新日英同盟で、中国包囲網強化へ。尖閣防衛、海警法施行、日米豪印クアッド+英独仏。【前編】
はじめに、2月11日は「建国記念の日」です。
日本という国が 2681年目を迎え、これまで日本の国を守ってくださった先人に対し心より感謝を申し上げます。また皆様と共に日本の建国をお祝いさせて頂きたいと思います。
■新日英同盟で、中国包囲網強化へ。尖閣防衛、海警法施行、日米豪印クアッド+英独仏。【前編】
https://youtu.be/0b0qzYu3knY
幸福実現党党首 釈量子
◆中国海警法の施行で尖閣や南シナ海の危機迫る
中国の習近平国家主席は、バイデン政権の対応能力を試しながら、着々と海洋進出の準備を進めています。
2月1日、中国の「海警法」が施行され、中国の主権や管轄権を侵害する外国の組織、あるいは個人に対して、海警局が「武器の使用を含むあらゆる必要な措置」を取ることを、法律上認めました。
これにより、外国の軍艦や公船に対して、退去を命令したり、強制的な措置を取ったりすることができるようになり、例えば、海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の艦船を、海警局の船が攻撃できるということも想定できます。
また、中国の主張する「管轄海域」で、外国が構造物を設置した場合、強制排除することもできます。かつて日本の政治団体が魚釣島に建てた灯台等が念頭に浮かびます。
◆事実上の「第2海軍」となっている中国海警局
中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道官は「海警法の制定は正常な立法活動であり、釣魚島(ちょうぎょとう:尖閣の中国名)は中国固有の領土だ。中国は領土主権と海洋権益を守る」と強調し、関連付けています。
既に2018年、海警局は、中国国内の治安維持を担う「人民武装警察部隊(武警)」に編入され、人民解放軍の最高指導機関である「中央軍事委員会」の指揮下に入り、軍との一体化が進んでいます。
昨年の米国防総省の年次報告書によりますと、海警局の排水量1千トン以上の船舶は、2010年以降、約60隻から130隻以上に急増し、新造艦の多くは1万トン級の大型船舶で、ヘリコプターの発着が可能で、30~76ミリの機関砲等の武器を搭載しています。
ちなみに、年次報告書は、中国海警局を、世界で圧倒的に最大の「沿岸警備部隊」になっていると分析しており、事実上の「第2海軍」となっていると言っても過言ではありません。
今回の海警法制定によって、日本の領土である尖閣諸島の危機は、最大級に高まっています。
◆イギリスのアジア回帰戦略
こうした中国の海洋進出を牽制するために、注目したいのが英国です。
近年、英国は1968年以来の「スエズ以東からの撤退」という戦略を見直し、「アジア回帰戦略」に大転換し、50年ぶりに、安全保障と経済・貿易の両面でアジアへの関与を強めようとしています。
英国の路線変更を決定づけたのは、中国の新型コロナウイルスへの対応、そして昨年6月「国家安全法」を施行し、中国政府が香港を弾圧したことがあります。
2月3日には、日英の外務・防衛担当閣僚のテレビ会議(日英2プラス2)を開き、中国の海洋進出を念頭に、英国はインド太平洋地域に最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を含む空母打撃軍を派遣、自衛隊との共同訓練に合意しています。
更に、中国海警法の施行について意見交換を行い、ウイグルの人権状況についても、重大な懸念を共有しています。
◆アジア撤退後も残された英連邦の防衛協定
ここで「スエズ以東からの撤退」後の、英国とアジアの関係を振り返ります。
まず英国が引き上げた後のマレーシアとシンガポールの防衛、安全強化のために、1971年に「五か国防衛取極(FDPA)」が締結されました。
英連邦の5か国(イギリス、マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド)による防衛協定です。
地道に役割を拡大し、1997年香港返還もあって見直され、中国の南シナ海への進出が世界の懸念となる中、安全保障面での役割を大きくしてきました。
また2019年、ウィリアムソン英国防相が「EU離脱後、アジアに新たな軍事基地を検討している」と明かし、シンガポールが候補ではないかと言われています。
そうすると、南シナ海からインド洋に抜けるマラッカ海峡の守りが強化されることになります。
◆アジア太平洋地域で深化する日英関係
2020年12月、「五か国防衛取極(FDPA)」の外相で共同声明を発表し、通常戦争の抑止に注力することを確認しています。
英国は現在、機密情報を共有する「ファイブ・アイズ(アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド)」と「五か国防衛取極(FDPA)」の2つの枠組みを通じて、インド太平洋全域に影響を与える立場にあります。
また、日英関係についても、英国が2015年に策定した「国家安全保障戦略」の中で、オーストラリアやニュージーランドと同じく自由や民主主義の価値観を共有する「アジアで最も緊密な安全保障パートナー」と明記しています。
貿易面では、2020年10月「日英包括的経済連携協定(EPA)」が締結され、2021年1月に発効されており、世界のGDP3位の日本と6位のイギリスが自由貿易でつながることの意義は非常に大きいと言えるでしょう。
ボリス・ジョンソン首相は1月30日、「英国民に莫大な利益をもたらす経済連携を築く」「自由貿易の旗手となる野心を表している」という声明を発表し、翌日には「環太平洋経済連携協定(TPP)」への参加を正式に申請しています。
英国にとって、アジアの経済成長を取り込むことができるメリットは非常に大きいと思われます。
(つづく)
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