Home/ 鈴木 純一郎 鈴木 純一郎 執筆者:鈴木 純一郎 HS政経塾2期卒塾生 起業大国・日本の挑戦――シリコンバレーを超えるベンチャー創造国家へ 2014.02.17 文/HS政経塾二期生 鈴木純一郎 ◆日本復活の鍵は“ベンチャースピリット” 日本は90年代から「失われた20年」とも言われる長きにわたる経済低迷に襲われました。慢性的なデフレ状態の下、経済成長のない世界というものを経験したのです。 現在、アベノミクスという形でこの失われた20年にピリオドを打つ試みがなされていますが、今年来年と続く消費増税の悪影響が懸念されるなど、まだまだその行き先には不透明感が漂っています。 日本がこれから経済的に復活し、世界を牽引できる未来産業国家になるためには、大胆な金融緩和や財政政策などのマクロ政策が必要なことは言わずもがなですが、それ以上に大切なことは、日本人の内に眠るベンチャースピリット・起業家精神を呼び覚まし、新しい価値を創造する起業家を数多く輩出することではないでしょうか。 ◆シリコンバレー成功の秘密―スタンフォード大学 90年代、バブル崩壊に沈んでいた日本とは対照的に、当時のアメリカは80年代の経済的苦境を脱出して空前の繁栄を謳歌していました。 その大きな原動力となったのが、シリコンバレーに代表される地域から生まれた新進気鋭の起業家群、ベンチャー企業群の台頭です。 Google、Yahoo、マイクロソフト、インテルなど世界有数の企業の活躍が90年代以降のアメリカ経済の成長を牽引しました。90年代以降、日本における会社の廃業率は開業率を上回り続けていますが、その一方でアメリカからは次々と野心的な起業家が誕生したのです。 シリコンバレーはアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ南部のサンタクララ郡を中心とした地域の俗称です。なぜこの地域が上で挙げたような世界企業を生み出し、今も“イノベーションの聖地”と言われているのでしょうか。 軍需の存在、頭脳移民の力、フリーウェイなどの発達した交通インフラの存在など数多くの理由がありますが、ここで取り上げたいのは、シリコンバレーの中心に存在するスタンフォード大学の役割です。 このスタンフォード大学から数多くの優秀な起業家が輩出され、この大学の周辺地域に産業が集積し、シリコンバレーが形成されてきたという歴史があるからです。ヒューレット・パッカード、YahooやGoogle、ナイキなどの創始者もスタンフォード大学出身者で、皆在学中に起業しています。 アメリカには、シリコンバレー以外にも様々な産業クラスター(産業集積地)が存在しますが、その中心には、必ずスタンフォード大学のような「知識と技術と人材の創造の主体としての大学」の存在があります。 「新たな知と技術シーズ、優秀な起業家の創造の供給拠点としての大学が中心となって、その周辺地域に企業・産業が育成されていく」というセオリーがありました。 その下に、大学への研究開発資金の大胆な投下、大学から民間への技術移転の促進、ベンチャー企業育成のためのリスクマネーの供給システム(ベンチャーキャピタルなど)の整備などを行い、産学連携の成功モデルを創りだしたことがアメリカ経済の成功の秘訣でした。 日本においても大学改革こそが産業発展の道であると考えられます。 ◆起業大国・日本への道 昨年、安倍首相が打ち出した成長戦略においては、スタートアップを支援する方針が出され、現在5%程度の日本の開業率を英米並みの10%に引き上げることや、ベンチャーキャピタル投資への税制優遇、大学発ベンチャー支援なども打ち出されています。 しかし、開業率に関して言えば、経済成長率(実質GDP成長率)と正の相関関係があることがわかっており、二段階にわたる消費増税によって経済成長率が低下すれば、開業率にも悪影響であると考えられます。 ベンチャーキャピタル投資についても同じで、株式市場が活況を呈していなければ、本当の意味でベンチャー投資にお金は回らないでしょう。 