Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 マスコミが報じないウクライナ戦争。ウ軍の反撃は成功するのか?【後編】 2023.06.11 https://youtu.be/t9CJXxydZHE 幸福実現党党首 釈量子 ◆一か月で1万機撃墜されたウクライナのドローン 前編で紹介したイギリスの英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のレポートの中で注目すべきは、ロシアの電子戦システム(EW:Electric Warfare)は圧倒的優位を保っており、ウクライナの無人機(UAV:unmanned aerial vehicles)、いわゆるドローンを徹底的に破壊している、ということです。 ロシアは、戦闘を行っている前線では10キロメートル毎に配備し、1か月に1万機に上るウクライナの無人機を撃墜しており、驚くべき数字です。 このようにロシアの電子戦はかなり強力で、ウクライナが前線を突破するには、こうした電子戦にも勝利しなくてはなりません。 ただ、ウクライナのドローン攻撃は、ロシア領内の、中枢部を狙い始めています。 5月3日、ロシア大統領府があるクレムリンが狙われたのに続き、5月30日、モスクワ市内へのドローン攻撃があり、モスクワ南西部の2つのアパートが被害を受けました。 攻撃には10機以上のドローンが使われ、ドローンはモスクワ郊外から飛ばされたなどという説もあります。 ◆ウクライナ軍の失地回復はあるのか 間もなくウクライナの反撃が始まると報道されていますが、そう簡単に失地回復がなされると考えるのは、希望的観測の域を出ないといえそうです。 実際、アメリカの政府機関から流出した極秘文書では、ウクライナの戦力が著しく不足しているので、反攻作戦は中途半端でささやかな領土しか回復できないのではないかと疑っており、バイデン政権の公式見解とはだいぶ違っています。 例えば、元陸軍大佐で、元国防総省顧問だったマクレガー氏は保守系メディアの寄稿文の中でバフムトの戦いについて、次のように語っています。 「ゼレンスキー大統領はバフムトの戦いをロシア軍への抵抗を示す象徴的な戦いとして重要視していたが、ロシアはウクライナの戦力を削ぐための機会として利用した」 実際にバフムトの戦いでは、ウクライナの反撃が成功したとの報道が数多くありましたが、ウクライナ軍の戦死者は5万人に上ったと言われています。 日本のマスコミ報道は、ゼレンスキー大統領の言葉通りに「武器さえ支援すれば、ウクライナが勝利する」という楽観的なメッセージばかりを発信しています。 しかし、戦線は膠着しており、双方の犠牲者が増えるばかりです。 プーチン大統領としては、兄弟国であり、ロシア正教の聖地でもあるウクライナに核を落とそうとは思っていないと思います。 しかし、今後、欧米がウクライナを引き続き強力に支援し、ロシアの心臓部を狙ったり、クリミアなどのロシアにとって死活的に重要な地域を奪還すれば、「核兵器」の引き金を引かねないことを、多くの専門家が懸念しています。 ◆日本はウクライナ戦争の仲介役を! 大川隆法総裁は、戦争が始まった直後に「中立化しか解決はない」と、世界に先駆けて断言し、巨大な霊能力で、各国の指導者の潜在意識にアクセスし、その本心を読み取っています。 『ウクライナ発世界経済とアジアの危機』の「あとがき」で、次のように述べています。 「ゼレンスキー氏は、究極の事態を予想せず、『撤退戦』を知らない。政治家の資質をどうはかるかは難しいが、国を亡ぼす大統領は最悪である。」 本来、戦争の調停役を果たすべき米国のバイデン大統領はロシア憎しで、ウクライナで代理戦争を行っていることが、世界にとっても大きな問題です。 アメリカは米大統領次第では、アフガニスタンのように、最終的にウクライナ支援を打ち切る可能性もあります。 こうしている間に、中国問題は置き去りにされ、北朝鮮もミサイルを連射するなど、中国、ロシア、北朝鮮の核保有国に囲まれた日本の安全保障環境は、危うい状況になっています。 こうした状況のなか、本来であれば、NATOに入っていない「日本」が、ウクライナとロシアの仲介役を担うべきではないでしょうか。 一日も早い停戦と、平和の実現を願いたいと思います。 マスコミが報じないウクライナ戦争。ウ軍の反撃は成功するのか?【前編】 2023.06.10 https://youtu.be/t9CJXxydZHE 幸福実現党党首 釈量子 ◆マスコミが報じないウクライナ戦争 ウクライナ戦争が始まってから1年3ヵ月が経ちました。 日本のマスコミ報道を見ると、「西側諸国がウクライナの支援をしっかり行えば、ロシアへの反撃は成功し、ロシアの支配地域を今度こそ奪還できる」という内容がほとんどかと思います。 両軍が重要視していた、東部バフムトの戦いでも、「ウクライナがロシアの支配地域を一部奪還」という報道が繰り返し行われました。 結局どうなったかと言えば、広島サミットの最中に陥落し、今はロシアがバフムトの全域を支配しています。 戦争は情報戦の面もあるので、日本はウクライナ側に立っているから仕方がないという意見もあるかもしれません。 しかし一方的な偏向報道ばかりというのは、問題です。戦況の見通し次第で、国の立ち位置や停戦のあり方も変わってくると思うからです。 そこで、今回はウクライナ戦争に関して、報道とは違った見方を紹介したいと思います。 ◆ウクライナの砲弾不足 今年2月17日、CNNで、「ウクライナは米国やNATOの製造能力以上に砲弾を使い果たしている」という衝撃の内容が報道されました。 