Home/ たなべ 雄治 たなべ 雄治 執筆者:たなべ 雄治 HS政経塾 三期生 集団的自衛権などの防衛強化は外交に直結する 2014.06.30 文/HS政経塾3期生 たなべ雄治 ◆中国の拡張主義がもたらす危機 尖閣諸島をめぐり、領海・接続海域への侵入や軍用機の異常接近など、中国の挑発はエスカレートしています。また、ベトナムやフィリピンなどは、日本以上に危機を感じていることでしょう。 中国の脅威にさらされるアジア各国にとって、頼みの綱はアメリカの軍事力です。しかし財政難と世論に引っ張られ、アメリカは世界の警察から降りようとしています。 将来を見すえるならば、アジア各国はアメリカ依存から脱却して、自分たちの力で平和を維持できるように変化・成長することが望まれます。 ◆外交による抑止 アジアの各国は、中国の侵略に協力して対処することが必要です。もしお互いに助け合うことなくバラバラのままであったら、中国に各個撃破されてしまうでしょう。 南シナ海のもめごとの原因は中国ですが、「二国間での交渉」を主張して、フィリピンが求める国際司法裁判所の仲裁にも応じようとはしません。力の差のある二国間協議に持ち込みたい中国に対抗するには、アジア諸国の協力関係が有効です。 ◆インドの重要性 アジア各国との協力関係の中でも、特にインドの重要性を強調したいと思います。以下にその理由を述べます。 インドは、中国と領土問題を抱えています。1962年には中国の奇襲を受け、敗北を喫しており、中国の拡張主義には危機感を持っています。 また、インドは民主主義国家です。中国のような全体主義を嫌い、日本やアジア、欧米の民主主義国家と共通する価値観を持ちます。 さらに、経済的な重要性もあります。軍事費はGDPに依存します。今後数十年のGDPの予測では、日本もインドも、単独では中国の経済力にかないません。しかし、日本とインドを足せば、中国と拮抗することが可能です。 加えて、日本とインドは、海上輸送路(シーレーン)の3分の2が重なっています。中東から東南アジアにかけて、航行の自由を協力して守ることは、相互利益につながります。 最後に、日本とインドには、領土問題が発生しません。安定した友好関係を築くことが可能です。 ◆インドの外交姿勢 ではインドと同盟を結べばよいかというと、そう簡単ではありません。 今年の五月には、インドで“世界最大の総選挙”が行われました。経済成長を政策の柱に掲げたナレンドラ・モディ氏率いるインド人民党が大勝し、10年ぶりの政権交代が起こりました。 経済停滞に悩むインドの有権者は、州知事時代に経済成長の実績があるモディ氏を選択したのでした。 ゆえに、モディ首相はインドの経済成長を最優先に考えるでしょう。それは、インドの対外貿易額1位である中国との敵対を避けることを意味します。 この選択は、インドにとってはごく当然のことなのです。インドは1947年の独立以来、「非同盟」を国家戦略の柱にしてきました。仮想敵を作ることをせず、徹底した全方位外交を行ってきました。 近年「非同盟」は建前化してきているとも言われていますが、中国と敵対する選択=「日印同盟」はあり得ないのが現実でしょう。 ◆一国主義では長期的に生き残れない 政治は国益を最優先に考えるのが当然です。インドの国益から考えると、経済成長のためには中国との良好な関係が重要です。 しかし、長期的に見るとどうでしょうか。 もしもインドが中国との経済協力を優先させ、日本や東南アジア諸国が中国の支配下に置かれることを黙認したとしましょう。中国は、西太平洋までの制海権を確保し、アメリカをアジアから追い払うことに成功します。 しかし、それだけでは止まりません。資源と食料が不足する中国は、次はインド洋のシーレーンを押さえに来るでしょう。 その時インドは、さらに強大になった中国に単独で対抗せねばならなくなります。