Home/ 国防・安全保障 国防・安全保障 日米で力を合わせ、中国の脅威を封じ込めるために【幸福実現党NEW171号解説】 2025.03.01 幸福実現党政務調査会代理 小川佳世子 幸福実現党NEWS(171号) https://info.hr-party.jp/newspaper/2025/14811/ 解説動画 https://youtu.be/FfyiYcvWD94 ◆トランプ政権の外交政策から見えてくる「対中強硬姿勢」 トランプ大統領就任後、世界は大きく動き始めています。 バイデン政権下では、ロシア-ウクライナ戦争が勃発し、中東でイスラエル-ハマスの争いが激しさを増していましたが、トランプ大統領の就任直前、まず中東で動きがありました。 それが、イスラエルとハマスの停戦合意の発表です。トランプ氏は就任前から「大統領就任までに停戦し、人質を解放しなければ、中東に地獄が訪れる」と警告し、双方に圧力をかけていました。 この映像収録時点では、双方が様子を見ながら交渉を続けており、停戦合意が破棄されるかどうか予断を許さない状況ではありますが、何をするか分からないトランプ氏の迫力が、ひとまず停戦をもたらしたことは確かです。 また、3年に渡って続いているロシア-ウクライナ戦争についても、停戦に向けて手を打っています。 トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領と個別に電話会談をし、14日には停戦に向けた協議がドイツのミュンヘンで始まりました。 近々、トランプ大統領とプーチン大統領との首脳会談も行われる見込みです。 ウクライナがNATO加盟を求める一方、ロシア側は緩衝地帯であるウクライナにNATO諸国の影響が及ぶことは受け入れがたく、条件によっては停戦まで時間がかかると思われますが、バイデン政権の時には考えられないほどのスピード感を持って、問題解決の手が打たれています。 このように、トランプ大統領がヨーロッパと中東での戦争を終わらせようとしているのは、現在の世界を見渡した時、中国が最大の脅威であると認識しているからです。 バイデン政権の時は、アメリカはウクライナや中東にも軍事力や資源を投じており、相当消耗していたのですが、二つの戦争を終わらせることによって、アメリカの力をアジアに集中させ、中国をのさばらせないようにしようとしているのです。 ◆パリ協定離脱の狙いとは? この「対中国」という観点を持つと、トランプ大統領が進めようとしていることが理解できます。 例えば、大統領就任初日の1月20日、トランプ氏は幾つかの大統領令を出しましたが、その一つに「パリ協定からの離脱」を命じる大統領令があります。 パリ協定とは、地球温暖化対策のための国際的な取り決めで、5年ごとに参加国に新たな温室効果ガスの削減目標を提出することを求めています。 しかし、このパリ協定は中国にとって極めて有利な取り決めです。 中国は表向き「CO2削減を目指す」としていますが、「我々は人口14億人を抱える途上国なので、急にはCO2を減らせない」と言って石炭火力発電所を建設し、CO2をどんどん排出しています。 さらに、世界的にCO2削減の機運が高まり、再生可能エネルギーが推進されると、太陽光パネルや風力発電設備のシェアが世界一である中国が儲かることになります。 一方、CO2削減の目標を掲げ、真面目に達成しようとする国は非常に不利です。 再生可能エネルギーを推進すれば電気代は高くなりますし、石炭発電は止められ、石油や天然ガスの開発もできなくなります。 そこでトランプ大統領は「パリ協定」を離脱し、バイデン前大統領の時代は禁じられていた新たな石油や天然ガスの開発を推し進め、エネルギー価格を下げて、アメリカ経済を再び強くしようとしているのです。 同時に、脱炭素政策が広がることで中国が得るはずだった利益を減らそうとしています。 こうしたアメリカの動きに対して、世界も反応し始めています。 今年2月10日は、「パリ協定」に基づく温室効果ガス削減目標の提出期限でしたが、目標を提出したのは10数か国に過ぎず、日本を含め9割の国が期限までに提出できていません。 CO2が地球温暖化の原因というのはあくまで仮説にすぎず、むしろ無関係という学説も多く発表されています。 自国の経済に大きなダメージを与えるCO2削減に消極的な参加国が増えているなか、中国に次ぐ第二の排出国であるアメリカがパリ協定からの離脱を決めたことで、世界の流れが変わる可能性も出てきています。 ゆえに日本もこの機会に、脱炭素政策を転換すべきです。 「脱炭素」の取り組みをした企業に補助金や助成金を出す、電気自動車に補助金を出すという施策が動いているので、今さら変えられないというのが政府や一部企業のホンネかもしれませんが、「脱炭素」政策をダラダラと続けることは、電気代を高騰させ、日本のものづくりの首を絞め、中国を喜ばせることになるわけです。 政府も企業も目先の利益に踊らされず、国益のためにスパッとやめるべきでしょう。 なお、脱炭素政策の問題点については、幸福実現党のYouTube番組である「言論チャンネル」の、キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・杉山大志氏と釈党首の対談を是非ご覧ください。 ◆国境警備強化と関税強化でアメリカを安全な国に さらにトランプ大統領は、2月4日から中国に10%の追加関税をかけました。今までかけていた関税に加え、中国からのすべての輸入品に10%の関税を上乗せしたのです。 関税の意図としては、幸福実現党NEWS169号の解説でも触れたように、中国の経済力を弱め、最終的に軍事力に回すお金を減らす、すなわち「兵糧攻め」の意味があります。 さらには、カナダやメキシコにも25%の関税を掛けようとしていましたが、両国の関税発動については1か月の猶予期間を設けました。 なぜ、中国だけでなく、カナダやメキシコにも関税をかけようとしたのかといえば、国境を接した両国から不法移民やフェンタニルという麻薬が入ってくるのを止めるためです。 フェンタニルは、医療用としては合法で有効な鎮痛剤ですが、最近ではメキシコなどで密造され、密売人によって違法に売られています。1錠数ドルで手に入り、効き目が強いため薬物中毒になりやすく、またわずかな摂取量で命を落とすこともある恐ろしい麻薬です。 なお、薬物の過剰摂取による死者は2022年、全米で10万8千人近くにのぼるとされます。 アメリカの交通事故による死者数は4万人以上ですので、交通事故による死者数の2倍以上が違法薬物で亡くなっているのです。また、18歳から49歳という現役世代の死因ではトップになっています。 このようにフェンタニルの密輸は、アメリカを混乱、荒廃させる大きな原因となっているため「現代のアヘン戦争」とも呼ばれ、深刻な社会問題となっています。 アメリカ下院の中国共産党に関する特別委員会が昨年4月に出した報告書によれば、中国はフェンタニルの原料となる化学物質の製造に補助金を出して、組織的な輸出を行っているとのことです。 この違法薬物の問題については、バイデン元大統領と中国の習近平国家主席との会談においても、フェンタニルの生産と輸出の抑制に取り組むことで合意したはずなのですが、対策は思うように進んでいません。 そこでトランプ氏は、麻薬の経由地であるカナダやメキシコにも高い関税をちらつかせて、「不法移民や不法な薬物がアメリカに入らないように、しっかり対策をしてくれ」というメッセージを送っているわけです。 アメリカの治安をよくして国民が安心して暮らせるように、麻薬の輸出によってアメリカを混乱させようとする中国の試みは許さない、麻薬を密輸する不法移民も許さないというトランプ大統領の強い姿勢が見てとれます。 ◆中国に毅然とした態度を このように、アメリカが中国への毅然とした姿勢を見せているなか、日本の石破政権は中国寄りの姿勢を崩していません。 特に批判を浴びたのは、昨年末、岩屋毅外務大臣が中国を訪れた際、中国人向けの観光ビザの発行基準を大幅に緩くする方針を発表したことです。 具体的には、富裕層向けに10年間有効な観光ビザを新設する、団体旅行向けのビザで滞在可能な日数を30日に延長する、65歳以上の中国人に限り、これまで求めていた在職証明書の提出を不要にするといった施策です。 これは、中国人観光客によるインバウンド需要を狙ってのことですが、治安の悪化やオーバーツーリズムなどへの懸念の声も出ています。 さらに問題なのは、特定の国、しかも自国民に人権弾圧を行い、日本に対しても軍事的な脅威をちらつかせるような国からの観光客に期待する政府の姿勢です。 中国はこれまでも、他国に観光客を大量に送り込んで経済的に依存させ、これを「外交カード」として利用してきました。 日本がトランプ政権と一緒に厳しい対中姿勢を取らないようにするため、観光客を外交カードとしてちらつかせる可能性は大いにあります。 これは、日本の外交・安全保障にとって大いにマイナスです。 現地時間で7日に日米首脳会談が行われましたが、その際、トランプ大統領は石破首相にかなり気を遣い、顔を潰さないような配慮をしていました。 笑顔で握手はしていましたが、「中国とアメリカ、どちらが大事か分かっているだろうな」という強いメッセージを送っているようにも感じました。 日本としては、「アメリカと中国、どちらについた方が得か」という損得勘定で考えるべきではありません。何が世界的な正義に適うのか、日本として何を目指すのかというビジョンがなければ、簡単に利害で揺さぶられます。 大川隆法党総裁は、『メシアの法』の中で次のように述べています。 総じて、骨太なかたちでの「善悪の価値観体系」を持つべきだと思うし、それを教える「宗教的な原理」というか、「宗教的なメジャーな思想」というのは、本当に今こそ地上に伝えられ、広げられるべきだと思います。(中略) もし、「経済的に利益さえ出ればいい」ということで、日本政府や、あるいは、それにくっついている公明党、創価学会等、日中国交回復を手柄として言っている人たちが、その変化にまだ気がつかないで、政治的行動をしないようにやっているとしたら、それは「悪なる行動である」というように見ざるをえないと思っています。 (引用終わり) トランプ大統領の力強い決断の背景には、宗教的な信念に基づく善悪の価値観があります。日本も、目先の利益ではなく、正義とは何かを追究すべきです。 ◆防衛予算倍増は待ったなし ただ、正義を貫き、中国に毅然とした姿勢を取るためには、「自分の国は自分で守る」国を目指す必要があります。 岸田政権時代、「防衛予算は2027年までにGDP比2%に引き上げる」と述べていました。 