増税ではない正しい金融財政政策でマクロ経済環境を安定的に発展させつつ、日本の大学改革を含めたイノベーション政策、産学官連携を押し進めることが重要です。 そして何より大事なことは、ホリエモン事件に見られるような資本主義精神への攻撃を是とするような風潮を脱却することです。シリコンバレーの成功の最大の理由は、「起業は偉いことであるという信仰」が存在することとも言われています。 新しい雇用と価値を創造し、国家社会を豊かにする起業家を尊敬し応援する価値観を広く共有することこそが、起業大国・日本への道ではないでしょうか。 【参考文献】 『改革の経済学』 若田部昌澄 『産業クラスター政策の展開』 西山太一郎 21世紀のニューフロンティア政策―宇宙開発への挑戦 2013.11.25 ■ケネディ大統領の「ニューフロンティア政策」 昨今の大きな話題の1つとして、「アメリカの王室」とも言われるケネディ家のキャロライン・ケネディ氏が新駐日大使として日本に赴任することになったことが挙げられると思います。 日本とアメリカの外交的紐帯を強める大きなチャンスとして、日米双方から大きな期待の声が寄せられています。 そして、キャロライン氏が来日した今月15日から1週間後の先日22日は、キャロライン氏の父親であるJ.F. ケネディ大統領が暗殺されてから50周年という節目の日でもありました。 ケネディ大統領はアメリカの歴代大統領の中でも、アメリカ国民からの人気が特に高く、その若きカリスマの死を惜しむ声が未だに絶えません。 ケネディ大統領の功績としては、ソ連との核戦争の危機(いわゆるキューバ危機)を平和裏に解決したことや、マーティン・ルーサー・キング牧師などと協力し黒人差別撤廃のための公民権運動を強く支援したことなど様々挙げられます。 もう一つ代表的な功績として、アメリカの宇宙先進国化をその強いリーダ一シップによって牽引したことが挙げられます。 ケネディ大統領が公約として打ち出した「ニューフロンティア政策」の柱の一つが「宇宙開発」であり、ソ連との宇宙開発競争で挫折感を抱えていたアメリカを鼓舞するためにケネディが掲げた国家プロジェクトこそが、月に人類を送り込むという「アポロ計画」でした。 暗殺によってアポロ計画による人類初の月面着陸の成功を見届けることはできませんでしたが、ケネディの大きな構想力とリーダーシップがなければ、人類は未だに月へ足を踏み入れていなかったかもしれません。 今、日本に必要なのは、このケネディの「ニューフロンティア精神」、新たなフロンティアとしての宇宙の開発を国家プロジェクトとして強力に推し進めることではないでしょうか。 ■日本の宇宙開発の現状 日本の宇宙産業市場は現在、約7兆円~8兆円と言われています。宇宙産業の内訳は主に4つに分類されます。 (1)宇宙機器産業(ロケットや衛星、地上設備など) (2)宇宙機器を利用した宇宙サービス産業(NHK、NTT、スカパーなど) (3)宇宙サービスを利用するための民生機器産業(衛星放送チューナーを搭載した液晶テレビ、GPSを利用したカーナビ及び携帯電話など) (4)自らの事業に宇宙サービス・民生機器を活用しているユーザー産業(農林水産業、新聞社、映画館、資源開発など)です。(JAXA産業連携センター) このうち中核をなすのが(1)の宇宙機器産業であり、日本では市場規模約2600億円程度ですが、一方で、アメリカは約4兆円、欧州でも約9000億円と、日本は大きな差をつけられてしまっています。 これはひとえに、日本の政治家のリーダーシップの欠如と縮み思考が原因だと言えます。 実際、2008年に日本の宇宙開発の基本方針を定めた宇宙基本法が制定されてから、予算が増えるどころか、財源不足を理由に宇宙関連予算は年々減少を続けています。 限られた予算を奪い合いあっていては消耗戦になるということで、日本の宇宙産業に関わる民間企業の多くが外需の取り込みのために新興国市場に打って出ています。 