Home/ 小川 俊介 小川 俊介 執筆者:小川 俊介 幸福実現党 三重県本部参議院選挙区代表 激動の2012年――昇る太陽よ、輝け! 2011.12.31 政府・民主党は30日、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げることを柱とする「社会保障と税の一体改革」の素案を確定しました。 今回、野田首相は、「増税への国民の理解」を得るため、政治家や公務員が「自ら身を切る改革」を行うと宣言。衆院議員定数の80削減や公務員人件費削減、公益法人改革への取り組みを進めると宣言しました。 この事に関し、野党からは「公約違反の消費増税を野田首相自ら決めた。無駄排除などで財源を賄うと国民と約束して政権を獲得した民主党政権の正当性の自己否定だ」等、強い反発が出ており、協議拒否の構えを取っています。(12/30産経) 野田首相は、民主党内における消費増税反対派の勉強会の立ち上げや離党者が続出し、分裂含みであることや、世論の反発を抑えるために、「国会議員定数の削減」と「公務員給与の削減」を付け加えた形です。 しかし、そもそも行財政改革は民主党が政権公約として掲げて来たことであって、それを増税実施の前提条件にするやり方には納得できません。増税の「地ならし」として行財政改革を使おうとしているに過ぎません。 また、復興増税前に、「まず国が身を削る」と宣言していた野田首相は、民主党の最大の支持勢力である労働組合の連合の反対を受け、公務員の給与削減をあきらめ、また、国会議員定数の削減は、先の臨時国会に法案提出すらできませんでした。 こうした経緯を踏まえると、今回、野田首相が宣言した、衆院議員定数の80削減や公務員人件費削減、公益法人改革への取り組みは、国会議員や公務員労組の激しい抵抗を受け、なし崩しになることは目に見えています。 大阪市の橋下徹市長は、次期衆院選について「衆院選は消費税選挙といわれているが、消費税を上げるだけでは対症療法で、国自体は変わらない。国のかたちを変える道州制選挙になる」と発言しており、注目を集めています。 確かに、「二重行政」などの行政の無駄を無くし、「小さな政府」へと国のかたちを見直すことは大事です。しかし、「道州制」や「地域主権」は、外交・防衛、災害救援などの妨げになるため、北朝鮮や中国の脅威が迫っている今、取るべき政策ではありません。 徹底した「行財政改革」を目指すのであれば、幸福実現党が提言しているように、年金制度の抜本的見直し、予算の単年度制の廃止、参議院の廃止、あるいは参議院の「廃法府」化(法律を廃止する機関)にする、不要な省庁の廃止等、大胆なイノベーション、創造的破壊が必要です。 日本には「人・物・金」という経営の三要素が揃っています。「勤勉で誠実で優秀な国民」「世界最高峰の技術や合理化された生産施設」「世界最大の債権・金余り」という強みを有しています。 その強みを最大限に活かすためには、民間企業が最大限に活躍できるように、大胆な「減税」「規制緩和」「金融緩和」等を断行すると共に、バラマキや補助金や保護を撤廃し、「小さな政府」を目指すべきです。 その結果、企業家精神を持った企業、ベンチャーが数多く誕生し、付加価値を創造し、新しい仕事、新しい雇用を生み出していくことで、社会全体が豊かになっていくのです。そのためには、がんじがらめの法律や規制、複雑な税金等を一掃する必要があります。 政府は「社会保障と税の一体改革」の素案を出しましたが、野田政権は「重税国家」「福祉国家」への大きな転換を図ろうとしています。増税は経済的自由の縮小であり、ハイエクが示したように、経済的自由の放棄と全体主義体制、隷属体制は表裏一体です。 2012年、日本はこのまま「重税国家」への道を歩んでいくのか、それとも「自由の大国」への道を歩むのか、大きな分岐点に立っています。 幸福実現党は、野田政権の「国家社会主義への道」とは正反対の「自由の大国」「自由からの繁栄」を掲げています。 日本が国難を突破し、世界の「リーダー国家」となっていくためには「第二の明治維新」が必要です。いや、かつての「明治維新」以上の大胆な改革を成し遂げ、戦後、築きあげて来た様々な政治・経済システムを大胆に見直していく必要があります。 2011年、欧米の低迷が顕著になり、中国はバブル崩壊の予兆を見せ、世界経済は混沌たる時代に入りました。今、日本が世界の「リーダー国家」とならなければ、もはやどの国も世界を救い、導くことはできません。 2012年、国内外の様々な「国難」が予想されていますが、されど、「ピンチはチャンス」でもあります。今こそ、大胆な国家のイノベーションのチャンスです! 昇る太陽よ、輝け!――幸福実現党は2012年、眠れる竜、「臥竜・日本」を目覚めさせ、「新しい国づくり」元年として参ります。(文責・小川俊介) 2012年は国家としての「危機管理能力」が厳しく問われる 2011.12.24 12月19日の金正日氏の死去から既に「激動の2012年」の幕が開きました。 2012年は、アメリカ、中国、韓国、台湾、ロシア等、日本を取り巻く各国首脳が交代・再選に直面しています。その中で、各国首脳が権力を掌握すべく、外圧を強め、有事を起こす事態も想定されています。 しかしながら、「激動の2012年」を目前に、様々な点から日本の危機管理意識の希薄さと危機管理能力の欠落が浮き彫りになっています。 19日昼。北朝鮮が「特別放送」を予告し、金正日総書記の死去も予測された中、野田首相は「遊説の約束は破れない。