しかし、現在のアジアの状況を見た時、今後2年間、日本の安全を脅かすような出来事が何も起きないという保障はありません。 さらに、中国の覇権拡大阻止を訴える国防総省ナンバー3のエルブリッジ・コルビー氏は、「日本は防衛費を今すぐGDP3%程度にするべきだ」と述べています。 それだけアジア情勢は緊迫しているということです。さらに、日本は長らく厳しい武器輸出規制があったことで、国内で防衛産業が十分に育っておらず、アメリカから多くの武器を輸入していますが、現在は円安のため、今までと同じ防衛予算ではそもそも足りません。 こうした状況で、防衛予算を増やすための増税を行うと言っていますが、前回の解説でもお伝えしたように、それは国力を落とす道です。 増税の前に、政府がやるべきでない仕事を思い切って減量する必要があります。 国を強くするためには、国を豊かにしなければいけません。 増税によって日本経済が衰退し、国力が落ちてくると、防衛力に予算を割く余裕もなくなります。ですから、いま、必要なことは政府の仕事を減量して減税することであり、それによって日本経済を立て直すことです。 そのためにも、先ほども述べたように、脱炭素を止めて電気代を安くすること、それから経済の足を引っ張っている「働き方改革」を止めること、個人のみならず企業の負担も増やしている手厚すぎる社会保障を見直すことなどが必要です。 日本とアメリカが力を合わせ、世界に共産主義の精神を輸出しようとしている中国を封じ込めて世界の平和を守るためにも、日本は「神様が望まれる正しさとは何か」を追い求める国へと変わっていかなければならないのです。 【米大統領選2024】トランプ勝利が日本に与える影響 2024.11.07 https://youtu.be/VeI0YJNyCHE 幸福実現党政務調査会長 里村 英一 ◆米大統領選でトランプ氏が勝利 注目を集めてきたアメリカ大統領選挙は、日本時間11月6日午後4時半の段階でトランプ勝利という報道が流れ、トランプ氏自身も実際に勝利宣言を行いました。 今回のトランプ勝利をどのように見るのか、あるいは、なぜトランプが勝ったのかこれについて考えてみたいと思います。 その答えは簡単です。アメリカ国民は「小さな政府」と「安い税金」を選んだということです。アメリカは景気がいいですが、物価がどんどん上がって生活苦になっています。 その中でアメリカ国民から経済状態を良くしてほしいという声が止まらなくなっていました。これが今回の大統領選の決め手になりました。 アメリカの大統領選挙は、建国以来基本的に「大きな政府」を選ぶか「小さな政府」を選ぶか、言葉を換えれば、政府により大きな力を与えるのか、そうではなく、より大きな力を民間に与えるのかで選ばれてきました。 今回のアメリカ国民の判断は政府に力ではなく、国民に力を与えようと。これが「小さな政府」や「安い税金」によって可能になるわけで、これを国民が選んだということです。 そういう意味においては、本日ニューヨークダウが上がり、あるいは日経平均株価も上がったというのは非常に納得できるところがあります。 果たして今後このトランプが選んだ判断が、どのように日本と世界に影響するのかこれを考えてみたいと思います。 ◆日米関係の行方 1点目は、日米関係の行方についてです。 基本的にトランプ氏と日本の総理大臣に石破氏が首班指名で選ばれた場合に石破氏とトランプ氏は相性が合いそうにない感じがします。 決してトランプは日本の味方というわけではありません。基本的にトランプ氏の外交方針は2つあります。 1つはアメリカの国益で動くということです。2つ目は主権国家の意思を尊重するというところになります。 そういう意味において、日本がいつもの権利にアグラをかくような外交をやっていると、トランプ氏からはそういう日本の外交姿勢は卑怯だと言われて、厳しいものになるかもわかりません。 この辺は今後経済問題、あるいはさまざまな政治問題で出てくると思います。 さらに日米関係を含めたロシアとの関係を見れば、当然アメリカとロシアの関係は修復に向かいます。 すでにプーチン氏はその方向で動き始めて、談話を発表しています。 日本が相変わらずの反ロシア姿勢でいく限り、日本はアメリカあるいは国際社会で置いて行かれかねない。こういう意味で日本の判断は大きく外交方針も変えていかなければなりません。 ◆株価の推移 2点目は、経済の動向です。 基本的にトランプの経済政策は、政府の支出を減らし減税をする。これはインフルなき経済繁栄をつくる方向で間違いないやり方です。 この方向でいく限りアメリカの株価は上がる。日本の株価も当然上がってくる。ただし反作用もないわけではありません。円安です。 ですから、日本は生産性を上げて、日本製品を海外で買ってもらえる。こういう動きがないと円安になり、輸入を中心に物価が上がることになってしまいます。 ◆憲法改正の今後の展望 3点目は、憲法改正の今後の展望です。トランプ氏はアメリカの歴代政権の中で唯一、憲法9条改正について主権国家として、日本の意思に任せるという考え方を持っていた人です。 そういう意味では憲法改正の今後の展望を見たときに、やはりトランプ時代を逃してはならないと思います。 そして、これにつながる論点として、核装備議論はどうなるかということです。 核装備については、トランプ氏は日本に任せるという考えを安倍晋三氏が総理大臣時代に伝えていますので、やはりトランプ時代にやっておかなければならないと思います。 ◆地球温暖化、LGBTQ、宗教 トランプ氏になると、地球温暖化防止にアメリカが必ずしも乗らないということになると、日本も大きく舵取りを変えないといけなくなります。 あるいは、LGBTQあるいは、同性婚の推進もアメリカの保守への回帰の動きがありますが、それに反して日本が多様性を大義名分に何でもやっていいということになれば、アメリカとの間に政治的トラブルを抱え込むことになるかもしれません。 その政治的トラブルというのは、結局のところ人間の素晴らしさとは何か、さらには宗教的な問題にもなってきます。 暗殺未遂事件で改めて分かったように、トランプ氏自身は非常に信仰心が宗教心が篤い方です。 今後の日本の考えた時に宗教を理解するということがないと、日本はアメリカ外交がうまくいかなくなりかねません。 こういうことだけに幸福委実現党は宗教政党として、しっかりと今後も自立した日本としてのアメリカとの付き合い、ロシアとの付き合いを考えながら、日本の平和と繁栄のために努力してまいります。 トランプ時代の今こそ日本が再浮上する復活するチャンスだと思います。 災害後のトイレ対策は自助による携帯トイレの備えを 2024.05.31 https://youtu.be/bqHH-faFJC8 HS政経塾11期卒塾生 牛田久信 ◆災害ごとに繰り返されるトイレの問題 2024年元旦に発生した能登半島地震では、死者245名、負傷者1300名以上、住宅被害12万戸以上(5/8現在、内閣府発表)などの甚大な被害が出たと当時に、被災直後のトイレ問題が浮き彫りとなりました。 地震直後、石川県内では11万戸の断水が確認され、公共施設や各家庭の水洗トイレを使うことはできませんでした。 その結果、行政は発災直後に、簡易トイレ設置が急務となったり、携帯トイレを配布するなどの対策に迫られました。 大震災で断水が生じると、トイレは使えない場所となります。一見、使えるように見えても、トイレの排水先の下水管が破裂している危険性もあり、安易に使用してはいけません。 それにもかかわらず、発災直後も容赦なく襲ってくるのが生理現象です。しばらく我慢できる水や食糧に比べて、排泄行為は数時間が我慢の限界でしょう。 こうしたトイレの問題は、実は大地震が起きる度に繰り返されています。 1995年の阪神大震災では、地震後の断水でトイレが使用できなくなり、避難所のトイレはおろか、校舎のグランドや側溝、砂場までもが糞尿まみれとなりました。 こうした教訓を充分に活かせず、2011年の東日本大震災においても、同じように避難所のトイレは排泄物の山となりました。 被災後のアンケートでも、避難者が困ったことの7割以上にトイレの問題を挙げており、被災後にまず直面する大きな問題となっています。備蓄対策として、水や食糧にはよく目が行きますが、手薄になりがちなトイレ対策は、今もなお盲点となっています。 ◆トイレ対策不足は命に関わる 一般に、災害では、インフラの崩壊や清潔な生活環境の破壊、飲み水確保の困難などによって、感染症のリスクが高まります。 インフルエンザや肺炎、コロナなどの呼吸器感染症やノロウィルスなどの食中毒、外傷から広がる破傷風など、枚挙に暇がありません。さらに、トイレ対策不足は、より一層の感染拡大を招くのです。 2016年の熊本地震でのノロウィルス集団感染はその典型です。複数の避難所において発症が確認され、不衛生になっているトイレが発生源の可能性が高いと指摘されました。2010年、ハイチでもマグニチュード7以上の地震の後、ハイチ国内でコレラが大流行しました。 トイレ問題が起きると、感染症の他にも、トイレに行かなくて済むように水分補給や食料摂取を控えることで、脱水症状や血行不良、エコノミークラス症候群を招くこともあります。 エコノミークラス症候群とは、食事や水分を十分に取らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っていて足を動かさないことで、血行不良が起こり、血液が固まってしまい、血の固まりで血管が詰まってしまう病気です。 重症化すると、肺に詰まって肺塞栓などを誘発することもあります。2004年の新潟中越地震においては、死亡事例も発生し、震災後に同症状の発生リスクが広く認知されるようになりました。 ◆行政側も、自助の精神を育む取組みを こうした問題の解消には、即効性のある携帯トイレの普及が急務です。 携帯トイレは、便器に便袋を設置し、付属の凝固剤を使用することで、排水せずとも排泄することが可能となります。使用後は、燃えるゴミとして処理し易いこともメリットです。 携帯トイレの使用によって、トイレの我慢からくる健康被害を防ぐだけでなく、排泄物を避難所や住環境に溢れさせない衛生環境の維持にもつながります。ですから、携帯トイレの普及は、災害対策に不可欠なのです。 しかしながら、行政が町の防災倉庫に大量の携帯トイレや仮設トイレを備えるだけでは対策として不十分であると言えます。 震災直後は、行政機能が麻痺し、そうした公助が行き渡るのには、時間を要します。一方で生理現象は待ってくれません。 発災後に繰り返されたトイレ問題を踏まえると、国民側も、公助を当てにする政府頼みの姿勢は、自分自身の安全や健康を損ねるリスクがあることを知っておかなければなりません。