実績も少しずつ出始めてはいますが、まだまだ米国・欧州が世界では大きなシェアを握っており、苦戦を強いられているのが現状です。 外需の拡大とともに、政府による研究開発予算の増加や、宇宙関連ビジネスの興隆などの内需の拡大を実現しなければ、日本の宇宙産業が国家を支える基幹産業へと成長することはありえません。 ■政治家は「21世紀のニューフロンティア政策」を打ち出せ しかし、悪いニュースばかりではありません。 最近では、日本のお家芸である固体燃料ロケットの最新機種であるイプシロン(試験機)の打ち上げ成功や、日本人宇宙飛行士の若田光一さんが日本人で初めてISS(国際宇宙ステーション)の船長に任命されるなど、日本の「宇宙力」への評価が世界でも高まってきています。 日本の喫緊の課題は、独自の「有人宇宙輸送システム(有人ロケット、有人宇宙船)」の獲得を成し遂げることです。 宇宙という目的地があっても、日本は宇宙に行く「船」を持っていません。他国の宇宙船に乗せてもらわざるを得なかったために、日本の宇宙開発の黎明期は、他国の事情に翻弄されてきたとも言えます。 しかし、日本は有人宇宙飛行を可能にする技術力をすでに持っています。日本が持つISSに物資を運ぶためのHTV(こうのとり)の技術などは、有人飛行技術の基礎となるものです。その他にも、日本には世界から認められている最高峰の技術が多々存在します。 最終的には、有人宇宙開発に挑戦するか否かは、国の判断、政治家の判断、そして強い意志にかかっています。 かつてのケネディ大統領のように、国家の安全と平和を守るために、そして国民に夢と希望を与えるために、宇宙開発の意義とビジョンを国民に真摯に語り、ニューフロンティアに挑戦する強い意志と決断力を有した政治家の出現が望まれているのです。 幸福実現党は「21世紀のニューフロンティア政策」で、「世界の宇宙開発を牽引する日本」を創ってまいります。(文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) 安倍首相は消費増税を潔く撤回し、国民の自由と繁栄を守れ! 2013.09.16 安倍首相の消費増税の決断まで秒読み段階に入ってきました。 マスコミ各紙の報道を見ると、既に増税が決まったかのような論調ですが、このような世論誘導に惑わされてはなりません。 共同通信社が14日、15日にかけて行った世論調査によれば、国民の消費増税反対・慎重派の割合は約50%に上り、賛成派を上回っています。(9/15 共同「消費増税、反対は50% 共同通信世論調査」) 安倍首相には、民意をしっかりと認識して頂きたいと思います。 ◆国民の「財産の自由」「私有財産権」を守るのが政府の仕事 そもそも、国家における政府の役割の内、最も重要なものの一つは、国民の財産の自由、私有財産権を守ることです。 これは近代的デモクラシー、民主主義社会における普遍的な原則とも言えます。 西欧の歴史を見れば、財産の自由を獲得し、維持していく過程で、近代的な立憲主義や民主主義が生まれてきたことが分かります。 国家権力(王権)・徴税権力の暴走から「財産の自由」を守るために、人類が編み出した智慧が立憲主義であり、議会政治、近代的デモクラシーだったのです。 本来、民主主義の根底には、個人が汗を流して働いてつくった富、財産というものを尊重する考えがなければならないのです。 ◆際限なき増税は民主主義の破壊 幸福実現党は2009年の立党初期の段階で、全十六条からなる「新・日本国憲法試案」を発表しています。 その第十一条は「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し、国民の政治参加の自由を保障しなくてはならない」とあります。 立憲主義と財産の自由の深い関係を考えれば、憲法に「小さな政府・安い税金を目指す」という「増税への防波堤」「大きな政府の抑制」を明記することは至極当然のことと言えます。 