何かあれば、すぐに連絡してほしい」。こう言い残して街頭演説に向かいました。しかし、すぐに戻るはめになりました。 その後、閣僚を集めて緊急に開いた「安全保障会議」も、たったの10分で終わりました。議論の材料になる情報がなかったからです。 20日以降も各省庁から野田首相に報告が上げられましたが、「関係国による分析の内容などが多く、目立った情報は入っていない」(首相周辺)という始末です。(12/22日経) 金総書記の死期が近いことは分かっていたのに、政府は情報収集をろくにしておらず、死亡発表後の混乱もお粗末です。 高度情報化社会と言われて久しく、一企業活動においても情報こそが生命線となる現代社会において、国家の存亡と国益を守るための主体的な諜報活動がなく、諸外国の情報収集や分析能力に依存している現状では、国家の重要な意思決定をすることは出来ず、到底、自立した主権国家とは言えません。 危機管理体制のあり方については、北朝鮮ミサイル発射実験などを受けて、安倍政権時に、形骸化して機能不全であると指摘された「安全保障会議」を強化すべく、「日本版NSC(国家安全保障会議)」が提起されましたが、実現には至りませんでした。 今回、日本版「国家安全保障会議」(NSC)創設を目指す民主党の作業チームは13日、既存の「安全保障会議」が形骸化しているとして、廃止を含めて在り方を見直す方針を固めました。 今後、民主党内での結論がどうなるかはまだ不明ですが、国家戦略室と国家戦略会議のように、曖昧で重複する数多くの審議会や組織をつくりながら、何ら機能していない現状を見ると、官僚組織の肥大化が進んでいくことが危惧されます。 危機管理に対応できる国家を築くには、まずは危機管理に対処する官僚組織を掌握する政治家の見識こそが問われています。 また、特にインテリジェンス(情報活動)や周辺有事への即応体制のあり方が問われており、機能強化と再構築が急がれています。 「2012年は予測不能の年」だと言われおり、危機管理能力の欠如は「国家存亡の危機」を招きかねません。 政府は様々な「想定外」の事態に対し、機動力を持って臨機応変な対応を実現できる危機管理体制の構築を急ぐべきです。(文責・小川俊介) 「定年65歳義務化」論争について 2011.12.17 厚生労働省は働くことを希望する従業員全員について、65歳までの継続雇用を企業に義務付ける方針を示しました。無年金・無収入化を防ぐことが目的です。 政府は来年1月から始まる通常国会に「高年齢者雇用安定法」改正案を提出し、平成25年度からの実施に向けて、早期成立を目指す構えです。 再雇用の一律義務化について、企業側は一斉に反発を示しており、経済界では「個人の能力や企業の事情を勘案すべきだ」との意見が支配的です。 反発の理由はコスト負担増です。関西経済連合会の試算では、再雇用義務化により、企業の人件費の負担増は平成29年に計3兆6千億円まで膨らみ、企業全体の利益を21%押し下げるとしています。(12/16産経) 経団連の米倉会長は「人間は高齢になればなるほど健康に個人差が出てくる。一律に義務化するのではなく、会社側と話をしながら働く場をつくっていくことが大事だ」と指摘ています。 一方、労組側の連合の古賀会長は「年金の支給年齢が引き上がれば生活できなくなる」とした上で「希望すれば誰もが65歳まで働く環境が必要だ」と主張し、賛成する意向を明らかにしています。 この問題をめぐって、「労使対立」の構図が鮮明になっています。 この問題の解決のためには、政府は制度変更の前提として、「景気回復策」や「経済成長戦略」の実現に取り組むべきです。 かつて、団塊の世代が大量に退職を迎える「2007年問題」を前にして、企業側から法律による雇用義務化に対して反対意見が出ましたが、景気回復によって人手が不足したため「60歳を過ぎた人の雇用を確保したい」という声が企業側から上がって来たことにより、65歳までの継続雇用が広がりました。 慶応義塾大学の樋口美雄教授は、「定年引上げ」を実現するために必要なことは「法律の力というよりも、景気の力といった方がいいかもしれません」と指摘しています。(日経ビジネス「2012年問題に備えよ」) このことは、経団連米倉会長が「経済成長こそが社会保障制度の安定や雇用の維持、創出につながる」(12/14産経)と訴えていることとも重なります。必要なことは景気対策に尽きています。 また、「現実問題として、65歳定年制は可能なのか」という疑問については、OECDの国際比較調査によると、60歳~64歳の男性の労働力率は日本が70%で、仏20%程度、独37%~38%、英米50%半ば程度と比較すると、かなり高い水準になっており、65歳定年制に向けて日本企業の努力は着々と進んでいます。 さらに、実引退年齢69.3歳(厚生労働省「世界の厚生労働」2007年みずほ総合研究所)という分析結果も出ており、日本の現状はすでに「70歳定年社会」となっているとも言える状態なのです。 平均年齢も伸びており、今のままでは、年金の受給期間が更に長くなることも想定されており、長寿社会が進むことや年金破綻なども踏まえると、将来的には「75歳定年制」も視野に入れていくべきです。 厚生労働省が実施した中高年(50歳~59歳)の仕事に関する調査で、60歳以降の仕事の希望の有無については、「60歳以降も仕事をしたい」と回答した人が7割をしており、このうち、「可能な限り仕事をしたい」と回答した人が64.4%と最も多く、日本人の高齢期の就業意欲は非常に高いと言えます。 