カトリック教会の香港教区トップが逮捕?ウイグル化する香港【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆現代でも起きている「宗教弾圧」
90歳にもなる枢機卿を逮捕するというのはれっきとした「宗教弾圧」ですが、これは中国共産党、習近平主席の方針に沿ったものと言えます。
中国では以前から、中国が任命した司教をバチカンが正式に追認するように求めていました。
中国共産党に忠実な人物が司教になれば、宗教は骨抜きです。専門家は、「バチカンが実質上、宗教信仰を認めない中国当局に妥協した」「悪魔との取引だ」と批判されていました。
中国の南部では、教会は破壊され、十字架はバーナーで焼き切られていますし、信徒の名簿が当局に渡れば逮捕
されます。こうした流れが、香港に及ぼうとしていると言えます。
昨年10月、中国政府の強い意向によって、香港の司教たちカトリックのトップが、中国政府の息のかかったカトリック、中国天主教愛国会から「宗教の中国化」についてレクチャーを受けたと言われています。
さらに、2か月後の12月、習近平主席は全国宗教工作会議で「わが国の『宗教の中国化』の方向を堅持する」とも演説しています。
◆「宗教の中国化」という思想
この「宗教の中国化」というのは、習近平主席の宗教政策におけるキーワードです。
簡単に言うと、「宗教は中国共産党の考えに従い、その考えの普及に協力せよ」という内容です。
中国は、表向きには憲法で「信教の自由」は保障されています。(「中華人民共和国憲法」第36条)
しかし実際は、中国の教会では、中国共産党に許可されていない教えの実践や説教といったことは禁止されています。
それどころか、習近平主席の思想を宣伝することまで要求され、厳しい検閲を受けています。
つまり中国の言う「信教の自由」とは、「習近平を“神”として崇めよ」ということです。これが「宗教の中国化」の本質です。
中国の仏教寺院のトップは「習近平の言葉を写経せよ」と言って指導をしている話も出ています。
そして香港でも、2020年7月の香港国家安全法の施行以来、「信教の自由」が著しく侵害されています。
キリスト教の神父も、中国共産党の取り締まりを恐れて、説教の内容を「自己検閲」しているとも言われています。
そういった厳しい逆風の中でも、中国政府による宗教弾圧に声を上げ続けていたのが、今回逮捕された陳日君(ゼン・ゼキウン)枢機卿でした。
世界から非難の声があがっているウイグル人への弾圧も、イスラム教といった宗教を根絶やしにするためのものです。
香港において、国際社会で目立ち過ぎないようにしつつも、着実に香港を「ウイグル化」しようとしているのが、習近平政権の狙いでしょう。
西側諸国の目から逃れつつ、香港市民を抑え込み、香港の経済的繁栄を手に入れてしまおうという魂胆です。
◆最後の希望
そのために習近平主席が排除したいのがまさに「宗教」です。全体主義は宗教を恐れます。
宗教はこの世を超えた「あの世」「魂」といった存在を認めているので、この世の命を捨ててでも「自由」を守り、「信仰」を守ろうとする存在が本当に恐いからです。
これに対して、唯物論・無神論の国は、地上の権力者を「現人神」にします。それは「古代の暴君と同じような者が神を名乗れる」ということです。
だからこそ、宗教が最後の希望です。
大川隆法総裁が『メシアの法』で、「全体主義の傾向」として、次のように警告を鳴らしています。
「香港を制圧したら、次は台湾を制圧したくなるのです。間違いなくそうなるのです。そのあとは、尖閣とか沖縄も欲しくなるし、フィリピンの島から本土も取りたくなるし、ベトナムも取りたくなります。そのための布石として、ミャンマーの軍事政権はすでに北京に押さえられていて、布石は着々と打たれています。」
◆全体主義と戦う幸福実現党
私たちは、「香港の自由を奪い、台湾を狙う中国の暴挙を放置したら、ヒトラーが順に国を取っていったのと同じことが起きる」と危惧しています。
私たち幸福実現党は宗教政党として、全体主義と闘います。
昨年から「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を行って、
5月12日に内閣府を通じて岸田文雄首相に提出してきました。
■内閣総理大臣宛に「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」を提出
https://info.hr-party.jp/2022/12681/
日本の国会は、中国に対して未だに名指しで批判することもできず、ジェノサイド認定もしておりません。
公明党の強い意向を受けて、踏み込めないという実態があります。
また、自分の国を守ると言っても、憲法9条の根本的な改正もできていない自民党は、憲法の見直しではなく、「加憲」をすることでもって留まっております。
今回の逮捕をはじめ、中国の悪事に対しては、断固、非難の声を上げていくとともに、日本、台湾、アジアの平和を守るために国防の強化をしっかりと訴えていきます。