これこそが真なる立憲主義、民主主義の精神です。 国民の私有財産権を無視した際限なき増税は、民主主義の破壊であり、国家社会主義への道であると言わざるを得ません。 ◆増税は日本の国防にもマイナスに働く また、忘れてはならないのが、消費増税による景気の腰折れです。 経済成長率の大幅な低下は、日本の安全保障環境・国防強化にもマイナスに働きます。 言うまでもなく、国防充実の原資は国民の所得であり、GDPです。 現在のデフレ脱却もままならない経済状況下で増税を断行すれば、GDPの大幅減少、税収の低下により、「社会保障の安定財源の確保」はおろか、安全保障体制の確立のための財源もままならなくなります。 元経済企画庁審議官の宍戸駿太郎・筑波大名誉教授は、消費税が10%に引き上げられた場合、名目GDPへのマイナス効果は6%以上になることを指摘しています(宍戸駿太郎著『奇跡を起こせアベノミクス』)。 参考:インターネット番組『THE FACT』「消費増税で大不況到来!GDPがマイナス6%に!」⇒http://info.hr-party.jp/2013/2185/ その場合、単純に考えれば、暗黙のルールとして「防衛費・GDP比1%枠」を採用している日本は、安全保障費を6%削減しなければならなくなります。 これでは、毎年2桁成長で軍拡を行っている隣国の中国との差はますます開き、中国の居丈高な軍事的圧力に拍車がかかるでしょう。 消費増税は日本の安全保障に不利に働くと考えられます。 今、日本に必要なのことは、消費増税ではなく、さらなる国民所得の拡大、GDPの拡大、経済成長、そして国防強化です。 私たち幸福実現党は、この国の自由と繁栄の砦として、消費増税の撤廃に向け、最後の最後まで戦って参ります。(文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) ■安倍政権に消費増税の中止を求める集会(9/18首相官邸前にて開催)のご案内⇒http://info.hr-party.jp/2013/2178/ 「第四の矢」という「毒矢」を撤回し、本物の経済成長の実現を! 2013.06.10 アベノミクス「第四の矢」は「財政健全化」 甘利明経済財政・再生相は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の「第三の矢」である成長戦略に続き、財政健全化を「第四の矢」と位置づけました。(5/28 日経) 5月27日に提出された財務省資料には「財政健全化を着実に進めることは、国民の将来不安を軽減し、消費拡大を通じて経済成長を促す」とあります。(5/27 財務省「財政健全化に向けた基本的考え方(概要)」) しかし、これは「消費税を増税すると、財政が健全化し、国民は将来の不安がなくなり、安心してお金を使うようになるので、経済成長する」という、財務省の「トンデモ理論」であると言わざるをえません。 本来、財政健全化は経済成長の実現を通しての「自然税収増」という形で成し遂げるのが鉄則です。 「財政健全化=増税」しかない財務省の発想 しかし、財務省は自らの既得権益拡大と政治家への責任転嫁が可能となる「増税」しか頭に無いようです。 財政健全化の実現には、(1)経済成長、(2)歳出カット、(3)増税の3つの手法がありますが、元財務官僚の高橋洋一氏(嘉悦大教授)は「財務省のいう財政健全化は、はっきりいえば増税である」と指摘しています。(6/4 夕刊フジ「『第4の矢』財政健全化はとんでもない『矢』だ!」) そして、元財務官僚の立場から「財務省が(3)の増税を好むのは決して経済的な理由ではなく、増税が景気に悪影響であることは承知しながら、官僚の権益拡大のほうを優先しているだけだ」と「増税利権」に走る財務官僚の本音を暴露しています。 「財政健全化=増税」という「第四の矢」が、景気の腰折れをもたらすことは明らかであり、それまでの「3つの矢」によるデフレ脱却、景気回復、経済成長に向けた努力を全て無に帰すことになります。 