欧米では、アーリーリタイアメントが流行る一方、日本人の高齢者は勤労意欲が高いことこそ、大きな国家財産であります。 こうした高齢者の方々に更に活躍頂く「生涯現役社会」構築のためにも、政府は経済成長戦略による雇用拡大に全力で取り組むべきです。(文責・小川俊介) 生活保護受給者が戦後過去最多を更新~国家再建の原点に立て~ 2011.12.10 厚生労働省は12月6日、全国で生活保護を受給している人が、本年8月時点(速報値)で205万9871人、世帯数では149万3230世帯となり、いずれも過去最多を更新したことを発表しました。 206万人という数値は終戦直後の1951年の月平均204万人を超えており、終戦直後の状況にまで陥っているとも言え、政府は日本経済再建に向け、国家の総力を結集すべきであります。 生活保護受給者の増加に伴い、近年、予算も膨張しており、生活保護の給付額は11年度で3兆4235億円(当初予算)で、08年度の2兆7006億円からわずか3年間で7000億円以上も増えています。 生活保護受給者は景気と直結しており、1995年度に過去最少の88万2229人となってから増加に転じ、16年間で受給者が2.3倍以上増えています。 これは「長期不況」が、生活保護増大の要因であることが指摘されています。(12/6日経) 現在の増加ペースが続けば、更に生活保護受給者が増加し、予算が膨張していくことは避けられません。 今後、東日本大震災で被災され、失業された方々の失業保険や雇用調整助成金が切れれば、生活保護世帯が急激に増えていくことは避けられません。 政府は来秋までに生活困窮者対策を総合的に進める「生活支援戦略」を策定する方針ということですが、あまりにも対応が悠長すぎます。 増加傾向にある生活保護への対策として、最優先されるべきは、消費増税の議論や社会保障の拡充論議ではなく、雇用を拡大するための景気対策・経済対策に他なりません。 これまで2~3%台を推移していた日本の失業率が、1997年の消費税増税後、4~5%台に跳ね上がったことを考えれば、消費税増税が更に失業者、生活保護受給者を急増させる結果をもたらすことは明らかです。 併せて注目すべき数値としては、働ける年代なのに失業などで受給する人を含む「その他の世帯」の急増で、25万1176世帯となり、2008年のリーマン・ショック前の2倍に増えています。(11/24東京新聞) この理由について、学習院大学経済学部教授(社会保障論、福祉経済学)の鈴木亘氏は、労働政策研究・研修機構の周燕飛氏との共著論文「生活保護率の上昇要因-長期時系列データに基づく考察-」において、下記のように指摘しています。(⇒http://p.tl/aqUC) 「リーマン・ショックによる派遣労働者の失業を救うために、2008 年末に『年越し派遣村』が設営され、連日テレビ等で放映される政治パフォーマンスが展開された。 その中に設置された生活保護申請窓口において、政治的なプレッシャーの下で、失業者やホームレスの人々に対して、実質的に緩和された基準で、素早い生活保護受給が認められたのである。 そして、そのことが前例となったこともあり、2009年3月以降に次々と出された厚生労働省の各通達によって、以前は生活保護申請が難しかった稼働能力層が多く含まれる『その他世帯』の生活保護受給の基準が、大幅に緩和されることとなったのである。」 すなわち、民主党政権誕生の原動力となった「年越し派遣村」などの「格差批判」キャンペーンや「政治的圧力」によって、特に働ける年代への生活保護受給の基準が大幅に緩和されたことが原因であると指摘しています。 その意味で、政府は景気を回復させ、雇用を増やすと共に、働ける世代が自立できるよう、早急な自立支援政策や支給緩和措置の再検討が必要です。 民主党の前原政調会長は10日、「生活保護費にも切り込むべきだ」との考えを示しましたが、セーフティネットを踏まえつつ、国民が自立していく方向に向かうことは不可欠です。 言うまでも無いことですが、「収入があると年金が貰えなくなる」「生活保護が貰えなくなるから仕事をしたくない」「仕事をするより生活保護を貰った方が得」等、生活保護の受給が実人生を矮小化するような考え方は本末転倒です。 また、生活保護に関して、収入や資産を偽って申請する等の「不正受給」や、高齢者・貧困者等の社会的弱者を利用して生活保護をピンハネするような「貧困ビジネス」など、税金を食い物にして、国家に寄生するような卑劣な行為に対する厳格な行政施策が必要です。 戦後の混乱期と同水準の生活保護受給者数となったことで、政府は「国家再建」の原点に立って、経済成長戦略を力強く打ち出し、国民が自立して生活できる豊かな社会を築いていくことが急務です。(文責・小川俊介) 東証と大証の経営統合を日本経済再建に繋げよ 2011.11.26 東京証券取引所と大阪証券取引所が、2013年1月1日に「日本取引所グループ」として経営統合することを発表しました。 統合後の新会社に上場する企業の株式時価総額は3億6000ドル(役277兆円)と「ロンドン証券取引所」を抜き、「NYSEユーロネクスト」と「ナスダックOMX」に次ぐ世界第3位の規模となります(国際取引所連合10月末公表データ)。 現物株式の取引で国内シェア9割以上を占める東証と、デリバティブ(金融派生商品)など先物取引を強みとする大証が統合することで相互に補完することとなり、市場規模の拡大と金融商品の多様化を実現し、魅力ある市場となります。 