「ウクライナは米国やNATOの製造能力以上に弾薬を使い果たしている」(CNN) https://edition.cnn.com/2023/02/17/politics/us-weapons-factories-ukraine-ammunition/index.html 同報道では、「アメリカ・ペンシルバニア州のスクラントンにある兵器工場を取り上げ、一か月に11000発の砲弾を製造しているが、ウクライナはわずか2日か3日で使い果たしてしまう」と紹介しています。 兵器があっても弾が無ければ使えません。「ウクライナの弾薬不足がボトルネックだ」ということは、4月上旬にリークされ、米軍および情報機関の極秘文書でも裏付けられました。 文書には、ウクライナの防空ミサイルが不足しているので、ロシアが制空権を獲得する可能性があると書かれていました。 ウクライナは、ソ連時代のS-300とBuk air defenseの防空ミサイルを主に使用しています。 このミサイルの在庫が5月までに完全に無くなると予測されたほどであり、アメリカがパトリオットを送るなどして、何とか防空体制を維持しているのではないか、と考えられます。 ゼレンスキー大統領はウクライナの制空権を守るためにF16戦闘機がほしい、弾薬が足りないと繰り返し訴えていました。 こうした事実が明らかになってみると、日本のマスコミ報道では、ロシアが制裁を受けて間もなく弾薬が不足すると言い続けていたのは本当だったのだろうかと思います。 ロシアは、ウクライナの重要インフラなどへのドローンやミサイル攻撃を強化することで、ウクライナの迎撃用ミサイルを消耗させて、実質的に、ウクライナの防空能力を無力化している可能性が高いです。 ◆壮絶な戦場 日本ではウクライナがロシアにドローン攻撃をしかけたことしか報道されません。 5月19日、イギリスの英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)というシンクタンクの軍事専門家が、ロシアの軍事作戦に関するレポートを発表しました。 Meatgrinder:Russian Tactics in the Second Year of its Invasion of Ukraine 標題のMeatgrinderとはソーセージやハムを作るときに使う「肉挽き器」のことです。 ワグネルの創設者プリゴジン氏は、ウクライナ東部のバフムトで、ワグネル部隊の約2万人が戦死したと明かし、一方、ウクライナの戦死者は5万人と話しました。 どこまで正確かはわかりませんが、「肉挽き機」とはこうした壮絶な状況を表した表現だと思います。 (後編につづく) Jアラート発令、北海道にミサイル着弾の恐れ?ウクライナ戦争の裏で進化する北朝鮮の核戦力【後編】 2023.05.25 https://youtu.be/7ytEDTasZ0g 幸福実現党党首 釈量子 ◆韓国30年ぶりの保守・尹政権の変化 ここで、38度線で対峙している韓国を見てみましょう。 韓国は、30年ぶりの保守政権に復帰しました。尹大統領は米軍との関係強化や、日韓関係の改善を掲げています。 尹大統領は「中国の脅威」も認識し、脱中国を掲げて実際に行動している点、日本もその変化を歓迎すべきだと思います。 国家存亡の危機にある韓国では、1月の世論調査では、「独自の核開発が必要だ」と考える国民が76.6%いました。「核拡散防止条約(NPT)脱退も覚悟すべき」という議論も出てきています。 悩ましいのは、先日のSNSの機密情報流出事件で、アメリカのCIAが、同盟国である韓国政府の通信を傍受していたことが判明していたことで、内容も、「アメリカからウクライナに砲弾を提供するよう圧力があった」という話が暴露されました。 韓国には「戦争当事国には武器を供与しない」という政府方針があり、なんといっても北朝鮮とロシアはつながっているので、弾薬を提供すると北朝鮮を刺激しかねません。 尹大統領は、ロイターのインタビューで「民間人に対する大規模な攻撃や国際社会が到底看過できない大量虐殺などが発生した際は、人道主義や財政支援だけにこだわることが難しくなる」と述べ、軍事支援を検討する考えを示しました。 尹政権は、来年4月の「総選挙」で過半数を握るまでは、極めて不安定です。司法やメディアも左派が握っている上に、国内は「赤化」を狙うスパイの巣窟でもあります。 どの国も、国家存続の危機を前に変わらなくてはいけないという苦渋が滲みます。 ◆日本は変われるのか そうした中、一番、変化できないのが日本です。 日本政府は北ミサイルの発射のたびに、「直ちに米国および韓国と緊密な連携を確認し、北京の「大使館」ルートを通じて北朝鮮に厳重な抗議を行い、強く非難」することを繰り返しています。 ウクライナを直視すれば、完全に「代理戦争」の戦場です。国土は破壊され、イギリス軍がウクライナに提供を明らかにしたのは「劣化ウラン弾」です。 国土防衛に「劣化ウラン弾」を使う国などありません。これがゼレンスキー大統領を選択したウクライナの現実です。ウクライナには勝てる見込みがないのは誰もが知っています。 希望はないことはありません。北朝鮮をみごとに押さえた「トランプ大統領再選」なら、第三次世界大戦を起こさせない可能性が出てきます。ただ、バイデン政権からのあからさまな妨害にあって、厳しい状況です。 アメリカの連邦議会では、バイデン一家が中国から金銭を受け取った銀行口座まで明らかにしたにもかかわらず、逆にトランプ氏が起訴され、「司法」を使って政治的迫害を行っているバイデン政権によって、アメリカの信用は地に堕ちています。 アメリカの「核の傘」を信頼できるか分からない以上、「自分の国を自分で守る」ために、国家の自助努力で出来ることをすべきです。 幸福実現党は、日本は「核装備」を検討すべきと訴えてきましたし、憲法9条改正を急ぎ、自衛隊を「国防軍」にすべきです。 そして外交においては、「自由・民主・信仰」という普遍的価値観で手をつなぎ、中国共産党を包囲すべきと訴えてきました。 