Home/ 釈 量子 釈 量子 執筆者:釈 量子 幸福実現党党首 世界大戦の新たな火種に。インドvs中国、ミャンマー離島にスパイ基地。【前編】 2023.06.14 https://youtu.be/2ewvekji7K4 幸福実現党党首 釈量子 ◆存在感を増すインド ここにきて、インドが存在感を増しています。日本の将来を考えれば、インドとの関係強化は避けられないと思います。 今回は、インドの存在感が高まった背景を見ながら、第三次世界大戦の火種の一つ、中印対立に注目したいと思います。 (1)インドの人口が世界一に 先月、インドの人口は14億2860万人を超え、中国を抜いて世界一になりました。中国は1750年以降、ずっと世界一の人口でしたが、インドに抜かれました。 インドの人口は今後も増え続け、2050年までに16億6800万人に達すると言われています。 ちなみに、中国の人口はすでに縮小段階に入っており、2050年までに約13億1700万人に減る見込みです。 しかも、インドは人口の半分が30歳未満という若い国です。30年前の中国に似ていると思いますが、若い労働力がどんどん供給されるため、経済成長は間違いと思います。 インドのGDPはすでに英国を抜いて世界5位ですが、いずれ上に上がるでしょう。 【参考】2022年GDPランキング上位5カ国 1位(米国)2位(中国)3位(日本)4位(ドイツ)5位(インド) (2)世界の工場はインドへ インドにとってさらに追い風であることは、米中対立のもとで企業の「脱中国」が進んでいることです。 アップルはすでに生産拠点をインドにシフトしており、2025年までにiPhone生産の25%をインドで行う予定です。 インドでのiPhoneの販売も増えており、今後、生産拠点だけではなく、市場としての魅力も増していくのではないかと思います。 中国共産党の一党独裁が続く以上、世界の工場が中国からインドにシフトしていく流れは止められないのではないでしょうか。 日本企業の本格的なインド進出が始まることを期待したいと思います。 また、報道によると、インドが輸入する原油に占めるロシア産原油の割合は、2021年には2%だったが、2022年にはほぼ20%に達し、10倍に増えました。 その結果、インドは昨年の会計年度で約50億ドル(約6700億円)を節約することができました。 安いエネルギーを輸入できることは、インドが工業国家へと押し上げることにつながると思います。 (3)ウクライナ戦争のキャスティングボード 経済面だけではなく、外交面でもインドの存在感が増しています。 ウクライナ戦争では米国とロシア、中国の対立が激化するなか、インドは中立の立場を保っています。 このことが、インドの存在感を高めています。インドがどちらの側につくかで世界の方向性が決まるという、キャスティングボードを握っています。 G7広島サミットでは、グローバルサウスの代表国としてインドも招待され、6月にはバイデン大統領がモディ首相を国賓として招待します。 こうした事実がインドの存在感が高まっていることを物語っています。 ◆カシミール地方を巡る中印の衝突 しかし、インドにとって悩みの種は、中国の存在です。 最近、インドは中国やパキスタンとの係争地になっているカシミール地方でG20の会合を開催しました。 これに対して、中国はG20の会合をボイコットして反対しました。 カシミール地方を巡っては、中印両軍はこれまでも衝突を繰り返しています。2020年には中印両軍が衝突し、少なくとも24名が死亡しました。 今年3月、インド陸軍のマノジ・パンデ参謀長は、次のように述べています。 「中国政府は年を追うごとにかなりの部隊増強をしており、実効支配線(LAC)沿いで飛行場や兵舎など軍事インフラを整備している。中国という全体主義国家は、多方面からの戦略を用いてアメリカを追い落とし、世界に君臨する超大国になろうとしている。」 インドは北部国境沿いにおいて、軍事インフラの整備も強化し、カシミール地方の東部にあたるラダックに通じるトンネルを建設しています。 この地域はヒマラヤ山脈で、冬場は氷点下40度になるそうです。トンネルの長さは8.8キロで、アジア最大規模と言われています。 現在、トンネルが一部開通し、ラダッカに物資を送れる状況にあり、今後、全面開通すれば、インド軍の兵士を大量に移送できるようになります。 インドはウクライナ戦争を教訓に「戦争が起きれば数年単位の戦争になる」と見て準備を進めています。 (後編につづく) マスコミが報じないウクライナ戦争。ウ軍の反撃は成功するのか?【後編】 2023.06.11 https://youtu.be/t9CJXxydZHE 幸福実現党党首 釈量子 ◆一か月で1万機撃墜されたウクライナのドローン 前編で紹介したイギリスの英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)のレポートの中で注目すべきは、ロシアの電子戦システム(EW:Electric Warfare)は圧倒的優位を保っており、ウクライナの無人機(UAV:unmanned aerial vehicles)、いわゆるドローンを徹底的に破壊している、ということです。 ロシアは、戦闘を行っている前線では10キロメートル毎に配備し、1か月に1万機に上るウクライナの無人機を撃墜しており、驚くべき数字です。 このようにロシアの電子戦はかなり強力で、ウクライナが前線を突破するには、こうした電子戦にも勝利しなくてはなりません。 ただ、ウクライナのドローン攻撃は、ロシア領内の、中枢部を狙い始めています。 5月3日、ロシア大統領府があるクレムリンが狙われたのに続き、5月30日、モスクワ市内へのドローン攻撃があり、モスクワ南西部の2つのアパートが被害を受けました。 攻撃には10機以上のドローンが使われ、ドローンはモスクワ郊外から飛ばされたなどという説もあります。 ◆ウクライナ軍の失地回復はあるのか 間もなくウクライナの反撃が始まると報道されていますが、そう簡単に失地回復がなされると考えるのは、希望的観測の域を出ないといえそうです。 実際、アメリカの政府機関から流出した極秘文書では、ウクライナの戦力が著しく不足しているので、反攻作戦は中途半端でささやかな領土しか回復できないのではないかと疑っており、バイデン政権の公式見解とはだいぶ違っています。 例えば、元陸軍大佐で、元国防総省顧問だったマクレガー氏は保守系メディアの寄稿文の中でバフムトの戦いについて、次のように語っています。 「ゼレンスキー大統領はバフムトの戦いをロシア軍への抵抗を示す象徴的な戦いとして重要視していたが、ロシアはウクライナの戦力を削ぐための機会として利用した」 実際にバフムトの戦いでは、ウクライナの反撃が成功したとの報道が数多くありましたが、ウクライナ軍の戦死者は5万人に上ったと言われています。 日本のマスコミ報道は、ゼレンスキー大統領の言葉通りに「武器さえ支援すれば、ウクライナが勝利する」という楽観的なメッセージばかりを発信しています。 しかし、戦線は膠着しており、双方の犠牲者が増えるばかりです。 プーチン大統領としては、兄弟国であり、ロシア正教の聖地でもあるウクライナに核を落とそうとは思っていないと思います。 しかし、今後、欧米がウクライナを引き続き強力に支援し、ロシアの心臓部を狙ったり、クリミアなどのロシアにとって死活的に重要な地域を奪還すれば、「核兵器」の引き金を引かねないことを、多くの専門家が懸念しています。 ◆日本はウクライナ戦争の仲介役を! 大川隆法総裁は、戦争が始まった直後に「中立化しか解決はない」と、世界に先駆けて断言し、巨大な霊能力で、各国の指導者の潜在意識にアクセスし、その本心を読み取っています。 『ウクライナ発世界経済とアジアの危機』の「あとがき」で、次のように述べています。 「ゼレンスキー氏は、究極の事態を予想せず、『撤退戦』を知らない。政治家の資質をどうはかるかは難しいが、国を亡ぼす大統領は最悪である。」 本来、戦争の調停役を果たすべき米国のバイデン大統領はロシア憎しで、ウクライナで代理戦争を行っていることが、世界にとっても大きな問題です。 アメリカは米大統領次第では、アフガニスタンのように、最終的にウクライナ支援を打ち切る可能性もあります。 こうしている間に、中国問題は置き去りにされ、北朝鮮もミサイルを連射するなど、中国、ロシア、北朝鮮の核保有国に囲まれた日本の安全保障環境は、危うい状況になっています。 こうした状況のなか、本来であれば、NATOに入っていない「日本」が、ウクライナとロシアの仲介役を担うべきではないでしょうか。 一日も早い停戦と、平和の実現を願いたいと思います。 マスコミが報じないウクライナ戦争。ウ軍の反撃は成功するのか?【前編】 2023.06.10 https://youtu.be/t9CJXxydZHE 幸福実現党党首 釈量子 ◆マスコミが報じないウクライナ戦争 ウクライナ戦争が始まってから1年3ヵ月が経ちました。 日本のマスコミ報道を見ると、「西側諸国がウクライナの支援をしっかり行えば、ロシアへの反撃は成功し、ロシアの支配地域を今度こそ奪還できる」という内容がほとんどかと思います。 両軍が重要視していた、東部バフムトの戦いでも、「ウクライナがロシアの支配地域を一部奪還」という報道が繰り返し行われました。 結局どうなったかと言えば、広島サミットの最中に陥落し、今はロシアがバフムトの全域を支配しています。 戦争は情報戦の面もあるので、日本はウクライナ側に立っているから仕方がないという意見もあるかもしれません。 しかし一方的な偏向報道ばかりというのは、問題です。戦況の見通し次第で、国の立ち位置や停戦のあり方も変わってくると思うからです。 そこで、今回はウクライナ戦争に関して、報道とは違った見方を紹介したいと思います。 ◆ウクライナの砲弾不足 今年2月17日、CNNで、「ウクライナは米国やNATOの製造能力以上に砲弾を使い果たしている」という衝撃の内容が報道されました。 「ウクライナは米国やNATOの製造能力以上に弾薬を使い果たしている」(CNN) https://edition.cnn.com/2023/02/17/politics/us-weapons-factories-ukraine-ammunition/index.html 同報道では、「アメリカ・ペンシルバニア州のスクラントンにある兵器工場を取り上げ、一か月に11000発の砲弾を製造しているが、ウクライナはわずか2日か3日で使い果たしてしまう」と紹介しています。 兵器があっても弾が無ければ使えません。「ウクライナの弾薬不足がボトルネックだ」ということは、4月上旬にリークされ、米軍および情報機関の極秘文書でも裏付けられました。 文書には、ウクライナの防空ミサイルが不足しているので、ロシアが制空権を獲得する可能性があると書かれていました。 ウクライナは、ソ連時代のS-300とBuk air defenseの防空ミサイルを主に使用しています。 このミサイルの在庫が5月までに完全に無くなると予測されたほどであり、アメリカがパトリオットを送るなどして、何とか防空体制を維持しているのではないか、と考えられます。 ゼレンスキー大統領はウクライナの制空権を守るためにF16戦闘機がほしい、弾薬が足りないと繰り返し訴えていました。 こうした事実が明らかになってみると、日本のマスコミ報道では、ロシアが制裁を受けて間もなく弾薬が不足すると言い続けていたのは本当だったのだろうかと思います。 ロシアは、ウクライナの重要インフラなどへのドローンやミサイル攻撃を強化することで、ウクライナの迎撃用ミサイルを消耗させて、実質的に、ウクライナの防空能力を無力化している可能性が高いです。 ◆壮絶な戦場 日本ではウクライナがロシアにドローン攻撃をしかけたことしか報道されません。 