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30万給付解説――本当に大切なのは雇用を守ること【前編】

https://youtu.be/aRPJLGxldFY
(4月の7日収録)

幸福実現党外務局長 及川幸久
◆108兆円の緊急経済対策案

4月6日に108兆円の緊急経済対策案の概要が発表されました。

108兆円の緊急経済対策ですが、これが実に日本のGDP の2割に当たると言われています。

アメリカ、イギリス、ドイツも同じように緊急経済対策をすでに決めていますが、だいたい GDPの1割です。

日本は2割で世界的に見ても最大級と安倍総理は言っていました。これについて私は異論があります。この点については次回、解説します。

今回は、とくに注目されている一世帯あたり30万円の現金給付です。この現金給付を解説したうえで、幸福実現党的な考え方についてお話したいと思います。

◆2009年の定額給付金の問題点

ここで問題にしたいのは、「日本政府の給付金は、しっかりとした考え方があってやっているのか」というところです。

日本政府は過去にも給付金を何度かやっています。

思い出されるのはリーマンショックの後、2009年の定額給付金というものです。

これは自民党から民主党に政権が交代する直前の麻生政権下で、1人当たり1万2000円、総額2兆円規模でした。

この時、定額給付金の対象になったのは日本人だけでなく、なんと在日外国人も対象でした。

私はアメリカとイギリスに外国人として労働ビザを取って住んでいたことがありますが、その時はアメリカやイギリスに税金を払っていました。

税金は払っていましたが、経済対策でアメリカやイギリスが外国人にお金寄付してくれなんて全くあり得ません。 

また、反社会的勢力にも給付されたり、別居している夫婦で、ご主人の方にお金が入って裁判になっていたり、定額給付金はいろんなケースがあり問題の多い政策です。

2009年の定額給付金は、総額2兆円規模だったわけですが、結果はどうだったのでしょうか。

麻生総理は、「2兆円を使ってください」と言っていましたが、実際に商品に使われたのは、僅か2割です。GDPに対する貢献度はプラス0.1%から0.2%でした。

ほとんど GDP を押し上げる効果はなかったわけです。

◆30万円給付の2つの条件

今回は一世帯あたり30万円ですが、今回の問題は対象者がだれか、ものすごく複雑です。

低所得の人が対象者のように言われていますが、そうではありません。

給付条件には2つあります。

一つ目の条件は、「住民税非課税世帯」です。

国に納める所得税ではなく、住民税(地方税)が非課税になるような年収の低い世帯が対象です。住民税ですから、地方によって税金の金額は違います。

例えば、東京や大阪の人口の多いところの「住民税非課税世帯」の基準は次のようになります。

・単身者の世帯で年収が100万円以下
・夫婦のみで156万円以下
・夫婦に子ども1人で205万7千円以下
・夫婦に子供2人で255万7千円以下

以上の住民税非課税世帯は、住民税がかかりません。

しかし、この年収が基準以下の世帯に30万円を給付するという意味ではありません。

年収100万円は、1か月あたり約8万3000円ですが、給付の条件は、今年の2月から6月の間でどれか1か月が月収8万3000円以下になったら対象になるということです。

ということは、年収300万円の人であったとしても、2月から6月までの間でどれか1カ月だけで8万3000円以下だったら給付金の対象になります。

ものすごく複雑です。

もう一つの対象条件は、「月収半減以下で、かつ住民税の非課税レベルの2倍以下」です。

例えば、月収が50万円の場合、収入が減って月30万円になったとします。

でも、これでは月収が半分になってないので給付の対象外です。

しかし、月収が50万円で25万円だったとしたら、「月収が半減」しています。かつ、住んでいる市町村の「住民税の非課税レベルの2倍以下」の条件に入っていたら、この場合は対象になります。

月収が50万円で30万円だったら給付対象外です。家賃光熱費、子供の学費も払うのが大変でしょう。

しかし、50万円の月収が半分の25万円以下で住民税非課税レベルの2倍以下という複雑な条件に入っていたら30万円の給付金がもらえます。

この給付条件は、どういう発想なのかよくわかりません。

(つづく)

及川幸久

執筆者:及川幸久

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