韓国とも、「反日教育」など、溝は想像以上に深いのですが、日本としてディベートすべき課題を明らかにすべきです。 ただ、根本的な問題解決は、民族的な限界を超えた、普遍的な宗教的価値観なのではないかと思います。日本神道の鳥居を見ると非常に嫌悪感をもよおすというような国もありました。 こうした民族的な教えの限界を超えて、普遍的な価値観や、正義の観念で手をつないでいくことが必要だろうと思います。 韓流ドラマなどでも、霊界描写も豊富で、仏教的な三途の川が出てきたり、転生輪廻が描かれたりします。 人間はともに仏の子の兄弟であって、過去、自分は日本に生まれたこともあれば韓半島に生まれていたかもしれないと考えると、民族主義の枠を超えあられます。 「自由、民主、信仰」といった普遍的価値観を持つ国で手を握れば、インドやロシアも含めて、北朝鮮や中国を包囲できるのです。 「第三次世界大戦」などの危機は、「憎しみを捨てて、愛を取る」心の力が、地球平和の鍵だと確信しています。 Jアラート発令、北海道にミサイル着弾の恐れ?ウクライナ戦争の裏で進化する北朝鮮の核戦力【前編】 2023.05.24 https://youtu.be/7ytEDTasZ0g 幸福実現党党首 釈量子 ◆進歩を続けた北朝鮮の核戦力のいま ウクライナの戦火が飛び火して、「世界大戦」に繋がりそうな危険地帯が浮き彫りになってきました。中東、台湾、そして朝鮮半島です。 北朝鮮がいつ韓国に雪崩れ込むか、また日本にミサイルが落ちるか分からない状況です。 特に4月13日に北朝鮮から発射された新型の固体燃料式ICBM「火星18号」は、「Jアラート」が発令され、北海道南西部への落下が予測されたことも分かりました。 陸地への落下が予想されたのは初めてのことで、函館や札幌の空が赤く染まっていた可能性もあります。 ただ、日本の政治家でも危機感はなく、ある野党幹部は「NHKの朝ドラが飛んでしまった」というような発言をなされていて、何が危険か分からないようです。 ◆北朝鮮のミサイル発射の意図 北朝鮮の軍事的な動きを見ると、「何がしたいのか」がけっこう正直に見えてきます。今年に入ってから北朝鮮が発射したミサイルは以下です。 1月1日 超大型ロケット砲(短距離弾道ミサイル)1発を発射 2月18日 「火星15型」1発を発射 2月20日 超大型ロケット砲(SRBM)2発 2月23日 戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)2型」4発を発射と主張(翌日発表) 3月9日 短距離弾道ミサイル6発(火力襲撃訓練) 3月12日 潜水艦から戦略巡航ミサイル2発を発射(翌日発表) 3月14日 短距離弾道弾2発を発射(地対地戦術ミサイル) 3月16日 「火星17型」1発を発射 北では最大。射程は1万5000キロ超。 3月19日 短距離弾道ミサイル1発を発射。変則的軌道の可能性 3月21日 中距離弾道ミサイル 射程800キロ 3月22日 戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)2型」4発を日本海に向けて発射 3月21~23日 新型兵器「核無人水中攻撃艇ヘイル(津波)1」実験 日本海で実施 3月25~27日 〃再実施 3月27日 弾道ミサイル2発を発射 4月13日 「火星18型」1発を発射 初の固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル 今年は、正月から北朝鮮は勤勉なことにロケット砲の発射から始まり、「韓国全土」が射程に入っていることをアピールしています。 そして 3月16日の「火星17号」は、韓国の尹大統領が来日した当日に発射されました。射程は1万5000キロで、アメリカの心臓部である東海岸を狙えます。 「火星17号」の実戦配備には、大気圏への再突入技術を獲得する必要があるとされます。それができなくても、大気圏外で炸裂させるEMP(電磁パルス)攻撃で、電子機器がすべて使えなくなり社会機能は停止します。 アメリカが北朝鮮にEMP攻撃されたら、どうなるのでしょうか。 2021年6月に元CIAの核専門家ピーター・プライ博士が発表した報告書(※)がアメリカ議会の諮問機関でまとめられました。 (※)「北朝鮮: EMPの脅威 北朝鮮のEMP攻撃能力」North Korea: EMP Threat – North Korea’s Capabilities for Electromagnetic Pulse (EMP) Attack | EMP Shield) 「EMP攻撃でアメリカ国民3億2200万人が利用する通信インフラが破壊され、航空管制のシステムも被害を受け、航空機は次々に墜落、最大で50万人の乗客が死亡する可能性があるということです。 核爆発によって放射性物質が飛散し、農業、食糧供給が壊滅的な打撃を受け、国民の9割が1年以内に死亡する」と、警鐘が鳴らされました。 ◆進歩する北朝鮮の核戦力 4月13日に発射した「火星18号」は液体燃料式ではなく固形燃料式で、「秘匿性」が高まっています。いつ、どこで発射されるのか分からなくなり、迎撃はさらに困難です。 ミサイルという運搬手段だけでなく、搭載する「核」の開発も着実に進めています。 金正恩委員長は3月27日に核施設を視察し、「威力ある核兵器の生産に拍車をかけよ」と檄を飛ばしました。この時の報道写真では、直径約50センチの小型核弾頭「火山31」が見られます。 北朝鮮は「戦術核」に力を入れており、日本など周辺国において実戦で使うことを念頭に小型核の開発が進んでいます。「Jアラートも鳴らない」うちに、日本に落とされる可能性が高くなります。 他にも放射能津波を起こす「核攻撃型水中ドローン」の実験に成功したと主張しています。 