Home/ いざわ一明 いざわ一明 執筆者:いざわ一明 連続する「いじめ自殺」――いじめを止める唯一の方法とは? 2013.07.19 ◆今月に入って連続するいじめ自殺 7月に入って、連続していじめ自殺事件が起き、いずれも学校側の対応の問題が指摘されています。 ・7月7日、いじめを受けていた長崎市立小学校6年生の女子児童(11)が自宅で首をつって自殺を図り、意識不明に陥る。 ・7月9日、山口県宇部市の市立中3年の男子生徒(14)が自宅で自殺。いじめが原因と見られている。 ・7月10日、名古屋市で中2の男子生徒(13)が「いろんな人から死ねと言われた」と書いた遺書を遺し、飛び降り自殺。 ・7月12日、東京都品川区で昨年9月、区立中学1年の男子生徒(12)が自殺した問題で、男子生徒に対して殴ったりするなどの暴行を加えた同級生の少年(13)を児童相談所に書類送致。 また、7月6日には、奈良県橿原市で公立中一年の女子生徒(13)が同級生の無視などに「これはいじめ。死にたい」と漏らした後の3月に自殺した問題で、校長が「調査の中でいじめの情報はなかった」と虚偽の説明していた疑いが報道されています。 ◆遅きに失した「いじめ対策推進法」 いじめ対策については、6月21日、「いじめ対策推進法」が参院を通過し、6月28日に公布されました。 私、いざわ一明が代表を務めております「いじめから子供を守ろうネットワーク」は、多くの賛同者の皆様と共に、首長や議会、教育委員会に、要望書あるいは陳情書を提出するなどして、7年近くも「いじめ防止法」の制定を訴えかけて参りました。 法律制定には、私達と共に、「いじめ防止法」の必要性を訴えてきた明星大学教授の高橋史郎氏や教育評論家の森口朗氏、そして衆議院議員義家弘介氏等の発言も大きく影響したことも確かです。 拙著『いじめは犯罪!絶対にゆるさない!いじめに悩むこどもたち、お母さんたちへ』(青林堂)も議論の場に参考資料として上がったとお伺いしました。 「一つの山」を超えたことは確かですが、この7年という時間の中で、どれ程の数の子供たちが「いじめ」によって、その若い命を投げ捨てたのかと考えると、遅きに失したと言わざるを得ません。 ◆「いじめ防止対策推進法」でいじめは減るか? 今般成立した「いじめ防止対策推進法」で、本当にいじめは減るのでしょうか? 7年間に渡って「いじめ防止法」制定を訴え続けた日本で唯一の団体の責任者として、同法の実効性を申し上げる義務があるかと思います。 結論から申し上げます。 早くも公布後の7月10日には、いじめによって名古屋市において中学2年の男子生徒が自殺していますが、「いじめ対策推進法」では、いじめは減りません。ましてや「いじめ自殺」を止めることなどできません。 ◆「いじめ防止対策推進法」で評価できる点 改めて、「いじめ防止対策推進法」を検証したいと思います。いくつか評価できる点もあります。 まず、同法第23条の4で「学校は、加害児童生徒を別室で指導することができる」と明記した点は高く評価できます。 「いじめから子供を守ろうネットワーク」が扱ったいじめ相談で、加害者を別室指導した学校の事例は1件のみです。 「別室指導」が条文化されたことで、学校に「加害者を別室にして欲しい」と申し入れる根拠ができました。 次に、第16条の1において、「定期的な調査を講ずるもの」としている点も評価できます。子供たちへのアンケート調査は、いじめの早期発見に大きな効果があります。 もう一点、第18条で、「教員の養成および研修の充実」が挙げられている点も評価できます。 ◆「いじめ防止対策推進法」に足りないもの しかし、同法には重大な欠陥があります。「教員への懲戒」について一言も条文化されていないのです。 この一点が、この「いじめ対策推進法」を単なる「いじめは許さない」という宣言にとどまらせています。 教師のいじめを防止したり、いじめられている子供を守る義務は謳っていますが、これは「いじめ防止対策推進法」があってもなくても当然の義務であり、実効性はほとんどありません。 そのため、同法は「教師は今まで通りで問題ない」というメッセージを発信しているのです。 この一点が、同法を「ザル法」におとしめているのです。誠に残念です。 ◆いじめを止める教師の下では、いじめは一日で解決できる! 子供たちだけに責任を押しつけてはなりません。そのように育ててしまった大人の責任、もっと言えば、教師の責任を問わずしては意味がありません。 日本全国でいじめが蔓延する直接の原因は「教師がいじめを止めない」、ただそれだけです。 《いじめを止める教師の下では、いじめは一日で解決できる》――これが「できる教師」の常識です。信じられない方も多いかと存じますが、事実です。 そもそも、このようなできる教師のクラスでは、大きな事件にはなりません。一日で解決するから当たり前です。 「いじめを止めない教師」とは、いじめを放置する教師であり、「いじめを見て見ぬふりする教師」とは、いじめに加担する教師であり、いじめを隠蔽する教師や教育委員会のことです。 こんな教師がはびこるから、いじめは無くならないのです。 