世界同時株安は新型コロナ拡大が原因か?【後篇】
https://www.youtube.com/watch?v=Y5Cw1Ax_ivg
幸福実現党外務局長 及川幸久
※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。
◆今回は第二のリーマンショックなのか?
一度、米国債の話に戻しますが、株式市場に入っていた資金が債券を買うようになったことは過去にも何度かありました。
特にそれが顕著だったのが2008年9月のリーマンショックの時で、当時の米国10年物国債の金利は直前では4%くらいありました。
これはまさに株式が売られて暴落し、そのお金が債券市場に動いた結果ですが、その後米国の金融市場は危機的な状況から脱し、国債の金利も急速に元の水準に戻っていますが、その答えが金融緩和でした。
米国の連邦準備制度(FRB)がいち早く量的緩和を打ち出し、それによって金利は戻り、危機的な状況を越えることが出来ました。
今回が第二のリーマンショックだと考えるならば、量的緩和が正しい答えかと言えば、今回はすでに金利が低くなっています。
米国には量的緩和によって利下げをする余地はあまり残っておらず、まして日本や欧州の中央銀行はそもそもマイナス金利ですので、利下げ余地は全くありません。
◆トランプ大統領当選翌日から株価が上がった理由
量的緩和が出来ないとなると、もう一つの方法があります。
実際に、2016年11月頃にも、8年間のオバマ政権の経済政策によって、米国経済が全く動かなくなってしまい、10年物国債の金利が一気に下がり、今と同じ史上最低の水準まで下落したことがありました。
しかし、トランプ大統領が当選した翌日から、米国債の金利、株式市場が軒並み急上昇を始めましたが、その一番の要因は大統領選挙で「大減税」を公約していたからです。
今考えられるべきことは、リーマンショックの時のように量的緩和が十分できないとしたら、マーケットに必要なのは更なる減税政策であります。
いまトランプ政権の減税政策の指揮を執っているのが、国家経済会議委員長ラリー・クドロー氏ですが、2月25日米国CNBCのインタビューの中で「全面株安を受けてどう思うか」ということについて以下のように回答していました。
「確かに中国で今起きていることは人類の悲劇である。しかし、(今の)世界同時株安は世界大恐慌になるという経済的な悲劇を意味しているわけではない。米国の経済統計の数字は強く、景気後退するという数字は出ていない」と明確に述べていました。
◆「トランプ減税2.0」とは?
そして、トランプ大統領やクドロー委員長以下の政権スタッフが考えているのは更なる減税、「トランプ減税2.0」です。
このことをクドロー委員長は昨年頃から示唆しており、今年の大統領選挙のメインの公約として掲げるということも言っていました。
というのは、トランプ政権は就任した2017年に大減税を打ち上げ、それを受けて議会は実際にトランプ減税に関する法律を作りましたが、議会が作った法律とトランプ政権側が用意していた減税案にはかなりの隔たりがありました。
例えば、法人税に関して35%と世界で最も高い部類に入りますが、トランプ政権側の元の案では法人税は15%まで下げるつもりでした。
しかし、議会側はさすがにそれは出来かねると、21%で妥協したという経緯がありました。
また、トランプ政権が最も実現したかったのが、個人の所得税の大減税で、特に年収1千万円以下位の中間層の税率を大幅に引き下げたかったと言われており、未だに「トランプ減税2.0」を行う伸びしろが残っているわけです。
これが本年の大統領選挙のトランプ大統領再選のための陣営の切り札であり、目玉政策です。
◆「Buy Japanese, Hire Japanese」の重要性
こうした政策の打ち出しがマーケットに対する明確なメッセージになっていけば、米国経済は景気後退するどころか、今の下げがちょうどいい利益確定となって、もう一度次なる株高に向かう可能性もあるわけです。
ということで、中国発のコロナウイルスで世界経済が悪くなり、資本主義が終わるという論調は少し大げさです。
むしろ、トランプ政権の次なる一手に、米国、世界経済の未来がかかっています。
4年前の大統領選挙の際に掲げた「Buy American, Hire American」という公約、まさに中国に工場を作って、中国人を雇って、中国製を米国に輸入するのではなく、米国人を雇って米国製を消費するという流れが、この一件で加速するはずです。
そして、このことは日本にも当てはまります。
既に中国に進出し、投資されているかなりの部分は無駄になるかもしれませんが、中国リスクによってより大きなロスを抱え込むより、日本人を雇って日本で作る、そして日本で売るという「Buy Japanese, Hire Japanese」の流れが今の日本には求められています。
この政策を幸福実現党は日本の企業経営者の皆さんに訴えていきたいと思っています。
執筆者:及川幸久