5月19日、イギリスの英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)というシンクタンクの軍事専門家が、ロシアの軍事作戦に関するレポートを発表しました。 Meatgrinder:Russian Tactics in the Second Year of its Invasion of Ukraine 標題のMeatgrinderとはソーセージやハムを作るときに使う「肉挽き器」のことです。 ワグネルの創設者プリゴジン氏は、ウクライナ東部のバフムトで、ワグネル部隊の約2万人が戦死したと明かし、一方、ウクライナの戦死者は5万人と話しました。 どこまで正確かはわかりませんが、「肉挽き機」とはこうした壮絶な状況を表した表現だと思います。 (後編につづく) LGBTQに猛反発?世界大混乱。ロシア、イスラム諸国、グローバルサウス。【後編】 2023.06.08 https://youtu.be/BvYe-R_WVv4 幸福実現党党首 釈量子 ◆ロシア 前編から引き続き、世界の動きとして、ロシアのプーチン大統領の「LGBTQ」に関する発言も見てみます。 昨年9月30日のドネツク・ルガンスク、ザポリージャ・へルソン併合式典での発言です。 「私たち自身のために、とてもシンプルな質問に答えましょう。私たちは、この国、このロシアで、母親と父親の代わりに「親No.1、親No2、親No3」を持ちたいのでしょうか?」 この「親1親2」というのは何かというと、フランスでは2013年から同性婚が合法化され、さらに2019年から、学校が「父親」「母親」という言葉を使用しなくても済むよう法律を修正する案が国民議会で可決しました。 学校で書類などに「父」や「母」などの言葉を使うのをやめ、「親1」や「親2」という表現を使います。 プーチン氏の発言を続けます。 「私たちは、学校という場所で、子どもたちが学校に通い始めたときから、劣化と絶滅につながる倒錯を押し付けられたいのでしょうか?女性や男性とは別の性別が存在するという考えを頭に叩き込み、性別適合手術を受けさせたいのだろうか。それが私たちの国や子どもたちに望むことなのでしょうか。」 「欧米エリートの独裁は、欧米諸国の市民自身を含むすべての社会を対象としています。これは、すべての人への挑戦です。人間であることの意味を完全に放棄し、信仰と伝統的な価値を転覆させ、自由を抑圧することは、『倒錯した宗教』、つまり純粋な悪魔崇拝と似てきています。」 「イエス・キリストは山上の垂訓で、偽メシアを暴くためにこう言った。『その果実によって、あなたがたは彼らを知るであろう』。この毒の果実は、わが国だけでなく、欧米諸国の多くの人々を含むすべての国の人々にとって、すでに明白なものです。」 なお、ロシアでは「ゲイ・プロパガンダ禁止法」が制定されています。これは同性愛行為そのものではなく、同性愛関係が未成年者の発達に及ぼす悪影響を防ぐことを目的としたものです。 ◆グローバルサウス 最後に、新興国・途上国の様子です。 世界の動向を大きく握る「グローバルサウス諸国は、アメリカ型のリベラルに反発する国は多く、最近ではウガンダや、アジアでもインドネシア(人口の90%がイスラム教)とマレーシア(60%)などは、イスラム保守主義の台頭などで、LGBTに対する法律は厳格になりつつ国もあります。 世界70以上の国と地域が、憲法や国内法、または地域法により同性愛行為などを「犯罪」として取り締まりの対象としていて(難民研究フォーラムによる)、法令で死刑を規定している国は8カ国です。 実際に実施していない国もありますし、法律にはないものの、イスラムの「シャリーア」に基づいて「死刑」とされる国もあります。 同性愛嫌悪が強い国では、同性愛に対する迫害が酷く、難民認定申請をして国外に逃げる人もいます。 婚姻などを規定する「シャリーア」は、そもそも婚姻関係以外のすべての性行為が違法、石打ちの刑や鞭打ちの刑に処せられます。ISISの占領下のイラクでは、支配地域ではビルから突き落とされました。 「これはいくら何でもひどすぎる」と思うのが正直なところで、大川隆法党総裁も、イスラム圏に関しては、「自由の風」を流したいとイスラム教改革について言及を何度もされております。 アジアではシンガポールのマハティール首相が、2018年タイで行った講演でこのように語っています。 「アジア人は度々、西洋の価値観を疑問なしに受け入れてしまう。しかし、すべて真似(copy)する必要があるのだろうか。もし彼らが裸で歩き回ると決めたら、私たちも従わねばならないのか。私たちには私たちの価値観がある。だから私は自分たちの価値観があることを誇りに思っている。」 「彼ら(西側)が受け入れたいならば彼らの勝手だ。しかしそれを押し付けるのは、やめていただきたい。」 どの国も歴史や文化、その根底にある宗教に基づいて、独自の判断をしています。 G7サミットで岸田首相は「ジェンダー主流化」の推進を表明しています。 これは「ジェンダー平等」の観点をあらゆる政策や制度に反映することを指すという宣言で、6月24、25日に日光市で開催されるG7男女共同参画・女性活躍担当相会合でも議論される方向です。 日本の政治は、バイデン政権に追随するだけで、あまり考えてもいないというのが現状です。政治の無責任な姿勢がどういう結果をもたらすかを冷静に考えるべきです。 ◆生まれた性で生き抜くことの大切さ 幸福実現党は、LGBTの問題に対しては、「少数者の権利は守らなければいけないし、それが『魔女狩り』みたいになることは避けるべきだ」と考えます。 本当に苦しんでいる方にお伝えしたいところとして、「性への違和感」には根深い「心の問題」があることがよくあります。 例えば、子供の頃、一番身近な親からマイナスの感情をぶつけられたり、暴力を振るわれたりすることでの自己否定観を持ったり、学校で体型などの悪口を言われたことで、自分の性を否定するケースも多いのです。 