大津のいじめ自殺事件では、担任の教師が被害生徒に「お前が我慢したら丸く収まるんだ」と言ったという生徒の証言もあります。 さらに、先日の名古屋いじめ自殺事件でも、亡くなった当日、自殺した生徒は、帰りの会でクラスメートから「死んでみろ」「死ね」と言われ、「死ねと言うから死ぬ」と言い返していました。その会話を聞いていた担任教諭は「死ぬ気もないのに、そんなことを言うもんじゃない」と話していたとのことです。これは、間接的な自殺幇助です。(7/12 東京) ◆「いじめ処罰法」の制定を! ひどい教師がいじめを広げ、いじめの被害者を自殺に追い込んでいるのは事実です。 教師がすべきことは、被害者の生徒を黙らせることでは断じてありません。加害者を指導することです。 この「いじめを止めない教師」を「いじめを止める教師」に変えるのが「法的処罰」です。 いじめを放置したり、いじめに加担したり、さらにいじめ首謀者となった教師、教育委員会は処罰すると明記することで、「いじめを止める教師」が全国に溢れ、いじめは確実に減ると断言致します。 残念ではありますが、「いじめを止めないとクビになる」と言われなければ動かないのが多くの教師なのです。 例えば、車のシートベルトも、かつては義務ではありませんでした。しかし、犯則金をとられるようになってシートベルトの着用率は上がり、それに伴って死亡事故も減りました。 それと同様、罰則がなくては動かない教師も多いのです。ゆえに、今こそ、「いじめ防止法」ではなく、「いじめ処罰法」を制定すべきです。 「いじめ処罰法」は、言葉としてきつく感じられますが、現実、ここまでやらなければ、いじめ自殺を止めることができないのです。 いじめは学校で起きています。したがって、実際にいじめを止められるのは「教師だけ」です。 いじめを止めない教師を「いじめを止める教師」に変える魔法が「いじめ処罰法」なのです。 ※【参考】7/13 The Liberty Web「相次ぐいじめ自殺 幸福実現党・井澤候補が『いじめ処罰法』制定を求める」⇒http://the-liberty.com/article.php?item_id=6319 私、いざわ一明は、子供たちが安心して通える学校をつくり、子供たちの未来を光輝かせるために、幸福実現党の参院選比例代表候補者として立候補させて頂きました。ご指導支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。 (一般財団法人いじめから子供を守ろうネットワーク代表 いざわ一明) 政治が変わらなければ、いじめは無くならない! 2013.07.07 ◆既に崩壊している日本の教育 この国の教育方針は「自虐史観」「ゆとり教育」をはじめ、完全に間違った方向性を歩んで来ました。 例えば、教育の現場では、九九ができない子供達が山のようにいます。ひらがなを手書きすることがおぼつかない高校生もいます。 また、カタカナなんて書けないのは当たり前で、「刀狩り」や「楽市楽座」なんて言葉を聞いたこともない高校生もいます。 しかし、これが現実なのです。「国際的に学力が下がった」などと言っている場合ではありません。危機的状況にあります。 小学校の科目ですら履修できない学生が堂々と「大学生」を名乗っている――日本の教育は、既に崩壊しかけていると言えます。 ◆いじめは“学校”で起きている いじめ対策についても、「いじめの現場は学校である」という現実に対して、もっと注目すべきです。 私、いざわ一明は、2007年から「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」に携わり、数千件のいじめ相談に乗って参りました。 塾やスポーツ少年団などでいじめられているという相談もありましたが、99%は「学校でいじめられている」という相談でした。 最近では「ネットいじめが問題だ」という声も上がっていますが、それも調べてみると、学校の人間関係から発生していることが大半です。 メールや成りすまし、誹謗中傷などの書き込み、これらも全て、学校のいじめの一種でしかないのです。 ◆教師の指導力といじめの発生 いじめの現場は、やはり“学校”にあるのです。したがって、いじめ対策のためには、学校の改革を避けて通ることはできません。 なぜ、学校でいじめが起きるのでしょうか?――それは、教師の指導力が低下しているからに他なりません。 「子供が言う事を聞かない」「今の子供は自分勝手だ」――これらの言葉は、教師の言い訳に過ぎません。 学校には、いじめを許してしまう空間があり、そこでいじめが起こっています。 教師の指導態度によって、いじめ空間を無くすこともできれば、広げていくこともあることを知らなくてはなりません。 ◆文部科学省方針といじめの発生 また、いじめの根本には、文部科学省の方針があります。 例えば、文部科学省の「新しい教育観」では、「指導から支援への転換」という「子ども中心主義」が打ち出されました。 これは、教師の役割は、子どもに強制的に勉強させる「指導」ではなく、子どもが自ら学ぶことを「支援」することが大事だという方針です。 