自分(家族)の命は、自分(家族)で守るという自助の精神が重要です。 しかし、2021年のミドリ安全株式会社の調査によれば、備蓄品として災害対策用トイレを備えている家庭は、1割程度に過ぎず、各家庭の普及が急務なのです。 内閣府発行の「地区防災計画ガイドライン」において、地域防災力向上のため、計画を立てるだけでなく、検証し見直していくことを推奨していますが、この携帯トイレの普及率においても、行政や地方議員が中長期的な視点で、現状の把握と向上に努めなければならないと考えます。 幸福実現党の大川隆法党総裁は「政府がやるべきことは、『チャンスの平等を、すべての国民に与える』ということ、そして、最低限の仕事として、『国民の生命・安全・財産を守り切る』ということ」(『日本を夢の国に(街頭演説集4)』「5 一人びとりに未来の可能性を」)と述べられました。 地方政治で言えば、住民を守ることも大きな使命だと言えるでしょう。それを果たすには、震災後のトイレ対策の重要性を、防災訓練や行政広報、SNSの発信等で啓蒙するだけでは足りません。 携帯トイレが自分の町の家庭にしっかり普及しているかどうかを評価することで、地域防災力の進捗を把握して、毎年毎年引き揚げていくことに責任感や使命感を持つことが行政や地方議員には求められるのではないでしょうか。 住民の自助の精神を育み、着実な備えにつながるまで、根気よく地道に取り組み続けることこそが、災害対策には肝要な姿勢であると考えます。 【憲法記念日】改憲論の先にある国家の未来構想「新・日本国憲法試案」 2024.05.03 https://youtu.be/L1TTipmrZtM 幸福実現党党首 釈量子 ◆「平和憲法」では日本は守れない 1947年5月3日、現行の「日本国憲法」が施行されて77年経ちました。 現行憲法は1945年の敗戦後の占領下において、占領軍の人が一週間ぐらいで作り、押し付けられたものです。 軍隊を取り上げられ、宗教を教育から排除し、国家の背骨が抜かれました。日本の強さは精神性にあるとみた占領軍は、日本が再びアメリカに対して歯向かうようなことがないように、国家の背骨である宗教を骨抜きにしたのです。 このように、とても日本人の手で作ったとは思えない憲法は、戦後、一度も改正されることがないまま、今日に至っています。 ちなみに諸外国では戦後どのくらい憲法改正されているかというと、1945 年から 2022 年まで、アメリカ 6 回、カナダ19 回、フランス 27 回(新憲法制定を含む。)ドイツ、67 回、イタリア19 回、オーストラリア 5 回、中国でも、戦後10回改正しています。 世界は激変しています。ウクライナや中東での戦争が世界大戦につながりかねず、核兵器を持つ中国、北朝鮮、ロシアの3カ国を敵に回して日本は国家存亡の危機です。ところが国会では裏金問題に終始しています。 日本では戦争の放棄を定めた憲法9条を含んだ現行憲法を「平和憲法」と称し、「日本国憲法さえ守っていれば、日本は安全で幸福になれる」という“憲法信仰”、「現行憲法を守っていれば、日本は平和で安定的に発展する」という考え方がずっと続いてきました。 しかしながら、日本は「平和を愛さない国」に囲まれています。戦後、状況は大きく変わってきており、日本が戦争を放棄すれば、日本も世界も守れないことは明らかです。 企業でもイノベーションが必要なように、国際情勢に照らして、軌道修正、さらには思い切った憲法改正が必要です。 日本人の手で自分の国の憲法を変えられないというのなら、「政治参加の自由」がないということです。まるで江戸時代の町人のように「お上によって、下々が治められている」意識とあまり変わらないのではないでしょうか。 ◆国家理念を提示する「新・日本国憲法試案」 私たち幸福実現党は、2009年の立党直後に、大川隆法党総裁による「新・日本国憲法試案」を発表しました。 「この国を根本的に改造し、未来型国家に変身させることも可能だと信ずる」とし、「国家の理念」となる骨組みとして前文と16条を提示しました。 「新・日本国憲法試案」 http://special.hr-party.jp/policy2013/constitution/ 憲法とは国家権力の制限の道具として存在するというのが一般的な考え方です。しかしながら、それではあまりにも寂しいと私たちは考えます。 会社に経営理念があるが如く、国家にも「国家理念」、つまり国の基盤となる考え方を明らかにすることが、国民の幸福を実現するために必要なことだと考えています。それが幸福実現党の憲法観です。 「新・日本国憲法試案」はこのような憲法観に基づくものであり、聖徳太子の「十七条憲法」を彷彿とするのですが、国家の未来をどうデザインするかという構想を示し、叡智は、そう簡単に得られるものではありません。 大川総裁が書き下ろされた憲法試案は、改憲議論のさらに先にある未来国家の構想といえます。 まずは、現行憲法の改正から始めるのが現実的ですが、日本人の手で自分たちの幸福を実現する機運を作っていくために、その一部をご紹介します。 ◆現在の改憲議論「緊急事態条項」について 現在、衆議院の憲法審査会で焦点になっているのは「緊急事態条項」です。 安倍政権下で「お試し改憲」ということで浮上しましたが、「緊急事態条項」とは、戦争やテロ、それに大規模な災害などの非常事態に対処するための規定のことです。「大規模な災害」には、コロナの感染拡大といったことも想定されています。 現在、国会では「国会議員の任期延長」に絞って憲法改正に向けた議論が行われています。総理大臣が事前もしくは事後の国会承認を要件として「緊急事態」を宣言すれば、「国会議員の任期延長」を行って、国会の機能を維持することを目指す趣旨です。 緊急時に国会機能を維持する必要性は理解できます。ただ、同時に憲法審査会では、緊急状態で国会機能が維持できない場合に備えて、政府が法律と同じ効力を持つ政令を定める「緊急政令」や「緊急財政処分」に関する規定についても検討すべきだとの議論も行われています。 このような政府権限の強化は危険性が高いといえます。「緊急事態」の名のもとに、政府に権限が集中すれば、国民の自由が制限される危険性が高まるからです。これは、ナチスのヒトラー政権における授権法のような、全体主義体制につながりかねません。 ヒトラーのようにというのは大げさかもしれませんが、日本でもコロナ禍において「緊急事態宣言」が出され、私たちの移動の自由や営業の自由などが著しく制限されました。 あくまでも「外出の自粛」「営業の自粛」ということではありましたが、営業しているお店を攻撃したり、ネットで晒したり、といった「自粛警察」という言葉が流行りました。まるで反ナチス運動を取り締まる秘密警察、ゲシュタポのように一般国民が密告者にさせられるような恐怖を感じました。 緊急事態を名目に、一時的にせよ内閣が法律と同じ効力の政令を安易に出せるようになってしまえば、国民の自由や基本的人権が簡単に制限されてしまう危険性が高まるのです。 ◆宗教立国は世界のスタンダード もちろん、戦争時など、やむを得ず政府の権限を強化しなければいけないこともあるかもしれません。しかし、新型コロナの特性が次第に分かってきてからも、緊急事態宣言が繰り返され、自由が制限されたことを振り返ると、自由の大切さを何度強調しても足りないと言えます。 私たち幸福実現党は、私たちの生命、そして自由は神から与えられたものだと考えます。人間は造物主に作られたものだから、神の子、仏の子だから尊く、人権があると考えます。 このように、人間を超える神仏の存在を認めていなければ、為政者は国民の自由を奪うことに躊躇がなくなってしまうのです。 ですから、幸福実現党は、まずこの国を宗教を基盤とする精神性の高い国にしたいと考えています。宗教立国は世界のスタンダードです。 アメリカ独立宣言には、「すべての人は平等に造られ、造物主によって、一定の奪いがたい天賦の権利を付与され」と述べられています。トランプ氏が何度も「自由は政府ではなく神からの与えられたものであるという基盤の上にこの国は成り立っている」と述べていました。 自由の大切さは、先ほど述べた緊急事態への対応の際に問われるのはもちろんのこと、経済政策においても問われます。 トランプ氏は大統領就任時、大胆な減税や規制緩和を行い、国民の経済的自由を拡大しましたが、これは神から与えられ自由だからこそ、それを最大限尊重すべきだという、トランプ氏の宗教的な「自由の哲学」がもとになっているといえます。 ドイツ憲法の前文では「ドイツ国民は、神と人間とに対する責任を自覚し」と示されています。 「人間は造物主によって造られた神仏の子である」ことが人権の根拠であり、ここから「自由」が尊いものになるわけです。この点、神仏の存在に根差さない日本国憲法は、人権の根拠が薄弱です。 『新・日本国憲法試案』前文には、すべての党派や宗派を超え、人々が国民として生きていくための規範、進むべき方向を指し示されています。 〔前文〕われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子としての本質を人間の尊厳の根拠と定め、ここに新・日本国憲法を制定する。 いま、感染症全体主義や、マイナンバーを使った国民の私有財産を一元管理することなど、人間を超えた叡智を持つ神仏の存在を認めない、天狗的な傲慢さがあります。 私たちはこの精神のもと、政策を作り、判断し、唯物論・無神論国家の中国、北朝鮮の覇権主義や人権侵害行為も止めさせたいと考えています。 ◆国防…自衛隊を国際標準の国防軍に 世界情勢を考えると、急がなくてはならないのが「憲法第九条」の改正です。「自分の国を守る」ということを憲法で明文化できないのは、主権国家としては悲しいことです。 「戦争をしない」ということと、「戦争ができない」のは意味が違います。「敵の監獄の中に入れば、もう襲われることはない」と言うなら、奴隷の平和です。 安倍政権の時に、戦力不保持と交戦権を否認したまま、憲法9条に自衛隊の存在を明記する「加憲」が議論されましたが、これは「自衛隊は戦力(軍隊)ではない」という、嘘の追認をするだけで、日本の国防強化にはぜんぜんつながりません。むしろ、「戦えない自衛隊」が明文化されてしまう危険性があります。 ですから、9条を改正して、自衛隊を国際標準の軍隊と認め、自衛のために戦えるようにすることが大事です。 幸福実現党の「新・日本国憲法試案」では、もう一歩踏み込み、「防衛軍」を創設することを明記しています。 〔第五条〕国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる防衛軍を組織する。