このエントリーをはてなブックマークに追加

自民党の「反撃能力」 使えるのは、核ミサイルを落とされた後?【後編】

http://hrp-newsfile.jp/2022/4287/

HS政経塾スタッフ 遠藤明成

◆有事にだけ、米国に「核持ち込み」をお願いするのは筋違い

冷戦以降、日本が、核を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という三原則のうち、「持ち込ませず」をあいまいにしてきたのは、近隣諸国に「日本に米軍の核があるかもしれない」と思わせるためでした。

そうすることで旧自民党は、ソ連や中国、北朝鮮などをけん制してきましたが、これが、民主党政権が行った「核密約の公開」で崩れました。

核密約は、米軍が核を持ち込んでも日本政府は知らぬふりをする、ということが主な内容だったからです。

今の日本は、核保有国に包囲されている状態なので、本来は、「持ち込ませず」を廃止し、核抑止力を強化しなければいけません。

しかし、岸田首相は欧米のロシア制裁に歩調を合わせ、ウクライナに防弾チョッキなどを送り、ロシアを敵に回しました。

中国・北朝鮮・ロシアという三方位に脅威がある中で、岸田政権は、核抑止力が下がった状態を放置しているわけです。

自民党政調会の提言には「緊急事態における核の持ち込みと非核三原則についての考え方を踏襲していく」と書かれていました。

しかし、米軍の「核の持ち込み」は、本来、核攻撃や核威嚇を防ぐために、緊急事態になる前に、平時に行うべき政策です。

緊急事態になった後、バイデン大統領に「核を持ち込んでください」と言っても、ウクライナの時と同じく、「第三次大戦を避けたい」と言われる可能性が高いからです。

核密約を公開し、非核三原則を守ってきた日本が、米国に「有事にだけ核を持ち込んでください」と頼むのは、虫が良すぎる考え方だと言えます。

やはり、「核の持ち込み」が必要なのであれば、「核を持ち込ませず」という原則を廃止し、米軍がいつでも核を持ち込める体制に変えなければなりません。

◆自民党の憲法改正案は「専守防衛」をよしとしている

こうしてみると、自民党政調会の提言では、日本を守れないことがよくわかります。

それは、自民党の憲法改正案についても同じことが言えます。

自民党案では「自衛隊を明記」する条文を「加憲」するだけなので、「戦争放棄」と「戦力不保持」「交戦権の否認」を定めた今の9条がそのまま残ります。

9条の1項と2項の解釈から生まれた「専守防衛」が残るので、先制攻撃を受ける体制の中で「自衛隊を保持する」と言っているだけの話にすぎません。

これでは日本を守れないので、幸福実現党は、抜本的な憲法九条の改正が必要だと訴えています。

「戦争放棄」と「戦力不保持」「交戦権の否認」の全てを改め、国防軍を組織する必要があるからです。

◆「憲法九条の抜本改正」こそが日本を救う

幸福実現党が憲法九条の抜本改正を訴えているのは、戦争がしたいからではありません。

今の体制では、日本が守れないからです。

大川隆法党総裁は2019年に「どうしても避けられない戦争が未来に起きる。それも、自分たちから侵略するのではなく、他国から侵略されて、国民に大いなる受難が来る」ということが予想されるならば、せめて国民の「生命・安全・財産」と「領土・領海・領空」を護るために、きっちりとした仕事をすることは、税金を集めている国家の使命である」と訴えています(『自由・民主・信仰の世界』第三章)。

専守防衛のように、被害が出た後に反撃する体制だと抑止力が効かず、日本への攻撃を誘発しかねません。

憲法9条のない他国と同じように、通常の軍隊で国を守れる体制をつくり、「抑止力」を機能させなければならないのです。

通常戦力には通常戦力、核には核でしか抑止が効かないため、幸福実現党は「非核三原則の撤廃」や「米軍による核の持ち込み容認」を主要政策に掲げています。

そして、米国だけに日本の運命を委ねることはできないので、「自前の核装備を積極的に検討」しなければいけないと考えています。

そうすることで、幸福実現党は、日本を守る「責任政党」としての使命を果たそうとしています。

【参照】

・NHK NEWS WEB「自民 茂木幹事長『防衛費増額や “反撃能力”の保有 公約に』」(2022年5月29日)
・自由民主党政務調査会『新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言』(https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/203401_1.pdf
・朝日デジタル「核密約公開、民主政権に再三『憂慮』 米外交公電で判明」(2011年5月7日)

遠藤 明成

執筆者:遠藤 明成

HS政経塾

page top