そういうマイナスの心には、「波長導通の法則」で「憑依」という現象も起きてきます。「確かに」と思い当たる方も結構いるはずです。 自己否定の感覚を紛らわそうと、不特定多数の性関係を持つティーンエイジャーが立っていますが、人間は神仏の子であるという魂の尊厳や、欲望に負けずに自制心を養うことの大切さを教えるべきでしょう。 また、もっと深く突き止めると、「前世の性別の記憶が魂に残り、それが性の違和感に出る」こともあります。 人生は苦しいことが多くいのですが、「魂の修行の場」であり、やがてあの世に還っていきます。 「この世で自分がしたいことをやれることが幸福」という考えで、行き過ぎたリベラルが、男女を造ったという神の心に反し、地球の伝統的価値観を破壊することには反対です。 公教育で「生まれた性が嫌なら変えてもいいよ」と教えるのではなく、「生まれた性で生き抜くことの大切さ」であり、「その性別にとって違和感がある」のも、永遠の生命を持つ魂の歴史からすると学びの機会であるわけです。 こうした観点で、どういう政策が幸福であるべきかを考えてまいりたいと思います。 「LGBT法」世界大混乱。欧米諸国でも、イスラム諸国は猛反発。【前編】 2023.06.07 https://youtu.be/epD63XOXvYs 幸福実現党党首 釈量子 世界ではアメリカの、特にリベラルな民主党的な価値観を受け容れない、受け入れたくない国との価値観の対立が深まっています。 その代表が、「LGBTQ」に関する考え方です。 岸田首相は、サミットで、「LGBTへの差別を禁じる法律がないのはG7で日本だけ」「日本は遅れている」というイメージづくりの中で「日本もちゃんとやっています」と内外にアピールする狙いで国会に法案を提出しました。 アメリカでも、国を二分する激論が起き、イギリスでは行き過ぎた部分についての揺り戻しも起きています。 岸田政権による、点数稼ぎ狙いの法律をあえてつくる必要はないのではないでしょうか。 ◆日本の状況 日本の各党の法案を見てみます。 サミット開幕当日5月19日に、国会に提出した与党案があり、その後、立憲・共産が共同で対案を出しました。これは2年前の2021年に超党派の議連でまとめたものです。 そして26日に日本維新の会と国民民主党案が提出されました。 争点となった文言ですが、立憲・共産の(2021年超党派議連の法案)には、「性自認」という言葉がありました。 「自分自身の性別をどのように認識しているか」、生物学的には男性でも、自分が女性だと認識しているならそれを認めるということです。 しかし自分の認識だけで性別を決められるなら、本気で悩んでいる人と、自称女性の「変態」男性との区別がつきません。アメリカでは女性刑務所で自称女性のトランス男性によるレイプが起きています。 そこで自公案では今回、「性同一性」ということばにして、ある程度、客観性を持たせようという狙いがあります。 しかし、「性同一性」の客観的な要件は法案に書かれておらず、実際には「性自認」との違いはありません。 維新と国民民主は「ジェンダー・アイデンティティ」と、煙に巻いた感じです。 また21年超党派案の「差別は許されない」という言葉も、訴訟の乱発などに繋がらないよう自公は「不当な」という言葉をつけて、配慮したような体を取っています。 しかし、何が不当なのか客観的な要件がなければ、この法律を根拠とした訴訟リスクは無くなりません。 そうこうしている間、保守を中心に「女性の権利侵害」という声も大きくなり、「維新と国民」は「全ての国民が安心して生活できるよう留意」、さらに自公案が「学校でLGBTQ教育を行う」と踏み込んだのに対して「保護者の理解と協力」という文言を追加しました。 6月の会期末までに自公政権で押し切ろうと思えば押し切れる状況ですが、自民党支持層である保守派の反発を招く可能性も高く、成立の見通しは不透明です。 特に、海外では深刻な事態や揺り戻しもみられます。 ◆アメリカ まず、アメリカでは、バイデン政権と共和党支持者の間で、激しく対立しています。 NYで自殺企図のある11歳の女の子が、学校のカウンセラーに相談したところ「性転換手術(現在は性適合手術)」を勧められて保護者が驚いたという話はよくあると現地の方から聞きました。 子供が親の同意なしに、医師やカウンセラーのもとに行き、「性別転換手術」を勧められてしまうことは、合衆国憲法で「男女差別が禁止」されているのに加え、いま22の州では「公共施設における性自認に基づく差別を禁止する法律」があるからです。 一部保険業者や州のメディケイドプログラムは、補助金を使った医療でトランスジェンダーを差別することを禁止しています。 そのため、こうした州では、「性別転換手術」を含む、トランスジェンダーに考慮した医療へのアクセスを積極的に進めている、というわけです。 特にアメリカで激しい論争になったのが「思春期抑制剤」です。思春期が来るのを遅らせるホルモン療法で、性別転換手術の前に考える時間を持つために投与されるようです。 しかし、「不妊を招く恐れ」もあり、副作用について十分な研究もなされていないとして、利益主義の製薬会社への批判が巻き起こりました。 子供は「男の子には、女の子に生まれた可能性があるし、女の子は男の子かもしれない」と教えられ、実際に自分の性別に違和感を感じる子供も増えています。 こうした教育や社会風潮に「おかしい」と感じる世論を代表しているのが、トランプ元大統領です。 「子供たちに押し付けられている左翼的ジェンダーの狂気は、児童虐待行為です。私が次期大統領となったら初日にジョー・バイデンの残酷な政策を撤回し、いわゆるジェンダー・アファーミングケアという、子供に思春期ブロッカーを与えて身体外観を変え、未成年の子供に最終的に手術を施す馬鹿げたプロセスを撤回するつもりです。」 手術で卵巣や精巣など性腺を取れば、元の性には戻れません。特にホルモンは、血管のしなやかさを保つ働きなど生命を維持するために不可欠なので、命に直結します。 ◆イギリス イギリスでは7月から、「新しく建設する公的建造物は男女別のトイレを設けることを義務付ける」ことになりました。揺り戻しが起きています。 ケミ・バデノック女性・平等担当相は、「女性が安心できることは重要」と説明しています。 イギリスの小学校では男女共用トイレが増えた結果、トイレを怖がって学校を休む女子生徒がいたり、中にはトイレに行きたくなくて水も飲まない子もいるとして、数年前から問題になっていました。 保護者の多くは、子供の学校で変更が行われる前に相談を受けなかったと述べています。 日本でも、すでに愛知県豊川市の小学校では「みんなのトイレ」という名称で、「個室化、多様化に配慮」したトイレへのリフォームがなされ、入口は男女一緒で、男女共用もしくは男女別の個室が設置されています。 豊川市で小学生向けの塾に勤務する講師の方によると、小2の女子が「学校のトイレは気持ちが悪い。男の子は男の子にしてほしい」という声があったということで、「一体誰がトクするのか疑問だ」ということでした。 また同じ地域の元小学校校長も「腕白盛りの男子がふざけて女子トイレをノックしただけでおおごとになった。子供や親御さんへのアンケート調査など、丁寧に声を聴いて対応すべき」といいます。 (後編につづく) Jアラート発令、北海道にミサイル着弾の恐れ?ウクライナ戦争の裏で進化する北朝鮮の核戦力【後編】 2023.05.25 https://youtu.be/7ytEDTasZ0g 幸福実現党党首 釈量子 ◆韓国30年ぶりの保守・尹政権の変化 ここで、38度線で対峙している韓国を見てみましょう。 韓国は、30年ぶりの保守政権に復帰しました。尹大統領は米軍との関係強化や、日韓関係の改善を掲げています。 尹大統領は「中国の脅威」も認識し、脱中国を掲げて実際に行動している点、日本もその変化を歓迎すべきだと思います。 国家存亡の危機にある韓国では、1月の世論調査では、「独自の核開発が必要だ」と考える国民が76.6%いました。「核拡散防止条約(NPT)脱退も覚悟すべき」という議論も出てきています。 悩ましいのは、先日のSNSの機密情報流出事件で、アメリカのCIAが、同盟国である韓国政府の通信を傍受していたことが判明していたことで、内容も、「アメリカからウクライナに砲弾を提供するよう圧力があった」という話が暴露されました。 韓国には「戦争当事国には武器を供与しない」という政府方針があり、なんといっても北朝鮮とロシアはつながっているので、弾薬を提供すると北朝鮮を刺激しかねません。 尹大統領は、ロイターのインタビューで「民間人に対する大規模な攻撃や国際社会が到底看過できない大量虐殺などが発生した際は、人道主義や財政支援だけにこだわることが難しくなる」と述べ、軍事支援を検討する考えを示しました。 尹政権は、来年4月の「総選挙」で過半数を握るまでは、極めて不安定です。司法やメディアも左派が握っている上に、国内は「赤化」を狙うスパイの巣窟でもあります。 どの国も、国家存続の危機を前に変わらなくてはいけないという苦渋が滲みます。 ◆日本は変われるのか そうした中、一番、変化できないのが日本です。 日本政府は北ミサイルの発射のたびに、「直ちに米国および韓国と緊密な連携を確認し、北京の「大使館」ルートを通じて北朝鮮に厳重な抗議を行い、強く非難」することを繰り返しています。 ウクライナを直視すれば、完全に「代理戦争」の戦場です。国土は破壊され、イギリス軍がウクライナに提供を明らかにしたのは「劣化ウラン弾」です。 国土防衛に「劣化ウラン弾」を使う国などありません。これがゼレンスキー大統領を選択したウクライナの現実です。ウクライナには勝てる見込みがないのは誰もが知っています。 希望はないことはありません。北朝鮮をみごとに押さえた「トランプ大統領再選」なら、第三次世界大戦を起こさせない可能性が出てきます。ただ、バイデン政権からのあからさまな妨害にあって、厳しい状況です。 アメリカの連邦議会では、バイデン一家が中国から金銭を受け取った銀行口座まで明らかにしたにもかかわらず、逆にトランプ氏が起訴され、「司法」を使って政治的迫害を行っているバイデン政権によって、アメリカの信用は地に堕ちています。 アメリカの「核の傘」を信頼できるか分からない以上、「自分の国を自分で守る」ために、国家の自助努力で出来ることをすべきです。 幸福実現党は、日本は「核装備」を検討すべきと訴えてきましたし、憲法9条改正を急ぎ、自衛隊を「国防軍」にすべきです。 そして外交においては、「自由・民主・信仰」という普遍的価値観で手をつなぎ、中国共産党を包囲すべきと訴えてきました。 韓国とも、「反日教育」など、溝は想像以上に深いのですが、日本としてディベートすべき課題を明らかにすべきです。 ただ、根本的な問題解決は、民族的な限界を超えた、普遍的な宗教的価値観なのではないかと思います。日本神道の鳥居を見ると非常に嫌悪感をもよおすというような国もありました。 こうした民族的な教えの限界を超えて、普遍的な価値観や、正義の観念で手をつないでいくことが必要だろうと思います。 韓流ドラマなどでも、霊界描写も豊富で、仏教的な三途の川が出てきたり、転生輪廻が描かれたりします。 人間はともに仏の子の兄弟であって、過去、自分は日本に生まれたこともあれば韓半島に生まれていたかもしれないと考えると、民族主義の枠を超えあられます。 「自由、民主、信仰」といった普遍的価値観を持つ国で手を握れば、インドやロシアも含めて、北朝鮮や中国を包囲できるのです。 「第三次世界大戦」などの危機は、「憎しみを捨てて、愛を取る」心の力が、地球平和の鍵だと確信しています。 Jアラート発令、北海道にミサイル着弾の恐れ?ウクライナ戦争の裏で進化する北朝鮮の核戦力【前編】 2023.05.24 https://youtu.be/7ytEDTasZ0g 幸福実現党党首 釈量子 ◆進歩を続けた北朝鮮の核戦力のいま ウクライナの戦火が飛び火して、「世界大戦」に繋がりそうな危険地帯が浮き彫りになってきました。