また、国内の治安は警察がこれにあたる。 国防と警察は政府がなすべき代表的な機能です。 ◆経済…小さな政府で国民の自由を守る 現在、インフレが暮らしに打撃を与えていますが、こうした厳しい状況のなか、与野党ともにバラマキ合戦に終始しています。しかし、バラマキ政策は必ず増税をまねきます。 歴代政権がバラマキ政策を繰り返した結果、政府の借金は1280兆円です。政府の借金を子孫の代に先送りしているだけです。 著名な投資家が、「日本に経済的に明るい兆しはもうない」として、日本からの脱出を促す人もいます(ジム・ロジャース氏)。 いまこそ「小さな政府」「安い税金」を目指し、「国民の自由の領域」をふやし、民間に任せられるものは民間に。無駄な役人を減らして、無駄な役所を減らして、無駄な仕事をやめる。」ことです。(『減量の経済学』第3章) 「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない。」(『新・日本国憲法試案』第11条) 「小さな政府」か「大きな政府」かを分ける指標はいろいろありますが、代表的な指標が「国民負担率」です。所得に占める、税と社会保険料の割合です。今は47.5%。江戸時代の五公五民と同じ状況で、どんどん大きな政府に進んでいます。 日本がバラマキと増税の悪循環に陥る中、日本の国内総生産(GDP)はドイツに抜かれ世界4位、2026年にはインドにも抜かれそうです。 与党も野党も、福祉国家主義、国家社会主義のもと大きな政府に突き進むなか、幸福実現党だけは「小さな政府」「安い税金」を訴えています。 それは先述したように、「小さな政府・安い税金」こそが、国民の自由を守る道だからです。「安い税金を目指し」で、増税の防波堤にはなります。 以上、「憲法記念日」にあたり、変わるに変われない日本の急所、憲法について考えました。 日本人自らの手によって、憲法を、自分たちの幸福にとってふさわしいものに変えていこうではありませんか。 イスラエル・イラン対立の真相。新たな中東戦争にエスカレートするのか? 2024.04.17 https://youtu.be/Ha6CmHVmKps 幸福実現党広報本部 城取良太 ◆イランによるイスラエル領内への史上初の直接攻撃 ハマス奇襲に端を発するイランとイスラエルの対立が新たな局面を迎えようとしています。 4月14日未明、イランは300発以上にのぼるミサイルやドローンをイラン本国などから発射。ほぼ「99%」がイスラエルや米英などの迎撃により、本土に届く前に撃ち落とされたとされ、イスラエル側の被害は負傷者1名と軽微なのが現状です。 この発端となったのが4月1日、シリア・ダマスカスにあるイラン大使館に対して行われた、イスラエルによるミサイル攻撃でした。 この攻撃によってイラン革命防衛隊の司令官クラスを含む7名が殺害されています。今回はこれに対する報復という形になっています。 しかし、今回のイラン側の攻撃を見ると、イスラエルに大きなダメージを与えるような攻撃とは程遠く、かなり「抑制的」だったと言われています。 実際に、攻撃の前段階には、核協議の再開などをアメリカに持ちかけるような外交を展開していました。 今回の攻撃もイラン国内の宗教保守層に対するパフォーマンスという面も色濃いように思います。 一方のイスラエル・ネタニヤフ首相は、イラン本土からの初めての攻撃に対し「更なる反撃」を行う準備があると明言。 それに対して、アメリカのバイデン大統領はネタニヤフ首相に自重を求め、防衛上の支援はするがイラン反撃への参加はしないと述べています。 その後、ネタニヤフ首相は「報復を見送る」と述べたという報道も一部ありましたが、一夜明け、イスラエルの戦時内閣でイランへの反撃で一致しており、「全面戦争が目的ではない」とするも、「明確かつ強力」に反撃することを述べています。 どちらにしても、昨年10月から約半年経過したハマスとイスラエルの戦争が、いよいよ中東全土を巻き込んだ大規模戦争へと、いつエスカレートしてもおかしくない、かなりきわどい状況にあることは確かだと言えます。 ◆以前は良好だったイスラエルとイランの関係 では、そもそもイスラエルとイランはなぜ対立するのでしょうか。 ユダヤ教とイスラム教の宗教対立といってしまえばそれまでですが、個別的に見れば、イスラエルとエジプトなど、宗教を超えた国家間で平和条約が締結されている事例は実際にあります。 ここでイスラエルとイランの対立がどのように深まってきたのかを客観的に整理してみたいと思います。 何より、以前はこの両国は関係良好だったという歴史があります。 1948年イスラエル建国直後に起きた第1次中東戦争から、1973年の第4次中東戦争に至る25年間の戦いは、エジプトを中心としたアラブ諸国とイスラエルの戦いであって、イランは関与していません。 そういう意味で、これからいつ起きてもおかしくはない新たな中東戦争は、過去4回の中東戦争とは意味合いが全く異なると言えます。 当時、王政だったイランは、中東における「アメリカの前線基地」として、実はイスラエルと同じく親米国でした。 実際、イスラエルの諜報機関モサドと当時のサバックというイランの諜報機関は「対アラブ」「対ソ連」で情報協力協定を結んでいるように、同盟関係に準ずるものがあったと言えます。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機①:1979年の「イラン・イスラム革命」 この両国の関係にとって、1つ目の大きな転機が、1978年から1979年にかけて、イスラム指導者のホメイニ師が求心力となって起こった「イラン・イスラム革命」でした。 ホメイニ師は「イスラム法学者による統治論(ヴェラヤテ・ファキーフ)」を発表、当時パフラヴィー王朝の元、急速に西欧化しようとしていたイラン国内の風潮を危険視し、欧米の植民地主義、またシオニズムによって建国されたイスラエルを痛烈に批判しながら、「将来、ユダヤ人に支配されることをおそれる」とその中で述べています。 この1冊がいわば国の指導原理となり、今の「反米」と共に「イスラエル打倒」を掲げるイラン・イスラム共和国が誕生、今に至る45年間の長きに渡る対立の「原点」となります。 また時をほぼ同じくして、4回の中東戦争を繰り広げたエジプトとイスラエルがアメリカの仲介で平和条約が締結。この「1979年」という年がいかに中東情勢を根底から変える非常に大事な年の一つといえるでしょう。 ちなみに、この大転換を図ったエジプトに代わって、反イスラエルの急先鋒として「アラブの盟主」に名乗りを挙げたのが、イラクのサダム・フセイン大統領でした。 イラクはイスラム教の2大宗派スンニ派とシーア派が入り混じった地域で、イラクでは約2割しかいない少数派となるスンニ派が国を支配していました。 そのためフセイン大統領は、抑圧された多数派であるシーア派(約6割)が、お隣のシーア派国家イランから「革命の影響」を受けることを止めるべく、1980年から8年に及ぶ「イラン・イラク戦争」を起こします。 イラン革命によって飼い犬から手を嚙まれる形となったアメリカは、この時、イラクのフセイン政権を積極的に支援します。 しかし、その後イラクもアメリカに牙を剥くこととなるのは歴史が示している通りです。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機②:2003年の「イラク戦争」 そしてイランとイスラエルの対立を更にエスカレートさせていくきっかけとなったのが、まさに「イラク戦争」です。 アメリカブッシュ政権は2003年、イラクが所持する大量破壊兵器の脅威から、世界を解放するという大義のもと、「イラク戦争」に踏み切ります。 余談ですが、大量破壊兵器は見つからず、当時の国務長官だったパウエル氏は、CIAの情報を信じ、開戦の大義を語ってしまった自身の国連演説を「人生の汚点」と語っています。 結果的に、イラク戦争によってフセイン政権は崩壊、アメリカ主導によって民主化がなされます。 先ほど申し上げた通り、イラクの宗派バランスから考えると、民主化されたことで多数派のシーア派主体の政党が力を持ち、政権を握っていくことになります。 すると、それまで力を持っていたスンニ派と、抑圧されていたシーア派のパワーバランスが逆転し、スンニ派が押され始めます。 CIA長官まで務めたペトレイアス氏の占領政策によって、一時期は宗派の均衡は見事に維持されていましたが、イラク戦争を「誤った戦争だ」と断罪し、大統領に就任したオバマ元大統領は2010年にイラク駐留軍を大規模に縮小し、宗派間の衝突が激化し、治安が急激に悪化していきます。 このように、良くも悪くもイラクのフセイン大統領、そしてそれに代わる米軍という「重石」がなくなったことで、イスラエル国境に向けて、イラン革命防衛隊など軍事組織が、イラクを超えて、シリアのアサド政権(シーア派系のアラウィー派)、レバノンのシーア派組織ヒズボラなどとの連携を緊密にしながら、直接的に影響力を行使させていくことが出来るようになっていきます。 いわば「シャドウ・ウォー(影の戦争)」が活発化していくわけです。 ◆イスラエル・イラン対立の大きな転機③:2011年から始まる「シリア内戦」 そして、この「シーア派の弧」と呼ばれるイラン勢力圏を更に強大化させるきっかけとなったのが「シリア内戦」です。 イランのこうした急速な影響力の拡大にアメリカやイスラエル、サウジアラビアなど周囲の国々は焦ります。 その頃奇しくも2011年に北アフリカで起きた「アラブの春」によって、民主化のウネリがシリアにも直撃し、アサド政権(シーア派系)の独裁に対して、スンニ派系の反政府勢力が立ち上がり、内戦に発展していきます。 当時のオバマ大統領はアサド政権の打倒を名目として、CIA主導で「ティンバーシカモア」という秘密プロジェクトを立ち上げて、巨額の予算を投じてスンニ派の武装組織に武器の支援や戦い方を教えていきます。 そしてこの時に提供された膨大な武器の多くを闇ルートで手にし、巨大化していったのが、かの「イスラム国」です。直接的なつながりを証明するものはありませんが、間接的にアメリカが「イスラム国」を巨大化させたということは紛れもない事実です。 ちなみにこの「イスラム国」の中枢を担ったのが、元フセイン政権の構成メンバーと言われています。 アメリカとしては、シリアのアサド政権、そしてバックにいるロシア、イランの影響を弱めていくために、弱体化していたスンニ派勢力に力を与えることでシリア・イラク地域における宗派間の力の均衡を保ちたかったという思惑があったようには思います。 