また、4月18日に、金正恩委員長が「国家宇宙開発局」を現地指導し、「軍事偵察衛星1号機の打ち上げを指示」したことも報じられ、ミサイルの精度は飛躍的に上がります。 もっとも、1月には、マッハ5以上の速度で飛行する「極超音速ミサイル」の実験もしています。こうなると迎撃は、無理です。 日本が手をこまねいている間に、北朝鮮の脅威は増大しました。 (後編につづく) 神の正義なき「法の支配」では、国際秩序は作れない 2023.05.22 https://info.hr-party.jp/2023/13328/ 幸福実現党政務調査会 ニュースレター ◆G7によるウクライナ支援の継続で「戦争のさらなる長期化」が必至に ロシアーウクライナ戦争の最中、ゼレンスキー大統領は電撃的に訪日してサミットに出席し、ウクライナへの支援の継続と強化を訴えました。 それに対し、G7は「ウクライナに外交、財政、人道、軍事支援を必要な限り提供する」ことで一致しました。 首脳声明では、NATOの東方不拡大の約束を反故にされたロシアの立場を考慮せず、ウクライナ支援を表明すると共に、ロシアを侵略国家と断罪しています。 このように、戦争当事国の一方に肩入れする限り、戦争は一向に終わることはありません。 G7の外交姿勢がロシアと中国の接近を促し、「国際協調」はおろか、世界の「分断」を招いているのです。 そもそも、米国がデフォルト危機に陥っていることをはじめ、各国の財政状況を見ても、ウクライナ支援を行うことは「持続可能」ではありません。 広島が平和の地であるならば、本来、今回のサミットでは、ウクライナに対し過度に肩入れする外交方針を改めるべきであり、また、紛争をいかに一刻も早く停戦に向かわせるかについて議論すべきだったのではないでしょうか。 ◆「核使用の危機」を乗り越えるために 19日には、サミットでは初となる核軍縮に特化した文書として、「広島ビジョン」が発出されました。 「核兵器のない世界」を「究極の目標」と位置付けつつ、中国などが核戦力を増強していることを念頭において、現実性にも配慮した内容となっています。 しかし、被爆国・日本に対して、中国や北朝鮮が核兵器で威嚇しているという現実を直視すべきであり、今求められるのは、「核兵器のない世界」に向けた「核軍縮」ではなく、「核兵器を使わせない世界」に向けた議論です。 広島・長崎の惨劇を防ぐには、核不拡散や核兵器の透明性を高めることを各国に呼びかけるだけでは不十分であり、核抑止力強化は避けて通ることはできません。 今後、日本として自由・民主・信仰の価値観を共有する核保有国との連携を強化するとともに、独自の核装備の可能性を念頭におきながら、核の抑止体制のあり方を、国際社会に提起していくべきです。 ◆唯物論・無神論国家である中国を抑止するために 今回のサミットでは、覇権拡大を進める中国を抑止するとの方向が示されたものの、サミット直前にフランス・マクロン大統領が「G7を『反中G7』にすべきではない」と述べるなど、対中抑止について各国で足並みが揃っていないことは明らかです。 秒読み段階となっている中国による台湾侵攻についても、「台湾海峡の平和と安定」を目指すことで一致したというだけで、具体的な手立てが講じられる道筋が立ったとは言えず、不安が残る形となっています。 米国をはじめG7の相対的な地位が低下する中で、中国は、グローバルサウスと呼ばれる新興国に対し、経済的利益を盾に関係強化を図る動きを見せています。 日本は今後、国際的なリーダーシップを発揮して戦略的外交を展開し、自由・民主・信仰の価値観を押し広げなければなりません。 尚、共同声明では、中国が自国にとって、不利となる外交姿勢をとった国に対して、重要物資の供給を止めたり、不買運動を行ったりして圧力をかける「経済的威圧」に対し、「抑止し、対抗する」との方針が示されました。 日本としても今後、各国との協力関係と自給体制を構築して、経済の中国依存からの脱却を急ぐべきです。 ◆「脱炭素」は西側先進国を没落させる 気候変動、エネルギーに関するセッションでは、2050年の脱炭素社会の実現に向けて取り組みを加速させることで一致し、首脳声明では、温室効果ガスの削減対策がとられていない化石燃料を段階的に廃止することが盛り込まれるなどしました。 脱炭素社会の到来に向けて先進国が一層の環境規制を行えば、経済成長を大きく阻害させ、G7の経済的な地位が今後、一層低下することは避けられません。 また、先進国が軒並み行っている脱炭素への大規模投資は、太陽光発電設備やEV車の原材料の供給などで優位性をもつ中国に経済的利益が流れることになってしまいます。 そもそも、CO2が温暖化や気候変動に影響を与えるという説はフェイクに過ぎないと私たちは考えています。 先進国の繁栄を守るためには、脱炭素に関する取り組みを根本的に見直すべきです。 ◆信仰ある国で結束を 今回の首脳声明では、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化」が掲げられました。 しかし、その「法」に神の正義が根底になければ、形式上「法の支配」を掲げている中国の覇権拡大を押しとどめることはできないはずです。 やはり、大切なのは、キリスト教、イスラム教を問わず信仰があることであり、今回のサミットでは、信仰ある国で結束を強めていくという方向を確認し合うべきではなかったでしょうか。 幸福実現党政調会は、唯物論・無神論国家である中国を抑止するべく、神の正義に基づいた政治が展開されるよう、今後も政策発信に邁進していく所存です。 G7サミット 欧米の「法の支配」の限界――「自由・民主・信仰」による団結を 2023.05.11 http://hrp-newsfile.jp/2023/4432/ 幸福実現党政務調査会・外交部会 久村晃司 ◆「法の支配」を掲げるG7サミット 日本が議長国を務める広島G7サミット開催まで残り一週間となりました。