中東、台湾、そして朝鮮半島です。 北朝鮮がいつ韓国に雪崩れ込むか、また日本にミサイルが落ちるか分からない状況です。 特に4月13日に北朝鮮から発射された新型の固体燃料式ICBM「火星18号」は、「Jアラート」が発令され、北海道南西部への落下が予測されたことも分かりました。 陸地への落下が予想されたのは初めてのことで、函館や札幌の空が赤く染まっていた可能性もあります。 ただ、日本の政治家でも危機感はなく、ある野党幹部は「NHKの朝ドラが飛んでしまった」というような発言をなされていて、何が危険か分からないようです。 ◆北朝鮮のミサイル発射の意図 北朝鮮の軍事的な動きを見ると、「何がしたいのか」がけっこう正直に見えてきます。今年に入ってから北朝鮮が発射したミサイルは以下です。 1月1日 超大型ロケット砲(短距離弾道ミサイル)1発を発射 2月18日 「火星15型」1発を発射 2月20日 超大型ロケット砲(SRBM)2発 2月23日 戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)2型」4発を発射と主張(翌日発表) 3月9日 短距離弾道ミサイル6発(火力襲撃訓練) 3月12日 潜水艦から戦略巡航ミサイル2発を発射(翌日発表) 3月14日 短距離弾道弾2発を発射(地対地戦術ミサイル) 3月16日 「火星17型」1発を発射 北では最大。射程は1万5000キロ超。 3月19日 短距離弾道ミサイル1発を発射。変則的軌道の可能性 3月21日 中距離弾道ミサイル 射程800キロ 3月22日 戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)2型」4発を日本海に向けて発射 3月21~23日 新型兵器「核無人水中攻撃艇ヘイル(津波)1」実験 日本海で実施 3月25~27日 〃再実施 3月27日 弾道ミサイル2発を発射 4月13日 「火星18型」1発を発射 初の固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル 今年は、正月から北朝鮮は勤勉なことにロケット砲の発射から始まり、「韓国全土」が射程に入っていることをアピールしています。 そして 3月16日の「火星17号」は、韓国の尹大統領が来日した当日に発射されました。射程は1万5000キロで、アメリカの心臓部である東海岸を狙えます。 「火星17号」の実戦配備には、大気圏への再突入技術を獲得する必要があるとされます。それができなくても、大気圏外で炸裂させるEMP(電磁パルス)攻撃で、電子機器がすべて使えなくなり社会機能は停止します。 アメリカが北朝鮮にEMP攻撃されたら、どうなるのでしょうか。 2021年6月に元CIAの核専門家ピーター・プライ博士が発表した報告書(※)がアメリカ議会の諮問機関でまとめられました。 (※)「北朝鮮: EMPの脅威 北朝鮮のEMP攻撃能力」North Korea: EMP Threat – North Korea’s Capabilities for Electromagnetic Pulse (EMP) Attack | EMP Shield) 「EMP攻撃でアメリカ国民3億2200万人が利用する通信インフラが破壊され、航空管制のシステムも被害を受け、航空機は次々に墜落、最大で50万人の乗客が死亡する可能性があるということです。 核爆発によって放射性物質が飛散し、農業、食糧供給が壊滅的な打撃を受け、国民の9割が1年以内に死亡する」と、警鐘が鳴らされました。 ◆進歩する北朝鮮の核戦力 4月13日に発射した「火星18号」は液体燃料式ではなく固形燃料式で、「秘匿性」が高まっています。いつ、どこで発射されるのか分からなくなり、迎撃はさらに困難です。 ミサイルという運搬手段だけでなく、搭載する「核」の開発も着実に進めています。 金正恩委員長は3月27日に核施設を視察し、「威力ある核兵器の生産に拍車をかけよ」と檄を飛ばしました。この時の報道写真では、直径約50センチの小型核弾頭「火山31」が見られます。 北朝鮮は「戦術核」に力を入れており、日本など周辺国において実戦で使うことを念頭に小型核の開発が進んでいます。「Jアラートも鳴らない」うちに、日本に落とされる可能性が高くなります。 他にも放射能津波を起こす「核攻撃型水中ドローン」の実験に成功したと主張しています。 また、4月18日に、金正恩委員長が「国家宇宙開発局」を現地指導し、「軍事偵察衛星1号機の打ち上げを指示」したことも報じられ、ミサイルの精度は飛躍的に上がります。 もっとも、1月には、マッハ5以上の速度で飛行する「極超音速ミサイル」の実験もしています。こうなると迎撃は、無理です。 日本が手をこまねいている間に、北朝鮮の脅威は増大しました。 (後編につづく) 反カルト・新興宗教・宗教二世問題、日本のお粗末な議論に喝!人権の防波堤「信教の自由」を守れ!【後編】 2023.04.28 https://youtu.be/JnKXTDOQaeU 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国の気功集団「法輪功」への弾圧 法輪功は、共産党の地方機関紙が「法輪功は詐欺」と書いたことを機に、新聞社や中国の政府機関が密集している「中南海」を取り囲む大規模な抗議行動を行いました。 当時の江沢民政権は、法輪功を非合法の「邪教」として弾圧し、逮捕令状がなくても逮捕し、強制収容所における思想改造、拷問、臓器収奪などがなされています。 2015年には刑法の「邪教」に関する条文を変えて、「邪教団体を組織、もしくは利用し、国家の法律の実施を妨害した者」に対する最高刑を懲役15年から無期懲役に引き上げました。 2017年にも「邪教」への取締りを強化し、中国最高人民法院と最高人民検察院は「未成年者に対する宣伝広告」など7項目に対して厳しく処罰する方針を明示しました。 