「子供たちの個性を大事にした教育をしよう」というスローガンであり、一見、良さそうに見えます。 しかし、実際に「自主的に」勉学に取り組むことができる子供はごく少数で、「指導から支援へ」という名の下に、教師が「指導」を放棄し、学力低下、規範意識の低下、自己中心主義(いわゆる「自己チュー」)の強化をもたらしました。 これは「子供たちをわがままにする教育」だと言えます。こうした間違った教育方針の下では、いじめが増えることはあっても、減ることはありません! ◆今こそ、教育の再建を! いじめを無くすためにも、今こそ、教育行政、文部科学省の「お建て直し」に取り組むべきです。 私が今回の参院選において、幸福実現党の比例候補者として立候補を決意したのも、「政治や教育行政から変えなければ、いじめを無くすことができない」と思い至ったからです。 私は、子供たちを守るために、子供たちの未来を光輝かせるために、日本を明るく照らすために、国の大本にある教育を変えて参ります。 そして、必ずや、国政の立場から、子供たちの未来を明るくし、希望の持てる教育を創ってまいります! ご指導ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。(文責・一般財団法人「いじめから子供を守ろうネットワーク」代表 いざわ一明) 無策であった政府のいじめ対策――教育システムそのものにメスを! 2013.07.06 ◆無策であった政府のいじめ対策 2006年、福岡県や北海道で起きた子供の自殺事件を契機に「第三次いじめ多発期」という言葉が口にされるようになり、それから間もなく七年が経過しようとしています。 果たして、その年月は「有効に使われた」と言えるでしょうか? 7月6日の新聞には「奈良県で3月に飛び降り自殺した子供が、実はいじめられていた」と報道されています。 学校側は、自殺との因果関係は「低い」と否定していた事件であり、昨年の大津いじめ自殺事件と同じく、教育現場の実態が全く変わっていないことを示す事件であり、実に残念です。(7/6 産経「中1自殺 いじめ原因か 『死にたい』友人に相談 奈良」) 私、いざわ一明は、2007年から「いじめから子供を守ろう!ネットワーク」に携わり、これまで3,000件以上のいじめ相談を受け、「いじめ自殺をなくす」という強い決意のもと、日々、「いじめ」と戦って参りました。 「いじめは犯罪!」というポスターは、全国の三分の一の学校に貼られ、その結果、「いじめは犯罪」という言葉が普及したことは、学校に明確な「善悪の価値観」が浸透したという点で前進です。 しかしながら、私たちの活動が、まだまだ政治や教育の現場を変えることができていないことを悲しく思います。 ◆いじめの実態を把握していない文科省 文部科学省は「いじめ認知件数」を毎年発表していますが、これは、実態とはかけ離れた数字です。 大津のいじめ自殺事件が大きく報道され、社会問題化したことを受けて、緊急に実施された調査では、全国の小中高校などが認知したいじめは半年間で約14万4千件となりました。(2012/11/22 日経「いじめ認知14万4千件 4~9月で昨年度の2倍 」) この数値は、前年度に実施した調査(約7万)の約2倍にのぼっています。 とりわけ鹿児島県においては、半年間で3万件を超えるいじめが報告され、その数は全国の5分の1を占めるほどになっています。 この結果を見ると、鹿児島が特別に深刻な印象を与えますが、実は鹿児島の報告件数こそが「実態」であり、子供たちの認識に極めて近いのです。 鹿児島県3万件を単純に47倍すると、おおよそ150万件、年間で300万件のいじめが日本の学校で起きていると考えるべきです。 それは、全国1400万人を超える児童生徒の5分の1以上を占める数字になります。はっきり言うと、5人に1人がいじめを受けていると推定されます。 ◆教育システムそのものにメスを! その意味で、この6年間の政府の「いじめ対策」は無策であったと言うほかはありません。 政府は、私たちの活動にいじめ問題の解決を委ねるだけで、本当に有効な対策を打てていなかったと言えます。 私たち「いじめから子供を守ろうネットワーク」は、この七年間で、5千件以上ものいじめ問題に取り組み、その大半を解決して参りました。 しかし、私たちが解決していくには、あまりにもいじめの件数が多すぎるのです。残念ではありますが、私たちはある意味でまだまだ無力です。 なぜなら、民間の立場では、教育現場で、いじめを解決するだけの権限がないからです。 この七年間の活動で痛烈に感じることは、「教育システムそのものにメスを入れなければならない」ということです。 今国会では「いじめ防止対策推進法」が成立しましたが、同法には、私たちが提言して来た学校による「いじめの隠蔽」に対する処罰規定がないため、ますます「いじめの隠蔽」が進む可能性すらあります。 今こそ、いじめ問題の実態と、その根底にある「学校の閉鎖性」の問題点を知り尽くした政治家の輩出が必要であると考えます。(明日に続く) (文責・一般財団法人「いじめから子供を守ろうネットワーク」代表 いざわ一明) すべてを表示する