尖閣諸島に中国船100日以上連続侵入、「国家主権」とは何か【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆「国家主権」で重要な国防
前編で、国家主権の特徴を述べましたが、「国家主権」の問題として、もうひとつ重要なものがあります。それが、「国防」です。
日本では、国防を担うのは自衛隊です。自衛隊の最高指揮監督権は、内閣総理大臣にあります。
そして、防衛省が自衛隊を統括しています。国の安全保障は、「国家主権」の問題に当たり、国の専属事項なのです。
しかし、「国家主権」の問題である安全保障が、地方自治体の権力によって重大な影響を受けています。
たとえば、沖縄の辺野古基地移設問題です。一部のリベラル派は、辺野古について「憲法で保障している地方自治の原則に反している。憲法違反だ」と主張しています。
「国民全体の利益よりも、自分の市町村だけが良ければよい」と、「国力を弱め、国自体を外国の脅威にさらす」ことになれば本末転倒です。
◆憲法9条の問題
日本は戦後「国家主権」について真剣に考える必要がなかったという面があります。つまり、憲法9条の存在です。
憲法9条は、「武力」や「交戦権」を放棄しているので、他の国から侵略を受けても、「自分の国を自分で守ることができません。
朝鮮戦争の時に1950年、吉田茂首相が「日本は軍隊を持たずに経済に専念し、安全保障はアメリカに委ねる」と決めてしまい、「安全保障に関しては主権を一部、アメリカに委ねている」というスタンスがずっと続いています。
尖閣諸島についても、「専守防衛の原則」を守るために、自衛隊は出動できず、海上保安庁が対応していますが、警察活動と同じ基準でしか武器が使えないので、非常に危険です。
ではどうするか。「自由の価値」を知る人たちが、国を守ることが大事だと思います。
そのためには、「何も判断することができず、主権の行使もできないような国」ではなく、「世界に対して義務と責任を負えるような大国になる」ことが必要です。
◆「国家主権」を守る政府の責任
幸福実現党の大川隆法総裁は、7月18日に「いま、政治に必要な考え方」と題して次のように述べています。
「国民主権ということが、国家をバラバラにし、他国の植民地になるために使われるなら問題で、健全な意味でのナショナリズムは必要だと思います。ヒトラーみたいなナチズムみたいなままで行ったらいけないけれども、最低限、自分たちが平和に安全に暮らしていける、経済的にも最低限の生活ができるレベルまでの国家主権は、やっぱり当然持たなければならないし、それを侵害してくる、たとえば『尖閣は中国のものだ』次は『沖縄は中国のものだ』『対馬は韓国のものだ』といってくるかもしれませんけれども、こういうものに対して、いいたい放題言わすというのはおかしいことです。」
中国では、2億台もの監視カメラの設置や、AI技術と顔面認証システムなど今、「もっと完成したナチズム」が中国に現れています。
6月末の「香港国家安全法」を成立させた中国は、次は台湾を狙っています。尖閣海域に中国が出てきているのは、台湾への圧力にもなっています。
アジアにおける民主主義の先進国として、「自由・民主・信仰」の価値観を護り、アジア諸国、あるいは世界の諸国のなかに、同じ価値観を持つ国々を数多くつくっていくことではないでしょうか。
◆「尖閣は日本の領土だ」と言い返すべき
6月22日、石垣市議会が「尖閣」の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を賛成多数で可決しました。これに対して菅官房長官は「政府としてコメントすべきでない」と言及を避けました。
尖閣諸島は日中国交正常化の時に「棚上げ」されましたが、「棚卸し」の時期を迎えました。日本政府は、「尖閣は日本の領土だ」と言い返すべきではないでしょうか。