増税によって景気回復が頓挫したイギリス 増税によって景気回復が頓挫してしまうことはイギリスの事例からもわかります。 『正論』の最新号(2013年7月号)には、「アベノミクスの天敵…消費増税を放棄せよ」(産経特別記者・田村秀男氏)と題した記事が掲載されています。 この記事では、イギリスが付加価値税(日本の消費税に相当)を2011年1月に17.5%から20%に引き上げたことにより、景気回復が止まってしまったことが紹介されています。 増税前は、イギリス経済はリーマン・ショック後の不景気から立ち直りかけていたのに、増税後は、経済成長率が実質ベースで0.2%(JETRO、英国の実質経済成長率の推移)にまで落ち込んでしまいました。 田村氏は「イギリスの中央銀行は、リーマン・ショックの後は、お金を増刷し、金融機関から資産を買い取ることで市場に資金を流し、経済成長率を回復させてきたが、増税後は、お金を流しても効果がなくなってしまった」と述べています。 増税ではなく、本物の経済成長を! 現在、米中首脳会談に見られるように、米中が急接近し、日本の頭越しで物事が決められていく危険性が増しつつあります。 そのような中、日本が世界に対してプレゼンスを発揮していくためには、もう一段の経済成長を通した「GDP第2位奪還作戦」が不可欠です。 また、経済成長による富の創造は国防強化の原資にもなります。 幸福実現党は、新たな未来産業の創出など、日本経済の本格的パラダイム・シフトを行い、増税ではなく、本物の経済成長によって、財政の健全化を実現して参ります。 「第四の矢」という「毒矢」を撤回し、大胆な経済成長戦略を描くことこそ、今の政治に求められる責任であるのです。 (文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) 日本は国家戦略としての宇宙産業創造を目指せ! 2013.03.18 「宇宙」というニュー・フロンティア 昨今、愛知県沖の深海で進めていた次世代エネルギー資源「メタンハイドレート」から天然ガスを取り出す生産試験で、ガスの生産が確認されました。 海底からの試験成功は世界初であり、将来の国産天然ガス資源として期待されています。(3/12産経「メタンハイドレートからの天然ガス生産試験に成功 海底からは世界初」) 今にわかにニュー・フロンティアとしての「海洋」への期待が国内で膨らみつつありますが、同時に、もう一つのフロンティアである「宇宙」への取り組みも忘れてはいけないのではないでしょうか。 宇宙(産業)は今や高速道路と同じように「インフラ」として私たちの日々の豊かな生活になくてはならない基盤となりつつあります。 例えば、自動車を運転する際に使われるカーナビゲーションシステム、位置情報確認サービス、WOWOWなどの衛星放送、天気予報を可能とする気象衛星システムなど、普段はさほど意識していなくとも、現代は宇宙産業の発展が我々の幸福と豊かさに直結している時代です。 現在の日本の宇宙産業全体の市場規模は約7兆円(宇宙機器産業、宇宙サービス産業、宇宙サービスを利用するための民生機器産業、ユーザー産業の合計)と言われています。 日本経済を現在支えている自動車産業が100兆円以上、建設業が約65兆円の市場規模を有していることを考えると、まだまだ宇宙産業は発展途上の段階であると言わざるをえないでしょう。 世界と比べてみても、日本の宇宙産業の市場規模は圧倒的に小さく、宇宙機器産業(ロケット、衛星、宇宙基地などを扱う)の市場規模を見ても、日本の約2700億円に対して、アメリカ約4兆円、EU約9000億円となっており、大きく水をあけられている状況です。 日本で宇宙産業が遅れている理由 日本が持つ宇宙技術は世界最高峰と言っても過言ではありません。 例えば、国際宇宙ステーションへ物資を補給するためのHTV(宇宙ステーション補給機)の技術や「はやぶさ」に代表される小惑星探査の技術は世界からも高く評価され、「日本のお家芸」とも言われています。 