習近平政権は、若い世代の信仰の根絶に非常に熱心で、教科書や大学内で「神」など宗教的な言葉を禁句にするなど、信仰心を根絶やしにしようとしています。 2015年から習近平政権は「宗教の中国化」を掲げ、「信仰」よりも中国共産党への忠誠を優先させる政策を進めました。 これにより、伝統宗教も例外なく、党の指導に従わないキリスト教の教会を容赦なく破壊し、牧師を連行し、仏像の首が孔子像に挿げ替えられるなど、文明国とは思えないことをしています。 ◆ウイグルにおける中国の人権蹂躙 今、世界の宗教者が心を痛めているのが、中国の習近平政権が行っている宗教弾圧です。ウイグルにナチス型の「再教育施設」が、推計1300カ所以上あるとされています。 ある日突然、頭に黒い袋を被せられて連行され、施設では手足を拘束され、拷問やレイプ、鎖につながれたまま「習近平への感謝」を連日叫ぶよう強制されます。 習近平政権の「宗教弾圧」に関しては、何ができるのか、考えなくてはなりません。 2018年、幸福実現党は、国連の人権理事会の加盟各国の人権状況をチェックする「普遍的定期審査(UPR)で中国が対象となった際、レポートを提出しました。 私と及川幸久外務局長が、ウイグルの方と一緒にオブザーバー参加し、各国の様子などもお話を聴いてきました。 ◆「信教の自由」に対する日米の認識の違い アメリカでは2年以上前から中国のウイグル弾圧を「ジェノサイド」と認定し、厳しい対応を取っています。 アメリカでは人間は創造主に作られた被造物だという考えが根底にあります。どこの国でも、「人間は、神の子仏の子であり、それだけ尊い存在なのだ」という考えが、人権の尊厳の根拠となっています。 おなじ神仏の子が、弾圧されていることは、耐えがたい悲しみを感じるわけです。 神仏の存在は、政治の上位概念にあるものです。 信仰心を踏みにじり、軽々しく宗教に規制を掛けようとする日本の政治の動きは、神になりかわろうとする「独裁者」の傲慢さに、よく似ているように思えます。 政治が宗教の信仰形態や教義などに口を出し、介入すると軽々に言うことの危険性を訴えたいと思います。 ◆アメリカ政治の人権と正義の感覚 また、アメリカの下院は3月27日、「強制臓器摘出停止法案」が、賛成413反対2の、圧倒的多数で可決しました。 アメリカでは、「強制的な臓器狩りや臓器摘出を目的とした人身売買に対して、資金提供など便宜を図った」と判断した人物に制裁を科すことを可能にする法律が審議されており、法案を作成した共和党下院議員クリス・スミス氏は、次のように述べています。 「習近平主席と中国共産党のもと、毎年6万人から10万人、平均年齢28歳の若者が犠牲者となって、その臓器のために残酷に殺されています。」 「中国共産党は彼ら (ウイグル人を含む民族や法輪功) を屠殺にちょうど良い『邪悪なカルト』であると宣言しているのです。 ◆日本は人権の防波堤に 日本の報道では、「宗教で被害を受けた」と言う二世信者のマイナスの側面ばかりが取り上げ、政治でも宗教団体への規制の強化を論じるのが時代の流れのように報じています。 「信教の自由」に対して、国家権力の介入を容認する動きは、中国のような、全体主義の政治に通じて、危険だと思います。 逆に、中国に対しては「自由、民主、信仰」という普遍的価値を共有する国が包囲していく必要があります。 むしろ日本は、宗教の理解を深め、「信教の自由」を擁護する立場を鮮明にし、中国共産党の宗教弾圧に抵抗して、人権の防波堤となるべきではないでしょうか。 反カルト・新興宗教・宗教二世問題、日本のお粗末な議論に喝!人権の防波堤「信教の自由」を守れ!【前編】 2023.04.27 https://youtu.be/JnKXTDOQaeU 幸福実現党党首 釈量子 ◆新宗教に対して偏見を煽るマスコミや政治 昨年夏、旧統一教会に恨みを持つ人物によって安倍元首相が襲撃された事件以降、新宗教に対して偏見を煽るようなマスコミ報道や政治的動きが出てきています。 自己責任を負うべき40歳を過ぎた男性の問題を、政治が「宗教全体」の問題であるかのようにすり替え、これまで票集めに宗教団体を利用してきた政治家たちも、掌を返して宗教への規制を強めています。 そこで今回は、「信教の自由」や海外の「カルト対策」について考えたいと思います。 ◆「信教の自由」の沿革 まず、「信教の自由」というのは、憲法20条で保障されている基本的人権です。もとは「内心の自由」から来ています。 憲法第19条に「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」という規定がありますが、この思想・良心の自由が「内心の自由」です。 「内心の自由」は、人間である以上、絶対に認められないといけない、根源的な自由です。 なぜなら、心のなかで思うことを禁止されたら、もう人間としての尊厳は認められないのに等しいからです。 その「内心の自由」の代表例として、第20条の「信教の自由」が出てきています。 「信教の自由」は、「〇〇の自由」という自由のカタログのなかで、「最も大切」なものとされます。 「何を信じるか」というのは命懸けで「信教の自由」から「信仰告白の自由」、そして「言論・出版の自由」が出てきたからです。 「信教の自由」がなければ、ほかの自由もなかったわけで、こうした歴史的な沿革から、ほかの権利よりも遙かに重い、尊い自由だと考えられています。 「信教の自由」は人権のなかの人権であり、国民が、心の中で何を思うかについて、政治家が口を挟むことは、「信教の自由」を侵害する憲法違反です。 政治の側が、「あなたの信じている宗教はおかしい」「この団体の神は偽物だ」などと言うことは、宗教弾圧であると共に、信者の人格を否定する人権侵害行為に他なりません。 もちろん、「詐欺」や「傷害」などの違法行為に関しては、現行の刑法でしっかり取り締まるべきだと考えます。 