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記録的寒波、逼迫する電力不足の真相とは。

https://youtu.be/p4oW03YhCME
(1月15日収録)

幸福実現党党首 釈量子

◆電力の需給逼迫の原因

昨年12月、記録的な寒波の到来で北陸地方では電力不足で停電が起き、暖房をはじめ電化製品が全く使えない状況が起きました。

今回の電力の需給逼迫の原因は、記録的寒波とコロナの影響で「巣ごもり」が増え、暖房需要が急増したこと、さらに大量に導入された太陽光発電が、悪天候でほとんど発電できなかったことです。

しかし、今回の直接的な電力の需給が逼迫した原因は、火力発電の主な燃料となっているLNG(液化天然ガス)の供給が、次のような原因で滞ったからです。

(1)中国・韓国など東アジアにおけるLNG需要の急増

(2)カタール等、LNGの供給国における設備の故障

(3)コロナの影響によってパナマ運河で渋滞が発生しており、LNG船の運航の遅れにより、米国産LNGが入ってこない状況

全国の電力会社は、今回のLNG不足を石炭火力発電所のフル稼働、高価な石油火力のフル稼働、さらに災害時などに応援のために使う「非常用電源車」も駆けつけて、辛うじて電力需要を支えているのです。

政府が進める「脱石炭火力」がもし実現していたら、すでに停電が起きていた可能性もあります。

日本のLNGの調達はオーストラリアや中東、東南アジアなどからの輸入に頼っています。

もし今後、中国にシーレーンを抑えられ、LNGや石油が日本に入ってこなくなった場合には、今以上に危機的な状況が起こります。

◆燃料の補給が追い付かない状況

今回の電力需給の逼迫は、これまでのピーク時に発電所の能力が足りなくなるという問題ではなく、燃料の補給が追い付かず、発電量が足りなくなるという点で、より深刻だと言えるのです。

つまり、発電所が足りているのに、燃料の輸入が追い付かないという、いわば「兵糧攻め」の状態です。

日本でこうした状況を、まさに大東亜戦争で経験したため、戦後のエネルギー政策では、化石燃料への依存を減らし、原子力発電などで自給率を高めることを目指してきました。

しかし、2011年3月の福島第一原子力発電所の事故以降、全国のほとんどの原子力発電所が停止し、火力発電、特にLNGによる火力発電に大きく偏った供給体制となりました。

とりわけ、最近は地球温暖化対策を理由として石炭火力の段階的廃止が求められ、ますますLNGへの依存が高まっています。

また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の導入で太陽光発電が爆発的に増加し、電力自由化の影響もあって、経営が難しくなった火力発電所が撤退することも非常時の電源の確保を難しくしています。

◆バランスの良い電源構成の構築が必要

東日本大震災前、2010年度の電源別発電電力量の割合は、LNGが29%、石炭が28%、原子力が25%、石油等が9%、水力が7%、地熱および新エネルギーが2%となっていました。

2017年度には、LNGが40%、石炭が32%、原子力が3%、石油等が9%、水力が8%、地熱および新エネルギーが8%となっています。

LNGの割合は現在、約40%にまで高まっていますが、LNGは石油や石炭のような長期の備蓄ができず、今回のようにサプライチェーンに支障があれば、供給不足に直結します。

これは、エネルギーの安定供給が、コロナの影響や国際情勢によって大きく影響を受けることを意味しています。

◆政府はエネルギー政策の見直しを

寒さが続く1~2月、LNGの供給が追い付かなければ発電ができなくなりかねません。

こうした事態を受け、電力会社や電気事業連合会が「電気の効率的な使用のお願い」を必死に呼びかけていますが、政府は「現時点で節電は想定していない」と言っています。

しかし、エネルギーが逼迫しているのは、脱原発や脱炭素など今までの政府のエネルギー政策が招いた結果にほかなりません。

突然の停電が起きれば、非常用の発電機が動かず、人工呼吸器や人工心肺装置などの運用に支障が出るのではないか、との指摘も出ています。

こうした危機的な状況を招いたのは、これまでの「エネルギー政策」の失敗にほかなりません。

日本は今後の不測の事態において、エネルギーの自給体制構築を進め、安定的に電力を供給できる体制をつくるべく、バランスの良い電源構成を構築する必要があります。

同時に、真冬に「計画停電」が起きないよう最悪の事態を回避するために政府には責任を持った対応を求めたいと思います。
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釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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