これはインドにとって望ましい未来ではないはずです。 国益とは経済だけではありません。全体主義国家による危険性の排除、自由や人権といった価値の実現も含まれます。 インドの考え方を学びつつも、日本の考え方をインドの為政者や有権者に説明し、共有していくことも外交の仕事のひとつです。 現時点では、インドの対中関係に理解を示しつつも、戦略の相互理解を進め、軍事的な協力関係の準備を進めていくべきでしょう。 ◆最大のネックは日本にあり しかしながら、中国の拡張主義に対して日印が協力して対抗できるかというと、残念ながら道程は遠いと言わざるを得ません。 集団的自衛権が認められることは大きな前進です。友好関係にある国が攻撃された時に協力して反撃することは、同盟の最低条件だからです。 しかし、それでも不十分です。例えば専守防衛も同盟にとって大きな障害です。反撃しか許されないのであれば、第一撃が大量のミサイル攻撃だった場合、全滅する恐れもあります。 根本的には、憲法を改正し、世界の民主主義国家と同レベルのルールで運用される軍隊が必要です。 現状では、いかなる同盟も不可能です。アジアの平和を守るためには、憲法改正は絶対条件です。 ウクライナ問題――日本の国際的なプレゼンスを増すチャンス 2014.04.21 文/HS政経塾3期生 たなべ雄治 ◆外相級4者協議、具体的解決には至らず ロシアとウクライナ暫定政権が初めて同席して行われた外相級4者協議ですが、見解の相違を残したまま具体的プロセスにまでは踏み込めず、事態はこう着しています。 ウクライナと欧米、ロシアの間で相互不信に陥っているようです。 欧米の立場では、ロシアがウクライナのEU傾斜を断固阻止し、旧ソ連圏の復活を狙っているように見えているのでしょう。 一方のロシアからは、2004年に起こったウクライナのオレンジ革命で親EUのユシチェンコ大統領が誕生したのも、2月のヤヌコビッチ大統領が亡命したのも、欧米の差し金に見えるでしょう。そして、民主化の圧力でプーチン政権を崩壊させたいという欧米の意図を感じ、危機感を抱いているのではないでしょうか。 ◆ウクライナ、ロシア、EUが経済的打撃を受けている このままこう着状態が続くことで、少なくとも経済的には得をする国はありません。 ロシアではプーチン大統領の支持率が80%を超えていますが、同時に経済に最も力を入れるべきと答えた人は60%を超えており、プーチン政権とて経済を無視できません。 経済制裁は交易を滞らせ、誰にも恩恵を与えません。一刻も早い事態の解決が望まれます。 ◆民主化は、急がば回れ 今回の混乱の遠因として、EU圏の急速な拡張主義にも問題があるように思われます。「民主化至上主義」とでも言うべき間違いを犯しているのではないでしょうか。 急激な民主化、押し付けの民主化が成功した事例はありません。イラクでもアフガニスタンでも、「民主化は失敗した」と結論付けて良いほどの混乱に陥っています。 民主化さえすれば事態は好転する、というのは幻想です。 なぜなら、民主化において真に難しいのは「普通選挙の実施」ではなく「民主主義の定着」であり、それには長い時間をかけたプロセスが必要だからです。定着させるためには、国民の民主主義に対する理解と、経済成長が欠かせません。 経済成長が必要な理由は、政情を安定させるためです。ウクライナの政変も、その背景には経済停滞に対する不満がありました。 親EU派は、EU化が進めば経済成長を実現でき、繁栄を享受できると考えているようですが、果たしてそうでしょうか。そもそもEU自体が、経済はドイツ頼み、経済発展に成功しているとは言い難い状況です。 ◆地域安定を考慮した現実的な妥協点 民主化を急ぐばかりが、方法ではありません。台湾やシンガポールを見ても、国の発展過程において、時に民主制よりも強力なリーダーシップが必要であるというのは事実でしょう。