終わらないウクライナ戦争 世界大戦勃発の予兆【前編】
幸福実現党党首 釈量子
◆米国の目的は「ロシア弱体化」
前回に続き、「世界大戦勃発の予兆」という緊急性の高いテーマです。
米国は、ウクライナへの軍事支援を強化するために、330億ドル(約4兆3000億円)の追加予算を議会に要求しました。
米国は当初、ロシアとの直接対決を避けるために、防衛用の兵器に限定していましたが、ここにきて、重火器やヘリコプター、攻撃用無人機まで提供しています。
米国製の武器を運用できるよう、ウクライナ兵を訓練していることも明らかにしています。
こうした中で、4月24日、米国のブリンケン国務長官とオースティン国防長官がキエフを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談しています。
さらに4月25日、オースティン国防長官がポーランドで「ロシアが、ウクライナ侵攻と同等のことができない程度に弱体化することを望む」と発言しました。
国防長官の立場で、「米国の目標はウクライナを守るための戦いだけではなく、長期的にロシアを弱体化させることにある」と明言したのです。
オースティン国防長官の発言を受けて、ロシアのラブロフ外相は「米国が代理戦争を行っている」「ロシアの核使用は可能性がある」と警告しました。
◆米国が代理戦争を行う理由
米国が代理戦争を行う理由は、直接対決のリスクを減らせることや、戦争に反対する国内世論を納得させるメリットがあるからです。
特に、バイデン大統領にとっては、米国は弱い者を助けているように見せながら、ロシアを弱体化させることができます。
しかもトランプ叩きにつながり、選挙対策としても、実に都合のよい構図だということです。
4月25日にはオースティン国防長官が、「西側諸国から適切な軍備支援が行われたら、ウクライナは戦争に勝利することができる」とも述べています。
◆バイデン政権を批判する米報道
しかし、米国ではバイデン政権が、ロシアとウクライナの停戦に関心を示さず、さらに軍事的支援を強化をしていることに対する批判が増えてきました。
例えば4月14日、米国の保守系メディア「The American Conservative」に、「ワシントンはウクライナ人が最後の一人になるまでロシアと戦うだろう」という記事が出ました。
記事では、「ロシアとウクライナの外交的解決を妨げているのは米国だ」「欧米は戦争への支援と同じくらい平和に向けた努力を行うべき」などと主張しています。
このバイデン政権による「代理戦争」から、戦線はどうやら「世界大戦」の方向へと拡大しつつあります。
◆戦争が世界に飛び火、核攻撃も
今後戦争が、飛び火していく可能性をみて参ります。
(1)ロシアとNATOの全面戦争
プーチン大統領は「作戦に干渉するなら、電撃的な対抗措置を取る」と強気の姿勢を崩しておらず、「他国の持っていない兵器がある」とまで語っています。
当然、「戦術核」の攻撃も辞さずということです。
5月9日の対独戦勝記念日に、「特殊軍事作戦」ではなく「戦争宣言」をする可能性が高いと言われています。
そうなれば、今までのような限定的でゆっくりした攻撃ではなく、軍事支援をしている国への攻撃を開始する可能性があります。
例えば、ポーランドは旧ソ連型の戦車200台やドローンを供与するなど、相当な軍事支援も行っています。
また、ウクライナとの国境から約70キロメートルのジェシュフに重要な補給拠点があり、頻繁に着陸する軍の輸送機からトラックに装備を積み替え、ウクライナに向かいます。
ジェシュフ近郊では、米国が派遣した欧州への増派部隊約2000人の大半が駐留しており、人道支援物資もここを経由します。
ロシアはポーランドへの天然ガス供給をすでに停止していますが、欧米の軍事支援が続けば、プーチン大統領はポーランドのジェシュフの補給拠点を攻撃するかもしれません。
もし、ロシアがポーランドに戦術核を落とした場合、NATOが報復攻撃を行えるかどうか。もし報復を行えば、ロシアとNATOの全面戦争になる可能性もあります。
(後編につづく)