このように、世界に冠たる高度な宇宙技術力を有しながら、その技術が国家をリードする発展した産業へと成長しない理由は、政府・行政のリーダーシップと構想力の欠如、緊縮型の予算編成に負うところが大きいと言えます。 宇宙産業の未来性・重要性に対する政治家の認識の不足が宇宙産業の基幹産業化を遅らせているのです。 例えば、今年1月、内閣府の宇宙政策委員会は宇宙基本計画として、2020年度までに宇宙産業を14~15兆円まで拡大することを目標として設定しました(1/16日経「宇宙産業、20年度に15兆円目標宇宙政策委」)。 しかし、費用対効果の観点から、有人宇宙活動の縮小、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の経費の抑制、これまで20年ごろの実現を目指すとしてきたロボットによる月面探査の目標時期の取り下げ、などが方針とされています。 日本の政治家の先見性の欠如と「縮み思考」が露呈していると言わざるをえません。 「宇宙大航海時代」を見据えた戦略を 折しも、現在、中国は国家として有人宇宙船や独自の宇宙ステーションの開発を推し進め、宇宙軍拡・宇宙空間の征服に強力に乗り出してきております。(3/14「習近平氏、中国国家主席に選出――習近平政権で加速する中国の『宇宙軍拡』」) アメリカの防衛システムを無力化し、台湾の併合を手始めに太平洋覇権を狙う目的であると考えられます。 このような中国の脅威に対する安全保障上の観点に加えて、現在、新興国の成長に伴い、元気を失いつつある家電を中心とした日本の製造業をイノベーションし、高付加価値産業への転換を図っていくという経済的な観点からも、宇宙産業を国家を支える未来産業として戦略的に成長させていくことは不可欠です。 宇宙旅行、宇宙ホテル、はたまた宇宙結婚式など、宇宙を利用した様々な未来ビジネス・サービスがこれからの富の源泉となっていくはずです。 そして何より、かつて1960年代のアメリカにおいて、当時のケネディ大統領の「Go to the moon」という掛け声の下に行われたアポロ計画に見られるように、宇宙へのロマンと挑戦は国民を勇気づけ、人々の心を一つにする力があります。 日本が国家としての誇りと威信を取り戻し、新しい世界観を世界に向けて発信できる国になるためにも宇宙への取り組みは必要不可欠なのです。 そのためにも、日本は財源不足という縮小均衡の考え方に囚われず、世界一の債権国家であり、個人金融資産1500兆円という潜在力を利用して、官民ファンドの創設や宇宙開発事業債の発行などによって莫大なマネーを国内外から集め、宇宙という未来産業の還流させていくべきです。 また同時に、省庁ごとに縦割り型で行われて足並みの揃わない宇宙行政を組織的に一括化する工夫も必要でしょう。 日本は今こそ、「宇宙大航海時代」を見据えた戦略を持たなければなりません。(文責・HS政経塾2期生 鈴木純一郎) 日本は第二の高度経済成長を目指せ!――産業革命で経済復活を 2012.12.24 先の総選挙で自民党が大勝し、次期首相である安倍総裁による積極的な金融緩和を中心とした経済政策「アベノミクス」への期待が市場でも高まってきており、株価や為替レートにも如実に反映されて来ています。 日経平均株価は一時、八か月半ぶりに一万円台を回復し、計10兆円の為替介入でもほとんど動かなかった為替レートも大幅に円安に振れており、景気回復の兆しが見えつつあると言えます。 自民・安倍総裁は日銀との政策アコードを結んでの物価目標2%のインフレ・ターゲットの導入を本格化させており、日銀も今までのインフレファイター路線を再考し始めているようです。 しかし、政府・日銀は物価目標に対して明確なコミットメントすることで市場の信用を得て、インフレ期待を起こすまで一歩も妥協してはなりません。 