安定の中で経済成長を進め、政治と経済を成熟させていく必要があります。 ロシアも、民主化する段階ではないと考えているのではないでしょうか。だとすると、ロシアが求めるのは急激な民主化に対する防波堤、政治的な意味での緩衝国です。ウクライナという緩衝国が無くなった今、新たな緩衝国のために、ウクライナ東部の自治権拡大を要求しているのでしょう。 このあたりが妥協点ではないでしょうか。地域安定を重視するならば、ウクライナと欧米は、クリミアのロシア編入を認め、ウクライナの連邦制導入を進めるべきです。 そしてロシアは、親EUのウクライナ暫定政権と次期大統領選挙の正当性を認めるべきでしょう。 ◆欧米、中露との板挟み。どう乗り切るか ロシアとの経済関係が薄いアメリカは、強硬に経済制裁を主張しています。尖閣問題などで日米関係が無視できない日本は、対ロ経済制裁をせざるを得ないでしょう。 また対ロ制裁をしなければ、中国が図に乗って尖閣への圧力が強まる可能性もあります。 しかし一方で、ロシアを追い詰め過ぎることで中国と手を組むような事態になれば、日本にとっては厳しい状況となります。 アメリカとの関係を維持するために表向きは制裁に加わりながらも、中露を結び付けないために水面下でロシアに「日本は決して見捨てない」という固い意思を伝えておくべきでしょう。 そして妥協点に向けて、仲介の労を取るべきです。この事態を逆手に取れば、日本の国際的なプレゼンスを増すチャンスであるとも言えるでしょう。 価値観外交を考える――民主主義と核不拡散条約 2014.02.12 文/HS政経塾 三期生 田部雄治 ◆中国の脅威 現在、アジアにおいて最も大きな不安定要因の一つは、間違いなく中国の軍事的な拡張でしょう。 急激な軍拡を進め、南シナ海の島々の実効支配を進めています。尖閣諸島の領有権を主張し、防空識別圏を設定し、南シナ海の漁業を一方的に制限するなど、日本をはじめ、フィリピンやベトナムなどに脅威を与えています。 先日フィリピンのアキノ大統領は、中国をナチスになぞらえて批判をしました。 またアメリカも、防空識別圏の設定や尖閣諸島の領有権主張に対し、国際ルールを順守するよう、中国を非難する声明を出しております。 南シナ海は、日本の原油の90%が通過する重要なシーレーンであり、中国に支配されることは日本にとって致命的です。 ◆日印外交 日本とインドは、民主主義国家であり、歴史的にも大変友好的な関係にあります。 またインドは、インド洋にも進出を図る中国に対しとても脅威を感じており、中国の侵略を食い止めたいという点でも利害が一致します。 先月26日から、安倍首相は訪印してインドのシン首相と首脳会談を行いましたが、日本とインドで、様々な協力関係の構築について話し合われ、大きな成果が得られました。 ところが一点、インドの抑止力としての核実験を認めるかどうかで、折り合いが付きませんでした。 ◆インドの安全保障 1962年、インドは中国から一方的に侵略を受けました。この通常兵器による戦争において、インドは大敗北を喫しました。 しかもその2年後に中国は原爆実験を成功させ、さらに3年後には水爆実験も成功させました。 以上のような背景から、インドが核武装をせざるを得ないと判断したのも無理もないことでしょう。 核実験の実施後、インドは一時経済制裁も受けましたが、核実験を自主制限し核拡散も行わないという宣言をして、国際社会に復帰しました。 インドの核実験は自主規制であり、中国に対して一定の核抑止力が認められた形となりました。アメリカもこの前提で、米印原子力協力協定を結んでいます。 ところが上記の日印首脳会談では、日本がインドの核実験を認めなかったために、日印原子力協力協定は結べませんでした。 慢性的な電力不足に悩むインドに、原発の輸出が出来ないということを意味します。インド経済にとってはマイナスです。 ◆核不拡散条約(NPT)の矛盾 インドの経済の発展は、インドの軍事力を支えます。