「尖閣周辺に61日連続中国船出没」なのに、沖縄県知事はアンチ海兵隊発言
http://hrp-newsfile.jp/2019/3586/
HS政経塾スタッフ 遠藤明成
◆尖閣周辺に居座る中国船
6月11日、尖閣諸島近辺の領海の外側にある「接続水域」に、中国海警局に属する4隻の船が侵入しました。
尖閣周辺で中国当局の船が確認されたのは、61日連続。
2012年9月以来、過去最長の連続日数となりました。
しかし、日本政府は、新たな対策を打ち出せていません。
◆沖縄県知事が5月末に、アンチ海兵隊発言
それどころか、沖縄県の玉城デニー知事は、5月31日の記者会見で海兵隊に対して、否定的な意見を述べています(※1)。
「海兵隊が沖縄に駐留せずとも、日米の安全保障体制を毀損(きそん)することはないという考えもあろうかと思う」
「海兵隊の抑止力は全体の一部で、海兵隊のみが抑止力として強調されるものではない。それ以外の戦力でも十分、対処可能なのではないか」
◆「緊急展開軍」である海兵隊は沖縄に不可欠
しかし、この発言は、緊急事態に即応する海兵隊の機能を無視しています。
陸海空軍を動かすには連邦議会の承認が必要ですが、海兵隊は承認が出る前に大統領の命令で動ける「緊急展開軍」です(※2)。
戦争が起きれば、一刻一秒を争うので、「すぐに動ける」海兵隊が沖縄にいることには、重要な意味があります。
海兵隊には水陸両用部隊や航空機、艦艇があるので、他の軍が動く前でも、独力で任務を遂行できるのです。
(※海兵隊が沖縄にいなくなれば「即応」機能が下がり、「沖縄に被害が出た後」に陸海空軍が動くかたちになりかねない)
海兵隊は沖縄に陣地を築くことで、「米軍は有事に即応する」というメッセージを中国や北朝鮮に送っています。
海兵隊が沖縄から出ていけば、中国が「米軍が動く前に、尖閣諸島を取ってしまえ」と考えかねません。
結局、玉城氏の言う通りにした場合、尖閣諸島や沖縄を侵略の危機にさらすことになるわけです。
◆玉城氏は、5月にトランプ大統領宛の書簡を送った
玉城知事は、5月にトランプ大統領宛の書簡を送り、「米国は海軍と空軍で中国・北朝鮮問題に対応できる」と訴えたことが報じられています(琉球新報 2019年5月28日)。
しかし、侵略は陸・海・空の全領域で起こり得るので、水陸両用部隊を持つ海兵隊を排除するのは愚策です。
「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)でも、平時からグレーゾーン、小規模有事、大規模有事という流れに切れ目なく対応することがうたわれている。事態ごとに必要な能力は異なり、その継ぎ目を埋めるためには陸海空の統合運用が重要になる」(慶応大准教授・神保謙氏)※3
陸海空の一体運用を基本とする米軍が、こうした主張を受け入れることはないでしょう。
◆玉城知事の主張 どこが問題なのか
琉球新報(2019年5月28日)が報じた書簡の内容(※4)には、不適切な記述があるので、その反論を並べてみましょう。
(以下、「」は玉城氏意見)
・「国土面積の約0・6%の本県に在日米軍専用施設の約70%以上が存在する現状は異常で、容認できない」
⇒沖縄は、朝鮮半島、台湾、東シナ海、南シナ海のどこにも対応可能な要地なので、米軍が拠点を構えている。海兵隊のように陸海空の機能を備えた部隊は機能分散すると能率が落ちるので、沖縄に集中している。単純に数値だけで判断できる問題ではない。
・「普天間飛行場の周辺では事件・事故が多発して地域住民の生命・財産に不安を与えている」
⇒ならば、早急に辺野古沖へ移転すべき
・「県民投票で約72%が辺野古埋め立てに反対を投じたのに、日本政府は移設を強行している」
⇒投票率は52.5%なので、実数は38%。これは沖縄の総意とは言えない。
・「飛行場を使用し続けて全基地への反基地運動や反米運動に発展すると、嘉手納基地やホワイトビーチなどの運用を含めて日米安保体制や日米同盟に大きな影響を与えかねない」
⇒反基地運動を煽っているのが玉城知事なので、これはマッチポンプ。
◆なぜ、尖閣危機と沖縄海兵隊の重要性が結びつかない?
玉城知事は、5/31の記者会見で、石垣市市議が乗船した漁船が尖閣周辺の海域を航行し、中国公船に追いかけられたことも取り上げました。
「中国公船が周辺海域をパトロールしていることもあるので、故意に刺激するようなことは控えなければならない」
日本の島の近海での話なのに、沖縄県知事は、中国の側に立ち、日本船に注意をよびかけています。
しかし、本当の問題は、尖閣の周辺海域を中国船が我が物顔に出入りしていることなのです。
玉城知事の頭の中で、尖閣危機と沖縄海兵隊の重要性が結びつかないことも、大きな問題です。
日米同盟の強化と南西諸島への自衛隊の重点配備を行わなければ、沖縄も尖閣も侵略の危機にさらされるということは、十分に周知されていません。
幸福実現党は、普天間基地の辺野古移設を推し進め、日米同盟を緊密化するとともに、日本の自衛力を高めることに、力を尽くしてまいります。
【参照】
※1:産経ニュース「玉城沖縄知事、海兵隊駐留せずとも「日米安保体制毀損せず」尖閣の中国公船「刺激控えなければ」(2019.5.31)
※2:朝日新聞グローブ「なぜ沖縄に米海兵隊がいるのか 軍事的に考察する?」(2018.10.04)
※3:産経iRONNA「在沖縄米海兵隊は抑止力か否か」
※4:琉球新報「「トランプ大統領に届けて」 玉城デニー知事が米政府に初めて送った書簡」(2019.5.28)