しかし、教義の中身に関しては、政治の立場としては、基本的に「思想の自由市場」に委ねるべきで、政治の使命は「信教の自由」を守ることにあります。 「おかしな宗教に騙される人や被害者が出てからでは遅い」という世論に押され、日本でもフランスの「反セクト(カルト)法」のようなものをつくろうという議論も出てきています。 しかし「カルトかどうか」を政治が判断することは、「信教の自由」の侵害に簡単につながるので、カルトの定義は難しく、主観のレベルで決めていい問題ではありません。 ◆海外のカルト対策 ●フランス そのフランスでは、1995年12月に国民議会の調査委員会の報告書で、「法外な金銭の要求」など10の指標を設定して、173団体の名前がカルト教団(セクト)として公表されたことがありました。 2005年に173団体のリストは撤回されましたが、その理由は、「客観的な基準に欠ける」というものです。(フランス内務省2020年報告書)。 その後、2001年に「反セクト法」が成立したのですが、これも、宗教の「教義」を対象にカルト認定して規制するというものではなく、「人権侵害」などの行為を取り締まるものです。 法律違反の有罪判決を複数受ければ、裁判所から宗教団体の解散の宣告ができると定めてはいますが、今日まで、実際に団体が解散させられた例はありません。 ●米国 アメリカでは、カルト規制の法律を作るという動きそのものがありません。 理由は、米国憲法修正第1条で「国教を樹立し、若しくは信教上の自由な行為を禁止する法律を制定してはならない」と定めているためです。 アメリカでは「信教の自由」は憲法で認められた絶対的な権利の一つとされ、州ごとに日本の「宗教法人法」にあたる法律はあるものの、連邦レベルで宗教団体に制限や制約を設けることはしていません。 ●中国 一応、中国の憲法には「公民の宗教信仰の自由」が明記されてはいます。 しかし、これは見せかけで「宗教を利用して社会の秩序を破壊してはならない」「宗教団体は外国勢力の支配を受けない」として警戒し、実際、容赦ない弾圧が繰り返されてきました。 後編では、中国の宗教に対する弾圧の実態から見てまいります。 (つづく) 中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介。世界大戦の構図が鮮明に。【後編】 2023.03.29 https://youtu.be/n5r0Yfd8nG4 ◆バイデン外交で「世界大戦の構図」に イランの核開発は秒読み段階に入っています。イランは「核兵器を作る意思はなく、核の平和利用だ」と主張してきました。 たとえば原子力発電所に必要な濃縮度は3~5%です。イランが米英仏独中ロと2015年の合意した濃縮度は3・67%でした。 それが今年2月、国際原子力機関は濃縮度84%の高濃縮ウランが発見されたと報告しました。平和利用どころか、核兵器製造に必要な濃縮度90%まであと僅かです。 イスラエルは、イランの核開発成功を黙って見過ごすことはありません。これまでも、イランで核科学者らが暗殺されるたび、イスラエルの関与が報じられてきました。 核施設への破壊工作も行っています。核開発完了前にイランを攻撃する可能性は濃厚です。そうなれば、中東を発火点として世界大戦が勃発する可能性も出てきます。 バイデン米大統領は外交方針として「民主主義VS権威主義」の対立軸を打ち出しましたが、完全に裏目に出ています。 危機が迫る中、幸福実現党の大川隆法総裁は、世界の趨勢を決めるのは「インド」だと指摘してきました。 現在、インドは中立の立場を堅持していますが、中国寄りも人口は多く、仏教も生んだ宗教大国です。歴史的に日本のつながりは深いので、インドを味方に引き入れる役割を、積極的に果たすべきです。 ◆共産主義と戦うことは正義 米国共和党を中心にウクライナ戦争を終わらせようとする動きが出てきたことは注目されます。近い将来、バイデン外交が修正される可能性もあります。 トランプ前大統領は「大統領に返り咲いたら真っ先にウクライナ支援を停止する。私は第3次世界大戦を簡単に阻止できる唯一の候補だ」と語っています。 また次期米大統領選の有力候補とされるフロリダ州のデサンティス知事も「ウクライナ戦争は領土紛争であり、重大な国益ではない」と述べています。 さらに、米国下院では超党派で「中国特別委員会」を設置し、米国にとっての真の脅威を明らかにしようとしています。 中国問題に取り組んできたマクマスター元大統領補佐官などが、習近平主席の主張を根拠に、「マルクス主義を思想的根拠として西側と戦おうとしている」ことを説得する熱の入った映像を議会で上映しました。(※) (※)「中国問題委員会で使用された映像」 https://www.c-span.org/video/?526319-1/national-security-adviser-mcmaster-testifies-select-committee-china 19世紀のマルクスの共産主義が世界中に多大な犠牲を出したのは歴史的事実です。ソ連で2000万人、中国で6500万人、北朝鮮で200万人など、想像を絶する犠牲者が生まれました。 このマルクスを信奉し、共産主義を国是とする中国共産党の脅威を知らせることは、国防を論じるうえでも大事なことです。 ◆日本の使命 日本は、唯物論国家による文明実験で人類は150年以上、苦しみ続けてきた現実を直視しなくてはなりません。 唯物論を基本思想とする中国は、ウイグルやチベットに対する弾圧も行っています。中国国内でも苛烈な信教の自由への弾圧を行っています。 日本はアジアの大国として、「信教の自由」を守る砦とならねばなりません。「自由・民主・信仰」の普遍的価値観で中国を封じ込め、世界大戦を阻止するために力を尽くすべきです。 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 … 25 Next »