台湾の未来を変える方法を考える
幸福実現党外務局長 及川幸久
◆「台湾地位未定論」とは何か
今回は、「どうしたら台湾の未来を変えることができるのか」について考えてみたいと思います。
幸福実現党大川隆法総裁が、今年1月9日の講演で台湾の未来について、一つのアイディアを提示されました。
「(1945年まで)台湾は日本だった。(その後、蒋介石の中華民国に占領されて)台湾は正式にまだできていないのだったら、蔡英文さんが日本の首相と会って、正式に日本から独立する文章を交換して、友好条約を結んだら、自動的に独立国家になれます。」
これは、「台湾の国際法的地位はまだ決まっていない」という「台湾地位未定論」というものです。
意外に思われる方もあると思うし、そんなことはおかしいという反対論もあると思うし、賛否両論あると思います。もしかしたら、蔡英文総統も反対かもしれません。
しかし、台湾には次のような動きもあります。
2006年に台湾の政治団体「台湾民政府」が、アメリカの連邦高裁で裁判を起こし、「日本が台湾に潜在的主権を持っている」とアメリカ政府に告訴したのです。
つまり、中華民国の台湾占領が今も続いており、台湾人は国際法的に無国籍になっているままだと訴えたわけです。
判決は、「台湾に国際的に承認された政府が存在しないため、台湾人は無国籍である。政治的な煉獄の中で生活している」でした。これに対してアメリカ政府は上告しませんでした。
つまり、アメリカ政府も台湾に国際的に承認された政府は存在しないということを認めたわけです。
これはどういうことなのか歴史を遡ってみましょう。
◆国際法的に、台湾は中国に属さない
1945年、終戦直後、「ポツダム宣言」を日本が受諾しました。その第8項で、「日本の主権の範囲」を決めています。
日本の主権の範囲は、本州、北海道、九州及び四国、並びに我々(連合国)の決定する諸小島までです。その中に台湾を入っていませんでした。
「ポツダム宣言」を日本が受け入れたことによって、日本は台湾の領有権を放棄したことは確かです。
連合国が台湾をどこに帰属させるか決めることになっていたのですが、台湾の帰属についてサンフランシスコ講和条約の中でも定められていません。
しかし、中国大陸から中華民国がやってきて、台湾摂取(占領)を行いました。
日本では連合国米軍が横浜や沖縄を接収していますが、接収は、国際法的には暫定的な実効支配です。
結局、台湾は、今でも中華民国の領土でも、中華人民共和国の領土でもないのです。
正確には、台湾は今も連合国の占領下にあるということになるわけです。これが「台湾の地位はまだ未決定」であり、国際法的に確定されていいないという説です。
この説に対しては、もちろん中華人民共和国も中華民国政府も反対です。
ただ、アメリカ政府は前述の裁判の判決に対する姿勢と同じように、台湾が中華民国にせよ、中華人民共和国にせよ、中国に属すると認められたことは一度もないという立場です。
国際法的には、この説は有力のようです。
◆台湾に対する日本の立場
日本政府も、おそらくアメリカ政府との同じ立場だと思います。
なぜなら、50年前に日中国交を回復した際に、中国が「台湾は中国の一部だ」と主張したとき、日本は「それを認識します」と表現しました。
英語でいうと、「Acknowledge」したけど「accept」はしてない。つまり、その中国の主張を認識はしたけども受け入れてはいないのです。
これに対しても、いろんな意見はあるとは思います。
◆台湾の帰属は台湾人が決定すべき
では、台湾はどうするべきなのか。
台湾の帰属は台湾人が決定すべき、これがアメリカ政府の立場であります。
日本の法律に基づいても、やはり台湾の帰属は台湾人が決定すべきであるということになります。
これが先ほどの大川隆法総裁が、「日本から独立して台湾という国になったらいいじゃないですか」という提案の理由です。
ただ、中国に台湾を占領させるようなことがあってはなりません。なぜなら、台湾には2300万人の人権があるわけです。第二のチベット、ウイグル、モンゴル、香港にさせてはなりません。
それに対して日本が具体的に何か手立てはあるのか。そのひとつとして、幸福実現党が前から主張しているのは、日本は「台湾関係法」をつくるべきであるということです。
この点については、次回あらためて紹介します。
執筆者:及川幸久