また、取引を支える高度なコンピューターシステムへの投資や運営コストを年間70億円程度削減することができ、グローバル競争力の強化と利便性を提供することとなります。 日本においては、2007年には1日平均3兆円を超えていた売買代金の市場が、現在では1兆円規模と極端に縮小しており、地盤沈下に対する危機感をもって経営統合の判断が下されました。 しかし、市場が経営統合により財務が強化されるだけで、日本市場が活況を呈することはありません。実際、経営統合が発表された後、11月24日には、日経平均株価は年初以来の最安値8100円台を更新しています。 幸福実現党は日経平均株価株価2万円台を政策目標と掲げていますが、株式市場の活性化は、日本経済再建の原動力となります。そのためには、政府としても株式市場活性化に向けた支援政策が必要です。 市場統合を日本経済の再建につなげるためには、まずは、大胆な金融緩和によって、「貧血状態」とも言えるデフレから脱却し、マイルドなインフレ・トレンドに乗せなければ経済活動の体温は上がりません。 また、証券税制の軽減税率撤廃により、来年2012年1月より上場株式等の配当および譲渡益の課税が10%から20%に増税されます。「軽減税率撤廃」によって、多くの投資家の撤退と株式市場の低迷が懸念されています。 中国、韓国、香港、シンガポールなど、株の譲渡益課税は原則非課税であり、日本だけが世界の潮流に逆行しています。幸福実現党は株の配当課税、譲渡益課税の廃止を掲げていますが、今こそ政府は「株式減税」を断行すべきです。 同時に、法人税の減免、金融商品課税の減免も大胆に行い、企業活動の重荷を無くし、企業が積極的に設備投資・金融投資を行う意欲を高めていくべきです。 特に、法人税の足枷は国際競争力を削ぐだけでなく、日本企業の海外流出を促し産業の空洞化を拡大させ、外国企業の投資や誘致を阻害することにもなっています。実際、東証に上場する外国企業の数は、1991年に127社ありましたが、現在はわずか12社しかありません。 また、日本の「縦割り行政」に代表される「経済障壁」を排除していく規制緩和が必要です。株式や金利は金融庁、石油は経済産業省、農産物は農林水産省といった「縦割り行政」が元凶となって、商品相場に連動する金融商品の開発が遅れていることは問題です。 さらに「新産業の振興」の育成も必要です。カネ余りが続く中、資金は新たな「成長株」を求めています。政府は大胆な規制緩和と金融政策、インフラ整備投資によって、企業家精神を促す経済環境を形成し、「新産業の振興策」を進めていくべきです。 株式市場は日本経済の活力の源泉です。政府は、東証と大証の経営統合を梃子として、株式市場の活性化を強力に支援し、「日本経済再建」「新高度経済成長」を実現すべきです。(文責・小川俊介) 「国会版事業仕分け」の可能性~不要な法律を廃止する「廃法府」機能を拡充せよ~ 2011.11.19 11月16日~17日、「衆院決算行政監視委員会」において、4事業(スーパーコンピューター、レセプト審査事務、公務員宿舎建設費、原子力関連法人)について、「国会版事業仕分け」が行われました。 【行政刷新会議が行うパフォーマンス政治】 「事業仕分け」と言えば、民主党政権がスタートしてより、過去3回、「行政刷新会議」が行って来ました。 「行政刷新会議」は、民主党が掲げる「政治主導」を実現するために設置されましたが、法的根拠が無く、「朝霞公務員宿舎問題」に象徴されるように、廃止や見直しをして削減されたものが再び復活するなど、実効性を伴わないパフォーマンス政治に終始しています。 民主党は、2009年衆院選マニフェストにおいて公約した「バラマキ政策」の財源確保のために、事業仕分けにおいて、「2位じゃダメなんですか」「スーパー堤防はスーパー無駄遣いなので廃止にします」など、「廃止」「見直し」を連発しました。 このような一方的で強引な政治手法が、吊し上げや公開処刑のようだと、国民の不評を買うことになりました。 実際に、スーパーコンピューターが「世界一」の2連覇を達成したり、3.11を通してコンクリートや堤防の必要性が実証されることで、「経費としての無駄」と「未来への投資」を見極める政策上の価値判断が欠落した「事業仕分けの愚かさ」を突きつけることとなりました。 「行政刷新会議」は新たに「提言型政策仕分け」を11月20日~23日に行う予定ですが、政府関係者は「増税への国民の不満を和らげるため、歳出を見直していることをアピールすることが目的だ」と政策仕分けの真の狙いを明かしています(産経11/17)。 「政策仕分け」が増税を納得させるためのパフォーマンスであるならば、「行政刷新会議」とは名ばかりで、「増税推進会議」であることを見抜き、国民はパフォーマンス政治に騙されないようにしていく必要があります。 【国会こそが国家経営の意思決定を行い、イノベーションを主導するべき】 今回の「国会版事業仕分け」は、国会が行政を監視する機能を強化する試みとなります。 「衆院決算行政監視委員会」が行うことで、衆議院規則に基づく「決議」または「勧告」があり、明確な権限を有するもので、藤村官房長官も「評価結果が出た時は、十分に重く受け止めなければならない」とコメントしており、政府は仕分けの結論に従う姿勢を見せています。 法的な拘束力までは持たないため、実効性を疑問視する声もあります。