岸田文雄首相はサミットの達成目標の一つとして「法の支配に基づく国際秩序を守り抜くというG7の決意を力強く示す」ことを掲げています。 ウクライナ電撃訪問を受けて「ロシアの侵略は暴挙だと痛感」した首相の強い思いが表れています。 「法の支配(rule of law)」とは「全ての権力に対する法の優越を認める考え方」であり、権力者が法を無視して自分勝手な政治を行う「人の支配」の対義語とされます。 日本政府は「法の支配の強化」を外交政策の柱の一つに据え、「国際法に基づく国家間の紛争の平和的解決」に力を入れているとしています(※外務省HP)。 しかし、この「法の支配」という考え方だけで、ロシア‐ウクライナ戦争に終止符を打ち、「国際秩序」を守ることは極めて難しいでしょう。 ◆国際社会の分断が浮き彫りになった討論会 今年1月、国連安全保障理事会において「法の支配」をテーマに公開討論会が行われました。テーマは議長国を務める日本が選定し、77カ国等が参加しました。 冒頭、グテレス国連事務総長は、ロシアを念頭に「力によって他国の領土を併合することは国連憲章や国際法の違反である」と指摘しました。 これに対しロシアのネベンジャ国連大使は、「西側が作り出したルールに基づく秩序には同意できない」と真っ向から反論しました。同じく中国も欧米への批判を展開しています。 また、中東やアフリカ諸国には中立的な意見が目立ちました。 例えばアラブ首長国連邦は「基本原則の尊重は、最強国の利益に関わるときにのみ守られるものであってはならない」と釘を刺しています。 討論会を主催した林外相は「法の支配の下に今一度結集しよう」と参加国に呼びかけましたが、かえって国際社会の分断が際立つ結果となってしまいました。 ◆欧米の「国際法違反」の実態 「法の支配」と言えば、一見、すべての国が無条件に受け入れそうなものです。しかし、その考えに反発する国は少なくないのが実態です。 特にロシアは、「欧米こそ国際法に違反する行為を繰り返してきた」と度々強調してきました。 その代表的な事例は「イラク戦争」です。アメリカとイギリスは2003年3月20日、国連安保理の決議を得ることなくイラクの首都バクダッドを空爆、戦争を開始しました。 米ブッシュ(子)政権は「イラクに大量破壊兵器が存在する」と主張していましたが、大量破壊兵器は見つかりませんでした。 イラク戦争については国際的な非難の声が多数上がり、国連アナン事務総長(当時)も、イラク戦争は「国連憲章に違反する」と指摘しています。 なお、戦争開始から最初の一年間で、イラク民間人の死者数は最大1万人超と推計されました(※英米の非政府組織「イラク・ボディーカウント」)。 これはロシア‐ウクライナ戦争における、一年間のウクライナ民間人の死者数約8,000人(※国連人権高等弁務官事務所)を上回ります。 NATO軍による「コソボ空爆」も、欧米諸国による国際法違反、あるいは国連憲章違反と指摘される事例の一つです。 セルビア共和国内のコソボ自治州においてアルバニア系住民が独立を求め、1991年、セルビア当局との紛争が始まりました。 セルビア側によるアルバニア系住民への虐殺行為があったとして、NATO軍は1999年3月24日、国連安保理の承認を得ないままコソボ空爆に踏み切りました。 78日間続いた空爆は回数にして1万回を超え、1,000人以上の民間人死者を出しましたが、当時のクリントン米大統領は「人道的介入」として正当化しています。 その後、2008年にはコソボ自治州が独立を宣言し、西側だけが国家承認を行いました。ロシアによる「特殊軍事作戦」は、このNATOによるコソボ空爆を模倣したものであるとの指摘もあります。 さらにさかのぼれば、先の大戦のアメリカによる広島と長崎への原爆投下や、民間人への無差別爆撃も明らかな「国際法違反」です。 しかし、いまだに日本は、アメリカからの正式な「謝罪」を受けていません。 ◆不公平な「法の支配」の限界 ロシアは今回、ウクライナへの攻撃に踏み切った理由として「ウクライナ東部のロシア系住民を保護するため」と説明していますが、これは一定の正当性がある主張です。 (※言論チャンネル参照 https://www.youtube.com/watch?v=zT1hgibFWr4) 欧米諸国は自分たちの行為を棚に上げてロシアを非難し、「力による一方的な現状変更であり、悪である」と一蹴する傾向がありますが、それこそあまりにも一方的な見方です。 プーチン大統領は「我々はいつも、『西側は法に基づく秩序を守っている』と聞かされてきたが、全くのナンセンス、完全な騙しだ」「西側が何に基づいて決定して、そもそも誰がそうする権利を与えたのか、はっきりしない」(※2022年9月30日プーチンのスピーチ)と、西側諸国への不満をあらわにしています。 大川隆法党総裁は、歴史の法則として、「最強国、要するに、戦争をして勝ちつづける国の法律が、結局は国際法になるのです」(『この戦争をどうみるか』)と指摘しています。 これまではアメリカの国内法が国際法として「通用」してきたかもしれません。 しかし時代は変化しつつあり、アメリカの衰退やBRICs諸国の台頭もあって、プーチン大統領は、世界は「多極化」しつつあると指摘しているのです。 そうしたなかで、日本が相変わらず「法の支配」という名の「欧米の支配」を呼び掛けても、「国際秩序」を守り抜くことはできないでしょう。 ◆分断ではなく「融和と停戦」を では来る広島サミットにおいて、議長国である日本は何を訴えるべきでしょうか。それは、一日も早いロシア‐ウクライナ戦争の「停戦」です。 