日本の「失われた20年」の元凶である90年代から続く長引くデフレに、今こそ速やかに終止符を打ち、日本の経済を復活させなければなりません。 しかし、景気回復を実現し経済が成長路線に乗ったとしても、今のままでは増税が待ち構えています。 景気弾力条項では、名目3%、実質2%成長が増税の前提条件となっております。 安部総裁は来年4~6月期の経済成長率によっては消費増税の見送りをすることを示唆したとされていますが、増税は「見送り」ではなく「撤廃」まで追い込まなければいけません。 実際、96年、日本経済は実質成長2.7%とバブル崩壊後では最高の成長率を実現していましたが、その翌年97年の増税によって一気に本格的なデフレ不況に陥ってしまいました。 結果、日本有数の金融機関が次々に倒産し、自殺者も3万人の大台に乗ってしまいました。「経済成長したから増税してもいい」という安易な考えは危険極まりないと言わざるをえません。 他の先進諸国はどこも年平均4%も経済成長しているにもかかわらず、それにも満たない成長率で増税をかけるというのは愚策以外の何ものでもありません。 やるべきことは、経済成長に冷や水をかけるような増税ではなく、さらなる高度成長を目指すための策を打つことではないでしょうか。 そもそも現在日本にとって重大な懸案事項となっている中国は、日本を追い抜いて世界第二位のGDPを誇るようになってから、居丈高になって日本を脅してくるようになりました。 経済力の低下は他国から「なめられる」原因となってしまいます。経済力は国防上の抑止力にもなるのです。 であるならば、日本はもう一度世界第二位のGDPを奪還するための国家戦略、高度成長戦略を打ち出さなければなりません。 日本の潜在的な経済力をもってすれば、他の先進諸国並みの年4%成長はおろか、年7~8%成長もまだまだ実現可能でしょう。 日本はこの20年間一貫して世界最大の債権国であり、個人金融資産は1500兆円も眠っています。 このような日本に眠れる莫大な富の力を生かし動かしていくためには、「新たな産業革命を日本で起こす」という国家としての強い意志と戦略、グランドデザインが必要です。 新たな産業プロジェクトを政治家が明確に示し、予算を大胆につけることで、民間の資金需要も創造され、投資も活発化していきます。 航空宇宙産業、防衛産業、海洋開発、交通革命、新エネルギー、新素材、医療など日本の産業フロンティア、「金のなる木」はまだまだ存在します。 かつて19世紀初頭のイギリスが、ジェームズ・ワットの蒸気機関の発明を契機として、物流革命・産業革命を起こし、「世界の工場」と言われる繁栄の大国に成長したように、今こそ日本も新・産業革命、交通革命を日本初で起こすことで、高度成長を実現し、世界の牽引車、リーダー国家となる決意を固めなければなりません。 今、ヨーロッパもアメリカも経済的に衰退し、中国もバブル崩壊に直面している中で、世界経済を支える力を持つのは日本だけです。 日本を守るためにも、世界を繁栄させるためにも、政治家はしみったれた消費増税法案を撤廃し、新たな産業革命による高度成長の実現を断行すべきです。(文責・HS政経塾2期生・鈴木純一郎) 海洋産業で未来を拓け!――日本の海が持つ無限の可能性 2012.10.01 昨今、中国は尖閣諸島への領土的野心を剥き出しにしてきておりますが、その背景の一つには、尖閣の周辺海域に眠る膨大な石油資源を手に入れたいという動機があります。 中国が尖閣の領有権を主張し始めたのは、1968年の国連の海洋調査によって、尖閣諸島の海域にイラク並の石油(1000億バレル、経済価値にして約700兆円と言われる)が埋蔵されていることがわかってからのことです。 ここで読者の皆様方は「あれ?」と疑問に思われるかもしれません。「日本は資源のない国であり、海外から資源を輸入しなければやっていけない国ではなかったか?」と。 しかし、「資源小国・日本」という国家像はもはや時代遅れになりつつあります。