しかし、国会における決議や勧告が実効性を持たないならば、唯一の立法機関であるとされる国会の存在理由が無いと言わざるを得ません。 国会は、立法府としての機能を果たすために、数多くの予算や法律を成立させて来ましたが、その予算や法律が、効果があったのかどうかを検証することは十分になされて来てはいません。 また、予算の単年度制により、年度末という時間的圧力から予算獲得・予算成立が最優先され、その後どうなったのかは十分な検証も無く、乱暴に言えばやりっ放し状態であります。 一つの政策には、予算が生じ、それが「利権」となり、「既得権益」を構築するとも言われます。決算行政監視委員会の役割が強化されて来た経緯はそこにあります。 通常の会社経営であれば、PLAN(構想・計画)⇒DO(実行)⇒CHECK(検査・確認)⇒ACION(改善・イノベーション)というプロセスは、一社員のレベルでも当然なされる仕事・実務の基本です。 政策や予算の効果実績を精査して、反省に立って教訓をつかみ、大胆に構想を練り直し、「イノベーション」(体系的廃棄)を行うことが、未来を創造する政治のダイナミズムです。 立法行為を続けて数多くの法律が山積して、時代に適合しない法律や規制が多く、行政の肥大化により、国民の自由を阻害され、経済活動の足枷となっています。 例えば、国家社会主義の政治体制である大政翼賛会によって、戦費調達するために導入された「源泉徴収」が現在の日本の国家財政の基盤であったり、戦時下の食糧調整を行った農業政策が今も基本となっています。 国会は、立法や予算に追われるだけではなく、ゼロベースで政治のあるべき姿を構想し、枝葉末節を捨て去る「廃法府」としての役割も重要です。 参議院の不要論も出ていますが、衆議院が立法の役割を果たすことで、中長期的な視点で検証出来ないのであれば、任期が6年ある参議院を「廃法府」として、一定期間の施行された法律を見直し、廃止していく役割を持てば、参議院の存在意義も出てくるのではないでしょうか。 国会こそが、国家経営の意思決定を行い、イノベーションを主導する場とならなければなりません。 TPPを基点とする新たな体制づくりや3.11を踏まえた危機管理対応など、より機能的で、機動力のある国会運営への改革が求められています。 衆院決算行政監視委員会における国会版事業仕分けを一時的な試みに終わらせず、「廃法府」としての機能拡充を行い、「新しい国づくり」を推し進めることが必要です。 (文責・小川俊介) TPP:日本は国家戦略を描き、イノベーションを成し遂げよ! 2011.11.12 11日、野田首相が記者会見を行い「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」と表明、ハワイで開かれているAPEC閣僚会議で、日本はTPP参加方針を表明しました。 これを受けて、幸福実現党はついき秀学党首より「野田首相のTPP交渉参加表明を受けて」という声明を発表致しました。 ⇒http://www.hr-party.jp/new/2011/14151.html 国内からは「TPP参加表明」は「見切り発射」だと批判され、民主党内における意見集約も不十分、国会における承認も無く、国民の理解も得られぬまま、戦略無き方針が発表されたと言えます。 ついき党首の声明にも、「我が党はTPP交渉参加を是とするものだが、閣僚の中には首相の会見を参加表明ではないとの認識を示す者もいるなど、政権内で合意形成が十分になされておらず、交渉参加に向けた政府・与党の態勢作りには疑念を抱かざるを得ない」と懸念を表明しています。 TPP交渉参加が「亡国への道」に至るのか、さらなる「繁栄への道」を切り拓く導きとなるのか。結局のところ、今後の政府の「交渉力」「外交力」にかかっていると言えます。 【国家戦略を描き、政官民一体となって実現せよ!】 外交文書を紐解くと、1994年「APECボゴール宣言」で「APEC経済間の経済発展段階の違いを考慮に入れ、先進工業経済は遅くとも2010年までに、また、開発途上経済は遅くとも2020年までに自由で開かれた貿易及び投資という目標を達成する」(外務省HP)との合意をしています。 しかし、「ボゴール宣言」より既に17年が経過しておりながら、自由貿易に向けた日本の経済戦略や国際戦略はどうだったのでしょうか?全く機能していない国会、政治家の不作為が浮かび上がってきます。 また、世界各国は「政・官・民」が一致して世界シェア獲得のために鎬を削っていますが、日本は各企業の孤軍奮闘で厳しい努力が続いています。 例えば、リニア新幹線はJR東海だけで行っているプロジェクトですが、政官民一体となれば新産業を育成することになり、社会インフラとして輸出産業とすることが出来ます。貿易自由化の中で、もっと創造的な政治判断が求められることになります。 さらに、TPPは単なる通商条約としての経済連携ではなく、社会基盤となる医療や訴訟等も含める法的枠組みを提供し、国家的・社会的に強固な関係となる条約である以上、国家戦略が不可欠です。 TPP反対派が言うように、確かにTPPは食品安全基準や公的医療制度への影響など、問題点も多々見受けられます。これらも、政府がどのように交渉を進めていくか、そして、国内政策による中和をいかにして成し遂げるか、政府の交渉力と構想力が試されます。 今後、自由貿易の流れの中で、世界的分業における日本が果たすべき役割は、世界最先端技術をさらに高度化する挑戦であり、創造開発することにあります。 