折しも、アメリカ国防総省ペンタゴンの機密文書流出事件によって、欧米諸国の支援にかかわらず、ウクライナ有利が「嘘」であったことが明らかになりつつあります。 そして、アメリカ国民からは終わりの見えない戦争の停戦を求める声も高まっています。 そろそろ、バイデン大統領の掲げる「民主主義国家」対「専制国家」の対立軸では、世界大戦まっしぐらであることをG7は認識すべきでしょう。 中国の習近平主席はプーチン大統領ともゼレンスキー大統領の両者とそれぞれ会談し、停戦の仲介役として動き始めています。 このままでは中国のような覇権主義国が反欧米国をまとめあげるリーダー国家ともなりかねず、非常に危険です。 ◆「法」の根源にあるもの 「民主主義国家」対「専制国家」の考えに代わるものとして、大川隆法党総裁は「神仏を信じる国家」対「神仏を信じない国家」の対立による、中国・北朝鮮の封じ込めを提唱しています。 ロシアとウクライナは、ロシア正教とウクライナ正教といった違いはあるものの、ともに神を信じている「信仰のある国」です。 特にプーチン政権以降のロシアは、ロシア正教を国の柱に据えた信仰国家であり、かつてのソ連のように数多くの人々を弾圧してきた無神論・唯物論国家ではありません。 冷戦時代の考え方でロシアを封じ込めることは、多くの人々の幸福に適っているとは言えないのです。 他方、中国や北朝鮮ではトップが神に成り代わり、法律をつくっていますが、その結果、罪のない多くの人々が「合法的」に弾圧され、この世の地獄が現れています。 そもそも、「法の支配」の「法」の根源には神仏の存在があります。大川隆法党総裁は『法哲学入門』の「まえがき」で以下のように述べています。 「はっきり言えば、人間の創った法が、神の法や仏の法を超えてはならないのだ。神仏の法を根源としつつ、変動していく社会に適した実定法が定められていくべきだと思う。国民のその時代の『空気』が、必ずしも神意や仏意でもないことを深く肝に銘ずるべきであろう。」 神仏を信じる心を基にした政治が行われてこそ、普遍的な価値に通じる「法」を定めることができます。 「法の支配」が優れたものとみなされてきたのは、どのような時代や地域でも変わらない神仏の願いと一致する「法」が定められるという前提があるからです。 反対に、神仏の存在を忘れると、善悪の判断もなくなり、メディアの作り出す「空気」に流された政治に堕してしまいます。 それはまさに、西側のプロパガンダを横流ししているだけの、現在の日本外交の姿でもあります。 今こそ日本は、「自由・民主・信仰」を政治の基本原則とし、ロシア‐ウクライナ戦争の仲裁国になりうる数少ない国として、正義ある平和をつくる道を選ぶべきです。 中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介。世界大戦の構図が鮮明に。【後編】 2023.03.29 https://youtu.be/n5r0Yfd8nG4 ◆バイデン外交で「世界大戦の構図」に イランの核開発は秒読み段階に入っています。イランは「核兵器を作る意思はなく、核の平和利用だ」と主張してきました。 たとえば原子力発電所に必要な濃縮度は3~5%です。イランが米英仏独中ロと2015年の合意した濃縮度は3・67%でした。 それが今年2月、国際原子力機関は濃縮度84%の高濃縮ウランが発見されたと報告しました。平和利用どころか、核兵器製造に必要な濃縮度90%まであと僅かです。 イスラエルは、イランの核開発成功を黙って見過ごすことはありません。これまでも、イランで核科学者らが暗殺されるたび、イスラエルの関与が報じられてきました。 核施設への破壊工作も行っています。核開発完了前にイランを攻撃する可能性は濃厚です。そうなれば、中東を発火点として世界大戦が勃発する可能性も出てきます。 バイデン米大統領は外交方針として「民主主義VS権威主義」の対立軸を打ち出しましたが、完全に裏目に出ています。 危機が迫る中、幸福実現党の大川隆法総裁は、世界の趨勢を決めるのは「インド」だと指摘してきました。 現在、インドは中立の立場を堅持していますが、中国寄りも人口は多く、仏教も生んだ宗教大国です。歴史的に日本のつながりは深いので、インドを味方に引き入れる役割を、積極的に果たすべきです。 ◆共産主義と戦うことは正義 米国共和党を中心にウクライナ戦争を終わらせようとする動きが出てきたことは注目されます。近い将来、バイデン外交が修正される可能性もあります。 トランプ前大統領は「大統領に返り咲いたら真っ先にウクライナ支援を停止する。私は第3次世界大戦を簡単に阻止できる唯一の候補だ」と語っています。 また次期米大統領選の有力候補とされるフロリダ州のデサンティス知事も「ウクライナ戦争は領土紛争であり、重大な国益ではない」と述べています。 さらに、米国下院では超党派で「中国特別委員会」を設置し、米国にとっての真の脅威を明らかにしようとしています。 中国問題に取り組んできたマクマスター元大統領補佐官などが、習近平主席の主張を根拠に、「マルクス主義を思想的根拠として西側と戦おうとしている」ことを説得する熱の入った映像を議会で上映しました。(※) (※)「中国問題委員会で使用された映像」 https://www.c-span.org/video/?526319-1/national-security-adviser-mcmaster-testifies-select-committee-china 19世紀のマルクスの共産主義が世界中に多大な犠牲を出したのは歴史的事実です。ソ連で2000万人、中国で6500万人、北朝鮮で200万人など、想像を絶する犠牲者が生まれました。 このマルクスを信奉し、共産主義を国是とする中国共産党の脅威を知らせることは、国防を論じるうえでも大事なことです。 ◆日本の使命 日本は、唯物論国家による文明実験で人類は150年以上、苦しみ続けてきた現実を直視しなくてはなりません。 