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改正マイナンバー法で監視社会に突き進む日本。4つの「抵抗権」で声を!【前編】

https://youtu.be/SqsKVSOeSII

幸福実現党党首 釈量子

◆改正マイナンバー法が成立

6月2日、「改正マイナンバー法」が成立しました。

今、トラブルが起きていますが、まだ序の口で、今後日本の国民はさらに大きな問題に直面すると思われます。

まず、今回の法改正のポイントを見てみましょう。

(1) 現行の保険証を廃止、マイナ保険証に一本化

マイナンバーカードをつくるかは「任意」ですが、国民皆保険の日本では、健康保険証を持っているので、事実上、マイナンバーカード取得が義務付けられました。

カードを持たない人には、申請によって「資格確認書」を発行します。有効期限は1年で、無料です。

高齢者などを念頭に代理申請もでき、カードと確認書両方の申請がない場合は、医療や保険機関の判断で確認書を発行する方向です。

(2) 公金受取口座との紐づけ

次に、本人が不同意の意思を示さない限り、公金受け取り口座がマイナンバーと紐づけされます。

今後、行政から文書で尋ねられた時に「同意しない」という意思表示をしないと、勝手に紐づけされます。

しかし、マイナンバーに関するトラブルは絶えず、他人の年金記録が閲覧できたとか、誤登録も多発しています。

昨年12月には、奈良市のマイナカード窓口担当職員がマイナポイントを不正に取得して窃盗容疑で逮捕される事件もありました。

大手新聞の社説で「保険証の廃止 見直しは今からでも遅くない」など、政府に対する不満も溢れ、「返納したい」という人も出ています。

しかし、政府は見直しどころか、6月9日に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定し、2026年中に「新しい次期マイナンバーカードの導入を目指す」としています。

「運転免許証」など一体化を更に進め、スマホ搭載型マイナカードも検討、「民間との連携も含めた利用拡大」に向けて突き進んでいます。

◆海外のIDカードの教訓

諸外国ではマイナンバーに当たるIDカード体制は失敗しています。

イギリスでは、第二次世界大戦中に「非常時下」であることを理由にIDカードが導入されました。

しかし、1951年、警官に身分証明書の提示を求められて、その提示を拒んで有罪となった事件を機に「個人の身元を証明する行為は強制されるべきではない」という世論がわきあがり、1953年に国民登録法及びID カードが廃止となりました。

その後、2000年代に入って不法移民やテロ対策、給付金詐欺を検出するための手段としてID カードシステム導入の議論が再び起き、2006年労働党政権の時に、虹彩など生体認証データを含んだIDカードを導入しました。

しかし、13年ぶりに、保守党・自由民主党の連立政権への交代とともに廃止されました。

代わりに公共サービスの共通認証、及びポータルサイトが導入されましたが、取得は任意で、2020年時点で全人口の約10.7%にとどまっています。

アメリカでは、1943年に9ケタの社会保障番号(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)が導入され、身分証明書として利用されてきました。

しかし、「漏洩した番号で勝手にクレジットカードなどをつくられ、買い物をされる、なりすまし詐欺」が多発しました。

人口3億1千億人に対して、21年の被害者は4200万人、「なりすまし」の詐欺被害は年間総額5兆円、日本の防衛費にも相当します。

見直されたのは、陸軍です。

米軍では「ドッグタグ」という、戦死した時に個人を識別できるタグに、社会保障番号が打ち込まれているのです。

2015年、陸軍では社会保障番号の記載を廃止して、国防省の独自のIDナンバーが使用されるようになりました。

紛失したIDタグがあれば名前、社会保障番号、血液型や宗教までわかってしまい、兵士に危害を加えられる危険もあるからです。

ちなみにドイツは、共通番号はナチスの再来を想起させるという理由で税務分野の番号に限定しています。

一元化はリスクが跳ね上がるので、分散管理の方が安全であるという大きな教訓です。

◆海外の教訓から「逆走」する日本

ところが政府の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」はまさに、海外の教訓から「逆走」しています。

特に、自衛隊員は、どこで何をしたかが丸裸になれば、船の位置や作戦行動などが丸見えになってしまいます。

国会で、「警察庁、防衛庁、公安調査庁などの治安官庁」が出した、2015年11月6日付「国家公務員身分証の個人番号カード一元化における問題点等について」の公文書が存在していることが、明らかになりました。

同公文書では、「情報が流出するおそれが飛躍的に増大」して、「職員やその関係者に対する危害・妨害の危険性も高まる」ので、「個人番号カード一元化の適用除外」を求めています。

(後編につづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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