「TPPは国内の雇用を失わせる」という批判も根強くありますが、そうならないためにも、発展途上国の労働者との差別化を図るべく、国内雇用者の付加価値と生産性を高めるための高等・大学教育の改革も急務です。 また、新産業の技術開発における要となる航空・宇宙・軍需産業の育成、前提となる「武器輸出禁止三原則の撤廃」など、自由貿易における繁栄実現への体制づくりが必要となるでしょう。防衛産業なども自由貿易が進めば、成長産業の一つとなることは間違いありません。 国益を実現するのであれば、単なる交渉参加では終わることなく、日本が繁栄するための「国家戦略」を打ち立て、その実現に向けた大きな社会変革を伴うイノベーションを断行していくべきです。 そのような構想力無くして、自由貿易の時代に国富を増やしていくことは出来ないでしょう。 【国民の意識変革とイノベーション】 そして、最後に申し上げたいことはTPP交渉参加に伴い、日本人に求められる意識変革です。 日本は押しも押されもせぬ「大国」であり、「他国を救う力」があるにもかかわらず、私たち日本人には未だ「発展途上国意識」が残っていると言わざるを得ません。 中国や発展途上国の追い上げにより、フローの統計の相対的地位は下がっても、日本が「経済大国」であり、ストックとして巨大な国力を有していることに何ら変わりません。 2010年末までの日本の企業や政府、個人投資家が海外に持つ資産から負債を差し引いた対外純資産は、円高などの影響を受け、前年比5.5%減の251兆4950億円となり、2010年末の時点で、日本は20年連続で「世界一の債権国」となっています。 幸福実現党は「日本はギリシャの経済危機を救うべき」と提言していますが、ギリシャのGDPは、現在の為替レートで23兆円程度に過ぎません。東京都のGDP(約90兆円)は言うに及ばず、大阪府(約39兆円)や愛知県(約35兆円)のGDPをも下回っています。 日本は一都市が一国を上回る程の「巨体」となっており、「他国を救う力」を既に有しているのです。 また、超円高が続くトレンドも変わらないでしょう。日本は超円高を好機として、往年のアメリカのように、世界中からもっと輸入し、世界の経済危機を救うと共に、下位国のためにも、もっとモノを買って上げて、世界経済を牽引すべきです。 それが「世界のリーダー国家」としての役割であり、使命でもあります。 「保護貿易」は発展途上国の国家戦略であり、「一国平和主義」の経済版に過ぎません。いつまでも「保護貿易」「輸出依存」では、世界の「リーダー国家」にはなれません。 日本は「大国」として、「開国の重み」に耐え抜き、これを好機として、国民の総力によって、もう一段の高付加価値産業へのシフトを成し遂げ、今こそ、「世界のリーダー国家」に向けたイノベーションをなしていくべきです。(文責・小川俊介) TPP交渉参加問題と日本政治の機能不全 2011.11.08 [HRPニュースファイル084] TPP交渉参加問題と日本政治の機能不全 G20を終えて、次なる政治課題として「TPP交渉参加問題」が突き付けられており、連日、是非を問う報道が熱を帯びています。 野田首相は、今週末(11/12~13)開催されるAPEC首脳会議において、TPPへの参加表明を目指しています。 民主党は6日にプロジェクトチームの役員会を開き、9日までに意見集約する方針を決めました。7日にも主な論点を整理、8日から9日で役員会・総会を開き提言として取りまとめ、10日には参加表明の記者会見を予定しています。 11日に衆参予算委員会でTPP集中審議をして、12日からのAPECで参加表明をする方針です。 東日本大震災の発生により、3月30日に米国通商代表部ロナルド・カーク代表が「震災復興に専念するため、6月迄にTPPに参加するかどうかの基本方針決定の先送りを容認する」と述べたことで猶予を与えられはしました。 しかし、民主党は今ごろ、論点整理をし、一週間で結論を出そうとしているドタバタぶりは、政権を預かる政府与党として不適格であり、機能不全に陥っていると言わざるを得ません。 昨年のAPEC首脳会議を前に、菅元首相は「包括的経済連携に関する基本方針」(2010/11/9閣議決定)において、「『歴史の分水嶺』とも呼ぶべき大きな変化に直面しており、政府を挙げて取り組む」と、議長国として「経済連携の推進」への決意を述べました。しかし、政府や民主党はこの一年間、一体何をしていたのでしょうか? そのような中で、各社が世論調査を行いました。11月7日付の毎日新聞によれば、TPP交渉参加問題について「関心がある」との回答が70%を占め、「関心がない」28%を大きく上回っています。関心が高い一方で、参加の是非は「わからない」39%との回答が多く、政府が十分情報を提供できていない現状がうかがえます。 共同通信が5、6両日に実施した全国電話世論調査でも、TPP参加問題をめぐり「参加した方がよい」は38.7%、「参加しない方がよい」は36.1%と賛否が拮抗しています。 参加した場合の影響を政府が「説明していない」との回答は計78.2%に達し、「説明している」の計17.1%を大きく上回り、政府の姿勢に強い不満をうかがわせています。(東京11/7) 世論調査の結果を見る限り、TPP参加表明を目前に控えながら、全く国民への理解が得られていない状態が明らかになりました。賛否が拮抗していることの背景には、政府が国民に判断材料を示せていないことが挙げられます。 