唯物論を基本思想とする中国は、ウイグルやチベットに対する弾圧も行っています。中国国内でも苛烈な信教の自由への弾圧を行っています。 日本はアジアの大国として、「信教の自由」を守る砦とならねばなりません。「自由・民主・信仰」の普遍的価値観で中国を封じ込め、世界大戦を阻止するために力を尽くすべきです。 中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介。世界大戦の構図が鮮明に。【前編】 2023.03.28 https://youtu.be/n5r0Yfd8nG4 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介 イランとサウジアラビアが7年ぶりに外交関係の正常化で合意しました。 両国とも経済は原油や天然ガスに頼っています。イランとサウジアラビアは宗教上の対立があり、イランはイスラム教のシーア派、サウジアラビアはスンニ派です。非常に複雑な歴史を持っています。 ここ10年くらいのイランとサウジアラビアの対立の経緯を振り返って見たいと思います。主に、二点あります。 一点目は、イエメンの内戦に関わる対立です。 イエメンは、サウジアラビアの南側の国境に面している国で、スンニ派と、シーア派系武装勢力である「フーシ派」の対立がありました。 2015年、スンニ派の大統領に対して、イランが支援するフーシ派の反乱軍が首都を掌握してクーデターに成功しました。 しかしそこに、サウジアラビアが、スンニ派のイエメン政府を守るために、他のアラブ諸国とともに軍事介入しました。 つまり、イエメンの内戦が、サウジアラビアとイランの代理戦争へと発展したのです。ほかにもレバノンやシリアといった国でも、イランとサウジの代理戦争が繰り広げられてきました。 二点目は、サウジアラビア国内のシーア派に対する弾圧です。サウジアラビアのシーア派は、人口で見ると2割~4割を占めると言われています。 イエメンのクーデター騒ぎもあって、サウジアラビアで、シーア派による政治改革を求めるデモが行われたのですが、政権は、参加した47名を処刑しました。 その中には著名なイスラム教シーア派の聖職者(ニムル・バキル・アル・ニムル師)も含まれていました。 これにより、イラン国民も怒って、イランにあるサウジアラビア大使館や領事館へのデモが巻き起こり、結果、2016年1月にサウジアラビアはイランとの外交関係を絶ちました。 その後、サウジアラビアとイランの関係はどんどん悪化しました。 イエメンのフーシ派は、2017年ころからミサイルやドローンを使い、サウジアラビアの首都リヤドや、サウジ国営石油会社であるサウジアラムコの石油施設などを攻撃しています。 ◆中国がつくる「新たな世界秩序」 中国の仲介で、険悪なイランとサウジの両国の関係が7年ぶりに正常化で合意し、「ウォールストリート・ジャーナル」によると、イランはイエメンのフーシ派への武器提供を停止すると発表しています。 米国が湾岸地域から撤退していく状況のなか、中国が力の空白を埋める形で中東での影響力を増大させています。 その中国は、一帯一路構想を掲げ、中央アジア、南アジア、アフリカ、ヨーロッパへと、政治的、経済的な影響力を広げると同時に、台湾や南シナ海、インド国境付近でも軍事的な圧力を強めてきました。 しかし、中国は新たな動きとして、大国として、米国に代わって紛争当事国の「仲介役」を担おうとしています。 2月にもウクライナ戦争の停戦案を発表しましたが、中国は老獪さを見せています。 アメリカに代わる大国としての存在感を見せつつ、「新たな世界秩序」をつりだそうとする動きは、警戒すべきです。 (つづく) 朝鮮戦争へのカウントダウン。北朝鮮のミサイル連射とバイデン外交の失敗。【後編】 2023.01.08 https://youtu.be/1Ux5UXNKfvM 幸福実現党党首 釈量子 ◆バイデン外交の失敗 なぜ北朝鮮のミサイルが止まらないのか?大きな要因は、バイデン大統領の外交政策にあります。 バイデン大統領は、「民主主義VS権威主義」の対立構図をつくる二極化政策を採っています。この外交政策は北朝鮮にとって有利に働いています。 例えば、2022年5月、北朝鮮の度重なるミサイル発射に対して国連安保理が非難決議を行おうとしましたが、常任理事国の中国とロシアが拒否権を行使し、否決されました。 11月にも国連安保理が北朝鮮への非難決議を行おうとしましたが、中国とロシアが北朝鮮を擁護し、非常任理事国による共同声明に止まってしまいました。 国連安保理が機能不全に陥る中、北朝鮮はやりたい放題できるわけです。 また、バイデン大統領は核兵器を保有するロシアとは直接対決を行わないようにしています。 北朝鮮は核兵器を持たなかったイラクのフセインやリビアのカダフィが政権を追われて殺害されたのを見て核保有国になることを目指してきました。 金正恩総書記はウクライナ戦争を見て、核を保有することの重要性を改めて認識し、核・ミサイル開発を強化しているのです。 バイデン政権のもとで世界が二極化し、ウクライナ戦争の終わりも見えず、北朝鮮のミサイル連射を続けるならば、朝鮮半島有事が日本有事になる可能性があります。 ◆韓国と日本が戦場に? 1950年6月に始まった朝鮮戦争では米国が主導する国連軍が組織され、日本は重要な出撃拠点になりました。 朝鮮戦争は休戦協定を結んでいるだけで、戦争はまだ終わっていないため、現在でも朝鮮戦争のための国連軍基地が日本に存在します。 朝鮮半島が有事になれば、北朝鮮の第一攻撃目標が韓国だとしても、これらの在日米軍基地が北朝鮮の攻撃対象になるのは間違いありません。 日本や韓国にとって最悪のシナリオは、ウクライナ戦争のように、朝鮮半島で同様のことが起きれば、韓国や日本はウクライナと同じく戦場と化します。 