インドの軍事力は、インド洋の安定のための大きな要因であり、インドと日本のシーレーンにとっても重要です。 核不拡散条約によって、世界最大の民主主義国家であるインドが損をして、世界最大の専制国家である中国が得をすることになります。 核不拡散条約を厳格に守ることが自由と民主主義を危機に陥れる、という矛盾が発生しているのです。 ◆核不拡散条約を疑え 核不拡散条約は、核兵器が広がることを防ぐことに一定の役割は果たしてきました。しかしここにきて、限界が現れてきました。 そもそも核不拡散条約は、大変不平等な条約です。1967年1月1日までに核兵器を保有した米・露・英・仏・中の5か国にのみに核兵器保有と核実験の権利を認め、その他の国には認めないという条約なのです。 このうち米・露・英・仏の4か国は核実験の自主制限をしていますが、中国はしていません。また、中国がインドに隣接するパキスタンに核技術を供与したことは、公然の事実と言って良いでしょう。 核不拡散条約は、核兵器を作り続ける中国を止めることが出来ません。しかもその中国によって危機にさらされている民主主義国家・インドの安全保障にとって障害となっているのです。 国際ルールを守らず、自国の都合で好き放題する専制国家・中国をのさばらせるだけの核不拡散条約であるならば、改めなければなりません。 日本としては、アメリカ同等の条件でインドと日印原子力協力協定を結び、互いの経済発展を実現させるべきです。そのうえで、シーレーンの共同防衛を図るべきでしょう。 自由と民主主義という価値観を広げることを目的として、積極的に国際社会に働きかける外交をするべき時が来たのです。 軽減税率という甘い罠 2013.12.02 ◆政局と税制 公明党の強いプッシュに押される形で、安倍首相が消費税の軽減税率の検討を命じました。 目下、軽減税率の導入に積極的な公明党と、消極的な自民党・財務省の綱引きの様相を呈しています。(12/1産経「『師走闘争』に走る公明党 軽減税率論争の行方は」) また公明党は、消費税の10%への増税も推していました。この背景については、青山繁晴氏が興味深い報告をされておられます。 公明党と財務省の密約が存在するというのです。公明党は、軽減税率を公約に掲げており、何としても実現したいところでしょう。 財務省は、軽減税率は税収が減るので、導入はしたくないのですが、税率が上がれば話は別で、軽減税率を導入する旨味が十分にあります。 どの分野に軽減税率を適用させるか、という巨大な裁量権を手にするからです。この裁量権をテコに、天下り先には困らないことでしょう。 安倍首相はと言うと、アベノミクスの成功が最優先で、10%増税には消極的だそうです。 そこで財務省が、軽減税率を認める代わりに、消費税増税10%を実現させるということで、公明党と密約を交わしたというのです。 以上が、青山氏の発言の概要です。(11/16「アンカー青山繁晴のニュースDEズバリ」) ことの真相は分かりませんが、ともあれ国益とは関係ないところで税制論議が進んでいるとすれば、不届き千万です。 ◆そもそも軽減税率は善か悪か ところで、軽減税率という制度自体を、どのように考えるべきでしょうか。 軽減税率とは、低所得者への消費税の負担を軽減する目的で、食料品などの生活必需品に限定して、低く抑えられた税率のことです。一見、低所得者に優しい税制のように見えます。 しかしここで問題になるのが、「生活必需品」を決めることが出来るのか、ということです。例えば、一体どんな服だったら生活必需品で、どんな服が贅沢品だと言うのでしょうか。 100グラム何円のお肉だったら、生活必需品のお肉だと言うのでしょうか。そのルールを決めるのに、適切な基準はありません。 探しても見つかりませんし、そもそも誰かを説得できるような、そんな明確な基準は存在しないのです。