しかし、結局「イスラム国」が予想以上に強大化、最終的に、アメリカを中心とした有志連合は「イスラム国打倒」のために更なる資金と大量の武器を投じていきます。 こうした長年の「イスラム国」などとの戦いを通じて、更に力を蓄えていったのが、イランの革命防衛隊を主体とした、前述したシーア派系の武装組織などです。 また、近年では、長年の不倶戴天の敵だったサウジアラビアと中国の仲介によって歴史的な国交正常化に踏み切るなど、イランにとって中東における対立構図というのはイスラエル一国に先鋭化していると言っても過言ではありません。 イスラエルから見ても、イランの強大化というのは、紛れもなく現在の最大の脅威です。 こうした深い懸念こそ、イスラエル政権の極右化が進んでいる主な要因の一つであり、エスカレートが止まらなくなっている訳です。 ◆イスラエルとイスラム教国を巡る対立軸にあり続ける「核兵器」 そして、イスラエルを巡る対立軸の中心にあり続けるのが「核兵器」という要素です。 イラクのフセイン大統領は、イスラエルとの戦争を見据えて、大統領就任当初から秘密裏に核保有を目指していました。それに対してイスラエルは「イラク原子炉爆撃事件(1981年)」などに象徴されるように、軍事力を行使し、爆撃によって力づくで排除します。 前述した「イラク戦争」の開戦前には、現首相であるネタニヤフ氏など一部の閣僚が、「フセインがまた核開発を再開している」と脅威を訴え、ブッシュ政権にイラク戦争をけしかけたとも言われています。 そして、21世紀に入って、核開発の疑惑が浮上してきたのがイランです。 モサドによるイラン人の核科学者の暗殺や核施設の爆破などで、イスラエル側はイランの核開発の妨害を幾度となく繰り返してきました。 しかし、科学国際安全保障研究所の2024年3月の報告書によると「あと5カ月で13発の核兵器を保有する能力がある」と言われています。 内情が見えにくいイランの場合、もっと進んでいる可能性は否めず、核保有が寸前まで迫っている現状を考えれば、イスラエルとしてはいよいよ一刻の猶予もありません。 ◆新たな中東戦争はエスカレートするのか? さて今後はどうなっていくのでしょうか。 今回、シリアのイラン大使館攻撃でイスラエルは明らかに挑発的な姿勢を示しています。 決めつけはもちろん禁物ですが、そうした意味から考えると、今回のイランの反撃がたとえ抑制的であったとしても、国際社会でイラン攻撃の口実となる限り、イスラエルとしては「エスカレート」させたい思惑は強いとも言えます。 また一方で、「ハマスによる奇襲」によって、世界中の目がパレスチナに向けられてきたことを考えれば、イランとしての格好の「時間稼ぎ」にもなっている面も見過ごすことは出来ません。 いま核戦争の発火点となりうるのはロシア・ウクライナ方面、そして今回、中東におけるこのエスカレーションで核戦争の危険性はグッと高まったと言えるのではないでしょうか。 幸福実現党の大川隆法党総裁は『信仰の法』の中で、中東における核戦争の可能性について、このように言及されています。 今、心配されているのは、「核兵器をすでに持っているイスラエルと、核兵器をもうすぐ製造し、保有するであろうイランとの間に、核戦争が起きるかどうか」ということでしょうし、また、「イランの核兵器が使用可能になる前に、イスラエルがイランを攻撃するかどうか」ということでしょう。 そして、イランの核保有を認めたら、おそらく、サウジアラビアやエジプトも核武装をするのは確実でしょう。 今の中東は、「イスラエルだけが核武装をしていて、イスラム教国は核兵器を持っていない」という状況にありますが、それが今度、「核武装したイスラム教国にイスラエルが囲まれる」という状況になったとき、それを黙って見過ごすことができるかどうかです。これが、ここ十年ぐらいの間に懸念される大きな事態の一つです。」 日本人の心理の中には「ノーモア・ヒロシマ」が世界の常識だと思い込んでいる節があります。しかし、残念ながら世界の本音の部分とは大いにかけ離れているといえます。 実際に、日本は神を信じない唯物的無神論国家の核保有国に囲まれています。 いいかげん、きれいごとばかりで表面を繕うお花畑思考から抜け出さないと、日本の存続自体が立ちゆかなくなるという危機感を持たなければならないのではないでしょうか。 世界大戦を招くマクロン発言。トランプが戦争を終わらせる。 2024.03.29 https://youtu.be/bPz6Lb1_rmM 幸福実現党党首 釈量子 ◆マクロン発言でパニック 2月26日、フランスのマクロン大統領が、欧州全体を戦争に巻き込むような発言をして世界を驚かせました。 パリで開かれたウクライナ支援について話し合う緊急会議で、ドイツのショルツ首相、英国キャメロン外相、アメリカやカナダの代表団などが出席。 マクロン大統領が記者会見で、「西側の地上部隊をウクライナに派遣する可能性」について「排除すべきではない」と発言して驚かせたわけです。 米ホワイトハウスは声明で、バイデン大統領は「勝利への道」は軍事支援の提供だとしつつも「アメリカがウクライナでの戦闘のために部隊を派遣することはないと明言している」と付け加えました。 イギリスのスーナク首相の報道官は、イギリスは現在ウクライナ軍を訓練している少人数の軍人以外に、ウクライナに大規模な軍事派遣をする計画はないと述べました。 ドイツのショルツ首相も、欧州やNATO加盟国はウクライナに部隊を送らないという合意された立場に変更はないと述べました。 イタリアのメローニ首相の事務所も、イタリアの「支援には欧州やNATO加盟国の軍隊がウクライナ領土に滞在することは含まれていない」としました。 NATOストルテンベルグ事務総長は、ウクライナに部隊を送る可能性を否定し、一方でNATOに加盟していないウクライナを引き続き支援すると強調しました。 こうした姿勢は、スペイン、ポーランド、チェコといった多くのNATO加盟国も同調し、フランスとはだいぶ温度差があります。 ところが、マクロン氏はさらに3月14日、現地テレビ局のインタビューで、改めて欧州諸国による部隊派遣の可能性について「選択肢は排除しない」「自分たちから攻撃を仕掛けることはない」と述べました。 けれども、「私たちにはロシアを勝たせないという目的を達成するための決意と勇気を示さなければならない」と強気の発言をしました。 ◆マクロン発言に対しロシアが警告 これに対して、ロシアは警告を発し、2月28日プーチン氏側近の下院議長は、次のように牽制しています。 「ナポレオン気取りだ」「第3次世界大戦を引き起こすこと以外に考えられなかったのだろう。フランス市民にとって彼の構想は危険だ」 マクロン氏の突如のタカ派発言の背景について、フランスのニュースサイト『マリアンヌ』が興味深いことを言っています。 フランス軍の機密文書を紹介し、「ウクライナ軍の勝利は軍事的に不可能」「軍事的解決策のみを追求し続けることは深刻な誤り」と指摘しています。 つまり、ウクライナの苦境に焦ったマクロン氏は、政治的に援護する必要があると判断し、長い目でみれば「戦略的な曖昧さ」といっても帳尻が取れると考えたのではないかという見方です。 フランスの新聞『ル・モンド』によると、マクロン氏はさりげなく「オデッサに派遣しなければならないだろう」と語ったといいます。 ロシアがウクライナの港湾都市オデッサを制圧すると、ウクライナが「陸の孤島」となり終わってしまいます。 長期戦になれば最終的にはロシアは損をして負けるかもしれないと、あらゆる選択肢をテーブルの上に並べようとしているのかもしれません。 ◆口先だけのマクロン発言 欧州唯一の核保有国ではあるけれども、保有する弾頭はフランス300発に対してロシアは7000発近くです。 フランス国内の世論調査では、大統領のウクライナ派兵案には国民の約68%が反対し、「マクロン一人でいけ」と言う声なども上がっています。 前述の『マリアンヌ』編集長の「目を覚ましましょう!さもなければ全面戦争になります」と主張しています。 ドイツの「キール世界経済研究所」によると、これまでアメリカはウクライナへ(開戦後から今年1月15日までに)422億ユーロ(約6兆8800億円)を拠出、続いてドイツ、イギリス。 これまでの軍事支援は7億ドルで、EUから見るとフランスのマクロン発言は口先だけです。ロシアとの戦争準備が整った軍隊もありません。 ◆トランプ前大統領の再登板でどうなる? トランプ氏はこれまで、自分が大統領選で当選すれば「24時間以内に」戦争を終結させると約束しています。 また、EUのなかにはハンガリーのオルバン首相のようにウクライナ支援は「無駄」と言って反対しているところもあります。 オルバン氏は3月9日、トランプ氏のフロリダの私邸まで行き、会談後に「(トランプ氏は)ウクライナとロシアの戦争には一銭も出さないだろう。だからこの戦争は終わる」と述べています。 ◆レッドラインを示して牽制するロシア ロシアは戦争拡大を望んではおらず、欧州の動きを牽制しています。 3月19日、ナルイシキン対外情報局長官は、もしフランスがウクライナに軍隊を派遣すれば、「フランス軍はロシアによる攻撃の優先的、かつ合法的な標的になる」と牽制。 ほかにも、3月1日、ロシア国営メディア『RT』のシモニャン編集長がソーシャルメディアに「ドイツ軍のビデオ会議38分の音声」をリークするといったのもありました。 ドイツ軍幹部が、クリミアとロシアを結ぶ橋のミサイル攻撃を検討している内容で、リークの翌日、ドイツ当局がロシア側に不正侵入されたことを認めました。 プーチン大統領自身も、欧州諸国に、何度も「レッドライン」を出しています。 3月13日、プーチン大統領は国営テレビのインタビューで「核戦争の準備があるのか」と聞かれ、「軍事技術の観点から言えば、もちろん準備はできている」と述べ、核戦力は常に臨戦態勢にあると強調しました。 ◆停戦しなければ核を使った世界大戦へ ロシアは冷静で本気です。できるだけ早く停戦することが、ウクライナの若者を死地に追いやらないために大切なのです。 3月8日、トルコのエルドアン大統領がゼレンスキー大統領をイスタンブールに招きました。 会談後の共同会見でエルドアン大統領は「われわれは交渉による戦闘の終結に向け最大限の力を尽くし、ロシアも参加する和平協議を開催する用意がある」と仲介役を担う姿勢を改めて示しました。 しかし、ゼレンスキー大統領は「すべてを破壊し、殺す連中をどうすれば招待できるのか分からない」と述べ和平交渉に応じる気がありません。 ウクライナ国内の世論調査では「停戦」支持が、戦争から2年経って過半数を上回っています。 このまま戦争が続けば、「ウクライナが地上から消える可能性がある」こともあるかと思います。 ◆トランプ氏による「強制終了」 戦争終結を願う世界の人々が待ち望むのが、トランプ氏による強制終了です。 バイデン氏が、2月27日、連邦議会幹部らに対しウクライナ支援600億ドルを含む総額950億ドル(約14兆3000億円)余りの外国支援包括予算案を承認するよう求め、13日に連邦上院で可決されました。 しかし、下院のジョンソン議長(共和党)は会議で、まずメキシコとの国境危機を最優先事項とすべきとしています。 トランプが復活すれば、アメリカのウクライナに対する軍事支援は無くなります。 幸福実現党の大川隆法総裁は、核戦争の危機がかなり近いところまで来ていることに警鐘を鳴らし、次のように述べています。 「八十年近い昔に、広島と長崎に原爆が落とされて、『あんな悲惨な目に遭った』『ノーモア・原爆、ノーモア・戦争、ノーモア・ヒロシマだ』と言って、そして、『これはもう世界の常識だろう』と思い込んでいるところがあるということです。けれども、そうではないのです」(『真実を貫く』) 日本は、バイデン政権に言われるままウクライナ支援を続けてきましたが、方向転換しないと、支援金を引き出すATMのように使われますし、ロシアと準軍事同盟化した北朝鮮のミサイルが本土に落ちかねません。 核を保有するロシア、中国、北朝鮮の3カ国を敵に回しながら、日本は裏金問題に終始している場合ではありません。日本が属国になりたくなければ、自分の国を自分で守るための核保有も含めた抑止力の強化、憲法九条改正も急ぐべきです。 「国民の安全を守る」はまやかし?地方自治法改正でヒッソリ近づく危険な未来 2024.03.17 幸福実現党政務調査会 藤森智博 当記事は、下記の動画と連動しています。ぜひ、ご覧ください。 https://youtu.be/LRQO2xspgUE ◆地方自治法改正で、県や市町村などへの国の権限が強化され、全体主義に一歩近づく 今、SNS上では、地方自治法が改正され、”プチ緊急事態条項”がつくられるのではないかと話題になっています。地方自治法とは、市町村や県などの組織や運営、国との関係などを定めている法律です。 この地方自治法の改正案が、3月1日に国会に提出され、大きな波紋を呼んでいます。 改正の内容は、いくつかあるのですが、今回、注目したいのは、感染症や災害などが発生したときに、市町村や県などの自治体に国が「指示」を出すことができるという部分です。 つまり、緊急時には、自治体に対して、国が強権を持つことになります。これをもって、「“プチ緊急事態条項”だ」「独裁国家になる」ということが、一部で話題になっているわけです。 ただ、ここで注意しておきたいことは、今回の法改正は、自治体の権利を緊急時に制限するもので、国民の自由や人権を直接的に制限するものではないということです。 自由や人権を制限するためには、それこそ「緊急事態法」のような法律が必要です。その意味では、今回の法改正で、すぐに全体主義国家や独裁国家が完成するわけではありません。 しかし、間違いなくその道筋を描く法改正になると考えられますので、ポイントを3点、お伝えさせていただきます。 ◆「国民の安全を守る」という名目で、国民の自由や人権は侵害されていく まず挙げたいポイントは、今回の地方自治法の改正は、間接的に国民の自由や人権を制限するものに必ずつながるということです。 それは、今回の法改正の経緯を見れば明らかです。2020年に中国発・新型コロナ・ウィルスがまん延し、国は緊急事態宣言を発令いたしました。 しかし、緊急事態宣言で大きな権限を持つのは、都道府県知事です。この知事に対して、国はストレートな命令はできず、必ずしも国の方針に従わない首長が出てきました。 率直に言ってしまえば、コロナなどの緊急時に自治体を国の命令に従わせるために、この法改正は生まれているのです。 そして、こうした命令は、国民の自由や人権を制限するものにつながることが予想されます。 それは、改正案の条文を見れば一目瞭然です。条文では、指示を出すための条件として「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」の「発生」や「発生するおそれ」のある場合としています。 ポイントは「安全」のところです。この「安全」という言葉は「魔法の言葉」で、「国民の安全を守る」という名目で、緊急事態宣言が発出され、行動制限が行われたり、ワクチンの接種が強力に推進されました。 つまり、「安全」という大義名分のもと、国民の自由が制限され、人権が侵害されたわけです。 もし、この条文が「国民の”自由”に重大な影響を及ぼす事態」だったら、一考の価値はあったかもしれません。 緊急事態宣言下では、東京都の小池都知事のように、国と競うような形で、独自の基準で国民に行動制限を強める事態も多々あったからです。 こうした暴走する知事たちを止めるための条項なら、検討の余地はあったでしょう。しかし、「安全」を盾にしている以上、国民の自由や人権を侵害する方向で、運用されると考えるべきです。 ◆拡大解釈されれば、理由をこじつけて、国の“やり放題”となってしまう危険性も 次のポイントは、指示を出すための発動条件が、曖昧過ぎる点です。つまり、国の強権発動が乱用される恐れがあります。 条文では、「大規模な災害」「感染症のまん延」を挙げつつも、その他の「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」であっても、指示などの強権を発動できるようになっています。 この事態を拡大解釈すれば、理由をこじつけて、「やり放題」となる可能性があるわけです。 さらに問題なのは、こうした事態の認定を「閣議決定」のみで可能としている点です。 例えば、有事法制では、「武力攻撃事態」「武力攻撃予測事態」「存立危機事態」「重要影響事態」は、全て国会の事前ないし事後承認を必要としています。 災害については、国会承認を経ずして、自治体に指示を出すことができますが、今回の法案のように発動の条件があいまいではありません。 つまり、今回の改正案は、“お手軽”な条件で、“お手軽”に閣議決定で発動可能であり、ここが大きな問題なのです。 ◆国の権限が強化されても、本当に必要な「安全保障分野」で発揮される期待は薄い 一方で、国と地方自治体の関係の在り方として、安全保障面で大きな課題があることも事実でしょう。 例えば、沖縄県の米軍基地の辺野古移設の問題です。2013年時点では、最短で22年度でしたが、県の強烈な反対に遭い、現在では2030年代半ばに遅れる見通しです。しかし、辺野古移設は国家全体の安全保障の問題であり、「地方自治」のみで振り回してよいものではありません。 この沖縄の問題が、今回の地方自治法の改正で解消されるかと言えば、大いに疑問です。 法律に基づき「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と認定して、県に指示を出したとしても「条文の乱用だ」と反発され、指示には従わず、結局、裁判にもつれ込むのは目に見えています。 裁判になれば、県側の主張が認められる可能性もあります。従って、こうした問題の有効打にはなりえないでしょう。 こうした問題は、裁判の余地がないよう、個別法で、具体的に規定すべきと言えます。 ◆「緊急事態」と称して全体主義が入ってくる ですから同法案の結論としては、本来、国がリーダーシップを発揮すべき問題では効果は出ず、国民の自由や人権が制限されることになるでしょう。 コロナ禍では、多くの自治体は責任問題となることを嫌い、国の指示待ちの姿勢でしたが、今回の法改正で、正式に国の「お願い」が「指示」に格上げされれば、喜んでこれに従い、国民の自由を制限する対策を講じていくことになると考えられます。 大川隆法党総裁は、『コロナ不況にどう立ち向かうか』の第1章「政治について言いたいこと」で次のように述べられています。 「日本人はわりにお上の命令に忠実なので、『はい、はい』と言って従う気はあるのですけれども、『ちょっと気をつけないと、もう一歩で(全体主義に)行ってしまいますよ』というようなことは言っておかなければいけません。(中略)「緊急事態」と称して全体主義が入ってくるので、気をつけなければいけないところがあると思います。」 今回の地方自治法改正は、まさに「安全」を大義名分に「緊急事態」を煽ることで、国民の自由や人権が侵害され、全体主義への道を開く危険性のある法律です。 もちろん、「地方自治」を名目に、本当に必要な「安全保障」の問題が疎かになってはいけませんが、これには、災害対策基本法のように個別法でもって、解決を図っていくべきでしょう。 台湾有事に備えて、国民保護法の改正を!沖縄県民の生命を守るためには 2024.03.13 http://hrp-newsfile.jp/2024/4485/ HS政経塾第12期生 山城頼人 ◆台湾有事に備え、沖縄等の避難想定が進むも、現状では大事な視点が足りていない 近年、中国の習近平国家主席は台湾の統一についての発言を繰り返しており、専門家の間では、習主席の任期が終わる2027年までに、台湾の統一に向けて動くのではないかと言われています。 こうした台湾有事の際に国民の生命を守るために、「どのようにして避難をするか」ということが真剣に検討され始めています。 沖縄県の先島諸島(与那国島や石垣島、宮古島など)をはじめ、今年の1月には鹿児島県の離島の住民避難を想定した図上訓練が行われました。 今まで台湾有事に備えた訓練は行われていなかったため、実際に訓練を行って、課題を洗い出すことは重要なことです。しかし、大事な視点が抜け落ちています。それは、住民に対して「避難指示が出るタイミング」です。 ◆戦闘が目前にならないと避難指示を出せない!? では、なぜ「避難指示が出るタイミング」が問題なのでしょうか。それは、台湾有事が起きて、先島諸島周辺が戦闘区域に入ってしまえば、避難が困難になるからです。 特に与那国島は台湾から約110キロの近さに位置しているため、真っ先に巻き込まれてしまいます。ですから、いかに早く避難を始めるかが重要なのです。 しかし、現行の国民保護法だと避難は間に合いません。その理由は大きく二つあります。 一つ目は、現行法では「武力攻撃予測事態」にならないと国民への避難指示が出せないためです。武力攻撃予測事態とは、「他国からいつ攻撃を受けるか分からない切迫した事態」です。 例えば、沖縄の離島が軍艦で囲まれ、明確に攻撃が行われると予想される事態などがあげられます。つまり、もう戦闘が目前に迫っている状態なわけです。こうした状況下で避難指示が出たとしても、先島諸島の避難には間に合わないのです。 なぜこのような法律になっているのでしょうか。