本年2月に開催された「開国フォーラム」においても、質疑応答に対応できず、情報不足が露呈していましたが、この期に及んで、与党・民主党議員でさえも「情報が不十分である」との声を上げており、国会審議の場でも、情報開示を求める声が相次いでいます。 ※アメリカ政府は、各州の産業へのTPPの影響をホームページで情報開示しています。http://www.ustr.gov/trade-agreements/free-trade-agreements/trans-pacific-partnership/state-benefits-tpp また、「交渉に参加していないから情報が無い」という政府側の弁明も、政府の機能不全の言い訳に過ぎません。 日本を含めると、参加10カ国のGDPを比較すると、日米で91%を占めるため、実質的には日米FTA(自由貿易協定)であるとも言われています。主導権を握るアメリカに対して、もっと率直に交渉参加を判断するための意見交換や情報収集をなすべきでした。 そのような自主外交の姿勢が無いからこそ、「アメリカの食い物になる」との疑念や不安を増幅させているのです。 更に「普天間基地移設問題の早期解決」「米国産牛肉輸入規制の緩和」「南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)への陸上自衛隊派遣」などの外交判断においても、独立国家としての主体的な国家戦略や外交における構想力が見えず、唯々諾々とアメリカの意向を強いられているという印象を国民は感じています。 国政選挙において、まるで地方選かと思うほど、国内問題ばかりが争点となり、外交・国防・経済戦略は議論されません。外圧に対して、単に受身的に反応しているだけの日本政治に、国民は不信感と危機感を強く感じているのです。 TPPは一年前、横浜で開かれたAPEC首脳会議で実現に向けた合意がなされたFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)の実現に向けた取り組みの一環であり、中国主導ではなく、日米主導の自由経済圏にアジア、太平洋圏を統合していく過程として重要なステップです。 政府は関連する行政諸機関をフル稼働させて、情報収集を万全に行い、24分野における基本方針を明確にし、日本のグランドデザインとしてメリット・デメリットを具体的に国民に開示し、その上でデメリットを克服するための戦略を取りまとめ、国民に提示すべきです。 (文責・小川俊介) 「ギリシャ危機」を救い、EUとの関係を強化せよ! 2011.11.05 混乱を増す「ギリシャ危機」の中で開催されたG20―野田首相にとって初の国際会議の場となりましたが、厳しい国際政治において日本の「国益」を賭けて舵取りをする外交力や国際政治の見識はどうだったでしょうか? 今回のG20で報道された主な野田首相の発言としては「円高に対する単独介入」に関して各国の理解を求めたことと、「財政再建の具体策として消費税増税を10%まで引き上げること」の二点が挙げられます。 しかし、いずれの発言も、国内政治の延長線上に過ぎず、あまりにも内向きです。野田首相は「ギリシャ危機」の真っ只中のEUにおりながら、世界経済については全く目が向いていません。 野田首相の「円高に対する単独介入」の説明に関して、各国からは何の反応もなかったことを見ても、日本政府の関心事は、国際政治から見て、いかに的外れであったかが分かります。 また、野田首相が「目玉」としていた「消費税増税の国際公約」も海外メディアでは扱われず、日本国内だけで空騒ぎをしています。「消費税増税」は、国際会議の場で取り上げるべき「国際貢献」ではなく、「財務省貢献」でしかありません。 一方、日本とは対照的に、中国の胡錦濤国家主席は、世界経済の減速を食い止めるために「われわれは新興国や発展途上国の潜在力を掘り起こして経済を発展させ、世界的な内需拡大に取り組むべきだ」と強調。 さらに、期待されているEUへの具体的な支援策については「中国はリーマンショックのあと先進国の国債を買い増すなどしてきた」と述べて、これまでに行った中国の貢献を主張しました。 更に、中国はG20に合わせて、3日、「ギリシャからの輸入を拡大し、ギリシャのインフラ整備への中国企業の参加を支援する」との声明を発表しました。 EUは、まさに今、藁(わら)をもつかむ思い「チャイナマネー」に頼ろうとしているのです。中国は豊富な資金と外交力を駆使して、「ギリシャ危機」を好機として、欧州での存在感を飛躍的に高めています。 EUのキャサリン・アシュトン外交安保上級代表(EU外相)は「EUは中国との強固で建設的な関係を望んでいる。中国の主張に耳を傾けることに前向きであることが重要だ」と述べ、対中武器禁輸措置の解除の可能性を示唆。「ギリシャ危機」における中国の積極的支援を求めました。 中国は「対中武器禁輸の解除」「ハイテク製品の対中輸出制限の緩和」等の国益を獲得しようと必死です。 野田首相も「財務省の代理人」ではなく、「先進国の首脳」として「世界経済をどのようにしていくのか」という構想やビジョンを提起すべきでした。 日本は「EU危機を救う力」を持っています。EU各国は小規模の国が多いので、日本の各都市レベルの行政規模として見ることで、もっと大胆な支援策を検討し、提言できたはずです。 