だったら、どうやって決まるのでしょうか。 正しさの基準が無い中で決めなければなりません。ですから、幾つかの業界や政治家の強い意向を材料にして、官僚の裁量で決めるしかなくなる訳です。 ◆複雑なルールは、静かに自由を奪う 国民の自由を保証するのは、私有財産の権利です。お金が自由に持てて、自由に使えるから、国民は自由に経済活動をすることができます。 そして、国民の自由を奪ってきたのは、権力者の裁量による課税です。そういった権力者の裁量を抑制するために、議会や憲法が発明されたのです。 だからこそ、現代においても、官僚に裁量を与えるような政策を選択してはなりません。 裁量の余地が無いように、ルールにはシンプルさが必要です。シンプルな制度は、官僚の裁量を拡大させないためにどうしても必要な条件なのです。 軽減税率も累進課税も、一見、低所得者に優しく見えます。 しかし、軽減税率や累進課税に、寄って立つべき正しさが見出されない以上、この制度の中で自由を守ることはできないでしょう。 ◆複雑さの中に、自由を奪う罠がある 様々な状況がある中で、「結果の平等」を実現しようとすると、多くの規制や累進課税によって、制度は複雑になるばかりです。 複雑ゆえに、官僚は裁量を働かせやすく、また官僚の人数も増えて、大きな政府が出来上がってしまいます。複雑な議論の中で、国民の自由は危機にさらされることになるでしょう。 私たち国民は、機会の平等に向かう政策か、結果の平等に向かう政策か、見極めなければなりません。 複雑な議論には、その背景にあるやましさを疑いましょう。その複雑さの中に、自由を奪う罠が潜んでいます。 「機会の平等」に複雑さは不要です。税制論議は自由を守るための戦いです。幸福実現党は自由を守るために戦い続けます。(文責・HS政経塾 三期生 田部雄治) 消費増税3つのウソ 2013.09.23 ◆まだ消費税増税は決まっていない 昨日のHRPニュースにも記載されている通り、安部首相が消費税8%増税を決断したかの如き報道がなされては、菅官房長官が訂正する、という茶番劇が繰り返されています。 いずれにせよ、安倍首相の消費増税に関する決断は10月に入ってからです。 幸福実現党は、9月23日には千葉県本部が「消費税増税の中止を求める!国民デモ」を開催致しましたが、最後の最後まで消費増税に反対して参ります! さて、「消費増税が必要だ」という議論には、ウソが多いことが気になります。 ◆ウソ1:増税したら税収が増える 財務省をはじめとする増税論者は「消費増税したら税収が増える」という嘘を宣伝しています。 確かに、「増税したら税収は増える」とお考え方はまだまだ多いのではないでしょうか。 しかし、幸福実現党が繰り返し述べている通り、消費税を増税しても税収は増えません。 このことは、日本経済は1997年の3%から5%への消費税増税時に既に経験しています。 実際、97年度以降、消費税収は毎年度4兆円増えていますが、消費増税による景気悪化により、所得税収や法人税収が大きく減っています。 翌98年度から2012年度までの15年間で、97年の税収を僅かに超えたのは2回で、それ以外の13ヶ年は97年度より大きく税収が減っています。 「東京オリンピックが決まったので、消費増税しても大丈夫だ」という議論も危険です。 なぜなら、イギリスでも2012年にロンドンオリンピックがあったにもかかわらず、付加価値税増税のために景気は回復できなかったからです。 2011年にイギリスで付加価値税(日本の消費税に相当)を2.5%増税した後、景気悪化のためにトータルの税収が減ったのです。 本当に税収が増えて財政が健全化するのであれば良いですが、増税によって税収が減ることが明らかである以上、消費税増税には反対するしかありません。 ◆ウソ2:増税しなければ国債が暴落する 消費増税推進派はしばしば、「財政再建のための増税をしなければ国債の信用を失う」と主張しています。 