを表示する « Previous 1 … 227 228 229 230 231 … 253 Next »