政府・日銀は8月と10月末に計12兆円の円高対策の為替介入を行いましたが、その効果は一時的なものに過ぎず、しかも、その原資は政府短期証券の発行であり、政府の借金を増やしたに過ぎません。 「付け焼き刃」の円高介入で12兆円もの税金を霧散させるくらいなら、円資金10兆円程度をギリシャに直接貸し付け、債務危機救済に貢献して世界経済の危機を救ったならば、日本の「国際信用力」を大きく高めることができたはずです。 また、EU側が消極的姿勢を見せている、日本とEUの経済連携協定(EPA)の締結を後押しできたはずです。、 「まさかの友は真の友」です。日本がEUに「貸し」をつくって、EUとの絆が深まれば、民主主義国家との連携が深まり、「遠交近攻」戦略によって、中国の脅威に対する包囲網が形成され、日本の安全保障は強化されると共に、EUの「対中武器禁輸措置の解除」も防げたはずです。 2012年問題が危惧され、大きく変動する恐れのある国際政治の中にあって、日本政府がこのような「外交の失敗」を続けていれば、日本の「国益」を守るどころか、国民の生命・財産・安全を脅かすことになりかねません。 国際政治の舞台では、野田首相の得意とする「パフォーマンス」は全く通用しないことを知るべきです。(文責・小川俊介) 国民を愚弄する野田首相の所信表明と国際公約 2011.10.28 本日、第179回国会における野田内閣総理大臣の所信表明演説が行われました。 野田首相は「『歳出削減の道』と『増収の道』では足らざる部分について、初めて『歳入改革の道』があります」と、最善を尽くした上で、やむを得ずの場合に増税すると言いながら、「国家財政の深刻な状況が、その重要な背景です」と増税を結論付けています。 「歳出削減」と「景気対策」という言葉は、増税の結論に導く口実として使われているに過ぎず、野田首相からは本気で日本経済を再建しようとする意志やビジョンは感じられませんでした。 野田首相は「歳出削減の道」として、公務員給与を約8%引き下げる法案を国会に提出していると政府の努力を強調していますが、そもそも、民主党の公約は「16.8兆円の無駄削減」「国家公務員の総人件費2割削減」「参議院定数40削減・衆議院定数80削減」「国会議員の歳費を日割りにする」という「歳出削減」だったはずです。 民主党が公約として掲げた「歳出削減の道」を放棄して、政治家と官僚だけは手厚く保護した上で、国民に多大な負担と「痛み」を押し付ける増税ラッシュは断じて許されない悪業です。 また、「増収の道」についても、「古来、財政改革を成し遂げた偉人は、創意工夫で産業を興し、税収を増やす方策を探りました」としながら、「人口減少に転じた日本において、数年で経済と税収を倍増させるような奇策はありません」とアッサリ、経済成長による税収増の道を断念しています。 本来、野田首相がなすべきは「増税論議」ではなく、「経済成長論議」であり、その結果として「税収増」を目指すべきです。 実際、86年からの好景気により、わずか4年間で税収は18兆円も増え、税収は60兆円台に到達しています。現在よりも20兆円も税収が多いのです。逆に言えば、景気がよくなれば短期間で税収は数十兆円単位で増えるのです。 また、11月3、4日の20カ国・地域首脳会合(G20)で、野田首相が各国首脳に対し、「2010年代半ばまでに消費税率を段階的に10%まで引き上げる」国際公約を行うと報道されています。 民主党は「消費税を4年間上げない」ことを公約にして政権を取っておきながら、「公約違反」となる増税路線を推し進め、国民を騙して「国際公約」を行うことは、国民を愚弄しているとしか言いようがありません。 世論は「増税反対58%」(毎日新聞10/3)と過半数を超えているにもかかわらず、政府は11月中旬に復興増税を含む法案の成立を目論むのみならず、復興増税を消費税増税への布石として、大増税を推し進めようとしています。 民主主義社会においては、「増税には国民の民意を問う」ことは「国家による合法的略奪」である「増税の暴走」を抑止する根源的ルールです。増税したいのであれば、国会を解散して、信を国民に問わなければ増税は断じて許されません。 (cf.フランス人権宣言 第14条「すべての市民は、みずから、またはその代表者によって、公の租税の必要性を確認し、それを自由に承認し、その使途を追跡し、かつその数額、基礎、取立て、および期間を決定する権利をもつ」) 前回、消費税がわずか2%上がっただけで不況が深刻化し、自殺者は1年で35%も増加し、以降、年間自殺者数は3万人台を推移しています。2~3%台だった失業率も、消費税増税以降は4~5%台に急上昇し、若者の失業率は10%前後になっています。 今回の大増税は、それを上回る多大な打撃を日本社会にもたらします。増税が国家を滅ぼします! 政治家や官僚は、国民が反対の声を上げない限り、国民は賛成していると受け取ります。 このような中で、国民の反対の声を届けるべく、党派を超え、増税に反対する地方議員や各種NPO、グラスルーツ団体が一斉に集まる「増税が国を滅ぼす!国民集会」及びデモが11月5日(土)日比谷公園野外大音楽堂で行われ、幸福実現党も協賛参加します。 ⇒http://www.hr-party.jp/new/2011/13027.html デモは財務省等の官庁街を通り、国民の「増税反対」の声を国家の中枢に伝えてまいります。野田首相は国民の怒りの声を真摯に受け止め、増税案を即刻撤回をすべきです。(文責・小川俊介) すべてを表示する « Previous 1 … 3 4 5 6 Next »