しかし、財政再建をしたいのであれば、そもそも税収を減らすような増税をしてはなりません。 日本国債の信用が高いことは、何よりも市場が証明しています。 日本は世界一の債権国であり、日本国債の9割以上は日本国民が引き受けています。 また、債務から資産を除いた純債務は、日米ともにGDP比約100%と変わりません。増税派が危機を煽っているだけです。 ◆ウソ3:景気が回復している 消費税増税法案には「景気条項」があり、首相が「景気が回復していない」と判断すれば、消費増税は中止できます。 そのため、増税推進派はしばしば「景気は順調に回復している」と言っております。しかし、これもウソです。 「消費者物価指数が上昇していたら景気は回復している」と言えます。しかし、消費者物価指数の算出方法に問題があります。 日本の消費者物価指数は、物価変動の大きい生鮮食品を除いて計算しています(コアCPI)。この数値は確かに+2.6%とプラスになっています。 しかし、世界標準となっている消費者物価指数は、エネルギーも除いて計算しており、この計算方法と用いると(コアコアCPI)、なんとマイナスです。 つまり、消費税増税推進派が言っている物価上昇は、昨今の原発停止による原油高の影響が大きいのです。 さらに円安の影響も加味されます。円安による原価コストアップによって、物価が押し上げられるからです。 しかも、民間消費の増加分は、資産効果によるものと言われています。つまり、所得が増えて消費が増えているのではないのです。 景気が回復しているのであれば、物価上昇に対して所得の上昇が上回らなければウソです。 また、民間設備投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は、6、7月と減少しています。 企業の設備投資がまだ回復していない以上、決して増税してはなりません。 ◆政治の都合で国民を犠牲にするな! 増税をせず、景気回復まで耐えることこそ、成長戦略に沿った最上の策です。 増税ではなく、景気回復による税収増を期待すべきです。そして、成長戦略によって、新産業を生み出すような分野に財政投資するべきです。 消費増税には、政治的な理由が大きいのではないでしょうか。 増税が延期になれば、自民党内の増税推進派が黙っておらず、安倍政権の党内基盤が弱くなると言われております。 政治的な理由で、また国民が犠牲となるのでしょうか。しかし、政治は国民のためにあるのではないのでしょうか。 安倍首相の本音は、消費税増税の延期や縮小を求めている本田悦郎教授と浜田宏一教授を内閣官房参与にしていることからも、増税ではなく、脱デフレにあると思われます。 安倍首相には、信念のある政治を見せて頂きたいと思います。そして「国益」を判断基準とした英断を望む次第です。(文責・HS政経塾 三期生 田部雄治) 財務省――亡国の予算権力 2013.06.20 防衛強化を妨げる「国賊集団」 昨日のHRPニュースファイル「中国の『三つの脅威』と国を護り抜く覚悟」で述べたように、今こそ国防強化が急務です。 しかし、その「最大の敵」は、「政権内部」にあります。 今年1月、防衛省は自衛隊の定員充足率を高めるため、陸海空で「1万8千人の増員が必要」としてきましたが、財務省は大幅増を認めず、わずか計300人弱の増員にとどまりました。(1/26 産経「防衛関係費400億円増に圧縮 定員増に財務省が難色」) この背景には、公明党の斉藤幹事長代行が1月22日、甘利経済再生担当相との会談で「(防衛予算が)突出して伸びることについては国民としっかり議論すべきではないか」と指摘したことがあり、公明党が防衛費抑止に絡んでいたことは明らかです。(同上) 自衛隊の南西諸島対応など、戦線が広がっている以上、自衛隊の早急な増員は急務であり、防衛予算が「突出して伸びること」に何の問題もありません。 