それは、戦後の行き過ぎた平和主義から諸外国や自治体に必要以上に配慮して、法律を整備し、複雑化していったからです。 二つ目が、住民を輸送する手段が事実上ないということです。そもそも、自衛隊は住民避難への輸送に協力する余裕はありません。自衛隊の主要な任務は外敵(敵国)の排除になります。 軍事大国である中国を相手に戦うと考えると、住民避難のための輸送力を提供するのは困難であるのが実情です。大地震のときのように人命救助に徹することはできません。 また、民間の運送会社(航空会社、海運会社)が住民避難の輸送に協力してくれるかも、実際のところ分かりません。 そもそも、民間の運送会社に、住民避難を手伝う義務はありません。もし、武力攻撃事態に至れば、民間船が攻撃されるリスクもあります。 このようなリスクを背負ってまで、運送会社が自社の社員を現地に送り出すのかは疑問に思います。 前提として、そのような危険な状況下で、民間企業に避難を行わせるような計画を当初から考えるべきではありません。 ◆早いタイミングで避難指示を出せるようにするには 以上の理由から、武力攻撃予測事態よりも、早いタイミングで避難指示を出すことができるように、国民保護法の改正を行うべきです。具体的には軍事衝突が深刻化していない段階である、「存立危機事態」と「重要影響事態」の両事態でも避難指示を出せるようにすることです。 存立危機事態とは、「日本と密接な関係にある国が攻撃を受け、日本の存立が脅かされる事態」のことを意味します。 例えば、米軍が中国から攻撃を受けた事態などがあげられます。重要影響事態とは、「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」のことを意味します。例えば、南シナ海における中国とフィリピンの軍事衝突などがあげられます。 先島諸島の住民が、安全な間にすばやく島外避難を行えるようにするには、このような法改正をするべきです。 そして、政府は、存立危機事態と重要影響事態の解釈の範囲に、「台湾と中国の軍事衝突」、また「軍事衝突の予兆」を含めて、普段からシミュレーションを行っていく必要があります。 その上で、国民保護法を改正して、早いタイミングで避難指示を出せるような体制を構築すべきです。 もちろん両事態でも、自衛隊は敵国への対応を強いられるので、災害時のように人命救助のみに力を割くことはできませんが、武力攻撃予測事態よりも時間的には余裕が生まれます。 この間に、民間とも協力しながら、住民の輸送を行うべきです。 ◆沖縄県民の生命を守るために、一刻も早い法改正を もちろん、他にも課題は山積みです。例えば、避難にあてる具体的な輸送力の確保、避難場所の確保、空港の滑走路の延伸工事や港の岸壁の工事、または島内にも避難できるように地下シェルターの建設などが必要となります。 しかし、そうした準備を行っていたとしても、避難指示の出るタイミングが遅ければ、沖縄県民の生命を守ることはできず、本末転倒になってしまいます。 このような事態を招かないためにも、一刻も早く国民保護法の改正を行うべきです。 そして、そもそもこうした事態を招くことがないよう、同時に国防の強化と戦略的外交を展開していくべきです。 【COP28】「脱炭素」は姿を変えた共産主義 2024.01.13 https://youtu.be/2pgch65UnaI 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東の産油国で開催されたCOP28 2023年11月30日から12月12日にかけて、UAE=アラブ首長国連邦のドバイ、エキスポシティで、気候変動対策を話し合うCOP28が開催されました。 しかし、10月7日のハマス攻撃、2022年からのウクライナ戦争と、世界中が温暖化防止よりエネルギー安全保障や経済を優先せざるを得なくなり、温暖化防止への熱意は失速してきています。 昨年ウクライナ戦争で石油価格が高騰したので、バイデン大統領はOPECに石油の増産を求めました。 ところが普段は「温暖化防止だ、石油を使うな」と言っておきながら、増産を頼み込むバイデン大統領への反発は大きく、ほとんど増産に応じませんでした。 逆に中国の仲介で、昨年3月にサウジとイランが外交を正常化するなど、存在感を見せてきました。 ◆「CO2温暖化説」はfake science 今回のCOP28の議長は、UAEスルタン・アル・ジャベル産業先端技術大臣ですが、11月21日のオンラインイベントで化石燃料の段階的廃止の必要性を問われ、「科学的根拠はない」などと発言をし、批判の声が上がりました。 「人為的CO2温暖化説」は「fake scienceだ」とする科学者は世界中いて、アメリカ人の過半数の人は、脱炭素などまったくの無駄だと考えています。 ◆グローバルストックテイク 今回の合意内容をみると、「パリ協定」の枠組みの下、「グローバルストックテイク」について初めての決定が採択され、特徴は二つあります。簡単に言うと、「トップダウン」と「ボトムアップ」です。 (1)トップダウン型 トップダウン型の「世界共通目標」として、「産業革命以降の気温上昇を2度以内に抑え、できれば1.5度努力する」などの枠組みを決めました。 (2)ボトムアップ型 その共通目標のもと、各国が、国情に合わせて「自主目標」を設定します。 日本は「2030年までに、13年度比45%削減、さらに長期的には2050年にカーボンニュートラルを達成する」という目標を立てています。 この「自主目標」を実効あらしめるため、進捗を定期的に評価する仕組みを「グローバル・ストックテイク」です。「ストックテイク」とは「棚卸」の意味です。 ただ、自主目標なので、各国の目標を積み上げると2030年には2010年比で14%増えてしまいます。 さらにCOP26のグラスゴーで「1.5度目標、2050年カーボンニュートラル」を強調したために、2030年までに2010年比で45%の削減、すごい勢いで減らさなくてはなりません。 コロナで経済活動が停滞した2020年で、わずか5.8%減なので、中国のように2030年をピークに、その後から減らします。またインドのように2030年以降も排出を増やす国もあるので、形骸化は確実です。 ◆合意内容 ではCOP28の合意内容を見てみます。 ・およそ10年間で化石燃料からの移行を加速 ・2030年までに世界の再エネ設備容量を3倍に ・途上国を支援する基金への先進国の一層の貢献を呼びかけ(ロス&ダメージ基金) 最大の争点は「化石燃料」の扱いです。これまで言及されてこなかった石炭や石油、ガスなどすべての「化石燃料からの脱却」を、産油国開催のCOPで打ち出せるかが焦点になっていました。 ところがやはり、各国の合意を取り付けることができませんでした。 当初は「化石燃料を削減する」という言葉でしたが、化石燃料の消費と生産の両方を削減する。最終的には、化石燃料からの移行を進め、この重要な10年間の行動を加速するという文言になりました。 また、「排出削減対策を講じない石炭火力」についても、当初案では、「段階的廃止(フェーズアウト)」という主張があったのですが、サウジアラビアや、ロシア、中国などの反対で「段階的削減に向けた取り組みを加速」という表現に「後退」しました。 「加速」について定義があるわけではないので「抜け道だらけ」と言えばその通りです。 ◆「化石燃料の脱却」は極めて非現実的 では、化石燃料から「脱却する」ことはできるのかというと、無理です。 現状、世界の一次エネルギー(加工されていないエネルギー)のうち、8割は化石燃料に依存しています。 温室効果ガス・世界最大の排出国である中国を筆頭に、多くの国がエネルギーの8割以上を化石燃料に依存しています。現代文明に必要な鉄鋼やプラスチック、農業で必要な肥料もCO2排出が前提です。 アメリカも「化石燃料を削減すべき」としていた欧州に同調していますが、「削減する」どころか、今、欧州向けの石油を増加させています。 米国エネルギー情報局(EIA)によると、ウクライナ紛争でロシア制裁の一環でロシア産石炭を輸入禁止措置が取られるようになってから、2022年8月~23年7月までの一年間、アメリカ産石炭の欧州への輸出が前年比22%増の3310万トンに拡大しています。 また、米国を含めた北米(米国、メキシコ、カナダ)で、LNG(液化天然ガス)の輸出基地建設が急拡大しています。2027年までにLNGの輸出能力は現状からほぼ倍増の見込みです。 二枚舌のアメリカのリーダーの姿を見れば、他国が真面目に取り組むわけもありません。 ◆中国を利するだけの再エネ目標 COP28の合意内容の2点目」は、「世界全体で再エネ設備容量を2030年までに3倍」という目標が掲げられました。 再エネの太陽光や風力発電の設備には、重要鉱物が必要ですが、これは、世界のシェアを占める中国への依存を強めることになります。 参考;山本隆三「COPで表明、再エネ3倍増 阻む重要鉱物の中国依存」 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/32285 ◆途上国支援で環境マネーは国際規模に 3点目に、「ロス&ダメージに対応するための基金」を含む、途上国支援のための先進国の支援の大枠が決まったことです。 ロス(損失)というのは、気候関連災害で失われたもの、ダメージを受けた被害を指します。 基金は世界銀行のもとに設置し、立ち上げ経費は先進国が出すことなどが決まり、日本を含む各国から「いくら出します」という誓約(プレッジ)が行われました。 岸田文雄首相も、立ち上げ経費として1000万ドル(約15億円)の拠出を表明しています。これまでのところ、世界で合わせて7億9200万ドルが拠出されています。 「支援を受けるのは気候変動の影響が大きい脆弱な途上国」に絞り、「先進国を中心に、義務でなく、自主的な資金拠出を求める」などで合意しましたが、ウクライナ戦争でも「支援疲れ」が起き、自国の防衛に回す必要も高まっています。 となると、途上国は「支援がなくなれば削減しません」ということになるのは必定だと思います。 化石燃料を使って豊かになった先進国が、途上国の経済発展に必要な化石燃料の利用に反対して太陽と風力だけというのは、価値観の押し付けだ、エコ植民地主義だという反発も当然でしょう。 本質的には、先進国からお金を吸い上げようとする「共産主義」の発想で、今回支援のための金額は過去最大に増加しました。 しかし、これらの資金公約は、計画を実施し、途上国を支援するためにははるかに及びません。途上国を交えてこの目標を達成するには、金額ベースで、年間1000億ドルという資金が必要で、現実的ではありません。 ◆「脱・脱炭素」が必要 今回のCOP28で掲げられた目標は、実現すれば西側先進国の没落の引き金ともなるものばかりです。 岸田首相は「すでにおよそ20%を削減し、着実に進んでいる」と世界にアピールしましたが、その陰で、莫大な負担に苦しむ国民がいます。 民主党政権時代から始まった「再エネ全量買い取り制度」で太陽光発電を大量導入した結果、再エネ賦課金として、いま国民は毎年2.7兆円を電気料金に上乗せされています。 また日本政府は「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」と称して、官民合わせて今後10年間で150兆円を超える脱炭素投資を行うとしています。そのうち、20兆円規模は政府がGX移行債を発行して調達します。 その償還には「カーボン・プライシング」、つまり企業などの排出するCO2に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法を導入すると見られます。 日本は大きな目標を掲げ、国際舞台で資金を拠出しているうちに、国内は倒産、失業の山になるでしぃう。 日本の全産業を停止させて化石燃料を全く使わなかったとしても、世界の排出量の5%しか現象せず、それで下がる気温は0.00002~0.00004度と言われます。 来年のアメリカ大統領選でトランプ大統領が復活すれば、「パリ協定」どころか「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」からの脱退の可能性もあると言われています。 日本も世界統一政府のような全体主義的な動きから距離を置き、無駄な脱炭素方針を根本的に見直しすべきです。 最適なエネルギー政策が必要ですし、また、それを支えるため、いまは無き「長銀」のような、強靭な金融を復活させなければなりません。 ◆原子力の設備容量を2050年までに3倍に 一つだけ良かったのは、COP28の合意文章で初めて、原子力への言及があったことです。 「世界全体で原子力の設備容量を2050年までに3倍にする」という宣言には、アメリカや日本をはじめ22か国が署名しました。 脱炭素に向けた電源の大量確保という文脈で出てきた文面とは言え、日本にとっても国益に適うものです。 経済同友会が、「縮・原発」から「活・原子力」に転換するという提言を出しましたが、政治の責任として、再稼働・新増設に向けて迅速に舵を切るべきです。 世界の海運・石油大手も紅海ルートを避け、喜望峰を迂回する航路へ切り替えています。石油の95%を中東に依存する日本は安穏としていられません。 最後に、幸福実現党の大川隆法総裁は、2009年の立党時に、次のように述べておられました。 「CO2の増加によって、地球が温暖化し、破滅的な最後になる」という考え方は、一種の終末論」と喝破され「そうなることはありえません。必ず地球の自動調整装置が働きます。CO2の増加と温暖化とは特別な因果関係はないのです。(『幸福維新』/第一部 夢のある国へ2009年7月3日「ミラクルの起こし方」) そして、「姿を変えたマルキシズムに気をつけなければいけない」と警鐘を鳴らされました。 いま、私たちの住む地球のシステム自体が人間の想像を超え、はるかに安定的であることも分かってきていますが、人間の浅知恵では計り知れない地球を創造された神の叡智に、思いを馳せる必要もあると思います。 アメリカに違法な中国バイオラボ。感染媒介にマウス使用?エイズ、エボラ…バイオセキュリティに深刻リスク 2023.12.01 https://youtu.be/_bkoIQormuI 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカで発見された中国「違法バイオラボ」 11月15日、アメリカ下院の「中国共産党に関する特別委員会」が、「リードリー・バイオラボへの調査について」というレポートを発表し、アメリカを中心に大きな話題になっています。 リードリーというのはアメリカ・カリフォルニア州フレズノ郡にあり、2万6000人が住む、農業が盛んな田舎の町です 今回、そんな田舎町にあった「空の倉庫」だと思われていた建物が、実は中国共産党とつながりがある、危険な「バイオラボ」で、ここから多数の病原体が発見されました。 これは米国のバイオセキュリティにおける深刻なリスクであり、下院議会の注目に値する案件であると報告されたのです。 ◆中国「違法バイオラボ」の実態 中国のバイオラボのすぐ近くには、住宅地や高校、鉄道路線や市役所などがあります。 「違法バイオラボ」の発見は、2022年12月、フレズノ郡の公衆衛生局職員ジェサリン・ハーパー(Jesalyn Harper)氏が、その建物の壁に「ドリルで開けた穴」から「ガーデン用のホース」が伸びているのを見つけたことがきっかけでした。 それは明らかに地元の建築基準法に違反しており、ハーパー氏はその建物の立ち入り調査を行いました。 中は実験器具や装置がひしめき、白衣を着用し、マスク、ラテックス手袋を着用した中国人がおり、悪臭を放つケージのなかには、1000匹の実験用マウスがいたというわけです。 今年2023年3月以降、地元当局と連邦政府などが立ち入り調査をした結果、そこから大変な実態が明らかになり、下院議会で報告がなされたのです。 違法なラボからは、たくさんのアンプルが見つかり、エイズHIV、マラリア、結核、Covidコロナウイルスなど、判明したものだけで、少なくとも20種類の感染源となる病原体が発見されました。 中には、驚くべきことに「エボラ」とラベルの貼られた冷凍庫もありました。 エボラ・ウイルスに感染することで引き起こされる「エボラ出血熱」は、致死率25~90%にものぼります。 ヒトからヒトへの感染があり、かつ治療法が確立されていないため、エボラ・ウイルスは、細菌やウイルスなどを扱う実験施設の分類である「バイオセイフティレベル4(BSL-4)」に分類されています。 このリードリーのラボはもちろんレベル4でないどころか、実験施設としてのライセンスもありません。 この違法ラボで発見された1000匹の実験用マウスは、ヒトの免疫システムを模倣するように遺伝子操作された「トランスジェニック・マウス」でした。 ラボで働いていた中国人の研究員が語ったことによると、このマウスは「新型コロナウイルスに感染させ、媒介するように設計」されていたことがわかりました。 ということは、ネズミを使ったバイオテロが可能だということでしょうか?大変なことです。 ◆ラボ運営者と中国共産党とのつながり 調査により、この違法ラボは祝加貝(Zhu Jia Bei)という中国人によって運営されていたことが明らかになりました。 祝加貝氏は、アメリカの知的財産を盗んだとして、3億3000万カナダドル(約360億円)の罰金判決を受け、カナダ当局から指名手配を受けていました。 さらに祝加貝氏は、河南省新郷県のバイオ技術関連企業(Pioneer Aide China)など、中国国営企業の幹部で、「軍民融合」の企業とつながりがあったことが判明しています。 軍民融合とは、人民解放軍のもと、民間技術をいつでも軍事転用できるようにしている企業のことです。 そして、中国の銀行から数年の間に、少なく見積もって百数十万ドル、億単位の、説明のつかない支払いを受けていました。 中国共産党と密接な関係のある人物が、アメリカの片田舎にあるバイオラボで秘密の実験をしていたわけです。 ◆アメリカで「コロナ武漢流出説」の声 ここで誰もが念頭に浮かぶのは、中国の武漢にあるウイルス研究所です。 2019年12月に武漢で原因不明の感染症が拡大する中、その震源地となったのではないかと指摘され続けてきましたが、中国は隠蔽を続けてきました。 ウイルスは自然発生ではなく、人為的な改変の痕跡があることは多数の専門家が指摘しているところです。 今年2月には、アメリカのエネルギー省も「武漢流出の可能性が高い」というレポートをまとめています。 また同月、アメリカ連邦捜査局FBIのクリストファー・レイ長官も「武漢ウイルス研究所の事故である可能性が最も高い」と発言したりしています。 3月には、アメリカ下院の「コロナウイルスのパンデミックに関する特別小委員会」が開かれ、「武漢流出説」とともに、生物兵器としての利用につながらないような監視体制の必要性が話し合われています。 残念ながら、日本では政治もメディアも「中国の責任追及」には完全に及び腰です。 ◆パンデミック条約 いま、いわゆる「パンデミック条約」と呼ばれる、国際的にパンデミックの予防と備えをしていこうという趣旨の、WHOの新たな法的文書の作成が進んでいます。 これについて「各国の主権を侵害する」「ワクチンが強制になる」などという説も飛び交っているのですが、現時点の草案には、加盟国の主権を奪うような記述はなく、ワクチンや治療薬、検査薬などを途上国にも供給することが主目的とされてはいます。 「国際機関で定められた規制」という「大義名分」を掲げれば、より「感染症対策」が強化される懸念は確かにあります。 その意味で、一定の問題を含んだ内容ではありますが、国際機関が各国にルールを強制したり制裁を加えたりすることはできません。 憲法は条約に優先するので、結局は「日本は国としてはどうするのか」という主権の問題です。 日本では「感染症対策」の名目で、マスクやワクチン接種が事実上の強制となり、メディアも国民も空気に支配されました。 政治が、自由を侵害する「全体主義」に向かうなら、「緊急事態条項」規定などの動きには、警鐘を鳴らしていくべきであると考えます。 そして、決しては忘れてはならないのは、コロナ問題を引き起こした中国の責任追及です。 バイデン政権はじめ、中国との癒着が問題視されている政治家や政党、メディアによって、中国の責任追及をうやむやにしようとする圧力は常にあり「ごまかし」「すりかえ」が見られます。 中国がウイルスの起源はアメリカに焦点を当てるべきであると主張してきたことも忘れてはなりません。 幸福実現党の大川隆法総裁は、次のように指摘しています。 『宥和政策の一つで、「自然に発生したかもしれないし」というようなことで見逃していたら、次のものを使ってくることもありえるということは知っておいたほうがいいのではないかと思います。』(『メシアの法』) 全世界7億人が感染し、700万人が亡くなっているのです。このような巨悪を二度と起こさせないためにも、決して、ごまかしたりウヤムヤにしたり、論点をすり替えたりすることなく、中国の責任追及をやっていかなくてはなりません。 すべてを表示する 1 2 3 … 101 Next »