尖閣の例でもわかるように、日本が持つ”海”に目を向けてみれば、日本という国は資源大国になる大きな可能性を秘めているのです。 日本の領土(国土)の大きさは、世界第61位と決して大きくありません。しかし、日本の”海”となると話は違います。 日本の海(領海+排他的経済水域)の面積は447万平方kmで、世界6位の大きさになります。これは中国の海(89万平方km)の約5倍の大きさです。 さらに、海の体積・海水量で見ると、なんと世界4位の大きさにまでなります。この意味で、日本は世界4位の海洋大国とも言えるわけです。 ではなぜ多くの海水量を持っていることが良いことなのかと言えば、海水や海底の中には様々な鉱物資源、エネルギー資源が存在しているからです。 金・銀・銅・鉛・亜鉛やレアメタル・レアアースなどの金属資源。次世代のエネルギーと期待されるメタンハイドレート、原発に不可欠なウラン、化石燃料としての石油、私たちの食生活に欠かせない漁業資源、これら多くの資源が海の中には眠っています。 例えば、現在日本の原発で使用されるウラン燃料は、100%を輸入に頼っている状態ですが、一方で日本の海には毎年約520万トンものウランが黒潮によって運ばれてきていると言われています。 もし、その0.2%でも捕集できれば、日本の原発を1年間動かすことができるほどの量です。 また、次世代エネルギーとして期待されるメタンハイドレートも、太平洋側の南海トラフや日本海側の一帯に大量に存在していることが分かって来ています。 更に、これからの日本のサバイバルと繁栄にとって重要になる資源としてレアアース(希土類)という金属資源があります。 レアアースは「ハイテク産業のビタミン」「未来産業の生命線」とも呼ばれ、あらゆるハイテク産業を支える不可欠な元素と言われています。 私達の身の回りのPCやスマートフォンから、次世代自動車、LEDディスプレイ、はたまた最新軍事技術、航空宇宙技術に至るまで幅広く使用され、製品の高性能化、小型化、軽量化に大きく貢献しております。 しかし、このレアアースに関しては、一つ大きな問題があります。世界のレアアース生産の97%を中国が独占しているということです。そして日本もレアアース輸入の9割を中国に依存しています。 このような中国一国への依存体制の問題が表面化したのが、2010年のレアアースショック(中国漁船による海上保安庁の巡視船への衝突事件に端を発する、レアアース対日輸出の事実上の停止)でした。 これにより日本の製造業は一時期危機に直面しました。中国にレアアースの生産を依存している限り、安定的な日本の経済成長は実現できないと考えられます。 しかしながら、2011年から2012年にかけて、東京大学の研究チームの調査により、日本の最東端の島・南鳥島の周辺海域に膨大なレアアース泥(レアアースを含んだ泥)が存在していることが分かって来ました。 陸上のレアアース鉱山とは比較にならないくらいの資源量であり、抽出も容易であるということで、中国による一国独占体制を切り崩す大きな切り札として期待されます。 これらの資源の開発以外にも、海には様々な利用可能性があります。 クリーンエネルギーとしての海洋温度差発電、今後世界的に不足してくるとされる水資源や未来エネルギーとしての水素の抽出、海底牧場、さらに海上・海底リニアや海上都市開発なども考えられます。 日本政府は、これらの日本の海に存在する膨大な資源や空間を開発するために積極的に投資を行っていくべきです。そして、国家を支える基幹産業としての海洋産業を創造していくべきです。 それは決して日本一国の繁栄のためだけではありません。これから世界人口が100億人に向かって行く中で、エネルギー資源や食糧資源などを巡った紛争が起こることを未然に防ぎ、世界の平和と安定的な繁栄を実現するためにも必要なことなのです。 海洋という新たなフロンティアを拓き、富の総量を拡大するために、日本国民としてのコンセンサスを是非とも形成して参りましょう!(HS政経塾2期生 鈴木純一郎) すべてを表示する