中国の侵略を手招きしている「国賊集団」が与党内部にいることに、安倍首相は早く気づくべきです。 中長期の防衛計画を妨げる財務省 また、現在運用されている「防衛計画の大綱」は、10年程度先を見据えた日本の防衛力のあり方や整備、運用の目標を示した安全保障政策の基本方針です。 政府は年内に、新たな大綱をまとめる予定ですが、別表で約10年間の整備目標を定めることに対して、財務省は「複数年度にわたる硬直的な『お買い物リスト』はおかしい」として、防衛省に対して別表の廃止も含めた見直しを迫っています。(5/31 日経「防衛大綱見直し、装備目標の扱い焦点 財務省、予算増の長期化懸念」) 防衛省は財務省の要求に対して反発の姿勢を示していますが、当然のことです。 国防計画の整備は中長期的な計画の下に進めるものであり、一年でできるものではありません。したがって、公共事業のような単年度予算はなじみません。 しかるに「国家を守るための10年計画」が、どうして「硬直的な『お買い物リスト』」なのでしょうか? おかしいのは、財務官僚の発想であり、「単年度予算」です。 予算立案者としては、単年度予算制は楽ですし、毎年、権限を振るえます。だからこそ、財務官僚は中長期にわたる防衛整備計画に反発しているのです。 驚くべきことに、昨年、野田政権末期に、財務省主導で作成された概算要求では、前年度より防衛予算が削減されていました。 日本が今、いかなる安全保障環境に置かれているのか、「日本最高峰のエリート」である財務官僚達は全く分かろうともせず、ただただ防衛予算を締め上げることだけに執心しているのが現状なのです。 今こそ、国家理念を打ち立てよ! このような財務官僚の暴走がどうしてまかり通るのかというと、「国家理念」が無いからです。 国家がどちらに向かって進めば良いのか、政治家達も分かっていないのです。だからこそ、「省益」優先の官僚達に振り回されているのです。 危機の時代において、各省の「省益」の積み上げで、国が正しい方向に向くわけがありません。 「国家理念」とは、企業に例えるならば、「経営理念」に相当するものです。「経営理念」無くして大企業は成り立たちませんし、国家であればなおさらです。 政治家がしっかりと方向性を指し示し、それに沿って各省が動くことが重要です。 幸福実現党が掲げる「新・日本国憲法試案」においては、「神仏の心を心とし、日本と地球全ての平和と発展・繁栄を目指す」という国家理念を明確に打ち出しています。(参照:大川隆法著『新・日本国憲法試案』幸福の科学出版) 今こそ、国家の方向性を明確に示し、優秀な官僚組織を統率し、日本が主導して世界の平和と発展の実現を目指すべきです。 参院選投票日まで丁度、後一ヶ月となりましたが、幸福実現党は来るべき参議院選に大勝利し、「日本の誇り」を取り戻し、国民の幸福に奉仕する国家理念を築いて参ります。 (文責・HS政経塾三期生、京都府第1選挙区支部長 たなべ雄治) 中国の「三つの脅威」と国を護り抜く覚悟 2013.06.19 エスカレートする中国の脅威 16日、尖閣諸島周辺の接続水域を航行していた中国の海洋監視船3隻は、8日連続で尖閣周辺を航行しました。(6/17 NHK「中国監視船 すべて接続水域出る」) 尖閣諸島周辺への中国による公船の派遣は、昨年9月に政府が島を国有化して以降、合わせて200日に達しており、もはや「常態化」しています。 中国は接続水域の航行を常態化させており、このままでは遠くない将来、「領海侵犯」までも常態化させてくることでしょう。 また、5月13日、約10日間で2度にわたり、中国の潜水艦が日本の領海のすぐ外側の接続水域を潜航したことが判明しました。(5/14 産経「異例の公表、政府に危機感 第1列島線にらみ攻防激化」) 中国の潜水艦の潜没航行海域は九州-台湾-フィリピンを結ぶ第一列島線(中国の海域における第一の軍事的防衛ライン。