韓国や日本は米国と同盟関係にあるから大丈夫だと思いたいところですが、バイデン政権のもとでは安心できません。 ◆三正面作戦を強いられる日本 例えば、米国は嘉手納空軍基地から常駐だったF15戦闘機を退役させ、F22戦闘機のローテーション配備に切り替えることになりました。 この動きを巡り、11月14日の米軍準機関紙「星条旗新聞」で、中国の軍事力増強などを背景に「沖縄の基地は中国との戦争で生き残ることができない」という米政府元高官の見解を掲載(琉球新報の報道)したそうです。 そういう事情があるにせよ、もし日本から米軍が撤退しているのなら、これは大問題です。さらには台湾有事と朝鮮半島有事が同時に起きることも考えられます。 これにロシアが参戦し、北方領土から北海道を攻撃すれば、日本は三正面作戦を強いられ、あっという間に国家存亡の危機を迎えます。 ◆北朝鮮を抑止できる国防強化を 幸福実現党の大川隆法総裁は1990年代から北朝鮮のミサイルに対して警告を発していました。 幸福実現党立党の背景にも、2009年4月の北朝鮮のミサイル発射を飛翔体と呼び、「遺憾砲」(「遺憾です」との発表)しか出せない政府を見て、これでは日本を守れないと思ったことがあります。 すでに大陸間弾道ミサイルと原水爆を持ち、大量の戦術核を保有しようとしている北朝鮮にとって、「核保有の議論すらできない日本なんて核で脅せばどうにでもなる」と思っているかもしれません。 日本は今こそ憲法9条を全面改正し、日本の戦後を終わらせなくてはなりません。日本の国防を考える上で、核保有の議論をタブー視してはいけません。 少なくとも北朝鮮を抑止できる程度の国防強化を目指さなくてはなりません。本年も私たちは「言うべきことは言う」という姿勢を貫いていきたいと思います。 朝鮮戦争へのカウントダウン。北朝鮮のミサイル連射とバイデン外交の失敗。【前編】 2023.01.07 https://youtu.be/1Ux5UXNKfvM 幸福実現党党首 釈量子 ◆北朝鮮ミサイル連射 北朝鮮のミサイル発射が止まりません。防衛省の発表では、2022年の一年間でミサイルを73発発射し、過去最多だった2019年の25発を大幅に上回りました。 北朝鮮の金正恩総書記は1月1日、「韓国は明白な敵である」と指摘した上で、2023年の目標として「戦術核を幾何級数的に増やせ」と指示を出しました。 さらに「我々の核兵器の第二の使命は防衛ではなく他のところにある」として先制攻撃も辞さない姿勢を明確にしました。 このように北朝鮮の対決姿勢はどんどん強さを増し、戦略的に取り組んでいたのが、「戦術核」の開発です。 ◆戦術核とは何か 「戦術核」とは通常兵器の延長線上で、実際に戦場で使用することを想定した「小型核」のことです。 北朝鮮は韓国の港湾施設、飛行場、司令部施設、アジアの米軍基地など朝鮮半島内外のターゲットを攻撃するために戦術核の開発を急いでいます。 2017年には、水爆の開発や大陸間弾道ミサイルICBMの発射実験を行ってきましたが、昨年9月9日新たな軍事力として、金正恩総書記は最高人民会議で「核兵器政策」に関する法令を発表しました。 特に注目を集めたのは「核兵器の使用条件」です。 それによると、「北朝鮮国家そのもの」「国家指導部と国家核戦力指揮機構」「国家の重要戦略対象」に対して「相手からの攻撃や攻撃が差し迫ったと判断される場合」に核兵器を使用するとしました。 ◆核の先制使用 国家指導部への攻撃には金総書記を狙って特殊部隊を投入する斬首作戦が含まれます。いわゆる「核の先制使用ドクトリン」と呼ばれるものです。 ポイントは「攻撃が差し迫ったと判断される場合」も含まれており、敵による攻撃の兆候が確認された場合でも、核兵器を使用するとして核先制攻撃を排除していません。 しかし、北朝鮮はそもそも偵察衛星を一つも持っていないので、危機が迫っていることを正確に感知できません。 したがって、金正恩氏の腹一つで核兵器を使用できる状況にあると思っておいた方がよさそうです。 また、金正恩氏は「非核化に関する協議には二度と応じない」と強調しました。 トランプ大統領の頃には朝鮮半島の非核化に向けて首脳会談が行われ、北朝鮮のミサイルが全く飛ばない時期がありましたが、金正恩氏はバイデン政権と交渉するつもりは全くないということです。 ◆緊迫する朝鮮半島 昨年9月25日から10月9日にかけて北朝鮮は合計7回のミサイル発射を行いました。これは戦術核運用の訓練として行われたものです。 9月28日は「韓国の飛行場の無力化」、10月6日と9日は「敵の主要軍事指揮施設と主要港湾攻撃」をそれぞれ想定して訓練を行いました。 12月31日には「超大型放射砲」と呼ばれる新型短距離弾道ミサイル30基を配備し、韓国全土を射程に収めることができます。 これは戦術核搭載可能なミサイルで、2023年1月1日に実際にミサイル発射しました。金正恩氏は「敵に恐怖と衝撃を抱かせる兵器だ」と自画自賛しています。 北朝鮮の挑発に対し、韓国のユン・ソンニョル大統領は「一戦を辞さない構え」で北朝鮮の挑発に対して確実に報復するよう指示を出しています。 このように、朝鮮半島はいつ偶発的な衝突が起き、紛争が拡大してもおかしくない一触即発の状況にあります。 今後の焦点は、7回目の核実験です。その目的として指摘されているのが、核弾頭を小型化・軽量化して戦術核兵器を完成させることです。 日米韓は、北朝鮮が7回目の核実験が行えば、かつてない連携のもとで強力かつ断固とした対応を行うと発表しています。その際に朝鮮半島の緊張度が一気に高まる可能性があります。 (後編につづく) すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 … 101 Next »