九州・沖縄から台湾・フィリピン・インドネシアなどを結ぶ南シナ海・東シナ海戦略)付近です。 中国が尖閣諸島を含む第一列島線までを「中国の海」とする理由は、莫大な人口を支えるための海底資源や漁業資源を確保する、南シナ海を戦略原潜の基地にする、第二列島線(伊豆・小笠原諸島からグアム・サイパンを含むマリアナ諸島群などを結ぶ中国海軍の第二の防衛ライン。西太平洋戦略)の確保に向けた領域確保などが挙げられます。 現時点では中国の軍事力は米軍に劣っているため、中国としては「日米安保」の発動は避けつつも、日本に対して様々な脅迫を仕掛けてくることが考えられます。 中国の「三つの脅威」 日本としては、中国の「三つの脅迫」に備える必要があります。 第一の脅迫は「通常兵器による脅迫」です。 2013年の中国の国防予算は25年連続となる二桁増が続いており、公表値だけで日本の防衛費の2.3倍に達しており、更に2030年には9~12倍にまで格差が広がるとの指摘もあります。 第二の脅迫は「シーレーンに対する脅迫」です。 日本は原油の90%、全一次エネルギーの50%以上を南シナ海を通る輸送に頼っています。 日本は輸入経路(シーレーン)の安全が阻害されれば、中国にエネルギー供給面で脅迫を受けます。 ちなみに、原発が設置された本当の目的は「シーレーン分断」を想定した「エネルギー安全保障(エネルギーの安定的、継続的確保)」のためであり、国家防衛の根本戦略です。 第三の脅迫は「核による脅迫」です。 中国が日本に照準を合わせている中距離弾道ミサイル「東風21」には水爆が搭載可能で、広島型原爆16発分の威力があります。 中国は既に日本全土を何度も滅ぼすだけの大量の核を有していますが、日本が核の脅威を受けた際、米国が自国が中国からの核攻撃にさらされるリスクを承知で、日本を守ることは現実的ではありません。 日本は、最終的には「核による脅迫」を受けることは避けられないでしょう。 憲法9条による足かせから脱却せよ! 中国による外的脅威もさることながら、更に、日本は「憲法9条」によって、自らの手足を縛っているのが現状です。 世界各国の軍隊は「やってはいけないこと」だけ法律で定め、後は状況に合わせ自国を守るために最善の行動を取っています(「ネガティブリスト」方式)。 一方、日本の自衛隊は、世界で唯一、「やっていいこと」だけ定めた法律で運用されています。(「ポジティブリスト」方式)。 「ポジティブリスト」方式では、予測不能の事態の連続である戦場において、様々な状況を法律で定めきることは不可能です。 そのため、実際の戦場では自衛隊はほとんど何もできないのが現状です。 なぜ日本だけが「ポジティブリスト」を採用しているのでしょうか? それは、憲法9条により「軍隊」を持つことを禁じられているからです。 「警察予備隊」として発足した「自衛隊」は、「警察」と同じように「ポジティブリストの縛り」を受けているのです。 現実的に、中国の猛烈な軍拡に対して、日本一国で対抗することは難しいでしょう。 だからこそ、日米同盟や中国に脅威を感じる周辺の民主主義国家との連携が欠かせません。 同盟はWin-Winの関係が前提です。だからこそ、同盟国のためにも適切な軍備が必要になりますし、共同防衛に当たれるように「集団的安全保障」の行使を認めることが不可欠です。 日本の置かれた状況をみれば、憲法9条の改正が必要であることは論を待ちません。 幸福実現党は、参院選において正々堂々、「憲法9条改正」を前面に打ち出している唯一の政党です。それは残された時間が少ないことを知っているからです。 参院選において皆様のご支援を得て、この国を護り抜くべく、必ずや早急に憲法改正を成し遂げて参ります。 (文責・HS政経塾三期生、京都府第1選挙区支部長 たなべ雄治) すべてを表示する « Previous 1 2 3